2017年04月30日

5月のマラヤーラム映画

マラヤーラム映画界からの Airlift への返答なのか、どうなのか。実話からヒントを得たスリラーであるという。

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TAKE OFF (Malayalam - 2017) Dir. Mahesh Narayan

原題:ടേക്ക് ഓഫ്
タイトルの意味:離陸

Cast:Parvathy Menon, Kunchacko Boban, Fahadh Faasil, Prakash Belawadi, Asif Ali, Parvathi T, Anjali Aneesh Upasana, Prem Prakash, Prashant Nair, Rukhsar Rehman, Alencier Ley Lopez, Devi Ajith, Divyaprabha, Vishnu Prakash, Joju George, Sidhartha Siva, etc.

Music:Shaan Rahman, Gopi Sundar (BGM)

映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/TakeOff.Malayalam/
公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/vzYSKjxtKNg
プロモソング:https://youtu.be/qcjU_henIew

■開催日:2017年5月13日(土)
■時間:15:00開映(チケット販売・引き換えは13:30ごろから、上映は17:45ごろ終了予定)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば139分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/visit/access/
※インターミッションに別料金でスナックの販売あり。浅草の南インド料理店サウスパークによるケータリング。以下の申し込みページからチケットとともに予約可。

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/en/home/index
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/04/take-off-malayalam-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
31歳の看護婦サミーラ(Parvathy Menon)は、経済的な理由から中東への出稼ぎを希望していた。超保守的な婚家との軋轢から離婚した彼女は、夫ファイサル(Asif Ali)のもとに8歳の息子を委ね、単身で働きながらビザがおりるのを待っていた。その後、よき理解者である同僚のシャヒード(Kunchacko Boban)と再婚し、イラクのティクリートに渡った彼女は、事前には知らされていなかった現地の惨状に驚く。そこは実質的な戦場だったのだ。ほどなくして、その地を支配していたISが撤退する際に、ケーララ出身の看護婦たちを人質として拉致してしまう。その中にはシャヒードと離れ離れになってしまったサミーラもいた。

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【主要キャラクター/キャスト】
■サミーラ/パールヴァティ・メーノーン
意志の強いタフなワーキング・ウーマンだが、繊細な感情も併せ持つ31歳。逼迫した実家の財政事情を何とかしようと、中東への出稼ぎを志す。アラブ諸国への出稼ぎ者の数ではインドでトップのケーララ州だが、同時に看護婦をインドの他地域や中東など外国に多数送り出していることでも有名。マラヤーリー・ナース・オン・ザ・ムーンというジョークがあるくらいだ。演じるパールヴァティは『チャーリー』や、Ennu Ninte MoideenUttama VillainBangalore Days で既におなじみ。
■シャヒード/クンチャーコー・ボーバン
サミーラと同じ病院に勤める看護士。進歩的な考えの持ち主で、働く彼女を支えて共にイラクに赴くが、戦乱の中で離れ離れとなってしまう。チャコーチャンことクンチャーコー・ボーバンについては5年も前になってしまったが、割と詳しく紹介した。スチル写真だけでは、この人のマラヤーラム映画界でのプレゼンスの重さは理解できないかもしれないが、スターとしてではなく演技者として見れば、モーハンラールの後継者と呼ぶにふさわしいと筆者は考えている。日本のスクリーンにチャコーチャンが初めて登場するのが、同じく芝居で定評のあるパールヴァティとファハドとの共演作であるというのは、非常に幸運なことだ。
■マノージ・アブラハム/ファハド・ファーシル
在イラク・インド大使館の外交官。大変なキレ者で、外交的な手練手管を駆使して、人質になった看護婦たちの救出に努める。Bangalore DaysMaheshinte Prathikaram が上映済みのファハドは、3年前に紹介した際には、最も出演本数の多い売れっ子若手だったが、現在は少し落ち着き、前作から1年ぶりの登場となったが、この大ヒット作によって2017年も幸先良いスタートとなった。
■ファイサル/アーシフ・アリ
サミーラの夫だが、家庭内の軋轢から離婚し、子供を引き取ることになる。特別出演に近い短い出番だが、アーシフ・アリは日本では Apothecary から3年ぶりの登場となる。
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【トリヴィア】
代表作 Traffic をはじめとした僅か5本の作品を残し、マラヤーラム・ニューウェーブの立役者の一人だったラージェーシュ・ピッライ監督は昨年2月に41歳で急逝した。ケーララの映画業界人やファンは、この知らせに深いショックを受けたが、RP組とでもいうべき技術スタッフたちは、作品を作ることで手向けにしようと考えたのだという。そのRP組で腕利き編集マンとして活躍していたマヘーシュ・ナーラーヤンが、初めて監督としてメガホンをとった本作は、RP作品を彷彿させる張り詰めたスリラーとなり、3月下旬の封切り以来、現在もヒット記録を更新中である。

冒頭に Airlift の名前を挙げたが、共通しているのは中東を舞台にした脱出劇であるというだけ、Airlift が1990年代のクウェートを舞台にしていたのに対し、こちらはまだ記憶も生々しい、2014年のイラクでのISによる人質事件だ。ケーララでは考えられない高給に惹きつけられてやってきた46人の看護婦たちだったが、ティクリートに着いてから、そこが実質的な戦闘地域であることを知る。勤務先の病院に寝起きし、市街には一切出られない軟禁生活。やがてイラク人の同僚たちが街を脱出し始める。市中での砲撃戦が激しさを増していき、6月末に病院のある地区はISの支配下となり、看護婦たちは負傷したIS戦闘員の手当てを命じられることとなった。翌月に入り、看護婦たちはまとめてバスに乗せられ、やはりIS支配地域であるモスルに向かうことを告げられる。病院での勤務の末期の頃から、彼女たちは恐怖の中で、在バグダード・インド大使館および当時のケーララ州首相ウンマン・チャーンディに宛てて、携帯電話からメッセージを送り続けていた。息詰まるバスの旅の後、モスルについた彼女たちは、そこでインド大使館員の出迎えを受け、ついに帰国の途に就くことができた。ISとインド政府との間での、水面下の何らかの交渉があったものと思われるが、その内実は今日も明らかにはされていない(参考)。

以上が、実際に起きた人質事件の概要だ。映画中では、この流れに沿いながらも、若干ドラマチックな改変がされている。なお、無事帰国した看護婦たちの受難はそれだけでは終わらなかったという。イラクに出発する際にブローカー業者に支払った、彼女たちにとっては巨額のビザ+渡航手数料を回収することができなくなってしまったからだ。

こうした「昨日の歴史」を描いた作品はマラヤーラム映画ではまだそれほど多くないし、戦争にまつわるものとなると、予算の制約からショボいものになっちまわないかと不安になるのだが、巧みな脚本と演出によってそれは回避されたようで、批評家から絶賛され、興行的にも大成功の一作となっている。以前の別作品のプレビューで、マンジュ・ワーリヤルが「女モーハンラール」と呼ばれていると書いたことがあったが、本作に主演のパールヴァティは、今や20代(←多分)でマンジュの後を追いかけるトップ女優と言っていいだろう。その彼女が、やはり芸達者のクンチャーコー&ファハドとタッグを組むというのだから、これはどうしても見逃せないものとなるだろう。

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投稿者 Periplo : 02:23 : カテゴリー バブルねたkerala
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2017年04月02日

4月のマラヤーラム映画

86人の新人が一気にデビューと言えば聞こえはいいが、要は素人俳優をかき集めたということ。しかしそれが異例のヒットとなってロングラン中というのだから、そりゃ見なきゃという気にさせられる。しかしまあ何より気になるのは豚ちゃんだ。

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Angamaly Diaries (Malayalam - 2017) Dir. Lijo Jose Pellissery

原題:അങ്കമാലി ഡയറീസ്
タイトルの意味:アンガマーリ日記(アンガマーリはコーチン近郊の実在の町

Cast:Antony Varghese, Reshma Rajan, Ullas Jose Chemban, Kichu Tellus, Vineeth Vishwam, Bitto Davis, Tito Wilson, Sarath Kumar , Sinoj Varghese, Merin Jose Pottackal, Sreekanth Dasan, Anandhu, Anson Antony, Binny Rinky Benjamin, Sruthy Jayan, Amrutha Anna Reji, Jolly Chirayath, Athira Patel, Sreeja Das, Benny Varghese, Akash Dev, Milton Raju, Sandeep C, Chemban Vinod Jose, etc.

Music:Prashant Pillai

■開催日:2017年4月8日(土)
■時間:15:00開映(チケット販売・引き換えは14:00ごろから、上映は17:45ごろ終了予定)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば132分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Angamalydiaries/
公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/4yRBJCrjabU
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/Xgpf0gixtzU

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/en/home/index
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/03/angamaly-diaries-malayalam-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォーム入口は、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
コーチン北郊のすすけた町アンガマーリ。その住人たちは独特の方言と、豚肉料理への嗜好によって知られていた。アンガマーリの慎ましい家庭に生まれたヴィンセント・ペッペ(Antony Varghese)は、勉強が苦手な平凡な子供だったが、草サッカーのエースで同時にギャングでもあるバーブジーに憧れ、自分もギャングになることを考える。学校からドロップアウトした彼は、曲折の末に、仲間たちとともに豚肉仲買のビジネスを始めることになる。物事が順調に運びかけたかに見えたその時に、予期せぬトラブルが彼らを襲う。

【主要キャラクター/キャスト】
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■ヴィンセント・ペッペ/アーントニ・ヴァルギース
アンガマーリ生まれの短気で喧嘩早い男。勉強が苦手でギャングになることに憧れる14歳から、様々な運命の変転を経験した30歳過ぎまでが描かれる。演じるアーントニ・ヴァルギースは、86人の新人の一人で、これまでは短編映画に出演していた人だという。舞台となるアンガマーリの出身。
■リッチ/レーシュマ・ラージャン
ヴィンセントの恋人。演じるレーシュマは看護婦さんをやっていた人だそうだ。
■アッパーニ・ラヴィ/サラト・クマール
ヴィンセントと対立するグループのボス。サラト・クマールはアーントニと並んで本作の新人俳優の中では最も評価された演技者であるという。
■チェンバン・ヴィノード・ジョース(自身の役で特別出演)
チャーリー』の船頭さん役でこの顔を覚えている人も多いはず。本作では一番名前の知られた演技者として特別出演をするだけではなく、脚本家として屋台骨を支えており、称賛が寄せられている。やはりアンガマーリの出身。

【トリヴィア】
マラヤーラム・ニューウェーブ映画の旗手の一人と言っていいであろうリジョー・ジョース・ペッリッシェーリ監督の日本初上映。2010年にリベンジ・スリラー Nayakan でデビュー。翌年の City of God は、いわゆるグランドホテル形式。いずれもスタイリッシュな映像への志向性が高いものの、それが上滑りした感のあるものだった。大化けしたのは三作目の Amen によって。伝統的な生活を送るクリスチャンのコミュニティを舞台に、魔術的リアリズムと形容したくなる寓話的空間を創出し、批評家から高い評価を得るとともに、興行的な成功も収めた。一作おいて第五作目となる本作では、一転してリアリズムによって田舎町の暴力的な年代記を描く、「ハードコア・ローカル(katta local)映画」だという。タミル・ニューウェーブを見ている現地の映画好きには、やっと我々の間からも SubramanyapuramSoodhu Kavvum みたいなのが出てきた~と感激してる連中もいるという。「リアリスティック」と「ロウ(raw)」というのは、今やインテリ系シネゴアーの呪縛みたいなものになってる感があるな。

このLJP監督の作風として特異なのは、スタイリッシュ映像への志向性、そしてブラック・ユーモアとともに、技術的な局面で様々な実験を試みること。今作でのチャレンジは、1000人近いエキストラを画面に収めたクライマックスシーンを11分の長きにわたってワンショットで撮ったということらしい。どれほどの技巧をもってしても、そして86人の新人という記録破りのキャスティングをもってしても、たった一人のスターが出る映画には敵わないのがインド娯楽映画の世界。100にも満たないスクリーンで3月3日に封切られた本作だったが、すぐに評判となり、現在も快進撃を続け、ブロックバスターへの道を驀進中という。

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いやともかく、どんな豚肉料理が出てくるのか、それが一番楽しみだったりする。

投稿者 Periplo : 01:56 : カテゴリー バブルねたkerala
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2016年11月13日

11月のマラヤーラム映画

このファーストルックを見た時には、「ラルさんがカムイ伝をやるのか?!」と興奮したもんだった。

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Pulimurugan (Malayalam - 2016) Dir. Vysakh

原題:പുലിമുരുകൻ
タイトルの意味:Tiger Murugan
タイトルのゆれ:Puli Murugan, Pulimurugan The Wild Hunter

Cast:Mohanlal, Kamalini Mukherjee, Lal, Jagapati Babu, Suraj Venjaramoodu, Namitha, Bala, Vinu Mohan, Kishore, Makarand Deshpande, Siddique, Noby Marcose, Sudheer Karamana, Harish Peradi, Santosh Keezhattor, Anjali Aneesh Upasana, Sasi Kallinga, Sethulakshmi, M R Gopakumar, Nandhu, Durga Premjith, Antony Perumbavoor, Newik Cullet, Master Ajas, etc.

Music:Gopi Sunder

公式トレーラー:https://youtu.be/blQUlD8g4Pk
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/V7BKfu25NwM

上映1:2016年11月20日(日)
■時間:15:00開映(チケット販売・引き換えは13:30から)、17:45ごろ終了予定(途中約15分のインターバル休憩あり)
■料金:大人2500円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※川口会場のみ、サウスパーク・レストランによるスナックの販売あり、下記よりチケットと併せて予約も可能。

上映2:2016年11月26日(土)
■時間:15:00開映(チケット販売・引き換えは13:30から)、17:45ごろ終了予定(途中約15分のインターバル休憩あり)
■料金:大人2500円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■会場:神奈川県海老名市、イオンシネマ海老名 http://www.aeoncinema.com/cinema/ebina/

【共通】
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば161分

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/pulimuruganmovieofficial
■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/11/pulimurugan-malayalam-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口は川口海老名とで別々にあり。万が一の直前の急な変更などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】 
西ガーツ山中の部族民の住む僻村プリユール(虎の土地という意味)。ムルガン(Mohanlal)は、プリムルガン(虎のムルガン)の異名を持つ男。普段はトラックの運転手や竹の伐採などで生計をたてているが、人々を脅かす虎が村に近づくと、単身で虎と戦い仕留め上げるスペシャリスト。妻マイナ(Kamalini Mukherjee)と幼い娘とともに慎ましく暮らしていた。ある日、弟のマニクッタン(Vinu Mohan)の友人が助けを求めてムルガンのもとにやって来る。そして彼は、虎よりも恐ろしい真の敵が村を脅かそうとするのと対峙することになる。それは、製薬会社を経営するダーディ・ギリジャ(Jagapati Babu)という実業家で、蔭で薬物マフィアとも手を結んでいる男だった。

【主要キャラクター/キャスト】
■ムルガン/モーハンラール
トラックドライバーなどで生計を立てながらも、虎退治のスペシャリストとして村人から尊敬されている。幼時に父を殺した虎に復讐を挑み、見事成し遂げた。主な武器はムルガン神にちなむ槍。各種レビューではあまり明確に言及されていないが、このムルガンのキャラクターは山岳部族民、または部族民の流れをくむ人物であるらしい。これはマラヤーラム映画としては相当に画期的なものである。
■マイナ/カマーリニ・ムカルジー
ムルガンの妻。野性的な女性で、嫉妬から癇癪を爆発させることも度々ある。ベンガル出身のカマーリニは、主にテルグ映画に出演してスターになったが、マラヤーラム映画でも少数ながら佳作に名前を連ねている。
■ダーディ・ギリジャ/ジャガパティ・バーブ
製薬会社社長という表の顔の裏で、大麻栽培、白檀盗伐、密猟などの違法行為を行っている。おそらくは本作がマラヤーラム・デビューとなるジャガパティ・バーブは、テルグ映画界の中堅スター。日本では2014年の Lingaa で登場済み。
■バララーマ/ラール
ムルガンのオジ。父を殺した人食い虎への復讐を誓った少年ムルガンを助ける。
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【その他のキャラクター/キャスト】
■マニクッタン/ヴィヌ・モーハン
ムルガンの弟。マニクッタンを出産した際に母は産褥で死亡した。僻村の出身でありながらMBAを取得している。両親を失ったムルガンにとってマニクッタンは掌中の珠であり、それがダーディ・ギリジャにとって付け入る隙となってしまう。
■RK/キショール
森林保護官。ムルガンを敵視している。
■プーンガーイ・シャシ/スラージ・ヴェニャーラムード
ムルガンの友人。覗き見趣味がある。
■ジューリ/ナミター
ムルガンを誘惑しようとする女性。グジャラート出身の「インドのアニタ・エクバーグ」、タミル映画を中心に2000年代の南インド映画界を爆裂ボディーで蹂躙したナミターだったが、激太りで爆裂しすぎて最近はお目にかかる機会が減っていた。当人もさすがにヤバいと思ったのかダイエットをしたらしく、この仕上がり

【トリヴィア】
主として予算不足から、そして部分的には気取った文芸趣味から、アクションというジャンルは、マラヤーラム映画の中では周辺的なものだった。スレーシュ・ゴーピ、故カラーバワン・マニといった、アクションを得意とする俳優もいるのだが、予算の制約とリアリズムを好む性向から、アクション作でありながらもタミル映画やテルグ映画のようなポトラッチ的展開をすることがなかった。驚くべきなのは、20~30代の若手俳優たちに、このジャンルへの挑戦があまり多くないこと。2010年ごろからのニューウェーブお洒落映画の隆盛で、世代交代も完了したかに見えながら、片隅に追いやられたジャンルで歴史的なヒットを飛ばしたのが56歳のスーパースター、モーハンラールであることには度肝を抜かれる。結局のところ、アクション映画に求められるのは、見かけだけの筋肉や、若さからの運動量ではないということなのか。重々しいキメ台詞に込められる迫真性と説得力、戦いに臨む際の殺気、力を具現化したかのような神彩、巌のような巨体から繰り出される敏捷な攻撃、こうしたものは今のケララの若手俳優には望みえないものなのかもしれない。

実は、モーハンラールがアクション路線に手を染めたのは初めてのことではない、2000年代の前半に、こうした出演作が続いたことがある。2000年公開の Narasimham のメガヒットが端緒となり、その後同傾向の作品が量産され、数年後に飽きられた。この一群のアクションものの中では、2005年の Naran での身体能力の極限を見せた演技が最高峰だった。

しかし、この2000年代前半の作品群と本作の間には、いくつか異なっている点もある。まず、本作で主人公のキャラが部族民(または部族民の流れをくむ人物)とされていること。かつての作品群では、ハイカーストの荒ぶる御館様という役どころが定番だったのだ。これは何を意味するのか。そして何よりもスタント・マスターにピーター・ヘインを引っ張ってきたこと。『ロボット』、『ボス その男シヴァージ』、『バーフバリ』など大作のアクションを振り付けたことで知られる売れっ子を、マラヤーラム映画として初めて迎え入れたことが、疑いなく本作をネクスト・レベルに押し上げた。

2010年に Pokkiri Raja で監督デビューしたヴァイシャークは本作が7本目となる中堅。デビュー以降、スターを使ったおふざけユーモア映画を送り出してヒットに結び付けてきたが、2013年のクンチャーコ・ボーバンを主役に据えた Vishudhan は、暗い情念が渦巻く流血ドラマで、あまりヒットはしなかったものの、新境地に目を惹かれた。その後、間に一作を挟み、再び手掛けたシリアストーンの本作が歴史を塗り替える大ヒット、マラヤーラム映画初の売り上げ100カロール・ルピー超えを達成した。

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主人公の名前は、タミル人の民族神/民俗神、そして山岳神であるムルガンから来ている。タミル地方へのヒンドゥー教の流入以前からの古い神格で、タミル・ナードゥ州中部のパラニを本拠地としている。一説には、もともと狩猟を生業とする山岳部族民の神だったとも言われる。ヒンドゥー教化されてからはシヴァ神の息子という位置づけになった。この神様を信仰しているのはインドでもタミル人と一部のケララ人のみ。槍を持ち、孔雀に乗る姿が特徴的。本作中で主人公が転がすデカトラに Mayilvaahanam(孔雀号)などという名前がついているのもそこから。

投稿者 Periplo : 00:25 : カテゴリー バブルねたkerala
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2016年09月25日

10月のマラヤーラム映画

どっかん、どっかん、景気のいい復讐もの。

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Oozham (Malayalam - 2016) Dir. Jeethu Josef

原題:ഊഴം(ウーラムと読む)
タイトルの意味:turn, time, shift
タイトルのゆれ:Oozham – It’s Just A Matter of Time, etc.

Cast:Prithviraj, Divya Pillai, Neeraj Madhav, Balachandra Menon, Seetha, Rasna Pavithran, Kishore Sathya, Jayaprakash, Pasupathy, Tony Luke, Anson Paul, Irshad, Dinesh Prabhakar, etc.

