2016年10月29日

10月のタミル映画:その2

どうしたってナヤンに目が行くのは人情だけんど、カールティの日本初登場でもあるんだぜ。
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Kaashmora (Tamil - 2016) Dir. Gokul

原題:காஷ்மோரா (カーシュモーラーと読む)
タイトルの意味:Deadly Spirit
タイトルのゆれ:Kashmora

Cast:Karthi, Nayanthara, Sri Divya, Vivek, Sharath Lohitashwa, Madhusudhan Rao, Siddharth Vipin, Jangiri Madhumitha, Muruganantham, etc.

Music:Santhosh Narayanan

公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/AJpED8zJlzo
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/xhxLHzn0ks8

上映1:2016年10月30日(日)
■時間:14:00開映(チケット販売・引き換えは13:30から)
■料金:大人2300円(予約1800円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

上映2:2016年10月30日(土)
■時間:15:00開映(チケット販売・引き換えは14:30から)
■料金:大人2300円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:神奈川県海老名市、イオンシネマ海老名 http://www.aeoncinema.com/cinema/ebina/

【共通】
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば164分

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Kaashmora/
■主催者公式サイト:http://www.spaceboxjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/10/kaashmora-tamil-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは川口海老名とで別々にあり。万が一の直前の急な変更などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】 
カーシュモーラー(Karthi)は黒魔術師かつ除霊師を名乗るイカレた若者。人々の迷信や不安感につけ込み、ありもしない怪異をでっちあげては金を毟り取る。彼の両親、祖母、妹も一緒になって、家族ぐるみで芝居をして荒稼ぎをしていた。大学生のヤーミニー(Sri Divya)は、卒論で魔術について書こうとしており、情報を得ようとカーシュモーラーに近づく。ある日彼は、家族やヤーミニーと共に、封印された700年前の宮殿に入り込むことになり、閉じ込められてしまう。そこで彼が見たのは、戦乱期の武将ラージ・ナーヤク(Karthi)の異様な姿だった。

【主要キャラクター/キャスト】
■カーシュモーラー/カールティ
黒魔術師・除霊師を名乗るペテン師で、口の立つ男。
■ヤーミニー/シュリーディヴィヤー
魔術について卒業論文を書こうとしている学生。
■カーシュモーラーの父/ヴィヴェーク
カーシュモーラーのペテン芝居では道場の導師役を演じる、強欲な父親。
■ラージ・ナーヤク/カールティ
700年前のヴィクランタカ国の王。麾下に13人の土候を従え、戦争に明け暮れる。武勇をもって知られているが、王国は傾きつつある。一方では大変な漁色家でもある。
■ラトナ・マハーデーヴィー/ナヤンターラ
復讐に燃える王女。ラージ・ナーヤクに言い寄られても毅然としている。剣術、魔術に長じている。

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【その他のキャラクター/キャスト】
■大臣/シャラト・ローヒターシュワ
汚職に明け暮れる大臣。税務署の手入れが自分の家に襲来することを知り、カーシュモーラー一家に助けを求める。
■大臣の側近の導師/マドゥスーダン・ラーオ
大臣の取り巻きの導師。ケララ出身(タミル映画の中では、オカルティスト=ケララ人というお約束がある)。

【トリヴィア】
まあ、まずは何と言ってもカールティの初登場だ。1977年生まれの39歳、往年の二枚目俳優シヴァクマールの息子にして、タミル四天王の一人であるスーリヤの弟。当初は監督業を志していたというが、2007年に衝撃作 Paruthiveeran でデビューして以降は、順調にスター街道を歩んでいる。Paruthiveeran では、野性的な田舎の荒くれ男を演じたが、以降の出演作ではイタズラ坊主的な軽めのキャラが目立っていたように思える。しかし、2014年の Madras では、大都市近郊に住む鬱勃とした青年像を活写して、演技者として高い評価を得た。本作では、前半はいつものコミカルな演技(詐欺師というと過去の Siruthai が思い起こされるが、どんなものだろう)で攻めてくる。特にインターミッション前には、20分近い長大なコメディ・シーンが用意されているそうだ。後半には、がらりと趣を変えて、猛々しくも好色な戦国武将として登場し、こちらでも圧倒するという。ファースト・ルックがお披露目された時点では、南インド映画界の「レディ・スーパースター」ナヤンターラと並ぶと坊やに見えたりはしないのかという危惧もあったが、どうやらその心配はなさそうだ。監督のインタビューによれば、カールティは三役を演じるそうだが、三つ目のキャラについては一切明らかにされていないのも期待をそそる。

ゴークル監督は、本作で三作目となる新進。第二作目の Idharkuthane Aasaipattai Balakumara (Tamil - 2013) では、ソングシーンの撮影で大阪にも来ているはずだ。

甲冑姿のカールティのイメージが先行して、Baahubali - The Beginning (Telugu - 2015) のような歴史ファンタジーなのではないかという憶測が飛び交ったが、蓋を開けてみればタミル映画お得意のコミック・ホラーの豪華版であるとのことだった。お祭りシーズンにふさわしい娯楽大作、難しいことを考えずに楽しみたい。

カッコいいのか田舎臭いのか、判断に苦しむようなソングシーン。
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投稿者 Periplo : 04:09 : カテゴリー バブルねたtamil
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2016年09月30日

10月のタミル映画

号泣しながら髭/胸毛/脛毛を剃るシーンがあるのに100ルピー賭けてもいい。

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Remo (Tamil - 2016) Dir. Bakkiyaraj Kannan

原題:ரெமோ
タイトルの意味:主人公の仮の名前? ※タミル人にとっては、このRemoという名前は、ゴアのポップシンガーよりも、Anniyan (Tamil - 2005) でヴィクラムが演じた気障なモデルを思い起こさせるものであるようだ。

Cast:Sivakarthikeyan, Keerthi Suresh, Satish, Saranya Ponvannan, Dileep Kumar, Rajendran, Yogi Babu, Aadukalam Naren, Kalyani Natarajan, K S Ravikumar, etc.

Music:Anirudh Ravichander

公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/GEB4qrrWIgs
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/yv0JK1bYSCw?list=PLHuHXHyLu7BE3PhKYPisCtqYJq0KcvfIS

【第一回目/海老名】
■開催日:2016年10月8日(土)
■時間:14:00開映(チケット販売・引き換えは13:30から)
■料金:大人2300円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:神奈川県海老名市、イオンシネマ海老名 http://www.aeoncinema.com/cinema/ebina/

【第二回目/川口】
■開催日:2016年10月9日(日)
■時間:14:00開映(チケット販売・引き換えは13:30から)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※川口会場のみ、開映前(13:00-14:00)に食事、インターミッションにスナックの販売あり。

【第三回目/名古屋】
■開催日:2016年10月9日(日)
■時間:14:00開映(チケット販売・引き換えは13:30から)
■料金:大人2000円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:愛知県名古屋市港区、イオンシネマ名古屋茶屋 http://www.aeoncinema.com/cinema/nagoyachaya/

【共通】
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば150-160分

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/RemoTheMovie/
■主催者公式サイト:http://madrasmoviesjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/09/remo-tamil-2016.html
※10月7日の現地封切り後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】 ※キャラクター名不明のため、役者名によって記述
シヴァカールティケーヤン(Sivakarthikeyan)は映画スターとしてビッグになることを夢見る若者。母(Saranya Ponvannan)はその夢を何とかして諦めさせようとしている。彼はKSラヴィクマール監督(K S Ravikumar)に会うチャンスを得るが、監督は次回作でのヒーローには、女装させて看護婦の役をやらせるつもりだと言う。何としてでも主役の座が欲しい彼は、女性に化けて実際に看護婦として病院に入り込むことに成功する。看護婦として働きながら役作りに励んでいる最中に、キールティ(Keerthi Suresh)と出会い片思いの恋心を抱くのだが、キールティは彼を女性と思い込んでいる。

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【主要キャスト】
■シヴァカールティケーヤン
Kaaki Sattai (Tamil - 2015) と Rajinimurugan (Tamil - 2016) の2本が既に自主上映されているシヴァカールティケーヤンは快進撃を続ける新進。最初の頃は「なぜこいつなのか」感が拭えず眺めていたが、持って生まれたとしか思えない屈託のなさ、高身長、そしてスタンダップ・コメディアンとして鍛えた口の達者さが強みと言えるか。ヴィジャイ・セードゥパティとは同世代の好敵手と見做されている。
■キールティ・スレーシュ
日本でのNRIによるマラヤーラム映画上映の第一弾だった Geethanjali (Malayalam - 2013) で不幸なデビューをした(実作品を観るまでは幸運なデビューだと思っていたのだが)キールティだが、今年に入って一気に上昇気流に乗ったようだ。シヴァカールティケーヤンと共演の Rajinimurugan でも、その溌溂ぶりが眩しく、トップ女優の中に食い込んでいける可能性を大いに感じさせた。さらにはダヌシュと共演の Thodari (Tamil - 2016) が現在好評上映中、ダメ押しの次回作 Bairavaa ではヴィジャイのヒロインだ。才能がある人が順調にそれを開花させていくのを見るのは楽しいものだ。

【トリヴィア】
Theri のアトリ監督の助手をしていたというバーギヤラージ・カンナンは、本作がデビューの新人監督(ここにインタビューあり)。

本作のトレイラーやポスターが発表されてから、印度人の「パクリ見逃さないぞ自警団」の方々が、これは1982年のハリウッド映画『トッツィー』の設定イタダキものではないかと賑やかだったが、まあこれで大騒ぎして何かいいことがあるとは思えない。ストーリーに共通点はあるかもしれないが、『トッツィー』にはダンスもアクションも、専任コメディアンによるコメディもなかったぜ。数分のトレーラーを見るだけで Remo の方が100倍パワーアップしてるってことは歴然。

映画の創始期に男優が女性を演じていたことに関係があるのか、あるいは現実世界の根強いマチズモの裏返しなのか、インド映画ではスター俳優が女装するのを妙に喜ぶ傾向があるように思う。本当の女性を演じるというよりは、訳あって女装している男、あるいは性転換者の役がほとんど。ソングまたはコメディ・シーンの中だけでキモい姿をさらしているのは枚挙に暇がないが(ここ参照)、全編に近い時間を女性の姿で通す作品も結構ある。ディリープの Mayamohini (Malayalam - 2012) は、女性客を中心にバカ受けしたらしい。古典的なところでは、カマル・ハーサンの Avvai Shanmughi (Tamil - 1996) が有名だけど、下膨れの無表情なお婆ちゃんはどうもいただけない。ジャヤム・ラヴィは Ameerin Aadhi Baghavan (Tamil - 2013) で服装倒錯者である悪役をやって、禍々しい感じを上手く出していた。しかしまあ、圧巻だったのは Avan - Ivan (Tamil - 2011) でのヴィシャールか。男であり異性愛者だが女形芝居が大得意というキャラクターで、それをマッチョなアクション俳優であるヴィシャールが演じるというのだから、相当なプレッシャーを感じながら観てみたのだが、舞台上でのその艶姿には目が釘付けになったものだった。そういえば、つい最近も Iru Mugan (Tamil - 2016) でヴィクラムが、極力お世話になりたくないタイプの看護婦さんを怪演してたけど、ハリウッドの特殊メイク専門家シーン・フット を呼んできた本作では、もうちょっと信頼感のある仕上がりになってそうだ。リラックスして楽しみたい。

「インドのテイ・トウワ」ことアニルドの楽曲(+ゲスト出演?)もアトラクションのひとつ。
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投稿者 Periplo : 01:55 : カテゴリー バブルねたtamil
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2016年04月30日

5月のタミル映画

4月のヴィジャイに続いてまたしても一人三役。しかも製作者の談話によると、青年から老年への変化なども加わって、実質的には五役、六役に近いものになるらしい。

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24 (Tamil- 2016) Dir. Vikram Kumar

原題: 24 (イルバッティ・ナールと読む)

Cast:Surya, Samantha, Nithya Menon, Girish Karnad, Ajay, Saranya Ponvannan, Sathyan, Mohan V Raman, etc.

Music:A R Rahman

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/wqXE_es_I3M
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/ieiNJmt2Ivg

【第一回目/海老名】
■開催日:2016年5月7日(土)
■時間:14:00開映(13:30からチケット販売・引き換え開始、映画は17:00前に終了予定)
■会場:神奈川県海老名市、イオンシネマ海老名 http://www.aeoncinema.com/cinema/ebina/

【第二回目/川口】
■開催日:2016年5月8日(日)
■時間:13:00開映(11:30からランチ販売開始、12:30からチケット販売・引き換え開始、映画は16:00頃に終了予定)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチ、インターミッションにスナックの販売あり。

【共通】
■料金:大人2500円(予約2300円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約164分

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/24Official/
■主催者公式サイト:http://madrasmoviesjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/04/24-tamil-2016.html
※5月6日の現地封切り後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
執筆時点で一切不明。タイムトラベルSFであるという。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。

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■主人公1(スーリヤ)
眼鏡の男。なにやら大変な時計を持ってるらしい。
■悪役(スーリヤ)
名前はアトレヤ。どうやらこの悪役が最大の見せどころであるらしい。
■主人公2(スーリヤ)
ショートヘアの男。ダンスシーンの多くはこのキャラが担当するものと思われる。
■主人公2の恋人・妻(サマンタ)
4月の Theri に続いての登場。デビューから6年目を迎え、押しも押されぬ南インド映画の女王となったサマンタは、最近のインタビューで「登り詰めるよりも、トップに留まることが大変」と率直に語っている。
■主人公1の恋人・妻(ニティヤ・メーノーン)
これまで日本のインド系自主上映でマラヤーラム映画、テルグ映画に登場したニティヤは、今回のタミル映画で3言語上映を達成したことになる。あと残ってるのはカンナダ映画だ。グランドスラム達成なるか。
■役柄不明(ギリーシュ・カールナード)
本作では、テルグ映画界の出ずっぱり脇役俳優アジャイが日頃の殻を打ち破るような活躍をしているという未確認情報もあるのだが、キャストとしての格から言えば、やはりこの人の方を紹介せざるを得ない。劇作家、作家、映画監督としての顔をもち、俳優はむしろ副業かとも思える、南インドきっての文化人。マハーラーシュトラ州生まれで母語はコーンカニー語ということだが、文筆家としてはカンナダ語がメイン。俳優としてはヒンディー映画への出演本数が多い。近年の作品では、『タイガー 伝説のスパイ』のサルマーンの喰えない上司役などが印象的だった。

【トリヴィア】
一昨年のテルグ映画上映会でかかり、スマッシュヒットとなった(本国でも大成功した) Manam を手がけたヴィクラム・クマール監督の期待の新作。なななんと、SFで、タイム・トラベルもので、しかもスリラーという振れ込み。スーリヤのちょうど一年前の Masss Engira Masilamani は、ホラーをうたいながら実際は妙な見鬼コメディだった。『ロボット』など、いくつかヒット作があるものの、SFはインド映画ではまだまだ馴染みの薄いジャンル。タイム・トラベルものとなると、1991年のテルグ映画 Aditya 369 (これは傑作!)ぐらいしか思いつかない。普通なら、タミル映画でタイムスリップ+スリラーなどと言われたら、どうせまた肩透かしだろうと思うところだが、Manam での魅力的過ぎる語りを思い起こすと、本作にもまたマジックを期待せずにはいられない。

そしてまた、スーリヤの一人三役というギミック。

…著名なテルグ映画プロデューサーのチャクラパーニは、Bナーギ・レッディと共にヴィジャヤ・スタジオズを運営し、NTRのキャリア形成に重要な役割を果たした。俳優のグンマディ・ヴェーンカテーシュワラ・ラーオは、このプロデューサーと若い時分のNTRとのやりとりを回想録に記している。NTRは Bheeshma という作品でタイトルロールの老人を演じた。チャクラパーニに映画の評判を尋ねられ、NTRは喜びを隠せずに、映画が終わるまで観客はその老人が彼であると気づかなかったと述べた。それを聞いたプロデューサーは、「誰にも気づいてもらえないのなら、君がそれを演じる意味はあるのか?」と返したという。チャクラパーニの考えでは、気づいてもらえないスターとは、すなわち存在する意味のないスターなのだった。(Megastar - Chiranjeevi and Telugu Cinema after N.T. Rama Rao P.151-152 より、勝手訳)

これは1962年の話なのだが、この時点でのNTRシニアは、誠実な演技者として、自らのイメージよりも芸の追求の方に関心が向いていたようだ。対するチャクラパーニは、スター・ペルソナの重要性を見据え、後年NTRが進んでいく道筋をしっかりと示していた。いや、いい話。

上に挙げられた Bheeshma ではNTRは極端な老け役をやっただけで、多重ロールではなかった。しかし、このエピソードは、南インド(現在では特にタミル)映画のスター俳優が、溺れるといっていいくらいに一人N役をやる現象をある一面から説明しているように思える。一人二役、あるいは複数人格を装う単一のキャラクターという役どころは、ラジニ、カマルといった大御所の出演作にも幾らでも挙げられるし、四天王の中ではアジットとスーリヤが抜きん出て多い(ヴィクラム、ヴィジャイにも少なくない)。

前提として、各スターに優れた演技力があるというのは言うまでもない。けれどその演技力を迫真性やストーリーのクレディビリティのためではなく、常にスターがスクリーンの前にいること、七変化的な何ものかを凝視する快感に振り向ける。これが続く限り、タミルの大衆映画はグローバル化に飲み込まれることなくタミル映画であり続けられるのではないかとすら思えてしまうのだ。

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投稿者 Periplo : 18:45 : カテゴリー バブルねたtamil
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2016年04月15日

4月のタミル映画

ここんとこお巡りさんが続くねえ、5月にもまたやる予定だし、別のお巡りさん。

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Theri (Tamil- 2016) Dir. Atlee

原題:தெறி
タイトルの意味:spark

Cast:Vijay, Samantha, Amy Jackson, Prabhu Ganesan, Raadhika Sarathkumar, Mahendran, K S Ravikumar, Santhanam, Naan Kadavul Rajendran, Azhagam Perumal, Kaali Venkat, Swaminathan, T M Karthik, Jayaprakash, Bineesh Bastin, Baby Nainika, Kalyani Natarajan, Sunaina (guest appearance), etc.

Music:G V Prakash Kumar

公式トレーラー:https://youtu.be/ZK4uGLpkAKk
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/w-GtfZbxLNM

■開催日:2016年4月16日
■時間(川口1):13:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは12:00頃から開始、映画は16:00ごろに終了)
■時間(川口2):16:30開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは16:00頃から開始、映画は19:50ごろに終了)
■時間(海老名):14:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは13:30頃から開始、映画は17:00ごろに終了)
■料金:大人2500円(予約2300円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約158分
■会場1:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■会場2:神奈川県海老名市、イオンシネマ海老名 http://www.aeoncinema.com/cinema/ebina/
※川口会場では12:00頃から食事(ビリヤーニー)、スナック+ティーを別料金で販売。第一回目上映前、第一回上映休憩時間、第二回上映前、第二回上映休憩時間も含め、売り切れるまで通しでの販売となる。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/TheriMovie/
■主催者公式サイト:http://www.spaceboxjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/04/theri-tamil-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、川口1川口2海老名とで別々にあり。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
ケララで平穏な生活を営むジョーセフ(Vijay)とニヴィ(Baby Nainika)の二人。チェンナイの犯罪者たちを青ざめさせる切れ者ポリスのヴィジャイ・クマール(Vijay)の、その恋人(Samantha)、その母(Raadhika Sarathkumar)、その上司(Prabhu Ganesan)などとのドラマ。この二つの世界にどのような接点があるのか。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。
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■ジョーセフ・クルヴィラー(ヴィジャイ)
ケララでベーカリーを営む。5歳の女の子ニヴィ(ニヴェーディター)と暮らす。ジョーセフはこのニヴィの父なのか、兄なのか?ともかく、ヴィジャイがマラヤーラム語の台詞を口にするシーンは大いに沸くところらしい。
■ヴィジャイ・クマール(ヴィジャイ)
北チェンナイを管轄するDCP(デュプティ・コミッショナー)。犯罪者から恐れられる豪腕警察官。
■ダルメーシュワル(ヴィジャイ)
トレーラーの最後にちょこっと登場する謎キャラ。果たして本作のヴィジャイは2役なのか3役なのか、それとも1役なのか。

■ミトラー(サマンタ)
チェンナイに住む医師。ヴィジャイ・クマールの恋人であるらしい。
■アニー(エイミー・ジャクソン)
ニヴィが通う学校の先生。
■メイン悪役(マヘーンドラン)
腐敗した大臣。その息子(演じ手は不明)もまた手のつけられないワル。ラジニカーントの代表作のひとつ Mullum Malarum (Tamil - 1978) の監督として著名なマヘーンドランが、76歳にして初の本格的悪役演技に取り組むというので大いに注目を集めた。

【トリヴィア】
アトリ(アトリ・クマール)は本作が2作目となる新進監督。デビュー作の Raja Rani は、雑多なアトラクションをあまり盛り込まず恋愛をじっくり描いた佳作で、まずまずのヒットとなった。二作目となる本作では、ヴィジャイを主役に、一転してマサラ映画で特大打ち上げ花火。その手腕に注目したい。

上にあげた主要キャスト以外で高い評価を受けているのは、子役のベイビー・ナイニカー。『ムトゥ』のヒロインのミーナの娘で、本作がデビュー。それから、昨年の Vedalam にも顔を見せてた、スタントマン出身の怪優「ナーン・カダヴル」ラージェーンドランも、コミカルな演技が大うけだという。ハードコア悪役として演技デビューしたこの人も、今はお笑い街道まっしぐらのようだ。

バーシャ!2.0」 などという評も聞かれる痛快アクション、リラックスして楽しみたい。

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投稿者 Periplo : 01:53 : カテゴリー バブルねたtamil
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2016年02月20日

2月のタミル映画

お巡りをカッコよく演じられて初めてタミルのスーッパルスターへの道が開けるんだぜ(笑、じゃなくて、割とマジ)。

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Sethupathi (Tamil - 2016) Dir. S U Arun Kumar

原題:சேதுபதி
タイトルの意味:主人公の名前。セードゥパティには元々は「守護者・警護者」という意味がある。
タイトルのゆれ:Sethupathy, Sedhupathy, etc.

Cast:Vijay Sethupathi, Ramya Nambeesan, Vela Ramamoorthy, Linga, Vivek Prasanna, etc.

Music:Nivas K Prasanna

公式トレーラー:https://youtu.be/dK5E8mzmD6w
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/_EW5TdJCUSw

■日時:2016年2月21日、15:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは14:00頃から開始、映画は18:00前に終了)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:約122分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/02/sethupathi-tamil-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
マドゥライに住むセードゥパティ(Vijay Sethupathi)は、真面目で有能な警官で、家庭ではよき夫、よき父だった。同僚警官が惨殺された事件を捜査する中で、マドゥライの有名なドンであるヴァーッティヤール(Vela Ramamoorthy)が事件の黒幕であることを彼は察する。しかし、犯人逮捕に向けて動き出した彼の前に、腐敗した警察の組織の壁が立ちはだかり、同時に家族にも危険が迫ってくる。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■Kセードゥパティ(ヴィジャイ・セードゥパティ)
マドゥライ警察署に勤めており、ACP(アシスタント・コミッショナー)への昇進も近い。職務に忠実で、正義と信じるものを真摯に追求するタイプだが、エンカウンターとかもやっちゃうらしい。演じるVJSについては、昨年の Naanum Rowdy Dhaan のところで簡単に書いた。
■その妻(ラミャ・ナンビーサン)
二児の母。演じるラミャは基本的にはマラヤーラム女優で、プロフィールはここにちょっと書いた。タミル映画では地味なキャリア。しかし、VJSと組んだ Pizza だけは大当たり。
■ヴァーッティヤール(ヴェーラ・ラーマムールティ)
主役のペア以外のキャストがなかなか発表されなかった本作だが、この人も名前だけでさっぱりよく分からない。どうやら本業は文筆家(映画の脚本も書く)で、映画出演は2,3作目であるらしい。しかし確かにカメラの前に引っ張ってきたくなるみごとな面構え。タミル映画に久しく登場しなかった、静かに怖い悪役と絶賛されている。

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【釣り書き】
監督のSUアルンクマールは本作が長編劇映画としては第2作目となる新進。短編映画 My Darling Padmini が認められ、同作を発展させ、VJSを主役に据えた Pannaiyarum Padminiyum (Tamil - 2014) で長編デビュー。筆者も遅まきながら見てみたのだが、タミル呑気映画として傑作。半世紀ほど前のタミル南部の田舎をユートピアとして描きながらも、基調としてのリアリズム描写が見事だった。ただし、批評家からの評価は高かったもの、興行的にはいまひとつだったらしい。本作では、印象的なリアリズムを保持しながら、ヒロイックなアクションやスリラー要素も取り入れて、正調でありながら飽きさせないエンターテインメントに仕上がっているという。

そしてそのエンターテインメントの全てを背負っているのがVJS。2010年から主役出演、2012、13年にブレイクしたVJSにとって(当人がそれを望んでいるのかどうかは分からないが)、信頼すべき警官像を演じることは、カルトスターからトップスターへの橋渡しになるのではないかと思われる。タミル(あるいはサウス)では、トップスターといわれる俳優たちのほとんどが、警官役でアタリをとっている。それをやらずにスターダムにのし上がったのはシッダールトぐらいしか思いつかない。誰かはここでは書かないが、大スターで警察の制服が致命的に似合わない珍しい奴もいるけれど、それは例外的。サウスの衆にとって、現実の警察官がなるべくかかわりたくない恐怖の存在である度合いは日本の比ではないのだけれど、同時に、スクリーン上のカーキには男らしさの純粋結晶を読み取るものであるようなのだ。

グラサンと黒々とした髭、隙のない(ぱっつんぱっつんとも言う)カーキの着こなしの典型的な荒ぶるお巡り、舞台はマドゥライ、敵役は絹のヴェーッティ(タミル語でのドーティ)が似合う奴、漲ってくる何かが期待できそうだ。

ひょえ~、怖いよ~。
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投稿者 Periplo : 02:17 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年11月28日

12月のタミル映画上映:おかわり

( ^∀^ )ニコニコ(・∀・)ニコニコ(゜∀゚)ニコニコ(゜∀。)ニコニコ
ホラー予測は見事に外れた。しかしお勧め度マックスのコテコテ・シスコン&アクション映画っすよ。

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Vedalam (Tamil - 2015) Dir. Siva (Siruthai Siva)

原題:வேதாளம்
タイトルの意味:Phantom
タイトルのゆれ:Vedhalam, Vedaalam, etc.

Cast:Ajith Kumar, Lakshmi Menon, Shruti Haasan, Ashwin Kekumanu, Soori, Thambi Ramaiah, Sudha, Kabir Duhan Singh, Rahul Dev, Aniket Chouhan, Vidyullekha Raman, Bala Saravanan, Swaminathan, Mayilswamy, Kovai Sarala, 'Naan Kadavul' Rajendran, Appu Kutty, Rajkumar, Jasper, Ramesh Tilak, Yogi Babu, Meera Krishnan, Raviraj, Sriranjini, Mansoor Ali Khan, Avinash, Nagineedu, R N R Manohar, Kalairani, Sukran, etc.

Music:Anirudh Ravichander

公式トレーラー:https://youtu.be/z0cw4CKvV9k
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/faPJa2jgBAc

■日時:2015年12月5日、15:00開映(18:00ごろに終了)
■料金:大人2200円(予約2000円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約152分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/vedalamofficial/
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/vedalam-tamil-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【ネタばれ度20%の粗筋】
最初はアジットの2002年の旧作 Red に似ているとも言われたが、公開近くなって、モーハンラールの Ustaad あるいはラジニの『バーシャ』のそっくりさんだという情報が流れた。実際のところ、フォーマットとしては『バーシャ』、見かけ上の役作りとしては Red から引き継いでいるように思えるが、両作品にはない面白さが溢れている。

ガネーシュ(Ajith Kumar)と妹のタミル(Lakshmi Menon)が、二人でコルカタに到着するところから物語は始まる。ガネーシュは自分自身にはこれといった目的もなく、タミルを志望する美術学校に入れるためだけにチェンナイからやってきたのだった。彼は差しあたっての生活のためにタクシー・ドライバーになる。実直な彼は、タクシー・ドライバーに対して呼びかけられたお尋ね者通報の依頼に応じて、警察に情報を提供する。そのことによって兄妹の平穏な生活に暴力が忍び寄ることになる。そして温和な彼の驚くべき過去も明らかになってくるのだった。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。

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■ガネーシュ(アジット・クマール)
チェンナイからコルカタへ、妹とともに移り住む男。笑顔を絶やさず、腰が低い。しかし実は想像を絶する過去を持っている。タラ(おかしら)アジットについては、2月の Yennai Arindhaal... のところで書いた。
■シュウェータ(シュルティ・ハーサン)
ガネーシュに惹かれるおっちょこちょいな弁護士。2012年に「今のところ大ヒットは飛ばしていない」などと紹介したシュルティだが、その後の活躍はご存知のとおり。サマンタ、カージャルとならび、日本での上映で最多の顔見せを誇る女優になった。今作は親父様主演の Thoongaavanam とディーパーヴァリ公開の一騎打ちとなった。
■タミル(ラクシュミ・メーノーン)
ガネーシュの妹。絵を描くことが好きで、ガネーシュの手配で、コルカタにある芸術大学に入学する。ラクシュミ・メーノーンはケララ出身でマラヤーラム映画でデビューしたが、3作目のタミル映画 Sundarapandian でのヒロイン役が評価されて、タミル映画界に拠点を移した。1996年生まれの前途有望な19歳。
■アルジュン(アシュウィン・カクマヌ)
タミルに一目惚れする中産階級の青年。これまでのキャリアは全て脇役またはセカンドヒーローのアシュウィン君については、あまりよく分かっていないのだが、2013年の Idharkuthane Aasaipattai Balakumara で、大阪を舞台にしたソングシーンに登場してた。
■アビナイ(カビール・ドゥハーン・シン)
人身売買などの悪事に身を染める三人兄弟の真ん中。なんじゃこの縦長は?と思ったのだが、カビールは、なんとムンバイでモデルをしていた人なのだそうだ。今年テルグ映画でデビューしたばかりだが、来年公開されるパワン・カリヤーンやバーラクリシュナの大作にもメインの悪役としての出演が決まっているそうで、これからもちょくちょく拝むことになるかもしれない。

【その他のキャラクター/キャスト】
■ラトナ・バーイ(ラーフル・デーヴ)
悪役三兄弟の長兄。ムンバイのモデル出身のラーフル・デーヴについては、以前にここでちょっとだけ書いた。
■アニケト(アニケト・チャウハーン)
悪役三兄弟の末弟。ロン毛とグラサンでほぼ顔が分からないアニケトもまたムンバイのモデル。FBページ見てもやっぱロン毛+グラサンばっか。
■タミルの父(タンビ・ラーマイヤー)
盲目でありながら慎ましく和やかな家庭を築いていた家長。タンビ・ラーマイヤーは Mynaa での独特なユーモアで一躍売れっ子コメディアンとなった人。
■ゴーマティ(スダー)
タミルの母でやはり盲目。スダーお母さんはテルグ映画の常連。『バードシャー テルグの皇帝』では、亭主を青ざめさせるダンスを踊ってた。
■コルカタ・カーリー(ラージェーンドラン)
Naan Kadavul で衝撃のデビューをしたため、「ナーン・カダヴル」が芸名の一部となってしまったラージェーンドラン。もともとはスタントマンだった。こちらに短いインタビューあり。
■ラトナ・バーイの手下(アヴィナーシュ)
カンナダ映画界からはアヴィナーシュ。なんでこんな台詞もほとんどないような役で出てきたのかと訝しく思うのだが、イメージを裏切らない短い見せ場が用意されている。

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【釣り書き】
タイトルのヴェーダーラムは、サンスクリットの vetala に照応する語で、このヴェーターラは古代のヴィクラマーディティヤ王を狂言回しとした幽霊譚のアンソロジーを思い起こさせるものであるという。しかし本作にホラー要素は全くない。何をもって「化け物」としたのかはお楽しみ。

監督のシヴァ(シルッタイ・シヴァ)は、正統的なマサラ映画をこってりと仕上げる実力派。デビュー作の Souryam (Telugu - 2008) では、コメディの冴えが尋常ではなかった。初のタミル作品 Siruthai (Tamil - 2011) は、ラージャマウリのヒット作 Vikramarkuduここでちょっと紹介)のリメイクで、さすがにこれはオリジナルには及ばなかったが、この題名がシヴァ監督の冠タイトルになってしまったのは皮肉。もちろん一番重要なのは、やはりアジットをフィーチャーした Veeram (Tamil - 2014) だ。どこまでもアジットの魅力を引き立てつつ、コメディ、アクション、ロマンス、ファミリーセンティメントをこれでもかと詰め込みながらも散漫にはならず、品数の多いご馳走ミールスに仕立て上げた。同作は、批評家からはやや斜に構えた評を浴びつつも、同年のトップ5入りの売り上げを達成した。

シヴァ監督とアジットの二回目のコラボとなる本作でもマサラ路線は変わらないが、よりいっそうパワーアップした感がある。予想通り批評家からは結構な辛口の論評を受けたが、結局のところそれは、インテリにありがちな浅薄な進歩史観と文芸趣味を露呈しただけだったように思える(だから筆者はインド芸能メディアの星評価を全面的には信用しない)。カリスマ力をもった俳優が、あんなことしたりこんなことしたりするのを眺めるという、根源的な映画の快楽を無視してしまったら、どんなに難しい単語を羅列しても、インド大衆映画の本質からは外れたところに行ってしまう。歌わない踊らない映画が優れていて、マサラ映画が遅れて劣っている、というような単純なものではない。優れたマサラ映画もそうでないマサラ映画もある、という単純なものなのだ。

優れたマサラ映画である本作、劇中でのアジットの「子羊から妖魔への変容」シーンや、アニルドのアゲアゲのテクノ・クットゥは、やはり大画面+爆音で体験するのが望ましいし、周り中がタミル人だったらなおさら理想的だ。再上映が企画されたのはまたとないことであると思う。

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全編の6割以上がコルカタを舞台にした本作、しかしそのコルカタの描写は、ベンガル映画はもちろん、『女神は二度微笑む』などと比べてもかなり嘘臭い。けれど、イエローキャブ(トップのポスターの背景にもある)、ハウラー橋と並ぶ、もうひとつのコルカタ名物がクライマックスで登場するところでは、やはり天を仰ぎたくなった。

投稿者 Periplo : 23:54 : カテゴリー バブルねたtamil so many cups of chai
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2015年11月09日

11月のタミル映画上映:その2

タラ(おかしら)の頭のゴマ塩も一段と塩気が効いて2:8ぐらいになってきて、なんかスゲーって感じだ。テルグ映画 Akhil との二本立て上映。

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Vedalam (Tamil - 2015) Dir. Siva (Siruthai Siva)

原題:வேதாளம்
タイトルの意味:Phantom
タイトルのゆれ:Vedhalam, Vedaalam, etc.

Cast:Ajith Kumar, Shruti Haasan, Lakshmi Menon, Ashwin Kekumanu, Soori, Thambi Ramaiah, Kabir Duhan Singh, Rahul Dev, Aniket Chouhan, Vidyullekha Raman, Bala Saravanan, Swaminathan, Mayilswamy, Vasu Vikram, Kovai Sarala, M S Dhoni, 'Naan Kadavul' Rajendran, Appu Kutty etc.

Music:Anirudh Ravichander

公式トレーラー:https://youtu.be/z0cw4CKvV9k
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/faPJa2jgBAc

■日時:2015年11月15日、13:00開映(11:30ごろランチ開始、16:30ごろに終了)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約152分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/vedalamofficial/
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/vedalam-tamil-2015.html
※11月10日の現地封切り後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
具体的なストーリーラインは不明。最初はアジットの2002年の旧作 Red に似ているとも言われたが、公開近くなって、モーハンラールの Ustaad あるいはラジニの『バーシャ』のそっくりさんだという情報が流れた。眉唾だが、ホラー風味の作品だというもある。一番最後の説に期待したいところだが、どうなるか。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。あと、人名・役柄は各種レビューから拾ってきたので多少or全然違うかも。

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■ガネーシュ(アジット・クマール)
チェンナイにすむドライバー。しかし、アンダーワールドの帝王でもあるという。タラ(おかしら)アジットについては、2月のYennai Arindhaal... のところで書いた。
■?(シュルティ・ハーサン)
ガネーシュの恋人となる弁護士??? 2012年に「今のところ大ヒットは飛ばしていない」などと紹介したシュルティだが、その後の活躍はご存知のとおり。サマンタ、カージャルとならび、日本での上映で最多の顔見せを誇る女優になった。今作は親父様主演の Thoongaavanam とディーパーヴァリ公開の一騎打ちとなり、親娘対決の行方が楽しみ。その対決を、日本に居ながらにして二日間で味わえるというのも贅沢。
■タミル(ラクシュミ・メーノーン)
ガネーシュの妹。絵を描くことが好きで、ガネーシュの手配で、コルカタにある芸術大学に入学する。ラクシュミ・メーノーンはケララ出身でマラヤーラム映画でデビューしたが、3作目のタミル映画 Sundarapandian でのヒロイン役が評価されて、タミル映画界に拠点を移した。1996年生まれの前途有望な19歳。
■?(アシュウィン・カクマヌ)
これまでのキャリアは全て脇役またはセカンドヒーローのアシュウィン君については、あまりよく分かっていないのだが、2013年の Idharkuthane Aasaipattai Balakumara で、大阪を舞台にしたソングシーンに登場してた。
■メインの悪役?(カビール・ドゥハン・シン)
なんじゃこの縦長は?と思ったのだが、カビールは、なんとムンバイでモデルをしていた人なのだそうだ。今年テルグ映画でデビューしたばかりだが、来年公開されるパワン・カリヤーンやバーラクリシュナの大作にもメインの悪役としての出演が決まっているそうで、これからもちょくちょく拝むことになるかもしれない。

Vedalam2.jpg

【釣り書き】
タイトルのヴェーダーラムは、サンスクリットの vetala に照応する語で、このヴェーターラは古代のヴィクラマーディティヤ王を狂言回しとした幽霊譚のアンソロジーを思い起こさせるものであるという。

監督のシヴァ(シルッタイ・シヴァ)は、正統的なマサラ映画をこってりと仕上げる実力派。デビュー作の Souryam (Telugu - 2008) では、コメディの冴えが尋常ではなかった。初のタミル作品 Siruthai (Tamil - 2011) は、ラージャマウリのヒット作 Vikramarkuduここでちょっと紹介)のリメイクで、さすがにこれはオリジナルには及ばなかったが、この題名がシヴァ監督の冠タイトルになってしまったのは皮肉。もちろん一番重要なのは、やはりアジットをフィーチャーした Veeram (Tamil - 2014) だ。どこまでもアジットの魅力を引き立てつつ、コメディ、アクション、ロマンス、ファミリーセンティメントをこれでもかと詰め込みながらも散漫にはならず、品数の多いご馳走ミールスに仕立て上げた。同作は、批評家からはやや斜に構えた評を浴びつつも、同年のトップ5入りの売り上げを達成した。シヴァ監督とアジットの二回目のコラボとなる本作でもマサラ路線は変わらないだろうが、噂通りに流行のホラー風味などが入ってきたら、また堪らないものとなりそうだ。

投稿者 Periplo : 01:00 : カテゴリー バブルねたtamil
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11月のタミル映画上映:その1

カマル御大もこの11月7日に61歳。しかしまあ、相変わらず御元気なことでなにより。下はテルグ語版 Cheekati Rajyam のポスター。

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Thoongaavanam (Tamil - 2015) Dir. Rajesh M Selva

原題:தூங்காவனம்
タイトルの意味:Sleepless Forest
タイトルのゆれ:Thoongavanam, Thoongaa Vanam, Thoonga Vanam, Thungavanam, etc.

Cast:Kamal Haasan, Trisha, Prakash Raj, Kishore, Asha Sarath, Sampath Raj, Yugi Sethu, Madhu Shalini, Uma Riyaz Khan, Jagan, Santhana Bharathi, Guru Somasundaram, etc.

Music:M Ghibran

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/zd_eRjhXPGE

■日時:2015年11月14日、14:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは13:00頃から開始、映画は17:00前に終了)
■料金:大人2500円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)、最前の2列については割引あり、メールにて問い合わせのこと
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約127分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/ThoongaavanamMovie/
■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/thoonga-vanam-tamil-2015.html
※11月10日の現地封切り後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
2011年のフランス映画『スリープレス・ナイト』の翻案であるという。残念ながら筆者はこの作品を見ていないのだが、←のリンク先での口上を読めば、大体の想像がつく。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている

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■CKディワーカル(カマル・ハーサン)
マフィアの輸送車から麻薬を強奪しちゃう薬物対策室オフィサー。しかし、その過程で相手に正体を知られてしまい、息子を人質にとられたため、ただ一人でマフィアと対決することになる。5月上映の Uttama Villain で感銘を与えたカマル・ハーサンは、その後 PapanasamDrishyam のタミル・リメイク)でもヒットを飛ばし、本作が今年3本目の主演作となる。いったいどうした、と言うくらいの大車輪ぶりだが、来年に控えた大作 Vishwaroopam 2 のための資金作りなのかもしれない。有卦期の勢いに期待。
■マッリカー(トリシャー)
警察官。トリシャーについては今年はじめ時点では「結婚間近」と書いたが、その後破局したらしい。現在も元気にバリバリ出演中。本作では甘さ控えめのシャープなキャリアウーマンの姿を見せてくれそうだ。
■ヴィタル・ラーオ(プラカーシュ・ラージ)
麻薬取引で利益を上げているマフィアのボス。プラカーシュ・ラージは近年色々と芸域を広げてきているが、Pokiri でのような、本領発揮の脂ぎった悪役が久しぶりに拝めるのではないかと思うと楽しみだ。
■モーハン(キショール)
役柄は不明ながら、キーロールであるという。キショールはカンナダ映画界からやってきた性格俳優。タミル映画ではカバディ映画 Vennila Kabadi Kuzhu のコーチ役で名前が知られるようになった。カンナダ映画 Attahasa では、あのヴィーラッパンを演じたり、面白い活躍をしている。
■ペーダ・バーブ(サンパト・ラージ)
ローカルのギャング。
■?(アーシャ・シャラト)
これまでに、DrishyamVarsham の2本のマラヤーラム映画で紹介済みのアーシャは、Papanasam でタミル映画デビューし、そして本作と立て続けにカマル作品に出演することになった。

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【釣り書き】
以前にも書いたが、カマル・ハーサンは、プロデューサーや監督に全てを任せて指示に従うタイプではなく、通常主演俳優に求められる以上に深く深く製作にタッチして自らの刻印を押す傾向がある。プロデューサー・脚本家を兼任する本作は言わずもがなだ。監督のラージェーシュMセルヴァは、これまで低予算作品を一本撮っただけで、その後も第二監督だのチョイ役だのを続けている人らしい。なので、やはり本作もカマルが全部仕切ってる映画と考えたほうがよさそうだ。トレイラーを見ると、かなりスタイリッシュに仕上がったスリラーに思える。102分の原作から127分のリメイクができた訳だが、このラインタイムはタミル・メジャー映画としてはかなり切り詰めたものだろう。25分の膨らみの部分に入るのは、ソング&ダンスなのか、家族センティメントなのか、興味深い。

投稿者 Periplo : 00:54 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年10月17日

10月のタミル映画上映:その3

「タミル映画ウィークエンド」の第二弾。こちらはロマンティック・コメディというふれこみ。イメージ写真を見るとちょっとロードムービー的な要素もあるように思えるが、どんなものか。

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Naanum Rowdy Dhaan (Tamil - 2015) Dir. Vignesh Shivan

原題:நானும் ரௌடி தான்
タイトルの意味:I'm a rowdy too
タイトルのゆれ:Naanum Rowdydhaan, Naanum Rowdy Thaan, Nanum Rowdy Than, etc.