Music:Anil Johnson

公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/LZYp4FSIABU

■開催日:2016年10月8日(土)
■時間:15:00開映(チケット販売・引き換えは14:00から、終映は17:45ごろ)
■料金:大人2000円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:約140分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※15分のインターミッションにスナックの販売あり、チケットと同時に申し込み可。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/OozhamOfficial/
■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/09/oozham-malayalam-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
チェンナイの裏町を、武装集団に追われて逃げ回る若い男。彼の切れ切れの回想から物語が始まる。スーリヤ(Prithviraj)はアメリカで爆破解体のスペシャリストとして働いていた。あるとき、妹のアイシュワリヤ(Rasna Pavithran)の婚約式列席のために休暇をとり、家族の住む故郷コインバトールに戻って来る。そこで、父の友人のパールタサーラティ(Kishore Sathya)とその妹のガーヤトリ(Divya Pillai)に紹介される。後にそれが、さりげない形をとったスーリヤとガーヤトリの見合いであったことを知らされ、悪い気がしない。両親、妹、義理の弟のアジュ(Neeraj Madhav)との家族水入らずでの僅かな日々を満喫して、彼はアメリカに帰る。しかし程なくして、アジュを除く家族全員が何者かに惨殺されてしまう。敵が大手製薬・健康食品メーカーのトップのウィルフレッド・マルカス(Jayaprakash)とその一味であることを突き詰めた彼は、アジュ、ガーヤトリと共に、復讐を開始する。

【主要キャラクター/キャスト】
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■スーリヤ/プリトヴィラージ
インド工科大学中退者で、今はアメリカで大規模建築物の爆破解体のスペシャリストとして働く男。
■ガーヤトリ/ディヴィヤ・ピッライ
スーリヤの父の友人パールタサーラティの妹。兄を殺されて復讐のためにスーリヤと共闘する。
■ウィルフレッド・マルカス/ジャヤクリシュナン
大手製薬・健康食品メーカー・アルファ・レメディーズのCEO。後ろ暗い手法で会社を成長させてきた。アンドリュー(Tony Luke)とエドワード(Anson Paul)の二人の息子と共に悪事を重ねている。演じるジャヤクリシュナンはここのところ仕事がもりもり増えてきたタミル映画界の性格俳優。ここにインタビューあり。
■キャプテン(アーナンド・チャトゥランガ)/パスパティ
以前は警察(または軍の)爆弾処理班にいた専門家。今はカネ次第で誰の仕事でも請け負う男。2000年前後にデビューして既にベテランの域に入っている(映画デビュー前には演劇界で活躍していた)タミル映画界の悪役パスパティが演じるこのキャラクターは、実は一番おいしい役。後半に入って登場し、凶悪な目線で重々しく気障なセリフを吐くシーンは、本作の見どころの一つと言っていいと思う。パスパティは『頬にキス』で日本登場済み。

【その他のキャラクター/キャスト】
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■アイシュワリヤ/ラスナ・パヴィトラン(左から2人目)
スーリヤの妹。
■クリシュナムールティ/バーラチャンドラ・メーノーン(左から3人目)
スーリヤの父親で、保健局の査察官。仕事においては清廉潔白で、妥協を知らない性格。家庭でも、娘の婚礼のための費用をも、アメリカで稼いでいるスーリヤには頼らないという頑固さ。
■スッバラクシュミ/シーター(左から4人目)
スーリヤの母。
■アジュ(アジマル・ムハンマド)/ニーラジ・マーダヴ(右から3人目)
幼いころに孤児になったがクリシュナムールティの養子となる。腕利きのホワイト・ハッカー。マイクロソフトのオファーを蹴ってフリーランスとして暮らす。
■パールタサーラティ/キショール・サティヤ(右端)
ガーヤトリの兄、クリシュナムールティの友人。コインバトール警察のSP(Superintendent of Police)。爆弾事件で命を落とす。

【トリヴィア】
Drishyam (Malayalam - 2014) 、Life of Josutty (Malayalam - 2015) がこれまでにセルロイドによって上映され、特に前者が現地でも圧倒的なヒットを飛ばしたジートゥ・ジョーセフ監督の最新作。これも成功した過去作品 Memories (Malayalam - 2013) の主演プリトヴィラージと再び組んだということでも話題になった。

MemoriesDrishyam がスリラーとして評価の高いものだったため、本作にも膨れ上がる期待が寄せられたが、監督は一貫して「スリラーではなくリベンジもの」と言い続けてきた。今一つ分かりにくいロジックだが、要するにハラハラドキドキがクライマックスまで続く「一寸先は闇」系の犯罪ドラマではない、ということが言いたかったらしい。開始後約30分でほぼ全ての手が出そろい、敵もはっきり見えてくる仇討ちもの、日本的感覚からすればやはりスリラーだと思う。

興味深いのは、本作で話される言語と地理的セッティング。マラヤーラム語映画ではあるが、マラヤーラム語とタミル語と英語がまぜこぜになった状態でスクリーン上を行きかう(そしてタミル語も英語も、長大な台詞以外は字幕なしで理解するのがケララ民)。また舞台も、タミル・ナードゥ州の州都チェンナイと、同州第二の都市である南部のコインバトールの二か所だけ。メインである回想部にコインバトールが選ばれたのには二つほど訳があると思う。一つは、コインバトールが、TNとケララのディープサウスニ州の中で唯一、大規模な爆弾テロ事件の舞台となった街であること。この町の名前から薄っすらと爆薬の匂いを感じることもできるだろう。それから、主人公一家がタミル・バラモンであり、なおかつタミル語とマラヤーラム語のバイリンガルであるという設定が、なぜだかはわからないけれどあり、そうなると必然的に舞台はコインバトールからケララ州パーラッカードにまたがる地域にならざるを得ないというのがある。マラヤーラム語世界の中のマイノリティとしてのタミル・バラモンについては、過去にこちらでざっくりと書いた。地方語映画でありながら、こうした変則的な設定を可能にするマラヤーラム映画というのはつくづく面白いもんだと思う。

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2016年オーナム・リリース作品群の中で健闘した。

投稿者 Periplo : 15:05 : カテゴリー バブルねたkerala
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2016年03月29日

4月のマラヤーラム映画

眉間の皺だけで微かなお笑いを予測させてくれるニヴィンはもしかしたら凄い奴なのかもしれない。
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Action Hero Biju (Malayalam - 2016) Dir. Abrid Shine

原題:Action Hero ബിജു

Cast:Nivin Pauly, Anu Emmanuel, Major Ravi, Saiju Kurup, Joju George, Dr Rony Davis, Kalabhavan Prajod, Suraj Venjaramoodu, Rohini, Meghanathan, Jude Anthany Joseph, Suresh Thampanoor, Abhija Sivakala, Kochu Preman, Sajan Palluruthy, Balachandran Chullikad, Valsala Menon, Devi Ajith, Jayashri Sivadas, Vinduja Menon, Azeez, Madhu Mohan, Bobby Mohan, Manju Vani, Parvathy T, etc.

Music:Jerry Amaldev

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/bJgV9eC0GJE
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/LpEpgZ3BKhA

■日時:2016年4月2日、15:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは14:00頃から開始、映画は18:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約144分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で、インターミッションにスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/03/action-hero-biju-malayalam-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
カレッジの講師をやっていたビジュ・パウロース(Nivin Pauly)は、思うところあって警察官に転身し、コーチン市警察のサブ・インスペクターとなる。警察官となった彼は、街の法と秩序を守ることに全身全霊をささげるつもりだった。しかし日常の任務はどこまでも淡々としている。彼はベニッタ・ドーミニク(Anu Emmanuel)と婚約し、数週間後に挙式することになるが、ロマンスにうつつを抜かすほどの暇もなかった。新任のサブ・インスペクターの約1ヶ月の出来事を描く。

【主要キャラクター/キャスト】

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■ビジュ・パウロース(ニヴィン・ポーリ)
教員から転身した警察官。エルナークラムのジャナマイトリ署に配属となる。真面目な性格で、コーチン市の法と秩序の番人となることに大きな意義を見出している。
■ベニッタ・ドーミニク(アヌ・インマーヌウェル)
ビジュの婚約者。演じるアヌは、テキサス生まれの帰国子女。子役出演を除けば、本作がデビューとなる。この後、テルグ映画への出演も決まっている。
■ミニモーン巡査(ジョージュ・ジョージ)
ビジュの部下、呑気な奴。ニヴィン以外のキャストは誰もが短い出番で、突出した重要な脇役がいないといわれている本作なので、主要登場人物を4人に絞り込むのは無理があるのだが、ジョージュ・ジョージを取り上げたのは、ここのところ脇役界でのプレゼンスが高まっているから。つい先日発表された2015年度のケララ州映画賞で審査員特別賞を受賞。Oru Second Class YathraLukka Chuppi での演技が評価されたため。子役経験があったものの、成人してからの映画人生は平坦ではなく、1999年の初出演から低迷を続け、ここにきてやっと名前が知られるようになったのだという。約15年の下積みの末の満開のおっさん力を味わってほしい。
■マノージ(サイジュ・クルップ)
サークル・インスペクター。ビジュの上司。演じるサイジュ・クルップについては、1983の時に簡単に紹介した。

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【トリヴィア】
お巡りさん映画だが、国際テロリストとの対決も、1ダースのならず者を3分で片づけるファイトも、巨悪相手に大見得を切った後にのっしのっしと去るシーン(もちろん仰角スローモーション)もないという。そらそうだ、ニヴィンが主人公なんだし。

とにもかくにもニヴィン・ポーリだ。当網站では Chapters という箸にも棒にもかからない作品のレビューで、「もしかしたらこの中に、明日のスーパースターがいるのかもしれんが」なんてことを書いたのが僅か3年前だ。「仲良しのお友達で作っちゃいました」的な若者映画 Malarvaadi Arts Club (2010) でデビューの後、Thattathin Marayathu (2012)、Neram (2013)、1983 (2014)、Bangalore Days (2014)、Premam (2015) と、恐ろしいほどの打率で主演作をスーパーヒットにし続けている男。いや、スーパーヒットになる作品に主演し続けている男、なのか?なかでも昨年の Premam の怒涛のヒットは凄かった。最終的に、Drishyam に次ぐマ映画の興収歴代トップ3に食い込むほどのものとなったのだ(こちら参照)。Premam の後の二ヴィンには「スーパースター」という形容詞がつくことも珍しくなくなり、「次世代のモーハンラール」という声まであちこちに見られるようになり(一例としてこちら)、さすがにこれには唖然とするほかはなかった。

30歳そこそこ、キャリア開始から5年で、ここまでの持て囃され方をしたら、精神に変調を来たす恐れすらあるように思えるが、当人は割とクールで、ヒロイン中心の作品 Ohm Shanthi OshaanaMili で助演してみせたり、「ドリーム・ロールは悪役」と言い続け、バランスをとろうとしているようだ。しかし、Premam がまだ大ヒット上映中に、25本目となる本作の製作が発表され、ポリスものであることが明らかになった際には、観客の一部からは若干の懐疑の声も上がったのだ。

前回上映の Sethupathi のところで書いたように、お巡り役というのは、南インドの男優にとって、神のように崇拝されるマス・ヒーローになるための足掛かりという一面があるからだ。それまで、オフビートな作品でのニュアンスに富んだ演技によって評価されていた若手俳優が、そこそこの人気が出てきたところで、柄にもないアクション映画で大衆路線に変更を図るというのは、マラヤーラム映画界でもそれ以外でも、時にあった。ニヴィンも同じコースをたどるのかと思った人は結構いたようだ。

しかし、公開された本作のレビューなどを読むと、結果的にそれは杞憂に終わったようだ。ニヴィンが仮に次世代モーハンラールだったとしても、荒ぶるお巡りはどう考えても無理だわ。代わりに繰り広げられるのは味のある脇役たちによって演じられるコーチンの日常の人間模様であるという。もしかしたらケーララ版の『多甚古村』となるのかもしれない。1983 でデビュー・ヒットを飛ばした監督アブリド・シャインの手腕にも注目。

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投稿者 Periplo : 04:34 : カテゴリー バブルねたkerala
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2016年02月27日

3月のタミル&マラヤーラム映画上映

Sethupathi の再上映と併せて一日二本の南インド映画祭り。ランチスナックにも大層期待がもてる。

一発目

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Sethupathi (Tamil - 2016) Dir. S U Arun Kumar

原題:சேதுபதி
タイトルの意味:主人公の名前。セードゥパティには元々は「守護者・警護者」という意味がある。
タイトルのゆれ:Sethupathy, Sedhupathy, etc.

Cast:Vijay Sethupathi, Ramya Nambeesan, Vela Ramamoorthy, Linga, Vivek Prasanna, etc.

Music:Nivas K Prasanna

公式トレーラー:https://youtu.be/dK5E8mzmD6w
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/_EW5TdJCUSw

都合により Sethupathi の上映はとりやめとなりました

ニ発目

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Maheshinte Prathikaram (Malayalam - 2016) Dir. Dileesh Pothan

原題:മഹേഷിന്റെ പ്രതികാരം
タイトルの意味:The Revenge of Mahesh
タイトルのゆれ:Maheshinte Prathikaaram, etc.

Cast:Fahadh Faasil, Anusree, Soubin Shahir, Alancier Lay, Aparna Balamurali, Jaffer Idukki, Dileesh Pothan, Sujith Shankar, Saiju Agustine, Lijomol Jose, K L Antony, Vijilesh, etc.

Music:Bijibal

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/_KY8Du4WWew
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/sJLsgEWGYNA

■日時:2016年3月5日、14:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは13:00頃から開始、映画は17:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約121分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で、上映前(12:30~)にはランチ、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/02/maheshinte-prathikaram-malayalam-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
イドウッキ郡の田舎町プラカーシュに住むマヘーシュ(Fahadh Faasil)は、冠婚葬祭の撮影で生計を立てているカメラマン。幼馴染で今は看護婦をしているサウミャ(Anushree)への思いを打ち明けようとしている。しかしある日、スタジオの近くの路上で起きた喧嘩に巻き込まれ、とある人物から公衆の面前で手ひどく侮辱される。同じころに失恋もしてしまったマヘーシュは失意のどん底に沈む。後にジムソン(Sujith Shankar)という名の溶接工であることが分かったその相手に復讐し、屈辱を晴らす日まで裸足で通すことを決意した彼の前に、魅力的な女性ジンシ(Aparna Balamurali)が現れる。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■マヘーシュ・バーヴァナ(ファハド・ファーシル)
片田舎で親父の写真館を受け継ぎ、町の何でも屋カメラマンとして仕事をしている呑気な男。Chaappa Kurish あたりから始まり、Bangalore Days にいたるまで、「金持ちの嫌な奴」をやらせると痺れるほどに上手かったファハドだが、本作ではお人好しをまた巧みに演じているという。さらに復讐を誓ってからの変容も見どころのひとつなのだという。
■サウミャ(アヌシュリー)
マヘーシュの幼馴染で、今は看護婦として北インドで働いている。現実的な女性。演じるアヌシュリーは、ファハドと共演の Diamond Necklace でデビューした。その後大ブレイクをしたとは言いがたいのだが、Ithihasa なんかでの格好良さを見てしまうと、勿体無く使われている逸材と思えて仕方ない。貧乏なマラヤーラム映画界だが、こと人材に関してはとても贅沢に浪費しているのだ。
■ジンシ・アガスティン(アパルナ・バーラムラリ)
失恋を経験したしたマヘーシュが出会って惚れる相手。アパルナは本作が2本目となる新人。しかし演技は既に高く評価されており、ミーラ・ジャスミンの再来という声まで上がっている。
■クリスピン(サウビン・シャーヒル)
ベービの額装店にアシスタントとして雇われる男。PremamCharlie にも出ていたサウビンは、本作でも筆頭のお笑い担当。

その他の登場人物
■ヴィンセント・ヴァーヴァナ(KLアントニー):マヘーシュの父
■ベービ(アランシヤル・レー・ロペス):マヘーシュの商売仲間、写真の額装店を営む
■クンニュモン(ジャーファル・イドゥッキ):サウミャの父
■ソニア(リジュモール・ジョース):ベービの娘

【釣り書き】
監督のディリーシュ・ポータンは本作がデビュー。脚本家や脇役俳優として12年も映画界にいて、やっとデビューした人らしい。製作のアーシク・アブと主演のファハド以外は大変に地味なキャスト&スタッフだが、ふたを開けたところ大好評。タイトルに「復讐」を掲げていながらも、南インドお約束の鎌や鉈が飛び交い血飛沫が舞い上がるのとはかけ離れた、上質のユーモアがエレガントに描かれているのだという。ネットにあがったレビューはいずれも大変にお行儀よく、徹底的にネタばれを避けて、復讐の手法については全く触れていない。そのサスペンスは英語字幕つきの画面で、イドゥッキの美しい風景とともにゆっくり堪能したい。

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投稿者 Periplo : 13:14 : カテゴリー バブルねたkerala
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2016年01月14日

1月のマラヤーラム映画上映

幸せを振りまきながら風のように吹き抜けていく男、追いかけるヒロイン。マラヤーラムのニューウェーブが生み出した、奇跡のような中二病映画(←もちろん褒めてる)。

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Charlie (Malayalam - 2015) Dir. Martin Prakkat

原題:ചാർലി
タイトルの意味:登場人物の名前

Cast:Dulquer Salmaan, Parvathy Menon, Aparna Gopinath, Nedumudi Venu, Chemban Vinod Jose, Soubin Shahir, Neeraj Madhav, P Balachandran, Kalpana, KPAC Lalitha, Seetha, Ramesh Pisharody, Jayaraj Warrier, Surjith, Renji Panicker, Joy Mathew, Tovino Thomas, Nasser, etc.

Music:Gopi Sundar

公式トレーラー:https://youtu.be/oYxtLNJJ54Y
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/K0eSCmqjp8M

■日時:2016年1月24日、15:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは13:30頃から開始、映画は18:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:約130分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金でインターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/01/charlie-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
グラフィックデザイナーのテッサ(Parvathy Menon)は、独立心に富んだ女性で、母親(Seetha)が強いる見合い婚を嫌い、バックパッカー+ヒッチハイカーとしてバンガロールからコーチンにやってくる。フォート・コーチンで見つけた奇妙な古アパートは、前の賃借人が住んでいた時のままに保たれていた。テッサは、残された数々の痕跡から、チャーリ(Dulquer Salmaan)と呼ばれるその住人に興味を惹かれ、彼を知る人々を訪ね歩き、いつしか彼を追いかけて旅に出ることになる。

【主要キャラクター/キャスト】 
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■チャーリ(ドゥルカル・サルマーン)
住所不定、携帯電話ももたず、時折マジシャンとして仕事をしながら漂うように生きている男。どうやらクンニッカ(Kunjikka)という愛称がファンの間で定着したらしいドゥルカル・サルマーンは『OK Darling』ですでに日本デビュー済み。セルロイドの上映では Bangalore Days が好評だった。甘やかされた金持ちのボンという、これまでの決まり役から離れた本作での演技が大変高く評価され、最高傑作とも言われている。
■テッサ(パールヴァティ・メーノーン)
自分の兄弟が結婚するに当たって、ちょうど良いとばかりにその花嫁の兄弟との結婚をお膳立てされたのに腹を立てて家を飛び出してしまう、自立心旺盛なヒロイン。パールヴァティも Bangalore Days でドゥルカルと共演し、ついこの間の Ennu Ninte Moideen のヒロインとしても強い印象を残した。
■カニ(アパルナ・ゴーピナート)
かつて成功した外科医だったが、今は高原の老人ホームで暮らしている。アパルナ・ゴーピナートはチェンナイ生まれ。デビューはマールティン・プラッカート監督の ABCD: American-Born Confused Desi で、やはりドゥルカルとの共演だった。演劇畑の出身ゆえなのか、フェロモン系とは違う独特な魅力を持った人だ。
■クンニャッパン(ネドゥムーディ・ヴェーヌ)
老人ホームに入居している元軍人。若いころの悲恋の経験から、哲学的なことを口走る。
■スニ(サウビン・シャーヒル)
空き巣。たまたまチャーリの住処に忍び込んだところ、彼に捕らえられ、行動を共にするようになる。

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【トリヴィア】
魔術的レアリズムという言葉を使いたい誘惑も多少はあるものの、この語が醸すねっとりとした土俗性とは無縁の、異色の若者映画。

本作で重要な舞台となる場所は三つある。フォート・コーチン、イドゥッキ郡の高地(有名なムーナールなのかもしれないが、はっきりしない)の茶畑、象のページェント・プーラム(州最大規模の見物客が集まる観光資源でありながら、古式が良く保たれている大祭だと言われる)で有名なトリシュールのヴァダックンナータン寺院だ。中でも、カーニヴァル(なぜか元旦に行われる)に沸くフォート・コーチン(と隣接するマッタンチェーリ)からこの物語が始まるのは偶然ではないように思われる。

大航海時代以来のポルトガル、オランダ、イギリス人が建てた古建築が残るこの町は、欧米人ツーリストが闊歩し、彼らを目当てに州外からも商売人が集まり、一年中浮ついた雰囲気が支配する。同時にここは若者のアートの街でもあり、気の利いた連中が開いたブティックやカフェが点在し、古色蒼然とした街路のいたるところにこんな感じのグラフィーティが描かれている。極東のすれっからしとしては、これらの「アート」に対して、ちょいとむず痒かったり、痛いような青臭さを感じて、必ずしも手放しで賞賛はできないのだが、もちろん現地の若者たちはお構いなしに「不思議大好き」なアート生活を謳歌している。

この映画に描かれる、フォート・コーチンのミステリアスな古アパートのしつらい、登場人物のファッション、壁画、漫画といった全てが、この若者文化に由来するものだ。ただそれが、仲良しグループのお遊びのレベルを超えた、高度に洗練されたものになっているのが凄い。と、なにやら斜に構えた褒め方をしているように思われるかもしれないが、ふわふわとした彷徨の末のラストシーンの身震いがするような圧倒される感じを形容する言葉は見つからない、是非とも大画面で味わってほしいとしか言いようがないのだ。

監督のマールティン・プラッカートはこれが三作目となる新進。これまでの二作、Best ActorABCD: American-Born Confused Desi とは、どちらももっさりとしたキレのない凡作だったので、ここでの突然の飛躍に吃驚だ。ゴーピ・スンダルの音楽も良い。特に、なぜか上にリンクしたジュークボックスから抜けている ♪Chundari Penne (ドゥルカルが歌っている)がカッコいい。まさかの70年代ファッションのリバイバルで若者の間に追随者を生んだというサミーラ・サニーシュによる衣装、ジャヤシュリー・ラクシュミ・ナーラーヤナンの手になるファンタスティックな美術、そして前作 Ennu Ninte Moideen とはガラリと趣を変えたジョーモーンTジョーンのカメラも特筆もの。
Charlie3.jpg投稿者 Periplo : 13:13 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2015年11月29日

12月のマラヤーラム映画上映

どっ、どんな映画なんすか(震)というような画像を選んでみた。

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Su..Su...Sudhi Vathmeekam (Malayalam - 2015) Dir. Ranjith Shankar

原題: സു..സു...സുധി വാത്മീകം
タイトルの意味:主人公の名前
タイトルのゆれ:SU SU, Su Su Sudhi Vathmeekam, Su Su Sudhi Valmeekam, Su..Su...Sudhi Vathmikam, etc.

Cast:Jayasurya, Sshivada Nair, Mukesh, Aju Varghese, Sunil Sukhada, T G Ravi, KPAC Lalitha, Ranjith Sankar, Tara Ranjith Sankar, Advaith Jayasurya, Swathy Narayanan, Irshad, Anson Paul, Muthumani, Arjun Nandakumar, Gokulan, etc.