Cast:Vijay Sethupathi, Nayanthara, Parthiban, Raadhika Sarathkumar, RJ Balaji, Anandaraj, Rajendran, Surya Vijay Sethupathi, etc.

Music:Anirudh Ravichander

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/dFjClp12gDI
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/dFjClp12gDI?list=PLDzvTFEtakc3nbaw-aBrxlRRfuofhqFfF

■日時:2015年10月25日、14:00開映(13:00ごろにチケット販売・引き換え開始、17:00ごろに上映終了)
■料金:大人2300円(予約2000円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約150分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/NRDMovie
■主催者公式サイト:https://peraichi.com/landingPages/view/x01ks
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/naanum-rowdy-dhaan-tamil-2015.html
※10月21日の本国公開後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
今のところ不明。10月21日の本国封切り後に急いで追記するかも。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている

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■パーンディ(ヴィジャイ・セードゥパティ)
いわゆるカリスマ・アクション・スターではない。変幻自在の演技力で目の肥えたタミルの観客を虜にしつつある風雲児が、1978年生まれ37歳のヴィジャイ・セードゥパティ(VJS)。湾岸出稼ぎを含め各種の職を転々としたプレ芸能界時代+比較的長い下積み期を含む映画界での芸歴についてはウィキペディアに詳しい。2012年に PizzaNaduvula Konjam Pakkatha Kaanom の2本の成功によって最も注目されるタミル俳優のひとりとなった。個々の作品については、日本一のVJSファンであるTamilalagiさんのレビューを参照。
■カダンバリ(ナヤンターラ)
5月に上映された Masss Engira Masilamani では、脇役に近いような限定的な登場で肩透かしだったナヤンターラ。本作はヒロインとしての50本目になるそうなので、充実したキュートな演技を期待したい。また、タミル映画としては初めて台詞を自分の声でしゃべる(こちら参照)というのにも興味深々だ。
■キリヴァラヴァン(パールティバン)
以前マラヤーラム映画 Escape from Uganda のときにちょっとだけ紹介したパールティバン。「俺様だってラウディーだ」というタイトルからすると、この人が自他ともに認める正真正銘のラウディーを演じることになるのだろうか。
■婦警さん?(ラーディカー・サラトクマール)
80年代のトップヒロインの一人。熟年の大物俳優サラトクマールの夫人。2000年以降はTVドラマの世界で大忙しとなっている。日本で公開された「ジーンズ 世界は二人のために」ではヒーローの母親役を演じている。

【トリヴィア】
監督のヴィグネーシュ・シヴァンはこれが2作目となる新進。2012年に封切られたデビュー作の Podaa Podi は、悪い意味での壊れた映画で、興行的にも惨敗。脚本も自分で手がけたというシヴァンには、ちょっとカウンセリングでも受けたほうがいいんでないの?と言いたくなるほどの出来だった。なものだから、その名前は忘れてしかるべき、あるいは避けたほうがいい監督として覚えるべき、といういうくらいものだった。

しかし3年ぶりの本作が、ダヌシュ・プロデュース、VJS主演となると話は別だ。脚本の選定眼にかけてはかなり鋭いこの2人が関わっているということは、やはりタダモノじゃなさそうだ。そしてThani OruvanMaya と今年はヒット続きで絶好調のナヤンターラ、若手ミュージック・ディレクターとしてはトップクラスのアニルドも加わり、どんな世界が展開するのか、久々に予測がつかないワクワクの一作だ。

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投稿者 Periplo : 04:04 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年10月16日

10月のタミル映画上映:その2

「タミル映画ウィークエンド」の第一弾はヴィクラムのカーチェイス。

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10 Endrathukulla (Tamil - 2015) Dir. Vijay Milton

原題:10 எண்றதுக்குள்ள(パットゥ・イェントラドゥックッラと読む)
タイトルの意味:Before counting up to ten
タイトルのゆれ:Pattu Endrathukulla, 10 Yendrathukulla, 10 Enrathukulla, etc.

Cast:Vikram, Samantha Ruth Prabhu, Pasupathy, Rahul Dev, Abhimanyu Singh, Manobala, Ramadoss, Sampoornesh Babu, Charmme Kaur (special appearance), etc.

Music:D Imman

公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/3vygWI0XK4E
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/OkycgSC9izE?list=PLHuHXHyLu7BEGXD00aUc1tUY4Wyvx3toc

■日時:2015年10月24日、14:00開映(12:30ごろにチケット販売・引き換え開始、17:00ごろに上映終了)
■料金:大人2400円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約149分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/10EKTheFilm
■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/10-endrathukulla-tamil-2015.html
※10月21日の本国公開後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
公開前なので不明。ヴィクラムとサマンタのコンビが、インド亜大陸狭しと爆走し、悪の勢力(多分ラーフル・デーヴやアビマンニュ・シン)とも対決するコミック・ロード・アクションらしい。


【主要キャラクター/キャスト】 イメージは本作のスチルからではないものも混じっている

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■ジェームス・ボンド?(ヴィクラム)
「チェンナイ一の名ドライバー」であるヒーローを演じるヴィクラムについては特に説明も不要だろう。『神さまがくれた娘』が日本で公開されており、来日も果たしている。
■シャキーラ?(サマンタ)
ひとたびハンドルを握れば車も木に登る、という迷ドライバーのヒロインを演じるのは『マッキー』のサマンタ。今回は眼鏡で萌えさす作戦らしい。
■?(パシュパティ [パスパティとも])
頬にキス』の脇役などから出発したパシュパティは、もともと演劇界で鍛えられていた実力派。Virumaandi などでのハードコア悪役から、ラジニ映画 Kuselan でのような善意の市井人まで何でもこなす。本作では Mumbai Express でのようなとぼけた味わいも予想されるがどうだろうか。
■ゲスト出演(チャールミー)
テルグ映画界でブレイクしたパンジャーブ娘。一時期はちょっと太目になっちゃってマラヤーラム映画に都落ちまでしてたけど、昨年起死回生のダイエットで見事復活。本作では9分にもわたる長大なソングシーンに登場するという。

【トリヴィア】
GhajiniKaththi など、社会性をもった娯楽映画を得意とするARムルガダース監督は、プロデューサーとしても渋い仕事をしている。これまでは低予算ものが多かったそのARムルガダース・プロダクションズが、大スターのヴィクラムをフィーチャーして放つ期待作。

監督は期待の新鋭であるヴィジャイ・ミルトン。撮影監督として長いキャリアを持っているが、監督としては本作が第3作目。筆者は前作の Goli Soda しか見ていないのだが、チェンナイのこ汚い下町を舞台に、下層ミドルティーンの少年たちの生きるための闘いを軽快に描いた佳作。塵芥の散乱する市場の喧騒とずしりとしたリアリティのあるアクション、チェンナイの下町を舞台にしたタミル映画に特有のガラッぱちワールドが見事だった。演技派スターのヴィクラムと華やかなサマンタを配した本作でも、軽快なアクションとべらんめえのド突き合いを期待したい。

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投稿者 Periplo : 21:52 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年10月02日

10月のタミル映画上映:その1

まあ落ち着け、主演はヴィジャイだ。新規参入団体 Space Box による上映。

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Puli (Tamil - 2015) Dir. Chimbudevan

原題:புலி
タイトルの意味:Tiger
タイトルのゆれ:Pulee, Marudheeran(製作中の仮称)

Cast:Vijay, Sridevi, Sudeep, Shruti Haasan, Hansika Motowani, Prabhu Ganesan, Nandita Swetha, Vijayakumar, Thambi Ramaiah, Aadukalam Naren, Imman Annachi, Robo Shankar, Sathyan, Vidyullekha Raman, Jasper, Gayathri Raman, Ali(テルグ語版のみ), etc.

Music:Devi Sri Prasad

公式トレーラー:https://youtu.be/U9kCY9psgOc
全曲ジュークボックス:https://www.youtube.com/playlist?list=PLHuHXHyLu7BGpQAxH2k2BjEcNdx_UcpgP

■日時:2015年10月4日、14:00開映(13:00開場)
■料金:大人2500円(予約2300円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約154分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/spaceboxjp
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/09/puli-tamil-2014.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【前半の粗筋】※人名・地名は各種レビューから拾ってきたので多少or全然違うかもしれませんです。
いつともしれない昔、ヴェーダーラム(=phantom)国は邪な女王ヤーヴァナー(Sridevi)と腹心の司令官ジャラダランガン(Sudeep)によって支配され、民はその暴虐に苦しんでいた。一方、のどかな村ヴァイラナルールでは、孤児でありながらヴェーンブナーダン(Prabhu Ganesan)によって慈しまれて育ったマルディーラン(Vijay)が恋人パヴァラマッリ(Shruti Haasan)と共に楽しく暮らしていた。しかし、ヴェーダーラムの兵士によって養父が殺され、パヴァラマッリが誘拐されたため、マルディーランは兵卒に身をやつしてヴェーダーラムの主邑に乗り込む。そこで彼はヤーヴァナーの娘であるマンダーキニ王女(Hansika Motowani)に出会う。

【主要キャスト/キャラクター】
■ヴィジャイ(マルディーラン)
生まれてすぐに川に流され、どんぶらこと漂っているところを村人に見つけられた孤児。こってりファンタジーな本作の主要キャスト中で、ヴィジャイだけ首から上の見た目の役作りが(カラコンを別にすれば)あまりにあっさりしているのがずっと気になっていたのだが、本編を見れば何か深い訳が分かるのかもしれない、楽しみだ。
■シュリーデーヴィー(ヤーヴァナー)
ヴェーダーラム国の女王。裏取りはされていないが、今回シュリーデーヴィーは自分の声でタミル語の台詞をしゃべっているという。『マダム・イン・ニューヨーク』(2012)のタミル語版を別にすれば、26年ぶりのタミル映画出演になるという。現地公開初日のレビューではキャストの中でもっとも高く評価されている。その「夜の女王」風の衣装はマニーシュ・マルホートラが担当。
■スディープ(ジャラダランガン)
猫背にザンバラ髪の落武者みたいだが、最凶の悪役であるという。超能力を持ち、女王ヤーヴァナーを傀儡のように扱い、欲しいままに振舞う軍司令官。『マッキー』(2012)でファンを増やしたスディープは、ヒーロー格俳優が他言語作品に出演しないのが不文律となっているカンナダ映画界で、ウペンドラと並んで例外的かつ意欲的に越境出演を行っている。
■シュルティ・ハーサン(パヴァラマッリ)
ヴァイラナルールの村娘。マルディーランの恋人。
■ハンシカー・モートワーニ(マンダーキニ)
ヤーヴァナー女王の娘。マルディーランに惚れる。

【トリヴィア】
監督のシンブデーヴァンは漫画家出身で、映像作家としてはいわゆるパスティーシュを得意とする。フォークロアや西部劇など、今日では流行らなくなったジャンルの約束事を持ち込んで、ユーモア映画を作るというのをやってきた。当網站では Imsai Arasan 23rd Pulikecei (Tamil - 2006) と Irumbu Kottai Murattu Singam (Tamil - 2009) を紹介した。これらは必ずしも低予算映画というわけではないのだが、パスティーシュにふさわしい、B級感あふれるキャスティングによる隙間映画みたいなものだったのだ。それがここにきていきなりマルチスターの大作、その手腕に大いに注目が集まっている。

また、進化したVFX技術を伴ってのフォークロア・リバイバルとしての本作の意味にも注目したい。現代的なロジックに貫かれた作品が優勢となりつつあるインド映画において、「ヒーローだから強い」「魔法だからなんでもできる」が所与のこととされている物語世界が観客を虜にできるのか、あるいは時代の変化に応じた何らかの新機軸・新解釈が加わっているのか、興味はつきない。

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投稿者 Periplo : 02:09 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年05月27日

5月のタミル映画上映:その2

日本の皆様、スーリヤでございますぅ~。
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Masss Engira Masilamani (Tamil - 2015) Dir. Venkat Prabhu

原題:மாஸ் என்கிற மாசிலாமணி
タイトルの意味:Masss alias Masilamani
※マーシラーマニは主人公の名、短くしてマースと呼ばれるということらしい
タイトルのゆれ:Masss, Mass, Masss Engira Masilaamani, Masss Engira Maasilaamani, Rakshasudu(テルグ語版タイトル)

Cast:Surya, Nayanthara, Riyaz Khan, Parthiban, Samuthirakani, Premgi Amaren, Pranitha Subhash, Jayaram, Karunas, Sriman, Daniel Annie Pope, Sanjay Bharathi, Vidyullekha Raman, Ramya Subramanian, Stunt Silva, Amy Jackson(?), etc.

Music:Yuvan Shankar Raja

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Masssmovieofficial
公式トレーラー:https://youtu.be/8uhmhTwPPTg
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/sFrq3SRyHmw

■日時:2015年5月30日、14:00開映(開場は13:00ごろ、別料金でのランチ提供あり、17:00前に終了)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)、ファミリーパスについては主催者公式サイトを参照
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約142分(152分説もあり)、途中で20分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で13:00ごろからランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり、どちらも映画と同時にオンライン予約可。

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/05/masss-engira-masilamani-tamil-2015.html
※5月29日の本国公開後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
本国公開前なので詳細は不明。コミック・ホラーであるという説が流れていて、結構衝撃的だ。ホラー映画は近年のタミルではかなり流行っているけれど、やはりニッチなジャンルというイメージはあり、スーリヤのクラスの大スターが出演するというのは(『チャンドラムキ』を除けば)ほとんどなかったから。上にリンクしたトレーラーも、開始から半分以上はスーリヤのトレードマークであるハイテンションなアクションに見えるのに、最後の方が怪しげな展開になっていて、ドキドキする。

【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■スーリヤ
今さらこの人について書く必要があるだろうかというのはあるのだけれど、なにせ日本初登場だし、ベーシックなことだけ。1960~80年代にヒーローとして活躍し、今は民族派文化人として高名なシヴァクマールの長男、弟のカールティも人気俳優。1997年に映画デビューし、Nandha (Tamil - 2001) によって認められる。この作品のキャラクターのような寡黙で骨太な男というイメージだったのが、Pithamagan (Tamil - 2003) でのチャラ男役で観客を驚かせ、演技力の幅を見せつけた。大ヒットとなった Ghajini (Tamil - 2005) や Singam (Tamil - 2010) のようなアクション映画を基本として、近年は1年に1作ペースで丁寧に作りこんだ作品を送り出している。2006年に売れっ子ヒロインだったジョーティカーと結婚し、久々のトップスター同士の結婚としてマスコミを賑わせた。
■ナヤンターラ
ケララ生まれの30歳(ぐらい)。2003年にマラヤーラム映画でデビュー。ブレイクは、何といってもラジニの相手役に抜擢された2005年の『チャンドラムキ』によって。このころからタミル・テルグ映画界でひっぱりだことなり、一説には南インドで出演料が1カロール・ルピーを超えた初の女優だったともいわれる。トップ女優でありながらゴシップ・メディアを喜ばせるような恋愛沙汰も多かったが、あんなことやこんなことがあって2011年にはキャリアが中断しかけた。しかし、同年の Sri Rama Rajyam (Telugu - 2011) によって見事な復活を遂げた。『チャンドラムキ』の下ぶくれ気味のオボコいナヤンしか知らない人は結構驚くのではないか、いやホントに、いい女になったもんだ。
■プラニタ・スバーシュ
バンガロール生まれのカンナダ女優。これまでに日本で自主上映された Attarintiki DarediRabhasa の2本のテルグ映画にセカンド・ヒロインとして登場している。
■プレームジ・アマラン
タミル映画のベテラン音楽監督で、過去にタミル新年の催しで来日したこともあるガンガイ・アマランの息子。自身もプレイバック・シンガー兼作曲家なのだが、面白すぎる見かけがかわれて映画に出演するようになった。ヴェンカット・プラブ監督作品の常連のひとり。
■その他
先日の Uttama Villain で渋いいい役だったジャヤラームが楽しみだ。エイミー・ジャクソンはホントに出てくるのかどうか現状では確認できず。パールティバンや監督が本業のサムドラカニの役どころも気になる。

【釣り書き】
まあともかく、ラジニ&カマルを別格としたタミル四天王の一人なのに、どういうわけか今まで日本で劇場公開も映画祭上映も自主上映も全くなかったスーリヤが初見参というのが目出度いじゃありませんかい(あとの3人、ヴィクラム、ヴィジャイ、アジットは既に何らかの形で上映済み)。しかも同時に、タミル・ニューウェーブの重要監督の一人であるヴェンカット・プラブの第6作目でもあるということで期待もいや増し。

2000年代中頃からはっきりと形をとりだしたタミル・ニューウェーブだが、当初は「マドゥライ映画」と俗に称された、愛と憎しみと血と赤土にまみれた悲劇的な作品が目を惹いた。しかし実は同じ頃に、都会を舞台にした軽いタッチのコメディ作品も出現しはじめており、現在はこちらの傾向の方が生き延びているという感じだ。それまでのコメディとの違いは、職業コメディアンに頼らないこと、若者のリアルな生活感を表現していること、キャプションや吹き出しなどを使ったポップな表現手法、クライムスリラーと結びつくようなシュールな展開、等々といったところだが、ヴェンカット・プラブは疑いなくこのジャンルの第一人者で、現地での人気も相当に高い。

当網站ではこれまでにChennai 600028 (Tamil - 2007) と Goa (Tamil - 2010) の2本を紹介しているが、いずれも有象無象の若い衆がタメ口をたたきながらド突き合ってるヴァカモノ映画。これらを紹介した後に実は急展開があり、第4作目となる Mankatha (Tamil - 2011) では何とアジットを主役に据えたのだ。大スターであるアジットといつものリアルなヴァカモノたちを一つのフレームに押し込んだんだけど、どうもかみ合わず。見どころは多々あって損をした気にはならないんだけど、スカッとした後味には欠ける一作となってしまった。で、1本おいて第6作目の今回はスーリヤを引っ張ってきた。しかもコミック・ホラー(?)。ワクワクとドキドキが今から止まらないのだ。

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投稿者 Periplo : 02:56 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年04月20日

5月のタミル映画上映

こうやって並べると、どうしたって右の方に期待しちゃうってのが人情じゃありませんかい?ついに実現した関東・関西のデュアル上映、どうぞ応援してやっておくんなさいまし。

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Uttama Villain (Tamil - 2015) Dir. Ramesh Aravind

原題: உத்தம வில்லன்
タイトルの意味:Virtuous Villain
タイトルのゆれ:Uthama Villain, etc.

Cast:Kamal Haasan, Jayaram, Andrea Jelemaiah, Parvathi Menon, Parvathi Nair, K Viswanath, K Balachander, Pooja Kumar, Nasser, Urvashi, M S Bhaskar, Chithra Lakshmanan, Anant Mahadevan, Shanmugarajan, Ghibran, Rajesh M Selva, etc.

Music:Ghibran

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/OfficialUttamaVillain
公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/fD4F_dQgDUs
全曲ジュークボックス:http://youtu.be/-5YPmYIJi4w

【関東】
■日時:2015年5月9日(土)、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人3000円(予約前払い2500円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約136分約173分ということだが、数分カットされたという話もある。途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

※当日券の購入および予約チケットの引き換えは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。13:00から受付開始。

【関西】
■日時:2015年5月10日(日)、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2500円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
上映時間:ネット情報によれば約136分約173分ということだが、数分カットされたという話もある。途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:大阪府茨木市、イオンシネマ茨木(こちら参照)

※当日券の購入および予約チケットの引き換えは、イオンシネマの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。13:00から受付開始。

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/03/uttama-villain-tamil-2015.html
※5月1日の現地封切り後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口は、関東がこちら、関西がこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
封切前のため詳細は不明。8世紀の宮廷役者であるウッタマン(Kamal Haasan)と、21世紀のタミル映画界の熟年スーパースター・マノーランジャン(Kamal Haasan)の人生とが並行的に語られるらしい。カマル自身の言葉によれば、“It’s the story of an actor; a superstar with and without a mask” なのだそうだ。

【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■カマル・ハーサン(カマラーハーサンとも)
カマル・ハーサンについては Vishwaroopam のところで書いた。ともかくこの人は、プロデューサーや監督に全てを任せて指示に従うタイプではなく、通常主演俳優に求められる以上に深く深く製作にタッチする傾向がある。そのため、監督がバラバラであっても、全ての主演作にクッキリとした「カマル謹製」の刻印が押されているのだ。おそらくそれと関係があるのだろう、封切りにあたって色々と横槍が入って揉めることがやたらと多い(本人もインタビューでそれを認めている)。そして、そのせいなのか、揉め事が法廷闘争にまで及ぶような面倒くさい力作と、その合間の明らかに肩の力を抜いた箸休めとを交互に発表している。2年前の前作 Vishwaroopam は明らかに前者だった。今作はというと、最初は後者であるような印象を持っていたのだが、やはり訳の分からない理由で公開が延期になったりしており、さあてどっちなのか。
■ジャヤラーム(ジェヤラームとも)
マラヤーラム映画界ではモーハンラール、マンムーティに続く押しも押されぬ大スターなのだが、両巨頭に比べると芸域が狭いためにキャリアが尻すぼみな感じになり、ここのところパッとしなかった。170本を超えるマラヤーラム映画出演があるが、タミル映画でも30本に出演している。基本的な芸風は愛すべき頓馬キャラ。タミル映画だと、以前東京でやった Thuppakki がいい例だけど、さらに輪をかけて笑われ役なんだ。さて、今作ではどう出てくるか。公式サイトもあり。
■Kバーラチャンダル
昨年末に惜しまれつつ世を去った監督・プロデューサー。日本では Thanneer Thanneer [邦題:お水よお水] (Tamil - 1981) が映画祭公開されているほか、『ムトゥ』のプレゼンターとしても名前が知られている。1960年代半ばから昨年までの50年にわたる映画人生のインパクトは巨大なもので、その訃報に一つの時代の終わりを感じた人は多かったようだ。各時代ごとに名作を送り出しただけでなく、新人発掘にも手腕を発揮し、カマル・ハーサン、ラジニカーント、プラカーシュ・ラージ、ラメーシュ・アラヴィンドなどが、このKBによってデビューしたり、初ブレイクを達成している。本作では、そういった経緯から、KBの顔見せは名匠へのオマージュ程度のものかとも思っていたのだが、ラメーシュ・アラヴィンド監督によれば、出番は長くはないものの、ストーリーに絡む重要な役なのだそうだ。
■Kヴィシュワナート
こちらもまた映画監督。主にテルグ映画を手掛けているが、2000年ごろから俳優としての活動の方が目立つようになってきている。監督としては、Shankarabharanam [邦題:シャンカラバラナム] (Telugu - 1979) に代表される芸道ものの巨匠とみなされている。
■アーンドリヤー・ジェレマイヤー
Vishwaroopam と連続でカマル映画のヒロインとなった。タミル・ナードゥで生まれ育ったアングロ・インディアンであるという。まず歌手としてデビューして、2007年ごろから俳優として活動を始めた。長身と英語の影響の強いセリフ回し(吹き替え声優としても需要があるという)が売り。比較的仕事を選ぶタイプのようで、フィルモグラフィーはさほど多くはないが佳作が並ぶ。代表作は Annayum Rasoolum (Malayalam - 2013) あたり。
■プージャ・クマール
北インド出身の両親の元にアメリカで生まれ育ったNRI。1995年に「ミス・インディアUSA」となったことから芸能界入りの道が開けた。やはり Vishwaroopam との連続出演となる。公式サイトあり。
■パールヴァティ・メーノーン
Bangalore Days (Malayalam - 2014) でパールヴァティが演じた魅力的なラジオジョッキーのことはまだ記憶に新しいだろう。同作のタミル・リメイクにも出演が決まっているという。
■パールヴァティ・ナーイル
こちらもマラヤーラム映画界出身の新進女優。2月に川口で上映された Yennai Arindhaal... での、悪役の妻としての演技が印象的だった。

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【釣り書き】
渾身の力作かちょっとした箸休めなのかは分からないが、もちろん本作も「カマル謹製」を楽しめば十分なのであるが、年季の入ったファンとして見過ごせないのが、「監督:ラメーシュ・アラヴィンド」だ。

1980年代中ごろから俳優として活躍するベテラン、南インド5言語(トゥル語含む)とヒンディー語映画に出演し、フィルモグラフィーは130本超を記録している。やはり最初はKバーラチャンダル監督に見いだされ、タミル映画に専心していたが、1990年代終わりごろから母語である(←と思うのだが、確認はできなかった)カンナダ語の映画にシフトしはじめ、サンダルウッドの中堅スターとして現在に至っている。劇場公開こそなかったが、日本語字幕付きDVDが流通した Rhythm (Tamil - 2000) で、ARラフマーンの名曲をバックにミーナちゃんの王子様として登場するシーンを見て微妙な感想を持った人も少なくないのではないだろうか。ま、いわゆるチョコレート・ヒーローからサイコな奴まで何でもこなす器用な役者だ。

監督デビューは Rama Shama Bhama (Kannada - 2005) で、以降の監督作5本もすべてカンナダ映画。全部を見たわけではないが、こじんまりとした作風で、手堅くまとめてきているという印象だった。ここにきて初のタミル映画、それもカマル・ハーサン主演のビッグバジェットものということで、さてどんな腕前を見せてくれるのか、かなり楽しみなのである。

俳優、監督の他に、TVショーのホストもこなす。カマル・ハーサンとは年来の友人であるという。脱力系(エアポート・ブックともいう)のエッセイ集の執筆もしている。公式サイトあり。

他に気になるスタッフとしては、プロデューサーとして中堅監督のリングサーミ、それから衣装デザイナーとしてカマルの現夫人で往年のヒロインであるガウタミの名前が挙がっていることか。

それから、トップ右の画像に掲げたマスク・プレイだが、これはケララ州で盛んなテイヤムと呼ばれている降神・憑依系の芸能であると説明されている。ありがたいことに、この芸能に関しては、日本語で呆れるほどに多くの紹介・研究ページが見つかる(一例としてここここなど)。こういう絵柄だからといって、これが8世紀のパートのものである保証はないのだが、見せ場の一つであることは間違いないだろう。そして、8世紀には、現在のケララ州もまた大タミル語地域の一部だったことを覚えておいても良いかもしれない。

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投稿者 Periplo : 21:13 : カテゴリー バブルねたtamil so many cups of chai
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2015年03月21日

資料系アップデート:1503-2

cvPrideOfTC.jpgPride of Tamil Cinema 1931 - 2013
Tamil Films That Have Earned National and International Recognition

著者:G Dhananjayan
版元:Blue Ocean Publishers
発行:2014年
版型:A4版
頁数:594ページ(巻頭緒言頁を除いた数字)
主な販売サイト:bagchee.com ほか
定価:Rs.1500-(インド国内)、$29.25-(インド国外)、¥2325-(Kindleのebook)

2011年に刊行された The Best of Tamil Cinema 1931 to 2010 の続編というか何と言うか、の大型本。著者は同じゴーヴィンド・ダナンジャヤン。

前著では、名作であり、かつ商業的にヒットした作品という観点から232本が紹介された。本書では賞などで質的に評価された作品をセレクトしたと聞いていたのでさぞや薄い本なのだろうと思っていたら、600ページ近いものが届いて吃驚。ちなみに国家映画賞の作品賞を受賞したタミル映画は、これまでに Malaikkallan (1954) と Kanchivaram (2008) の僅か2本なのだそうだ。

著者へのインタビューによれば、前著を上梓した際に、(充分予想できることだが)なぜあれが入っていない、どういう基準で選んだのじゃetc.の批判が多かったのだそうだ。従って本書では、さらにすっぱりとした掲載基準を掲げた。1954年に設けられた国家映画賞の何らかの部門で受賞した作品、およびインド国際映画祭(IFFI)で1972年から始まった「インディアン・パノラマ」部門で上映された作品、米アカデミー賞外国語映画部門に出品された作品を取り上げる、というもの。また1954年以前のものに関しては、映画史家などの助言を得て前著から35本分を転載した。一方、興業的に振るわず、賞関係で無冠であっても優れた作品というのも、もちろん存在する。しかし選定基準にこだわる本書ではそれに言及することはあえて行わなかったという。

作品紹介の形式は前著とほぼ同じで、キャスト・スタッフ、センサー認証、ランタイム、タイトル英語訳、詳細シノプシス、映像作家略歴、その他のトリビアなどからなる。スチル写真も相変わらず豊富。国家によって認められた映画というと、なにやら辛気臭いアートもののオンパレードとなりそうな予感もしたが、たとえば Jeans [邦題:ジーンズ] (1998) なんてのまで入ってて(これはアカデミー賞外国語部門エントリー)、やっぱりタミル映画はどこまでもタミル映画なのだった。そして個人的には、バーラティラージャーの最高傑作だと思っている Karuthamma (1994) に光が当てられて溜飲を下げた。

上記のような選定基準から、前著との被りは不可避で、紹介の203本のうち91本までもが前著からの流用(スペース圧縮のための編集・リライトが若干あるようだが)となっている。

まあ、ダブりについては許す。しかし問題なのは、例によって索引がないこと、それからシノプシスの記述に誤りが多すぎること。

前著にあってのけぞった Autograph (2004) の粗筋での誤認は、本書の流用文中でも訂正されていなかった。他にも、座右において実際に鑑賞しながら目を通すと、どうしても看過できない誤りがちらほら見られる。映画の粗筋書きってのは一人でやるとどうしても勘違いが生じる、ちゃんとしたチェッカーを立てないと正確に記述できないってのは、プロの物書き・編集者なら常識なんだけど、インドの大らかすぎる出版業界人には無理な注文なのだろうか。

という感じに、問題含みではあるものの、やはり貴重な一冊であることには変わりない。厳密さや学術的正確さにこだわっているといつまでも本は出ないものだ。ダナンジャヤン氏のこのカジュアルさを見習って、是非ともテルグ、カンナダ、マラヤーラム映画についても同様な本を出す人が現れて欲しいもんである。

投稿者 Periplo : 23:39 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年03月08日

資料系アップデート:1503

合理主義(訳注:無神論をベースにした社会改革思想)運動のようなものを持つことができたというのは素晴らしい。それはまさに後進性の中から立ち上がってきたのだ。それは皆の心を開いたのだ。それは皆をある特定の流儀で思考するようにしむけた。それは何を信じるかを決めるのを助けてくれた。自分が成長する過程で大変に重要だったことがふたつある。ドラヴィダ民族運動―非常に力強い運動だった―の考え方、そして映画というメディアのもつ可能性の増大だ。それは本当に魅力的なものだった。現在ですら、タミル・ナードゥの未来を築こうとしていた白いドーティーとシャツとストール(thundu)の男たちは魅力的に見える。そして、そこにはこのきらびやかな映画界がある。ある意味では映画界が政治運動の種を蒔いているのだ。(P.163、Iruvar についての章より)

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別に新刊でもなんでもないのだけれど、東京でマニ・ラトナムの旧作上映があり、感慨とともに引っ張り出してきた。

cvManiRatnam.jpgConversations With Mani Ratnam

著者:Baradwaj Rangan
版元:Penguin Books India
発行:2012年(初版)※現在は改版され、若干増ページし、値段も上がっている模様。
版型:A5版
頁数:305
主な販売サイト:Amazon.co.jp ほか
定価:Rs.799-(インド国内)
コンテンツ要約:版元サイト上にあり
掲載図版数:モノクロ約150点、カラー42点

300ページ超、デビュー作から出版時点での最新作(Raavan / Raavanan)までの全作品について、ほぼ一作一章を割いて語りつくすという、在世中の映像作家についての本としては、インドでは破格な一冊。

インタビュアーのバラドワージ・ランガンは、The Hindu 紙の副編集長だが、映画評論家としての方が通りがよいだろう。タミル、ヒンディー、外国映画と、縦横に評論活動を展開している。このランガンもマニ・ラトナムも、バリバリのタミル人のはずだが、どうやら本書のインタビューは基本的に英語で行われたようだ。映画や文芸作品を味わえるだけのタミル語を知っている、しかしモノを考えるのは英語がデフォルト、というタミルの(というか、タミル語をそれぞれの地方語に置き換えればインド全般の)知識人の典型のような二人だ。

ランガンは、礼儀をわきまえ自分からの発言を抑制するタイプのインタビュアーでは全然なく、どちらかといえばオタクっぽく、あそこはなぜああなったのか、ここはこうしたほうが良かったのではないのか、などなど、かなり青臭い質問を連発する。対する巨匠マニは、あるところではのらくらかわしたり、別のところでは聞かれていない部分まで詳細に説明したり、こちらも口数が多い。なので、大変に読み応えのあるものとなっている。ただし、インテリの二人の間に無言の協約のようなものでもあったのだろうか、スターに関するゴシップは最小限に抑えられている。各作品のキャストが決まるまでのあれこれのいきさつなどは、ウィキペディアの各作品エントリーの方が詳しいぐらいだ。

日本でのマニ・ラトナムは、作家性と社会性の金字塔のように語られることが多い。しかし、ランガンにとって、1980年代後半に脚光を浴び始めた頃のマニは、最新の若者風俗を初めてスクリーン上に映し出した、ナウでヤングな新進監督だったという。そして、神話を翻案した悲劇からドタバタ・コメディーまで幅広い作品群に通低する陰のテーマは、”nallavana-kettavana?"(この男は善人なのか悪人なのか)であるという。

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この3月に東京の国立フィルムセンターで Roja [邦題:ロージャー] (Tamil - 1992)、Bombay [邦題:ボンベイ] (Tamil - 1995)、Iruvar [邦題:ザ・デュオ] (Tamil - 1997)、Kannathil Muthamittal [邦題:頬にキス] (Tamil -2002) の4作がリバイバル上映されたので、これらに関して語られた章からちょっとだけ紹介したい。

【Roja について】 (16ページ分)
■タイトルのロージャー(=Rose)は、もちろんヒロインの名前であるが、美しくかつ棘持つ植物の名前にカシミールを重ね合わせる意図があったのだという。
■囚われの夫を救おうと奔走する妻の物語は、マハーバーラタなどの神話に現れるサーヴィトリーのエピソードから想を得たものだという。
■老人の群舞によって観客を驚かせたソングシーン♪Rukumani だが、マニは「田舎に行けば老人が群れているのは当たり前」と、大層クール。
■初期のマニらしいやりすぎ感のある燃える国旗のシーンについて、現実にあのような状況に自分が置かれたら、主人公と同じことをするかどうかは分からないが、少なくともやりたいと思うに違いない、と述べている。

【Bombay について】 (17ページ分)
■(検閲で揉めに揉めた本作に関して)マドラスのセンサーは責任を取りたがらず、決定をボンベイの総局に預けてしまった。そのため、マハーラーシュトラの州選挙と時期が被ったこともあり、認証プロセスはより一層時間のかかるものになった。
■構想の段階では、暴動の最中に親と離れ離れになってしまった二人の子供を描く、マラヤーラム語の低予算作品になるはずだった。
■マニーシャー・コイララのように、タミル語が母語ではない俳優を使って、良い演技を引き出すためには、最初に彼らの母語で台詞を言わせてみることもある。
■ヒーローとヒロインの想いがひとつになる心象風景を描いたソング ♪Uyire Uyire の撮影に当たっては、振付師の手を借りることはなかった。他の作品では、振付師ではなく、ファイト・マスターにアシストをさせたこともある。
■ヒーローの父、旧弊なヒンドゥー教徒のナーラーヤナ・ピッライ役にナーサルを、ヒロインの父、これまた保守的なムスリムのバシール役にキッティ(ラージャー・クリシュナムールティ)をキャスティングしたのは、意図的なものである。

【Iruvar について】 (20ページ分)
■本作の構想は、Bombay をマラヤーラム映画として作る計画だった時点で、マラヤーラム文学者MTヴァースデーヴァン・ナーイルと会話する中で芽ばえたものなのだという。
■時に時代考証のズレを指摘されることもある本作だが、マニはそのことについては充分承知していた。「もしも我々があの時代に行ったとしたら、どんなものを欲するだろうか」という視点から構築された、現代的なコンテクストと感性による映画なのだ。
■本作において初めて、マニの鉄道趣味が大爆発した。
■本作には台詞が途中で途切れてBGMが挿入されるシーンが二つある。アーナンダンの大臣ポストの要求を退けたタミルセルヴァムを、第二夫人のラマニが非難する海岸のシーン。それから、ヴェールタンビの死後の追悼集会で演説するアーナンダンをカメラが周回しながら捕らえる長回しシーン。どちらも検閲によって台詞を削るように要求された箇所だという。
■本作のソングは、全曲が、いわゆるインド映画の挿入歌とは違う性格で組み込まれている。俳優を職業とする登場人物が仕事として携わっている、映画挿入歌の撮影風景とその成果なのだ。

【Kannathil Muthamittal について】 (22ページ分)
■この章では珍しく作品自体から離れて、マニ作品におけるソングとは何かという議論に多くが割かれている。「ソングのないストレートな映画を撮りたい」という意思をしばしば表明するといわれているマニだが、本書中ではそれに類した台詞は口にしていない。「ソングは巨大なツールだ、適切に用いるならばその効果は計り知れない」「しかしナラティブに対するポーズボタンとして機能させる(ソング終了後にナラティブが再びソング前に戻る)のは感心できない」「ソングはむしろクリエイティブな息継ぎとでも言うべきものだ」「それはドラマ部分を支配するロジックを打ち壊しながら、映像・音・歌詞といった複数のレイヤーによって抽象的な表現を可能にする」「このようなツールを使わずに映画作りをしたいと欲望しても、イライヤラージャーやARラフマーンといった才能がそこに居る幸運の前ではソングを入れないことは難しい」
■脚本を書く段階で、すでにソングに関する構想も練りはじめている。
■デビュー作の Pallavi Anupallavi (Kannada - 1983) では、プラブ・デーヴァの父であるスンダラム・マスターに振り付けを頼んだが、旧来型の職人である彼とは最初は全く意見が合わなかった。しかし最後に彼は、リアリズムの延長上にダンスを構築するという試みを理解してくれた。
■本作の骨子は、雑誌に掲載されていた実話に基づく。米国人の夫婦の養子となったフィリピン人の少女が、生物学的な母親を探してフィリピンに行ったという話だった。記事を最初に見つけたのは妻のスハーシニで、マニは最初スハーシニに対して映画にして撮ってみてはどうかと提案した。
■タイトルはバーラティヤール(スブラマニヤ・バーラティ)の有名な「Chinnanchiru Kiliye Kannamma」からとられている。
■本作中、俳優をカメラに収めたシーンで、スリランカで撮影されたものは一切ない。

下世話な話は極力抑えられているとはいうものの、実作品を見てさえいれば、本書はかなり面白い。しかし当網站筆者が本書を発売と同時に息せき切って購入したのは、ひとえに Thalapathy [邦題:頭目/ダラパティ] (Tamil - 1991) にまつわるこの問題について知りたかったから。これについては本書の108ページに返答らしきものが書かれているのだが、はっきり言って承服しがたい。「巨匠の嘘つき!」と思わず叫んじまったのだった。

投稿者 Periplo : 12:08 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年03月01日

3月のタミル映画上映

主演のシヴァカールティケーヤン、グラサンしてるとヴィジャイに空目する。グラサン外すとヴィジャイ・イェースダースにクリソツ。困った奴だ。

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Kaaki Sattai (Tamil - 2015) Dir. R S Durai Senthilkumar

原題: காக்கி சட்டை
タイトルの意味: kakhi shirt (=police uniform)
タイトルのゆれ: Kaakki Sattai, Kakki Sattai, Kakki Chattai, Kaakhi Shattai, etc.
※なおカマル・ハーサン主演で1985年の同名作があるが、本作はこれのリメイクではない模様。また、Taana は撮影中の仮称。

Cast:Sivarajkumar, Sri Divya, Prabhu Ganesan, Vijay Raaz, Manobala, Vidyullekha Raman, Imman Annachi, Kalpana, Nagineedu, Yog Japee, Yuvina Parthavi, etc.