Music:Bijibal

公式トレーラー:https://youtu.be/TVUMGkJh_9o
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/y8K6Y_s0TQ0

■日時:2015年12月6日、15:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは14:00頃から開始、映画は18:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約134分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Su.Su.SudhiValmeekam/
■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/11/sususudhi-vathmeekam-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【ネタばれ度30%程度の粗筋】
パーラッカード地方に生まれ育ったスディ(Jayasurya)は幼少時から吃音に悩み、強いコンプレックスを抱えて成長した。家族や親友は彼を温かく見守ったが、それ以外の人々は容赦なく侮蔑やからかいを浴びせた。結婚相手を探す年頃となったスディは、見合いで一番最初に対面した相手と結婚するとひとりで決めていた。その最初の見合い相手のシーラ(Swathy Narayanan)は、彼の問題を知ったうえで結婚を承諾するが、式が間近になってきてから暗雲が立ち込める。

【主要キャラクター/キャスト】 イメージは本作のスチルからではないものも混じっている

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■スディ・ヴァートミーガム(ジャヤスーリヤ)
パーラッカード郡アーラットゥールに生まれ育つ。幼少時から吃音が理由で引っ込み思案だった。私立学校の会計事務員の職を得る。歌う時だけは吃音から解放される。主人公の20代から40代までを演じるジャヤスーリヤについては、ランジット・シャンカル監督と組んだ Punyalan Agarbattis (2013)、Apothecary (2014) とで紹介済み。大衆ヒーローよりは質の高い演技者を目指すという路線は変わらず、評価も年々高まっているが、まだまだ上には上が分厚くあるというのがマラヤーラム映画界。
■シーラ(スワーティ・ナーラーヤナン)
スディのお見合い相手。スワーティはTVのリアリティ・ショー出身の新人。
■カリヤーニ(シヴァダ・ナーイル)
スディのカウンセリングをするスピーチ・セラピスト。シヴァダは、ビデオ・ジョッキーをしているところをファーシル監督(あのファハドの父だ、昔は凄い人だった)の目に留まり、同監督の Living Together (2011) でデビューしたがパッとせず、本作が3作目となる。
■グレイガン・ダース(アジュ・ヴァルギース)
スディの親友。俳優志望だったが、スディが勤める学校で体育の教師となる。アジュ・ヴァルギースは、セルロイドの上映したマラヤーラム映画にいったい何度登場したかというくらいの脇役。この5月にやった Oru Vadakkan Selfie の時と比べて急激に肥えたようで、さすがはマラヤーラム映画界だ。
■ムケーシュ(ムケーシュ)
自分自身の役で登場。バンガロールからパーラッカードに向かう自家用車での移動中に、スディを乗せてその話を聴く。ムケーシュについては Peruchazhi のところで書いた。

【その他のキャラクター/キャスト】
■クルップ(イルシャード)
スディが勤める学校の事務局長。不正に手を染めている。
■ヴィジャイ・バーブ(アンソン・ポール)
スディが勤める学校のオーナー。
■スディの父(TGラヴィ)
■スディの母(KPACラリタ)
■ドクター(スニル・スカダ)
■シュリーデーヴィ(ムットゥマニ)
障碍児を育てるシングル・マザー。

【トリヴィア】
南インドの人名というのは色々と面倒で、固有名+苗字が基本の北インドと比べて、スタイルも多岐に渡っている。ヒンドゥー教徒の場合、神話由来が基本の固有名に地名、カースト名、父称、屋号、称号などがくっついてフルネームが大変なことになることもある(このこの本とか、面白いよ)。長々しい名前はしばしば頭文字に省略される。たとえば、タミル民族主義の父といわれるイーロードゥ・ヴェーンカタ・ラーマサーミ・ナーイッカルは、通常EVRと略記される。しかもそれを「イー・ヴイ・アール」とはせず、「イー・ヴェー・ラー」と読むのだ。上にリンクしたトレイラーの末尾で、ムケーシュが主人公に向かって「イニシャルなのか?」とたずねるのは、どもって繰り返した「スー・スー」ってのが長い名前の省略形に思えたということなのだ。こういう細か~い笑いのツボがおそらくは本作の肝となるのじゃないか。

セルロイド・ジャパン上映の記念すべき1作目だった Punyalan Agarbattis (2013)、そして Varsham (2014) と、これまで2本が紹介されたランジット・シャンカル監督の最新作。今回もまた、片隅に生きる普通の人々の人生模様を、ユーモアを交えてじっくりと見せてくれそうだ。近作の主人公は監督の友人の一人がモデルになっているという。それにしても、最近のマラヤーラム映画、1983PremamLife of Josutty と、コモン・マンの半生を描く地味大河ドラマみたいなものが妙にヒットしてるのが気になる。

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主要な舞台となるケララ州中部パーラッカード地方の風景描写も見どころのひとつとなるだろう。

投稿者 Periplo : 00:40 : カテゴリー バブルねたkerala
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2015年10月24日

11月のマラヤーラム映画

文通、そして雨が重要なモチーフになっているという。

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Ennu Ninte Moideen (Malayalam - 2015) Dir. R S Vimal

原題:എന്ന് നിന്റെ മൊയ്തീൻ
タイトルの意味:From Yours Moideen(手紙の結びの文句)
タイトルのゆれ:Ennu Ninde Moideen, Ennu Ninte Moidin, etc.

Cast:Prithviraj, Parvathy Menon, Saikumar, Tovino Thomas, Bala, Sashi Kumar, Lena, Sudheer Karamana, Sudheesh, Sivaji Guruvayoor, Kalaranjini, Roshan, Surabhi Lakshmi, Indrans, Sija Rose, Subeesh Sudhi, Sneha Raj, Devi Ajith, Emine Salman, Shilpa Raj, Charutha Baiju, George Tharakan K J, Krishna Namboothiri, etc.

Music:M Jayachandran, Ramesh Narayan, Gopi Sunder

公式トレーラー:https://youtu.be/b_iPKIpiAm0
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/cJPqS-EelwM

■日時:2015年11月1日、14:00開映(12:00ごろランチ開始、13:00ごろチケット販売・引き換え開始、17:00ごろに終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約167分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/ennu-ninte-moideen-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
1960年代のマラバール地方。コーリコード(カリカット)近郊のムッカム村に2つの名家があった。両家の当主、ウンニ・モイディーン・サーヒブ(Saikumar)とコッターッティル・マーダヴァン(Sasikumar)は宗教を異にしながらも親友同士で、村社会の中でもムスリムとヒンドゥーの友好的共存を態度で示し続けていた。ウンニ・モイディーン・サーヒブの息子モイディーン(Prithviraj)とマーダヴァンの娘カーンチャナマーラ(Parvathy Menon)は家族ぐるみの付き合いの中での幼なじみだったが、成長した二人が互いに恋心を抱いたとき、周囲の人々によって引き裂かれる。モイディーンは見合い婚を強いる父との口論の末、家を離れる。カーンチャナマーラは学業を中断させられ、家に軟禁される。いつか結ばれる日まで待つことを選択した二人は、信頼できる使用人の助けで文通を始める。そして20年近い年月が流れるが…。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■モイディーン(プリトヴィラージ)
裕福なムスリムの家庭に生まれながら社会主義に惹かれて活動家となる。文学を愛好すると同時にサッカーに魅いられてもいる。演じるプリトヴィラージについては昨年の Kaaviya Thalaivan の時に書いた。一説には、本作のモデルとなった実在のカーンチャナマーラは、プリトヴィの主演を条件に映画化を許可したという。
■カーンチャナマーラ(パールヴァティ・メーノーン)
医者になることを目指して勉強する聡明なヒロイン。社会的な不正に対して果敢に声を上げる積極性の持ち主だが、保守的な家族の前に、夢を諦めさせられる。演じるパールヴァティは、Bangalore DaysUttama Villain で登場済み。空恐ろしくなるほどの演技の幅を持つ女優で、本作では上にあげた2作とは全く違うたたずまいで登場することが予想される。
■ウンニ・モイディーン・サーヒブ(サーイクマール)
「ムッカム村のスルタン」と称される名家の当主。熱心な国民会議派の支持者で、社会主義者となった息子にに激怒し、口論を絶やさない。マラヤーラム映画悪役二大巨頭の一人であるサーイクマールについてはこちらに書いた。
■パーットゥンマ(レナ)
モイディーンの母。終盤で大変重要なシーンがあるらしい。若返りに向けてフルスロットルのレナさんだが、今回は老け役。
■コッターッティル・セードゥ(バーラー)
カーンチャナマーラの兄弟。カーンチャナマーラの運命をなすすべなく傍観する。
■ムッカム・バーシ(スディール・カラマナ)
モイディーンの友人。
■アッチュ(トヴィノー・トーマス)
カーンチャナマーラに密かに恋する若者。
■コッタンガル・アチュダン(シヴァージ・グルヴァイユール)
カーンチャナマーラのオジ。
■その他
カーンチャナマーラの父役としてシャシクマールの名前がクレジットされているが、おそらくはタミル映画俳優兼監督のMシャシクマールではなくカンナダ俳優のシャシクマールが登場するものと思われる。[11.02追記]違いました、出てきたのはマラヤーラムのセミプロ俳優のASシャシクマール

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【釣り書き】
マラバール地方では大変有名で、しかも当事者が存命している実話に基づいたストーリーだという。

ムスリムとヒンドゥーという異なるコミュニティーに属していたため、愛し合いながら引き裂かれた二人は、駆け落ちか、親の定めた別の相手との結婚か、どちらか一つを選ばざるをえないと思われた。しかし結果として、「ただじっと時機を待つ」という第三の道が二人を導くことになる。離れ離れになった恋人をつないだのは文通というか細い糸だった。

文通というのは映画には馴染みにくいモチーフと思われるのだが、これに果敢に挑んだ作品も時に見つかる。当網站では過去に Pokkisham を紹介した(これもヒンドゥー&ムスリム・ロマンスだった)。文通もので、なおかつ実話に基づく近過去の歴史もの(1960年代から80年代という設定)という一筋縄ではいかない素材を、新人監督RSヴィマルがどのようにまとめ上げたのか、大変に興味深いところだ。なお、ヴィマルは2006年に、カーンチャナマーラに取材して、二人の恋物語を Jalam Kond Murivetaval というドキュメンタリーフィルムにして発表している。

本作もまた、ケララ州外で上映される全てのプリントに英語字幕がつくという(こちらのレビューによる)。今回はソングにも字幕が付与され、かなりレベルの高い出来であるという。良い方向性なので、なんとかこれがスタンダードになってほしいもんです。

投稿者 Periplo : 23:33 : カテゴリー バブルねたkerala
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2015年10月09日

10月のマラヤーラム映画上映

Janapriya Nayakan (much loved hero)、皆様のディリープの初登場でございますよ。

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Life of Josutty (Malayalam - 2015) Dir. Jeethu Joseph

原題:ലൈഫ് ഓഫ് ജോസൂട്ടി

タイトルの意味:ジョースッティは主人公の名。ケララのクリスチャン男性に多い名前「ジョース」に指小詞「クッティ」(男女どちらにも使われる。中国語の阿に近い感じか)が続き、つづまって発音されるようになったもの。マラヤーラム人名にはこういうのが結構多い。

Cast:Dileep, Rachana Narayanankutty, Jyothi Krishna, Renjini Rupesh, Aqsa Bhatt, Suraj Venjaramoodu, Sunil Sukhada, Saju Navodaya, Sasi Kalinga, Hareesh Perady, Krishna Prabha, Sudheer Karamana, P Balachandran, Nobi, Chembil Asokan, Nandu Pothuval, Vijayakumari, Santhakumari, Nayanthara (cameo appearance), etc.

Music:Anil Johnson

公式トレーラー:https://youtu.be/ukIgWoDnBtc
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/Sg2ZVYA8SBY

■日時:2015年10月18日、14:00開映(12:00ランチ開始、13:00チケット販売開始、17:00頃終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約166分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/LifeOfJosutty
■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/09/life-of-josutty-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【50%ぐらいの粗筋】
ケララ中部の山岳地帯イドゥッキの農家に生まれたジョースッティ(Dileep)は、幼い時分には聖職者になりたいと望んでいたが、近所の女の子ジェシー(Rachana Narayanankutty)に恋心を抱いたので、その夢を捨てる。父ジョーセフ(Hareesh Peradi)と母ショーシャンマ、二人の姉妹からなる5人家族の中で、ジョースッティは唯一の稼ぎ手となることを期待されるが、勉強が苦手で学校をドロップアウトしてしまったため良い勤め口もない。また、姉妹の持参金の調達問題も頭をもたげる。

家族の財政問題で首が回らないジョースッティが婿になることを望まないジェシーの父は、彼女を別の男に嫁がせてしまう。その後、縁あってジョースッティはロース(Jyothi Krishna)と結婚することになる。離婚経験のある彼女は、ニュージーランドで看護婦として働いており、ジョースッティは一緒にニュージーランドに渡り、主夫としての生活を始める。

【主要キャラクター/キャスト】 イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■ジョースッティ(ディリープ)
本作で繰り広げられるジョースッティの人生は、10歳から40歳までに渡るという。演じるディリープは1968年生まれの46歳。同世代に同格のスターがいない孤独なナイスミドル。先輩二大スターマンムーティ&モーハンラールがあまりにも凄すぎて、ディリープ以外は生き残れなかったということであるようだ。本名はゴーパーラクリシュナン・パドマナーバン・ピッライ。この本名と、すかしたディリープという芸名の落差がしばしば揶揄の対象となる。「ケララの吉本」の側面も持つカラーバワン芸能学校の出身で、物まね芸人としてスタートした。その後映画の裏方修行に転じ、90年代前半に俳優としてデビュー。90年代後半からはヒーローに昇格し、Meesa Madhavan (Malayalam - 2002) などのヒットでトップスターの仲間入りをした。基本的な芸風は、愛嬌とペーソスを兼ね備えた若オッちゃん。しかし芸術映画などではシリアスな演技も難なくこなす。その出演作は安心して見られるファミリー映画と受けとめられており、平均的な出来のものでも安定してヒットとなる。先鋭的な映画ファンからはそれが嫌われ、お子様映画として激しい批判を浴びることも多い。ファン対アンチの争いが熱いのだ。私生活では、共演相手だった名花マンジュ・ワーリヤル(ここで紹介)と結婚して一女をもうけ、おしどり夫婦とみなされていたが、今年になって妻から三行半を突きつけられる形で離婚した。そんなディリープには、本作のストーリーは結構グッサリ来るものがありそうなのだが、それをどう演じるかが楽しみだったりする。
■ジェシー(ラチャナ・ナーラーヤナンクッティ)
ジョースッティの初恋の相手。ラチャナについては以前上映された Punyalan Agarbattis ですでに紹介済。
■ロース(ジョーティ・クリシュナ)
ジョースッティと結婚することになる看護婦。ニュージーランドに住むバツイチ女性。これまでは古風な女性を演じることが多かったジョーティだが、本作では現代的な女性像を見せてくれそうだ。
■ジョーセフ(ハリーシュ・ペーラディ)
ジョースッティの父。Left Right Left (Malayalam - 2013) で、鋼鉄のように非情で不動のコミュニスト・リーダーを演じて鮮烈な映画デビューを飾ったハリーシュは演劇界出身。悪役から無辜の草の根まで何でもこなす。本作の演技も高い評価を得ている。

【トリヴィア】
Drishyam (Malayalam - 2013) の爆発的なヒットによって、トップ監督の仲間入りをしたジートゥ・ジョーセフの期待の新作。Drishyamテルグカンナダヒンディータミルとリメイクのグランドスラムを達成した。しかし今作は打って変わって、スリルもサスペンスもどんでん返しもない、文芸的なものであるらしい。にもかかわらず9月24日の公開以来、堅調なヒットとなっているという。

主なロケ地はケララのイドゥッキ郡カッタッパナとニュージーランドのロトルア。外国を舞台にしたインド映画というのには、ただもう外国ではしゃいでるだけでストーリーがないものも多く、どうも身構えてしまうところもあるのだが、マラヤーラム映画では English (2013) や Kadal Kadannu Oru Maathukutty (2013) など、地に足の着いたリアリティのある作品も登場しつつある。

本作はボリウッドを中心に製作・配給を行ってきたエロスによる初のマラヤーラム語作品となる。それと関係があるのかどうか、こちらのレビューによれば、本作はケララ州外で上映される全てのプリントに英語字幕がつくという。これは根付いてほしい試みだ。

作品と無関係ながら注目されているのが、アシスタント・ディレクターとしてチームに加わっているプラナヴ・モーハンラール。あのモーハンラールの息子で、子役として映画賞を獲得するほどの演技をしたことがあり、望むならすぐにでもヒーロー・デビューのお膳立てがされるところだが、余裕の裏方修行中(ADとしては本作が二本目)。3300万ケララ人の熱い期待を背負いながらも涼しい顔でカチンコを打ってる姿が、本作の宣伝にもいくばくかの援護射撃となったようだ。

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投稿者 Periplo : 00:53 : カテゴリー バブルねたkerala
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2015年06月12日

6月のマラヤーラム映画上映

まあやっぱ、まずはこのビジュアルには度胆抜かれたわな、マラヤーラム映画でさ。
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Premam (Malayalam - 2015) Dir. Alphonse Putharen

原題:പ്രേമം
タイトルの意味:Love

Cast:Nivin Pauly, Anupama Parameshwaran, Sai Pallavi, Madonna Sebastian, Krishna Shankar, Shabareesh Varma, Vinay Forrt, Soubin Shahir, Maniyanpilla Raju, Althaf Salim, Wilson Joseph, Renji Paniker, Hormis Paulachan, Alphonse Putharen, Anju Kurian, Eva Prakash, Jude Anthany Joseph, Risa Jacob, Vivek Vinod, Mahadev Ramakrishnan, Faisal, Manek Jose, Sandeep Varma, Viswajith Odukkathil, Vimal Pillai, Aishwarya Raghavan Nair, Zuhair Sait, Deepak Nathan, etc.

Music:Rajesh Murugesan

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Premamfilm
公式トレーラー:画期的な戦略(?)として、公式トレーラーが発表されなかった。プロデューサーのアンワル・ラシードの公式チャンネルにソング♪Pathivaayi Njanソング♪Premam Aluva Puzha がアップされている。
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/VR4e2ViPWAM

■日時:2015年6月20日、15:00開映(開場は14:00ごろ、18:00前に終了)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約164分、途中で10分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/06/premam-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
コーチン北郊の町アールワに生まれたジョージ・デーヴィド(Nivin Pauly)の、15年に及ぶ成長と恋の遍歴の物語。2000年ごろのミドルティーン時代の、同級生メーリ(Anupama Parameshwaran)への幼い恋。2005年、血気盛んな大学生となったジョージが、講師として現れたマラル(Sai Pallavi)との間ではぐくんだロマンチックな交情。そして2014年ごろ、フォートコーチンでカフェを経営する30代のジョージが出会ったセリン(Madonna Sebastian)との、予期していなかった繋がり。粗筋を結末まで全部読んでおきたいという人向けには、ウィキペディアが詳しい。

【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■ジョージ・デーヴィド(ニヴィン・ポーリ)
セルロイドの上映会でのニヴィンの出演作は、今回でもう4本目というのにはなんとも言えない気持ちになる。過去の上映作は Bangalore Days1983Oru Vadakkan Selfie。粗筋を読むと、本作もまた 1983 に似た、ノスタルジーに満ちたスローでしっとり系のおセンチ映画であるように思える。一人の男の思春期から中年の入り口までを彩った3人の女性の話というと、いやおうなしに Autograph (Tamil - 2004) を思い浮かべることになるが、10年前のタミル映画とどういう風に差別化をしてくるのかが楽しみだ。
■メーリ・ジョージ(アヌパマ・パラメーシュワラン)
ジョージが幼い恋心をいだき、あの手この手でアタックしようとする女学生。アヌパマは本作がデビューとなるニューフェイス。縮れ毛を厭ってストレートパーマをかける人も多い南インドで、この人の天然の超カーリーヘアは驚きのポジティブ・インパクトを持っていたようで、こんなクソコラまで出てくる始末だ(←自己責任でクリック、見た後での苦情は受け付けない)。公式サイトあり。
■マラル(サーイ・パッラヴィ)
大学生のジョージの前に、講師として登場するタミル・ナードゥ州コダイッカーナル出身の女性。演じるサーイ・パッラヴィはやはりデビュタント。3人のヒロインの中でもっとも演技が評価されている。訓練されたダンサーであるということで、本作中でもその踊りが見せ場となっているという。こちらに簡単な紹介記あり。
■セリン(マドンナ・セバスチャン)
カフェのオーナーとなったジョージの前に顧客として現れ、お互いに惹かれあうようになる。しかし実は彼との絆はその出会いよりずっと前に始まっていた、というセリン。演じるマドンナもまた本作がデビュー。もともとは歌手志望で、南インド古典と洋楽を学び、歌い手としてのチャンスをうかがいつつ、TVショーの司会などをつとめていたという。こちらにインタビューあり。

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前作 Neram のポスター&もしかしてニヴィンより男前なんでねえの?のアルフォーンス監督

【釣り書き】
監督のアルフォーンス・プトランは本作が第2作目となる新進。典型的なニューウェーブ派と言っていい。デビュー作の Neram (Tamil/Malayalam - 2013) は、タミル、マラヤーラムのバイリンガルで、両言語圏でスマッシュヒットとなった。特にタミルでのヒットは、デビュー監督+無名俳優(ニヴィンとナスリヤ)ということを考えると驚きだった。チェンナイの街で1日の間におきる波瀾万丈に振り回される主人公のドタバタを描く、スリラーともコメディーともつかない一本。間抜けさと楽天性という面で、マラヤーラムよりはタミルのニューウェーブに近い。特に Soodhu Kavvum (Tamil - 2013) と感じが似てるなと思ってたら、同作の監督のナラン・クマラサーミとは、セミプロとしてショートフィルムを作っていた頃からさまざまな形で繋がっていたようなのだった。プトラン自身が「映画史上最も新味のないデビュー第2作」と自信満々にdisった本作は、5月29日の現地封切り以降、驚異的な売り上げを更新し続け、Bangalore Days を既に超え、Drishyam に迫る勢いだという。快進撃のニュースに混じり、イケイケ状態のプトランが、Chennai Express [邦題:チェンナイ・エクスプレス ~愛と勇気のヒーロー参上~] のローヒト・シェッティ監督に喧嘩を売った(こちら参照)というエピソードもあり、事情はよく分からないながら何か興奮するのだ。

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投稿者 Periplo : 01:44 : カテゴリー バブルねたkerala
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2015年04月26日

5月のマラヤーラム映画上映

「ケララ社会(特に若者の)セルフ・ポートレイトなのである」とは監督の弁。とりあえず鹿爪らしくもっともらしいことを言ってみただけかも知れんけど。

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Oru Vadakkan Selfie (Malayalam - 2015) Dir. G Prajith

原題:ഒരു വടക്കൻ സെൽഫി
タイトルの意味:A northern selfie ※どうでもいい薀蓄については下記参照

Cast:Nivin Pauly, Manjima Mohan, Vineeth Sreenivasan, Aju Varghese, Neeraj Madhav, Bhagath Manuel, Vijaya Raghavan, Sreelakshmi, P Sukumar, T Parvathi, Santhosh Keezhattoor, Harikrishnan, Shravan, Sharath, Revathy Sivakumar, Bobby Simha, Anwar Shareef, Vineeth Kumar (Guest Appearence), etc.