Music:Anirudh Ravichander

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/KaakiSattaiMovie
公式トレーラー:http://youtu.be/leCsVj8SKyk
全曲ジュークボックス:http://youtu.be/e95tLiyxpcA?list=PLtDW0XO4GzxiWTpjPlrZ8FWjvEkKMKVZz

■日時:2015年2月7日、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2500円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約157分、途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

※当日券の購入および予約の代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。13:00から受付開始。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/02/kaaki-sattai-tamil-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。同頁の注意書きも参照しておいて下さい。

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【粗筋】
マディマーラン(Sivakarthikeyan)は新米の巡査だったか、その子供っぽい見かけと態度から、誰からも重く扱われることがなかった。さらに彼は、権力と金に弱い警察の実態を目にして幻滅もする。その毎日は、定刻の出勤と退出の無気力な繰り返しだった。ある日彼は仕事で病院を警備することになり、そこで看護婦として働くディヴィヤー(Sri Divya)に一目惚れする。同じ頃、多数の病院を網の目のように結ぶ、非合法臓器売買のネットワークの存在を知り、埋もれかけていた正義感を取り戻して、捜査に取り組むことになる。

その他の登場人物
上司のインスペクター・サティヤムールティ:Prabu Ganesan
臓器売買の元締めドゥライ:Vijay Raaz
シンガペルマール、越境労働者の周旋人でドゥライの父:Naagineedu
マディマーランの母:Kalpana
大型私立病院の院長デーヴァサガーヤム:Yog Jaypee
同僚の巡査サマラサム:Imman Annachi

【釣り書き】
先日上映した Anegan のスターであるダヌシュがプロデュースし、新進スターのシヴァカールティケーヤンが初めて警官役に挑む(タミル・スターたるもの、お巡りさんをやらないでは一人前とはいえないのだ)ということで話題の一作。

監督のドゥライ・センディルクマールはもともとヴェトリマーラン監督(ダヌシュ主演の Adukalam が有名)のアシスタントをしていた人だそうだ。本作でやっと第二作目。デビュー作はやはりダヌシュ・プロデュース&シヴァカールティケーヤン主演の Ethir Neechal (Tamil - 2013) だった。前半はチェンナイの下町コメディ、後半は一転してスポ根という不思議な作品だったが、地味なキャストにも拘わらず、ユーモラスな要素が大うけしてヒットとなった。

シヴァカールティケーヤン(ヴェトリ・タラパティ・シヴァカールティケーヤン、公式サイトはこちら)は、1985年生まれの30歳。父親は警官だったという。大学生時代から物真似とスタンダップ・コメディで人気を博していた。リアリティ・ショーで優勝したのをきっかけにTVタレントとなり、その後2012年に映画界入り。脇役も含む出演は本作でやっと8作目、最初のブレイクは上述の Ethir Neechal だった。翌年の Maan Karate (Tamil - 2014) もスマッシュヒット。どちらも、ユーモア成分の勝った、一風変わった(そんなのありか!も含む)スポ根系映画だった。本作は、お笑いコップものとしてスタートするようなのだが、やがてそこに臓器売買マフィアとの闘い(先日上映の Yennai Arindhaal... とも共通する)というシリアスなテーマが現れる。笑える隣のアンちゃん系の(しかも踊りもそこそこイケる)タレントから、本当の意味でのヒーロー俳優になれるのかどうか、正念場に差し掛かっているのかもしれない。さらに詳しい経歴はこちら参照。

ヒロインのシュリーディヴィヤーはハイダラーバード生まれ。幼時には子役としてテルグ映画に出演していた。2010年にテルグ映画 Manasara でヒロインとしてデビュー。高く評価を受けたのは、初のタミル映画 Varuthapadatha Valibar Sangam によって。共演はシヴァカールティケーヤンだった。生年は明らかにされていないが、子役出身女優にありがちな、なんともロリロリしい容貌。しかし、芝居はしっかりしている。現在公開待ちのタミル映画 Pencil の撮影で昨年来日した(その時の映像はこちらなど)こともあり、やはり応援したい一人だ。

その他には、10年以上前に『モンスーン・ウェディング』で人気をさらったヴィジャイ・ラーズが悪役として登場するのが注目される。『チャンドラムキ』でラジニの友人役だったプラブ・ガネーシャンは文字通りに重みを添えているらしい。『あなたがいてこそ』でキョーフの御館様を演じたナーギニードゥ、コメディエンヌとして注目度ナンバー・ワンの可愛いヴィディユレーカーお嬢ちゃんなどなど、脇役も色々と楽しみ。

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投稿者 Periplo : 12:53 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年02月06日

【時刻微妙に変更】2月のタミル映画上映:その2

20世紀のタミリアン・ドリームがMGRとラジニなら、21世紀はこのアンちゃんに違いない。踊るタガメ君ことダヌシュの登場。
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Anegan (Tamil - 2015) Dir. K V Anand

原題:அனேகன்
タイトルの意味:not one person, but many(監督自身の説明による)、また別の記事では the presence of God in several forms in each and every place we beleive (ママ)とも。日常的に使われる語ではないようで、シャイヴァ・シッダーンタの経典中にあるもの、とこの辞書にはある。
タイトルのゆれ:Anaegan

Cast:Dhanush, Karthik, Amyra Dastur, Aishwarya Devan, Ashish Vidyarthi, Atul Kulkarni, Mukesh Tiwari, Thalaivasal Vijay, Pankaj Rajan, Vinaya Prasad, Shankar Krishnamurthy, Lena, Baby Vedhika, Rajesh Milton, Jagan, etc.

Music:Harris Jayaraj

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Anegan.Official.Page
公式トレーラー:http://youtu.be/ZuMi9YvCVxg
全曲ジュークボックス:http://youtu.be/Q2IiqLfUYgc?list=PLHuHXHyLu7BG0XlBYxpB0Bh8IDn91yGJu

■日時:2015年2月22日(日)、14:30開映(開場は12:30ごろ)、17:15ごろ終映予定
■料金:大人3000円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
こちらから申し込み、

■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約150分。途中で15分程度のインターミッションあり。また、上映前とインターミッション中にインドスナックのケータリングがある。予約はこちらから。

■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/02/anegan-tamil-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【予想される見どころ】
本作についても、公開前であるため粗筋は一切不明。英語字幕付きトレイラーを見ても何がなんだかさっぱり分からなくて素敵だ。タイトルの意味の解説からすると、異なった時間と場所で繰り広げられる複数の人生をダヌシュが演じるもののようだ。

■主演のダヌシュについて
1983年チェンナイ生まれ、31才のダヌシュは、前回のポストでちょっと書いたタミル四天王(ヴィクラム、アジット、ヴィジャイ、スーリヤ)のひと世代下。映画監督カストゥーリ・ラージャーの息子で、兄のセルヴァラーガヴァンもやはり映画監督。父の監督作 Thulluvadho Ilamai (Tamil - 2002) でデビューし、その次に主演した兄の初監督作 Kadhal Kondein (Tamil - 2003) が大ヒットして注目を浴びることになった。この作品での、暗い情動と性欲を持て余し、同時に巨大なコンプレックスを抱え込んで懊悩する若者の姿は、まさにハマリ役だった。当時の映画スターとはかけ離れた貧相な容貌(まあ今でも、スターとは認めないぞ、という人も少なくないようだ)、バネのある肢体から繰り出されるアクション、驚異的なダンス力によって、(特にロウワークラスの)若者の間である種のカルト・フィギュアになったのだ。この時期の綽名は「インドのブルース・リー」、しかし小龍を敬愛する本人はこれを迷惑がっていたという。そして、同い年生まれのシランバラーサン(シンブとも、現在の芸名はSTR)が最大のライバルとしてあった。このシンブもまた、踊りの上手いイロモノ系で、その頃の筆者は、何と言うか、ヤンキー芸人どうしの不毛な争いだよなあ、などと醒めた目で眺めていたのを覚えている。

転機のひとつは2004年のラジニカーントの長女アイシュワリヤとの結婚。ボリウッドなど他の映画界と違い、タミル映画界には「映画ロイヤルファミリー」のようなものは存在しないし、そしてアイシュワリヤ自身に際立った地位があったわけではないのだが、それにしてもこれは相当なインパクトを持った逆玉に見えた。

その次の吃驚は、Aadukalam (Tamil - 2011) によって。ここでの演技で同年の国家映画賞の最優秀主演男優賞を獲得したのだ。これは、2000年代後半に流行したネオ・リアリズム的手法をとった田舎映画の一つだったが、太陽の国であるタミルを舞台にしながら、不思議なほどの暗い霊気を帯びた画面が印象に残る佳作だった。ダヌシュの演技が何か特別なものだったとも思えないのだが、ともあれ、国家映画賞レースに加わることが割と少ないタミル映画界にとって快挙だったことは確かだ。

さらに翌年、妻アイシュワリヤの初監督作となる 3 (Tamil - 2012) に主演し、映画自体はそこそこで終わったようなのだが、自身で作詞し歌った劇中歌 ♪Why This Kolaveri Di が爆発的な大ヒット。YouTube を介したその広がりはタミル語圏を超えて全インド的なものとなり、ダヌシュの知名度もさらに上がった。もうどこで読んだかも分からなくなってしまったのだが、この曲を初めて聴いた岳父ラジニカーントは大受けして腹の皮が捩れんばかりに笑ったという。

そして、初のヒンディー語出演作となった Raanjhanaa (Hindi - 2013)。映画はヒットし、惚れた女に身も心も捧げつくしても振り向いて貰えないという特異なヒーローを演じたダヌシュは、またしてもステップアップ。ボリウッドのヒット作ということで、これまで以上に多くの日本人ファンの目にも触れることになり、ファンを自認する女性までもがちらほら現れるようになって、大げさに言うと時代の変化を感じたのだ。

そして現在本日、アミターブ・バッチャン御大と共演のヒンディー映画 Shamitabh を撮影中が公開された。現時点でまだ評価については分からない状態だが、話題作であることだけは確実だろう。

色々書いてみたけど、筆者にはまだ「スター・ダヌシュ」の魅力を説得力をもって展開させることができないでいる。ともかく言えるのは、とんでもなく運のいい奴だってこと。そして、自分の持ち味を知っていて、無理な背伸びをせずその持ち味を生かしてオフビートな領域で絶妙な成果をあげる、結構賢い奴なのではないかとも。

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■その他の出演者について
脇役の目玉は、90年代末に「タミルのトップスター」として日本のTVに登場したこともあるカールティク。ありていに言って役者としてのキャリアは近年尻すぼみで、政界での活動も今一つ、そろそろ息子(ガウタム・カールティク)のマネージャーにでもなるかね、という感じだったので、本作でどんな活躍をすることになるのか楽しみだ。

二人のヒロインについてはあまりよく分からない。上の写真左のアマイラー・ダーストゥール(本当にこう読むのか分からない、タミル文字による表記に従った/02.07追記:ダストゥールが正しい読みだとのこと、ご教示感謝)はデビュー後第二作目(タミル映画としては初)の新人、ムンバイのパールシー・コミュニティの出身だという。一方、上の写真右のアイシュワリヤ・デーヴァンは2012年にデビューして既に南印4言語に出演している、バンガロール・マラヤーリーの新進女優(ここにインタビューあり)。今のところまだヒットには恵まれていないようなのだが、本作ではどうなるか。

マラーティー映画界の知的な演技派という印象が強いアトゥル・クルカルニー(公式サイトはこちら)だが、実はカルナータカ州ベルガウム(ベラガーヴィ)の出身だと知って吃驚。ヒンディー、マラーティー、南印4言語で活躍するマルチリンガル俳優。日本では、ゲイ映画『マンゴー・スフレ』によって紹介済み。

バードシャー テルグの皇帝』での怪演も記憶に新しいアーシシュ・ヴィディヤールティも、おそらくは悪役として登場。

その他、『チャンドラムキ』に出ていたカンナダ女優ヴィナヤ・プラサード、マラヤーラム映画界でここ数年面白い活躍をしているレナ(前にちょっとだけ書いた)などなど、南インド映画界の各所から色々面白い人材を引っ張ってきていることに期待が高まる。

■KVアーナンド監督について
南インドでは幾人か名前が挙げられる、トップ・シネマトグラファーから転向した監督たちのうちの一人。撮影監督としてのデビューは、あの Thenmavin Kombathu (Malayalam - 1994) だ。この一作のためだけでもアーナンドさんには大恩を感じている。今でこそ、インド映画の映像が美麗なのは当たり前みたいになってしまったが、1994年時点でのこのを見たときにはひっくり返りそうになったものだった。さらにダメ押しで付け加えるならば、『ボス その男シヴァージ』の撮影もこの人の手になるもの。

監督デビューは Kana Kandaen (Tamil - 2005) によって。続く Ayan (Tamil - 2009) の大成功によって、ヒットメーカーと見なされるようになった。作風といっても、本作でやっと5本目でしかないので確言はできないが、生真面目で古風な倫理性に裏打ちされた世界観を土台に、娯楽的な飽きさせない映画を作る職人と言ったらいいだろうか。難解なタイトルを掲げる本作では、そこに幻想的あるいは哲学的な何物かも加わってくるのだろうか。固唾をのんで見守りたい。

投稿者 Periplo : 01:53 : カテゴリー バブルねたtamil
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2015年02月04日

【日程変更】2月のタミル映画上映:その1

タラ(=おかしら)・アジットついに見参だ!

当初予定されていた2月11日の上映はキャンセルとなった、変更日程は下記参照

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Yennai Arindhaal... (Tamil - 2015) Dir. Gautham Menon

原題: என்னை அறிந்தால்
タイトルの意味:If you know me...
タイトルのゆれ: Yennai Arindhaal, Yennai Arindhal, Ennai Arindhal, Yennai Arinthaal, etc.

Cast:Ajith Kumar, Anushka Shetty, Trisha Krishnan, Arun Vijay, Parvathy Nair, Vivek, Daniel Balaji, Thalaivasal Vijay, Amit Bhargav, Rajasimman, Devi Ajith, Baby Anikha, etc.

Music:Harris Jayaraj

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/YennaiArindhaal
公式トレーラー:http://youtu.be/B7c87SWQg-Y
全曲ジュークボックス:http://youtu.be/AnSjg8tQqmg?list=RDAnSjg8tQqmg

■1回目:2015年2月14日(土)、17:15開映、
■2回目:2015年2月15日(日)、13:00開映(開場は12:00ごろ)、17:00ごろ終映予定
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)

■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約176分とも約189分とも。真偽不明ながら189分から25分ほどカットされたという記事も見つかっている。途中で20分程度のインターミッションあり。

■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※15日の上映にあたっては別料金で12:00ごろからカレーランチ、またインターミッション中にインドスナックのケータリングあり。14日については主催者に照会中。

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
NEW!https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/01/yennai-arindhaal-tamil-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【予想される見どころ】
現状で粗筋は一切不明なので何も書かない。アクション・スリラーであるらしい。見どころのトップは、もちろん本邦初見参のアジット・クマール。ラジニとカマルハーサンを別格としたところでのタミル男優四天王の一人(他の三人は、ヴィクラム、スーリヤ、ヴィジャイ)。1971年チェンナイ生まれの43歳。1993年に主演デビューし、Aasai (1995) で初のブレイク。この時点ではまだ少年の面影の残るロマンチック・ヒーローだった。筆者は随分後になってからだが初めてアジットを見たときに、明らかにそれまでのスターと違う「くしゃ顔」にかなり感銘を受けたものだった。スタートの頃は女学生のアイドル風であったもの、その後何年かかけてアクションをメインにしたマッチョスターへと変身していった。ほぼ同じ頃にデビューしたヴィジャイとは何かにつけて比較され、ファン同士も激しいライバル意識を持っているといわれる。タミル四天王はいずれも基本はアクション俳優だが、それ以外のところで個性を打ち出しているというか棲み分けをしているというか、ヴィクラムは演技派的身体改造、スーリヤは筋肉、ヴィジャイは永遠のアンちゃんと、見た目がはっきり分かれている。このアジットはというと、40歳になった2011年の Mankatha から明らかになってくるのだが、ジョージ・クルーニー風のロマンスグレー路線をとってきたのだ。頭髪だけでなく、体についてもマイルドな中年体型を晒して特になんとも思っていないらしい。こういうスターのあり方が可能だというのも、タミル映画界の懐の深さだと思えるのだ。

既に50本を越えるフィルモグラフィーなので、筆者も全作はつぶしていないのだが、上で言及した以外では、Vaali (1999)、Villain (2002)、Varalaru (2007)、Billa (2007) あたりが重要作と考えている。上記は全てタミル映画だが、SRK主演の Asoka (Hindi - 2001) でも好演した。また、日本公開はなかったものの『マダム・イン・ニューヨーク』のタミル語版では、ヒンディー語版でアミターブ・バッチャンが演じたパートを受け持っている(ネタバレでも構わんという人のみこちら参照)。夫人は『ウェイブ』のヒロインであったシャーリニ、また2000年過ぎからはカーレーサーとしても顔も持つようになった。

ツインヒロイン(どちらがメインなのかよく分からない)のひとりアヌシュカについては、過去の上映の際に簡単に紹介した。今年はこの先にも主演作をインド系自主上映で目にすることになるのではないかと期待している。

もうひとりのヒロイン、トリシャーについては過去にこんなイメージを紹介したこともあった。モデル出身のドールフェイスのトリシャーも気がつけば31才。つい先月に婚約を発表をしたばかりだが、結婚しても女優業を辞めるつもりはないと力強く宣言もしている。タミル&テルグの錚々たる大スターとの共演作が多くあるが、入門としては、本作と同じガウタム・メーナンによるロマンス Vinnaithaandi Varuvaayaa (Tamil - 2010) での魅力爆発っぷりをご覧いただきたいと思う。

監督のガウタム・メーナンはウィキペディアによれば、ケララ生まれとのことだが、タミルナードゥで育ち、タミル・テルグ映画を送り出している、本籍タミルのトップ監督。以前ちょっと憎まれ口を書いたこともあったけど、常に注目を浴びているスター監督であることは間違いない。スーリヤが主役の警官もの Kaaka Kaaka (Tamil - 2002) の大ヒットにより、アクション路線を邁進したが、上記の Vinnaithaandi VaruvaayaaNeethaane En Ponvasantham (Tamil - 2012) では一転して現代的な心理描写に心を砕いたロマンスものに取り組んで、やはりヒットとしている。二時間半超えとなる本作では、もしかしたらアクションとロマンスの両方を取り込んだものになるのだろうか。根拠はないのだが、スチル写真などからそんな想像をしてしまう。

音楽のハーリス・ジャヤラージは2001年から活動している中堅MD。タミル人のMDに好まれる古典や民俗の要素の取り入れがあまりなく(Anniyan のような例外もあるが)、どこまでもポップな音作りでヒットを飛ばし続けてきた。ガウタム・メーナンと組んだ上記の Kaaka Kaaka のサントラなど、10年以上経った今聴いても恥ずかしカッコよくて痺れる。

悪役(?)を演じるアルン・ヴィジャイは、名優ヴィジャヤクマールの息子だという。こちらも楽しみ。
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なお、「2月のタミル映画上映:その2」も既に発表されて予約受付中である。2月22日、ダヌシュ主演の Anegan だ。上映団体が違うので注意。 申し込みはこちらから。近日中に当網站でも簡単な案内をアップする予定。

投稿者 Periplo : 01:07 : カテゴリー バブルねたtamil so many cups of chai
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2014年12月11日

12月のタミル映画上映:その2

ラジニカーント最新作上映ついに決定!在日印度人パワーを甘く見ちゃあいかんぜ。
12月12日追記:大好評につき13:00の上映は満員御礼、急遽同日の第二回目上映が決まった。下記を参照。

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Lingaa (Tamil - 2014) Dir. K S Ravikumar

原題:லிங்கா

Cast:Rajinikanth, Sonakshi Simha, Anushka Shetty, Santhanam, Karunakaran, Jagapati Babu, Dev Gill, Brahmanandam, Radha Ravi, Vijayakumar, Nizhalgal Ravi, R Sundarrajan, Manobala, Ilavarasu, Ponvannan, K Viswanath, "Dhadi" Balaji, Anu Mohan, Falk Columbo, Crane Manohar, Lauren J Irwin, William Orendorff, Prabhu Ganesan (Cameo appearance), etc.

Music:A R Rahman

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/LingaaTheMovie
公式トレーラーhttp://youtu.be/vL-c_RtYkBE

■日時:2014年12月21日(日)、13:00開映(受付開始は12:00ごろ)、16:00ごろ終映予定(12月12日時点で満席)
■追加上映は17:15開映(受付開始は16:30ごろ)、20:45ごろ終映予定(詳細はこちらを参照)
■料金:3000円(振込みによる前払いの場合2500円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約175分、途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で11:00からカレーランチ、またインターミッション中にインドスナックのケータリングあり。

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■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/12/lingaa-tamil-2014.html
※主要レビューについては12月12日の現地公開の後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。今回から予約には会員登録が必要となりました。これまでにCelluloidからメールを受け取ったことがある人は、電子メールアドレスのみが登録された状態になっているようです。その場合は「forgot password」の手続きをとって、ログイン用のパスワードを受領してください。

【予想される見どころ】
気になるところはもちろん多々あるのだけれど、ちょっと個人的事情があって、いつもみたいにクドクド書けない。っていうか、『ムトゥ』の主演男優、『ムトゥ』の監督、『ムトゥ』の音楽監督、これ以上何を言う必要がある???

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あ、もちろんソーナークシー&アヌシュカー・シェッティの豪華ツインヒロインを忘れちゃあいけねえ。

投稿者 Periplo : 20:00 : カテゴリー バブルねたtamil
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2014年12月02日

12月のタミル映画上映

こんな絵だし、喋ってるのも(部分的に)日本語らしいんだけど、これでもタミル映画。めまぐるしいが、今度はテルグ映画上映団体による川口スキップシティでのタミル映画上映イベント。

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Aaaah (Tamil - 2014) Dir. Hari Shankar & Hareesh Narayan

原題:ஆ

Cast :Gokulnath, Meghna, Bala Saravanan,Bobby Simha, M S Bhaskar,Bosskey, P S Srijith, Gaana Bala, 間瀬富未子, タケヒロ・シラガ, ノリ・カトウ,etc.

公式サイトhttp://www.aaaahmovie.com/
公式トレーラーhttp://youtu.be/IEj0lsEo0B8

■日時:2014年12月6日、18:00開映
■料金:大人2000円(前売り1800円)、5-15歳の子供1200円(前売り1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:ブルーレイ
■上映時間:ネット情報によれば約114分(インターミッションはなし)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケットに関しては、主催者公式サイトを参照のこと
※別料金で上映前(17:00~)にインドスナック・軽食のケータリングあり。上映後のテイクアウトも可能。
※なお、終映は20:00頃と主催者はいってるものの、ずれ込む可能性もあり。バスの便についてはこちら参照、バス停位置についてはこちら参照。

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
NEW!https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/12/aaaah-tamil-2014.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Aaaah ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

Aaaah10.jpg

【ざっくりとした粗筋】
久しぶりに再会した学生時代の旧友3人(Gokulnath, Meghna, Bala Saravanan) が、霊は実在するのかを探求して世界を回る。舞台はドバイ、日本(東京)、ベンガル湾上の大海原、アーンドラ・プラデーシュ州の高速道路上、そしてタミル・ナードゥ州のどこかにある孤立したATMブース。

【見どころ予想】
5つの短編からなる、タミル映画としては初のホラー・オムニバス。そのうちの一編は東京を舞台にしている。すんません、それ以外は全く予備知識ないっす。一般的なことをいうと、ジャンル映画化がボリウッドほど進んでいないといわれるサウスで、ホラーだけはここ2,3年でぐっと製作本数が増えている状況がある。なかでもタミル映画界は Pizza (Tamil - 2012) の大化けヒット以来、加速度がついている様子。一方で、伝統的にホラーを多数生み出してきたマラヤーラム映画だけが、なぜかその波をかぶらず音なしの構えというのが不思議でもある。ホラー映画の特徴は、初めからファミリー客を当てにせず、脚本主義&低予算でフレキシブルに作ってもアタリが期待できるというところにあるだろうか。

本作の監督ハリ・シャンカルとハリーシュ・ナラーヤンのコンビは、Orr Eravuu (Tamil - 2010) でインディーズ・デビュー、続く Ambuli 3D (Tamil - 2012) とともにホラー作品。先月末に封切られた本作の次には、つい先日まで富山県でロケを行っていた Jumbo 3D が控えている。いずれの作品でもキャストにはスターらしいスターも見当たらず、けれど重複する名前が結構目につき、どうやらハリ&ハリーシュ・ギャングみたいなもので作り続けているようなのだ。本作のヒーロー(でいいのだろうか、ともかく一番目立ってる)であるゴークルナートについても、ネット上のバイオグラフィーといったらこれぐらい。リアリティ・ショー出身の人であるようだ。一方で、ゴークル君と日本のかかわりについてはここまで調べてくれてる人がいて、感服するしかない。キャスト中で一番名前が知られている出演者が、脇役俳優として活躍しているMSバースカルというあたりにも、本作のインディ魂がうかがい知れる。個人的にはこの剛毛&縮れ毛の女優さん(まだ名前がわからない/追記:メーガナ・ムケーシュさんどのこと、@bonobono1000 さんの情報提供に感謝)の佇まいにゾクゾクするものを感じている。日本人出演者では、間瀬富未子さん(撮影の様子をこちらこちらにアップしていてくれる)演じる看護婦さんに期待。

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舞台がなぜ東京なのかというと、ハリーシュが『リング』が好きだから、というわかりやすい理由だそうだ(こちら参照)。

投稿者 Periplo : 19:49 : カテゴリー バブルねたtamil
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2014年11月20日

11月のタミル映画上映:その2

ダーダーサーヘブ・ファールケーがインド映画の父であるならば、大衆演劇こそがインド映画の母ではなかったか。「踊らないインド映画」がキテる!とか、いやいや「No Dance, No Cinema」じゃ!などと賑やかな議論がされている昨今だが、インド映画がどこからやってきたのかを見せてくれるだろうこの作品を鑑賞して考えを巡らせるのも悪くないのではないか。

今度はマラヤーラム映画上映団体によるタミル映画の新作上映。

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Kaaviya Thalaivan (Tamil - 2014) Dir. Vasanthabalan

原題: காவியத்தலைவன்
タイトルの意味: Epic Leader
タイトルのゆれ: Kaviya Thalaivan, Kavya Thalaivan, Kaaviyathalaivan, etc.

Cast: Siddharth, Prithviraj, Vedhicka, Anaika Soti, Nassar, Thambi Ramaiah, Ponvannan, Babu Antony, Singampuli, Mansoor Ali Khan, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/kaaviyathalaivanthemovie
公式トレーラーhttp://youtu.be/ia3dOZf8h2M
ジュークボックスhttp://youtu.be/idZ-5amTsHA?list=PLR4czbB8dznwb6GmKME6Yg9qewDyiARKw
※ただし全曲ではない。発売されているオーディオCDには14曲が収録されているとのこと。

■日時:2014年11月30日、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2500円(振込みによる前払いの場合2200円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約170分、途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

※当日券の購入および予約の代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。受付開始は13:20ごろから。上映は14:00きっかりにスタートする。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考プレビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/11/kaaviya-thalaivan-tamil-2014.html※主要レビューについては11月28日の現地公開の後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。同頁の注意書きも参照しておいて下さい。

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【ざっくりとしたストーリー】
なにぶんインドでの公開もこれからなので、レビューなどから粗筋を推し量ることができない。1930年代のタミル南部マドゥライ地方を舞台に、民衆演劇の世界に生きる二人のバーガヴァタル(多様な含意をもつ言葉だが、ここでは看板を背負う程度に実力のある舞台俳優というぐらいの意味で使われている)のライバル関係、女優たちとの恋模様、英国からの独立運動との係わりなどを描くものと予想される。

【みどころ予想】
タミル・ニューウェーブなどという言葉も過去のものとなりそうな昨今だが、2000年代後半からのニューウェーブのうねりの中、寡作ながら衝撃的な作品を送り出してきたヴァサンタバーラン監督の新作として期待が高まる。デビュー作だった Albam (Tamil - 2002) は筆者は未見だが、以降のものはどれも1回観ただけで脳裏に焼き付けられるような深く激烈なドラマと鮮やかなビジュアルを併せ持っていた。Veyyil (Tamil - 2006) では、監督自身の出身地でもあるタミル南部地方の封建的な風土の中でもがく人々を描き、続く Angaadi Theru (Tamil - 2010) では、一転してチェンナイの大型アパレル店で働く集団就職の男女を取り上げた。現時点での最新作 Aravaan (Tamil - 2012) では、いわゆる「マドゥライ映画」を古代的な背景(といっても設定は18世紀なのだが)の中で語る試みとしか思えないものを行った。いずれの作品も、余りにも過酷な共同体のシステムの前にただ独りで立ち向かわざる得なくなった個人の運命を、リアリズムの中に描いたもの。今回は打ってかわって華やかな演劇の世界を舞台にしている。極彩色でありながらノスタルジックでもあるこの魅力的なビジュアルの中で、どのようなドラマを展開しようとしているのか。現地のポスターの惹句には、’an A. R. Rahman musical’ とあることからも、盛りだくさんのステージシーンやソングシーンが期待できそうだ。

それからヴァサンタバーランと共同でストーリー・脚本を担当するジャヤモーハンにも注目したい。インド最南端のナーガルコーイルの出身で、タミル語とマラヤーラム語で書くバイリンガル作家。凄烈で激情的なタミル映画と、内向的・内省的なマラヤーラム映画との両方で秀作を生み出している異才だ。

音楽担当のARラフマーンについてはさすがにもう説明不要だと思う。時代物かつフォークものというのはARRにとっても初めての挑戦となるのではないか。当代のヒットメーカーだったマドゥラカーヴィ・バースカラダース (1892-1952)の楽曲などが巧みにアレンジされているという。8月のオーディオ・リリースにあたっては大変に好意的なレビュー(こちらなど参照)に恵まれ、セールスでも好成績を挙げているようだ。

【主要キャスト】 僅かなプレビューから書いているので実作品と相違していたらご容赦を。
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■タライヴァンコーッタイ・カーリヤッパー・バーガヴァタル:シッダールト
主人公、架空の人物。トラヴァンコール藩王国のシェンゴーッタイ生まれの天才役者で、1933年に27歳でその生涯を終えたSGキッタッパーをモデルとしているとの噂があったが、監督はそれを否定した上で、なおかつキッタッパーとシッダールトの容貌の相似にインスピレーションを受けたと語っている(こちら参照)。演じるシッダールトは、『バードシャー テルグの皇帝』での短いゲスト出演しか日本での公開がないのに、ボリウッドファンにもサウスファンにも等しく人気がある稀有なスター。昨年はロケで来日して旋風を巻き起こした(その成果はこちらこちらで見られる)。マニ・ラトナム監督のアシスタントから出発して、シャンカル監督の Boys (Tamil - 2003) で主演に抜擢されたシッドゥ君は、Rang De Basanthi (Hindi - 2006) でボリウッドにもインパクトを残し、その後しばらくテルグ映画に専心して、マッチョヒーローが席巻するトリウッドで独自の地位を築いた。多くの作品で新進監督と組み、意見を交わしながら映画作りに参画することで有名。昨年あたりから再びタミル映画界に本拠地を戻したようでもである。
■メーラチーヴァルペーリ・ゴーマティ・ナーヤガム・ピッライ:プリトヴィラージ
主人公の同僚かつライバルである俳優、架空の人物。ネガティブな影を帯びた役柄らしい。性格俳優として知られたスクマーランの次男プリトヴィラージはマラヤーラム映画界の若手トップスターの一人(しばらく前までは唯一無二の若手スターとみなされていたが、ここ数年で若干勢力地図が変わりつつある、しかし重要な一角を占めていることに変わりはない)。母のマッリカ、兄のインドラジトも俳優という芸能一家の一員。日本での公開作品は『秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男』。マラヤーラム映画が中心だが、タミル映画、ヒンディー映画にも若干の出演作がある。当網站ではぴぃ君にこれまでかなり厳しいことを書いてきたが、その筆者でも認めざるを得ないのは、悪役的なキャラクターをやらせるとかなり迫力があるということ。なので本作でどのような芝居を見せてくれるのかが楽しみだ。Kana Kandaen (Tamil - 2005)、Vaasthavam (Malayalam - 2006) などが悪キャラ系の代表作。
■ニャーナコーキラム・ヴァディヴァーンパーリ:ヴェーディカー
舞台女優。舞台と映画で活躍した実在の名女優、KBスンダラーンバールがモデルであるという。このKBS、映画好きにとっては1950年代の神話映画での女性バクティ歌人アウヴァイヤールのイメージが強烈だが、1927年に舞台女優としてデビューしてその歌唱と美貌とで大人気を博した人だったという。上述のSGキッタッパーとのロマンス(こちら参照)は当時の芸能界での大いなる語り草であったらしい。演じるヴェーディカーは北カルナータカのソッラープラ出身。タミル映画を中心に、南インド4言語の作品に出演してきた。これまでの代表作は批評家から高い評価を得た Paradesi (Tamil - 2013)。
■タヴァティル・シヴァダース・スワミガル:ナーサル
カーリヤッパーとゴーマティが所属する劇団のヴァーッティヤール(座長)。このキャラクターにもモデルがあり、タミル演劇の父と称されるシャンカラダース・スワーミガルという人なのだそうだ。『ザ・デュオ』、『ロージャー』『ボンベイ』など、一連のマニ・ラトナム監督作やラジニ映画、最近では『バードシャー テルグの皇帝』が日本で公開されているナーサルが、ここでも渋い演技を見せてくれそうだ。

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【カンパニー・ドラマとは何か】
カンパニー・ドラマとは、今日のタミル・ナードゥを中心とした地方(特に南部タミルのマドゥライが中心地だったという)で19世紀末から起こり、20世紀の初頭には大衆娯楽の王座を占めた演劇の総称。各劇団はカンパニーと呼ばれ、また劇団が本拠地をもたず旅回りで成り立っている場合は、ツーリング・カンパニー(巡回演劇団)と称された。このジャンルは、同時期のボンベイで盛んだったパールシー・シアターやマラーティー語によるカンパニー・ドラマなどとも相互に影響し合ってレパートリーを広げていった。多くの場合、題材となるのはヒンドゥー教の神話のエピソードで、その語りのスタイルは、多数の楽曲の数珠つなぎの合間に台詞や剣戟が入るというものだった。カンパニー・ドラマは上層階級から蔑まれたジャンルではあったが、ヴァーッティヤール(本来の意味は教師)の名前で呼ばれた座長は、一座を取り仕切るだけでなく、脚本を書き、演出を手がけ、作曲し、俳優の訓練も行う総合プロデューサーで、神話を中心とした文芸に通じた教養人でもあった。コメディアンを含む俳優たちに何よりもまず求められたのは歌唱力で、花形俳優であることは、すなわち名歌手であることだった。ヴァーッティヤールのもとで共同生活を営むのが普通であったカンパニーには、少年だけで構成されるもの(ボーイズ・カンパニー)、女性だけのものなど、演じ手に特色を打ち出しているものもあった。

カンパニー・ドラマは、政治的な色彩を帯びることも多かった。1919年のジャリヤーンワーラー・バーグの虐殺事件の後、英国政庁は印刷メディアへの検閲を強めていくが、大衆演劇への監視は比較的緩かった。そのため、多数ある劇中挿入歌の一部にナショナリスト的主張が込められたものが混ざることも少なくなかった。

初のタミル語トーキー映画は1931年の Kalidas だったが、キャスト・スタッフにはカンパニー・ドラマ出身者が多く名前を連ねた。映画作品自体が、劇場の客席にカメラを固定して、劇の一部始終を撮影した記録映像とさほど変わらなかったのである。誕生したばかりのエンターテインメントである映画は、人材を演劇界からスカウトするしかなかったのだ。やがてトーキーは、映画としての独自の文法を獲得していくことになるのだが、映画製作の現場での演劇人の席巻はその後もかなり長く続く。1950年代に台頭し、男優中心の今日の南インド映画界の構図を決定づけたMGR、シヴァージ・ガネーシャン、ANR、ラージクマールといった巨大明星たちも、皆カンパニー・ドラマのバーガヴァタル(こちらなども参照)出身だった。ラジニカーントやチランジーヴィといった1970年代からの大スター以前の映画人は、かなりの部分が演劇界とのかかわりをもつ人々だったのである。

【演劇芸道ものの世界】
インド映画には、「芸道もの」としか呼びようのない一群の作品が明らかに存在する。にも拘わらず、筆者はこれまでにインド映画評論のなかで「芸道もの」に相当する言葉を目にしたことがない。たいていの場合「musical」と大雑把に括られているだけなのだ。芸道ものの王道は古典音楽、それも声楽を扱ったものと言っていいだろう。しかし数は少ないものの、演劇人を主人公にした芸道ものも存在し、どういう訳かどれもこれも秀作揃い。シヴァージ・ガネーシャン主演で、本作と同じくタミルの大衆演劇を背景にした Rajapart Rangadurai (Tamil - 1973)、堅気の男と結婚し幸せを掴もうとして挫折した女優の物語 Ranganayaki (Kannada - 1981)、レコード・ダンスと呼ばれる特異な芸能に携わる人々の人間模様が楽しい Sri Kanaka Mahalaxmi Recording Dance Troop (Telugu - 1988)、マハーラーシュトラの大衆演劇タマーシャーを志した男の苦難の数々を描く Natrang (Marathi - 2010)、ケララのコミュニズム演劇の世界の年代記 Nadan (Malayalam - 2013)、変わったところではアングロ・インディアンのシェイクスピア劇団を題材とした Shekspear Wallah [邦題:インドのシェイクスピア] (English - 1965) などなど。

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投稿者 Periplo : 21:43 : カテゴリー バブルねたtamil
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2014年11月09日

11月のタミル映画上映

ともかく水道管と爺さんたちがすごいらしい。

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当初11月15日上映ということで告知がされていたが、1週間をきったところで、まさかの(というかお家芸の)日程変更。11月23日となった。旧日程で入っていた予約はそのままスライドされるとのこと。

Kaththi (Tamil - 2014) Dir. A R Murgadoss

原題:கத்தி
タイトルの意味:knife

Cast : Vijay, Samantha Ruth Prabhu, Neil Nitin Mukesh, Tota Roy Chowdhury, Sathish, R Ravi, Rupesh Gupta, Veera Santhanam, Sreerag Nambiar, Sayaji Shinde, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/Kaththimovie
公式トレーラーhttp://youtu.be/bMf0IyzyKt4
全曲ジュークボックスhttp://youtu.be/FHPcU49i-DI

■日時:2014年11月23日、13:00開映(16:00ごろ終映予定)
■料金:大人2200円(前売り2000円)、5-15歳の子供1200円(前売り1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約166分、途中で20分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケットに関しては、主催者公式サイトを参照のこと
※別料金でインド料理ケータリングあり(上映前ランチとインターミッション中のスナック)

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/11/kaththi-tamil-2014.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Kaththi ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。
※大人気タミル映画なので、満席になる可能性もあります。今回に限り、予約は必須と考えた方がよいでしょう。

【ストーリー】
日本語で詳しく書いてくれているカーヴェリ川長治さんむんむんさんのレビューを参照。

【みどころ予想】
一昨年末に東京で上映して大反響だった Thuppakki (Tamil - 2012) に続くヴィジャイ+ムルガダース監督のコンビによる最新作。もちろんヴィジャイの新作というだけでも大騒ぎになるところだが、ムルガダースの2年ぶりのタミル映画新作(Thuppakki のリメイクであるヒンディー映画 Holiday - A Soldier Is Never Off Duty、それからプロデュース作品としてなかなかに面白い Vathikuchi などはあったが)が再びヴィジャイとのコンビということで期待はいやがおうにも膨れ上がっていた。蓋を開ければ予想をさらに上回る評判と売り上げで、封切後2週間ほど(タミル映画史上の最速と言われている)で100カロール・ルピー超えの売り上げを達成するなど、快進撃ぶりには留まるところがない。ムルガダースの監督第2作目 Ramanaa あたりからはっきりとした作風として浮かび上がってきた、社会悪と戦うヒーローを緻密なプロットの中で観客の共感を呼び起こしながらドラマチックかつ丁寧に描く(言葉にしてしまうと随分とあっけないが)という特徴は、本作でも発揮されており、ムルガダースの(そしてヴィジャイの)最高傑作との声までもが上がっている。Thanneer Thanneer [邦題:お水よお水] (Tamil - 1981) の昔から、水の確保は南インドで都市住民・田舎の農民を問わず生活に(時には生存に)直結する大問題だった。この伝統的なモチーフが、どのように鮮やかにドラマとなっているか、大いに期待して臨みたい。

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【主要キャスト】 ※上のイメージには本作のスチルからではないものも含まれる
■カディレーサン(カディル)/ジーヴァーナンダム(ジーヴァー):ヴィジャイ
コソ泥常習犯のカディルと、農民の権利のために戦う社会活動家ジーヴァーの二役。Azhagiya Tamil Magan (2007)、Villu (2009) に続く3回目の一人二役。タイトルにある刃物だけでなく、ポスターにある「バールのようなもの」でどんなアクションを見せてくれるのか楽しみだ。
■アンキター:サマンタ
言わずと知れた『マッキー』のヒロイン。現状ではテルグの出演作が圧倒しているが、実はテルグ人とケララ人の両親の元に生まれ、タミル語を日常語としてチェンナイで育った「タミル女優」でもあるのだ。こちらの記事によれば、これまでタミル・テルグ両方で「サマンタの声」として慣れ親しまれてきた人気声優チンマイ・シュリーパダーではなく、ラヴィーナ・ラヴィという人が声を当てているという。
■チラーグ:ニール・ニティン・ムケーシュ
多国籍飲料メーカーのインドでの代理人となる実業家。ニール・ニティン・ムケーシュについては、当網站筆者は David (Hindi - 2013) の一作しか見ておらず、まともな論評もできないものが申し訳ないが、悪の翳りを帯びたヒーロー役を得意としてきた人らしい。Thuppakki のヴィデュト・ジャームワールもそうだったけど、いかにも北印度なイケメンをヴィジャイと対決させるというのはムルガダース監督の一貫したインスピレーションなのかもしれない。
■ダーヌ:サティーシュ
カディルのサイドキック。サティーシュは、クレイジー・モーハンの助手として裏方からスタートし、Thamizh Padam (Tamil - 2010) の端役でデビューした新進コメディアン。この人のキャリアにとっては、疑いなく本作が最高のメガ・プロジェクトとなっている。
■その他:ベンガル映画界が本拠地で、昨年急逝したリトゥポルノ・ゴーシュ監督の作品によく顔を出していたトーッタ・ローイ・チャウダリ(公式サイトあり)が冒頭のコルカタのシーンでちょっと顔を出しているなど、なんだなんだ?という感じのキャスティングもかなり気になる。

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めきめきと売り出し中のミュージック・ディレクター、アニルド・ラヴィチャンダル(あの♪Why This Kolaveri Di で全国的なヒットを飛ばした異才。またラジニカーントの親戚でもある)の音楽も注目点のひとつ。

投稿者 Periplo : 01:43 : カテゴリー バブルねたtamil
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2013年02月24日

Vishwaroopam 上映について

「3月のJ-テルグ」と書きそうになっておっとっと…。今回はタミル映画、そして(技術的なトラブルがなければ)英語字幕付き。川口でやるよ。

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Vishwaroopam (Tamil - 2013) Dir. Kamal Haasan

原題:விஸ்வரூபம்
タイトルのゆれ:Vishwaroopa(ヒンディー語版のタイトル)
タイトルの意味:God of Omniscience (BollyMeaning さんによる解説も参照)

Cast:Kamal Haasan, Rahul Bose, Shekar Kapur, Pooja Kumar, Andrea Jeremiah, Jaideep Ahlawat, Naser, Samrat Chakrabarti, Zarina Wahab, Miles Anderson, James Babson, Jude S Walko, Chris Kotcher, Greg Sammis, David Scott Diaz, Melissa Bayer, Hayat Asif, etc.

■日時:2013年3月9日16:00開映予定 
※インターミッション中には別料金での軽食サービスもあり
■事前予約での料金:大人2300円/5歳以上12歳以下の子供1000円/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映時間:ネット情報によれば約148分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケット料金などに関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/02/vishwaroopam-tamil-2013.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Vishwaroopam ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfo@indoeiga.comまでメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

今回に限り、電話予約も可能(ただし英語)080-3575-2404 / 080-3454-2366 / 080-3417-5595

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昨年末ごろからこの2月まで、様々な意味で世間を賑わせていた話題作がついに上映。タミル映画界ではラジニと並ぶ二大巨頭の一人だってのにこれまで日本では劇場公開がなかった(映画祭で『愛は至高のもの (Anbe Sivam)』が公開されただけ、と思うんだけど、勘違いだったら申し訳ない)カマルハーサン(カマラーハーサンとも)の主演・監督作だ。1954年生まれの58歳、幼少時から子役として映画出演していたが、成人した後のデビューは1970年頃。そして Apoorva Raagangal (Tamil - 1975) Dir. K Balachander のヒットによってスターダムにのぼり、以後ラジニカーントとともにタミル映画界のトップランナーとして走り続けてきた。冠名は「ユニバーサル・スター」。もちろんタミル映画が主だが、その他の南印3言語圏作品、ヒンディー語映画にも満遍なく出演している。芸風を無理に一言でまとめると、理知的な演技派+(古典の素養をベースにもつ)スーパーダンサー。そしてナルシシズム的傾向もあるかもしれない。演技力を見せつけるような1人n役ものが多いのも、このナルシシズムの延長にあるのではないかと筆者は考えている。そのためか、監督やその他の裏方と対立することも時に起こり、今作のように自らプロデュース・監督を務めることも増えてきている。スクリーン上ではキス魔、そしてオフスクリーンでもかなりの艶聞家として知られる。二人の娘のうち、長女のシュルティはすでに女優として活動を始めており、次女のアクシャラもデビューが近いという噂もある。現在のところ日本語字幕付きで見られるカマル主演作は、『ボス その男シヴァージ (Sivaji The Boss)』、『ロボット (Enthiran)』のシャンカル監督による『インドの仕置人 (Hindustani)』だけということになると思う。

本作の公開を巡ってのゴタゴタについてはウィキペディアの Controversies related to Vishwaroopam が丁寧にまとめてくれているので、長々とは書かない。最も深刻だったのは、ムスリムに対する偏見を助長する表現があるとしていくつかのムスリム団体から上映中止を求める法的な訴えがなされたこと。タミル・ナードゥ州を始めとした主要マーケットで、実際に一旦封切られたものが中止となり、結局検閲を通ったフィルムに更に手を加えることで何とか折り合いがつき、上映は再開された。しかしカマルの声明を信じるなら、この改変は本質的なものではなく、幾つかのシーンでサウンドとセリフが削られただけということだ。つまり元々のストーリーにも本質的に偏見などなかったということにはなりはしないか。なので、そういう意味での問題作を期待して観に行くと肩すかしを喰わされるのではないかと思う。あくまでも娯楽的な、NYとアフガニスタンを舞台にした手のこんだスパイ・アクション・スリラーなのだ。事前にストーリーについて予習をしておきたいという人はカーヴェリ川長治さんの日本語によるレビューを参照されたい。

通例だと共演女優、音楽監督などについても一言ぐらいは書くところなのだが、残念ながらプージャー・クマール、アーンドリヤー・ジェレマイヤーのツインヒロインについてはほとんど語れることなし。助演者の中では悪役をやるというラーフル・ボースが何と言っても一番の目玉だろう。コルカタ出身、ヒンディー語映画界きってのインテリ系、作品への予備知識がなくとも、この顔が出てくるならばきっと異色作に違いないと思える、安心のブランドだ。他に『エリザベス』の監督として名高い(しかし過去には Mr. India も撮ってるってのが凄いとこだよね)のシェーカル・カプール、ナーサル、サリーナ・ワッヘーブなんていうところが注目か。

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本作の上映中止はマレーシアにも一時的に及んだ。その最中にKL街頭に掲げられていたファンクラブによるポスター。

【蛇足】
昨日に発表されたこのイベント、実はその時点で既に200名様のタミル人の予約が入ってたそうだ。恐るべし、タミル人の集結力。しかし予約入れは速攻でも当日の会場への集まりはとってもマイペースというのは先日の Thuppakki 上映の際に実証済み。インターミッションも、200人超の皆さんがフード・ストールに押し掛けて全員が軽食にありつくまでに一体どのくらい時間がかかるのか、考えただけでちょっと気が遠くなる感じだ。遠方からいらっしゃる方は時間に余裕をもって臨まれたい。また、会場のキャパは325席、タミル人さん達の人数はこれからも増えるだろうから、遠路川口まで出かけてやろうという人はやっぱり予約を入れとくのが無難でしょう。

投稿者 Periplo : 21:29 : カテゴリー バブルねたtamil
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2012年11月11日

資料系アップデート1211

パンチャタントラじゃなくてパンチタントラだ。

これ本当に資料か?と悩みつつも、今のところ日本語での紹介は見当たらないので、とりあえずメモしとく。

cvRajiniPunch.jpgRAJINI'S PUNCHTANTRA - BUSINESS AND LIFE MANAGEMENT THE RAJINIKANTH WAY

著者:P C Balasubramanian, Raja Krishnamoorty
版元:Rupa
発行:2012年(初版)
版型:A5版
頁数:124(モノクロ)
主な販売サイト:Amazon.com
定価:Rs.95-(インド国内)

※本書は2010年に New Horizon Media 社から RAJINI'S PUNCHtantra: TRUTHS THAT FIT ALL のタイトルで刊行された書籍が、版元を変えて再発売されたもののようだ。ニューホライズン社からはカラー英語版とタミル語版も出ている。

仮に日本語版を出すとしたら、タイトルは『ラジニ様の決め台詞に学ぶビジネスと人生の極意』ってあたりだろうか。えーとつまり、16 Vayathinile (Tamil - 1977) Dir. Bharthiraja から『ボス その男シヴァージ (Sivaji The Boss)』(Tamil - 2007) Dir. Shankar にいたるまでのラジニ様出演作の中から、極めつけの決め台詞を精選し、ビジネスシーン、それに人生全般への応用方法を各1ページを割いて詳説するというもの。哲学書コーナーとビジネス書コーナーとタレント本コーナー、三カ所に配置されうるという戦術が鮮やか。

たとえば、16 Vayathinile からは「How is this? (Ithu eppadi irukku)」というのを引いて来ている。ビジネスにおいては、常にチームの中でコンセンサスをはかることが大切で、チームリーダーは頻繁にこの問いを投げかけるべきであると。人生全般においても、家族から政党まであらゆる種類の社会的ユニットの中で、個々の成員の意見をすくいあげて行く姿勢が大切なのである、勝手な思い込みで独断専行することは避けなければならないと。

どうよこれ?(正直どーでもいい)

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投稿者 Periplo : 02:17 : カテゴリー バブルねたtamil
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2012年10月21日

レビュー:Kathavarayan

コスプレもコスプレ、部族民ルックだ! でも多分、実際の山岳部族の風俗とはほとんど関係ないファンタジーの産物だと思うけど。

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しばらく前にあげたポストでシヴァージ・ガネーシャンの神話映画の目録を作ろうとした時に、唯一本作だけが神話ものなのかどうかはっきりせずに残った。ディスクは持ってなかったので判断のためにYTで見たソングシーン ♬Niraiverumo Ennam には魅了された。また繋がって出てきた同作のテルグ同時リメイク Karthavarayani Kadha (Telugu - 1958) Dir. Ramanna の ♬Mooge Cheekati は、同じ監督による明らかに同じシーンなのに、そのとんでもない違いっぷりに驚いた。タミル版の方はその後やっとDVDを入手して全編鑑賞。当初の懸案だったジャンルの仕分けとしてはフォークロアかなと思うのだが、かなり異色の作例である。

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Kathavarayan (Tamill - 1958) Dir. T R Ramanna

原題:காத்தவராயன்
タイトルのゆれ:Kaathavarayan
タイトルの意味:主人公の名前

Cast : Sivaji Ganesan, Savitri, Kannamba, T S Balaiah, J P Chandrababu, M N Rajam, K A Thangavelu, E V Saroja, Serukalathur Sama, O A K Thevar, E R Sahadevan, Mohana, Kamalamma, Joshi, Gopal, Gopikrishna, Kamala Laxman

DVDの版元:Pyramid(シングル盤DVDと2in1盤DVDがあり、本レビューは後者によっている)ほか
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約3時間4分
DVD 入手先CineMovies (Modern Cinema 盤、字幕不明)、Jollywood (Pyramid の2in1盤)、TamilMovieUSA (Pyramid のシングル盤)ほか

関連作品
Aryamala (Tamil - 1941) Dir. Bomman Irani は同じ伝説を扱った先行作品。かなりのヒットとなったという。
Karthavarayani Kadha (Telugu - 1958) Dir. T R Ramanna は本作とほぼ同時公開されたテルグ版。主演はNTR。ヒロインがサーヴィトリというのは変わらないが、その他の配役はカンナンバのパールヴァティ以外すべて差し替えられている。
Amar Prem (Hindi - 1960) Dir. T R Ramanna はあまりに手がかりが少なすぎるが、本作の吹替え版であるようだ。ただし主演のシヴァージとサーヴィトリ以外はやはりヒンディー語圏の俳優に差し替えて撮り下ろされた可能性がある。

参考レビュー集成http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/kathavarayan-tamil-1958.html

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【ネタバレ度100%の粗筋】
いつとも知れない遠い昔、カイラーサ山のシヴァ神の住処では、シヴァ(Gopikrishna)とパールヴァティ(Kamala Laxman)によるダンスの技比べが行われていた。戯れに始まったその踊りは徐々に真剣味を増し、両神は力の限り踊るが、神妃パールヴァティは途中で脱落してしまう。パールヴァティが腹立ち紛れに吐いた暴言をシヴァは聞き逃さず、妻に厳罰を科す。途中から母に加勢して父に歯向かった三男カータヴァラーヤンと共に人間界に堕ちて苦しみを味わうようにと命じた。

赤子となった三男とともに地上に降りたパールヴァティ(Kannamba)が途方に暮れていると、そこにコッリマライの山岳部族の首長の娘たちがやってくる。赤子の美しさに魅せられた娘たちは、子供に恵まれない自分たちに赤子を託してくれるなら大切に育ててコッリマライの王にしようと申し出る。パールヴァティはその申し出に応じて赤子を引き渡し、自分はカーマークシと名乗り、カンバの川辺にシヴァリンガを奉じて苦行三昧の生活を送ることとなった。

同じ頃、アーリヤプラム国の王室付き僧侶のもとに一人の娘が生まれた。待ち望んでやっと得た子供にバラモンは喜んだが、占星術師は、この娘が成長して異カーストの男に誘惑され汚されることになる、そして同じ頃に王国もまた傾くだろうと予言する。その予言の実現を回避するために、王はその娘マーラー(アーリヤマーラー)を引き取り王女として育てることにする。

月日は流れ、カータヴァラーヤン(Sivaji Ganesan)は美しく強健な若者に成長する。養父母は成人した彼に初めて実母の存在を知らせる。彼は見聞を広めるために出かける旅の最初にカンバの岸辺の母を訪ねる。カーマークシは彼に世間というものの残酷さを説き、また彼が知らずに授かっている恩寵について説明する。それは困難に遭った際に好きなものに変身できるという超能力だった。しかしその力を利己的な目的に使おうとした場合には、それは働かず以降は失われてしまうだろうとも。

旅を続けるカータヴァラーヤンはチェーラ国(ケララ)で、怪しげな呪術を使って人々から金品を巻き上げている三人組、チンナ(T S Balaiah)、妻のアーラーヴァティ(M N Rajam)、妻の弟のマンナリ(J P Chandrababu)に出会う。カータヴァラーヤンはその真摯な祈りによってチンナの呪術を打ち負かしたので、チンナたちは彼の僕となり、後に仲間となる。

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その後アーリヤプラム国に入ったカータヴァラーヤンは森の中でマーラー(Savitri)と出会い、二人はお互いに一目惚れする。カータヴァラーヤンはなんとかしてもう一度マーラーに会おうと王宮への侵入をあれこれと試み、ついに超能力を使い鸚鵡に姿を変えて王女の寝室に忍び込むことに成功する。二人は初めての逢瀬を楽しむが、異変に気づいた侍女達が騒ぎ出す。カータヴァラーヤンは再び鸚鵡に変じて逃げようとするが、なぜか変身の術が効かない。やむなく彼は兵士たちを相手に大立ち回りを演じて逃げのびる。

この事態に激怒した王は彼の首に懸賞金を掛け、またマーラーと将軍との婚礼の準備を進める。一方カータヴァラーヤンは、身分違いの恋は成就しないとのカーマークシの諌めにも耳を貸さず、マーラーを誘拐する覚悟を固めてヴィシュヌ神に祈る。宝石商に変装してマーラーに近づくが、正体を見破られて捕らえられる。王は彼に焼きごてによって目を潰す刑を申し渡す。それを止めようとマーラーは自らに刃をつきたてる。恋人が死んだと思い込んだカータヴァラーヤンは狂気に陥り、繋がれていた鎖を超人的な力で断ち切り、兵士を殺し、都を荒し回る。再び宮殿にやってきた彼は王に手をかけようとするが、母が割って入り息子を諭す。やっと鎮まったカータヴァラーヤンをすかさず兵士達が捕らえる。

カータヴァラーヤンは市中を引き回された後に、巨大なシヴァ神像のもとでカルマラムの刑(先端を尖らせた木片でできた「針の筵」の上を歩かせる)に処されようとしていた。息子を追って来たカーマークシは、刑のあまりの残酷さに打ちのめされ、王の前に跪いて助命嘆願するが、王は一蹴する。王の傲慢に憤激したカーマークシは、苦行によって得た力を息子に乗り移らせ、かつての諌めを忘れよ、アーリヤプラムを滅ぼし尽くせと命じる。カータヴァラーヤンは刑場であるシヴァ神殿を丸ごと破壊する。瀕死の重傷を負いながらも生きていたマーラーは這って神殿に辿り着き、恋人達は手をとりあって息絶える。瓦礫のなかを息子を探していたカーマークシはやっと二人の遺体を見つけるが、その瞬間にシヴァ神の許しがもたらされ、三人は揃って昇天する。(粗筋了)

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【くどくど寸評】

「苦しむために生まれてきた」。一言でいうならばこういう映画なのだ。これはひどく胸に突き刺さる。しかし同時に、とても一言では済まされない厚みを持った大娯楽作品でもある。

以前にフォークロア映画についての仰々しいエントリーをあげたのは、実にこの作品について書くための前フリだったのだ。それまでもテルグ映画を中心にフォークロアと呼べるものをそこそこ観てはいたのだが、正直なところ結構苦手なジャンルだった。有名作品 Patala Bhairavi (Telugu - 1951) Dir. K V Reddy なんかを観て特にそう思ったのだが、ともかく長くて退屈、ストーリーが幼稚、メリハリに欠けていて見終わったあとにカタルシスがない、などなど、かなり疲れる映画体験となることが多かったのだ。どんなに古色蒼然としたものでも神話・バクティ映画になら、心が震える感動的な瞬間があり、俳優の芝居力が発揮される見せ場がある。一方でフォークロアは、マニエリズムに支配され、次々と繰り出される怪異や驚異に有機的な繋がりがなくツギハギ感が漂う。神話・バクティ映画で神が信者に与える試練は超現実的でありながら説得力のあるものだが、フォークロアではヒーローがヒーローであるというだけで勝手に魔法の扉が開き、形ばかりの取ってつけたような試練しか描かれない(ちょうどオペラ『魔笛』の最終局面のように)、そんな印象が強かった。

しかし、本作を観て、さらに初期のMGRのフォークロア作品を多少観ることになってこれが揺るがされた。テルグのフォークロア映画がデモーニッシュなまでに能天気で、レビューショーのように次から次へとアトラクションが展開する割にはストーリーに起伏がなく単調であるのに対して、タミルのそれにはクッキリとドラヴィダ民族主義のイデオロギーが織り込まれているのだ。また、娯楽的な側面に目を転じても、本作の10曲のソングはどれをとってもヴィジュアルな衝撃に満ちているし(本当は一曲ごとに色々語りたいところだが、あまりに長くなりすぎるので割愛)、ソング以外でも、かなり本気でやってるレスリング、主人公を助ける象の活躍、魔術対決からカラガッタムになだれ込む大道芸っぷりなどなど、息もつかせない面白さ。どうも、少なくともこの時代に限って言えば、変化に富んだアトラクションを連打しながら大きなうねりをもってストーリーを語るという技術において、タミル映画人はテルグ人よりも巧みだったのではないかという印象を持った。

そして、現在では被抑圧階級となった山岳部族民の神話をとりこむという大胆さ。どんなにカラフルなソングシーンを織り交ぜようと、そしてラストに取ってつけたような昇天のエピソードを加えようと、やはりこれは恨みをもって死んでいった古代の異族の英雄への鎮魂の物語なのだ。この情念的な要素が実にタミルらしいものと思える。そしてこの、極限の悲惨をスクリーン上で追体験することによって観る者の心が洗われるというプロセスは、現代のタミル・ニューウェーブ作品群にも通じるものなのではないか。というより、タミル・ニューウェーブがこういった過去の伝統をきっちりと受け継いでいると言った方がいいのかもしれない。

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以下には、本作に現れる様々なモチーフのうち、制作者の純然たるファンタジーの産物ではなく現実と繋がりがありそうな幾つかについて分かったことを列記しておく。

■カータヴァラーヤン
実際にタミルの地で崇拝されている神格である。ただし非常にマイナーな神なので情報が極めて少なく、学術的な裏付けをもった資料というより個人の旅行記やエッセイなどの断片的な記述を拾いあわせてみるしかないのだが。

まず、カータヴァラーヤンはシヴァ神の第三の息子とされているが、全インド的にはシヴァの息子はガネーシャ、スカンダ=ムルガンのニ人だけである。これは正にヒンドゥー教が各地の原始宗教の神々を取り込んでいった(なおかつそれが一地方だけに留まった)事例の一つといえるのだろう(Heritage Town VILLAGE GOD)。

タミル全土を見渡せば、おそらくカータヴァラーヤンの神像は無数に存在すると思われる。ただしそれはパーリヴァーラ(பாரிவார)と呼ばれる脇侍としてのもの、またはカーヴァル・デイヴァム(காவல் தெய்வம்)と呼ばれる村の守護神としてのもので、主神として祀った寺院はネット上では数軒しか見つからなかった。カータヴァラーヤンは、通常マーリアンマン女神(天然痘をもたらすという南インドの土俗的な神だが、名目上はシヴァ神妃ということになっている)の脇侍として、マドゥライ・ヴィーランやカルップサーミなどと同格の神として表される(Hindupedia Mariamman Thalattu/Ülo Valk and S. Lourdusamy, Village Deities of Tamil Nadu in Myths and Legends)。

一方で、この映画中のようにカーマークシ女神と結びつける説も少なからず見られる(The Hindu Drawing the devout)。さらには典型的な「村の神」である男神アイヤナールの配下であるという説もある(Sri Ayyappa Bhajanai Sangham Sastha, Ayyanar, and Ayyappan)。

また、この神の出身地がタンジャーヴールであるという、根拠が示されない記述も見つかる(Wikipedia Village deities of Tamil Nadu)。しかしカータヴァラーヤン信仰はタミル人のディアスポラとともに世界に広がり、たとえばスリランカ・タミル人の間では Kathan Koothu と呼ばれる舞踊+歌謡も行われているという(City of Jaffna Arts)。また、仏領レユニオン諸島のタミル系移民の間では Katalarien という仏語化した(?)名前で祀られているようだ〔ஒம் கருப்புசாமி Kathavarayan Swamy (Katalarien)〕。

見過ごす訳には行かないのが、カータヴァラーヤンが特定のダリト集団の神であるとする民話研究家の証言。

Exposing the hollowness of this argument, veteran folklorist A. Sivasubramanian said most of these temples in rural areas had folk deities, who were generally slain Dalits. Among these, Madurai Veeran and Chinnathambi belonged to the Arunthathiar community and Kathavarayan was a Pulayar. Although Muthupattan, another folk deity, was a Brahmin, he married two Arunthathiar women.(Frontline, Volume 26 - Issue 15, Jul. 18-31, 2009, Dalits as god より)

プライヤル(プライヤンとも)は、今日のタミルナードゥでダリトの代名詞とされているコミュニティーのひとつであり、葬儀にまつわる諸々の作業を担う集団とみなされている。起源は今日のケララ地方にあるとも言われているが諸説が入り乱れてよく分からない(Vijaya Ramaswamy Historical Dictionary of the Tamils ほか)。したがってプライヤルの祖先が本作中に暗示されるようにコッリマライの山岳部族民だったのかどうかは分からない。

■カーマークシ女神
カーマークシという名はチェンナイ近郊の都市カーンチプラムの代名詞と言えるぐらい、同市のカーマークシ・アンマン寺院が有名だが、各所に分院もある。カーンチプラムの本院はアーディ・シャンカラとの繋がりをもつ大僧院でもあり、完全に正統派の大伝統に組み込まれているようである。寺院のサイトを眺めてもカータヴァラーヤンのような民間信仰に触れている箇所は見当たらない。ただし、カーマークシ女神がカーンチーのカンバ川の岸辺でシヴァリンガを奉って苦行を続けたという記述はペリヤ・プラーナム中に見られるそうだ。本作中でも言及されているカンバは伝説上の川で、カーンチーの街の地下を流れているという(V Krishnaraj Kamakshi)。

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■コッリマライと部族民
コッリマライ(Kolli hills)は東ガーツ山脈の一部で、タミルナードゥ州中部、セーラムとティルチラパッリの中間にあたる。最高標高は1300メートルほど。こんな魅力的な景色が広がっている。

コッリマライは1〜3世紀のタミルで成立したとされるサンガム(シャンガムとも)文学にも何箇所かに言及されている〔一例として『エットゥトハイ 古代タミルの恋と戦いの詩』(高橋孝信・訳)のP.251〕。

この網站まで来て下さる読者には釈迦に説法だろうが、今日のインドで不可触民=ダリトと呼ばれている人々は、そのほとんどがドラヴィダ人やアーリヤ人よりも前に亜大陸に住みついていた先住民である。平地に降りてヒンドゥー教をある程度まで受け入れた人々がアウト・カーストとなり、独自の言語や宗教を保持しつつ山間部などの僻地に孤立して住み続けた人々がトライブと規定された。

しかしサンガム時代のタミルでは強固なカースト制度はまだ存在しなかった。サンガム恋愛詩は平地の女と山岳地方の男との恋を(平地の女の視点から)数多く扱っている。そこに現れる山地の男は宗教も言語も異にしているが(A K Ramanujan The Interior Landscape: Love Poems from a Classical Tamil Anthology P.23)、決して穢れた存在とはみなされていない。また一方で、上に述べたプライヤンという語も既に登場しており(前掲『エットゥトハイ 古代タミルの恋と戦いの詩』P.267、 P.293)、身分の賤しい者として形容されてはいるものの、制度化された絶対的位階の最低辺というわけでもないようだ。ただし、コッリマライに住む部族とプライヤンと呼ばれた人々との関係はよく分からない。ともあれ、本作中でヒロインのマーラーに対して実の父親が「異なる宗教を奉ずる相手とは結ばれ得ない」と説得を試みるシーンは大変印象に残る。また部族民ダンスのシーンでは、動物供犠の残酷性を咎める内容の芝居が部族民自身によって演じられており、無邪気を装った政治性にギョッとさせられる。

■シヴァ神
上の寸評では「取ってつけたような昇天」と書きはしたが、冒頭と最終場面に物語を縁どるようにシヴァ神が現れるのは見逃せない。また、クライマックスで倒壊する巨大なシヴァ神像の異形度(見慣れたこういうイメージとは随分隔たっている)も、意味はよく分からないがともかく凄い。

… ニ - 三世紀ぐらいからシヴァ教・ヴィシュヌ教双方において教理と実践の体系の組織化が行なわれるようになる。シヴァ教においては、このころから最古の宗派であるパーシュパタ派の体系化が始まったようである。シャイヴァ・シッダーンタは、そのパーシュパタ派を母胎として徐々に成立していったものと考えられる。
 このシャイヴァ・シッダーンタの教えが、現在も生きて行われているのは、タミルナードゥを中心とする南インドだけである。学者も含めて大部分のタミル人の理解においては、この教えはタミル起源のものであると考えられている。しかしながら、最近の研究は、この派がより北方から伝来したことを明らかにしている。(高島淳、「シヴァ信仰の確立」より、 『ドラヴィダの世界』に所収、P.42)

もちろん、シヴァ信仰は全インドで盛んであるし、上の引用にもあるように、シャイヴァ・シッダーンタ(聖典シヴァ派)は本当は北インドが発祥のものである。しかしタミル人のアイデンティティのよりどころのひとつとしてのシヴァ教の重要度はやはり無視できないものだ。その証拠に、タミルの神話映画を思い起こしてみれば、その多くがシヴァ神とその息子ムルガンの登場するものであるということに気づくだろう。対照的に、二大叙事詩の映画化が盛んだったテルグでは、ヴィシュヌ系のストーリーが圧倒している。本質的に二大叙事詩はヴィシュヌとその化身を中心に据えた物語であるからだ。

しかし叙事詩的な詩作は、どちらかといえば最高神としてのヴィシュヌ崇拝が広がった地域で培養されたようである。このことはつぎのようなことからもあきらかである。すなわち、マハーバーラタの宗教的教訓的な部分では、この神がいちじるしくおもてだっていて、この書物が、ヴィシュヌ崇拝のために捧げられた、教養書の一つであるかのような印象さえ与えるのである。しかしまた、これとならんで、シヴァ神の伝説や、シヴァ神の儀礼に関係する個所がないわけでもないが、一般にこれらは後世の付加であることが容易に認められる。それらはこの叙事詩が、シヴァ神崇拝の流行する地方一体に拡がったときに、付加されたのである。(ヴィンテルニッツ インド文献史〈第2巻〉叙事詩とプラーナ、P.9)

ヴィシュヌが多くの化身を持つのと対照的に、シヴァは化身せずに(ただし名前は微妙に変えながら)各地の土着の女神たちを妻とした。

シヴァ神は先住民の地母神たちを自分の妃というかたちで包含し、信仰を広めていった。シヴァに献身的な愛を捧げるサティーやパールヴァティー、血を好み武器を持って魔族と闘うドゥルガーやカーリーといった女神たちがそれである。ヴェーダ文献が集成された時代には、アーリヤ人たちのなかでは女神信仰は盛んでなかったが、インド全土に見られる民間の地母神崇拝は無視できない力を持っていたので、こうしたかたちで吸収せざるをえなかったのである。一方、地母神をはじめとするさまざまな神を崇拝していた民間の人々も、ヒンドゥーの主流に連なることで、自分たちの地位が向上すると考えた。(宮本久義「ヒンドゥー教と民間信仰」、『原インドの世界—生活・信仰・美術』に所収、P.103)

もともとの盛んなシヴァ信仰に加えて、ほいほいと土着女神と婚姻するシヴァ神の気前のよさ(そうは言ってもヴィシュヌ系神格にはこういう事例がゼロ、というわけでは勿論ないのだが)、これがタミル映画におけるシヴァ神テーマの多さ、ひいては本作のような部族民伝説にまで顔を出すことの理由をを説明しているようにも思える。

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まあ本当にクドクド要らぬことまで書いてしまったが、古代の先住民への鎮魂、現代の被抑圧階級への慰撫と(非常に遠回しな)同化への圧力、そんなものを織り込んだ堂々3時間の大娯楽作品、公開当時はそれほどヒットしなかった(100日超え作品には入っていない)ようだが、それでもこれだけ面白いということに魂消ると思うよ。

投稿者 Periplo : 22:50 : カテゴリー バブルねたtamil so many cups of chai
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2012年06月14日

資料系アップデート1206

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Iruvar (Tamil - 1997) Dir. Mani Ratnam に出てくるダイレクタル・サーブはこの人がモデルなのかもしれない。まあ劇中の人は流暢にタミル語を喋ってはいたけど。

アップデートではあるけれど新刊ではない。最近やっとこの本の存在に気づいたってだけだ。ってか、もうプレミア付きの古書としてしか入手できないんだけど、検索してみたところ日本語でこれについて書いてる人はいないみたいだし、とりあえず紹介しとく。


guidetoadv.jpgA Guide to Adventure - An Autobiography

著者:Ellis R. Dungan, with Barbara Smik
版元:Dorrance
発行:2001年(初版)
入手先:米アマゾンなど

エリスRダンガン(タミルではドゥンガンと呼ばれた、またDuncanと誤記されることも多い)は1909年にアメリカ・オハイオ州でアイルランド系の両親の間に生まれた。働きながらヨーロッパを周遊するなどして気ままな青春時代を送り、1932年に南カリフォルニア大学の新設されたばかりの映画学科に入学し、映像作家としての基礎を学んだ。インターンとしてハリウッドの撮影現場に出入りする中で親しくなったインド人同級生マニック・ラール・タンダンの誘いに応じて1935年にボンベイに渡ったが、結局マドラスのタミル映画界に落ち着き、1950年に帰米するまでの15年の間にトップ監督としての地位を築いた。太平洋戦争中、映画撮影の物資が欠乏していた時代には、報道カメラマンとしても活躍し、ガンジーやネルーなど独立闘争をになった巨星達のポートレイトも撮影している。アメリカに帰国して後は、主としてドキュメンタリーを手がけ、成功を収めた。本書が刊行された2001年に92歳でその生涯を閉じた。

タミル時代に世に送り出した長編劇映画で監督としてクレジットされているものは12本、初監督の Sati Leelabathi (Tamil - 1936) は、MGRが端役でデビューした作品でもある。事情により途中で監督を放棄せざるをえなかった(プロデューサーの努力により完成した)最終作品 Manthiri Kumari (Tamil - 1950) でMGRはスターとして大きく飛躍したとも言われている。

タミル映画界におけるダンガンは、変わり種というのではなく、堂々たるヒットメーカーであり、先進的なハリウッドの技術を持ち込み、また自らが編み出した様々な工夫を根付かせた革新の人でもあった。

交友関係も非常に広かったらしい。本書中の記載によって1950-60年代を中心に活躍した名カメラマン、マーカス・バートリーがアングロ・インディアンであったことなども知った。ダンガンが最も活き活きと回想しているのは、MSスッブラクシュミとその夫Kサダーシヴァムとの付き合いである。ダンガンはMSの主演で Shakuntalai (Tamil - 1940) と Meera (Tamil - 1945) の2本を生み出し、後者はヒンディー吹替え版も作られて全インド的なヒットとなった。1947年に封切られた Meera のヒンディー語吹替え版は、MSの最後の出演映画となった。

本書は全部で22章に分かれているが、最初の12章が生い立ちからインド時代に当てられている。基本的には共著者のバーバラ・スミクによるダンガンへのインタビューから書き起こされた本書なのだが、インド時代の5章分だけは、タミル映画史家のランドール・ガイ(こんな名前だがれっきとしたタミル人の爺ちゃんである、こちら参照)の要請に応じて1990年にダンガンが書いた文章から構成されている。またランドール・ガイは、2002年の The Hindu 記事によれば、ダンガンの評伝を執筆中ともあるが、結局これはどうなったのかね。

本書のタイトルが最も端的に表していると思うが、ダンガンは理論家ではなく現場の人であり、冒険家であった。したがって本書中の記述も時に勘違いなどがあり、また映画製作にまつわる話とそれを離れた個人的なエピソードが入り交じっており、整然としたタミル映画史を期待するのは無理というものだ。なのでなおさら上に書いたランドール・ガイによる評伝の刊行が待たれる。一方で本書には、個人の回想録ならではの面白過ぎるエピソードが満載で、一気読みしてしまうのが勿体ないくらいのものだった。そのいちいちをここで書いてしまうのはアンフェアだと思うので、代わりに本書に一切書かれていなかったことを紹介したい。

それは、ダンガンがインド映画に対して「歌と踊りが突然に挿入される奇妙なスタイル」のような評価を一切していないことだ。もちろんそれはオリジナルがタミル映画史家の求めに応じて書かれた文章であるからかもしれない。にしても、一般のアメリカ人読者向けにまとめられた本書でそういう記述がないことはやはり驚きだ。実際ダンガンの代表作といえる Meera は、2時間弱(DVDで)のランタイム中に20曲が挿入されるれっきとしたミュージカル。冒険野郎映画作家は柔軟で適応力に富んだ人物だったのだろう。そして世界の映画自体も若々しいものだったんだろうね。

投稿者 Periplo : 13:00 : カテゴリー バブルねたtamil
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2012年05月20日

収集癖:ナーラダ仙(4)

こっちの雲海はなかなかサイケで現代的だ。
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以前のポストでは、ナーラダ仙が神話映画の中では掻き回し屋として重要ではあっても、主役になることはほとんどないと書いた。しかし本作では限りなく主役に近いナーラダ仙が、凄い豪華キャストで楽しめるのだ。冷静に見れば主役と言い切るのにはちょっと無理があるけれど、「無邪気な顔してアチコチ遊びまわり、至る所に不和を撒き散らす」というナーラダ仙の本領が充分に発揮されていて見応えがある。

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Saraswathi Sabatham (Tamil - 1966) Dir. A P Nagarajan

原題:சரஸ்வதி சபதம்
タイトルのゆれ:Saraswathisabatham, Saraswathy Sabatham, Saraswati Sabadham, Saraswati Shabatham, etc.
タイトルの意味:Saraswathi's vow

Cast : Sivaji Ganesan, Gemini Ganesan, K R Vijaya, Savitri, Padmini, Devika, Sivakumar, Chittoor V Nagaiah, Nagesh, Manorama

DVDの版元:Ayngaran, AP International, Thangamalar ほか
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間46分
DVD 入手先AP International, Ayngaran ほか

参考レビュー集成http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/saraswathi-sabatham-tamil-1966.html

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【ネタバレ度70%の粗筋】

天界のとある平穏な日、ナーラダ仙(Sivaji Ganesan)はブラフマー神妃のサラスワティ(Savitri)、ヴィシュヌ神妃のラクシュミ(Devika)、シヴァ神妃のパールヴァティ(Padmini)のもとを順番に訪れる。3女神はそれぞれ、学問と芸術・富と権力・力と勇気を司っているのだが、ナーラダはその3つの徳性のうちのいずれが最も重要かと議論を吹きかけて彼女達を挑発して争わせる。サラスワティは聾唖で知恵遅れの若者に恩寵を与えて大詩人(Sivaji Ganesan)に仕立て上げる。ラクシュミは乞食の少女を選び出し、女王(K R Vijaya)として即位させる。パールヴァティは生まれついての臆病者を一瞬で剛力の勇者に変え、将軍(Gemini Ganesan)とする。将軍は女王の宮廷に伺候することになり、詩人もまた女王に招かれる。しかしこの3人は、自分以外の優れた能力を持つ人間への敬意が全くなく、つねに主導権を握ろうと争いを繰り返す。女神達の代理戦争を見るに見かねて、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァはやっと重い腰をあげて解決に乗り出す。(粗筋了)

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【寸評】
サウス神話映画の古典的作品をあれこれ渉猟し始めると、必然的に3人の俳優の主演作を重点的に見ることになる。カンナダのラージクマールと、テルグのNTRと、タミルのシヴァージ・ガネーシャンである。ジェミニ・ガネーシャンやANRの神話映画出演も少なくはないが主演作となると数が限られる。MGRはイデオロギー上の理由から意図的に避けていたと思われるため、神話映画の出演作はほとんどない(全くない、と言い切る確信がない)。ちなみに当網站では「ミソロジカル」と「バクティ/ディヴォーショナル」の区別は便宜的に棚上げする。インド人論者にはこの二つを厳密に区別する人が多いが、たとえば今回紹介作品のようなものの場合、どっちに分類しても収まりの悪い感じが残るからだ。とりあえず、神懸かった映画全般(ただしクリスチャンものを除く)を神話映画と呼んじまう程度の大ざっぱな話なのをご了承いただきたい。

で、古典的神話映画の3大巨頭。レパートリー的に重なる部分もかなりあるのだが、超人的でモニュメンタルなキャラクターを演じながらニュアンスがそれぞれに全然違う。ラージクマールはただもう高貴、NTRはただもう酷薄、シヴァージはというと、ただひたすらに晴朗で目出度いますらおぶり、「世の中の明るさのみを吸ふごとき」としか言いようがない。演技力を超えたところでクッキリとしたスクリーン人格(もちろんこれを実生活上の人格と同一視すべきではない)が出来上がって、何を演じても滲み出てくるのが面白い。一方で、もちろん昔のスターさんは皆おそろしく多産だったので、典型から外れたキャラを演じた例もまた無数にあるのだが。

ラージクマールはそもそもデビュー作 Bedara Kannappa (Kannada - 1954) Dir. H L N Simha がバクティ映画だった。伝記によれば、生涯出演作のうちの21本がミソロジカル、18本がディヴォーショナルだという。NTRの神話映画は、デビューから30本目にあたる Mayabazar (Telugu - 1957) Dir. K V Reddy でクリシュナ神を演じたのが始まり。ナンダムーリ家ファンクラブ・サイト上の伝記によれば、生涯全出演作のうち42本がミソロジカル(文脈から、これにはディヴォーショナルも含まれるようだ)で、そのうちクリシュナ神役が17本もあるという。

シヴァージだけが、本数の面から見ると値が小さい。最初の神話映画というのもあまりはっきりしないが、党内権力闘争に巻き込まれDMKから除名された1957(1956?)年以前にはなかったものと思う。筆者が自分の目で確かめた中で最も古いものは Shampoorna Ramayana (Tamil - 1958) Dir. K Somu だが、ここでは主演ではない。60年代に入ってからの Sri Valli (Tamil - 1961) Dir. Ramanna でのムルガン神役が初主演だろうか。しかしこれはあまり当たらなかったという。大成功を収めたのは Karnan (Tamil - 1964) Dir. B R Panthulu によって。神話映画の確定的なリストは色々調べても見つからなかった。仕方がないのでファンクラブ・サイトの中のフィルモグラフィーのタイトルとイメージから洗い出し、自伝をはじめとして何種類かあるシヴァージの伝記、ウィキペディアの作品別エントリーや共演女優の伝記などの記述に目を通し、YouTube上の断片動画で裏を取るという迂遠な方法によって絞り込んだ(こちらのファンサイトにもかなりお世話になった)。

以下が特定できた全13本、うち2本はテルグ映画へのゲスト出演。他に Kathavarayan (Tamil - 1958) Dir. T R Ramanna というのが判断に迷う内容なのだが、未見なので保留とした。見落としもあるかもしれないが、後から出てきたとしても本数が倍になることはないだろう。ともかく、たったこれだけの短いリストにとんでもない手間がかかった、疲れた〜。

Shampoorna Ramayana (Tamil - 1958) Dir. K Somu
Sri Valli (Tamil - 1961) Dir. Ramanna
Karnan (Tamil - 1964) Dir. B R Panthulu
Thiruvilaiyadal (Tamil - 1965) Dir. A P Nagarajan
Maha Kavi Kalidhas (Tamil - 1966) Dir. R R Chandran
Saraswathi Sabatham (Tamil - 1966) Dir. A P Nagarajan
Kandhan Karunai (Tamil - 1967) Dir. A P Nagarajan
Thiruvarutchelvar (Tamil - 1967) Dir. A P Nagarajan
Thirumal Perumai (Tamil - 1968) Dir. A P Nagarajan
Harischandra (Tamil - 1968) Dir. Cheyyar Ravi
Raja Rishi (Tamil - 1985) Dir. K Shankar

Bhakta Ramadasu (Telugu - 1964) Dir. Chittoor V Nagaiah ※ゲスト出演
Bhakta Thukaram (Telugu - 1973) Dir. V Madhusudhan Rao ※ゲスト出演

こうして見ると、多くが1960年代制作で、しかも神話映画の名手と言われたAPナーガラージャンの手になるものが5本もある。

筆者はこのうちの8本を鑑賞したが、嫌でも気づかされるのはマハーバーラタ、ラーマーヤナといった汎インド的な神話を題材にしたものが少なく、ムルガン神をはじめとしたタミル固有の神格の登場するものが多く、また叙事詩のエピソードよりは本作のように説話的なストーリーラインが目立つということ(実際にタミル語で記された中世の説話に基づいたものもいくつかある)。例外はラーマーヤナに忠実な Shampoorna Ramayana と、マハーバーラタのエピソードからとった Karnan などなのだが、前者ではシヴァージはバラタという脇役での出演、後者は通常悪役として描かれるカルナに光を当てた異色作で、やはりどちらも正史の王道からはちょっと外れている(※)。つまり南印全体としては古典期といっていいだろう時期に、タミルの神話映画はすでに充分に土着化したものになっていたのではないか、そしてそれがその後の神話映画の変遷にも影響したのではないかということが推察されるのである。その後1970年代に入ってジャヤラリタをはじめとする6大女優の共演で大ヒットした Adi Parasakti (Tamil - 1971) Dir. K S Gopalakrishnan 以降、タミル神話映画は急速に土俗的な女神映画へと傾斜して行くのである。そしてそこにはナーラダ仙の介入する余地はあまり残っていなかったものと思われる。  

※最も汎インド的なストーリーラインに沿った主演作は Harishchandra (Tamil - 1968) Dir. K S Prakash Raoということになるだろうか。これは先行作品としてラージクマールのカンナダ版、NTRのテルグ版なども(さらに他にもいくつか)あり、見比べが大層面白い。ただしシヴァージのタミル版はどうした訳かあまりヒットしなかったという。

そうだナーラダ仙の話をしてたんだった。

本作でのシヴァージのナーラダ仙は、上で述べたようなシヴァージのスクリーン人格である、朗らかさ、向日性、観客を思わずニッコリとさせてしまう「メリーモナーク」ぶりが存分に発揮されていて楽しい。浮かれ歩く天界のいたずら者のアイコンとして永遠に焼き付けられたと言ってもいいだろう。ただ、それだけではシヴァージのヒロイズムを求める観客を満足させられないと制作者は考えたようで、後半に三つ巴で競い合う人間の1人としてダブルキャストしたのだな。そして喧嘩両成敗(三成敗か)でありながら、ストーリーの結末もシヴァージ演じる詩人にやや有利な形で終わることとなった。ハードコアなシヴァージ・ファンの人には怒られるかもしれないが、これによって微かにバランスがふれたと筆者は考える。でありながら、完全に傾いてしまうことを免れたのは、やっぱり信じられないくらいに豪華な他のキャストの力が大きかったと思う。

特に、女王様役のKRヴィジャヤでしょう。

デビューから3年目でまだピチピチの若手ヒロイン。女神役の女優達と並び立ったときのすらりとした体躯を見ると、いまやほとんど死語となった「体位の向上」なんてフレーズが浮かんでくる。そして神話映画のものとは思えないようなスタイリッシュな衣装を纏っての身のこなしの優雅なこと。キャンキャン吠えるアホの子ちゃんぶりが愛おしい。ハッキリ言って後半はKRヴィジャヤ・ショーなんだよ。

上にも書いたように、本作の結末はシヴァージの演じる詩人をやや持ち上げるように出来ていて、富と権力を手にしたKRヴィジャヤの女王はほとんど悪役と言ってもいいくらいのキャラ造形なんだけど、否応もなくこの悪い子を応援したくなる、もしかしてこれは制作者の意図したものとは違っているのかもしれないが。

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豚と言われても犬と言われても、おいらやっぱし女王様についていきてえよ。

投稿者 Periplo : 21:38 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年07月08日

再編再録:カンナギは正義を求める(6)

シリーズ最終回。蛇足ではあるが落ち穂拾いでカンナギにまつわる映画作品についていくつか紹介してみたい。まずはカンナギが登場したり言及されたりするタミル映画。

『シラッパディハーラム』を直接的になぞったものは前に紹介した3作品。

Kannagi (Tamil - 1942) Dir. R S Mani 
Poombuhar (Tamil - 1964) Dir. P Neelakanthan
Kodungallooramma (Malayalam - 1968) Dir. M Kunchacko

それ以外でも、単純な喩えから何やら含意がありそうな仄めかしまで、カンナギの名が言及されるシーンを持つ映画作品は少なくない。これまでに筆者が巡り会ったのは、全体のほんの一部でしかないとは思う。ほとんどの作品において、ストーリーの本筋とは直接的関係がない言及で、仮にカットされても何の支障もないであろうシーンではあるが。

cvParasakthi.jpgParasakthi (Tamil - 1952)

Director:Krishnan-Panju
Cast:Sivaji Ganesan, Sriranjani, Pandari Bai, S S Rajendran, S V Sahasramanam, K P Kamatchi, V K Ramasamy, T K Ramachandran, Susheela, Kannamma, Angamuthu, T P Muthulakshmi