Music:Shaan Rahman

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/OruVadakkanSelfie
公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/7s0uX2u6b5w
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/Yxg94UDceKA

■日時:2015年5月17日、14:00開映(開場は12:00、別料金でのランチ提供あり、受付は13:00から、17:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約142分、途中で15-20分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で12:00からビリヤーニーのランチ(要予約)あり、インターミッションにはケララ風カツレツ+チャイの販売あり、どちらも映画と同時にオンライン予約可。

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/04/oru-vadakkan-selfie-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【写真はイメージです(当たり前やがな)】前回上映会でのビリヤーニー弁当(1200円)。この時はライタ、チャパティ・ロール、スージ・ハルワー付だった。

【たぶん鑑賞の役には全く立たない、タイトルについての薀蓄】
ヴァダッカン・パーットゥ(複数形でヴァダッカン・パーットゥカルとも)は、直訳すれば「北の歌」。ケララ州北部の狭義のマラバール地方に伝わる民衆歌謡のこと。これに対して同州南部にはテッカン・パーットゥ(南の歌)というのも存在するのだが、大衆文化の中でポピュラーなのは、16世紀に遡るといわれるヴァダッカン・パーットゥの方。英語では Northern Ballads と訳されることが多い。題材となるのは中世の武芸(今日カラリパヤットと称される武術の体系)の達人たちの行跡で、権門同士の争い、友情、恋愛などなど。中でも、抜きん出た剣士でありながら裏切りによって斃れたアーローマル・チェーカヴァルと裏切り者のチャンドゥ、美しき女剣士ウンニヤールッチャなどの逸話は特に好まれて映画化され、1970年代にはマラヤーラム映画界の一大ジャンルとなっていた(こちら参照)。このジャンルは1980年代末にほぼ死滅したのだが、その最終局面に作られた超有名作が、数部門で国家映画賞を受賞した Oru Vadakkan Veeragatha (Malayalam - 1989) で、タイトルの意味は「ある北方の勇者の詩」。何でもありのチャンバラものであったヴァダッカン・パーットゥカルを文芸的に総括したともいえるこの作品は、死に行くジャンルの掉尾を飾るにふさわしいものであったのかもしれない。Oru Vadakkan Selfie という本作のタイトルは、まあゆうなれば「お馬鹿映画でございます~」という分かりやすいタグとでも解釈しとけばいいのかな。

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【30パーセントぐらいの粗筋】
工科大学の学生だったが落第して故郷である北ケララのタラッシェーリ(英名テッリチェリー)地方に戻り、村の笑いものとなったウメーシュ(Nivin Pauly)。彼は映画監督になるという子供の頃からの夢を追い求めようと決意する。敬愛するガウタム・メーナン監督の下で修行し、ゆくゆくはアジットを主演にすえて映画を撮る、というのが彼の野望だ。洋装店の売り子のシャージ(Aju Varghese)とバス運転手のタンガプラサード(Neeraj Madhav)という悪タレ仲間とともに、まずは(韓国映画をパクった!)短編映画を撮影して世間の注目と資金とを集めようともくろむ。同じ頃、彼の家の隣にはデイシー(Manjima Mohan)という美少女が引っ越してくる。彼女に一目惚れしたウメーシュは、彼女を勝手にヒロインに想定して脚本を書き進める。幾つかの出来事を経た後のある日、デイシーが突然行方不明になってしまう。抗いきれない事情から、ウメーシュはシャージとともにデイシーの探索を開始する。

【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■ウメーシュ(ニヴィン・ポーリ)
1983Bangalore Days と、セルロイドによって既に2本も出演作が上映済みのニヴィン。前に書いたように、大したことをやっているようには見えないのになぜか出るもの出るもの大成功となる運のいい奴。当網站では過去に「素人がカメラの前に立って照れ笑いしてるようにしか見えない」演技を腐したりもしたが、最近になってそれでもちょっとはスターらしいオーラが備わってきたようでもある。
■デイシー(マンジマ・モーハン)
2000年代には子役として活躍してきたが、本作で晴れてヒロイン・デビュー。父はベテラン撮影監督のヴァイピン・モーハン。初々しくて可愛らしくて期待大。
■ジャック(ヴィニート・シュリーニヴァーサン)
デイシーを探すウメーシュが頼ることになる怪しい私立探偵のジャック。演じるヴィニートについては過去にここに書いた。演技者としてよりも監督としてのプレゼンスを増してきている若い才能で、本作でも脚本を担当している。昨年には嫁と一緒に謎の来日(目撃地は原宿・竹下通り)をしており、今後の動きが気になるところだ。
■その他
サイドキックには、過去に上映された Punyalan AgarbattisPeruchazhi に出てきたアジュ・ヴァルギース、Drishyam のニーラジ・マーダヴと、いかにもなキャスティング。ウメーシュの口うるさい父親役にはベテランのヴィジャヤ・ラーガヴァン。どんな役かは不明ながら、つい先日発表された国家映画賞で、驚きの最優秀助演男優賞をゲットしたボビー・シンハーも顔を出すようだ。

【釣り書き】
監督のGプラジト(プラジト・ゴーピナート)は本作がデビューとなる新人。90年代から助監督をやっていたらしいが、ヴィニート・シュリーニヴァーサン監督とニヴィン・ポーリ&アジュ・ヴァルギースのデビュー作である Malarvaadi Arts Club (Malayalam - 2010) でスタッフに名を連ねて以降、全てのヴィニート監督作品(つまりヒット作ということになる)に関ってきたという。何が言いたいのかと言うと、つまり本作は有為なる若きマラヤーラム映画人たちが、キャッキャウフフの内輪ノリで作っちまった映画である可能性が高いってこと。公式FBページとか見ても、スチルなんだか撮影風景なんだか判別に苦しむセルフィーだらけよ。しかし、最近多いそういう仲良しサークル映画が、モノによってはヒットして、いい大人をも映画館に向かわせるというのが凄いところ。本作も、先日上映のモーハンラール主演 Ennum Eppozhum と並んで、この四半期きっての大入りとなっているのだという。大いに期待して臨みたい。

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タラッシェーリからチェンナイまでの、ロードムービー的な要素もありそうで楽しみだ。

投稿者 Periplo : 22:13 : カテゴリー バブルねたkerala
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2015年04月10日

4月のマラヤーラム映画上映

モーハンラールと「女モーハンラール」の夢の競演、17年ぶり!というのにケララの皆さんが狂喜してる訳なのであります。

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Ennum Eppozhum (Malayalam - 2015) Dir. Sathyan Anthikad

原題:എന്നും എപ്പോഴും
タイトルの意味:Forever always
タイトルのゆれ:Enum Eppozhum, Ennum Eppolum, Ennum Eppozhum, Yennum Yeppozhum, etc.

Cast:Mohanlal, Manju Warrier, Innocent, Lena, Reenu Mathews, Jacob Gregory, Renji Panicker, Minon, Usha S Karunagapally, Baby Adhvaitha, Kalpana, Santhosh Keezhaattoor, Dileesh Pothen, Sreekutty Ramesh, Kozhikode Sarada, Ajith, Babu Anoor, Baiju, Antony, Kochouseph Chittilappilly, etc.

Music:Vidyasagar

公式サイト:http://ennumeppozhumthemovie.com/
公式トレーラー:https://youtu.be/bL5KBVY7lOw
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/_rIQPhPXUJ0

■日時:2015年4月18日、14:00開映(開場は12:00、別料金でのランチ提供あり、受付は13:00から、17:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:未定(決まり次第追記)
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約147分、途中で15-20分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で12:00からビリヤーニーのランチあり、インターミッションにはケララ風カツレツ+チャイの販売あり、どちらも映画と同時にオンライン予約可。

■主催者公式サイト:http://celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/04/ennum-eppozhum-malayalam-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
コーチンで有名女性誌の記者をしているヴィニート(Mohanlal)は、子供っぽい性格で、仕事にも熱心に打込むことなく、独身のままふらふらと日々を過ごしている。新しく編集長ポストに就いたカリヤーニ(Reenu Mathews)は、彼の仕事ぶりが気に食わず、実現困難なタスクを与え、その不履行を理由に彼を馘にすることを目論む。そのタスクとは、著名な弁護士で社会活動家でもあるディーパ(Manju Warrier)の独占インタビューをとること。次号に間に合うタイミングで彼女を捕まえられないととヴィニートは職を失うことになる。ディーパは離婚経験者で、7歳になる娘(Baby Adhvaitha)と二人で暮らしているが、多忙を極めているため、簡単には談話が取れないセレブとして有名だった。ヴィニートによるあの手この手でのディーパへの「追っかけ」の日々が始まる。

【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■ヴィニートNピッライ(モーハンラール)
女性誌ワニタラトナムの編集部員。母親のコネで就いた現在の仕事が気に入らず、ダラダラと勤めている。
■ディーパ(マンジュ・ワーリヤル)
家庭裁判を専門とする弁護士。社会奉仕活動にも熱心。社会活動家としての彼女の姿には、この女性の影響があると監督が認めている。「女モーハンラール」と称されるマンジュ・ワーリヤルについては下記を参照。
■カリアチャン(イノセント)
ディーパの隣人。定年退職した元郵便局長。何かとディーパ母子の世話を焼く。マラヤーラム映画界のお笑い二代巨頭の一人、イノセントについてはこちらに書いた。
■ファラー(レナ)
ディーパの親友、ブティック経営者。既婚者だが夫の浮気が原因で別居中(離婚した?)。演じるレナについては、過去に注目の脇役としてここでちょっとだけ紹介した。その後も映画界でのプレゼンスは上がる一方で、ダイエットにも成功し、こんなことになっちゃってる。ヒロイン・デビューも遠くなさそうだ。
■カリヤーニ(リーヌ・マチュース)
女性誌ワニタラトナムの新任の編集長。ロンドン帰りのインテリ。ヴィニートの仕事ぶりが気に食わず、退職に追い込もうとしている。ドゥバイ育ちでエミレーツ航空スチュワーデス出身のリーヌ・マチュースは、2013年のデビュー以来、スローペースながら佳作に出演して注目度を上げている。実際にはまだ若く、高身長のモデル体型だが、これまでの出演作のほとんどが熟年俳優の妻役というのが面白い。インタビューはこちら
■マータン(ジェイコブ・グレゴリー)
ヴィニートのアシスタント兼カメラマン。ジェイコブ・グレゴリーについては過去にこちらに書いた。
■建設会社社長(ランジ・パニッカル)
GMビルダーズという会社のCEO。ディーパと対立している。ランジ・パニッカルは、シャージ・カイラースやジョーシといったベテランのマッチョな作風を得意とする監督たちと組んで脚本を担当してきた。マラヤーラム映画界では時々あることだが、個性的な顔立ちに目をつけられてカメラの前にも立つようになった。特に昨年からは俳優が専業状態になっている。
■ビンドゥ(カルパナ)
マラヤーラム映画界を代表するコメディエンヌ。マラヤーラム映画会のレギュラーの人ならば、Bangalore Days での、ぶっとんだオカン役を覚えているだろう。姉妹には南インド全言語圏で活躍するウルワシ(過去にこちらでちょっと紹介)、カラーランジニがいる(この過去の美人三姉妹っぷりを見よ!)。
■役名不詳(サントーシュ・キーラーットゥール)
大注目の脇役。来日もしたカマル監督による、ケララの左翼演劇界内幕を描いた秀作 Nadan (Malayalam - 2013) の冒頭の短い役でデビュー。いにしえの時代の伝説の女形俳優という役どころだった。舞台で台詞を口にしている場面を中心とした数ショットがあるだけの極めて限られた露出でありながら、インパクトは巨大なものだった。そう感じたのは筆者だけではなかったようで、それ以降、数こそ多くないものの印象的な脇役出演が続いた。20年以上の演劇界での経験をもつ新人、こちらに簡単な紹介がある。

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【釣り書き】
ケララ人の映画ファンには、一度愛したら愛し抜く、という傾向がどうもあるようだ。男優女優を問わず、歳相応に老けて体型が変わったり、駄作が続いたりしても、かつてアイドルとして仰いだ相手にはかなり寛大であるようなのだな。マンジュ・ワーリヤルの一連のカムバック劇を眺めていて本当にそう思った。

1979年生まれのマンジュは、1995年の Sakshyam の半ば子役のような役でデビュー、このとき17歳だった。以降、一年に5~7本程度のペースでヒロインをこなすようになる。もって生まれた童顔を生かした無垢な乙女の役もあったが、一転して鉄火肌な独り立ちした女性を演じてもド迫力だった。特に美人ではないし、スタイルが良かった訳でもないが、変幻自在に役になりきる(役を皮膚のように纏うとでもいったらいいか)ことでは群を抜いており、いま一つな脚本でもマンジュの芝居によって強引に観客を最後まで引っ張る力を持っていた。あまりに自然なので、凄い演技をしているということが分からない、そんなあり方から、Lady Mohanlal のニックネームで呼ばれることもあった。1999年、21歳ごろに、共演相手だったディリープと結婚し、惜しまれながら引退する。当時のディリープは、今と違って駆け出しの若造扱いだったので、名花マンジュを引退させたことで相当な批判や怨嗟を受けて、仕事を干されかかったりもしたようだ。足かけ5年間の芸能生活での出演作は20本、筆者も全部を見ているわけではないが、代表作を問われたら、シェイクスピアのオテロを翻案した Kaliyattam [邦題:神の戯れ] をひとまず挙げておきたい。

引退後はディリープとの間に一女をもうけ、芸能界の鴛鴦カップルとして家庭でのスナップが雑誌グラビアなどにしばしば見かけられたが、数年前から不穏な噂が流れ始めた。彼女が芸能界への復帰を熱望しているのにディリープがそれを認めないために夫婦仲は冷え切っている、マンジュが「この結婚は全てが間違いで無駄だった」と公言しているといったこと等々。2013年にまずテレビCM出演と舞踊公演(バラタナーティヤムではプロ級であるという)によって、公の場に姿を現し、翌年 How Old Are You で念願のカムバックを果たした。そしてこの一月に正式に離婚し、やる気全開。この HOAY、オフスクリーンでのマンジュのアグレッシブな姿が二重写しになるようなストーリーで、筆者などは若干退き気味だったのだが、かなりのヒットとなった。そればかりでなく、タミル・リメイク 36 Vayathinile ではジョーティカが、ヒンディー・リメイクではカージョールが、それぞれカムバックの第一作とするなど、何か全インド的な琴線に触れるものがあったのだと思う。今回のモーハンラールとの共演は1998年のKanmadam 以来の17年ぶり。ケララの皆さんの熱狂ぶりが上映の場でどんな形で出てくるかも楽しみの一つだ。

監督のサティヤン・アンティッカード(ファンサイトあり)は1980年代から活躍する人情譚の巨匠。ヒット作は枚挙にいとまがないが、たとえば T. P. Balagopalan M. A. (Malayalam - 1986) はモーハンラールのスーパースターへの道の重要な足掛かりとなった一作。庶民の人間模様を細やかに描くそのスタイルは現在もほとんど変わらない「安定の作風」。ニューウェーブ映画が全盛の現在でも、ファミリー客を中心とした観客の絶大な支持を受けており、本作も3月27日の封切り以降、あちこちでフルハウスを記録しているという。

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投稿者 Periplo : 23:45 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年11月08日

11月のマラヤーラム映画上映

マラヤーラム映画会はなぜモーハンラール作品ばかりでマンムーティの主演作が無いのかとお嘆きの皆さん、お待たせいたしました。

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※当初同日上映とされていたタミル映画 Kaththi は、23日に延期となった。詳しくは次のエントリーを参照。

Varsham (Malayalam - 2014) Dir. Ranjith Shankar

原題:വർഷം
タイトルの意味:rain
※マラヤーラム語には、雨という意味の単語に、サンスクリット語起源の varsham と、ドラヴィダ語起源の mazha の二つがある。どういうニュアンスの違いがあるんだろね。なお2004年に同名のテルグ映画があるが、本作とは一切関係ない。

Cast : Mammootty, Asha Sharath, Mamtha Mohandas, Master Nabeesh, Govind Padmasoorya, T G Ravi, Sudheer Karamana, Sajitha Madathil, Irshad, Sunil Sukhada, Santhosh Keezhattoor, Shivaji Guruvayoor, Sreelatha Namboothiri, Hareesh Peradi, Vinod Kovoor, Sarayu, Jayaraj Warrier, Shabin, Theni Jayan, Sajaad Bright, Prajul, Sreerag Nambiar, Mithula, Ajanta, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/Varsham.Movie
公式トレーラーhttp://youtu.be/eGraLI_qPBk

■日時:2014年11月15日、13:30開場、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約150分、途中で20分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

※当日券の購入および前売り代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。受付開始は13:30ごろから。上映は14:00きっかりにスタートする。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/11/varsham-malayalam-2014.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。同頁の注意書きも参照しておいて下さい。

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【ざっくりとしたストーリー】
長らくの湾岸での生活を終えてケララ州トリシュールに戻ってきたヴェーヌ(Mammootty)は、それまでに稼いだ金を原資にして小さな金融会社を立ち上げる。彼の17歳になる一人息子の名前からその会社は「アーナンド・ファイナンス」と命名される。

ヴェーヌの才覚によってアーナンド・ファイナンスは順調に成長するが、それは同地で古くから金融業に携わっていたピーター(T G Ravi)を圧迫するものだった。ピーターは敵愾心を露わにしてヴェーヌに挑み、これまでヴェーヌが友人だと思っていた人々までもが彼の成功に嫉妬して態度を変える。

愛する家族の幸せを確実なものにするためには、まず経済的な安定が土台であると信じ、実際に裕福な暮らしを実現したヴェーヌだったが、思いもよらない不幸に襲われ、人生に対する向き合い方を考え直すことになる。

【みどころ予想】
マラヤーラム映画上映会 Celluloid の記念すべき立ち上げ作品だった Punyalan Agarbattis (2013) のランジット・シャンカル監督の新作。経歴については同作の紹介文を見ていただきたいが、南印度の伝統である包み込むような大家族とは距離を置いたところで、個としての人間や核家族のおかれた状況から現代人の行き方を探る、というようなテーマを娯楽作品中で追求してきた。そして、これまではスリラーやコメディーといった形式で行ってきたことを、名優マンムーティーを迎えて、じっくりとメロドラマによって語ろうというのだ。監督自身の口上にもあるが、ダンスもアクションもジェットコースター展開もないが見ごたえがある、実にマラヤーラム映画らしい佳作を期待できるのではないだろうか。

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【主要キャスト】
■ヴェーヌ(ヴェーヌゴーパール):マンムーティ
湾岸帰りの起業家。自身で築き上げた財に高いプライドを持っており、一方で社会の低層への眼差しは冷たい。一人息子にも世俗的な人生での勝利者となることを望み、その英才教育には常に心を砕いている。メガスター・マンムーティについては別に改まって紹介する必要も無いでしょう、と言いたいとこだが、万が一にも「あのドゥルカル・サルマーンの親父」とか本末転倒な説明がされたりしたら癪に触るので、ベーシックなことだけ書いとく。1951年生まれの63歳、モーハンラールと並ぶマラヤーラム映画界のスーパースター。1980年代初めから主演格で演じるようになり、現在出演作の総数は400本に近づこうとしている。マラヤーラム映画が中心だが、他の南印3言語とヒンディーにも出演あり。これまでに日本で公開された作品は Thalapathi [邦題:ダラパティ] (Tamil - 1991) と Pazhassiraja [邦題:ケーララの獅子] (Malayalam -2009) の2本。過去に3回の国家映画賞主演男優賞を受賞(こちら参照)。日本式に言えば還暦を過ぎ、息子もどうやら独り立ちして、隠居の誘惑もありそうなものだが、今でも年6,7本ペースで出演を続け、特殊メイク無しで実年齢より20歳は若いキャラクターを易々と演じている。公式サイトもあり。
■ナンディニ:アーシャ・シャラト
ヴェーヌの妻、専業主婦。月並みな虚栄心と家族への愛の持ち主。演じるアーシャ・シャラトは Drishyam ではハードコアな警察の高官を演じて強い印象を残した。
■マナヴァーラン・ピーター:TGラヴィ
1944年生まれのTGラヴィは、1970年代から活躍している大ベテラン。かつてはハードコアな悪役俳優だったが、近年は好々爺を演じることが多くなってきている。本作の舞台であるトリシュールの出身で、俳優としてのみならず、財界人としても名が知られている。
■ジャヤシュリー:マムタ・モーハンダース
悲劇に見舞われたヴェーヌを励ます女医の役。今月半ばに30歳の誕生日を迎えようとしているマムタ・モーハンダースは、カンヌール生まれ、バハレーン育ち。訓練された古典声楽家でもある。2005年に映画デビューし、2007,8年ごろにはテルグ映画界で引っ張りだこだったが、現在は再びマラヤーラム映画界で落ち着いている。2010年ごろの癌との闘病、その後の僅か1年で破局した結婚など、波風の多い私生活が伝えられるが、怜悧な美貌と知的な演技にはブレが見られない。

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投稿者 Periplo : 23:48 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年09月14日

マラヤーラム映画新作上映1409-2

モバイルと論理的思考のスイッチはオフにして下され、わっはっは…というような「お客様へのお願い」が冒頭に現れるという。

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Peruchazhi (Malayalam - 2014) Dir. Arun Vaidyanathan

原題:പെരുച്ചാഴി
タイトルの意味:主人公の渾名。稲に取りつく害虫の名前またはバンディクート・ラット
※ペルッチャーリを辞書で調べると、バンディクートと呼ばれる固有種のネズミのこととされているが、ケララ人に尋ねると、むしろそこから派生したと思われる虫の名前の方が一般的という。開花した頃の稲にとりついて、実となるべき部分をちゅうちゅうと吸い出してしまうイネアザミウマなどと同類のものらしい。ヒトに対して使われる際は、上前を撥ねる狡い奴というニュアンス。
※ただし、ケララ人でも「虫?そんなん聞いたことない、でかい鼠よ鼠!」と言い張る人もいる。本作タイトルのロゴ・デザインやラルさん自身がこんな写真をアップしてるのを見ると、やっぱ鼠なのだろうかとも。
※サブタイトルとなる United States of Adipolica だが、adipoli は excellent というような意味。ただし、どちらかといえば若者が使う新造語。「激ヤバ合衆国」とでもいう感じか。
タイトルのゆれ:Peruchali

Cast:Mohanlal, Mukesh, Baburaj, Aju Varghese, Vijay Babu, Ragini Nandwani, Ramesh Pisharody, Sean James Sutton, Sandra Thomas, Poonam Bajwa, Delhi Ganesh, Shankar Ramakrishnan, Ashvin Mathew, Sanusha, Aneesh Menon, John Wusah, Master Sanoop Santhosh, Georekutty, Devi Ajith, Sethulakshmi, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/PeruchazhiOfficial
公式トレーラーhttp://youtu.be/eDQna8i46vo

■日時:2014年9月28日、午後2:00開映
■料金:大人1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約154分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/09/peruchazhi-malayalam-2004.html

※上映に際しては途中20分程度のインターミッションあり。別料金でインド・スナックのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機も会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【ざっくりとしたストーリー】
ジャガンナータン(Mohanlal)とフランシス(Mukesh)は幼馴染みの親友だったが、長じて政治の世界に入ってからは、二人の間にはライバルとしての緊張関係も存在していた。政界の出世争いではフランシスの方が先んじており、州政府の閣僚に納まっていたが、無冠のジャガンナータンはよろず揉め事解決の寝業師としてフランシスを幾度も助けていた。フランシスはジャガンナータンのやり手ぶりに舌を巻きつつ、彼が将来自分の地位を脅かすことになるのではないかと案じる。そこで彼は、高額の成功報酬をちらつかせ、ジャガンナータンをアメリカの政治家の特別選挙参謀として送り出す。カリフォルニア州知事選挙に立候補した共和党のジョン・コーリ(Sean James Sutton)は、民主党の対立候補ジョージ・ホープを相手にした選挙戦で、支持率の不振に苦慮していた。コーリ陣営の選対責任者はNRIのサンニ・クリシンガル(Vijay Babu)だったが、手詰まり状態にあった。ジャガンナータンは子分のジャッバール(Baburaj)とヴァヤラール(Aju Varghese)を引き連れてサンニのもとに乗り込む。そして彼は、ケララの政界で培ったありとあらゆる手管を使って、膠着状況を打破しようとする。カースト対立煽動から票買収まで、インドで横行している選挙戦術は、はたしてアメリカの地で通用するのか?