タイトルの意味:Goddess Parasakthi
タイトルの揺れ:Parashakthy, Parasakthy

DVDの版元:Ayngaran
DVDの字幕:英語

最も成功したDMK映画と言われる。脚本はMカルナーニディ。シヴァージ・ガネーシャンは本作でデビューした。強いイデオロギー性と容赦のないバラモン批判は当時の社会を騒然とさせ、結果的に大ヒットとなったという。

本作中では、浮浪者にまで堕ちた主人公が、助けの手を差し伸べてくれたヒロインの家をこっそりと立ち去ったあとに、パンダリ・バーイ演じるヒロインが独白するシーンにカンナギの名前が登場する。

「グナシェーカラン、あなたは私のことを理想主義者だと思って、去って行ってしまったのね。マニメーハライのような理想主義者は愛を断念しなければならないの? 同時にカンナギであることができるかもしれないのに」

なかなか解釈が難しい台詞である。マニメーハライとは『シラッパディハーラム』の続編にあたる、9〜10世紀に成立(6世紀説もあり)した叙事詩の題名。続編とはいえ著者は異なり、本作は仏教徒の詩人サーッタナールによるものとされている。シラッパディハーラムに登場した遊女マーダヴィがカンナギの夫コーワランとの間にもうけた一人娘マニメーハライが主人公。コーワランの菩提を弔うことに明け暮れるマーダヴィの姿を間近に見て育ったマニメーハライは、幼少時より霊的な指向性をもち、長じて町中の噂となるような美しい娘となっても男性の誘惑を退け、数々の神秘的な出来事を経て得度する、という物語。シラッパディハーラムと比べてより難解で、しかも仏教的世界観が展開されるため、20世紀のタミル人にとってはそれほど馴染みがある訳でなく、広く読まれていた作品ということでもなさそうだ。

この Parasakthi 中での言及は、ヒーローにモラル的な指針を与えたヒロインが、一方でヒーローに抱いた恋心を告白でできなかったことへの悶えが表現されているのだろう。自分はマニメーハライのよう求道一筋ではなく、愛と正義の両方を求めるカンナギなのであるというレトリック。いやカルナーニディ先生、なんと持って回った言い方であることか。

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Thanga Pathumai (Tamil - 1959)

Director:A S A Sami
Cast:Sivaji Ganesan, Padmini, T R Rajakumari, M N Nambiar, M N Rajam, E V Saroja, N S Krishnan, R. Balasubramaniam, ‘Kuladeivam' Rajagopal, T P Muthulakshmi

タイトルの意味:Golden lotus
タイトルの揺れ:Thangappathumai

これは未見。当初1942年の Kannagi のリメイクを考えていた製作者が、アンナードゥライの忠告を容れて計画を変更し、ハリウッド映画 The Egyptian を翻案して世に送り出した。タミル版の舞台設定がどうなっているのかは不明だが、ハリウッドの時代劇のリメイクでありながらも、無実の罪を着せられた夫を救うために貞淑な妻が必死の奮闘をするカンナギ的なストーリーラインであるという(The Best of Tamil Cinema 1931 to 2010 第1巻P.59に言及あり)。

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cvVietnamVeedu.jpgVietnam Veedu (Tamil - 1970)

Director:P Madhavan
Cast:Sivaji Ganesan, Padmni, Nagesh, K A Thangavelu, Srikanth, Senthamarai, V S Raghavan, Ramaprabha, Pakoda Kadhar

タイトルの意味:Vietnam House, House of conflict
タイトルの揺れ:Vietnam Vidu

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語

DMK映画の時代から遥かに下り、1970年の本作において、タミル映画のソーシャル・ジャンルでは初めて、バラモンが一定の人間性をもった描写で表出されることとなった(The Best of Tamil Cinema 1931 to 2010 第1巻P.249による)。全編に渡ってアイヤル・バラモンに特有の方言が展開されている。主演のシヴァージによれば、この時代、映画の中でのバラモン方言というものは滑稽味を出すための手段でしかなかったという。彼は本作(およびその元となった舞台劇)で、この方言を使って観客を泣かせてみようと決意したのだそうだ(Autobiography Of An Actor - Sivaji Ganesan P.180による)。結果的に本作は大成功を収めた。富裕なバラモンの夫婦を演じるシヴァージとパドミニ(どちらも白髪まじりの老け役である)の、滑稽と深刻の間を振り子のように行き来する円熟した芝居が魅力の源泉だろう。本作中には、脇役のバラモンの老僧たちが沐浴場で軽口を叩き合うシーンがある。夜道を歩いていたところ、手を高々と差し上げる警官に止められた。大人しくその場に留まっていたが一向に進んでよしとの合図がない。警官をよくよく見てみればカンナギ像だった、という他愛のないジョーク。おそらくこの部分は、それまでの映画でお馴染みだった定型的なバラモン・コメディのスタイルをなぞったものなのではないかと思える。1968年に建立されたマリーナ・ビーチのカンナギ像について言及されたかなり早い例でもある。

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Nirabaradhi (Tamil - 1984)

Director:K Vijayan
Cast:Madhavi, Mohan

タイトルの意味: Innocent, Guiltless person
タイトルの揺れ:Nirabarathi

これは未見。IMDb、ウィキペディアといったサイトにも最低限の情報すらない。1951年の同名作品との関係も不明。学術的なエッセイ Between Goddesses, Vamps and Software Engineers:Women and jobs in Tamil cinema in an era of Economic Liberalization によれば、マーダヴィが演じるジャーナリストが、憎むべき婦女暴行犯たちを個人的に制裁するストーリー。作中の一シーンでは、ヒロインが処刑を行うために出かけていく途中でマリーナのカンナギ像の前を横切るのだという。なお、同じエッセイでは Sindhu Bhairavi (Tamil - 1985) Dir. K Balachander のヒロインに『シラッパディハーラム』の遊女マーダヴィを見たりもしているのだが、これはちょっと穿ち過ぎのような気もする。

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cvThenali.jpgThenali (Tamil - 2000)

Director:K S Ravikumar
Cast:Kamal Hasan, Jayaram, Jyothika, Devayani, Meena, Delhi Ganesh, Ramesh Khanna, Charlie

タイトルの意味:Thenali the fool
タイトルの揺れ:Tenali

DVDの版元:Ayngaran
DVDの字幕:英語

冒頭、自分がカンナギだと言い張るイカレた老女がビルのてっぺんから飛び降りようとする場面で、説得にあたる精神科医と警官が 'Poompuhar' film song というのを歌う。これはおそらく1964年の Poompuhar の劇中歌。「きっと将来あんたの像がマリーナ・ビーチに立つよ」などと言って狂女を宥める、害のない引用。

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cvVillain.jpgVillain (Tamil - 2002) Dir. K S Ravikumar

Director:Krishnan-Panju
Cast:Ajitkumar, Kiran Rathod, Meena, Pyramid Natrajan, Ramesh Khanna, Karunas, Madan Bob, Pepsi Vijayan, Vijayakumar

タイトルの揺れ:Villan

DVDの版元:Thamilini
DVDの字幕:英語

カンナギ像の撤去後のこの作品になると、毒気はかなり強まる。例によって本筋とは無関係な挿話。バス運転手と乗客の会話の中で運転手が、ライトハウスにはカンナギは立たなかったという意味の台詞を口走る。ライトハウスとは、1977年まで塔の一部が灯台として機能していたマドラス高裁を暗示しているようだ。つまりTANSI汚職事件で最終的にジャヤラリタを無罪としたマドラス高裁に正義(カンナギ)はない、ということを言いたかったらしい。『ムトゥ 踊るマハラジャ』の監督KSラヴィクマールは時々結構キツいことを作中に盛り込むんだわな。

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cvPerazhalagan.jpgPerazhagan (Tamil - 2004)

Director:Sasi Shankar
Cast:Surya, Jyothika, Vivek, Manorama, Thalaivasal Vijay, Devan, Manobala

タイトルの意味:Most handsome guy
タイトルの揺れ:Peralagan

DVDの版元:Ayngaran
DVDの字幕:英語

劇中歌 ♪Kadhalukku Pallikoodam Kattaporen... には「チェンナイのカンナギ像は死んでしまったけれど僕の目のなかでは生き続けている」という意味の一節がある。まあ、こちらは穏やかな批判というところか。

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cvMadurae.jpgMadurae (Tamil - 2004)

Director:Ramana Madhesh
Cast:Vijay, Rakshita, Sonia Agarwal, Vadivelu, Pasupathy, Tejashree

タイトルの揺れ:Madurey

DVDの版元:Ayngaran
DVDの字幕:英語

マドゥライを舞台にしたアクション映画。批評家からの評価は低調だったようだが、パスパティが演じるローカルのドンが、公共交通に対するゼネストを命じるシーンなどは面白かった。クライマックスでは、その悪役がとある手段で大量殺傷テロを企てることになり、「マドゥライの街は再び燃え尽きるのだ、俺様の手によって」というような台詞を口にして哄笑する。

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マラヤーラム映画にもいくばくかの言及を見ることができる。

まず最初に断っておくと、ナンディター・ダース主演の Kannagi (Malayalam - 2002) Dir. Jayaraj は未見だが、カンナギ物語とは全然関係のない作品らしい。シェイクスピアの『アントニーとクレオパトラ』の翻案だという。

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1993manichitrathazhu.jpgManichithrathazhu (Malayalam - 1993)

Director:Fazil
Cast:Mohanlal, Suresh Gopi, Shobana, Innocent, KPAC Lalitha, Pappu, Nedumudi Venu, Thilakan, Vinaya Prasad, Sudeesh, Ganesh Kumar, Sridhar

タイトルの意味:Ornate Bolt
タイトルの揺れ:Manichithrathazu, Manichithra Thazhu etc.

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語

本作クライマックスの狂乱の舞のヒロインには明らかにカンナギが重ね合わされているという。なぜならその歌詞の部分に『シラッパディハーラム』の著者イランゴー・アディハルの名前がしっかりと記されているから、というキショール・クマールさんのレビュー。

The character of Nagavalli embodies the spirit of Kannaki, a vengeful heroine of Tamil epic Chilappadikaram. Writer Madhu Muttam has cleverly revealed this inspiration for the character in the Ilankovadikal chilambu nalki…. lines of the movie’s Tamil-Malayalam duet “Oru murai vanthu parthaya…“. This means that the character of Ganga has to speak Malayalam since Nagavalli is her alter-ego and the core of the story is rooted in the duality of these two closely related languages.(Can Manichithrathazhu be remade? より)

その問題の歌詞は、タミル語とマラヤーラム語の入り交じった♪Oru Murai Vandhe Parutaya の終盤の男声部分。残念ながらDVDではこの部分に英訳がついていない。

அங்கணமா மௌலிமணி anggaNamaa maulimaNi
അങ്കനമാര്‍ മൗലി മണി Ankanamaar Maulee Mani
宝冠を戴く麗しい乙女
திங்களாசே சாரூசிலே thinggaLAchE saaruusilE
തിങ്കളാസ്സ്യേ ചാരുശീലേ Thinkalaasye Chaarusheele
月のかんばせの美しさ
நாகவல்லி மனோன்மணி nAgavalli manOnmaNi
നാഗവല്ലി മനോന്മണി Naagavalli Manonmani
ナーガヴァッリ 心の宝石
ராமனாதன் தேடும்.. rAmanAthan thEdum..
രാമനാഥന്‍ തേടും ബാലേ Raamanaathan Thedum Baale
ラーマナーダンが求める乙女
மாணிக்கவாசக மொழிகள் நல்கி தேவி mANikkavAsaga mozhigaL nalgi dhEvi <×2>
മാണിക്യ വാസകര്‍ മൊഴികല്‍ നല്‍കി ദേവി Maanikkya Vaasakar Mozhikal Nalki Devi
マーニッカ・ヴァサガルの言葉を与えた女神
இளங்கோவடிகள் சிலம்பு நல்கி iLanggOvadigaL silambu nalgi
ഇളങ്കോവടികള്‍ ചിലമ്പു നല്‍കി Ilankovadikal Chilambu Nalki
イランゴー・アディハルが与えるアンクレット
தமிழகமாவிலும் சங்கார ராணி நின் thamizhagamaavilum sanggaara rANi nin
തമിഴകമാകേയും ശൃംകാരറാണി നീ Thamizhakamaakeyum Shringaararaani Nee
タミルの地の愛の女王よ
பழமுதிர் கொஞ்சலின் சோலையாயி pazhamuthir konjchalin sOlaiyAyi
പഴമുതിര്‍ കൊഞ്ചലിന്‍ ചോലയായീ Pazhamuthir Konchalin Cholayaayee
果実のように甘い睦言を交わせ
(タミル語テキストはDhoo.comから、マラヤーラム語テキストはmalayalasangeetham.infoから)

日本語訳の妥当性に関しての自信度は15%ぐらいだ。もしかして赤っ恥かいてるかも。誰か訂正しておくんなさいまし。

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cvVeeraalipattu.jpgVeeralipattu (Malayalam - 2007)

Director:Kukku Surendran
Cast:Prithviraj, Padmapriya, Jagathi Sreekumar, Murali, Jaffer Idukki, Rekha, Anoop Chandran, Suraj Venjaramoodu, Indrans

タイトルの意味:Silk cloth
タイトルの揺れ:Veeraalipattu, Anantham

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語

これについては以前のレビューでネチネチ書いた。ケララ特有の祭司ヴェリッチャパードが、男性でありながらカンナギの化身であるという説。作中では職業的な男性シャーマンが登場し、その極めてストイックな人格が描写される。しかしヴェリッチャパードの総本山、カンナギを祀ったという伝説のコドゥンガルール・バガヴァティ寺院(前のエントリーで写真を掲載した)では若干様相が異なる。この寺院の例大祭バラニ・ウッツァヴァムのカヴティーンダル儀礼では、老若男女の多数の一般信徒がヴェリッチャパードの装束で練り歩き、トランス状態の中で猥歌を高吟するのが慣例なのだという。進歩派&中産階級からはケララの恥部として糾弾され、毎年祭りに合わせて相当な抗議行動も起こされているという。タミルの正義を体現する貞節の女神に猥歌が捧げられる。カンナギ伝説に、どこかで農耕民の豊穣祈願儀礼が結びついてしまったのだな。

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cvChocolate.jpgChocolate (Malayalam - 2007)

Director:Shafi
Cast:Prithviraj, Roma, Jayasurya, Samvrutha Sunil, Ramya Nambisan, Lalu Alex, Salim Kumar, Rajan P Dev, Anoop Chandran, Sreekumar, Prem, Shari, Bindu Panicker, Vanitha, Gayatri, Shanu Majeed, Mini Arunan, Saddique

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語

もういい加減にしとこうと思ったのだが、コドゥンガルールつながりで浮上してきた。いわゆる薄毛学園青春もの。ストーリーはもちろんカンナギとは無関係なのだが、劇中で音声をミュートせざるを得ないような罵詈雑言をまくし立てるヒロインを形容して「From her abuse, it seems that she is from Kodungallur side.」という短い台詞があるのだ。つまりコドゥンガルールという地名だけで、口にするのも憚られるような汚い罵りを想起させるイメージが出来上がっているんだな。実際に祭礼で歌われる歌詞は、英訳はおろかマラヤーラム語ですらテキスト化されたものを読むのは不可能なのだろうけれど。ともかく、この短い台詞だけで、本作を見たのは決して無駄じゃなかったということになったのだ、オイラ的には。

ダラダラ続けてきた連載もひとまずはここで終えようと思う。ここまでのお付き合いに感謝。

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スリランカの古都キャンディを中心に伝承されているキャンディアン・ダンスの装束。現在でこそキャンディアン・ダンスは観光業と結びついた外貨獲得用の芸能であるが、かつては王宮の宗教儀礼の場に限定されたものだった。カンナギ寺院の建立事業に参加したと『シラッパディハーラム』に描かれているセイロンのガジャバーフ王、その末裔を自認する武人カースト・カラヴァの伝承によれば、(少なくともその源流のひとつは)パッティニ女神の神前でのみ演じられた舞踊であったという。パッティニとは、カンナギがスリランカに渡り、シンハラ人仏教徒の間で受け入れられた際の呼称。現在では仏教と国家に対する4守護神の一柱と位置づけられているという。また、『スリランカ現代誌』(澁谷利雄著)では、『シラッパディハーラム』のパロディともいえる民衆劇「ソカリ」について一章が割かれており、興味深い。

投稿者 Periplo : 05:00 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年07月04日

再編再録:カンナギは正義を求める(5)

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「2001年12月10日に立ち退かされた、タミル文化の象徴であるカンナギ像は、2006年6月3日に再び建立されることとなった、タミルナードゥ州首相Mカルナーニディ先生様によって」というような意味の言葉が刻んであるカンナギ像の台座、2007年4月撮影。

カルナとジャヤ、汚職まみれのポピュリスト政治家という大枠では同じ穴の狢なのだが、細かく見ていくと作風が違う面もある。

カルナはDMK創始期のイデオロギーに強い愛着を抱いており、それが現在でもアイデンティティの中心となっているように見受けられる。1968年にマドラスで行われた第一回国際タミル学会に際してカンナギ像が建立されたのも、当時の州公共事業相だったカルナの肝入りだった。タミル文化とタミル同胞への熱い思いからスリランカの「タミル解放の虎(LTTE)」のタミルナードゥ州内での活動を半ば公然と支援し、後に窮地に立たされるような甘さも持っている。筋金入りの無神論者で、現在でも折にふれては涜神的な言辞を弄して人々の神経を逆なでするのが楽しいようだ。ネポティスムも有名で、3人の妻との間にもうけた6人の子供をはじめとした一族の経営する企業を通じての蓄財と、特にマスコミ業界での独占ぶりには他の政治家の追随を許さないものがある。現在のタミル映画のプロダクション・ハウスの有力な3社 Sun Pictures(カラーニディ・マーラン所有)、Red Giants Movies(ウダヤニディ・スターリン所有)、Cloud Nine Movies(ダヤーニディ・アラヒリ所有)がカルナの親族の企業というのは凄いことだ。一方で歴史ある老舗中の老舗 AVM Production(余談だがここのギャラリーはお宝がざっくざくだ)は Sivaji the Boss (Tamil - 2007) Dir. Shankar のTV放映権を巡ってのカルナ一族の内輪揉めに巻き込まれて、よく分からない経緯から一時は映画制作から手をひくというところにまで追いつめられてしまったという。

カルナータカ州マイソール出身のマンディヤム・アイヤンガール(タミル起源のバラモンの一派)であるジャヤラリタにとっては、ドラヴィダ運動の大義はそれほど大きなプライオリティを占めていないようだ。ヒンドゥー寺院における動物供犠(ダリトをはじめとする低位のカーストに特有の宗教慣行)を法律で禁じようと試みるなど、高位ヒンドゥーの価値観を政策に反映させることも少なくない。また大僧院の貫主や有名風水師を非公式な政策顧問としていると批判されることもある。カルナとは対照的にLTTEに対しては断固たる姿勢で臨んだため、常に暗殺の危険に晒されていた。あの特有のジャヤ様マントの下には防弾チョッキを纏っているという噂もある(単に豊満すぎるお肉を隠すためという説もあり)。浮いた噂は多々あったが独身を通しており、また政治家となった時点でマイソール時代の親戚とは縁を絶ってしまっているためネポティズムの入り込む隙は本来ないはずなのだが、代わりに「親友」シャシカラ女史とその一族への度の過ぎた利益誘導を行い、それに端を発する疑獄事件で起訴されたりもした。90年代後半にはそのシャシカラの甥であるVNスダーカランを養子に迎え、彼とシヴァージ・ガネーシャンの孫娘サティヤラクシュミとの婚礼にあたってはこれ見よがしの巨額の散財によって多く有権者の反感を買った。そのスダーカラン氏とも間もなく絶縁し、敵対する間柄となってしまった。不世出の名優の孫娘は今どうしているのだろうか。

なんの話してたんだっけ?

そうそう、カンナギ像はエグモルにある州立博物館に安置されていることを州政府(AIADMK)が白状したというところまで来てたんだった。DMK支持者を中心とした人々は、抗議デモを行ったり像の復帰を求めてマドラス高裁に申し立てたりしたが、当局はこうした動きに対してはのらりくらりかわすという戦術に出た。

この時点(2001年末~2002年初頭)の州首相はOパンニールセルヴァム。遡ること5年前、1996年にDMKが州政権に復帰し第四次カルナーニディ内閣が発足すると、それまでの第一次ジャヤラリタ内閣時代の汚職が続々と告発されることとなった。最も重篤だったのはTANSI事件と称された一連の土地不正取得疑惑。下級裁判所から始まり幾度もの判決と差し戻しを経て、2000年9月にマドラス高裁の差戻し予審特別法廷はジャヤラリタを有罪とし、2つのTANSI関連裁判―「ジャヤ・パブリケーション」事件と「シャシ・エンタープライズ」事件―でそれぞれ懲役3年と2年の刑を言い渡した。控訴はしたものの、これによりジャヤラリタは2001年5月の州会議員選挙への立候補資格を失うことになった。その州会議員選挙では皮肉にもAIADMKが圧勝。ジャヤラリタが議員でないにもかかわらず、州議会は圧倒的多数で彼女を州首相に選出し、州知事ファティマ・ベーヴィが公式に任命した(第二次ジャヤラリタ内閣)。

しかし同年9月には、州議会のメンバーでない者が、刑事事件で有罪・実刑判決を受けながら州首相に就任するのは、憲法に照らして重大な逸脱行為であるとして、最高裁がジャヤラリタを州首相不適格とする判断を下した。ジャヤラリタの州首相就任の合法性に異義をとなえた弁護士らによって6月20日に申し立てられたこの裁判は9月21日に判決が言い渡され、最高裁始まって以来のスピード判決となった。これによりジャヤラリタは組閣4ヶ月目にして辞任を余儀なくされ、財務大臣のパンニールセルヴァムが首相となっていたのだ。

そして2001年12月4日、結局マドラス高裁は全ての告訴案件に関してジャヤラリタを無罪と判断した。カンナギ像にトラックが衝突する「事故」の2日前のことである。これによって再び立候補資格を得たジャヤラリタは、補欠選挙でアンディパッティ選挙区から出馬し当選し、2002年2月には再び州首相に就任することとなった(第三次ジャヤラリタ内閣)。

カンナギ像の撤去は、ジャヤにとっては唐揚げ親爺の道頓堀投げ込みと同じ歓喜の表現だったのではあるまいか(あ、飛ばし杉?)。

カルナが躍起になって旧態復帰を求め、州政府が移設のための(または時間稼ぎのための)特別委員会を発足させ、そしてマドラス高裁が仮処分の名のもとにペンディング状態にしたカンナギ像のニュースはその後しばらくネット記事から消えた。次に見つかったのは、2002年8月のThe Hindu 記事。カルナの指揮のもと新しいカンナギのブロンズ像が製作中で、像をDMK本部にも近いテイナムペートのロータリーに設置する許可を州政府に求めていくということだった。翌2003年の1月13日 The Hindu 記事では、その銅像の除幕式が報じられた。州政府は設置申請を約半年間ペンディングにした挙げ句結局却下し、DMK側はやむなくアンバラガンにある同党青年部の敷地内に設置場所を変更した。この件に関してのカルナの恨みがましい言明。

Mr. Karunanidhi recalled that when he was Chief Minister, he had permitted installation of a statue of the former Chief Minister, M.G. Ramachandran, in Dindigul in a very short period.(上掲記事より)

そして2006年5月、州会議員選挙で再び与野党が逆転し、政権の座に返り咲いたカルナ。82歳の老人は(モノクロ時代の泰西コスプレ騎士道タミル映画よろしく)とるものもとりあえず囚われの愛しい人のもとに駆けつけた。そして姫を再び玉座に据えてめでたしめでたし。

しかし、その5年後の2011年5月、州会議員選挙で再び与野党が逆転し、政権の座に返り咲いたジャヤ。いったいこの先どーなる…(続く)。

Jayalalitha
カンナギ像不在時代(2005年3月)にチェンナイで撮影。像が設置されていた場所を見下ろすような位置に掲げられていたジャヤ礼賛横断幕。「美しきタミル語の守護者ジャヤラリタ様万歳」という趣旨のもの。小さな八つの丸の上には上から時計回りに「アハナーヌール」「ティルックラル」「シラッバディハーラム(=カンナギ物語)」「クルンドハイ」「カリットハイ」「アリヴィヤル・タミル」「プラナーヌール」「ティルップガル」という古代よりのタミル文学の精華の題名が記されている。「文人政治家」カルナへのあてつけであることは言うまでもない。

投稿者 Periplo : 22:33 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年07月02日

再編再録:カンナギは正義を求める(4)

dravidians.jpg
左上:ラーマスワーミ・ナーイッカル(ペリヤール)/右上:アンナードゥライ/左中:MGR(MGラーマチャンドラン)/右中:ジャヤラリタ(young)/左下:Mカルナーニディ/右下:ジャヤラリタ(still young)

19世紀末から20世紀初頭にかけての貝葉文献発見からおこった古代文学の再評価、いわゆる「タミル・ルネッサンス」に寄するところが大きかったのは、当然ながら唯一の知識階級であったバラモンである。しかしその古代文学が後になって反バラモン運動の支柱のひとつとなったというのは何とも皮肉なことである。

現代のタミル女性がカンナギをロールモデルとして仰ぐことはあり得ないと言った私に対して、とある男性の物書きは「君にはタミル人の心は分からない。だって君はバラモンなんだから」と応じた。(以前にも 紹介したことのある Cut-outs, Caste and Cine Stars: The World of Tamil Politics [Vaasanthi, Published by Penguin Books India, April 2006] P.93より)

今日から振り返れば、20世紀前半のドラヴィダ民族主義運動には、社会の最上層にあったバラモン階級の既得権益を奪取しようと「そのすぐ下」の人々がおこした権力闘争という側面があったことは否定できない。そうした運動に、この時代の絶対的正義であった「民族自決」という新しい思潮を織り込んだところに、初期のイデオローグたちの理論構築の天才的な巧みさがうかがえる。

ドラヴィダ人とアーリア人、この二つの民族の区分は、時代が下り研究が精緻化するほどに曖昧になって来ているようなのだが、政治の場で求められるのはもちろん学術的な正確さではない。

MGR, Jayalalitha
チェンナイ市Tナガルの住宅街で撮影、2005年3月。

 何がタミルナードゥの政治を他と違ったものとしているのだろう? 文化的・歴史的に、タミルナードゥは常にインドの他の地域と際立った違いを見せている。ここで話される言語は、インドの他の土地のものとは異なっているし、ドラヴィダ民族主義者がワダモリ(北の言葉)と呼ぶサンスクリット語にルーツを持つ他の南インド諸語とさえ違うのだ。もしサンスクリット語が「デーヴァ・バーシャ」(神の言葉)であるとするなら、タミル語は詩神そのものなのであるとタミル人は言う。それはサンスクリットと同等に洗練された独自の文法を持つだけでなく、構文、語彙も他とは異なる。文学としての伝統は3000年以上に渡っているのだ。
(中略)
 最も重要なのは、タミルナードゥのカースト構造もまた北インドとは異なっているという点だ。ヴェーダ聖典の説く4つのヴァルナ(カースト)を、そのまま文字通りにタミルナードゥに当てはめることはできない。イギリスによる統治の開始以前には、タミルナードゥの社会的位階はかなり流動的なものだった。しかし植民地時代のカースト制度の法制化によって、バラモンのすぐ下に位置していた諸集団は画一的にシュードラと規定された。彼らがそれまで自分たちが優位に立っていると見なしていた下層カーストと同等とされてしまったことにより、位階の流動性が減じ、社会的緊張が高まり、結果としてドラヴィダ運動が生まれたのである。英国統治下のタミル社会では、英語教育を受けたバラモン階層が政治と社会活動における実権を寡占していた。宗教的根拠からの優越性や浄不浄の概念をたてにして、他者を見下し傲慢に振る舞うバラモンたちが実権を独占することには社会的不満が募っていた。
  ここで19世紀の末に進行していた二つの現象に目を向けたい。ひとつは古代のタミル文学と宗教的伝統を再評価する古典主義の勃興、もうひとつはタミル語の現代化と同時代性の強化への試みである。言語学上の様々な発見は、「(侵略者である北のアーリア人によって)抑圧されたドラヴィダ文明」理論と結びつけられた。タミル・バラモンはサンスクリットの影響の濃い方言を話すため、アーリア人の子孫と看做され、また様々な局面で、タミル人とは異人種であるとされた。 バラモンの「寡占」に対する義憤は、こうしてバラモンとその他の集団の人種的・文化的な差異と結びつけられたのだ。それは世紀の変わり目に今度は「権利の言葉」として広まり、非バラモン階層によるカースト制度への疑義を後押しした。インド独立に際して、ドラヴィダ民族主義者たちがこれら全てを理由として分離独立を唱えたのは当然といえるだろう。タミルナードゥの人々とその政治が、国政レベルでも、地方自治レベルでも、他とは異なった反応を示すのは、これらを考え合わせれば決して驚くべきことではない。(前掲書、序章XII-XIVより)

先住民族の天地であった南インドにドラヴィダ人が北西インドから進出してきたのは紀元前1000年頃と言われている。ドラヴィダ人と先住民の両者が交わり合いながら、ムルガン神や地母神などを崇拝する独自の宗教が生み出され、今日の文化の基層を作った。紀元4-5世紀ごろ以降、当時の文化先進地域であった北インドからアーリア人がジャイナ教、続いて仏教を携えて南下し、在地の王権に密着して支配階層として定着した。
 
やがて北インドでヒンドゥー教が隆盛となり、6-8世紀ごろから今度はヒンドゥー教ミッションとしてのバラモン階級アーリア人が各地の王の招きに応じて移住し、ヒンドゥーの教義のみならず、先進的な農業技術や学術全般、そして新しい社会秩序をももたらした。すなわち、社会的最高位に位置するバラモンが財政上の庇護者である王(実質的にはシュードラに属する武人)にクシャトリア階級としての権威づけを行う(神話上の英雄にまで遡る系譜の作成など)ことにより王権の正統性を保証し、一方王は寺院に寄進を行い、また広大な寺領の管理権を付与する、という相互依存関係に基づく支配体制の確立である。

移住の初期において、アーリア人とドラヴィダ人の外見上の差異は際立ったものであったのかもしれない。移住したバラモンは現地人との混血を嫌い、コミュニティ内での婚姻に固執することによって正統的なヴェーダの解釈とアーリア人の純血を保とうとした。南インドにおいては少数の支配階層以外の一般民衆はほとんどがシュードラか不可触民と規定され、またヒンドゥー教発祥地の北インドにも例を見ないほどの、徹底した浄・不浄観に基づく苛烈な不可触民差別を生み出した。英国支配時代に植民地官僚として現地人社会のトップに立ったのも、唯一の知識階級を自認したバラモンがほとんどだった。この構造は今日でも大枠に変化はないと主張する人々もいる。

バラモンが誇るヴェーダ解釈の正統性はともかく、アーリア人の純血性というものが歴史の中で溶解していったことは想像に難くないが、フィクションであったとしても少なくとも支配・被支配の構造の中では機能を保ち、支配側・被支配側どちらにとってもバラモンは外来人種として認識され続けたのである。そしてこれが20世紀に入って盛り上がりを見せたドラヴィダ運動=反バラモン運動の推進者たちのバラモン攻撃の根拠ともなった。

Periyar
Periyar (Tamil - 2006) Dir. Gnana Rajasekaran のポスター。タイトルロールを演じたのはサティヤラージ。

 ジャーナリストとして、タミル史のもっとも劇的な時代を目撃できなかったことは残念だ。私はペリヤールの演説を聴くこともできなかったし、反ヒンディー語闘争も、 そしてその際に「母なるタミル」のために自らの命を投げ打つことも辞さなかった人々の信じがたい情熱も目撃することはできなかった。全インド的レベルでドラヴィダ系の人々を疎外すると見られたヒンディー語(の義務教育)導入に対して、タミルナードゥは挑んだのである。タミルナードゥは分離主義の悪名を得た。その悪名は轟き、DMKが1967年に会議派から政権を奪取する以前に分離独立要求を取り下げていたことが、他の地域では長らく知られなかったほどであった。外側の世界はタミル・ショービニズムを弾劾し、封建主義的で反国家的と決めつけていたが、実際のタミルの人々が時に地域政党を支持しながらも一貫して統一インド国家を指向し続けてきたことは見逃されていた。非タミル人には知られていないことだが、「タミリナ・タライヴァル(タミルの指導者)」と称えられたペリヤールは家庭では母語であるカンナダ語を話し、タミル語を「粗野な言語」と貶めたことさえあった。外から眺める者は、MGR(MGラーマチャンドラン、スリランカ生まれのケララ人)が2期以上にわたって州首相を務めたことには、首を捻ってしまうだろう。
 「MGR現象」は国中を困惑させた。タミルナードゥは自尊運動に裏打ちされた熱烈なドラヴィダ民族主義的イデオロギーからポスター崇拝へと明らかにシフトしていたからだ。政治家達はこぞってサングラスを身につけるようになり、これはタミル政治のシンボルとなった。全てが等身大とはかけ離れ、銀幕とチェンナイの街頭は区別がなくなった。マチネー・アイドルだったMGRは生ける神となり、トレードマークである毛皮帽とサングラス、金時計を身につけた肖像画をまつる寺院が建てられた。外の者にとっては狂気の沙汰としか思えない。タミル人のインテリ(もちろん少数派だが)は羞恥に頭を垂れた。貧しい者たちはよくわからない理由から彼を救世主として崇めた。しかし、州内外の彼の批判者たちですら評価せざるを得ない事柄もあった。それは全州をあげて実施された小学校での無料給食(昼食)制度である。
 元女優で今はタミルナードゥ州首相であるジャヤラリタに会ったことがある。この時彼女はMGRが創設した政党AIADMK所属の上院議員としてデリーを訪れていた。インタビューの中で、MGRの神格化が荒唐無稽のレベルにまで達していると私が論評したのに対して、彼女は鋭く言い返した。「タミルナードゥの何を知っているというの? デリーにいながらタミルナードゥを批判するのはやめなさい。来て自分の目でよく見るんですよ。なぜMGRが神として崇拝されているかを。」
 私がタミルナードゥを訪れるチャンスを得た時には、MGRは既にこの世にはいなかった。けれども彼の名前がいまだに魔法を引き起こすのを実見した。この時には、自分こそが選ばれた彼の後継者なのだと主張することによって、ジャヤラリタが権力の座についていた。タミルナードゥは、それまでに住んだ他のどの州とも全く違う場所として私の目に映った。ジャヤラリタは正しかったのだ。 時々訪れる余所者であることと住人であることは別のことなのだ。土地のエトスと人々の精神を理解するのにはかり知れないほど多くを学んだのだ。私のタミルナードゥからの距離ゆえに、それまで知り得たドラヴィダ民族主義の概念の多くが観念的なものでしかなかった。もし私がタミルナードゥの住人であったならば、それらはより深く直感的なものだっただろう。しかし同時にその隔たりによって、私はタミルナードゥの政治との出会いにおいて、物事をより明確に、そしてたぶんより客観的に測ることができたのだと思う。これはこの土地で生まれ育っていたとしたら不可能だっただろう。(前掲書、序章X-XIIより)

南インドの特殊なカースト構成のなか、バラモンによる社会的利益の独占は、英国統治下でむしろ強まる傾向にあったが、それに対して異を唱える動きが20世紀の初頭から始まった。それは主に商工業にたずさわる様々なカーストの裕福な人びとによって担われることとなった。1916年に発足した思想結社「正義党」によるマニフェスト「非バラモン宣言」では、バラモン=侵略異民族であると規定し、被抑圧民族としてのドラヴィダ人の復権を唱えた。のちに正義党の中心人物となったラーマスワーミ・ナーイッカル(ぺリヤール)によって1920年代後半に開始された「自尊運動」においては、サンスクリット的=ヴェーダ的な知識体系を否定し、タミル人固有の知性の確立を目指した。やや前後して19世紀末ごろから、サンガム文学をはじめとする古代タミル文学作品の貝葉文献が発見され、注釈が付され印刷されたテキストとして出回りはじめるようになる。それら文学作品に展開されている、ヒンドゥー教一色に染めあげられる以前の古代タミルの闊達な世界は、タミル人に自尊心をもたらし、ドラヴィダ民族主義者たちの反サンスクリット的心性、タミル文化の卓越性のイデオロギーを補強するものとなった(第一次タミル・ルネッサンス)。

一方政治の世界では、1937年に限定的な自治政策のもとでマドラス管区で州議会選挙が行われ、国民会議派の州政府が誕生した。この政府による翌1938年のヒンディー語義務教育導入の試みに対して、激しい反発が巻き起こり、反ヒンディー語運動に発展した。1944年には正義党が発展した「ドラヴィダ連盟(DK)」が発足し政党活動を開始した。ぺリヤールの思想はより先鋭化し、ドラヴィダ人による独立国家「ドラヴィダスタン」構想、反バラモンからさらに進んだ反ヒンドゥー教・無神論・偶像破壊へといたった。後者は合理主義(rationalism)と称されて、絶対的少数ながら今日でもドラヴィダ民族主義知識人のなかにその系譜(たとえばMカルナーニディ)を見ることができる。

インド独立後の1949年、ぺリヤールの再婚問題をきっかけとしてDK内部に亀裂が生じ、アンナードゥライをリーダーとする「ドラヴィダ進歩連盟(DMK)」が発足した。DMKはより穏健な政策を打ち出すことによって大衆的な支持を集め、政権党を目指した。すなわち、ぺリヤールのドラヴィダスタン構想に対しては地方分権の拡大、無神論に対しては政教分離である。1967年、DMKは国民会議派から政権を奪取し、これ以降タミルナードゥ州政権は非会議派政党が担うこととなる。

DMKはその創始期から大衆啓蒙・動員の手段として映画に着目していた。識字率が低くマスメディアも未発達な状況のもとでは、古典文学を引き合いに出してタミル文化の優位性を唱えるだけでは不十分だったからである。アンナードゥライ党首、そして党指導部の有力者Mカルナーニディはもともと文学者・映画脚本家として地歩を築いていた。彼らが脚本を担当したイデオロギー色の強い映画作品群はDMK映画と総称され、党の啓蒙・宣伝戦略に大きな役割を果たした。貧困層出身の主人公がバラモンの悪徳・偽善を告発し、また近代化を阻む迷信的宗教慣習を糾弾するというのが、典型的なDMK映画の筋書きである。

しかし1950年代末ごろからDMK系映画の作風にも一定の変化が現れる。政権獲得がより現実味を帯びてくるのに対応して、あからさまにプロパガンダ的な作風からソフトな娯楽路線へと軌道修正が行われたのである。社会不正の告発や宗教批判は薄められ、定型的な勧善懲悪ヒーローものが主流となった。こうした流れのなかでトップスターの地位を不動のものにしていたのがMGラーマチャンドラン(MGR)である。巡回演劇の俳優からスタートし、長い下積み期間も経験していたMGRは、マチネー・アイドルとしてのカリスマ的な人気をかわれてDMK入りし、そのファンクラブは集票マシンとして1967年の政権獲得にも大いに貢献した。しかしアンナードゥライの後を継いで党首となったカルナーニディと対立し、1972年に「アンナ・ドラヴィダ進歩連盟(ADMK)」(その後「全インド・アンナ・ドラヴィダ進歩連盟(AIADMK)」と改称)を旗揚げし、自ら党首となった。1977年選挙でADMKは圧勝し、1987年のMGR急死に到るまでの11年間、政権を維持し続けた。

中央政府への対決姿勢においてはDMK、AIADMKの両党は共通している。1965年にインド政府がヒンディー語を第一公用語と定め、これを全インドに適用しようとしたことに対して、DMKはアーリア支配体制の強化に他ならないとして全州で激烈な抗議運動を展開した。前年の1964年には第一回の国際タミル学会が開かれ、タミル・ナショナリズムを大いに盛り上げることとなった(第二次タミル・ルネッサンス)。以降、国際タミル学会は回を重ねる毎にプロパガンダ色、政治色を強め、その時々の政権党がより前面に出るようになる。

州内政治においては、両党の間で政権が交代すると、新政権が前政権の要人を告発(時には逮捕)するという「伝統の一戦」が定着した。MGRの死後、 AIADMK党内の権力闘争に勝利したのは、長らく映画上でMGRの相手役をつとめ、実生活上の愛人であったともいわれるジャヤラリタだった。ジャヤラリタはバラモン出身、なおかつ女優時代は多くの神話映画で女神役を演じて人気を得ていた。ここにおいてドラヴィダ民族主義二大政党間のイデオロギー的な色分けはほぼ霧散し、宿命のライバルであるカルナーニディとジャヤラリタが果てしない死闘を繰り広げる劇場型ポピュリズムがタミル政治のスタイルとして定着したようである。

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以上のようなことを7年前に書いてから、シーソーゲームの状況は変わっていないように思われた。ところがこの5月の政権交代である。携帯電話通信事業における巨額の汚職事件に深く足を取られたカルナーニディ(州首相として5期を務めた)のDMKは、これまでの政権明け渡しとはレベルの違う壊滅的な打撃を受けたように見える。ジャヤラリタが4回目(4ヶ月で解任された2001年度も含む)の州首相就任を果たしたAIADMKは天敵のいない圧倒的与党としてこの先も盤石であり続けるのだろうか。折しも上に長々と引用した Cut-outs, Caste and Cine Stars: The World of Tamil Politicsヴァサンティ女史による新刊のニュースが舞い込んできた。その名も Jayalalithaa - A Portrait である。しかし本書は各方面からの圧力により現在出荷停止状態となっているらしい。無事に上梓されれば、これまで御用学者による翼賛的評伝しかなかったジャヤラリタのバイオグラフィーに光が当てられることになると思えるのだが…。当ブログ筆者もこの先の進展を固唾をのんで見守るつもりである。

Photobucket
MGR、ジャヤラリタ共演の Thedi Vandha Mappillai (Tamil - 1970) Dir. P R Panthulu のポスター。画面中央の人物はアンナードゥライと思われる。MGR映画は今でもマチネー・ショーを中心としてリバイバル上映されることが少なくない。

投稿者 Periplo : 23:57 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年06月11日

再編再録:カンナギは正義を求める(3)

今から7年前に(既に消滅してしまった)雑記帳に、「どうしてタミル映画には古典叙事詩『シラッパディハーラム』を扱ったものがないのか」などと書いたことがあるのだが、その後に書籍資料やネット上の証言が少しずつ手元に集まり、分かってきたこともある。7年もかけてほんの僅かばかりの前進。

カンナギの物語を映画化したものは、トーキー以降の制作でプリントが現存しているものとしては、これまでに3作があることが分かった。いずれもモノクロ映画。

1.Kannagi (Tamil - 1942) Dir. R S Mani *Pasupaleti Kannamba as Kannagi
■文献:
インド映画百科事典:P.294
タミル映画百科事典:Part28-P.30
タミル映画精選:Vol1-P.58
■メディア:DVDがリリースされているらしい、未入手

2.Poombuhar (Tamil - 1964) Dir. P Neelakanthan *Vijayakumari as Kannagi
■文献:
インド映画百科事典:掲載なし
タミル映画百科事典:紹介なし、Part18-P.15に作品名のみ記載
タミル映画精選:掲載なし
■メディア:Raj Video Vision (ここの子会社)から何らかのビデオが発売されている模様、未入手
■タイトルはカンナギ物語の前半の舞台となったチョーラ王国の貿易都市の名

3.Kodungallooramma (Malayalam - 1968) Dir. M Kunchacko *K R Vijaya as Kannagi
■文献:不明
■メディア:Harmony Videos よりVCD、カバーイメージはこちら
■タイトルは(カンナギを祀る寺院があるケララ中部の町)コドゥンガルールの女神という意味

もちろんこれで全部という確証はない。手持ちの資料で確認できるのがこれで全部ということだ。それからカンナギのモチーフが部分的に使われたり、カンナギの名前が意味ありげに言及されたりする作品となるとかなりの数になる。これについては後日改めて紹介したい。

ネット上の資料も多くはない。一番情報量が多いのが、ケララ人評論家Bヴィジャヤクマール氏による、The Hindu に掲載のエッセイ Kodungalloramma - 1968(同じ内容は氏の個人ブログにも掲載されている)。タイトルこそ上の3を示しているが、実際はサイレント時代の作品群にまで言及のある、充実した「カンナギ映画」史となっている。

当ブログの筆者がこれまでに全編を実見できたのは3のマラヤーラム版のみ。ヴィジャヤクマール氏によれば、これは1の1942年タミル版のリメイクで、質的には名作の誉れ高いオリジナルには遠く及ばないものだそうだ。オリジナルでのパスパレティ・カンナンバのヒロインはカンナギその人を現前させたかのようだと喝采されたという。

比較して論評することが叶わない筆者ではあるが、たしかに3のヒロイン「微笑みの女王」KRヴィジャヤは、熱演しているもののやはり優しすぎるように思える。とはいえ本作は、古代叙事詩のストーリーをなぞりながらも、末尾ではカンナギを祀るケララ州中部沿海部コドゥンガルールのバガヴァティ寺院の縁起で終えるなどという(おそらくマラヤーラム版独自の)工夫が施されており興味深い。

ここで気になるのが、2の1964年タミル版である。脚本担当は、あの(2011年5月までタミルナードゥ州首相だった)Mカルナーニディ。気合いの入った出来映えが予想されるのだが、上に挙げたように書籍資料上では(ウェブ上でも)ほとんど黙殺されているのだ。

上に紹介したヴィジャヤクマール氏によれば、

In 1964 Kannagi's story was remade in Tamil as ‘Poompuhar' with M. Karunanidhi's script and dialogues. However, the performance of Vijayakumari as Kannagi did not impress. The film flopped. The impressive dialogues written by Karunanidhi for the film is reflected in those written by Jagathi N. K. Achari for the Malayalam film ‘Kodungallooramma'. The film was directed by M. Kunchacko. (The Hindu, Kodungalloramma - 1968 より)

なのだそうだ。そんなにも2はヘボいものだったんだろうか。1968年のマラヤーラム版は、スクリプトの一部では1964年の2の影響を受けながらもさらにそのオリジナルである1942年の1を受け継ぎ、同時に1914年から南インド各地で上演されていた「ミュージカル・オペラ」‘Kovalan Charitham' を始めとする舞台劇からも要素を取り込んでいるらしい。1~3は同じ叙事詩を元にしていながらそれぞれに異なった造りになっていたのだろうか? 

なんてことをぼや〜んと考えていたら見つかったのが、冒頭に埋め込んだ2の1964年タミル版のクライマックスシーンのビデオ。

…いや、鬼気迫るとはこのこと。ビリビリと来るような凄いシーンじゃないですか。ヴィジャヤクマーリという女優は初めて見たのだけれど、この芝居の前にはやっぱりKRヴィジャヤは霞むわ。なぜこれが評価されなかったのか。長々とした演説を取り込んだDMK映画風のスタイルが既にこの時点では観客の嗜好に合わなかったのだろうか。しかしこのヴィジャヤクマーリの演技すら、「さして印象的なものではなかった(上の引用文から)」というのだから、1942年版のパスパレティ・カンナンバのカンナギはいかばかりのものだったのだろう。

やっぱりこれはどうしても観てみたい。ディスク探しに何年ぶりかにチェンナイを訪れるべきなのだろうか、などとマジに考えてしまうのだった。

Kodungalluramma3.jpgKodungalluramma2.jpg
Kodungalluramma4.jpgKodungalluramma1.jpg
Kodungallooramma (Malayalam - 1968) より

投稿者 Periplo : 16:52 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年05月22日

再編再録:カンナギは正義を求める(2)

Photobucket

前回掲載の写真とだいたい同じアングルからの、復活したカンナギ像、2007年4月撮影。画面には写っていないが、カンナギ像をトラブルから守るべく常駐の警官が1名配備されているのだった。


どうして自分がこれほどまでにカンナギの物語に心惹かれるのか、考えてはみるのだが、はっきりとした答えが見いだせない。気に入ってる要素を色々と反芻してみると、最初に来るのはやはり古代の原タミル文化みたいなものが感じられるという点だろうか。

カンナギが主人公である5世紀成立の叙事詩『シラッパディハーラム』(シラッパディガーラムとも)、それから1〜3世紀に成立したとされるサンガム(シャンガムとも)文学と総称されるユニークな詩文学、この二つは、北インドからヒンドゥー教+サンスクリット文学がもたらされて南インド全般を変容させる以前のタミル文化の最古層を物語ると言われている。もちろんこれには幾重もの留保が必要。例えば『シラッパディハーラム』中にもバラモンを敬うことの大切さに関する記述がはっきりみられるし、なおかつ作者のイランゴー・アディハルはジャイナ教徒であるとされている。また、ジョージ・ハートなど(タミル民族主義から比較的自由な)非インド人による研究は、古代においてタミル世界が既に充分にサンスクリットの影響を受けていたこと、同時にタミル語がサンスクリット語にも少なからぬ影響を与えていたことなどを教えてくれる。さらに厳密には、最大で数百年の時差があるサンガム文学と『シラッパディハーラム』を同列に語ることも、学術的にはすべきではない。

そういったことを念頭に置いたとしても、それでも『シラッパディハーラム』やサンガム詩が描き出すのは、中世のバクティ運動や英国支配下でのピューリタン的社会規範強化を経た今日のタミルとはずいぶんと違う、野性的で闊達、同時に晦冥さも併せ持つ、大変に魅力的な異世界である。

『シラッパディハーラム』は古代叙事詩であるが神々や英雄がメインではなく、若い女性が主人公というところもユニーク。そしてまた殷賑を極めたパーンディヤ王国の首都マドゥライが灰燼に帰すという「滅びのうた」であること。貞節の尊さや王位にあるものの務めというモラルの提示ももちろんあるのだが、読んで一番心に残るのはやはりカンナギの怒りの強力さだ。無実の罪で夫を殺され、正義が踏みにじられたことへの怒り、何をどうやっても最早取り戻せないものがあるということへの狂おしい悶え、直接的に責任をもつ王が絶命しても納まりきらず、自身の身体を損壊してもまだ鎮まらないこの憤激が、異様なほどのリアリティをもって読むものに迫ってくる。怒りという感情の純粋結晶を取り出して見せられているかのように。一方で、カンナギの夫コーワランと遊女マーダヴィの関係が破局を迎える場面が描き出す、まるで近代小説のような微細な心理の綾にも感嘆する。

山岳部族民が顔を覗かせる場面も大変に印象的。ストーリーの中では能動的な役割を担うことはなく、また既にこの時代において平地の民(ドラヴィダ人)に対してやや従属的な地位にいることが読み取れるのだが、同時にその固有の生活様式には一定の敬意が払われ、今日のような底辺に押さえつけられた人々という扱いではない。たとえば、タミルナードゥ州西端のポッラーッチの山岳部に住むムドゥヴァンという部族民は、マドゥライの大火の後カンナギに付き従って道行きし、その昇天を見守ったという伝承を今日でもアイデンティティとして持っていたりする。


それから、舞台となる土地の象徴性。カンナギが生まれ、結婚して家庭を築くのはチョーラ王国きっての海港都市 プーンプハール(プハールとも)。カンナギと夫のコーワランは、この地で有力な商人の家に生まれた似合いのカップルだったが、結婚後ほどなくして夫は遊女に溺れ、家業を顧みなくなる。カンナギは商家の妻としての社会的な務めを果たしながら耐え、最後に無一文になって戻って来たコーワランを再び迎え入れる。

カンナギの輿入れの際の婚資で唯一手元に残った宝石入りのアンクレット(こういう形状をしている)を元手にしての再起を誓った二人は、南にあるパーンディヤ王国の首都マドゥライに向かう。マドゥライに着き、コーワランはアンクレットを売りに宝石商を訪れる。宮廷に出入りする邪な宝石商は、王妃の真珠入りのアンクレットを盗み出したところだった。何も知らずにやってきたコーワランを盗人に仕立て上げて王宮に突き出し、コーワランは碌に査問も受けないうちに首を刎ねられてしまう。それを知ったカンナギは一人王宮に向かい、王妃の元に戻されたアンクレットを叩き割り、中から迸り出る宝石を示すことによって裁きの不当性を明らかにする。自責の念に耐えきれず王と王妃はその場で絶命するが、それでもカンナギの怒りは収まらない。彼女は自分の乳房をもぎ取り投げつける。するとそこに火の神が現れてマドゥライの街を焼き尽くす。

慟哭しながら原野を彷徨っていたカンナギは、 チェーラ王国に入り込み、ペリヤール川の岸辺のヴェーンガイ樹の下で天人たちに慰撫されながら昇天する。後日その有様を在地の部族民から聞いたチェーラ国王チェングットゥワン(シェングットゥワンとも)は深く感銘し、軍を率いて北インドに遠征し、ヒマーラヤ山塊から巨岩を切り出して持ち帰り、カンナギ像を彫らせ、首都ワンジ(比定地については諸説ある。タミルナードゥ州内陸部の カルール、ケララ州中部沿海部コドゥンガルールとも言われ、紛糾している)に壮麗な寺院を建設してその像を祀ったという。

つまりカンナギ物語はチョーラ、パーンディヤ、チェーラ(今日のケララ)の古代タミル三王国を律儀にカバーしているのだ。この地理的な広がりは、反アーリヤ=汎タミルを押し進めたい20世紀のドラヴィダ民族主義者にとっては、大変に好都合なものと映ったに違いない。それに、カンナギ物語の神がかったところの少ないナレーションも無神論を標榜する運動家たちに歓迎されただろう。一方で、矛盾するようではあるが、南インド全域に広まっている女神(しばしば名前を持たず、恩寵とともに厄災をももたらす両義的な存在としての女神)への崇拝と重なり、一般民衆にもカンナギ、あるいはカンナギ的な存在への信仰は浸透していた。サンガム文学の中に少数ながら存在する男性の英雄を差し置いて、カンナギが古代タミル民族を代表するキャラクターとして前面に押し出されたことには、そのような背景があったものと推測される。

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ケララ中部、コドゥンガルールにあるバガヴァティ寺院。魔物を殺したバドラーカーリーが本尊だが、この女神はカンナギと同一であるとされている。コドゥンガルールが古代チェーラ王国の首都ワンジであるとの説をとる学者は、この寺院をチェーラ王の建立したカンナギ寺院であると見なしている。


【素人臭い書誌】
シラッパディハーラム アンクレット物語(イランゴー・アディハル著、彦坂周・訳注、きこ書房刊、2003年、絶版)は、続編の『マニメーハライ』と並んでの貴重な日本語訳。しかし、日本語でシラッパディハーラムを語るにあたっての定本として良いのかどうかについては疑問が残る。本書のP.275-276の詩編は、『エットゥトハイ 古代タミルの恋と戦いの詩』(高橋孝信・訳、平凡社東洋文庫、2007年)のP.113と同じか、または同じテキストの異本であると思われるのだが、全く違う訳文になっていて、しかもどんな素人目にも後者の訳の方が筋が通っているのだ。タミル語の原典にあたることのできない者が文句を言うのも何だが、可能ならば英訳ぐらいは参照してみなければとも思ったのだった。

■世界の女性史〈15〉インド サリーの女たち(田中於莵弥・編、評論社、1976年、絶版)に所収の、「南インドの叙事詩と女性」(辛島昇)は30ページに満たないエッセイだが、カンナギ物語の概要とその文化史的位置づけについて簡潔にまとめられている。

■世界歴史体系 南アジア史3 南インド(辛島昇・編、山川書店、2007年)には、古代タミルの諸王朝の興亡などがわかりやすくまとめられている。

The Poems of Ancient Tamil - Their Milieu and Their Sanskrit Counterparts、George Hart、Oxford (India)、2003年第2版 の、英訳詩につけられた細かい注釈には示唆に富んだものが多い。

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コドゥンガルール・バガヴァティ寺院の本殿入り口に掲げられた怒れるカンナギ像。

投稿者 Periplo : 04:54 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年05月20日

資料系アップデート1105-2

これは別に新着ではないのだがついでに紹介。

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Varghese Cinema Directory(旧称Variety Cinema Directory)

版元:Best Media Associates [India] Pvt. Ltd.(筆者が架蔵する2006年版 Variety Cinema Directory のデータ、以下同)
版型:A5版変形
頁数:第1巻704ページ+第2巻720ページ(分売は不可)
価格:Rs.220-

まあともかくレンガのように嵩張り重たい本なのだ。版元はチェンナイにあり、実質的にタミル映画人名鑑と見なすべきもの。ただし、他州映画人でもタミル映画界とつながりのある(つながりを持とうとしている)人物の登場率は高い。第1巻が役者全般、第2巻がプレイバックシンガーから撮影用の貸住宅までの裏方全般を扱う。やっぱり面白いのは第1巻。

映画男優+女優、映画の悪役俳優、映画のコメディ俳優、映画のニューフェイス、映画の子役、TV&映画兼業俳優と、くっきり仕切られた中で、原則として1人1ページ(半ページもあり)のスペースを割いた役者さんの営業広告が延々と数百ページ続くのだ。表示内容は写真と住所、電話番号(当然ながら大スターの場合はマネージャーのものとなる)が基本で、あとは人によって出演作が列記されていたり、長々としたメッセージが添えられていたり。

広告と書いたのはあくまでも推測だが、各ページの仕様もまちまちで、統一性を求めるデザイン/編集の跡は見られない。つまり、ほんの少し前まで日本で広く流通していた旅行パンフレット集成雑誌のように、もっぱら広告収入によって利益を上げている(実売部数が上がると印刷・製本・運送などの実費がかかって却って儲けが減る)印刷物のようなのだ。だからなのだろう、どーんと気前よくコンテンツをオンラインで公開してるのだな。これに最近気がついたのだ。

ただし、広告主体印刷物とはいえ、金さえ出せばどんなスペースでも確保できるというのではなく、そのジャンル分けと並び順にだけは厳しい掲載方針が存在するようなのだ。金を積めば誰でもラジニカーントの隣のページに掲載できるというのでは全然ないらしい。

手元の2006年版をめくると、実質的な第1ページにはトリシャー、対向の2ページにカマルハーサン、3ページにサダー、対向4ページにラジニカーント、5ページにリーマ・セン、対向6ページにヴィジャイカーント、以下ミーラ・ジャスミン+ヴィクラム、スネーハ+アジット、マッリカ・カプール+ヴィジャイ、アシン+スーリヤ…と女優+男優が見開きで続く。順繰りに捲って100ページを過ぎたあたりから段々雲行きが怪しくなってくる。まったく見たことのない顔、なんでわざわざこれを載せるかという美しくない写真、写真の問題じゃなくやっぱちょっと無理じゃあ…というご面相etc.から、業界の下の方で蠢いてる人たちのあれやこれやが想像されて背中がむずむすしてくる。なんと言うか、一握りのスーパースターとそれ以外の人たちの間の、目も眩むような階梯が凄くわかりやすい形で示されるのだ。

本書にはちゃんと巻末に人名索引がついている。また、映画中で見掛けた知らない顔を、ただひたすらページを繰ることによって探し出すことも可能だと思う。ただ、そういう実用的な目的で本書を使用することは余りない。実際には、冒頭のトリシャー+カマルハーサンから始めて、順繰りにページを捲る際の、酩酊にも似た感覚を味わいたくて時々手に取るのだな。その点、オンライン版は各カテゴリー内はアルファベット順の並びになっていて、酩酊度は少ない。しかし皆さんが工夫を凝らしたヴィジュアルの数々を眺めると、やっぱり多少はトワイライト・ゾーン感覚が楽しめると思うよ。

投稿者 Periplo : 03:47 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年05月19日

資料系アップデート1105-1

続き物の途中ではあるが、やはり捨て置けない。すでに有名ブログでも紹介されているので、わざわざ告知する意味はあまりないと思うが、当サイトでもこれからたびたび引用することになると思うので簡単に。

thebestoftamil.jpgThe Best of Tamil Cinema 1931 to 2010

著者:G Dhananjayan
版元:Galatta Media
発行:2011年
版型:A4版
頁数:第1巻298ページ+第2巻382ページ(巻頭テーマ頁を除いた数字、なお分売は不可)
主な販売サイト:版元直販Amazon.com ほか
定価:Rs.2999-(インド国内、送料込みの版元通販または書店販売)、$125-(インド国外、送料込み、版元通販での価格)、$49.9-(ebookフォーマット、KoboiBooks Kindleなどで)

全2巻で合計680ページにもなる本書では、1931年から2010年までのタミル映画の歴史を、徹底した作品主義で俯瞰している。トレンドセッター(オリジナリティ重視でリメイク作品は含まない)およびランドマーク(クオリティ重視、他言語からのリメイクも含む)という2つの観点から選ばれた232本を、1作品あたり2−4ページを割いて編年形式で紹介している。各巻末には、どちらのカテゴリーにも入らないが無視できない作品54本というのも付記されている。重要なのは、232本がいずれも興行的に成功したもの、つまり広く大衆に受け入れられた作品だということだ。

ざっと見て、個人的には、第1巻(1976年までの108本)には「なんであれが入ってない?」が、第2巻(1977ー2010年の124本)には「こんなものまで入れちゃうかね?」が多いように感じられた。

極私的感想はさておき、まず素晴らしいのは豊富なスチル写真。それからキャスト・スタッフはもちろんだが、センサー認証のランクや上映時間などが明示されていること。タイトルの英語訳もありがたい。文章の半分以上がシノプシスにあてられ、エンディングまではっきりと叙述されているので字幕なし作品鑑賞にあたっては大変有益。ぱらぱらと読んでたら、 Autograph (2004) の粗筋にはビックリするようなことが書いてあった。もう一度見直さんと。それから各作品のデータ欄の末尾に「Source」という項目があって、近年のものには「Film」とあるが、古い作品の相当数が「Film DVD」となっている(本書でDVDが存在するとされている最も古い作品は1937年の Chintamani)。丹念に探せばディスクで見ることができるかもしれないというのは光明だ。

残念なのは、本当の意味での巻末索引が存在しないということ。監督別、主演俳優別に232本を並べ替えたリストはあるものの、人名・件名・作品名などの全文検索の索引はないのだった(ebook版ではどうなってるだろうね)。データブックなのに索引がないというのはもったいない話だね。

そういう文句はあるけれども、例えばタミル映画と政治の関わりに関心がある人ならば第1巻の頭ページXVIの写真を見て絶句するかも。テルグ映画好きの人ならば第2巻の頭ページIVの写真で感激に打ち震えるかも。サウス映画に少しでも興味のある人ならば今買っといて損はない(幻に終わった カンナダ映画の歴史本みたいなこともある訳だし)。これが刺激となって他の言語圏でも類書が出てきてくれることを祈るばかり。

著者のゴーヴィンド・ダナンジャヤン氏(通称GD)は全インド的な映画制作・配給会社である UTV Motion Pictures の南インド映画部門の責任者。現職に就く以前は、インドDVD界の価格破壊の中心、Moser Baer Entertainment のCEOだった。この時期にはタミル、ヒンディー、マラヤーラムの映画作品プロデュースも手がけたという。ツイッターでのアカウントはこちら。ここまで読んでくださった方にはもう続けるまでもないと思うが、できれば Moser Baer Entertainment のCEO時代にこの本を上梓して、合わせてDVD232本セットも発売して欲しかったぜよ、GDさんよ。MB社は相変わらずタミル映画のコンテンツ獲得には苦戦してるようだが。

投稿者 Periplo : 04:09 : カテゴリー バブルねたtamil
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2011年04月12日

再編再録:カンナギは正義を求める(1)

または、タミル劇場型政治に巻き込まれた古代の貞女の困惑。選挙が近づいて何だか落ち着かない気分になり、昔(2004年)に書いたものを引っ張り出してきて再録。2001年末にタミル・ナードゥ州の州都チェンナイで起こった奇妙な事件について。

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まずは、あまりに面白くて思わず全訳してしまった ChennaiOnline 記事 Kannagi paves the way。2001年12月後半のものと推定。誤訳あったらご容赦を。

カンナギが道をあける

12月14日の朝、いつものようにマリーナを歩いていた、あるいはバスに乗ろうとしていた人々は息を呑んだ。過去約34年間その場に立ちつづけてきた有名なランドマーク、片手にアンクレットをもち正義の裁きを求めるカンナギの銅像が忽然と消えていたのだ。さらに彼らが我が目を疑ったことには、銅像が建っていた場所、そしてさらにその先まで、ひいたばかりのアスファルトの匂いを立ち上らせながら新しい道路が伸びていたのだ。ほどなくその場では、像の消失をめぐって深刻気だったり茶化し気味だったりする解説を各々が開陳しはじめ、通りがかりの野次馬も加わって議論は活況を呈した。

事の次第
12月6日の未明、AP州出身の運転手アーナンダンが運転するトラックは、ハンドル操作の誤りから、像の周りを囲っていた柵を突き破り、台座に衝突して停止した(台座の周りには相当なスペースがあった。どうしてトラックが柵に当たって突破した上で台座を破損することができたのか、普段マリーナビーチを歩いている人々は疑問に思った)。数日後、像を覆う囲いが組まれ、像は通行人の目から遮断された。当局は事故でダメージを受けた像と台座に補修作業が行われていると説明した。

警察の説明によれば、その後、毛布にくるまれ麻袋に覆われていた銅像を何者かが持ち去ったのだという。警察はかくも重要な公共財産の盗難に気がつかなかったのか?銅像が持ち去られるのを黙って見ていたとでも言うのだろうか?問題の場所のすぐ間近に交番があるのを知っているものなら誰でもそう思うだろう。何者かが銅像を持ち去ったという情報自体を警察はどこから入手したのか?2つある公式見解のどちらを信じるかという範囲でしか我々には選択肢がないのだろうか。しかもどちらの公式発表も首尾一貫していないのだ。片方は、像の盗難は12月9日の夜であったといい、別の部局の発表によれば12日の夜であったという。ともかく14日の夜明けには、台座が完全に取り去られ、新たな道路が岸辺に向かって伸びていたのだ。

それは全く理屈に合わない、その近所が受け持ちの交通警察官は言う。第一に台座の周りの柵を壊すのはそれほど容易なことではない。仮に柵を壊してトラックが台座に衝突することが可能だったとしても、像自体が破損することは考えにくい。像は台座上にしっかりと設置されており、台座の端から像までは少なくとも3フィートの余地があった。トラックがどんなスピードでこの台座に衝突ようとも、堅固な台座を破壊してそのうえ像にもダメージを与えることは不可能だ。これは巧妙に仕組まれた「事故」だ、彼はそう感じたという。

巻き起こったドラマの数々
政治にかかわっている人々は、これは前州首相(当時)ジャヤラリタ女史お抱えのヴァストゥ(訳注:インド版の風水師、ここでは具体的に Parappanangadi Unnikrishna Panicker を示す、この事件でも名前が挙がった人物)の進言によるものに違いないと感じた。女史が現在多数の訴訟や批判にさらされているのはこの銅像のせいなのだと風水師が主張したというのだ。この説は州政府与党の中にさえ広まっていった。

銅像の撤去は、州政府がその必要を認めたから行われたのではない。トリプリケーン(訳注:像のあった場所に近い街区、タミル名はティルヴァッリケーニ)の住人達は過去実に15年間に渡って撤去を求め続けてきた。公共事業局はこのような訴えを繰り返し地区の一般住人から受けている。彼らによれば、まさにカンナギ像があるせいでこのエリアに土地改良事業が行われることは絶えてなく、しかしながら当局は訴えに対してこれまで全く耳を貸そうとしなかったというのだ。だが今ジャヤラリタ女史にまつわる噂が恐ろしい勢いで広まり始めたことを考えると、結局風水がものを言ったわけになる。ある公共事業局のスタッフは匿名を条件に以上のように語った。

風水師の主張
カンナギの像は南西方向を向き、憤怒の表情を浮かべていた。風水上の見地からすると、これはとてもよろしくないことなのだという。もし像が男性のものだったなら、同じ方角を向いていても無害なものだったはずだ。女性、南西向き、さらに加えて憤怒の表情、この組み合わせが絶対的にまずいのだ。やはり匿名を希望する有名風水師による分析である。しかし別の風水師たちは、これらマイナス要因は、像の背後に横たわる海によって大幅に相殺されたはずだとも言っている。

大多数の人々は、事故は像を撤去する口実をつくるために巧妙に演出されたショーにだったのではないかと疑っている。像の修繕・再設置はどうするのか?また像の突然の消失の原因は?なぜこれほどに急いで新しい道路が敷かれなければならなかったのか?そもそも今像はどこにあるのか?各方面からあがってきた矛盾する報告や、混乱した諸声明は、結局一般大衆のこの疑念を確信に変えるだけのものだった。

像の在り処に関する諸説は驚くほどバラエティに富んでいた。あるマスコミはチェーパーク(チェーパーックム)の公共事業局本局の埃まみれの一室にあるとすっぱ抜き、別の社によれば博物館に安置されているという。混乱は増すばかり。

政府の役人は誰一人として口を開こうとはしない。公共事業局に尋ねれば、チェンナイ都市開発公社に聞けというだろう。公社に聞けば彼らは交通局の方向を指差すだろう。たらいまわしというやつだ。

我々は当該エリアの土木技師補ナーチヤッパン氏にインタビューを申し入れたが、彼は休暇中だった。公共事業局の長官であるクトラリンガム氏はオフィスに不在で、何かとても重要な会合に出席しているとのことだった。一般の人々は、そして特にトリプリケーンの住人達は、この一連のオペレーションの背後で一体何が進行していたのかを知りたいと切に願っている。政府には説明する責任がある、仮にマスコミに対してはなくとも、少なくとも市民に対しては。

ともかくタミル・ナードゥ州は他州に比べて記念像の数がやたらに多いことは事実である。もし州政府がこれらの像をまとめて撤去して博物館なり何なりに収納するならば、それは歓迎すべきことだ。すくなくとも反対すべきことではない。しかし、ただ一つの像だけを取り上げて、これを撤去しさえすれば全ての障害が取り除かれるなどという迷信に基づいた予言を真に受けるのは、まったくもってドラヴィダ民族主義諸政党の伝統的な非合理性に特有のものだ。これはあらゆる点で糾弾されるべきものだ。(了)

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カンナギ像が撤去されたあとの空間、画面奥がマリーナ・ビーチ。2005年3月撮影。

その後、面白すぎる騒動を経て、カンナギ像は盗まれたという警察発表は嘘で(おいおい)、州立博物館に移された(ただし展覧はされず収蔵庫行き)ということが判明した。そのあたり、もいっちょ駄目押しで勝手訳、Frontline誌2002年1月5日-18日号のオンライン版の記事、Controversy over a statue (by S. Viswanathan)の全文。

像を巡る対立

タミルの理想的女性像であり正義への希求の象徴でもある叙事詩のヒロイン・カンナギ、その銅像が12月中旬チェンナイのマリーナ・ビーチの一等地から撤去されたことは広汎な抗議を呼び起こした。州政府によれば、銅像の撤去は12月6日未明のトラックの衝突によって台座が損なわれたことに起因するものだという。しかしながら最初期の報道では、台座は「若干傷付いた」が銅像自体は無傷だったはずだ。銅像の管理責任者である公共事業局(PWD)は、数日後に像を撤去した。像はPWD本局に保管され、後に州立博物館に移された。州政府の発表によれば、PWDの担当者が調べたところ、台座は高さ10フィートのブロンズ像を支えきれない状態になっていたという。

像の撤去は当初一切の告知なく行われた。約一週間、像は竹で組まれた足場とヤシの葉の覆いで隠され、何か修復作業が行われているかのように見えた。足場と覆いが取り外され、深夜の突貫作業で道路が作られたあと、はじめてマスコミは像の消失を報道し、すぐさま抗議運動が開始された。

ドラヴィダ進歩連盟(DMK)党首にして元州首相であるM.カルナーニディ氏は12月16日の声明で、像の撤去は「タミル人の誇り」に対する挑戦、タミル文化への宣戦布告、そしてタミル的感性に対する侮辱であると非難した。同氏とその他の政党のトップたち、タミル学者、文筆家、文壇関連機関は像が元の場所に再設置されることを求めている。

州首相、O.パンニールセルヴァン氏(訳注:この時点での州政府与党は全印アンナ・ドラヴィダ進歩連盟=AIADMK)は、この要求を拒絶し、その理由として像がスムースな交通を阻害しているため移設することが望ましいというチェンナイ市警(交通科)の見解を引き合いに出した。首相は像を修復したのちどこに移設するかについては触れなかった。しかし抗議の声が雪だるま式に膨れ上がったため、19日に政府は像はマリーナ・ロードぞいの浜辺の「適切な場所」に再設置されるだろうという声明をやむなく出した。設計技術者、警察、そして政府担当者による委員会をもうけて場所を策定することになるという。

市警察のK.ヴィジャイ・クマール長官は記者会見で、像の周辺が事故多発地帯になっているとの交通科の報告を受けて、道路を拡張したのだと述べた。

像が交通の邪魔になっていたという説明にカルナーニディ氏は納得していない。像は過去33年間その場所にあり続け、また同じ道路ぞいの他の像はよりいっそう車道に近い場所にあるのだ、というのが氏の主張だ。彼によれば像の撤去は占星術師による風水の見地からの助言に従ったものなのだという。一部の報道によれば、AIADMKの書記長・ジャヤラリタ女史が再び権力を掌握するために、その邪魔をしているカンナギ像を現在の場所と設置形式から移動しなければならないという主張が風水師たちによってなされたという。パンニールセルヴァン首相とM.タンビ・ドゥライ教育相は、このような占星術上の理由を否定した。もしそれが本当なら、像は第一次ジャヤラリタ内閣時代(1991-96)に撤去されていたはずだというのだ。

C.N.アンナードゥライ首班の第一次DMK内閣時代に公共事業相をつとめていたカルナーニディ氏は、1968年の第二回国際タミル学会にあたって、カンナギ像を建立した際の立て役者であった。タミル文化の卓越性の喧伝者として、同氏はイランゴー・アディハル作の3世紀の叙事詩『シラッパディハーラム(アンクレット物語)』(カンナギが主役である)から引用することを常としていた。彼はまたこの叙事詩に基づいた映画『プーンブハール』の脚本家でもある。

『シラッパディハーラム』の物語中、チョーラ王国の首都プーンブハールの若き商人コーヴァランは、高級遊女マーダヴィと恋仲に陥り、妻であるカンナギ(貞淑の象徴である)を顧みなくなってしまう。彼は全財産を失ってから妻の元に戻り、夫婦はパーンディヤ王国の首都マドゥライに赴く。コーヴァランは妻のアンクレットを金細工師に売ろうとするが、実はパーンディヤ王妃のアンクレットを盗んだところだった金細工師の奸計にひっかかり、盗人に仕立て上げられてしまう。金細工師はカンナギのアンクレットを王妃のものだということにしてしまったのだ。王はコーヴァランを処刑したが、カンナギは王の審判が誤りであったことを証明する。自責の念に打たれて王と王妃はその場に倒れ死んでしまう。カンナギはその憤怒によってマドゥライの街を焼き払う。

カルナーニディ氏は、像が元の場所に戻されなければ、タミル人の「自尊心に訴えて」全州的な抗議運動を展開すると宣言した。

労働者党(Pattali Makkal Katchi)の創設者S.ラームダース博士は「あらかじめ仕組まれた」像の撤去は、世界中のタミル人に対する背信であると述べた。復興ドラヴィダ進歩連盟(Marumalarchi Dravida Munnetra Kazhagam)のヴァイコ書記長、タミル愛国者運動(Tamil Nationalist Movement)の指導者P.ネドゥマラン氏、そして国民会議派タミル・ナードゥ委員会(Tamil Nadu Congress Committee)のE.V.K.S.イランゴーヴァン総裁らも、像の撤去を遺憾として元の場所への再設置を求めている。この動きに同調するインド共産党(マルキスト派)のN.シャンカライア州書記長、インド共産党R.ナッラカンヌ州書記長もそれぞれに、州政府のこのような行いは各種の不祥事から州民の目をそらすための策略であると指摘している。

M.ナナン博士、アブドゥル・ラフマーン氏、インキラーブ氏、ヴァイラムットゥ氏、プラバンジャン氏などタミル学者や文学者も政府を非難し抗議活動を計画している。インド共産党の文芸部(Tamil Nadu Kalai Ilakkkia Perumandram)のポンニーラン書記長は、カンナギはタミル文化の根幹をなす二つの価値観、すなわち aram(道義的正しさ)とveeram(剛勇)のシンボルであると述べた。タミル・ナードゥ進歩的作家協会(Tamil Nadu Progressive Writers Association)のS.センディルナーダン会長は、宮廷で行われた不正な審判に対して敢然と立ち向かったカンナギはタミルの「抵抗文学」の体現者であると言明した。

カルナーニディ氏の計画する抗議集会には、他の多くのリーダーたちに加えてインド人民党(Bharatiya Janata Party)や労働者党の指導者も参加するという。これら政党はタミル文化学会を1月2日(後に5日に延期された)に開催することを決定している。

これに関連して、大タミル会議派(Tamil Maanila Congress)のピーター・アルフォンス書記長は、これらの政党が本当にタミル文化に対する脅威を憂えているのなら、なぜサング・パリワールの saffronise education(訳注:教育におけるヒンドゥー復古主義化)の試みに対しては無反応であったのか、と疑問を呈している。彼はまた占星術が大学のカリキュラムに取り入れられた時、またタミル語を古典語として認めるようにという要求に中央政府が無視を決め込んだ時に、これら諸政党はなぜ沈黙していたのかと指摘している。(了)

上の訳文中での政党名の日本語訳は『10億人の民主主義―インド全州、全政党の解剖と第13回連邦下院選挙』(広瀬 崇子著、御茶の水書房 、2001年)に従った。

投稿者 Periplo : 03:23 : カテゴリー バブルねたtamil
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2010年11月02日

ベイベ、おまえは蜜に溶かした山葵じゃ!

スリランカの主都コロンボにちょっくら行く用事があったんで、ついでに話題の Endhiran (Tamil - -2010) Dir. Shankar を観てきた。なんとこの地での上映では英語字幕つき、ありがとうスリランカ!

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最近いわゆるマイクロ・ブロギングなるものにはまっている。といっても自分が俳句だの短歌だのを捻って投稿しまくるというのではなく、ROMがメイン。世の中には、ブログなどで一定のボリュームを持った感想文を書くまでには至らないが、自分の観た映画についてひとこと言いたい人が無数にいるものなのだな。いや凄いもんなんだ、Endhiran、Enthiran、Robot、イェンディラン、ロボ etc.のキーワードでの検索結果が。

ラジニ+シャンカルの前作 Sivaji The Boss (Tamil - 2007) Dir. Shankar の時も既にこのサービスは始まっていたのだが、こちらがまだツールとしての凄さに気付いていなかった。だから当時の資料が手元になく、同じ条件での比較はできないのだが、この Endhiran への怒涛の反響は明らかにこれまでのものとスケールが違うように感じられる。特にヒンディー語圏観客のレスポンス(と推定されるもの)が印象的。近年のラジニ出演作は多くがヒンディー語に吹き替えられて(あるいは英語字幕が付けられて)北インドでも公開されていると聞く。しかし本作ほどに非タミル人観客を圧倒する状況を作り出したものはなかったのではないか。「無闇に予算をつぎ込んだ泥臭い南印度のイロモノ」という視点ではなく、一映像作品として評価してリスペクトしているものが目に付く。それはもちろん作品総体としてのパワーによるものなのだろうが、やはり観客を劇場に向かわせた原動力としてのアイシュワリヤ・ラーイ効果も大きかったものと思われる。これまでもずっと、作品の立ち上げのたびにラジニサイドは繰り返しアイシュさんにラブコールをし続けて来て、そしてそれは個人的にはあまりスタイリッシュには見えなかったのだが、眼の前に歴然たる効果を突き付けられたような感じだ。そしてアイシュさんが本作まで出演を保留にしてきたのも、結果としてみれば正しい選択だったように思える。

ラジニ信者じゃなく、タミル映画ファンでもない無名氏(だと思うが)のとても端的なレスポンスの一例。

Saw Shankar's Enthiran today. Never thought I will ever see a Rajini movie and say "Awesome"(バンガロールに在住のケララ人と思われるシュリージット君の一行レビュー

業界の方々からも絶賛の嵐。

If u can handle.. Bourne Rajni, Bond Rajni, Rajninator, Rajnix Reloaded, Fast &Rajnious.. All this n more in one movie, Do not miss ROBOT.(Kuselan でラジニと数秒間共演した事もあるマムタ・モーハンダースちゃんの感激のコメント

そして実際に自分でも観てみて、これらのコメントは全く同感できるものだった。現実には還暦を迎えたラジニは、いつものことながら信じられんほどに年齢不詳だった。本作ではいわゆる「スタイル」は影を潜め、そしたらラジニはなんだか可愛いのだな、ちょっと吃驚するくらいに。小手先のスタイルは無くなったが、その代わりにロボットという巨大なギミックが導入された。いうなれば紅白の常連歌手が呼び物にしてる衣装という名の舞台装置みたいなもんか。しかしその巨大なギミックに呑まれることなく、ラジニは楽しげに1人3役(数え方によっては4役とも)を演じ分けていて、さすがだと思った。伊達にヒマラヤで修行してるのじゃないんだな。アイシュさんはというと、演技力が要求されるような複雑なキャラでは全然ないのだが、後半の凄まじい戦いの原因になる美女という役どころには他の誰よりも相応しいものだった。悪の帝王を演るのだと思っていたダニーさんは意外にあっさりした役で、ファンとしては不満が残ったが、チェンナイが舞台(一応そうだと思うのだが)のこの映画に一種独特な未来的無国籍感を与えていた。

役者と同等に存在感を示しているのは、もちろんシャンカル監督。トレードマークである社会告発のシャンカル節は今回は唄ってないが、その代わりにラジニ映画・シャンカル映画あるいはもっと広く伝統的なタミル映画の特質を、大変に贅沢な素材を使って料理して外の世界にまで届けてくれた。その特質とは何かというと、「稚気」だと思う。別に貶めて言っているのではなく。向日性で楽天的、ふっくりとした丸みを持つ力強い単純さ、おとぎ話を現実に変えようと絶えず志向する心性、これらをひと言で言い表そうとすると「稚気」としか表現できないのだ。それはたとえば、他の制作者の手にかかれば非常にニヒルなものとなりかねなかったラストシーンなどによく現われていると思う。この特質、同じ南印でも他の3言語圏では仮に存在したとしても微妙にニュアンスの違うものだろうし、タミル映画からも徐々に失われて来ているものなのではないか。

エグ味を多分に含んだパワフルさ、という点では前作 Sivaji The Boss よりも(これでも)随分大人しくなっている本作、しかし60歳ラジニの記念碑的到達点としての意義は大きい。これだけの達成を遂げたのだから、ここで一度引退してみてもいいのではないか、悪意ではなく虚心にそう思った(余計なお世話だろうが)。

【付記:ジャパン関連】

さてさて、毎度御馴染みのラジニ様による日本へのオマージュである。

まず第一に、こちらさんによれば、本作には日本のロボット関係団体が協力しており、冒頭またはエンディングにクレジットが示されるという。これは事前に知っていたので注意したつもりだが、結局見つけられなかった。日本の関連団体というと日本ロボット学会日本ロボット工業会ということになるかね。

ソングのひとつ、♪ Irumbile Oru Idhaiyam の出だしに「アリガトゴザイマス」という日本語のフレーズがサンプリングされているのが既に日本で話題になっている。しかしもっと凄いのがあるのだ。

劇中の最初のソング、♪ Kadhal Anukkal のサビの部分に以下のような歌詞がありリフレインされるのだ。日本語は筆者による超訳だ、違ってても責任は取れん、念のため。

ஹோக்கு பேபி ஹோ பேபி
hokku baby ho baby
おおうベイベ、おうベイベ
செந்தேனில் ஒஸ்ஸாபி
senthenil wasabi
君は蜜に溶かしたワサビ
ஹோக்கு பேபி ஹோ பேபி
hokku baby ho baby
おおうベイベ、おうベイベ
மேகத்தில் பூத்த குலாபி
megathil pootha gulabi
君は雲に咲く薔薇

蜂蜜にワサビって何やねん?一応こういうレシピが見つかった、食通の間では知られてるのか?いや、実は今チェンナイでは蜂蜜にワサビを溶かしてプレーン・ドーサにつけて食するのが大流行、なんてことは全然なくて、こちらのブログ記事のコメント欄を見るとわかるように、多くのタミル人観客にとっても謎のフレーズであるようだ。かつて作詞家のヴァイラムットゥ先生が来日された折に、何かそれに類したものでも召し上がったのだろうか。とりあえずこれからチューブのワサビでも買って来よっと。

【資料集】
http://en.wikipedia.org/wiki/Enthiran
http://cauvery-south-cine.at.webry.info/201010/article_3.html
http://www.koredeindia.com/010-10.htm#1001a
http://www.thehindubusinessline.com/2010/09/30/stories/2010093051791100.htm
http://www.kollywoodtoday.com/reviews/review-enthiran/
http://sify.com/movies/specials/endhiran/
http://www.upperstall.com/films/2010/enthiran
http://www.hindustantimes.com/Gautaman-Bhaskaran-s-Review-Endhiran/Article1-606907.aspx
http://www.bbthots.com/?p=1573
http://www.directorshankaronline.com/category/movies/enthiran-movies/
http://chennaionline.com/specials/Endhiran/Review.aspx
http://tamilomovie.com/movie-review-rvs/4234-movie-review-enthiran
http://blogs.timesofindia.indiatimes.com/line-of-sight/entry/rajni-vs-rajni-in-enthiran-robot
http://www.indiaglitz.com/channels/tamil/review/9874.html
http://www.dnaindia.com/entertainment/review_review-robot-endhiran-is-an-indian-film-to-be-proud-of_1446033

endhiranMani.jpg
マラヤーラム映画ファンにとってのくすぐりどころはコーチン・ハニーファカラーバワン・マニのチョイ役出演、それにサブちゃんの特別出演。それにしてもこのスチルの扱いは酷い!