【若干のトリビア】
ケララ最大のお祭りであるオーナムにあわせて8月29日に封切られ、批評家からの評判はいまひとつながら順調にヒットしているという。

監督のアルン・ヴァイディヤナータンはナーガパッティナム地方生まれのタミル人。IT技術者としてアメリカで働いた後に、TV・映画の世界に飛び込んだ。アメリカ在住期間がどのくらいの長さだったのかは分からないが、この経験が映像作家としてのヴァイディヤナータンの方向性を決定したのは間違いない。初長編監督作 Achchamundu! Achchamundu! (Tamil - 2009) はニュージャージーあたりに住む裕福なタミル人若夫婦を主役としたスリラー。プロデュース作 Kalyana Samayal Saadham (Tamil - 2013) はチェンナイを舞台としながらも、性的不能をモチーフにしたアダルトなコメディーだった。何本かある短編監督作品も、アメリカが舞台でインド人が全く登場しない英語作品が多い。Achchamundu! Achchamundu! はスリラーとしての出来はともかくとして、淡々と生活を送るNRIのリアルな描写が画期的なものだった。

インド映画では、と書くと風呂敷広げすぎなので、マラヤーラム映画に限定するが、外国を舞台にしたものには、「やらかしちまった」系作品が多い。登場人物が在住NRIであるという設定なのに、製作者自身がおのぼり観光客なので、そのギャップが埋まらず、ストーリーらしいストーリーもなく、単に外国に来たというだけで無闇にはしゃいで、見ているこちらをいたたまれない気分にする「超大作」群だ。

プリヤン先生による国辱映画の金字塔 Akkare Akkare Akkare (1990) あたりから始まり、Dubai (2001)、Spanish Masala (2012)、Casanovva (2012)、London Bridge (2014) まで、マラヤーラム映画の相対的な経済成長に合わせてこの手の作品も増加の傾向にある(ただし、Aakasha GopuramEnglish など、アート寄り作品にはより成熟した語りをもつものもある)。

さて、ここでアメリカ帰りの新世代監督のヴァイディヤナータンによる本作だ。30日に及ぶアメリカ・ロケを行ったという。オーナム公開の祝祭映画、スーッパルスター・モーハンラール主演、冒頭に引用したように、正面きっての「おバカ映画宣言」だ。これがマ映画の美しき伝統に連なる怪作となるのか、異国情緒ものに新風を吹き込む突き抜けた一本となるのか、そしてまた、マ映画のもうひとつのサブ・ジャンルであるポリティカル・スリラーの変化球としてはどうなのか、大いに期待して臨むことにしたい。

【主要キャスト:キャラクター】 ※下のイメージには本作のスチルからではないものも含まれる
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■モーハンラール:ジャガンナータン
将来政治家として立つことを目指して政界を泳ぎ回っているが、現在のところは肩書きはない。恵まれない子供たちのためにスポーツ学校を創るという夢を持っている。選挙活動のあらゆるテクニックを知り尽くしており、頓智と機転と悪知恵では彼に敵うものはいない。ただし英語は話せない。アメリカ行きに自分を推薦したフランシスの意図を知りながらも、その申し出を受け入れる。
■ムケーシュ:フランシス・クンニャッパン
ジャガンナータンの親友であり、ライバルでもある男。ケララ州の公共事業相。ジャガンナータンを遠いアメリカに送り出して、自分の政治的な立場を安泰なものにしようと考える。モーハンラールと同世代、1961年生まれのムケーシュは、著名な演劇人O.マーダヴァンの息子で、1980年代初頭の映画デビューから、30年以上にわたる芸歴をもつベテラン。最近はプロデューサー業にも進出し、ヒットを飛ばしている。80年代にデビューした頃には、モーハンラールに続く次世代ヒーロー候補だったが、90年代には脇役になってしまった。渋い風貌、堂々たる押し出し、確かな演技力、こんな人材を脇役とB級お笑い映画の主役にしか使ってないマラヤーラム映画界の贅沢さに見てるほうが申し訳ない気になってくるのである。
■バーブラージ:ポッタックリ・ジャッバール
ジャガンナータンの子分。バーブラージについては昔ちょっとだけ書いた。しかしこの後にまるで映画みたいな劇的な展開があったのだ。18年ともいわれるチンケ悪役のキャリアの末に、Salt N' Pepper (Malayalam - 2011) でコミカルな料理人(こないだやったカンナダ映画でアチュト・クマールがやってたあれだ)を演じたのが馬鹿受けして、以降ほぼコメディアンとなり、スクリーンプレゼンスも大幅にアップした(Salt N' Pepper 以前にはモーハンラールと並んでポスターに収まるなど考えられなかった)。本作でもかなり飛ばしたお笑いを見せてくれるらしい。
■アジュ・ヴァルギース:ヴァヤラール・ヴァルッキ
ジャガンナータンの子分。演じるアジュ・ヴァルギースについてはこちら参照。
■ヴィジャイ・バーブ:サンニ・クリシンガル
フランシスの甥でロサンジェルス在住。カリフォルニア州知事選挙に立候補している共和党政治家ジョン・コーリの選挙参謀。思うようにコーリの支持率が上がらないことに困り、フランシスに相談する。演じるヴィジャイ・バーブについてはここに書いた。本作ではプロデューサーの一人でもある。
■ラーギニ・ナンドワニ:ジェシー
ジャガンナータンがアメリカで出会い、期間限定で囲うことになるコールガール。アメリカ育ちのインド人。「プリティ・ウーマン」よろしくジャガンナータンと恋に落ちる。演じるラーギニはパンジャーブにルーツをもつ新進女優。ボリウッドでデビューした後、ヴィジャイ主演の Thalaivaa (Tamil - 2013) のセカンドヒロインとなり、注目される。このままサウス女優となる可能性はかなり高いと見ている。
■プーナム・バジュワ:アイテム出演
こちらもパンジャービーで、ムンバイ出身の「サウス女優」。まずテルグ、次にタミルに進出し、マラヤーラムでも出演作を増やしつつある。テルグやタミルでは若手俳優との共演が多いのに、マラヤーラムではなぜかマンムーティ、モーハンラールなど大御所の作品によく出てくる。本作プロモで見せた波打つ脇腹などから、このままマラヤーラム女優となる可能性はかなり高いと見ている。

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投稿者 Periplo : 19:32 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年08月23日

マラヤーラム映画新作上映1409-1

メディカル・スリラーというインド映画らしからぬ肩書き。字幕がつかないのが本当に惜しいのだが。今回の会場は川口ではなく市川なのでご注意を。

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Apothecary (Malayalam - 2014) Dir. Madhav Ramadasan

原題:അപ്പോത്തിക്കിരി

Cast:Suresh Gopi, Jayasurya, Asif Ali, Abhirami, Meera Nandan, Indrans, Thampi Antony, Neeraj Madhav, Kavitha Nair, Jayaraj Warrier, Arun, Seema G Nair, Jayan Cherthala, Raghavan, etc.

公式サイトhttp://www.apothecarythemovie.com
公式トレーラーhttp://youtu.be/hlmrmlBCb6Q

■日時:2014年9月6日、午後14:00開映(終映は16:45頃)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)、今回に限り座席指定制
■字幕:なし
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約152分、15分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)1番スクリーン
※当日券の購入および前売り代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、3F1番スクリーン入り口にて。受付開始は13:00ごろから。上映は14:00きっかりにスタートする。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/08/apothecary-malayalam-2014.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。こちらの注意書きも参照。

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【ざっくりとしたストーリー】
映画は、ドクター・ヴィジャイ・ナンビヤール(Suresh Gopi)が交通事故に遭い、意識不明の重態で自らの勤務先の高級私立病院アポティカリーに収容されるところから始まる。そこから彼の過去の物語が、現実と幻想の混交物として展開する。ヴィジャイは高い技能を持つ成功した神経外科医だったが、病院の利益追求体制は彼に医療の倫理に反する行為を強要する。アポティカリーの経営陣には談合体質が浸透し、特に大手製薬会社からの圧力はすさまじく、無料治療を好餌として貧しい患者に対して事実上の人体実験を行うまでに至っていた。試薬の違法な投与によって犠牲になる患者が増えるにつれて、ヴィジャイの良心は苛まれ、抑鬱症状が現れる。そんな中、新たに入院してきたスビン・ジョーセフ(Jayasurya)との出会いが、彼の人生を変えることになる。スビンは顔面神経に複雑な問題を抱えていたが、彼の経済状態は高度医療を要求することになるその治療をまかなえるものではなかった。やむなくスビンは無料入院と引き換えに実験的な医療を受けることに同意したのだった。

【みどころ予想】
Melvilasom (Malayalam - 2011) でデビューしたマーダヴ・ラーマダーサン監督の第二作目。この作品については以前にここで短評した。18年という長い下積を経たこの人の第一作は、新人離れした巧みな演出と適材適所のキャストによって強い印象を残した。100分ほどのランタイムのうちのほとんどが軍事法廷を舞台とし、アクションも踊りもなく、クローズアップを多用した緊迫した口頭弁論だけで進行する。そして、ラストでの衝撃的な真相開示は見事としか言いようがなかった。

ただし、これはヒンディー語舞台劇の翻案ということで、その成功に一定の留保があったのも事実。今回のようにオリジナル・ストーリーで撮ったらどうなるのかというのが蟠っていたのだ。しかし8月7日の封切り以降、好意的なレビューに恵まれ(「マスターピース」とまで讃えているものも見受けられる)、こうしたアート寄り作品としては珍しく順調に(これを書いている現在)3週目に突入している。

前作では舞台は軍事法廷だったが、今回は先端医療を行う私立の高級病院。ランタイム150分のかなりの部分が病院内であるらしい。最低辺から最高級のところまで、もちろんインドの医療には問題山積。その実情の一部は娯楽的なインド映画でも垣間見ることができる。だらだら血ぃ流して担ぎ込まれても、支払い能力を証明できないと包帯さえ当ててもらえないとか、あれはホントにあることだからね。本作でスポットが当たっているのは、その中でも薬にまつわる問題であるらしい。外国人をターゲットにした医療ツーリズムを国策として打ち出しているインドで、「ジャイアント」にたとえられる製薬会社が自国民(それも貧困層の)に対してどれだけ冷酷であるか。アーミル・カーンがホストをつとめたTVドキュメンタリー、Satyamev Jayate などで既にこの問題は広く共有されているようだ(The cost of medicine の回は必見)。

地位も名声もある医師と、教育程度も低い無知で貧乏な患者との対峙のなかで、医療の倫理と病院の利潤追求との衝突とを描く監督の手腕に期待したい。

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【主要キャスト】
■ドクター・ヴィジャイ・ナンビヤール:スレーシュ・ゴーピ
成功した神経外科医、アポティカリー病院に勤務。二人の女児の父。スレーシュ・ゴーピは、モーハンラール、マンムーティ、ジャヤラームと並ぶマラヤーラム映画界の熟年四天王のひとり。日本では過去に主演作 Kaliyattam/The Play of God [邦題:神の戯れ] (Malayalam - 1997) が映画祭上映されている。これはシェイクスピアの『オセロ』を翻案した芸術映画だったが、この人の本領は痛快ポリスアクション。インテリ映画好きからの絶大な不支持を獲得しながらも、圧倒的な体躯と雷鳴のようなキメ台詞によって悪人どもを薙ぎ倒すお巡りさんぶりは、庶民のファンから喝采を浴びている。実はこの3年ほど出演作が極端に落ち込み、何事かと思っていたのだが、アミターブ・バッチャンの司会で有名なTVプログラム・KBCのマラヤーラム版である Ningalkkum Akam Kodeeswaran のホストとして大忙しであったからのようだ。本作は主演としては3年ぶりになるカムバック作といっていいだろう。
■スビン・ジョーセフ:ジャヤスーリヤ
ジャヤスーリヤについては以前の上映の時に書いた。スレーシュ・ゴーピと並んで本作で最も高い評価を受けている。難病に冒された貧困層の男を演じるために13キロの減量を行ったという。もともと落とすほどの脂肪の持ち主ではなかったのだから、せっせとボディビルで蓄えた筋肉を減らしたということなのだろう。いや、ご苦労さんです。
■プラターパン:アーシフ・アリ
スビンとほぼ同時期に入院してきた患者。アーシフ・アリについては過去のレビューで「何でも屋のアリちゃん」などと酷いことを書いてしまったが、デビュー5年目にして、ドゥルカルやニヴィンなどの後発組に若干水をあけられてしまっているのは確か。本作での演技は、短い出番ながら一定の評価を得ている。あるいはこのような捻りのある脇役としての路線に進んでいくのかもしれない。
■ドクター・ナーリニ・ナンビヤール:アビラーミ
ヴィジャイの妻、産婦人科医。ヴィジャイと同じアポティカリー病院に勤務。演じるアビラーミについては、長らく「Virumaandi (Tamil - 2004) で鮮烈なデビューを飾ったタミル女優」と信じ込んでいたのだが、改めてフィルモグラフィーを見てみて吃驚。この人はトリヴァンドラム生まれのマラヤーラム女優で、子役としては1995年から映画に出演していたとのこと。2001年ごろにチェンナイに移り、タミル、テルグ、カンナダで活躍するも、Virumaandi を最後に米国に移り住み、中断していた勉学を続けたという。本作はきっかり10年後のカムバックということになる。かつての「野生の美女」が今はどんな奥様になっているのか、楽しみだ。
■デイシー:ミーラ・ナンダン
スビンに関係のある女性として登場するらしいのだが、詳細な役柄は不明。ミーラ・ナンダンは、ラール・ジョース監督に見出されてデビューした Mulla (Malayalam - 2008) では大型タレントの登場を予感させたが、どうもその後パッとせず、現在は「ゲストで登場すると凄く贅沢な感じがするヒロイン」になってしまった。しかし1990年生まれとまだまだ若いし、今後もマラヤーラム映画専従のヒロインとして良質な作品に出て欲しいものである。
■スビンの父:インドランス
田舎とはいえ、識字率100パーセントのケララにありながら、なぜか自分の名前すら書けない貧しい男。インドランスについてはここに書いた。映画コスチューム・デザイナー出身(しかしどうしてもミシンをキコキコ踏んでる姿を想像してしまう。なお、以前のポストでは勘違いして同一人物だとしていたが、国家映画賞衣装部門で二度も受賞しているデザイナーのインドランス・ジャヤンはイトコ)で、1985年ごろから映画出演を始め、1990年代中頃からは売れっ子コメディアンとなって現在に至る。本作の多くのレビューで、「インドランスに演技ができるとは」という驚きの声が聞かれたが、何を今更という感じだ。マラヤーラム映画脇役軍団の底力を舐めちゃあいけない。

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8月の7日の現地公開後の圧倒的好評を受けて即座に動いたマラヤーラム上映チームの機動力には感服。

投稿者 Periplo : 22:54 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年06月09日

マラヤーラム映画新作上映1406-2

今をときめくヤングスター大集合!な映画だけど、中心となるのはこの3人らしい。

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Bangalore Days (Malayalam - 2014) Dir. Anjali Menon

原題:ബാംഗ്ലൂര്‍ ഡെയ്‌സ്

Cast:Dulquer Salmaan, Nivin Pauly, Fahad Fasil, Nazriya Nazim, Parvathy Menon, Nithya Menon, Isha Talwar, Vijaya Raghavan, Kalpana, Vinaya Prasad, Prathap Pothen, Maniyanpilla Raju, Sajid Yahiya, etc.

Crew:Anjali Menon (director, writer), Anwar Rasheed (producer), Gopi Sunder (music director), Samir Thahir (cinematographer), Brinda (choreographer)

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/BangaloredaysMovie
公式トレーラーhttp://youtu.be/uVpHL5g4buY

■日時:2014年6月29日、午後2:00開映
■料金:大人1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約172分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/05/bangalore-days-malayalam-2014.html

※上映に際しては途中10-20分程度のインターミッションあり。別料金でインド・スナックのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機も会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォーム(会場=東京と記載ありますが埼玉です)の入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【ざっくりとしたストーリー】
ケララで生まれ育ったアルジュン(Dulquer Salmaan)、クッタン(Nivin Pauly)、ディヴィヤ(Nazriya Nazim)は大変に仲の良いイトコ同士で、3人の共通の夢はバンガロールに行って青春を謳歌することだった。クッタンはバンガロールのIT企業への就職が決まる。ディヴィヤは抗し切れない状況から卒業と同時に見合い結婚をすることになり、夫のダース(Fahad Fasil)と共にバンガロールに移り住む。アルジュンも、レース用バイクのメカニックとしてバンガロールに職を見つける。

新婚のダースとディヴィヤの仲はかなりギクシャクしたもので、ダースが出張で不在がちなこともあり、ディヴィヤは独身時代と変わらず二人のイトコと遊びまわっていた。しかし、やがて彼女も夫との関係に正面から向き合うこととなり、アルジュンとクッタンもそれぞれに愛する女性を見つける。

【みどころ予想】
ともかく、本作のキャスト・スタッフの陣容を知ったときの衝撃は並大抵のものではなかった。2010年に入ったころから目立ってきたマラヤーラムのニューウェーブ映画だが、始めの頃は必ずしもニューウェーブ=若者映画という訳でもなかった。世代交代はまず裏方から起こり、演じ手には中堅とその時々の若手俳優を使いながら徐々に新しい枠組みを模索してきたのだ。マラヤーラム・ニューウェーブはスターではなく裏方が牽引するものだった。それが、この1,2年ぐらいで徐々に風向きが変わり、その時々の若手俳優の中から篩に掛けられてスターと呼べる役者が台頭してきた(篩から落ちてしまった俳優たちも脇に回ってそれなりの味を出していることが多い)。特に男優で「デフォルトが髭無し」な連中が目立つようになり、価値観の緩やかな変化を感じさせられたものだ。

本作に登場する7人の若手俳優は、各人がそれぞれに主役をはれるだけのスターバリューの持ち主で、近年の話題作の多くに顔を出してきた。Twenty:20 (Malayalam - 2008) Dir. Joshiy 以来のマルチスター映画と言えるだろう(同作でお情けっぽく僅かな登場シーンを与えられていたヤング軍団がこれだ、隔世の感あり)。

とはいえ、本作の最大のインパクトは、やはり監督のアンジャリ・メーノーンにあるだろう。これまでのキャリアは短編、長編、脚本提供がそれぞれ1本という限られたものながら、その動向が常に業界とファンの注目の的となっている新鋭・気鋭の映像作家。最初に世に出た Kerala Cafe 中の短編に端的に現れているが、人間観察の鋭さ、それを効果的に表出する作劇術の確かさがその人気の理由。長編デビュー作 Manjadikuru の公開が諸事情から遅れたこともあり、より一層カルト的なステータスを得ることになった。今回はニューウェーブ作品としては珍しい9カロール・ルピーという(マ映画としては)高額の予算をあてがわれ、それに応える形で5月30日の封切り以来、空前の売り上げを記録しているという(資料)。

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【主要キャスト】
■アルジュン(アジュ):ドゥルカル・サルマーン
離婚した両親を持ち、自身は10年生でドロップアウト。しかしそんなことを歯牙にもかけず自由気儘かつ反抗的に生きるアルジュンは、グラフィーティ・アーティストでモトクロス・レーサーでもある。って、書いてるこっちが気恥ずかしくなっちまったが、大丈夫なのかDQS?しかし幸いにして各種レビューでは特にその辺への突っ込みは見当たらなかった。メガスター・マンムーティの息子、ドゥルカル・サルマーンについては過去にここで書いた。本作がデビュー以来の10作目となる。今のところ、繊細な心理の綾を演じるとか、そういった器用さは望むべくもないが、身の丈にあった伸び伸びとしたキャラクターを与えられると風格と存在感を発揮するタイプ。
■クッタン(クリシュナン):ニヴィン・ポーリ
職を得てやってきたバンガロールには田舎者コンプレックスから気後れを感じ、ホームシックに陥ってしまう生真面目なソフトウェア野郎。4月に上映された 1983 を観た人には既にお馴染みのニヴィンについてはここを参照。俳優デビュー前はバンガロールのインフォシスにIT屋さんとして勤めていたそうだ。こいつもまた、演技の幅が広いとはいえないタイプなのだが、本作でのコミカルなキャラは嵌り役と賞賛されている。
■ダース(シヴダース):ファハド・ファーシル
仕事の鬼で、常に出張で世界各地を渡り歩いているビジネスマン。新妻との間の距離を縮めることのできない夫という役柄を、オフスクリーンではこの8月に結婚することになっているナスリヤを相手にファハドがどういう気持ちで演じたのかが気になる。名匠ファーシル監督の息子、ファハド・ファーシルについてもここなどに書いた。2002年に親爺の監督作で一度デビューしたものの、かなり恥ずかしい出来で撃沈。それからしばらく姿を消して、2009年にカムバック。それ以降出演作は加速度を付けて増加し、2013年には12本が封切られた。文句なしのマラヤーラム映画界一の売れっ子。
■ディヴィヤ・プラカーシュ(クンジュ):ナスリヤ・ナシーム
沸騰するような活力の持ち主で、学業でも優秀、どこまでも陽性の魅力に溢れたディヴィヤ。MBAを取得して起業家になるという夢を持っていたのに、星占いのお告げで早々と結婚させられてしまう。ナスリヤについてはここに書いた。1994年生まれの19歳。幼少時からマーピラ・パーットゥと呼ばれるムスリム民謡の歌い手として活躍し、映画には子役として3本ほどに出演、TVではのど自慢番組の司会も務めていた。ヒロインとしては昨年2013年にデビュー、マラヤーラム・タミルの両映画界で話題をさらった。箸が転げたぐらいのことに堪えきれずにきゅふっと笑う、その表情としぐさには、強烈な破壊力がある。
■ミーナークシ:イシャ・タルワール
クッタンを翻弄するスチュワーデス。ここで紹介した中では唯一のムンバイ生まれの北インド人(公式サイトはこちら)。テレビCMに多く出演していたが、ニヴィンと共演したデビュー作 Thattathin Marayathu (Malayalam - 2012) が莫迦ウケして、以降「ほぼサウス女優」となっている。手っ取り早く出演作をチェックしたければ、短編映画 The Restaurant Couple がお勧め。
■ナターシャ:ニティヤ・メーノーン
ダースの忘れることのできない過去である女性。ニティヤについてはここで書いた。バンガロールで生まれ育った正真正銘のバンガロール・マラヤーリーだ。Aakasha Gopuram (Malayalam - 2008) でヒロインデビューした後、タミル、テルグ、カンナダでも活躍。どの映画界でも新感覚なオフビート系作品に出演している個性派。
■サラー:パールヴァティ・メーノーン
ラジオジョッキーとして成功した女性。その声に魅せられて、アルジュンは彼女をひと目見たいと願うようになる。パールヴァティのデビューは2006年で、メインの演技者たちの中ではちょっとお姉さんなイメージがある。異色の学園ドラマ Notebook (Malayalam - 2006) でのネガティブな陰を持つ役柄の演技が認められて、一味違うヒロインと看做されるようになる。役を選ぶタイプなのか、出演作はさほど多くはないが、タミルやカンナダでも秀作に顔を出している。

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【主要スタッフ】
■監督:アンジャリ・メーノーン
公式ブログあり。インタビューはこちら
■製作:アンワル・ラシード
本業は映画監督といっていいと思う。デビュー作 Rajamanikyam (2005) で、長らくお笑いを封印していたマンムーティにコメディー演技をさせ、なおかつ成功させた凄腕。コメディーを得意とするかに思わせておきながら、Kerala Cafe5 Sundarikal 中の短編では、張り詰めたシリアスな世界を展開する力も見せて、才能の幅広さを感じさせた。
■音楽:ゴーピ・スンダル
2006年ごろのデビュー以来、めきめきと頭角を現し、今では若手MDのトップと目されるようになった売れっ子。これまで上映した作品中でも Escape from Uganda1983Mr. Fraud の楽曲がこの人の手になるものだった。
■撮影:サミール・ターヒル
監督としても目覚しい活躍をしているカメラマン。デビュー作 Big B (2007) の冒頭シーンから歴然だが、雨や湖水、海面といった水っぽいものを撮らせたらこの人の右に出るものはいないと思う。

【マラヤーラム映画にとってのバンガロール】
バンガロールは、ケララ州の北に隣接するカルナータカ州の州都。ケララの大抵の場所から一晩バスか列車に乗れば辿りつけるほどの距離。根をおろした在住マラヤーリーの人口も相当に多い。全インド的にもトップクラスのIT産業の中心地であり、そのため国内外からの移住者も多く、近代的な町並みとコスモポリタンな雰囲気を誇る。そしてもちろん、カンナダ映画の中心地である。

ちょっと脱線するが、カンナダ映画にとってのバンガロールは、以前に紹介したラーガヴェーンドラさんのこの本によれば、「心の底からカンナダ人の街とみなされたことはない」のだそうだ(同書P.138)。そして、バンガロールが舞台になったカンナダ映画には二つの典型があり、ひとつは「のこのこ上京した田舎者が、色々酷い目に遭った末に暗黒街に落ち着く」ノワール系(例として MajesticKittiJogiDuniya が挙げられている)、もうひとつは「バンガロール育ちの中産階級の若者が恋に落ち、その成就のためになぜだか全力でバンガロールを離れようとする」ロマンス(例として Mungaru MaleGaalipata が挙げられている)なのだそうだ(同じ著者による Meanings Of The City より)。この説が妥当なのかどうかはここでは深入りしないが、ちょっと面白い話だと思う。

一方、マラヤーラム映画にとってのバンガロールはというと、No. 1 Snehatheeram Banglore North (1995) 以来(いや、これはパッと思い浮かんだだけで、実際はもっと遡るに違いない)の洒落た都会ものの定番の舞台なのだ。

マラヤーラム映画の都会ものの舞台で作例が多いのは、1.コーチン、2.ドバイ、3.バンガロール、4.チェンナイといったところ。コーチンはケララ州きっての商都だが、コンクリート・ジャングルとは程遠い呑気さで、クールな雰囲気が出ない。ドバイは超近代的な都市景観を誇るが、どうしたって出稼ぎ者の悲哀が付きまとう。チェンナイは、バンガロールと同程度に移住者が多く、ケララとの歴史的なつながりも強いはずなのだが、なぜだかさほど人気がない。いわゆるニューウェーブが盛んになるにつれて、マラヤーラム映画におけるバンガロールのプレゼンスは大きくなっていくばかりのようだ。その表れ方の特徴を一言で言うなら、「中産階級が占有する手の届くパラダイス」。ゲーテッド・コミュニティの高級フラットに住み、家ではマラヤーラム語、一歩外に出たら英語だけで生活し、故郷でのカーストや地縁や大家族から切り離されているが、寄る辺ない異境でもない、という不思議な空間。ケララ州内では実現しにくい、物質的な潤沢と個人主義、そして保守的なモラルからの解放が立ち現れる無色で抽象的な場であるのだ。ケララの衆が自州内にこうした場を持っていないのが幸なのか不幸なのかは判断できないが、南インド映画の世界に幾つか存在する「場の捩れ」現象のひとつとして興味深い。バンガロール・マラヤーラム映画として面白いのは 22 Female Kottayam (2012)、Olipporu (2013)、Silence (2013) なんていうあたり(必ずしも秀作とは言えないものもあるが)。

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【ついでに見るなら】
ナウでヤングなマラヤーラム映画の世界に興味をもたれたらお勧めしたい、本作のスタッフ・キャストがかかわった作品を、かなり悩んだ末に4本に絞って紹介。
1.Kerala Cafe (Malayalam - 2009)
旅をテーマにした10の短編からなるオムニバス。アンジャリ・メーノーンとアンワル・ラシードの監督作を含む。出演者にはファハド・ファーシル、ニティヤ・メーノーン。
2.Ustad Hotel (Malayalam - 2012)
監督はアンワル・ラシード、脚本をアンジャリ・メーノーンが担当。ドゥルカル・サルマーンとニティヤ・メーノーンが主演。ゴーピ・スンダルの音楽が素晴らしい。
3.5 Sundarikal (Malayalam - 2013)
こちらは女性をテーマにした短編オムニバス。アンワル・ラシード、サミール・ターヒルの監督作を含む。出演者にはファハド・ファーシル、ドゥルカル・サルマーン。ゴーピ・スンダルも1編中で音楽を担当。
4.Ohm Shanti Oshaana (Malayalam - 2014)
スクリーン上で相性のいいニヴィン・ポーリとナスリヤ・ナシームの共演作。秀作と言えるのかどうか正直なところ自信がないけど、乙女心後進地域のマラヤーラム映画にこんなのが出てきたかとひっくり返ること請け合い。

投稿者 Periplo : 00:26 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年05月20日

マラヤーラム映画新作上映1406

生え際のヤバい自称ヤングどもがナンボのもんじゃい、時代は胡麻塩よっ!
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Mr. Fraud (Malayalam - 2014) Dir. B Unnikrishnan

原題:Mr. ഫ്രോഡ്

Cast:Mohanlal, Miya George, Dev Gill, Siddique, Pallavi Purohit, Manjari Phadnis, Vijay Babu, Vijayakumar, Sai Kumar, Suresh Krishna, Rahul Madhav, Ashvin Mathew, Rajeev Parameshwar, Arjun Nandhakumar, Balaji, Sathaar, Devan, Amritha Anilkumar, P Balachandram, V K Sreeraman, Kalasala Babu, Mukundan, Manoj, Balachandran Chullikkad, Biju Pappan, Gopi Sunder (guest appearance), Balabhaskar (guest appearance), Stunt Silva (guest appearance), etc.

公式サイトhttp://www.mrfraudmovie.com/
公式トレーラーhttp://youtu.be/yNdVFZsKlgw

■日時:2014年6月1日、午後2:00開映
■料金:大人1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約2時間15分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/05/mr-fraud-malayalam-2014.html

※上映に際しては途中10-20分程度のインターミッションあり。別料金でインド・スナックのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機も会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォーム(会場=東京と記載ありますが埼玉です)はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【導入部の粗筋】
旧藩王国時代の宮殿(マラヤーラム語でコーヴィラカムまたはコッターラム)であるアーディティヤプラム。この宮殿の宝物をめぐっては、過去に王族たちの間で血腥い抗争が繰り広げられてきた。4組ものグループに分かれて相続権を主張する成員たちを鎮めるために、宮殿と美術品は41年の期限付きで封印されていたが、その帰属について決着をつける時が近づいていた。そこに、神出鬼没の窃盗団を率いる謎の男(Mohanlal)が、中立的な鑑定士を名乗って登場する。彼は、計り知れない資産価値を持つこの宮殿の美術品略奪を、引退前の最後の大仕事とするつもりでいた。

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MrFraudCast2.jpg【主要キャスト】
01.モーハンラール:ハイテクで武装した窃盗団のリーダーであり、かつての藩王家にその財宝を狙って近づこうとする詐欺師でもある謎の男。様々な名前を持っているが、部下たちからは「バーイ・ジー」と呼ばれている。
02.デーヴ・ギル:ニッキという名前のメイン悪役というだけで詳細は不明。デーヴ・ギル(公式サイトあり)はプネー出身、Bhaag Milka Bhaag [走れミルカ、走れ] ではパキスタン人アスリートを演じた。ただし、2008年からテルグを中心としたサウス映画に出始め、現在は「ほぼサウス俳優」状態。代表作は Magadheera (Telugu - 2009) あたりか。
03.ヴィジャイ・バーブ:バーイ・ジーの右腕として活躍するアッバス。演じるヴィジャイ・バーブは、今年上映されたEscape from Uganda (Malayalam - 2013) にもヒロインの夫役で出ていた。経歴についてはこちら参照。
04.ヴィジャヤクマール:ヤジャマン』、『バーシャ』『チャンドラムキ』などの出演作が日本でも公開されているベテランのタミル俳優ヴィジャヤクマールは、もしかしたら本作がマラヤーラム初出演かもしれない。
05.スレーシュ・クリシュナ:ケーララの獅子』で武将の役を重厚に演じていたスレーシュ・クリシュナは、平常運転では「嫌味な奴」が定位置。
06.デーヴァン:やはり『バーシャ』によって日本でも知られているデーヴァンは、実はトリシュール生まれのマラヤーラム俳優。ここ数年出演作が抑えめなのは、並行して政治活動に従事しているためらしい。
07.サーイ・クマール:下で紹介のシッディクと並ぶマラヤーラム映画悪役二大巨頭の一人。過去にこちらで紹介している。しかしその芸域の広さは単なる悪役俳優というレッテルでは済まされないものがある。
08.バーラチャンドラン・チュッリカード
09.ラーフル・マーダヴ
10.ムクンダン
11.Pバーラチャンドラン
12.シッディク:旧藩王家の当主、ラージャシェーカラ・ヴァルマ、王族の末裔でありながら共産党の代議士でもある。演じるシッディクについてはこちらなど。ラルさんのワンマンショーと評されている本作中で、脇役としてはもっとも存在感を示しているらしい。
13.ミヤ・ジョージ:ラージャシェーカラ・ヴァルマの養女サラスワティ。ミヤ・ジョージについては昨年あたりから注目していただけに、ここにきて脇役からヒロインとして独り立ちした姿を見られて感無量。予習・復習でのお勧めは、清楚な尼さん姿がいやら美しい Vishudhan (Malayalam - 2013) あたり。
14.マンジャリー・パドニス:アッバスと共にバーイ・ジーのアシスタントを務めるプリヤ。Jaane Tu...Ya Jaane Na (Hindi - 2008) の脇役で注目を集めたマンジャリーは、同年からテルグを中心にしたサウス映画にも進出しているが、マラヤーラム映画出演は本作が初となる。
15.パッラヴィ・プローヒト(パッラヴィ・チャンドランとも):バンガロール育ちのケララ人で、デビュー当初はヒンディー語の連続TVドラマに出演していた。 Silence (Malayalam - 2013) でいきなりマンムーティの妻役としてデビュー。3作目となる本作ではややヴァンプ的な役どころらしい。
その他マダム・イン・ニューヨーク』で校長先生を演じるアシュウィン・マチュー、本作の楽曲を手掛ける売れっ子MDで、ソングシーンでカメオ出演するゴーピ・スンダルなどにも注目。

【簡単な見どころ紹介、その他】
ありがたいことに、今回も英語字幕付きの上映なので、そうクドクド書く必要もないだろう。

マラヤーラム映画界恒例の業界内ゲバのせいで遅れに遅れて5月17日封切りとなった本作は、昨年の Drishyam で未曾有の大成功をおさめたモーハンラールの2014年初の封切り。蓋をあけてから3日の現時点での評判は、いわゆる「ミクスト・レスポンス」というもの。ロジックよりはマサラを前面におしだした「ファンのための映画」、あんなことやこんなことするラルさんをウットリ眺めるための平均作というところか。多彩な出演者を擁しながらも実質的にはモーハンラールの独り芝居という声も聞かれる。で、ウットリさせるためにグレーヘアで決めたラルさんのあれやこれやは、もちろんウットリものなのだが、多くの評者がラストシーンのコスチュームだけはどうかと思うぞ、と書いている。今のところそのシーンのスチル写真は見つかっていない。なので、どんな華麗なファッションでドン引きさせてくれるのかドキドキしながらストーリーを追うというのも一興かもしれない。

監督のBウンニクリシュナンは、2006年にデビューして本作が9本目となる中堅。スリラーを多く手掛けて一定の評価を得ている。特にモーハンラールとのコンビで送り出した Grandmaster (Malayalam - 2012) はスマッシュヒットだった。

旧藩王家の財宝をめぐるスリラーということで、ロケは大部分がケララ各所に残る宮殿建築で行われている。筆頭にくるのが、コーチン南郊トリプニトゥラにあるヒル・パレス・ミュージアム。旧コーチン藩王国の宮殿で、ケララ伝統建築と西欧の新古典主義建築を折衷した独特の外観。これまでにも映画の撮影地として幾たびか登場している(たとえばこれ)。そして、当網站で過去に紹介したこともある、ヴァリッカーシェーリ・マナ。中東部パーラッカードの郊外オッタッパーラムにあるこの大邸宅は、現在は映画やTVの撮影専用に貸しだされているという点でインドでも珍しい歴史建築。一体何本のマラヤーラム映画がここで撮られたか、すでにカウントもできないほどのものなのだ。FBページは一見の価値あり。

とはいえ、本作のストーリーの着想は、数年前に大騒ぎとなった、トリヴァンドラム・パドマナーバスワーミ寺院での旧トラヴァンコール藩王家のお宝大発見(こちらなど参照)から来ていることは間違いない。

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こんな風にカッコつけてバーチャル・タッチパネルをしゃしゃっとやってみたいもんだわい。

投稿者 Periplo : 20:22 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年03月26日

PJ2013-02:Celluloid

実際のところ、こんなに美人の奥さんがいたのに、ダニエルは彼女を主演女優にしようとは思わなかった、そこにこそ一番のアイロニーがありはしないか。

一般劇場での封切りは印度映画100周年の節目の年である2013年の2月。しかしセンサー認証は前年度中に済ませてしまっており、2012年作品を対象としたケララ州映画賞の各部門を総嘗めにした。それが封切りの追い風となり、同時に、本来の2012年作品の秀作群が賞から閉め出された格好になり、その辺も気に食わんのだ。

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Celluloid

Director:Kamal
Cast:Prithviraj, Mamta Mohandas, Chandni, Sreenivasan, Sreejith Ravi, Thalaivasal Vijay, Chembil Asokan, Sruthi Dilip, Ramesh Pisharody, Jayan, Nedumudi Venu, Siddique, Indrans, T G Ravi, Thampi Antony, Irshad, Nandu Madhav, Jayaraj Warrier, Manikandan Pattambi, Madhan Bob

原題:സെല്ലുലോയ്ഡ്
タイトルの意味:映画の代名詞としての単語だが、無声映画期には「bioscope」という語の方が一般的だった。また、「Photo Play」という語も使われていたようだ。より直接的にフィルムの素材を示す「celluloid」が採用された理由は本編を見れば分かるようになっている。

DVDの版元:Horizon
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間7分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:無声映画、カースト、顕彰、政争、歴史、トラヴァンコール

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/07/celluloid-malayalam-2013.html

お勧め度:★★★☆☆

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【ネタバレ度95%の粗筋】
20世紀前半のトラヴァンコール藩王国。カンニャークマーリ地方に生まれたJCダニエル(Prithviraj)は、最新の娯楽として人気を集めつつあった活動写真に魅せられ、自ら製作をしようと考えるようになる。彼は、「インド映画の父」ダーダーサーハブ・ファールケー(Nandu Madhav)、そしてタミル人として初めて映画製作に携わったランガスワーミ・ナタラージャー・ムダリヤール(Thalaivasal Vijay)に教えを乞う。一通りの技術を習得した彼が考えたのは、当時主に作られていた神話映画ではなく、同時代を舞台にしたソーシャル映画の製作だった。その作品 Vigathakumaran : The Lost Child は、彼がトリヴァンドラム郊外に設立した Travancore National Pictures というスタジオで撮影されることになった。主演男優は彼が兼任することになったが、主演女優が問題だった。ボンベイからアングロ・インディアンの女優を連れてきたものの、ダニエルの足元を見た法外な要求と並外れた我儘ぶりに嫌気がさして追い返してしまう。彼が目を付けたのはダリトの芸能であるカーッカラッシ・ナーダガムの舞台で演じていたローサンマ(Chandni)だった。彼はローサンマにローシの芸名を与えて主演女優とする。日給は5ルピーと決められた。ダリト・クリスチャンとして(改宗していないプラヤルであったとする説もあり、紛糾している)最底辺で暮らしていたローシは、いきなり投げ込まれた新しい環境に戸惑いを見せたが、ダニエルと妻のジャネット(Mamta Mohandas)は彼女に分け隔てなく接し、自信をもって演技できるように励ました。

数々の困難のうちにも Vigathakumaran は何とか完成し、1930年に公開となった(1928年説もあり、紛糾している)。しかし封切りの記念上映にやってきたトラヴァンコール藩王国の郷紳たちは、ダニエルに招かれて同じ場にきたローシを追い出し、さらにはローシが劇中でナーイルの女性を演じていることを知るや激高し、騒乱を起こす。結局興行は中止となり、多額の負債を背負うことになったダニエルの、映画作家になるという夢はそこで絶たれてしまう。この事件の後、ローシはさまざまな嫌がらせを受け、ついには家を焼かれて行方不明になってしまう。

それから30年以上たった1966年。Chemmeen (Malayalam - 1965) Dir. Ramu Kariat がマラヤーラム映画として初めて大統領金賞(今日の国家映画賞最優秀作品賞にあたる)を獲得したニュースが流れていた。映画ジャーナリストのチェーランガーット・ゴーパーラクリシュナン(Sreenivasan)は、ふとしたきっかけから Vigathakumaran という作品がかつて存在したことを知り、調査を始める。この時点で、最初のマラヤーラム映画は初トーキーである Balan (Malayalam - 1938) Dir. S Nottani というのが定説であり、州の映画アカデミーもこれを採っていた。ゴーパーラクリシュナンは老いたダニエルとジャネットを探しあて、Vigathakumaran について聞き出す。夫妻はタミル・ナードゥ州南端のアガスティーシュワラムに逼塞しており、ダニエルはほぼ失明に近い状態で伏せっていた。ダニエルは重い口を開き、製作から公開に至る経緯とその後の人生を語り、さらにフィルムが現存していないことを告げる。

ゴーパーラクリシュナンは、ダニエルの業績が正当に評価されること、そして困窮している彼に何らかの年金が支給されるようにすることを目的に、ケララ州政府文化局に掛け合う。しかし、文化局の要人マラヤーットゥール・ラーマクリシュナン・アイヤル(Siddique)は取り合わない。彼によれば、フィルムが現存しないこと、無声映画なので言語の区別がしにくいこと(当時の流行にしたがってサンスクリット的な語彙を使った Vigathakumaran というタイトルもまた不利に働いた)、ダニエルが今はタミル・ナードゥ州となっている地域の出身であること、現在の住まいもタミル・ナードゥ州内であること、これらを考え合わせるとケララ州による顕彰や年金支給は難しいというのだ。ゴーパーラクリシュナンは議論の末にアイヤルが漏らした、「ナーダ―ルが作ったとかいう映画になぜそれほどに拘るのか」という言葉で、これ以上の交渉の余地のないことを悟る。結局のところ、彼は自分と同じバラモンの出身であるTRスンダラムが製作したという理由で、Balan を最初のマラヤーラム映画としておきたいだけなのではないか。その後ゴーパーラクリシュナンは時の州首相カルナーカランにも直訴をしたが、州首相は彼を補助金を掠め取ろうとするゴロツキであるかのように見なして追い払ったのだった。こうした一連の探索の中で、ゴーパーラクリシュナンは Vigathakumaran の製作にも参加していたスンダララージ(Sreejith Ravi/T G Ravi)による二本目のマラヤーラム映画 Marthanda Varma のリールが倉庫で朽ちかけているのを発見し、プネーの国立フィルム・アーカイブに収蔵させることに成功している。