投稿者 Periplo : 03:31 : カテゴリー バブルねたtamil so many cups of chai
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2010年09月12日

ダンスの吹き替え

さすがスーパースターはスケールがデカい。

enthiran01.jpgAjeeshsan.jpg

公式トレイラーがリリースされ、一応9月24日の封切りが告知された Enthiran/Robot (Tamil/Telugu/Hindi) Dir. Shankar。もうあんまし時間もないと思うが、これからまた大騒ぎが始まるのかと思うと楽しくて仕方ない。

怒濤の報道はとても追いきれないが、上の写真のアジーシュ君に関してのものは面白かった。ケララ州マラップラムの出身、カラクシェートラで訓練を受け、現在はチェンナイに在住のダンサー。バラタナティヤムを得意とするらしいが、他にもカタカリ、クチプディそれにモダンもこなすという。Villu (Tamil - 2009) Dir. Prabhu Deva の一曲中で脇で踊った(しかし実際に見てどの人物なのかよくわからなかったが)のが関係者の目に留まり、今回の抜擢となったという。つまり、Enthiran/Robot の中でラジニ型ロボットが踊るシーンを吹き替えるという大役(TOI 記事 Ajeesh's a dancing robot による)。まあ、こういうことを映画公開前に堂々と公表するラジニは器が大きいね。ラジニ映画は1つのメディアとなっているのだということを実感。

BrownRobo2.jpgSilverRobo1.jpgSilverRobo2.jpgBrownRobo1.jpg

アウトルック記事 Platinum Man’s Dance によれば、インド映画史空前の制作費の40パーセントは特殊グラフィック加工に費やされたのだそうだ。ケララのプロデューサーの皆さん、それから特殊映画監督のヴィナヤンさんあたりが聞いたら羨ましさで卒倒しちゃうかもね。

※上のスチルがアジーシュ君の踊るものなのかどうかはわかりません。

投稿者 Periplo : 23:58 : カテゴリー バブルねたtamil
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2010年07月20日

資料系アップデート1007

cvHistoryLens.jpgHistory through the lens - Perspectives on South Indian Cinema

編者:S Theodore Baskaran
版元:Orient BlackSwan
発行:2009年(初版)
版型:A5版
頁数:140
定価:Rs.265

タミル映画史の研究家として有名なセオドア・バスカラン(テヤドールって書いたほうがタミルっぽいかな)のエッセイ集。通史とかそういったものではなく、初期のタミル映画の研究を巡る問題点が8つのトピックに分けて書かれている。比較的平易な英語、助かる。

タミル映画史とは言うけれど、最初のタミル映画から100年も経っていない(タミル俳優組合の公式見解では1931年のトーキー Kalidas が初のタミル映画、したがって2007年がタミル映画75周年ということだった。しかしここなどにあるように、サイレント時代にも「タミル映画」は存在していたという説もある)。にもかかわらず、最初期のタミル映画に関するリサーチはさながら考古学の様相を呈しているのだという。タミル映画でそれじゃあ、他の南印3言語圏はどうなっちゃうんじゃああ、といささか暗澹たる気分。

実際のところ、英語のネット情報と書籍を主な情報源としている者にとって、それなりに信頼できるサウス映画情報を提供してくれるのは、タミル語圏の民間リサーチャーが中心、というのが現状。このバスカラン氏、それにランドール・ガイ氏(この人はブログもやってる、しかしこの読みにくさ、なんとかならないか)なんてあたりが筆頭か。アカデミズムの人たちもぼつぼつ出てきてはいるようだけれども、学術研究としてのタミル/サウス映画史はまだ端緒についたばかり、というのは本書でも述べられているところ。他の3地域では、現地語で活発な評論・研究活動を行ってる人がもしかしたらいるのかもしれないけれど、見えてこない。文責を明らかにした個人愛好家による同時代映画レビューですらそう多くは見つからないもんね。そういう状況の中で、極東の印映ファンが手探りであーでもないこーでもないと書き連ねることの意義にすら考えが及んでしまうのだ。

そんなもやもやした想念を掻き立てるこの本、お勧め作品とかを示唆してくれるものでは全くないけれど、始まったばかりの南インド映画史研究の現状を知るためのものとして貴重。

投稿者 Periplo : 02:13 : カテゴリー バブルねたtamil
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2010年03月05日

決壊の予兆?

codeshare.jpg単なる狂い咲きなのか、それとも安定的高値の崩壊の予兆なのか。アインガランとAPインターナショナルの「コードシェア便」DVDが某通販サイトで200ルピーで売られている。タミル映画に限定すると、本来はアインガランが印度国外、APインターナショナルが国内での販売と棲み分けしてたはずなのだが。アインガランDVDは今日現在のところ送料別で約8ポンドしてる、これでも安くはなってるけど。

ともかくそのうち実際にブツを検証してみる必要があるな。

「タミルの壁」問題についてはKollywoodTodayの2007年記事など参照。

DVD化の権利金については、マラヤーラム映画ではあるが、こんな数字が上がっている。

Before its release, ‘Roudram’ has created history by getting a record amount for its satellite and video rights in India. “It was sold for Rs. one crore-plus, which is a record in the Malayalam industry,” says Panikkar. (The Hindu 2008年記事 Portrait of the tough cop より)

大スターをフィーチャーしない映画でもこの種の権利金(DVD化、およびTV放映権)を資金繰りに組み込めばなんとか世に送り出せるようになってきてるらしい。ただしこれもマ映画の話。

The other matter of interest is that the channel rights of these entire flop films were sold at Rs 20 to 35 lakhs, which means that these films are sure to sell among families before television. So it seems to be high time, for someone to do something on this real problem that Mollywood is facing now.(IndiaGlitz 2008年記事 Who to publicize small films? より)

逆に言うとタミル映画はこういうのを当てにしなくても廻っていられるのかね。

投稿者 Periplo : 20:00 : カテゴリー バブルねたtamil
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2010年02月02日

ディスク情報1002-1

cvAWednesday.jpgcvUnnaipolOruvan.jpgEenadu.jpg

モーハンラール・ディスコグラフィーに一点追加。久しぶりにラルさんのタミル語作品。過去に予告紹介あり。

Unnaipol Oruvan (Tamil - 2009) Dir. Chakri Toleti

Alternative transliterations:Unnai Pol Oruvan, Unnaippol Oruvan

タイトルの意味:Someone Like You

Cast:Mohanlal, Kamal Haasan, Lakshmi, Ganesh Venkatraman, Bharath Reddy, Anuja Iyer, Mukhtar Khan, Sriman

ディスク版元:Ayngaran

字幕:英語

DVDの障害:特になし

【ネタばれ度30パーセントの粗筋】
チェンナイ市警察本部長だったマラール(Mohanlal)は解任されて故郷のイリニャーラックダ(ケララ州中部)の浜辺に佇んでいる。彼は在任中に起こった奇妙な出来事を回顧する。ある日チェンナイ市警察に、名を明かさない一人の男から電話がかかり、市内の複数箇所に爆弾を仕掛けたことが告げられる。それが嘘ではないことを証明するために、男はそのうちの一箇所だけを明かす。あろうことかそれは市内の警察署のトイレで、爆弾処理班は実際にそこに大量の爆発物を見つけることになる。マラールをトップにした特別対策チームが直ちに組織され、州首相府からは秘書官(Lakshmi)が派遣される。かたや電話の主(Kamal Haasan)は、チェンナイ市を見渡す高層ビルの建設現場に人知れず陣取り、携帯電話のSIMを次々に変えて逆探知をかわしながらマラールに要求を突きつける。それは近年に起きたテロ事件に関与したとして身柄を拘束されている複数の容疑者の即時解放だった。

以前に書いたように A Wednesday !(Hindi - 2008) Dir. Neeraj Pandey のリメイク。同じ監督による兄弟リメイクとしてラルさんの役をヴィクトリー・ヴェンカテーシュに差し替えた Eenadu (Telugu - 2009)があるが、こちらはまだディスク化されていない。

原作は乾いた味がある小気味のいいスリラー。深刻なテーマを扱っているにもかかわらずエンターテインメントとしての質が高い。それをサウスを代表する演技派2人でリメイクするというのだから期待も高まろうというものだが、結果はイマイチだった。

以下は激しくネタバレ、を含むその理由。

やっぱりストーリーをちょこちょこいじったことじゃないかな。それ自体はもちろん非難されるべきものではないが、ちょっと裏目に出たように思う。

もっとも目を惹く追加エピソードは警察本部長と州首相秘書官との対立か。秘書官役のラクシュミー小母様はもちろん貫禄充分に好演していたので文句をつけてるわけじゃないが、これによってより一層の沈鬱さが加わった。どうも本作での改変には、もっともっと深刻で重厚な人間ドラマにという指向があったようだ。しかしそれによって、オリジナルが持っていたストーリー展開における切れ味のよさが薄まってしまった。

アカン!と思ってしまったのは、クライマックスでのカマル・ハーサンの台詞。ヒンディーのオリジナルでは「自分がいつものように勤め先から戻ってくること、ただそれだけのことを妻は毎日神に祈り、そして行かないで欲しいと懇願する」というような台詞をナシールッディーン・シャーが淡々と語る場面。タミル版では何かを勘違いしたのか、北印度でおきたコミュナル暴動の最中に公衆の面前で陵辱され惨殺された女性(ムスリムだと暗示される)のエピソードをカマルが涙ながらに説くのだ。その女性が「コモン・マン」にとってどういう縁続きなのかは説明されないが、新聞で読んだ事件ではなく明らかに自分の身辺の話として語られる。それはちょっと違うでしょう、と言いたい。

ヒンドゥーもムスリムも無差別に狙う爆弾テロ、あるいはその場に居合わせた群集の中で自分が属するのが多数派か少数派かというだけで命運が決まるコミュナル暴動。そういった脅威に不断にさらされている窒息感、これがヒンディー版で初老の男を大芝居に向かわせた動因だった。ところがタミル版では過去の個別的な事件が観客のセンチメントを刺激すべく縷々開示される。 

不条理に不条理をもって対決する、その部分にこそ「大タワケ者の普通人(stupid common man)」のキャラが立ち上がるものなのに、そこに具体的で陰惨なコミュナル騒乱のエピソードを持ってきたら、よくある復讐ものになっちゃうじゃん。そしてなおかつ復讐の矛先がどうにも焦点のボケたものにもなってしまわないだろうか。

なので、この長大な独白のあとで、名前のない男をほぼ捕捉していたはずのハッカーが突然「お手上げだ」と降参したり、唯一の目撃者である巡査が「やっぱ髭はなかったかも」なんて言い出す場面に鮮やかさがないんだな。

この改変は何故なのか。多分、タミルの土壌に合わせるという意図を持って行われたのだと思う。それから、より広い層の観客にアピールしたいというのもあったかもしれない。ブラックユーモアよりもセンチメンタルな復讐譚のほうが田舎の観客にもウケるだろうしね。結局のところ、大元にあるのは、テロというものに対する距離感の違いなのか。タミル、ケララのディープサウス2州がこれまでに体験した爆弾テロ事件の数は、ムンバイのそれとは比べものにならないほど少ない。劇中で言及されるのは1998年のコインバトール2000年のバンガロール。チェンナイについてはない。オリジナルの舞台となったムンバイとの温度差を埋めるための工夫だったのか。が、それを勘案しても興醒めには変わりはない。

原作自体がハリウッド映画 Inside Man (USA - 2006) Dir. Spike Lee にインスパイアされてるって話だが、ムンバイと爆弾テロ犯人の組み合わせはどうやらオリジナルな設定のようだ。

ともかく役者はみんないい芝居してるのに、風土を上手く翻案できなかったのが残念。最初に本作を見ていればそれなりに感心できたかもしれないが、オリジナルから順番に見てしまったのでリメイクの難しさについて色々と考えることになった。そうは言っても舞台をハイダラーバードに移しているテルグ版はやっぱり見てみたいね。

投稿者 Periplo : 01:53 : カテゴリー バブルねたtamil Mohanlal Discography
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2009年12月19日

収集癖5:婦警さん

RamanThediyaSeetai1.jpg

もちろん自分にとってのこのジャンルは、全てが Snehithiye... (Tamil - 2000) Dir. Priyadarshan でのタップー様&シュウェちゃんから始まったのだ。仮にこの先駄作しか作らなくなったとしても、プリヤン先生はこれだけで大恩人、お住まいになってらっしゃる西方浄土には足向けて寝られねえや。

Raman Thediya Seethai (Tamil - 2008) Dir. K P Jagannath をやっと鑑賞。

Cast : Cheran, Karthika, Vimala Raman, Ramya Nambeesan, Navya Nair, Gajala, Pasupathy, Nithin Satya, Manivannan, Karunas

■導入部の粗筋
結婚式招待カードの店を経営するヴェーヌゴーパール(Cheran)は、商売も繁盛し経済的に不自由のない生活を送っていたが、30代半ばを過ぎてもまだ独身だった。20年も前のある問題が、配偶者選びでの彼の立場を不利なものにしていたのだ。先方から断られるいっぽうの数知れぬお見合いの果てに、ついに自分の意志で結婚を承諾してくれた相手が現れ、安堵するヴェーヌゴーパール。しかし結婚式当日になって…。(粗筋終わり)

爆発的ヒットではなかったが、好意的なレビューに恵まれそこそこ売り上げがあったらしい佳品。バイオレンスが少なく、善意の美しさを効果的に組み込み、ファミリー向けのロマンス映画として申し分のない出来だと思う。いまさらこんなこと書くと「お前何年印度やってんじゃ」と馬鹿にされそうだが、作中でのアレンジド・マリッジという制度の磐石さには圧倒される。不毛なお見合いの連続にくじけそうになる主人公を励ます2人の人物はどちらも自由恋愛で相手を見つけてるというのにその部分はあまり目立たず、自由恋愛の果てに不幸になるカップルの顛末という別のエピソードだけが記憶に刷り込まれるような作りになっていて、唸る。あと、メインの舞台となっているタミル(というよりインド)最南端の都市・ナーガルコーイルの風景もよかったね。

キャストも素晴らしい。今回は監督はせず芝居だけ(なのかな?)のチェーランは、「下ネタ抜きのバギャラージ」としては余人では代えられないとこまで来てる。パスパティのやる「スティービー・ワンダー」はカッコいいのだが若干気恥ずかしかったかな。もの凄くもったいなく使われてた Big B (Malayalam - 2007) Dir. Amal Neerad でのカッコよさのほうを支持したいが。それから、個人的に「ザ・オートの運ちゃん@タミル」と決めてる(他州での選出はまた別の機会に発表したい)ニティン・サティヤがホントにオートの運ちゃんで出てきてくれてとても嬉しい。

まあ、それより何より豪華5大ヒロインですね。シドニー生まれのヴィマラー・ラーマントゥーットゥックディのカールティカ、ケララからやってきたナヴィヤ・ナーイル、同じくケララ出身のラミャー・ナンビーシャン、それからこの人は初めて見たが、経歴は割に長いガジャラ。いずれもセクシーさを抑え、お嫁さんにしたいタイプのお嬢さんとして申し分のない演技。でありながらそれぞれのキャラが立っていて、配役の適切さにも感嘆。

しかし本作を入手して鑑賞したのはもちろん、ただひとえにナヴィヤ・ナーイルさんのお廻り姿を拝みたかったから。ナヴィヤさんといやあ、カーヴィヤ・マーダヴァンさんが小休止してる現在のマ映画界では文句なしのトップヒロイン、演技力の高さも衆人の認めるところ。ただ、正直言うとちょっと苦手だったんだ、ねっとり熟した熱帯の果実みたいなたたずまいがね。この人がキリっと凛々しい婦警さんをやれるもんなのかという若干の不安。実際に見てみて、そんな不安は吹っ飛んだ。いや素晴らしいです、ブラボーです。ゲスト出演に近いような短い出番だったけど、お約束の警棒での殴打シーンもばっちり、カッコよすぎ。全ての婦警さんマニア必見の名作、これを観ずして婦警さんを語るなかれという出来。お勧めです、DVDは Moser Baer から。

しかし本作にはナヴィヤさんのカーキ姿以外にも衝撃のシーンがあったのだ(最近こればっかだな)。

RTSjayanthi1.jpg
RTSjayanthi2.jpg
RTSjayanthi3.jpg

ナヴィヤさんの同僚の巡査さん、もっもっ萌え~~~~~。

ってーか、いいのかい、こんな子供にこんな格好させちまって!

ナヴィヤさんと一緒に要人警護にあたるジャヤシュリー…じゃなかったジャヤンティ巡査。俳優の名前は不明、そもそもアップで映るのが2秒くらいしかない、アップ以外を含めても5秒ないくらいだ。誰なんだよこの子、ジュニア・アーティスト組合に照会するべか?この萌えをどうしたらいいのだー。

ああそうだ、婦警さんに偏らないバランスの取れたレビューを読みたければ川っペリ先生んとこでも行ってくだせえ。

投稿者 Periplo : 22:42 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年10月14日

資料系アップデート0910-3

京都大学地域研究統合情報センターによるタミル映画データベース(CIAS Tamil Films Database)

同センターが収蔵する、VCDを中心としたタミル語映画のディスク(非営利目的の個人に限り閲覧可)150本をDB化したもの。全て英語。個別エントリーのパーマリンクは不可。

Ambikapathi (Tamil - 1937) Dir. Ellis R Dungan から Periyaar (Tamil - 2007) Dir. Gnana Rajasekaran まで。

細かく突っ込みたい部分は無数にあるのだが、とりあえず Ambikapathi は見てみたいですね。

実用TIPS:検索ウィンドウに「tamil」と入れれば全件が一覧可能。Ulagam Sutrum Vaaliban と入れてもヒットなし、Ulagam Chutrum Vaaliban で登録されている。結局全件通しで見つけるのが手っ取り早いか。

投稿者 Periplo : 15:44 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年07月13日

再び冬眠か

dasavatharam.jpg

画像はDasavatharam (Tamil - 2008) Dir. K S Ravikumar のものだが、以下はJapan関連映画 The 19th Step の話。

最初にこのネタをとりあげたのは2006年のことだった。それから2007年に再浮上してまた沈み、2008年夏に、キャストを入れ替えてまた顔を出した。そして11月になってディズニー・インディアの制作になるというニュースがわりと大きく取り上げられ、2009年の4月には楽曲を担当するARラフマーンが打ち合わせのために監督と共にちょこっと来日。日本人エキストラの募集などもかなり現実味を帯びたものになってきていたのだが…。

ここ数日でインド側主演のカマルハーサンがプロジェクトから外れたという話が流通を始めた。カマルハーサンが外れるのなら主演女優のアシンも降りる可能性が高いのだという。さて日本人主演俳優はどうする?

カマルのいち抜けたの理由としては、監督とカマルの対立、カマルとアシンの対立、ディズニー・インドとカマルの対立、など諸説粉々だが、いずれも憶測の域を出ていない。

Sify:Asin's Indo-Japanese project falls through
Spicezee:Superstar Kamal Haasan refuses to work with Asin?
TopNews:Asin starrer ‘The 19th Step’ In Trouble, Kamal Haasan Walks Out!
OneIndia:Asin stumbles on The 19th Step

まあ、監督のバラト・バーラーさんは割と息の長い人だから、またしばらくしたら浮上してくるのかもしれない。今度はラルさんを呼び戻してくればいいじゃん。

投稿者 Periplo : 01:35 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年06月30日

Japan 関連7

endhiran.jpg

アシンちゃんはケララでカラリの特訓中って話だが(尤も一方で監督と主要キャストの間での意見の対立からお蔵入りなんても聞こえてきてる)、製作中のラジニ様次回作 Enthiran (Tamil) Dir. Shankar ではアイシュさんがカラテを見せてくれるそうだ。

Endiran somehow seems to be having links with Vellore and it may be recalled that some sequences of this Rajnikanth-Aishwarya starrer were shot in the picturesque campus of the VIT University here in January this year. Now a stunt artist from here has worked for the movie recently to coach the heroine in martial arts.

‘It was a memorable experience’ recalled ‘Karate’ Ramesh, who runs Japan Shito-Ryu karate school here for over 30 years, which is affiliated to the World Karate Federation.

He said that a couple of weeks back he had received a phone call from Peter Hein, the stunt master for Endiran, offering him to coach for Aishwarya Rai, the basics of karate.

‘I readily agreed because it is a lifetime offer to work in the mega movie’ Ramesh noted. In the movie, the heroine learns karate from the hero. ‘While the hero Rajnikanth already knows these steps, I had to coach the heroine and her friends’ Ramesh claimed.

In addition, Ramesh also appears in the climax fight scene as a Black Cat commando member. According to him Aishwarya was a quick learner and without much rehearsal she was able to repeat the karate movements.(Expressbuzz 記事 Karate man does his bit for ‘Endiran’より)

タミルナードゥ州北部の都市ヴェールール糸東流空手の師範をやってる Karate Ramesh さんが同作の主演女優に稽古をつけたってだけの記事なんだけどさ。上の記事の続き部分にもあるように、この人はスタントマスターとしてかなりイイ線いってるみたいだ(フォトギャラリーは必見!)。Iruvar (Tamil - 1997) Dir. Mani Ratnam でラルさんのファイトシーンの吹き替えをやったとあるのは、多分これだな。見ていて吹き替えだとは全く思わなかった自然さだが。

余談ながら、Hong Kong Action Film in the Indian B Circuit (S.V. Srinivas) なんていう論文を読むと、極東武術の亜大陸での妙な浸透のしかたが窺い知れて面白い。

投稿者 Periplo : 23:19 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年06月19日

駄法螺ハリーと呼んでくれ

いや、タイトルに深い意味はない。

20lakhs.jpg

Twenty:20 (Malayalam - 2008) Dir. Joshiy のタミル・リメイクが作られるかも、という話。リメイク権を買ったのは Classic Creators というプロダクションのHムラリ。タイトルは Irubadhu Irubadhu(Galatta の記事による)。

脚本が素晴らしいということでリメイクされるのか、それともスター総出演というアイディアごとイタダキになるのか、そして女王様役は誰がやるのか、これからも激しく追いかけるのだ。

投稿者 Periplo : 00:59 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年04月21日

収集癖3:西南風

言うまでもないが中国ポップスとは無関係、サウスの赤土の上で繰り広げられるウエスタンのことでありんす。

erumbu.jpg

注目のウエスタン映画 Irumbu Kottai Murattu Singam (Tamil - 2009予定) Dir. Simbudevan が撮影を開始したという。主演はなんとローレンス。監督のシンブデーヴァンといえばデビュー作であるパロディ時代劇 Imsai Arasan Irupathi Moonam Pulikesi (Tamil - 2006) が意外にヒットしたということだが、その後も相変わらずコミックから着想を得たパスティーシュ路線を続けてるらしい。つまり、さあ笑え、と言われてもガイジンにはなかなかつらいコメディになることが予想されるのだな。

だけど、逆にそこからサウスのウエスタンの定型パターンのようなものが浮かび上がってくるのかもしれない。つまりタメになる作品となる可能性が高いってわけだ。

これまでにゲットしたサウス・ウエスタンは Vettaikaran (Tamil - 1964) Dir. M A Thirumugam、Mosagallaku Mosagadu (Telugu - 1971) Dir. KSR Das、Takkari Donga (Telugu - 2000) Dir. Jayanth C Paranji の3本のみ。カンナダでもあるのかな、やっぱラージクマールあたりだろうか。マラヤーラムってのはやっぱ無理か。それにしてもトップに上げたイメージ写真、出演の皆さんの衣装&メイクが決まってること。この違和感のなさってのは何なんだろう。

結局これもまたコレクション・アイテムとなっているのだった。

Vettaikaran.jpgcvMosagallaku.jpgcvTakkariDonga.jpg

投稿者 Periplo : 21:33 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年03月20日

資料系アップデート0903

tamilcinema.jpg久しぶりに書籍情報。

Tamil Cinema: The Cultural Politics of India's Other Film Industry
著者:Selvaraj Velayutham
版元:Routledge
内容見本はこちら

これまでのところ、インド映画に関する学術研究は専らボリウッドを対象としてきた。南インドに本拠地を置くタミル映画が、年間の製作本数においてはボリウッドを凌駕しているという事実がありながらである。(巻頭緒言より)

アカデミズムの世界においても見られるボリウッド偏重は、単なる怠慢に起因するものなのか、それとも作品の質に対する学者達の評価を反映したものなのか。

ともかく、こういう本が出てくるようになったことは、やはり外人にはありがたい。もう一歩踏み込んで、時に「年間の製作本数においてはコリウッドを凌駕」することもあるテルグ映画界、「リメイクのネタもと提供においてはインドでもトップランク」と思われるマラヤーラム映画界についても研究がすすんで欲しい。

学術研究が全てじゃない、ってのはもちろんあるんだけどね。

まだ全編をチェックしたわけじゃないけど、本書に所収の Imaginary Geographies: The Makings of ‘South’ in Contemporary Tamil Cinema (Rajan Krishnan) ってのが面白いですね。

投稿者 Periplo : 01:05 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年01月31日

Rest in Peace : Nagesh

nagesh1.jpgnagesh2.jpg

ベテラン・コメディアンのナゲーシュさんが亡くなられてしまいました。享年75歳、合掌。

各種の追悼記事に記されているバイオグラフィーは、ウィキペディアのエントリーからの引き写しと思われるが、本名 Gunddu Rao、カンナダ語を母語とするの婆羅門の出身だったというのは今更ながらに興味深い。

Sify : Comedy King Nagesh passes away
Behindwoods : ‘Adhuthan Nagesh’: Comic Legend passes away
NewsToday : Humour was in his character

来日して撮影された Ulagam Sutrum Valiban (Tamil - 1973) Dir. M G Ramachandran の大阪万博のシーンでは、モッズに決めたファッションがやたら格好良かったっすね。

投稿者 Periplo : 19:22 : カテゴリー バブルねたtamil
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2009年01月03日

私は神だ

という、あまり穏やかじゃないタイトルの Naan Kadavul のオーディオリリース式典が元旦に行われたそうだ。これまで手がけたのは Sethu (Tamil - 1999)、Nandha (Tamil - 2001)、Pithamagan (Tamil - 2003) の三本のみという寡作なバーラー監督の注目の最新作。例によってインド映画にしては異様に長い制作期間を経ているみたいで、2006年のこの記事なんか見るとキャスティングにも紆余曲折があったことがわかる。

ちょっとした発見だったのは oneindia の Naan Kadavul:Officially declared! という記事。

With hope that Naan Kadavul will sweep national awards, the movie would be censored on 30th December, 2008 to join the race for the acclaim this year itself.

2008年度の国家映画賞を狙いたいから12月30日に駆け込み認証を得たというくだり。うーむ、そうなのか。実際の公開が2009年(ポンガル封切り説が有力)だったとしても、旧年中にセンサーを通ってたら2008年作ということになるのか。鳴り物入りでリリースされるこういう注目作品ならともかく、過去のマイナーな印度映画の公開年同定は大変だあ、と改めて溜息。

投稿者 Periplo : 03:54 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年10月23日

どてらい男

Sakthi Chitran。批評家受けのする佳作だったという Ponmekalai [Ponmegalai] (Tamil - 2004) の監督。しかし批評家だけにしか評価されなかったのだろうか、まともなレビューもインタビューも見当たらない。探し方が悪いのかもしれないけどディスクも今のところ見つからず。ないない尽くしだけど、そのうちきっと注目が集まるにちがいない。現在この人物が撮影中の作品の名前は Kalaignar

投稿者 Periplo : 01:57 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年09月28日

資料系アップデート0809-2

sivajiBaskaran.jpgSivaji Ganesan
(The Legends of Indian Cinema シリーズの一冊、他のラインナップはこちら参照)
著者:S Theodore Baskaran
版元:Wisdom Tree
発行年:2008年8月
定価:Rs.195-

全120頁のお手軽本。体裁は先行する SIVAJI GANESAN:The Making of a Legend (by Roopa Swaminathan, Rupa & Co.)と似たビジュアル本形式だけど、こっちの方が読みでがありそう。何よりも、著者が(英語で執筆している)タミル&サウス映画史の第一人者といっていいだろうバスカランなので、ベーシックなレファレンス本となる可能性大。深〜い事情があって現在読むのを中断してるのだけど、MGRとのスターダム争いや不発に終わった政界進出など自伝ではあまり多くが語られなかった部分にも頁を割いているという。

付録:The Hindu による出版記念式典の様子、バスカランのプロフィール(2003年)

投稿者 Periplo : 17:21 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年07月07日

MAMTAなんぼのもんじゃい!

N:妾に何か用かえ? :あ、いえ、単なるアイキャッチャーとしてお出ましいただいただけで、女王様(大汗)。
kuselanNayan.jpg

内輪もめはマ映画界だけのもんじゃない。タミル映画界ではもっと伝統があるみたいなんだよね。しかも州の2大政党がずっと直接的に絡んでる。

TFPC (Tamil Film Producers Council) の執行部選挙が7月6日に行われ、議長選挙では現議長の Rama Narayanan が、対立候補の Panju Arunachalam を大差で破って再選されたという。二人はどちらもプロデューサーだが、このTFPC自体は制作者だけのものではなく、どうやら映画業界人全体の利益を代表する組織みたいなんだ。だから会員も俳優を始めとした関連業界人を含んでいる。その代表選挙に綺羅星のスターさん達が投票に訪れて、口論を始めてあわやつかみ合いってんだから、メディアが見逃してくれる訳ないわな。

ramaNarayanan.jpgpanchuAruna.jpg

今回選挙で勝利したラーマ・ナーラーヤナン(左)はバックに Kalaignar TV(番組はこちら)が、つまりDMKがついている。一方パンチュ・アルナーチャラム(右)の後ろには Sun TVがつき、つまり直接的ではないもののAIADMKと繋がり(※)がある。

※ジャヤ様直轄なのは Sun TV のライバルである Jaya TV。Sun TV ももともとはDMKの庇護の元に、というか相互に支え合う関係にあったのだが、2005年に経営トップとカルナが大喧嘩して袂を分かったらしい(こちらこちらなど参照)。

Ambarasama.gif小競り合いの先頭に立ったのは現執行部側では KB Films のプロデューサーである Balu。この人に関してはよくわからないが、つまりKB御大もこっち側ってことか。一方で野党側ではサラットクマール(この人は長らくDMKシンパだったのに2006年に突然AIADMKに鞍替えして、しかも河岸を変えた途端にAIADMKが与党の座から滑り落ちたりしたんだった)&ラーディカの夫妻、そしてラーディカ義兄のアンバラ様ことラーダ・ラヴィ。

出来るなら双方もう少し華のあるキャラに登場して欲しかったが、まあ代理戦争ってのはそういうもんでしょう。

色々記事を読んだ中で一番勉強になったのが News Today 記事の High drama at film producers polls

The bitterness of the exchanges between the two groups may also have something to do with the behind-the-scene battle between the two media behemoths in Tamilnadu now —— Kalaignar and Sun TVs.

With cinema and its related programmes being the prime content for these channels, the need to have a strong grip on the state of affairs in Kollywood is imperative for both these channels. And that is why it is believed that these two channels are surreptitiously backing the rival gangs.

It is openly said in Kollywood that Rama Narayanan & co enjoy the backing of Kalaignar TV while M/s Radhika and team have the patronage of the Sun Group.

Those who handle the reins of power in TFPC also have a huge say in the huge stash of cash flowing into the industry through the arrival of corporates and moneyed Mumbai producers.

なるほど、貧乏なマ映画界とは違って、タミル映画界にはお金持ちのムンバイ同業者との繋がりもあるわけか。そりゃあ熱くなるわけだわな。

その他の資料
IndiaGlitz による開票の模様のギャラリーとビデオ
Cinefundas 記事 DMK trying to control Tamil Film Producers Council
Cinesouth 記事 Panju Arunachalam contesting against Rama Narayanan
NewIndpress 記事 Rama Narayan stays film body chief
Andhracafe 記事 Tamil film body acquires political colour
The Hindu 記事 TN film producers' elections held amid high drama
これまでにTFPCのイニシアチブで決まった業界の指針のサンプル

投稿者 Periplo : 22:31 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年03月31日

伝記系もういっちょ

SIVAJIGANE.jpgAutobiography Of An Actor - Sivaji Ganesan
Dr. T S Narayana Swamy 編、
Sivaji Prabhu Charities Trust 刊、
2007年、チェンナイ

以前からタミル語版が出ていることは知っていて、豊富な図版目当てに買おうかどうか迷っていたのだけれど、昨年10月に待望の英語版が発刊されていたことを遅まきながら知って入手。待っててよかった。

Sivaji Ganesan (1927 - 2001) の最晩年(明記されていないが2000-2001年か)にジャーナリストである友人が行ったインタビューを編集したもの。インタビューといっても、その辺のネット記事にあるようなその場限りのお茶濁しじゃあ全くない。シヴァージ本人が「これは遺言である」と述べているが、それに相応しい気合いのこもった内容。答える側も相当な準備をして臨んだに違いない充実ぶり。加えて貴重な図版も多数。シヴァージの出演作をそんなに沢山見てなくともグイグイ引き込まれる内容です。

内容は概ね時系列に沿って記述されている。あるところでは

The audience at that time was not very sensitive to language differences whether it be Tamil, Telugu, Malayalam or Kannada. A drama was drama to be appreciated by the audience who were inclined towards performing arts irrespective of language.(P.73、映画デビュー以前、巡回演劇団の一員だった時代 - インド独立前後か - の回想部分より)

なんてことを言っていたのが、

As you know, in yesteryears it was common to write lengthy dialogues. You could call it the era of dialogues and during that period I was the only film actor who was a theatre person and one who could speak Tamil dialogues very well. Dialogues were written especially for me.(P.91、1950年代の一連のDMK映画に対する言及の中で)

となる。矛盾してるようにも思えるけど、この時代の演劇・映画の多面性を垣間見させてくれる証言ではないか。興味深いトリヴィアも満載、お勧めです。

通販でのお求めはこちらなどで。

投稿者 Periplo : 00:46 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年02月29日

Rest in Peace : Sujatha

本名 S. Rangarajan。コンピューター・エンジニアとして会社勤めをしながら旺盛な文筆活動を続けた。ペンネームのスジャータは妻の名前。映画脚本家としても知られ、マニ・ラトナム、シャンカルなどの作品を多く手がける。2月27日没、72歳。

Sujatha had started his film career with Rajinikanth-Jaishankar starrer Gayathri. It was the film based on his famous novel Gayathri. After this film, he had given his another famous novel Priya, the Rajinikanth starrer, became one of the most successful commercial cinema at that time. Karayellam Shenbagapoo, Ninaithale Inikkum, Poi Mugangal and Vanakkathukkuriya Kathaliye are some of the films based on his novels.

His famous novels Aryabatta, 24 Roopai Theevu, Anitha Ilam Manaivi and Nirwana Nagaram were taken as successful films in Kannada. In Telugu, veteran director Mouli taken his story Pathu Second Mutham, a novel based on an athlete in the name of Ashwini which was played by the renowned athlete Ashwini Nachappa.

He had written many film scripts exclusively for cinema and notable among, which was Kamal Hassan's Vikram. Later Sujatha became as a permanent script writer for Mani Rathnam and Shankar. Most of their films including Iruvar, Kannathil Muthamittal, Ayutha Azhuthu, Guru, Jeans, Muthalvan, Boys, Anniyan and the latest Blockbuster Shivaji were written by Sujatha only.

His latest ground works for Mani Rathnam's yet to be titled film, an Aishwarya-Abhishek starrer almost completed. Just a few days ago Sujatha handed over the completed script of Robot (That too based on his two novels En Iniya Iyanthira and Meendum Jeano), the never ever big project of Superstar Rajini, to director Shankar.

At that time, he told in lighter vein, "Shankar, I completed my work satisfactorily. Hereafter, there is no tension to me, even the film will become as my last one!"(OneIndia 記事 Writer Sujatha passes away! より)

売れっ子脚本家として新人俳優の発掘などにもかかわったことがうかがわれる記事もあり。

投稿者 Periplo : 02:23 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年01月20日

討ち入りじゃあ

これ見て何のことだかわかる人だけ笑って下せえ。

投稿者 Periplo : 05:05 : カテゴリー バブルねたtamil
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2008年01月03日

メモ:正月の新聞か?

単なるよくある勇み足か?

Shankar signs on Rajnikanth for Robot
rediff.com 1月2日記事。

robotSivaji.jpg

仮契約の告知から風の噂(単なる願望含む)までをかき集めると SRK, Hrithik Roshan, Amir Khan, Chiranjeevi, Mahesh Babu, Ajith Kumar なんて名前が挙がってたんだけどね(ここあたり参照)。

投稿者 Periplo : 04:03 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年12月15日

直球だ(2)

以前紹介したMGRのもそうなんだけど、レトロスペクティヴなテーマ(新作があり得ないという意味で)をブログで執念深く探求している人を見ると感動しちゃうんだ。

今回は Kalaikkurisil Sivaji Ganesan。残念ながらオールタミル語。このブログの9月30日のポストがえらく気になってね。誰か訳してくんないかな。

投稿者 Periplo : 02:10 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年07月16日

断片情報

写真は2007年3月27日にカーライクディで撮影。
karaikudiTown.jpg

以前にも当網頁でちょこっと取り上げたことがあるカーライクディについて。ここには実際に足を踏み入れもしたもんだから、別の所では知った気に文化果つるところなどと書いちゃったけど、じつはタミル映画史のある時代には、単なる田舎のロケ地なんてもんじゃなかったことを最近発見した。

His journey began with a store in Karaikudi, culminating in ownership of one of the biggest studios in Chennai.

タミル映画史の巨人のひとりがここで生まれたのだ。Nattukottai Chettiar に属していたという。

World War II had just ended and there was a shortage of electricity. He was forced to shift the studio to a rented house in Karaikudi, his hometown.

そう、そして第二次大戦中1942年の日本軍によるマドラス空襲とその後の電力不足の時代には、生まれ故郷に疎開してスタジオを築いていたという。まあね、疎開先に選ばれるくらいなんだから、大都会であっちゃまずい訳で、田舎には違いないのだけれど。

勿体つけてもしょうがないか、その人物の名はAvichi Meiyappan Chettiar [A V Meiyappan]、AVMスタジオの創設者。カーライクディの疎開時代に現在の社名となったそのスタジオからは Nam Iruvar(Tamil - 1947) Dir. A V Meiyappan を嚆矢として多数の作品が生み出されたと地元の歴史ガイドには記されている。文化果つるかに見える町でもあなどっちゃいけないね。

オマケ:芋づる式に出てきた中で、一番おもろいと思う、Theodore Baskaran によるエッセイ、 War relic
伝記としては一番分かりやすい、Randor Guy による AVM, the adventurer

投稿者 Periplo : 03:35 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年06月24日

それぞれの柴児7

(前回よりの続き)スーパースターの斬新なスタイルに讃を寄せるなら、コスチュームとメイクだけじゃなくヘアメイク(というかカツラ)にも触れない訳にはいかない。

maniyansivaji.jpg

これまでの本作関連の記事で一番面白かったのは Rajni's magic to make audiences spellbound on June 15 (IndiaGlitz) だな。

About 1,000 kg beef meat was used for the shooting of an action scene in the film.

公開前の記事だから、シャンカル監督が潤沢な資金をいかに湯水のように使ったかということがメインテーマで、それはいつものことだからあんまし驚きもしなかったんだけど、「牛肉」ってのが凄いと思ったのだ。なぜ牛なのかピーター・ハインスさん。

いやいや、ヘアの話だった。

Director Shankar reportedly asked his team of technicians to watch the films of Rajnikant right from his debut film in 1975 to till date exclusively for the best-suited hairstyle for the hero. They came to a conclusion that the hairdo in Padikkadavan released in 1985 suited best to Rajnikant. Shankar summoned the hairstylist and make-up man of that film after 22 long years to do a similar make up and hairstyle again for Rajanikant.

ヘアの担当もやっぱり Bhanu さんだったのかね。同記事には「フランスからメイクアップ・アーティストが招聘された」という記述もあるが、バヌーさんがフランス在住ということなのか。仕上がり見本になったという Padikkadavan (Tamil - 1985) Dir. Rajasekar はVCDにしかなってないみたいだ。スチルはここに一枚だけ。

mpraju.jpg若い頃のラジニ映画はそれほど見ちゃいないから、コメントは差し控えようと思う。だけど、マ映画ファンとしては、多毛症気味の七三分けを見て思わず声に出しちゃったね。あれっ、こんなとこで何してんのさ、ラジューさん?