時は下り、1975年。ゴーパーラクリシュナンの粘り強い活動がついに実を結び、ケララ州映画振興公団の設立を機に、ダニエルはついに「マラヤーラム映画の父」という公式のステータスを得ることになった。しかしその同じ年の4月にダニエルは貧窮のうちに他界していた。そしてさらに四半世紀後の2000年、ダニエルの伝記ドキュメンタリーが公開されることとなり、記念行事に招かれて登壇したのはダニエルの末子ハリス(Prithviraj)だった。既に初老の域に達しているハリスは、壇上で Vigathakumaran のフィルムの消失にいたる事情を初めて明かしたのだった。

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【寸評】
勉強になる、しかし楽しくない!というのが本作に対するシンプルな感想。映画の内容も、それからこの映画の公開や受賞をめぐる騒ぎも、どれもかなり政治的なものだった。題材となった1930年代から今日にいたるまでのケララのカースト間の緊張関係が大きな影を落としているようで、カツドウ屋讃歌とはかなり違ったものになっている。初期の映画人を扱った映画が、必ずカツドウ屋讃歌でなければならないという決まりなどないのは分かってるけど。

映画の創始期を扱った作品は映画大国インドにしては少ないものの、たとえば、ダーダーサーハブ・ファールケーを描いた Harshchandrachi Factory (Marathi - 2009) Dir. Paresh Mokashi などが有名。これは小品ではあったけれど、インド映画の船出を闊達で朗らかなユートピア的空間として記念したい(実際がどうであったのかは分からないが)という製作者の意図は十分に伝わってくるものだった。マラヤーラム映画としては Bioscope (Malayalam - 2008) Dir. K M Madhusudhanan というのがあった。これは1907年にトリシュールで初めて活動写真の興行をしたと言われるワルンニ・ジョーセフに光を当てたもの。ただし、完全に芸術映画のフォーマットで作られており、あまり印象に残るものではなかった。

本作の監督カマル氏は80年代後半から活躍しているベテランで、Perumazhakkalam (Malayalam - 2004) に代表されるようなエモーショナルなメロドラマに定評がある。一作ごとの浮き沈みはあるものの、ファーシル監督などと違い、まだまだ観客からの支持を失っていない名匠。

本作でカマル監督が描こうとしたテーマは大まかに3つあると思う。

A.ダニエル、ローシ、スンダララージといった創始期の映画人の忘れられた行跡に光を当てる
B.インドの他地域でも例を見ないほどに過酷だったという20世紀前半のケララのカースト差別を糾弾する
C.ダニエルの顕彰を拒んだ、20世紀後半の文化人たちの根強いカースト主義を批判する

そのためにカマル監督が採ったのは、ドキュメンタリー的手法とお得意のメロドラマの折衷だったが、結果的にはどちらも中途半端なものになって不満が残った。そして、全編を見終わって不必要なまでにいがらっぽい味を残すのが、3番目に挙げた文化人サークル内でのカースト派閥抗争なのだ。本来これは一般の観客にとっては一番どうでもいい要素なのだが、現地では異様なほどの政治的論争を呼び、1970年代のカースト対立が現在もまだしぶとく生き残っていることをうかがわせ、カマル監督は結局ダニエルの物語にこと寄せてこうした派閥政治的な部分でのアピールをしたかったんじゃないかとまで思わせるものがあった。

次に、本作でのダニエルのキャラクター造形について見ると、

1.映画への情熱に取り憑かれた夢追人
2.カースト差別に反対するヒューマニスト
3.マラヤーリーとして初めて映画を作ることに意味を見いだした地域ナショナリスト

の3つが強調されている。ここでは史実に忠実かどうかは問わない(史実との合致という観点で細かい検証をしている人もいる)。映画中のフィクショナルなキャラクターとしてこれらに説得力があるかというとちょっと疑問。

1については、映画に失敗した後はがらりと方向性を変えて歯科医になるなど、柔軟性がありすぎて、映画愛の人に見えないのが残念。映画を金儲けの手立てとしか見ていなかったとまでは思わないが、むしろ現在のインドにも数多くいる、起業家精神に富み、あれこれとチャレンジするのが好きなベンチャー野郎ではなかったのかと思えてくる。

2について、ダリトの少女ローシを女優として抜擢し導くシーンなどでは非常に理想主義的な美しい台詞が口にされるのに、封切り失敗後の冷淡さはなんだろうと訝しく思われる。そもそも20世紀前半のケララの社会状況の中で、ダリト女性を映画の主役にしたら起こるであろうトラブルが予測できなかったというのが現実的でない。冒頭では冗談めかして書いたが、妻を女優として起用しなかったということにも、良家の子女がカメラの前で演技するなど論外、アングロ・インディアンや下層の女にやらせる仕事だろう、というような当時の意識が透けて見える。ダニエルが、というよりも、この作品自体が、「最初のマラヤーラム女優」に対しての興味を途中から失い、メロドラマ的ナラティブを不完全燃焼で終わらせてしまっているのは、本当に不思議だ。

3の、地域ナショナリストとしての描写にもちょっと無理を感じる。ダニエルが何度か口にする「マラヤーリー」としてのプライドだが、これは現代の政治的正義を歴史的な過去に無理に当てはめていないか。Ozhimuri のレビューでも書いたが、カンニャークマーリ地方は古くからトラヴァンコール藩王家の領地で、マラヤーラム語話者とタミル語話者が混住する地域だった。ダニエルがタミル語とマラヤーラム語双方の話者であることは劇中でも明示される。南インドにおいて民族集団としてのマラヤーリーはタミル人とはもちろん別のものとして存在したが、言語をベースにした強い地域ナショナリズムが、1930年代のトラヴァンコール藩王国のナーダール・クリスチャン(タミル・ナードゥ州ティルネルヴェーリ地方からの移民の末裔)であるダニエルにあったと考えるのは難しくはないか。

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まあ、いろいろと文句を垂れたが、マラヤーラム映画史に興味があるものには大変に勉強になるコンテンツだし、例によって映像美は極上だし、決して駄作ではないので一度は見ても損はないと思う。

追記:なお、映画中にあるようにダニエルの「マラヤーラム映画の父」としての地位はその死後に公式なものとなったが、故意にか、うっかりとなのか、これが忘れ去られることも時々ある。2013年に開かれた第18回ケララ国際映画祭のパンフレットには「75歳になったマラヤーラム映画」という記載があったという。75歳というのは、初のトーキーであるBalan (Malayalam - 1938) の数え年である。カマル監督はこれに苦言を呈し、主催者代表であるプリヤン先生が謝罪・訂正するという一幕もあった。同映画祭には他にも色々と揉め事があって、主催団体である映画アカデミーの代表の地位からプリヤン先生が辞任するかもという憶測も流れている。

投稿者 Periplo : 19:42 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年03月22日

マラヤーラム映画新作上映1404

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1983 (Malayalam - 2014) Dir. Abrid Shine

原題:1983 നയന്റീന്‍ എയ്റ്റി ത്രീ

Cast:Nivin Pauly, Anoop Menon, Nikki Galrani, Joy Mathew, Kalabhavan Prajod, Jacob Gregory, Saiju Kurup, Neeraj Madhavan, Sanju, Srinda Ashab, Dinesh, Rajeev Pillai, Seema G Nair, Valsala Menon, Ambika Mohan, Shereej Basheer, Subbulaxmi, Bhagat Abrid, etc.

公式トレーラーhttp://youtu.be/bROIs4zMgjo
ソング全曲リスト動画http://www.youtube.com/watch?v=0qmLUrhwVxg&feature=share&list=PLG4Yw4HBlnx-Oe1PURptATWfZMqT5YO6v

■日時:2014年4月5日、午後3:00開映
■料金:大人1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約2時間18分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/02/1983-malayalam-2014.html

※上映に際しては途中10-20分程度のインターミッションあり。別料金でインド・スナックのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機も会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【テキトーな粗筋】
トリヴァンドラム近郊の眠ったような村、ブラフママンガラム。1983年のクリケット・ワールドカップでのインドチームの優勝は、ローティーンのラメーシャンに巨大なインパクトを与え、人生を変えることになった。同じ年頃の無数の少年たちと同じく、彼もまたクリケット選手となりナショナルチームで活躍すること(この時代、クリケットのプロリーグは存在していなかった)を熱望するようになったのだ。

村で機械修理工場を営む父(Joy Mathew)は、息子がエンジニアとなって身を立てることを望んでいた。しかし、クリケットに熱中するラメーシャンは、元々は優秀だったというのに、学業に身が入らなくなりSSLCの成績も思わしくなく終わり、ついには大学進学のためのPDCから振り落とされてしまい、父の町工場で働くことになる。

青年となったラメーシャン(Nivin Pauly)には、幼馴染みの恋人マンジュラ(Nikki Galrani)がいたが、結局彼女はエリートコースに乗れなかったラメーシャンを見限り、在米NRIと結婚してしまう。そして、仲の良い友人たちとの草クリケットでは無敵のエースのラメーシャンだったが、さらにその上を追求することの困難さを身をもって知ることになる。

周囲のアレンジでスシーラ(Srinda Ashab)と結婚したラメーシャンは、やがて一人息子カンナン(Bhagat Abrid)を授かる。ラメーシャンは成長していくカンナンにクリケッターとしての素質を見出し、有能なコーチと評判が高いヴィジャイ(Anoop Menon)に息子を託すことにする。

【見どころ予想と予習ポイント】
1月31日に現地で封切られ、重々しい大スターの出ていない作品ながら高評価を獲得した。これを書いている3月中旬現在も上映が続いており、「2014年最初のヒット作品」との太鼓判が押された。

いわゆる「スポコン」とは趣を異にするものであるようで、こちらのレビューによれば、「クリケットと友情と愛」の物語なんだそうだ。別のレビューによれば、「溢れるほどのユーモアと繊細な感情表現とをエレガントにまとめあげた、魅力的な一本」だという。そして、目を通した多くのレビューが言及していることだが、1983年から30年に渡って語られる田舎の平凡な男の半生記に、同時代のインドの歴史的な出来事が絶妙に織り込まれている、という。とにもかくにも、今回上映には英語字幕がつくというので、ホントに安堵。

なお、いち早く本作をバンガロールで鑑賞された川縁先生(本作レビューはこちら)によれば、クリケットのルールについての知識は必須ではないけれど、1983年以降のクリケットW杯でのインドチームのパフォーマンスについては押さえておくべし(特に2003年と2011年の大会)とのこと。また、1983年にインド・ナショナル・チームのキャプテンだったカピル・デーヴや、「クリケットの神様」サチン・テーンドゥルカル(2013年11月の引退スピーチの出だし部分は必読)についても知っておいたほうがよいとの助言をいただいている。

監督のアブリド・シャインは本作がデビュー。女性誌のファッション・カメラマンとしてスタートし、ラール・ジョース監督の助手をしていたこともあるという。音楽は、ここ2,3年でめきめきと頭角を現して売れっ子になっているゴーピ・スンダルUstad Hotel ではスマッシュヒットだったが、Ee Adutha Kalathu ではパクリが指摘されたりもして、なかなかに目が離せない。

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【主要登場人物】
以下は役名(カッコ内は俳優名)と簡単なプロフィール。イメージは必ずしも本作のスチルからではない。また、筆者自身も未見の状態で各種のレビューから拾った情報を元に書いているので正確ではないところがあるかもしれないがご容赦を。

1983NivinPauly.jpgラメーシャン(ニヴィン・ポーリ)
ニヴィン・ポーリについてはこの間ちょっと書いた。2012年の Thattathin Marayathu、2013年の Neram、2014年の本作と、大ヒットに恵まれている幸運な新進スター。正直なところ、これまでの出演作では演技じゃなく素のままという感じで、芝居に感心したことはないのだが、本作では主人公の30年に及ぶ半生の大部分(一部は子役)を演じ、非常に高く評価されている。

1983NikkiGalrani.jpgマンジュラ(ニッキ・ガルラーニ)
ラメーシャンの幼馴染みの恋人役を演じるのは、本作がデビューとなるニッキ・ガルラーニ。バンガロール出身で、カンナダ映画を中心に活躍する女優サンジャナー(本名アルチャナ・ガルラーニ)の妹。昨年8月のインタビューによれば、本作のクランク・アップを待たずして、既に多くのオファーが舞いこんでいたという。この先、南インド4言語での活躍が予想される。

1983SrindaAshab.jpgスシーラ(スリンダ・アシャーブ)
ラメーシャンの妻となる女性を演じる。22 Female Kottayam (Malayalam - 2012) の脇役でデビュー、本作に至るまでに6本に出演、いずれも主演ではないが、なかなかに癖のある脇役ぶりを見せてくれている。Artist (Malayalam - 2013) でのしっかりものの友人役などがこれまでのところの代表作か。もともとはモデルをやっており、さらにADとして映画製作現場も経験していたという。まもなくタミル映画にもデビューする予定。

1983JoyMathew.jpgラメーシャンの父(ジョーイ・マーテュ)
ジョーイ・マーテュはもともとは舞台で活躍していた俳優&脚本家。なぜか2013年から映画で引っ張りだこ(こちら参照)になって今日に至る。また、舞台劇の強い影響をうかがわせるニューウェーブ作品 Shutter (Malayalam - 2013) で監督としてもデビューし、高評価を得た。

1983SaijuKurup.jpgパッパン(サイジュ・クルップ)
ラメーシャンの友人で草クリケットチームのキャプテン。成人後はクウェートに出稼ぎに行くことになる。サイジュ・クルップは、名匠ハリハラン監督の Mayookham (Malayalam - 2005) での主役という恵まれたスタートを切ったにも拘わらず、ヒーローとしてサバイバルできず、翌年以降ほぼ脇役専門となった若手。 インパクトのある顔立ちを生かしきれない小さな役が多かったが、2012年の Trivandrum Lodge あたりから存在感を増してきている。Hotel California (Malayalam - 2013) での一人二役はちょっと面白かった。

1983AnoopMenon.jpgヴィジャイ(アヌープ・メーノーン)
ラメーシャンの息子カンナンのコーチとして登場する。アヌープ・メーノーンはテレビドラマ俳優からキャリアをスタートし、Pakal Nakshatrangal (Malayalam - 2008) で映画俳優&脚本家としてダブル・デビュー。以降は双方の分野で活躍している。顔はモーハンラールに似ている。ただし劣化コピーっぽい。脚本家としての知的な面が受け入れられているのだろうと長いこと信じていたが、アパレル店の広告塔としてアマラ・ポールと共にポーズしてたりして度肝抜かれた。

1983Gregory.jpgサチン(ジェイコブ・グレゴリー)
ムンバイからやってきた謎の選手として、短いながら美味しい場面があるらしい。ジェイコブ・グレゴリーは、なんでもマラヤーラム語では初めてのオンライン・シットコムだという Akkara Kazchakal のキャラクター、「グリグリ」(グレゴリーのなまったもの)として人気を獲得した。アレッピー生まれだが長らく米国ニュージャージー州に在住していたNRI。同作の映画版 Akkarakazhchakal: The Movie (USA - 2011) で映画デビュー。マラヤーラム映画としては ABCD (Malayalam - 2013) が初出演となる。なかなかに面白い顔で、見ていて飽きさせないものがある。こちらにインタビューあり。

投稿者 Periplo : 00:03 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年03月18日

PJ2013-01:Annayum Rasoolum

天星小輪@柯枝。このイメージの格好よさに痺れて点が甘くなってるのは自分でも分かってる。
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Annayum Rasoolum

Director:Rajeev Ravi
Cast:Fahad Faasil, Andrea Jeremiah, Sunny Wayne, Soubin Shahir, Ranjith, Shine Tom Chacko, Srinda Ashab, Aashiq Abu, Sija Rose, P Balachandran, M G Sasi, Joy Mathew, Vinayakan

原題:അന്നയും റസൂലും
タイトルの意味:Anna and Rasool
タイトルのゆれ:Annayum Rasulum

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間47分

ジャンル:ロマンス
キーワード:デビュー監督、コーチン、ヴァイピン島、フェリー、大型アパレル店、カーッカナード、ポンナーニ、マッタンチェーリ、カーニヴァル、ポルトガル風ギター

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/06/annayum-rasoolum-malayalam-2013.html

お勧め度:★★★★☆

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【寸評】
久々の2時間45分越えの大作、しかも『ロミオとジュリエット』を翻案した(ただし、本作のプロモーションではそれを明確に謳った文言はなかったように記憶しているが)直球の大ロマンスもの。運命の出会いから始まり、コミュニティの違いなどからくる周囲の大反対にあう、そして結末も大体見えている、それでもなかなかに惹きつけて逸らさないものがあった。それは、そう多くはない登場人物の造形が細やかでリアリティがあるのと、舞台となる幾つかのロケーションの詩情溢れる描写によるものと思える。

前者に関して言うと、たとえばファハド・ファーシルが演じるハイヤーのドライバーという職業だ。ここでの主人公ラスールの性格が、この種のドライバー(高等教育を受けていない若者にとってはかなり割のいい、ただし不安定な職業)の典型を活写していて感動した。怖い顔をして何やら深刻そうだが、実は何も考えていない。一転して笑うと人の良さが無防備なまでにむき出しになる。ヒロインに対するストーカー的行為が自分をどのように見せるかにも考えが及ばない自意識の欠如。基本的に純情で気のいい奴なのだが、そうした思慮のなさや不運が積み重なって、徐々に追い詰められていく様子に説得力がある。一方アーンドリヤー・ジェレマイヤー演じるヒロイン・アンナが、大型アパレル店の販売員というのも絶妙。アパレル販売員残酷物語としては Angaadi Theru (Tamil - 2010) Dir. Vasanthabalan という凄まじい作例があるが、ここで描かれる職場はもうちょっと穏健な雰囲気。とはいえ、家計の助けとなるささやかな給金以上の何かをヒロインに与えるものではなく、希望のないモノトーンな日々を送っている。それもあってか、ストーカーもどきとして登場したラスールを、最初こそ迷惑がるものの、結局は命がけで愛し抜くという選択をすることになる。こうした、特にヒロイックでもなく、お手本にしたいような優れた美点があるわけでもない平凡な市井人の恋愛を、観客が応援する気にさせるかどうかが、この映画の勝負の分かれ目だったと思うが、充分に成功している。

上にストーカーと書いたが、インドの恋愛ものにおけるストーカー的求愛行動には注釈が必要だ。欧米型のロマンス映画の常道が対話によって育まれる愛情であるのに対して、インド映画では一目惚れと付きまといというのが典型のひとつとしてある。普通に考えて女子はこれをやられたら気味悪いだろと思うのだが、映画を離れて現実の恋愛のありかたとしても稀ではないという証言もある。と同時に、そもそも自由恋愛というもの、すなわち学校や社会で偶然に巡り合った相手に恋愛感情をもつということ自体がふしだらであり、家やコミュニティの恥である(たとえば、自由恋愛で結ばれた者がいると、その兄弟姉妹が見合いでハンデを負うことになる)という通念も、特に中産階級以下のクラスで根強い。これを分かりやすく見せてくれたのが往年の名作 Aniathipravu (Malayalam - 1997) Dir. Fazil だったが、15年以上たった現在も、大きくは変わっていないようだ。本作ではカップルへの逆風を一層際立たせるためにムスリムとクリスチャンという宗教の違いが設定されているが、これは本質的なものではないし、製作者の意図したテーマはコミュナルな対立ではなかったものと思われる。

上に書いたロケーションの魅力についてだが、特筆すべきはコーチンのヴァイピン島の描写だろう。コーチンの西側に縦に27kmも延びる細長い島で、その南端はフォート・コーチンから指呼の距離、フェリーで10分足らずだが、観光客でにぎわうフォート・コーチンとは対照的に、眠ったような住宅街。ヒンドゥー、ムスリム、クリスチャンが混住しており、車も入れないような隘路がくねくねと続く様子が物語の舞台としてふさわしいように感じられた。一方で、主人公の家族が住むマラバールのポンナニは、ケララ・ムスリムの集住地域のひとつ。寂しげな漁村の風景が印象に残った。

何しろ長いので尻込みされる向きもあるかもしれないが、自信を持ってお勧めしたい一作。ニューウェーブの流行と相まって、年々ランタイムが短くなる傾向にあるマラヤーラム映画だが(統計はないが、体感としては平均値2時間10分程度ではないだろうか)、将来こういう作品が、その長さだけで劇場から閉め出しを食らったりすることにならないように祈りたい。

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投稿者 Periplo : 00:34 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2014年03月15日

PJ2013-00:Project 2013 前口上

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2013年3月にコーチン郊外にオープンした巨大ショッピングセンターLuluの中にあるPVRマルチプレックス。ケララでは初のPVRチェーンで9スクリーン、2192席を誇る。こちらの大まかな計算では年間300本の上映が可能という。ケララも本格的なシネコン時代を迎えることになるのか。


さて、恒例のシリーズをまたおっぱじめようと思う。

2013年はマラヤーラム映画にとってはかなり凄い年だった。何といっても年間製作本数(ストレートなマラヤーラム語映画)が158本だ。5年前の2008年に全点潰しなどと息巻いていた時の年間本数は63本。250%の成長率じゃ。作品一覧はウィキペディアのリストに拠っている。

製作本数の多い御三家であるテルグ映画の104本、ヒンディー映画の120本、タミル映画の149本をぶっちぎって堂々のインド第一位。

しかしもちろん、これは手放しでお祝いする性質の記録ではない。スクリーン数が激増した訳でもなければ、州外に販路が開けたわけでもないのに平均で月に13本強が公開されることになり、つまり誰にも見られることもなく無駄死にする作品が増えたということだ。そこそこ名の知られた俳優が出演しながら誰かが実見したという証言が見あたらない幻映画がここにまとめられているが、これなどは氷山の一角だろう。しかしそれでも、堰を切ったような制作意欲の発露というのが、2000年代のマラヤーラム映画を知るものにとっては感慨深いのだ。これだけの製作本数増を促したのは何と言ってもサテライトTV放映権料なのだという。DVD化権の方は大したことないらしい。インフレの進む現在でもマ映画のDVDは一枚100-130ルピー程度で、うまみがあるとは思えないし、この値段ですら出費を渋る消費者も少なくない。一般的に映画とは敵対するものと見なされているTVがこうして映画製作を後押ししているというのは不思議なものだ。