Manian Pillai Raju [Maniyanpillai Raju などとも] はマ映画のベテラン脇役。大抵はコメディ映画のウツケ者役、時に悪役も。マ映画脇役列伝で取り上げたい順位としてはかなり高いのだが、バイオ情報があまりに少ない。唯一と言っていいかもしれない The Hindu による貴重な インタビュー。手がけた本数は少ないものの、プロデューサーも兼業しており、傑作を生み出してもいる。俳優としては、現在は吹けば飛ぶよな役ばっかしだが、80年代にまで遡るとそれなりの活躍をしていたらしい。写真の Pin Nilavu (Malayalam - 1983) Dir. P G Viswambharan での頭の弱いメカマニアの役はペーソスがあって良かった。本名は Sudhir Kumar、芸名は自身の主演作の役名からつけたらしい。もしかしてこの Maniyanpilla Athava Maniyanpilla (Malayalam - 1981) Dir. Balachandra Menon だろうか。そういや Shivaji Rao Gaekwad さんも、デビューにあたって当時大ヒットしていた映画の主人公の名前から芸名を付けたというもあるが本当だろうか、そしてその映画とは?(明後日の方角に行ってしまった話に無理矢理オチ)


投稿者 Periplo : 05:09 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年06月23日

それぞれの柴児6

タミル芸能ニュースにそれほど馴染みがない人(Muthu は見たけれどという程度の)は、オフスクリーンの超級明星様がこんな感じだってことに相当に面食らうみたいだ。いや、頂点に登りつめたこのお方には、(上り坂であがいている、あるいは下り坂にビビっている)普通の芸能人につきものの病的な自意識は残ってないんじゃないかね。むしろ手に負えないくらいカルト化したスクリーン・イメージを何とかして打ち消そうと(せめて中和しようと)して禿頭を晒してるんじゃないかとも思える。

sivaji06.jpg

で、Sivaji のメイク&コスチューム。スチルで見る限りでは近年にないスマッシュヒットじゃないか。

ネット記事を見ても、ボリウッドの売れっ子デザイナー Manish Malhotra とメイクの Bhanu (この人物に関しては記事など見あたらず)が絶賛されている。想定年齢に近づけるとか、そういう中途半端なリアリズムを捨てて、ポップアイコンを創るという発想が貫かれているような気がする。要するにシャンカル監督はラジニをいじって遊んでるんだな。それを承知で、どーんと構えて遊ばれてやったラジニ様は天晴れじゃないだろか。

極めつけはこれですね。

Mr. Anand pointed out that it was one of the original concepts of director Shankar, who is known for his grand ways of shooting songs. “He was thinking about the way people admire Rajinikanth’s dark tan and wanted to show how the superstar would look had he been a European.”(劇中歌♪Style でCGを使用してラジニの肌を脱色したことを説明するカメラのK V Anand、The Hindu 記事、Secret of Sivaji's ‘white’tan より)

意訳すれば、【もしスーパースターが白人でも、あなたは崇拝することが出来ますか?】ってとこかな。一昔前にアパレル屋さんがやってた反人種差別キャンペーンを思い出したりしたのさ(藁。

投稿者 Periplo : 02:25 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年06月22日

高等暇つぶしアイテム

The Penguin India Cinema Quiz Book (Suman Tarafdar, Supriya Chotani, 2002) という本があって、なかなかに楽しいのだけれど、どちらかといえばボリウッド関連の設問が多くて、サウスファンとしては物足りない気がしていたのです。

そんな思いに応えるようなナイスなサイトを発見。triviapettai さんだす。For everything you didn't want to know about Kollywood... だそうで。リメイク関連ネタも充実。

投稿者 Periplo : 00:55 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年06月20日

それぞれの柴児5

映画公開と同時に吹き替えアーティストまでもが脚光を浴びるというのは珍しいのではないか、タミルでは。

sivaji6.jpg

はるかヒマラヤの麓デヘラードゥーンからやってきたヒロインのシュレーヤー(←この読み方、最近になってやっと有識者に確認)の声を吹き替えたタミル女優・カニカーへの rediff によるインタビュー

ウィキペディアのバイオグラフィーによれば、カニカーはマドゥライ近郊出身のブラーミン。マドラス・トーキーズのプロデュースによる Five Star (Tamil - 2002) Dir. Susi Ganesan で幸先のよいデビューを果たしたが、数作を経てヒーローの妹のような、あまりセックスアピールのない役柄に落ち着いてしまったようだ(きちんと見てないんだけどさ)。1999年のミス・マドゥライ(1位)、2001年のミス・チェンナイ(2位)の座に輝いただけあってキュートでナイスバディ。ただ、顔がえらくポッチャリだから、最近のタミル映画界の嗜好とはちょっとズレてしまって、セカンドヒロインが定位置になっちゃったんじゃないだろうか。惜しいねえ。

すでに南印4言語作品に出演。テルグ、カンナダでの芸名は Shravanthi。吹き替えはシャンカル前作の Anniyan (Tamil -2005) でのサダー、それに Sachein (Tamil - 2005) Dir. John でのジェネリヤの声を担当。Anniyan, Sivaji で自分の声が採用されたのは、Aethiree (Tamil - 2004) Dir. K S Ravikumar のセカンドヒロインとして自身で演じたブラーミンのお嬢さん役が評価されたからなのではないかとセルフ分析している。

カニカーちゃんの次回作はマラヤーラム映画。マンムーティ主演の対英闘争歴史もの大作 Pazhassi Raja だ(ギャラリーも)。対英闘争といっても20世紀の話じゃない、18世紀末のマラバールで英国を相手に孤独な戦いを挑んだコッタヤム(こちら参照)の藩王の伝記映画。バリバリのコスプレならカニカーちゃんのポッチャリもきっと活かされるに違いない。楽しみじゃ。

投稿者 Periplo : 02:10 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年06月15日

それぞれの柴児1

ついに本日 Sivaji - The Boss (Tamil/Telugu - 2007) Dir. Shankar の封切り。「世界同時公開(含む日本)」なんて報じてるニュースサイトも相変わらず多い。ネット上の芸能情報がいかにテキトーかってことが分かるってもんだ。それはともかくとして感慨深いなあ。何年も先の事だと思ってた地下鉄の延伸がついに翌日に迫った、みたいな。ホントにこの日が来るとは、という信じられない感じと、うぇーんうぇーん、初乗りに行けないよぉぉぉ〜というもどかしさ(どーいう喩えだ)。

そろそろプレビューなどを拾い読みしたいもんだと思っているけど、流通量が膨大で(その割に情報量は大したことなかったりして)追いつきまへん。rediff による特集あたりをボチボチと眺めるのが精一杯。こんなかの一番の目玉はやっぱりスマン様のインタビューでしょう。

sumansivaji.jpg

いやもう、スマン様追っかけにとっては美味しすぎ。

モーハンラール、アミターブ・バッチャン、ボーマン・イーラーニ、ナーナー・パテカルなどの名前が挙がっていた悪役の座をゲットしたスマン様、だけど決して招待状とお迎えの馬車が用意されていた訳じゃないんだ。

Shankar had wanted a particular get-up. The actor had to act without a wig, remove his moustache and allocate one year for the project.

For the audition, I didn't remove my moustache but was asked to gel my hair, wear a dhoti, walk and says some dialogues. I did that. For me, it was like going to an examination after many years.

オーディションでの緊張を語るスマン様、ヒゲ無しが最初から要求されていたんだ。上に名前が挙がった連中が引き受けなかったのは、これがヤだったんじゃないのかね。

結局オーディションの合格が伝えられて、

I removed my moustache and Shankar instructed designer Nandini to give me a spotless dhoti, shirt, shoes, a Rolex watch and Ray Ban sunglasses.

うー、ロレックスにレイバンねえ。ちなみにこのシーンでラジニ様が着用のグラサンはディオール。パチもんじゃないブランドの色眼鏡をこんなに贅沢に使っちゃうとこなんか、マラヤーラム映画のプロデューサーの皆さんが聞いたら羨ましさで失禁しちゃうかもね。

ベテラン俳優のスマン様が、撮影開始となってもまだ緊張しまくりで、出来が悪かったら途中降板させられるんじゃないかとビビっていたあたり。泰然とした神様役があんなに嵌ってる俳優さんがねえ。

The first day's scene was in an old building (a court) opposite Rajni. The hero loses a case against me and I had to say some strong dialogues in front of Rajnikanth. There were about 500 junior artistes in the background. After I did the take, and Rajni came to me and said, 'Welcome back to Tamil.'

この二人の共演は四半世紀以上前の Thee (Tamil - 1981) Dir. R Krishnamurthy での兄弟役まで遡るのだそうだ。いやはや見てみたい。

なにはともあれスマン様による力強い謳い文句を。

Sivaji is a South Indian James Bond movie. It can't be made again, at least not immediately.

投稿者 Periplo : 01:54 : カテゴリー バブルねたtamil
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2007年03月05日

DVD流通革命か?

mozhi.jpgプリットヴィラージ君については心ないことを書いてしまったが、それでも親の威光も効き目がないタミル映画界(そしてテルグ映画界)に乗り込んでチャレンジしようとしている(この分野での先輩は女子ばっか)ところを見ると、やっぱり応援したくはなる。

まもなくP君主演のタミル映画としては二本目になる Mozhi [Language] (Tamil - 2007) Dir. Radha Mohan が公開になるとのこと。共演はプラカーシュ・ラージ、ジョーティカ、スワルナマーリヤー。ジョーティカさん、引退後に封切られる映画の多いこと。rediff のレビューはやたらと持ち上げてるな。珍しくテルグ界のコメディキング、ブラフマーナンダムが出演しているというのも興味を引かれる。いやーP君頑張って欲しい。

などと心にもないことを書いたのはただの前フリ。プラカーシュ・ラージのセルフ・プロダクションのこの映画、ディスクメイカーの Moser Baer と映画館チェーンの Pyramid Saimira Theatre とのタイアップで、タミル映画としては初めて、封切り直後に正規版DVD、VCDが発売になるというのだ。しかもその価格がそれぞれ34/28ルピー。ホンマかいな?? 手元にあるDVDを試しに見てみると、400ルピー程度のものがほとんど。関係者は海賊盤ディスクの横行を防ぐためには早々に正規版をリリースするのが一番だとふんでいるらしい(そしてこれはヒンディー語映画界ではとっくに始まっていることだ)。The Hindu 記事によれば、Moser Baer 社製のこれらディスクは当の作品が上映される Pyramid Saimira Theatre でも販売され、またオンライン通販も計画されているとのことだ。さらにこれからのリリースのラインナップにはラジニカーント、シヴァージ、MGRなどの過去の名作も多数含まれているという(nowRunning.com 記事による)。

最近どうも見たいタミル映画のディスク化が遅い(VCDレベルの劣悪なものばかりがどかどかリリース)ような気がしているだけに興味津々。基本的に値崩れと無縁だったタミル語映画ディスク界に変化が起きるのだろうか。ともかく今は、字幕をつけてくれるのかどうか、そこんとこを注視したいもんです。Mozhi がリリースされたら真っ先に筆者がお毒味することをここに宣言。

これが成功したら、マ映画界にも進出してほしいもんです。

投稿者 Periplo : 02:15 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年12月27日

カルナ劇場メモ

物議をかもしてもいる劇場の最高・最低料金フィックスに続いて、州政府所有地でのシューティング料の値下げも。

Important locales in Tamil Nadu include Ooty, Kodaikanal, Pollachi, Top Slip, Valparai, Mudumalai, Courtallam, Mahabalipuram, and bigger Temples in Kancheepuram. In the City ECR, Rajaji Hall, Marina and Elliots beach were the most preferred locations. Mr Karunanidhi, whose nearly six-decade involvement with film world was well known, announced considerable reduction in per day's rent for shooting to Rs 1,000 from a whopping Rs one lakh The previous AIADMK regime had increased the rent to Rs one lakh per day in 2003. It was later brought down to Rs 25,000 in 2004. Mr Karunanidhi said rates for shooting TV serials would be half of what was applicable for shooting a filim.(OneIndian 記事 TN Govt. slashes shooting rates より)

まあ、前任者への当てつけみたいな側面もあるんだろうけどさ。

投稿者 Periplo : 00:08 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年11月14日

語源の経済学

長らくプロジェクトの存在自体が不明になっていたアジットの新作 Godfather は、結局 Varalaru - History of Godfather (Tamil - 2006) Dir. K S Ravikumar として公開に漕ぎ着けたんだな。なにが原因でこんなに遅れたのかはよく分からないが。

気になってるのはその次。前にちょこっと取りあげたマ映画のリメイク Kireedom について。

当初はオリジナルのKireedam [Crown] (Malayalam - 1989) Dir. Sibi Malayil と同じタイトルで制作発表されたようなのだが、ここに来てやはり変更の可能性。

こっちの記事によれば、Magudam となる可能性があるらしい。

その訳は、

Since Kireedom is a Sanskrit word, the producer is contemplating a title change - the Tamil equivalent of Kireedom to avail the entertainment tax exemption. (Talkies Today 記事 On a roll より)

州首相選挙でのカルナの映画業界関連の公約は、只今上映中の記事によれば以下のようなものだったらしい。

1.Waiver of entertainment tax for films with Tamil titles.
2.Grant of Rs. 95 lakhs for the production of the proposed biographical film "Periyar".
3.Offer of Rs.10 lakhs for dubbing the English film 'Ambedkar' into Tamil.
4.Renaming of the Film and Television Institute in Chennai after MGR
5.Slashing of the charges for shooting on government property.

エンタメ関連の公約に限っていえば、タミルの政治家の皆さんの有言実行ぶりは大したもんだ。2と3にも大いに期待。

投稿者 Periplo : 03:51 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年11月03日

直球だ

久方ぶりに気合いの入ったファンサイトを発見しました。その名も M.G.R.。これから中身をじっくり読ましてもらいます。いや、頑張って欲しいっす。

投稿者 Periplo : 03:47 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年10月16日

凄い話(2)

Ulagam1.jpg

日本ではカルトな怪作だけどタミルではクラシックな名作という扱いらしい Ulagam Sutrum Valiban (Tamil - 1973) Dir. M G Ramachandran 制作にまつわる秘話。The Hub 上の On "Ulagam Sutrum Vaaliban" movie & songs スレッドより。


匿名掲示板上でまる見てきたように語られるから、丸呑みにしちゃいけないぞと理性の声は警告するのだが、面白すぎて我慢でけまへん。いちおうこのポストの続編です。

In Madras he(MGR) had to struggle with many things, including Jayalalitha who was demanding a role in this mega movie with MGR's name and fame running highest.

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On the following day, MGR's car was denied entry into the packed Expo area. But the survey had to be done. MGR carrried the camera on his shoulder and walked tirelessly the entire length and breadth of the Expo area. this was to the amazement of youngsters who coudl not cope up with the aging, and yet energetic who was about 53 then.MGR was a genius. He spotted all the interesting and useful areas. On the following day the shot was made.

--

The song Ulagam Azhagu kalaikalin Sigaram had 200 shots altogether. The editor was amazzed at the number of shots. Finally the song was reduced to just 4 minutes. This was the first tamil song to have contained the most number of shots. This song alone covered almost all the important exhibits at the EXPO, and turned out to be a kind of documentary in its own way.

Ulagam2.jpg

まあ、このへんはまだまだ一般的な制作苦労話なのだが、だんだん陰謀史観が入ってくるんだ。たまには和訳(抄訳&意訳)しよう。誤訳が怖いから普段はなるべく控えてるんだけど。

1972年にDMKから除名されたMGRは、同年の自前政党ADMK(後のAIADMK)立ち上げの記念に派手な打ち上げ花火を必要としていた。(70年ごろに行われた)海外ロケの映像は、天候にも恵まれず使い物になる部分が少なかったため、本当は再撮影が必要だったが、日程も予算も頭打ちでそれは不可能だった。仕方なくサティヤ・スタジオに40ものセットが組まれ、一部シーンの再撮が行われた。

政治家としての業務に忙殺されていたMGRはフィルムの仕上げにはほとんど立ち会うことができなかった。撮了した未編集のフィルムはまさに支離滅裂なものだった。二人のMGR、三人のヒロイン、編集マンは頭を抱えた。

MGRが本作の公開を急いだのにはもう一つ訳があった。遡って1971年、インディラ・ガンディーの中央政府とカルナーニディのTN州政府との対立が表面化していた頃、MGRはカルナーニディに対して州通商相のポストを要求したが、カルナーニディは拒否し、加えてMGRに俳優業を辞めることを求めた。同時期にカルナーニディは自分の息子 Mu Ka Muthu をMGRスタイルのスターに仕立て上げようと試み、御用ファンクラブも作らせた。ところがFCがそこそこの規模に成長すると、今度は一転して党員(ムットゥは党員だった訳だ)が俳優を兼業しさらに個人的なファンクラブを持つことは党規上不適切であるとしてFC解散を命じた。MGRはこれが何を意味するものかを充分に分かっていた。次にターゲットとなるのは自らのFCであると。一方でインディラ・ガンディーは中央政府閣僚の Mohan Kumaramangalam をつかってUSVの海外ロケ資金の明細を問いただしMGRに揺すぶりをかけた。その時点で明細報告ができなかったMGRは彼女のシナリオを受け入れた。(この件を不問に付すことと引き替えに?)MGRはDMK政府の金銭的腐敗を非難して離党することになったのである。

まさか、哀れなムットゥ氏はこのプロットのためにだけ俳優デビューさせられたのじゃないだろな。んん、それとMGRは党費または州費を使って映画製作してたことになるのか?

Ulagam3.jpg

必死の努力でどうにかUSVは完成にこぎ着けたが、カルナーニディの息のかかった検閲機関の妨害を受けたりもした。ついに封切りとなったその日は異様な緊張に包まれていた。カーンチプラムではフィルムを映画館に移送するパレードが行われた。何千もの信奉者に伴われてプリントが映画館に運ばれたが、本当のところ敵対勢力による襲撃を恐れてケースには石が詰められていただけだという。

結党から僅か半年後のティンドゥッカルの補欠選挙で、ADMKは政党としての実力を問われることになった。各種の事前予測はこぞってDMK有利としていた。そんな時、これまでの慣例を破りUSVは投票の10日前にディンディガルで(他の地域に先駆けて、そしてDMKによる妨害を退けて)封切られた。映画の興奮さめやらぬ人々は投票所に赴き、ADMKに一票を投じたという。結果はADMKの勝利だった。

かくしてUSVはMGRの州首相への道の最初の布石となったのである。

はああ、疲れた。他にも、本作のタイトルが当初 Ulagam Suturm Thamizhan (世界を駆けるタミル人)とされていたなどという話、幻の続編 Kizhakku Africavil Raju(今度は野生の王国かい!)、ネタもととされるMoonrezuthu (Tamil - 1968) Dir. Ramanna、ロケ地マニアなど旨ネタ満載。あとはこれを信じるかどうかだ。こういうエグい話にほいほい飛びついちゃうのはネットリテラシー最低だとは思うんだけれど、小説よりも映画よりもドラマチックなタミル政治史に馴染んでくると、ありそうな事だと思えちゃうんだよね。

Ulagam4.jpg

文中に登場する Satya Studio については下記に記述あり。

Raman floated `Lalitha Cinetone' as a limited company with Kasi Chettiar as his main money-backer. Some friends like R. Prakash also contributed to the kitty in a small measure. He acquired a large tract of land of 25-odd acres on lease with some superstructures in Adayar with Greenways road on the north and the Adayar River on the south. The historic edifice, Broody Castle was one of the borders. The property belonged to the Nawab of Arcot and the monthly rental was Rs.150! Thus it came into existence, the studio that had a chequered history facing many changes of ownership and vicissitudes over half-a-century and more before it finally became `Satya Studio' and passed into the ownership of the MGR family. Many memorable movies were made on this historic lot. (The Hindu 記事 The Hindu : Studios - the scene of action より)
The studio changed hands again and the new owner was M.G. Ramachandran. MGR changed the name to "Satya Studio" in honour of his mother. During his reign the studio buzzed with activity and many films, MGR's and others' too were produced here. The meetings of his party, the AIADMK, were also held here.

After his demise the studio did not see much activity and later, when filmmaking came to a halt here in the early 1990s, the name was changed to `Annai Satya Maaligai'. A women's college now functions here.
(The Hindu 記事 Fascinating journey to fame より)

オマケ:タミル映画だけに絞った、外国ロケ地マニアのブログ記事

投稿者 Periplo : 01:14 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年10月15日

悲運の人 Mu Ka Muthu

スリランカ引き揚げのマラヤーリーで極貧の生まれ、映画界に特別なツテもなし、そんな境遇からTN州首相に登りつめたMGRがタミリアン・ドリームの体現者だとすれば、鏡に映った反転像みたいな人物も。父はTN州首相、ファミリープロダクションで鳴り物入りデビューをお膳立てされて、なおかつ映画界に生き残れなかったムットゥさんの短いバイオグラフィーと(たぶんネット上唯一の)画像を発見。

DhooL.com のコラム より。涙なしでは読めません。

投稿者 Periplo : 00:16 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年09月23日

凄い話

今に始まったことじゃないけど、ともかくビンボーだから、一本映画を見たらそれをとことんしゃぶり尽して次の一本までの時間を稼いでるのだ。特に今週久々に小屋で見た【チャンドラムキ(以下略)】(Tamil - 2005) Dir. P Vasu はインパクトが大きかったし、なんつっても「プリヤン関連映画の関連映画」から「プリヤン関連映画」に格上げされそうな気配もあって(こちら参照)打ち捨てておけない気分。

誰もが知りたいと思ってる(違う?)本作での Repeatu ! 親爺三人衆(注:同作のラジニ登場ソング♪ Devuda Devuda 中に登場する)について。

PVasuChandra.jpg
一番目はもちろん本作の監督、P Vasu

ramkumar.jpg
二番目はシヴァージ・ガネーサンの長男(つまり本作のプロデューサー・プラブの兄)で、自身もプロデューサーであるRamkumar。日本人で既に会見&会食済みの人がいるってのが凄いね。しかも掲載の写真に写ってるのは本作中でも使われたシヴァージの肖像画だよ。

三番目のこのオジさんが謎だったのだ。
KajaBahadur.jpg

で、いつものように必死こいて検索したわけです。やっと見つけた。

The third person to receive the memento was Kaja Bahadur who says 'repeatu' the 3rd time in the song 'Devuda.' Rajini introduced him to the minister because when Rajini had been a conductor, Kaja Bahadur was the driver!(Cinesouth 記事、'Chandramukhi' celebrations - live report with super pics より)

英語力ない上に鈍いもんだからこの記事読んでもまだわからなかった。ラジニが車掌に喩えられるならば、この Kaja Bahadur さんは牽引手とされる、そのくらい凄い陰の立役者だったのかと。プロデューサーよりも偉いのかと。しかしこの名前で検索してもヒットするのは上に引用したものだけ。それで本作のオープニング&エンディング・ロールをDVDでもいちど全部確認したですよ、メモ用紙と辞書片手に。やっぱりそんな名前はどこにも見つからず降参じゃ、と冷めたチャイを口にして一息ついてやっとわかった!デビュー前のラジニがバンガロールで本物のバス・コンやってたときの相方ってことか。凄い話だ。

なぜだかこの映画を見ると、「畢生の大作」というフレーズがいつも浮かんでくる。今度のスーパースターの映画は絶対にフロップになぞさせないぞ、という脇役さん&裏方さんたちの熱い思いが漲ってる気がするんだよね(遠慮なく言わせてもらえばご当人がそれに応えてるとは思えない部分も大いにあるのだが)。特にラジニ映画の最近の定番となりつつある登場第一曲目のノリノリ説教節♪ Devuda Devuda からは本当にそれが感じられる。この Repeatu 親爺たちをはじめとしてスーパースターと個人的に縁の深い人物が脇を固めてるって話だ。だからバックダンサーが全体的に年齢高めに見えるわけだわな藁。

投稿者 Periplo : 03:07 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年09月03日

Japan 関連4

また華の週末をアフォなことに使ってしまった…。
chinnaveedu1.jpg

Chinna Veedu (Tamil - 1985) Dir. K Bhagyaraj
Cast:K Bhagyaraj, Kalpana, Anu
タイトルの意味:Small House (Mistress)

ヒロインはマ映画界からこの人。恐ろしく低予算で作られたものと想像される。もちろんクルーご一行様は絶対に来日してない。

ストーリーはジャパンとは無関係。掲載の画像はすべて劇中歌♪Chittu Kuruvi からのもの。お馴染みのベッドシーン妄想ソングなわけだが…。

chinnaveedu5.jpgchinnaveedu7.jpg
chinnaveedu3.jpgchinnaveedu2.jpg
chinnaveedu4.jpgchinnaveedu6.jpg

もっと詳しいキャストは分からないかと検索したら、行き当たった無関係記事。ちなみに本作の公開年は、一夫一婦婚を法的に義務づけた1955年のヒンドゥー婚姻法の成立から30周年にあたる。

When DMK was in power in the state, security agencies had a tough time providing security to two houses for many ministers, as each of them had two wives.

Whether it was the late M G Ramachandran, or M Karunanidhi, they have all had it, and flaunted it. Karunanidhi has married at least three women, the first of whom is dead.

The DMK chief now divides his time in the houses of both wives - spending mornings at the Gopalapuram residence with Dayaluammal while moving to the house of his other wife, Rajathiammal, at CIT Nagar in Chennai in the afternoons.

Another towering Tamil actor, Gemini Ganesan, married five times while his first wife was alive. The Chinna veedu concept is fairly common in Krishnagiri and Salem districts of TN, where males believe in more the merrier.
Times of India 記事より)

分からない点:バギヤラージはMGRにオマージュを捧げたのか、それともこの映画に捧げたかったのか(両方かな?)。

投稿者 Periplo : 20:51 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年05月16日

本日のエエ味ニュース

kannagiMK.jpgあまりに美味しくてきゃいんきゃいんと叫んでしまったニュースの全文引用。

CM inspects Kannagi statue Chennai, May 15

Chief Minister M Karunanidhi today visited the Chennai Museum and inspected the Kannagi statue, which was removed from the Marina Beach during the last AIADMK regime and kept in the museum. Works are on to have the statue back on Marina Beach.

After the big victory for DPA at the recently- concluded elections to the State Assembly, Karunanidhi had announced that efforts would be taken to reinstall the statue immediately. Interestingly, this was one of the poll promises of the DMK. The officials have begun to clean the statue in the museum.

This morning, the Chief Minister visited the museum and inspected the statue. The statue was found to be intact. Following his visit, efforts are on war-footing to put the statue back on the Marina.

It may be recalled that Kannagi statue was installed in 1967 during the World Tamil Conference by Karunanidhi, who was the PWD Minister in the Cabinet headed by Anna then.
http://newstodaynet.com/15may/rf10.htm

再建立式典は近いのか、是非とも見物に出かけたい。生カルナを拝める(最後の)チャンスかもしれない(ワクワク。 ネタ示唆のラル博士に感謝。

投稿者 Periplo : 00:12 : カテゴリー バブルねたtamil
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2006年05月15日

たまには本も読もう4

あるサークルで紹介されていたのを見て、タミル映画の巨大看板を取りあげたオモシロ写真集なのかもしれないと勇躍入手した本。しかし内容は直球のタミル政治史。図版は一枚もなし。んー、だけどオンもしろい。血湧き肉踊るマハラジャ、現代政治史すなわち映画史というタミルならではの波瀾万丈。

Cut-outs, Caste and Cine Stars: The World of Tamil Politics (by Vaasanthi, Published by Penguin Books India, April 2006) P.69−70でのRMヴィーラッパン(映画プロデューサーであるとともにMGRの政治的な側近でもあった)の証言

我々は1970年の大阪万博に合わせて Ulagam Chutrum Vaaliban を製作することになっていた。ある日突然に、MGRは撮影を口実にジャヤラリタと世界一周の物見遊山に出かけるつもりなのだというゴシップがマスコミで報じられた。私はジャヤラリタをキャスティングするつもりは毛頭なかったから非常に不快を感じた。こういったこと全てにかかわるのは嫌だった。私は日本行きを取りやめようとしたがMGRの意向は変わらなかった。「今流れている類のニュースは好ましくない。あなたはDMKのリーダーで財務担当でもあるのだから。ナヴァシャクティ(会議派系の新聞)はあなたの私生活に関するスキャンダルを書き立てている。過去数年間に我々はあなたの立派なイメージを作り上げ、それを保持するのに腐心してきた。誰かがナヴァシャクティにこういった作り話を漏らしているのだとしたら、それはジャヤラリタに違いない。彼女はあなたの評判を貶めようとしている。あなたのような地位のある人物の部屋に許可もなく入るような勇気は誰も持ち合わせていない。皆が許しを得てから入室する。誰もがあなたを尊敬しているからだ。政治家、大物プロデューサー、党員たち、あなたと言葉を交わそうとするものは誰であれサティヤ・スタジオの入り口で待ち受けるのが、日常の光景だ。このせいで撮影はいつも遅れるのだが。そういうところにあの女はスタスタとやってきてノックもせずにあなたの部屋に入り込む。彼女が出てきてからあなたが姿を見せるのにはさらに半時間を要する。サロージャ・デーヴィだって共演者なのに。あの女以外で衆人環視のもとであなたの部屋に入り込もうとする人間が他にいますか? なぜ彼女だけがこんなことをするのか。MGRは大人物かもしれないが、自分にとってはただの人間にすぎないのだと世間に向かってアピールしたいのだ。我々の住む土地でこれを続けるだけでは足りず、世界中でやろうとしているのだ。日本に行ってこれに立ち会えというのですか?」

ううう、日本を舞台にしたインド映画の金字塔、Ulagam Sutrum Valiban (Tamil - 1973) Dir. MGR は、まず大阪万博ありき、の企画ものだったんだ。そしてすんでのところでボツになる危機をかいくぐっての奇蹟の名作だったわけだ。そしてその危機を作ったのがジャヤ様の大胆な陽動作戦だったかもしれないとは。感無量ですわ(ジイイーン。まあ難しい状況だったのはわかるが、是非ジャヤ様にも来日していただいて大阪の空の下MGRとの愛の絶唱を繰り広げて欲しかった。

ちなみに同書の他の箇所では、タミル政治史の最大の汚点といわれる、ジャヤラリタへのセクハラまで伴った州議会乱闘事件(1989年5月25日の予算審議委員会)の一部始終も詳細に記述されている。あうう、やっぱ見たいわ、カルナvsジャヤの果てしない死闘をつづる Iruvar Part 2 。マニ・ラトナム監督がやらないんだったら、シャンカル監督でも。いんや、あんましクヨクヨ考えたりしないでサクサクッといくんだったらプリヤンでもいいや。

投稿者 Periplo : 00:03 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年11月27日

Roja Patti

アルヴィンド・スワミ様は私を抱き上げてぐるぐるとお回しになったのですよ、いつも私を隣に座らせて下さいました。タプー様もお優しい方。いつでも車を停めてお出ましになっては、親切な言葉をかけて下さったものです。プリヤダルシャン監督様?マイソールでの15日間の撮影に連れて行って下さいました。そしてご自分が召し上がるのと同じ料理を食べるようにと仰ったのです。でもわたしは(食事せずに)お側に控えておりましたけれどね。身の程というものがございましょう?分際をわきまえなきゃいけません、とくに映画の世界では。

主演俳優・監督とエキストラ、という職能上のヒエラルキーで説明しきれるとはとても思えない、目もくらむようなステイタスの格差を暗示する、「ロージャーのお婆ちゃん」の証言。

Roja(Tamil /Hindi /Malayalam /Marathi /Telugu - 1992) Dir. Mani Ratnam の衝撃のミュージカルシーン、♪Rukumani Rukumani で老人群舞という新しい地平を切り開いたSMラクシュミーのインタビューはもちろん貴重なのだが、それにしてもこの記事にすらラクシュミーお婆ちゃんのポートレイトが掲載されていないのもどうかと思う。

さらには、こんな興味深い証言も。

...Patti was in a zone of her own. “Those days you needed to know how to sing, dance, ride horses — everything. You could be black and nobody cared. Now? All that is required is white skin. The white-skinned man left the country but he did not leave our fascination for his skin behind!” she adds scathingly.

ちなみにインタビュアーの Roopa Swaminathan 女史(上記記事はこの本からの抜粋)の次作はタミル映画の歴史に関するものとなるらしい(rediff.com 記事 による)。

投稿者 Periplo : 03:55 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年11月26日

人民芸術家

chevalier.jpg俳優からジャーナリストに転じたCho S. ラーマスワミは多くの作品でシヴァージと共演した。彼はシヴァージに対する「オーバーアクト」という批判に対して、ある映画の特定のシーンに関してのシヴァージとの対話を持ち出して応えた。ラーマスワミによれば、彼の前でシヴァージはその同じ場面を抑制したやり方で演じて見せた。なぜ映画中ではそのように演じないのかと問われて、シヴァージは答えた。「こういう演り方をするならば、私や君だけが芝居を楽しむことになる。一般の人々はどうなるのかね?」
Frontline Volume 18 - Issue 16, Aug. 04 - 17, 2001 Tamil cinema's lodestar より

そう、タミル映画のある種の単純さやブキッシュさは、繊細なものを造形する能力の欠如によるものでは必ずしもないのだ。欠如によるもののこともあるけど。

投稿者 Periplo : 03:55 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年11月23日

ラジニ様ファッション

youngsupparustar.jpg

Chandramukhi で衣装を担当したのはSidney S Sladenというひとらしい。
Fashion designer Sidney S Sladen has brought the first five years of his professional career to a triumphant close recently by designing superstar Rajnikant's 60 costumes in the hit film Chandramukhi, which, according to all reports, helped the 59-year old actor look every inch the swashbuckling hero. (One fan's testimony: "Thalaivar film very super. Thalaivar looking super young.") newindpress 記事より。

参考資料:Time for new trendsSidney's show

Vasu's father was MGR's makeup man and Vasu too knows about makeup.
Sydney Sladen designs Rajni's costumes

寝間着のデザインなんかもするのかな。

投稿者 Periplo : 01:07 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年11月14日

メモだ、メモ!

最近ちょっと太めになってきたかと懸念していた某氏の記事を見つけて興奮、Sify.com 記事


Vikram goes for rejuvenation!
After a massive publicity campaign for Majaa in Andhra, Vikram is taking a break from his hectic schedule for the next three weeks. He is off to Coimbatore where he will get rejuvenated at Dr Ravindran's clinic.

He is going for a complete Ayurvedic treatment including Abyanga (one of the most rejuvenating treatments of Ayurveda to improves blood circulation, rejuvenates the whole body, removes cellulite, beautifies the skin and helps sleep better), Pizhichil (an extremely soothing and relaxing massage for toning, strengthening and deeply rejuvenating the whole body), yoga and meditation (the art of keeping free from stress)for a month).


タミルスターに若返りの秘術を施すクリニックはここだぁーっ!! ヨ、ヨヤクヨヤク。

投稿者 Periplo : 02:15 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年10月15日

すごいのう…

世界中のインド人街の今年のディワリイベントでは、こんなのやるんだろうね。

投稿者 Periplo : 00:39 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年10月07日

貴重な発見かも

注目のコンビ、ヴィクラム+バラの新作について。

That's why Vikram bought the Tamil rights of the Malayalam film ‘Saandhu Pottu’ starring Dilip. Having seen the film, Bala was impressed with the ‘Saandhu Pottu’ story.
He wondered - why not direct the Tamil version since he was free? So, the award wining duo Vikram and Bala are reuniting for this very purpose.

But one thing is for sure. There will be no national award. The award committee does not recognize re-make films.CineSouth 記事

国家映画賞レースのエントリー資格として、自分でセリフをしゃべらなきゃ駄目、というのがあるのは知ってたが、オリジナルストーリーってのもあったんだ。これじゃプリヤンの受賞は絶望的だね。しかしこれまでの受賞作品中に、まんまと網をくぐり抜けてちゃっかりゲットしちゃったリメイクも何本かはありそうだな。

ネタ元のChaandupottu (Malayalam - 2005) Dir. Lal Jose は、さほど期待されていなかったのに蓋を開けたら女性客を中心に大ウケしたらしい。性にまつわるテーマに非常にナーバスで、同性愛を描いたものすらほとんど無いというのに、いきなり上級編の服装倒錯者(ただしヘテロセクシャル)を主人公に据えた映画がヒットするなんてどうなってんのか。それにしても、女の子のカッコするのが大好きなヒーローがそれでもヒゲを生やしてるというのはなんなのか。はよ見たいわ。

投稿者 Periplo : 00:53 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年10月06日

ラジニ様をボコボコにした兄ちゃん

タミル語をあんまし話せないサウス俳優シリーズ。今回はSonu Sood君だっ!まあ本籍はヒンディー界みたいだけど。


Sonu Sood, who was last seen in 'Yuva' and 'Sheesha', cannot stop raving about his experience with Rajnikant. Sood plays the villain in the Rajnikant-starrer Tamil flick 'Chandramukhi'. It is reported that Rajnikant actually went up to Sood and told him that no actor has ever bashed him up so much on screen. He even offered to tell fanatically crazy fans that they shouldn't feel bad that Sood was beating Rajnikant black and blue!
Sood is also pretty excited about his other film 'Siskiyaan' which releases in April. Time will tell how these films whether these films will hit the mark. (Bollyvista.com 記事より)

パンジャブ出身のソーヌ君、他にはヴィジャイカーント、ナーガールジュナなどの映画に出演した模様(別の記事ではタミル映画12本、テルグ映画4本とある)。主役級のヒンディー出演作を抱えながらもサウス語のお勉強も。

Q:Mouthing the dialogue for these films must have been a difficult for a North Indian like you.
A:I have now learnt Tamil but Telugu is still a little difficult. I have a tutor for the language now. Hopefully, I shall soon be mouthing my own lines in South films.(Screen によるインタビューより)

以上、オチはありませんが、チャンドラムギ日本上映記念奉祝記事ですた。

投稿者 Periplo : 01:42 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年09月11日

そういや確かに

'Perhaps for the first time, I would be playing a humorous role, which was my desire for a long time. The movie would be completed and released this Deepavali.'

前作では正統派ブラーミン+イケメンデルモ+シリアルキラーのMPD、前前作(もっと前だったっけ?)では言葉を知らない野生児、芸域の広さを積極的にアピールしてるヴィクラムが、新作 Maja について語る NewsToday 記事

結構ヒットしたらしい Thommanum Makkalum (Malayalam - 2005) Dir. Shafi のリメイク。その他のキャストはAsin, Pasupathi, Vadivel, Manivannan, Vijayakumar, Muthukalai。

Maja.jpg

投稿者 Periplo : 00:27 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年08月23日

素朴な疑問文

市井の商売人や職人の職業倫理が一般にかなり高い(少なくともバブル前まではそうだったと思う)国に暮らしながら、インドの人々(つまり、通販屋とかオートの運ちゃんとかだ)と僅かながら接点を持ってみて感じること。あの国でゲージツ家、とくに高度な集団作業を本質とする映画監督だの建築家だのをやっていくというのは、どれほどにストレスフルであるかということ。

もちろん興行成績第一で細かいとこなんざ気にしないや、とケツまくっちゃってる奴もいるだろうが、いくら商業映画の世界だからといって、ゼロからモノを作り出す仕事をしている以上、それなりに「こうあるべき」というイメージをマテリアライズしようともがいている(だからこそゲージツ家の道を選んだのだろうし)ディレクターは多いはず。そういう方々がチームメンバーの手抜き・能力不足・納期無視・契約不履行などといったデタラメぶり(<決めつけか?)、真心のこもっていない仕事ぶり(<ゲージツの世界でのモラルはまた違うのか?)に対して感じる焦燥感はいかばかりのものなのか。

そういう中での炒りたてられるような苛立ちがこの映画を作らせたんじゃないかという気がする。政治的なメッセージよりも。

投稿者 Periplo : 00:35 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年07月21日

名前の神秘

Hochimin----February 14 (Tamil - 2005)でデビューの新人監督。シャンカルのアシスタント出身。資料

Stalin------前チェンナイ市長、カルナーニディの息子。資料

Lenin------1.Lenin Rajendran:マラヤーラム芸術映画の監督。資料。2.B Lenin:タミル映画界のエディター・監督。記録映画・芸術映画が専門。Oorukku Nooru Paer で2001年度の国家映画賞を受賞。

この分だとトロツキーだのゲバラだのもいそうだな。

投稿者 Periplo : 03:15 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年07月20日

カメラのフレームの外側

キャプテン、またしてもピ〜ンチ、の巻。Sify.com 記事

プロデューサー Kaja Moideen の妻ともどもの自殺未遂によってVK主演映画 Perarasu の8月15日公開に暗雲。

Perarasu is the most important film for Vijaykanth as it is his curtain raiser for the launch of his political party in September. It contains punch lines and political ideology of what 'Captain' wants to convoy to his electorate. A message had been sent to his fans to make it a 'hit at all cost' to enable Captain to start his political innings on a sound footing.

これまで全然知らなかったけどモイデーン某はVKの忠実なシンパで、Perarasu の制作に際しても自らの取り分はほとんどゼロ※で、やはり自ら手がけるカマルの新作 Vettaiyaadu Vilayaadu (Hunt & Play) との抱き合わせ販売によって収支を賄おうとしていたらしい。

※記事からはノーギャラはVKの方とも読めるが別の記事によればVKはしっかり出演料を要求した模様。

自殺未遂の原因は資金難らしいが、まことしやかなカマルとのトラブル説も流通していたらしい。

投稿者 Periplo : 00:55 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年06月29日

偽 Mira Bhai 詩編

最近になってチェンナイ近郊で発見されたミーラー・バーイーのバクティ詩の断片。諸国を放浪したというミーラーは南インドにも足をのばしていたのだろうか? ミーラー・バーイーについてはこちらこちらなど。

マトゥーラの王よ、どこに行ってしまわれたのですか
あなたの僕を悲嘆のうちに取り残して
牧女たちは言い張る、あなたは変わらずここにいると
けれどミーラーの目に映るのは冷たく空ろな偶像
乙女たちと戯れていたあなたはいまや
土塊でできた小さな人形(ひとがた)となり
彼女たちの担う黄金の輿に鎮座する
黒い肌のお方!
いまは北の山にいらっしゃるのですか
夜に愛されたお方よ
ヴリンダーヴァンの夜は冥く、月の貌は雲に隠れ
あなたに焦がれてこの目から流れ出る涙は
カーヴェリーの河水のよう
マトゥーラの王よ、黒い肌のお方

投稿者 Periplo : 02:54 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年06月21日

無神論者サティヤラージ

sathyarajintereng21122004.jpg

昨年12月のシネサウスによるサティヤラージのインタビュー

ドリームプロジェクトであるペリヤールの伝記映画について語るSR。うむむ、確かに今のタミル映画界でペリヤールを演じる度胸と実力を兼ね備えているのはSRぐらいなのかも。ちょうど、MGRを演るのにモーハンラールしかいなかったように。

なんて感心してたら、この映画既に公開されていたのだ。しかも結構な騒動を巻き起こして。その映画 Puratchikkaran の脚本家へのインタビュー。ChennaiOnline によるレビュー。Cinesouth によるレビュー。こっちが Maha Nadigan で騒いでる間にこんな問題作もあったとは! すんごいペースで新作公開してるなSR。

その他面白かったtips。
●実人生でも無神論者のサティヤラージだが、一方ではMGRをチョー尊敬している。いや別に無神論とMGRファンは矛盾はしないんだろうけど。
別の映画で共演している息子のSibiraj はSRよりも1インチばかり背が高い。
●上記のシネサウスのインタビュー見出し、中学で習った英文法の基礎が音たてて崩壊していくようで愉快。

投稿者 Periplo : 03:14 : カテゴリー バブルねたtamil
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2005年06月20日

そんなとこにあったのか

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音楽家の家系に生まれたラージェンダルはアンナマライ大学を卒業後、【Unrequitted Love / Oruthalai Ragam】(1980) で脚本家・作詞家として映画界入りした。初の監督作は【The Calls of Spring / Vasanthathin Azhaipugal】(1980)で、脚本・作詞の他に作曲にも手を染めている。これはその後の監督作にも引き継がれ、制作の主要部門のほとんどの責任者をひきうけるというのがパターンとなった。これら作品は大ヒットを博し、彼は程なくカメラマンをも務めるようになり、「ワンマン・プロダクション・ユニット」の異名をとることとなる。その作風は、メロドラマ・無茶な設定・乱闘・歌と踊りのごった煮といったところだ。彼は屋外撮影をほとんど行わず、セットを好む。けばけばしい装飾とサイケデリックな照明、そして群舞、彼の作品は映画的キッチュに満ち溢れている。台詞は不必要な韻律だらけで、たいていは不自然で意味をなさないものである。ストーリーの多くは女性の苦しみを扱ったもなので、彼のファンの大半は女性たちである。彼はアマラ、アーナンド・バブーといった後にスターとなる多くの新人を発掘してもいる。また5歳になる自分の息子を主役に据えたり、ファンクラブを息子の名前で立ち上げたりもしている。1984年、人気の絶頂期に、ラージェンダルは政界入りし、当時野党だったDMKと連携した。彼は政治集会などでは常にスピーチを求められた。DMKと袂を分かった後には自身の政党Thainadu Marumalarchi Kazhagam (Motherland Renaissance Party)を立ち上げた。この政党の立候補者として、彼の妻ウシャーはパラニ選挙区から国会議員選に出馬したが、落選した。彼自身は1991年のタミルナードゥ州会議員選挙の際に、カンゲヤム選挙区からジャヤラリタの対立候補として出馬したが、やはり落選している。

主要作品
During Train Journeys / Rayil Payanangalil (1981)
A Melody in the Heart / Nenjil Oru Ragam (1982)
A Song for the Sister / Thangaikor Geetham (1983)
Love me, Maithili / Maithili Ennai Kathali (1986)
My Sister Kalyani / En Thangai Kalyani (1988)
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The Eye of the Serpent An Introduction to Tamil Cinema [by S.Theodore Baskaran ; Eastwest Books (Madras) Pvt. Ltd. 1996] のP.195-196(主要映画人名鑑の一部)より引用。

うぬぬ、クマ親爺のファン層が女性とな! こりゃ予想もせなんだわい。行けども行けども果てもなくトワイライトゾーンが広がるサウス界、やめられまへん。

投稿者 Periplo : 02:52 : カテゴリー バブルねたtamil
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