心理的なバックボーンは、ここ数年来のニューウェーブの流行。ともかく、脚本本位制を言い立てて、大スターを起用していなくともプロデューサーを説得できるようになった、というのは大きいようだ。個人的に調べてみたところ、全158本のうち、デビュー監督によるものは78本、つまり約半数ということになる。残りの半数中にも、デビューから2,3年の新人監督によるものが目立った。一方で、プリヤン先生をはじめとする昔日の巨匠や、ランジットなどを代表格とする働き盛りの実力派監督は、あまりパッとしなかった。つまり、監督主義で見るという戦術があまり有効ではなくなったということ。結局、贔屓の俳優(スターだけではなく)を見つけてそれを追いかけるという古典的な方法がストレスを少なくするだろう。

トレンド分析や目立った作品のリストとしては MovieOrange さんのFlashback 2013 - malayalam が、大変丁寧にまとめてくれていてとても参考になる。これに付けくわえるとしたら、ポスト・プロダクション諸施設がチェンナイからコーチンへ緩やかにシフトしているという The Hindu 記事 Mollywood comes home to Kochi ぐらいか。


しかしそれだけじゃつまんないので、ここでは下世話なレベルでの2013年注目の顔について簡単に紹介しとく。4人をピックアップした。

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■ファハド ”地獄を見たから今の俺がある” ファーシル
1982年生まれの32歳。以前のまとめで書いたプロフィールに訂正は特にない。経年変化として書いておくべきことは、2012年の4本から2013年の12本へという出演作の増加。マンムーティ6本、モーハンラール5本、プリトヴィラージ4本(うち1本はヒンディー語作品)といったところを引き離して、主演格俳優としてはトップに躍り出た(他のインドと比べれば既存スターのこの本数だって凄いのだけれど)。お蔵入りが日の目をみた旧作や、オムニバス中の短編なども混じるが、ならすと月に1本、こいつの新作が封切られたことになる。この年に封切られたとある作品のレビューを読んで、「ファハドの人気に寄り掛かっただけの安易さ」と責められているのを目にして驚いたものだ。つまり作品の市場価値を上げるためにどうしてもその顔が欲しい、っていうレベルのスターにまでなってるんだな。「脚本が主役」のニューウェーブ映画で頭角をあらわし、「ニューウェーブの顔」となったファハドがスターバリューをもつに至ったというのはなんとも感慨深い。当人はいたってクールに「やっと時代が俺様に追いついたのよ」などと嘯いているが、ともかくこの大車輪状態がいつまで続くのかを見守りたい。

■ニヴィン "てへぺろ顔がデフォルトなもんで" ポーリ
まあ、こいつを取り上げたのは来月上映の 1983 へのご祝儀ってのもあるんだけどね。1984年コーチン生まれの29歳。若者群像映画 Malarvaadi Arts Club (Malayalam - 2010) Dir. Vineeth Sreenivasan (以前にここで言及)でデビューした。同作のオーディションで主演に抜擢されるまではIT技術者で、特に演技者としての訓練は受けていなかったという。悪いが MAC はメインの5人の若者の顔の区別がつかんうちに終わった一本だったぜよ。その後は小さな役が何本か続いたが、やはりヴィニート・シュリーニヴァーサン監督による Thattathin Marayathu (Malayalam - 2012) が空前の大ヒットとなり上り調子となった。この TM のレビューでは「リアリティがあるといえば聞こえはいいが、悪役が似合いそうなニヤケ面のヒーロー」などと書いたが、要するにこのニヤケ面が役作りとは思えず、素人がカメラの前に立って照れ笑いしてるようにしか見えなかったのだ。悪役といっても学園ものの小ずるい奴という程度の意味だったが、当人のインタビューを読むと、本格的な極悪をやってみたいということを繰り返し言っていて、ちょっと意外。2013年は5本(うち1本はマラヤーラム&タミル語のバイリンガル)に出演した。

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■ナスリヤ・ナシーム
文句なしの2013年の台風の目。1994年生まれの19歳だっ!公式(?)ファンサイトはこちら。出演作こそ4本(うち2本がタミル映画、1本はマラヤーラム&タミル語のバイリンガル)だが、「googleで最も検索されたアイドル」的な騒がれ方をした例としてはマムタ・モーハンダース以来か。

1月封切りのMaad Dad (Malayalam - 2013) Dir. Revathy S Varmha でヒロイン・デビュー。本作のヒロインは元々アルチャナ・カヴィが予定されていたというし、作品全体としても華々しいところのない凡作だったが、ナスリヤに対する期待だけは沸騰寸前になっていたようだ。というのは、彼女がヒロイン・デビュー以前に少なくとも7年ほどの芸歴を持っており、それなりに知られた顔だったから。

子役としての映画デビュー作 Palunku (Malayalam - 2006) Dir. Blessy ではこんな感じ。続く Pramani (Malayalam - 2010) Dir. B Unnikrishnan ではこんな、同年の Oru Naal Varum (Malayalam - 2010) Dir. T K Rajeev Kumar ではこんなだった。いや、不覚、この3作全部見てるけど、子役ナスリヤはほとんど記憶に残ってなかった。

それからテレビ・タレントとしての顔もある。AsiaNet で放映されていた Munch Star Singer Junior の司会だ。これに携わっていた期間がどのくらいあったのかはよく分からないが、ともかく10代でリアリティー・ショーを仕切っていたというのだから、頭の回転も相当に早いに違いない。動画はいくらでも見つかるが、一例として2011年2月のものを挙げておく。

そして、2012年には非映画音楽ポップアルバム Yuvvh のプロモ用ミュージックビデオでニヴィン・ポーリと共に姿を見せ、これがまた馬鹿当たり。本稿を書いている時点で、YT上の動画へのアクセスは350万を超えている。

しかし一番びっくりしたのは、彼女が幼時からマーピラ・パーットゥの歌手もやっていた、ということ。マーピラ・パーットゥについては、ケララ・ムスリムについて以前書いた時にもちょっと触れたけど、ムスリムの間で現在も大変にポピュラーな歌謡の形式、まとまった説明がウィキペディアにある。TVで大人気の勝ち抜き喉自慢でもマーピラ・パーットゥはよく歌われているし、非ムスリムも含むプロの歌手によってアルバムも盛んに作られている。普通の日本人が聴くと、まあ大概は演歌を思い浮かべるだろう。こんな感じで歌ってたのだ。これ見てホントに考えが改まったよ。瑞々しい笑顔がキュートなハイティーンてだけじゃない、ド演歌で鍛えられてきた生え抜きの芸能人でもあるんだなと。

話題づくりは充分、いよいよ本格的にトップ女優の座に大手をかけるかと思われた今年2014年の1月に、ナスリヤはファハド・ファーシルとの熱愛宣言&婚約発表で世間を驚かせた。8月の挙式に向けて女優としての仕事を整理しているとも言われているが(結婚後の芸能生活継続の有無については何も発表されていない)、こういう芸歴を知ると、まあちょっとゆっくりしたくなったのかなとも思えてしまうのだ。

■ハニー・ローズ(ハンニ・ロース)
1989年生まれの24歳(とウィキペディアには書いてある)。手作り感溢れるレトロなオフィシャルサイトはこちら

Boyy Friennd (Malayalam - 2005) Dir. Vinayan のツイン・ヒロインの一人として眼鏡っ娘(+直毛)デビュー。しかし、業界の嫌われ者ヴィナヤン監督のもとで巣立った新人のジンクスとでも言おうか、その後のキャリアは実にぱっとしないもので、タミル、テルグ、カンナダに出かけていった(こちら参照)ものの、全く鳴かず飛ばずだった。この時期の出演作は見たいと思ってもディスクにもなっていないものが大半。

転機が訪れたのは Trivandrum Lodge (Malayalam - 2012) Dir. V K Prakash の眼鏡姐さん(+カーリーヘア)の演技によって。ここでのハニーがもうね、何というか…(絶句)。いや、見ての通り、目と目の間がちょっと離れてるし、弛みもあるし、腫れぼったいし、全体的にも繊細さを欠く大雑把な顔立ち、体の線ももっそりしていて、凄い美人ていう訳じゃないのよ。ただもう何とも言えずエロい。いたいけな青少年が目にしたら、そりゃもう何かの拍子にやらせてくれるかもしれないお姐さんと思っちまうことは間違いないわな。ご当人は、本当の自分は家庭的なタイプなのだと言っているけど(こちら参照)、やはりこれ以降の役にもかなり悩ましいイメージのものが続いたのは事実だ。その延長線上にマンムーティーの(一応)ヒロインを演じた Daivathinte Swantham Cleetus (Malayalam - 2013) Dir. Faisal Alleppy があった訳で、どんな役かはお楽しみということで書かないでおくが、タイプキャストも悪くないじゃんと思ったのだった。この作品を含め2013年には7本に出演、今年も引き続き不敵なエロさで青少年や中年を懊悩させてほしいもんである。

なお、タミル映画などでは一時期サウンダリヤの芸名だったことがあり、また Trivandrum Lodge の成功後、その役名からドワニを名乗っていたこともあるが、結局ハニーに戻したようだ。

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しかし、正味なところ、安定的にヒットを飛ばし続けたのは、この年もべったべた路線で6本に出演したディリープだという。ディリープを舐めちゃいかん。イメージは Nadodi MannanSound Thoma のもの。


来週あたりからゆるゆる始めて、少なくとも年内には完結させたいと思っている。のんびり行くよ。

投稿者 Periplo : 14:19 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年03月08日

PJ2012-36~53:贅沢な残り物

2012年回顧シリーズ、今回がホントの最終回。前回のお勧めの一本できれいに終えたい気持ちもあったけど、やはりモーハンラール、マンムーティの出演作には何らかの言及をしておきたいというのもあって、その他作品を3~5行のコメント付きで紹介することにした。残り物とはいえ、ブロックバスターや、フィルムフェア(サウス)賞を獲得した作品も含まれている。一気に18本。

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Ivan Megharoopan より。シュウェちゃんの看護婦さんてのは痺れるね。

NamukkuPaar.jpgNamukku Paarkkan...

Director:Aji John
Cast:Anoop Menon, Meghana Raj, Jayasurya, Devan, V K Sreeraman, Janardhanan, Tini Tom, Sudheesh, Ashokan, Kaviyoor Ponnamma, Geetha Vijayan, Nandu, Kalabhavan Shajon, Irshad, Sudheer Karamana, Mohanlal (voice)

原題:നമുക്ക് പാർക്കാൻ
タイトルの意味:For us to inhabit
タイトルのゆれ:Namukku Paarkkan, Namukku Parkkan

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間55分

ジャンル:ファミリー
キーワード:マイホーム建設、風水、獣医、汚職、花崗岩、耐える長兄、コーッタヤム

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/namukku-paarkkan-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
憧れのマイホームを建てるために、田舎の獣医がくぐり抜けなければならなかった試練の数々が教訓的に語られる。似たようなテーマの作品として Oru Naal Varun (Malayalam - 2010) Dir. T K Rajeev Kumar というのがあったが、コメディタッチの同作に対して、本作はかなり陰鬱な仕上がり。地味なキャストと相まって、どんよりとした気分にさせられる。他のカーストの墓地だった土地を買うとか、建材の石を安く入手するために施主自身が隣接州に出かけて行くとか、涙ぐましい。


no66madhura.jpgNo.66 Madura Bus

Director:M N Nishad
Cast:Pasupathy, Swetha Menon, Padmapriya, Mallika, Jagathy Sreekumar, Sudheer Karamana, Sasi Kalinga, Thilakan, Pala Charlie, Anil Mural, Rekha, Makarand Deshpande, Kollam Ajith, Chempil Asokan, Vijay Babu, Jagadeesh, Jayalalitha, Mahima, Seema G Nair

原題:No. 66 മധുര ബസ്സ്
タイトルのゆれ:No.66 Madhura Bus

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間52分

ジャンル:リベンジ・アクション
キーワード:マドゥライ、コッラム、ペンテコステ派、ガンジャ栽培、Pathimoonnu Kannara Palam

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/no-66-madhura-bus-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
ケララ州南部のコッラム(クイロン)を朝に発ち、タミル・ナードゥ州マドゥライに向かうバス。そこに乗り込んだ男の復讐に向けた旅の一部始終。タミル俳優パシュパティを主役に、マラーティー&ヒンディー俳優マカランド・デーシュパーンデーを悪役とした異色作。ジャヤ・ラリタの演じるマドゥライの女衒が印象に残る。


TKTC.jpgThe King & The Commissioner

Director:Shaji Kailas
Cast:Mammootty, Suresh Gopi, Sai Kumar, Rajiv Krishna, Janardhanan, Samvritha Sunil, KPAC Lalitha, Devan, Jayan Cherthala, Vijay Menon, Nedumudi Venu, Biju Pappan, P Sreekumar, Mohan Agashe, Baiju Ezhupunna, Kunchan, T P Madhavan, Fathima Babu, Kishore, Neha Mishra, Becky Thomas, Reena Bashir, Fathima Babu, Kishore, Sanjjanaa (Archana Galrani), Srilanjani, Neha Mishra, Augustine, Sudheer Karamana, Spadikam George, Adithya Menon, Risa Bawa

原題:ദി കിംഗ് & ദി കമ്മീഷണർ
タイトルのゆれ:TKTC

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約3時間10分

ジャンル:愛国アクション・スリラー
キーワード:スリーピング・セル、要人暗殺計画、bombastic dialogues

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/the-king-commissioner-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
どうだ参ったか!の3時間10分。マンムーティのヒット作 The King (Malayalam - 1995) とスレーシュ・ゴーピのヒット作 Commissioner (Malayalam - 1994) のそれぞれの当たり役キャラを一本の映画の中で復活させようという凄い試み。過去二作品の監督も本作と同じシャージ・カイラース。しかし製作はかなり手間取り、その間も両スターの不仲がまことしやかに伝えられもした。劇中でもこの二人はあまり仲が良くないという設定。デリーの中央政界の要職はマラヤーリーで占められているとか、拳銃を構えながらも一人一人順番に発砲するように訓練されたグーンダとか、ストーリーを分かりやすくするための工夫が泣ける。主要キャラの登場の後にはたっぷりとクラッカー&紙吹雪タイムが設定されてる親切設計、こういう映画はホントに珍しくなったのだ。TVショーの司会などで忙しくなってしまったスレーシュ・ゴーピのこの年唯一の公開作品。


Thalsamayam.jpgThalsamayam Oru Penkutty

Director:T K Rajeev Kumar
Cast:Nithya Menon, Unni Mukundan, Swetha Menon, Sruthi Dilep, Manianpillai Raju, KPAC Lalitha, Suraj Venjaramoodu, Siddique, Baburaj, Tini Tom, Devi Chandana, Binu Adimali, Sruthi Menon, Kottayam Nazeer, Kalabhavan Navas, Vinayakan, Kochu Preman, Susheelan, Baiju, Chembil Asokan, Azeez, Satheesh, Subbulakshmi, Dinesh Panicker

原題: തല്‍സമയം ഒരു പെണ്‍കുട്ടി
タイトルの意味:A girl in a live telecast
タイトルのゆれ:Talsamayam Oru Penkutty

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間51分

ジャンル:サタイア+ラブコメ
キーワード:リアリティー・ショー、痴漢、不倫暴露、アイドル

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/thalsamayam-oru-penkutty-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
リアリティーTVと映画とは基本的に相性が悪いはずだが、それでも何かとこれを扱った作品は作られ続けている。田舎の素朴な女の子が、リアリティー・ショーの参加者として選ばれ、その生活の一部始終がリアルタイムでTVで報じられるようになった末に見たものは…という意欲的なストーリーライン。抜擢されたヒロインが、天然が入ってる面白い被写体から、やがてレポーター的な役割を担うようになり、最後にはカメラとのある種の共犯関係に至るというのは、メディア批評として鋭いと思ったが、落としどころに困って王子様を登場させたのには首を捻らざるを得なかった。


Jawan.jpgJawan of Vellimala

Director:Anoop Kannan
Cast:Mammootty, Asif Ali, Sreenivasan, Mamta Mohandas, Leona Lishoy, Baburaj, Joji, Sunil Sukhadha, Joju George, Kottayam Nazeer, Niyas Backer, Sadiq, Ranjith, Devan

原題:ജവാൻ ഓഫ് വെള്ളിമല
タイトルの意味:Soldier of Vellimala ※ジャワーンとはインド国軍の最低ランクの兵卒を指す言葉
タイトルのゆれ:Jawaan of Vellimala

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間7分

ジャンル:サスペンス
キーワード:デビュー監督、ダム、退役軍人、自殺の名所、見鬼、シャルル・ボネ症候群

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/jawan-of-vellimala-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
興味深いキャスト、印象的なポスター、Classmates のジェームス・アルバートの脚本などなど、期待の大きかった一作だが、結局何が言いたいのか良く分からなかった。カールギル戦闘で負傷して退役した元兵卒が、ダムの管理人として働くなかで遭遇する不思議な出来事と過去の因縁。コミカルに始まった物語が、やがてサスペンスとなり、最後にはヒロイズムの昇華となる。当然ながら、前年末からケララで大騒ぎになっていたムッラペリヤール・ダムの問題が見え隠れするのだが、残念ながらシャキッとした風刺にはならなかったようだ。


Poppins.jpgPoppins

Director:V K Prakash
Cast:Indrajith, Padmapriya, Shankar Ramakrishnan, Mythiri, Kochu Preman, Indrans, Priyanandanan, Saiju Kurup, Sathyan Anthikkad, Siddique, Anne Augustine, Jayasurya, Meghana Raj, Kunchacko Boban, Nithya Menon, P Balachandran, Nandhu, Jayaraj Warrier, P Sebastian, Jayaprakash Kuloor, N G Roshan, Haneesh, Master Dhanajay, Master Abhinav, Sreelatha Namboodiri, Moly Kannamall, Maya Viswanath, Parvathi Nair, Baby Nayantara

原題:പോപ്പിൻസ്
タイトルの意味:小一時間を使って調べたが結局良く分からなかった。おそらくはインドの製菓メーカーによるキャンディーの名前をもらったものと思われる。

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間43分

ジャンル:オムニバス
キーワード:夫婦関係、寓話、パーヤーサム

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/poppins-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
正直言って頭抱えた一本。いまやニューウェーブを代表する一人となったVKプラカーシュによるオムニバス。様々な男女関係を切り取った5つの短編からなるアート系作品。同じ監督による Aidu Onda Aidu (Kannada - 2010) のリメイクだが、カンナダ版に関しての情報は激レアで、豪州在住者によるこのレビューぐらい。ジャヤプラカーシュ・クルールによるマラヤーラム語の戯曲 '8 Natakangal'の翻案だという。寓話風のものから現代の都市生活のスケッチまで、いずれもそれらしい作りになっているのだが、どれもこれも手ごたえがない。見終わって一番強烈に脳裏に刻まれているのがクンチャーコー君のこの髪型だってのはどうも。


AyaalumNjanum.jpgAyalum Njanum Thammil

Director:Lal Jose
Cast:Prithviraj, Prathap Pothen, Narain, Samvritha Sunil, Rima Kallingal, Remya Nambeesan, Kalabhavan Mani, Salim Kumar, Swasika, Prem Prakash, Ambika Mohan, Anil Murali, Ramu, Sidharth Siva, Sukumari, Hemanth Menon, Balachandran Chullikkadu, Sreenath Bhasi, T P Madhavan, Majeed

原題:അയാളും ഞാനും തമ്മിൽ
タイトルの意味:Between him & me
タイトルのゆれ:Ayalum Njanum Tammil

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間13分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:医師の倫理、汚職警官、左翼組合、異宗教間恋愛、ムンナール
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/05/ayalum-njanum-thammil-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
大変に評価の高かった一作で、2012年のベスト5に入れている評者も目立った。緊急を要する手術を、未成年患者の両親の承諾なしに行った結果、最善を尽くしたにも拘わらず患者が死亡してしまい、主人公である執刀医が窮地に立たされる、というのが出だし。これを見て、医療と、医療ミスと、それに対する社会の向き合い方をテーマにした高度に現代的な物語を期待したのだが、途中から回想シーンに入り、主人公の医師としての成長物語に変じる。立派なお話ではあるのだが、若干白ける。我が子が急患時に適切な手当てを受けられなかったとして、カラーバワン・マニの演じる警官が社会活動家を巻き込んで抗議行動を繰り広げるというエピソードは、なかなかにヒリヒリとするもので印象に残った。


Bavuttiyude.jpgBavuttiyude Namathil

Director:G S Vijayan
Cast:Mammootty, Kavya Madhavan, Shankar Ramakrishnan, Kottayam Nazeer, Rima Kallingal, Vineeth, Kaniha, Sudheesh, Harisree Ashokan, Mohan Jose, Augustine, Sudheer Karamana, Lena

原題:ബാവുട്ടിയുടെ നാമത്തിൽ
タイトルの意味:In the name of Bavutty
タイトルのゆれ:Bavuthiyude Naamathil

DVDの版元:Satyam Audios
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間2分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:マーピラ、孤児、マラップラム、コミュニスト、大富豪、元カレ出現

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/bavuttiyude-namathil-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
近年のマンムーティ主演作の定番となった、「無学だが、インテリに欠けている人生の智恵をもつ、お人よしの中年男」のバリエーション。ここでは、マラバールの大金持ちの家に住み込む運転手兼下男、お助けマンにしてアルジュナの御者クリシュナ、つまりは神さまでもあるんじゃないか?という設定。牛肉を(酒のつまみに)食するヒンドゥー教徒とか、結婚外の色恋に対する(一定の保留つきながら)不思議な寛容とか、現代的なモチーフが興味深い。主人公と共に働くムスリムの使用人を演じるカニハーの繋がった(ラミャ・ナンビーシャンのバージョンも見つかっているが、本編中には登場しない)がなんか楽しい。


Theevram.jpgTheevram

Director:Roopesh Peethambaran
Cast:Dulquer Salmaan, Shikha Nair, Sreenivasan, Vishnu Raghav, Riya Saira, Vinay Forrt, Anu Mohan, Janardhanan, P Sreekumar, Pala Charlie, Baby Anjela, Baby Andrea, Unni Mukundan, Aashiq Abu

原題:തീവ്രം
タイトルの意味:Extreme
タイトルのゆれ:Thivram

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間6分

ジャンル:クライム
キーワード:シリアル・キラー、復讐、地下室、拷問、チャーラクディ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/07/theevram-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
ドゥルカル・サルマーンの注目の三作目だったが、これはちょっとハードルを上げ過ぎたようでずっこけた。明らかに韓国映画から影響を受けたと思われる猟奇風味リベンジ・スリラー。自宅で子供たちにピアノの手ほどきをする物静かな音楽教師が、地下室では一変して…という設定だが、ド君の演技には説得力がなかった。シュリーニヴァーサン演じるへっぽこ捜査官が、血を見るとぶっ倒れそうになるというギミックも効果的ではなかった。残虐な殺人を犯しても、初犯の場合は死刑になるのはレアケースである、という現状(本当にそうなの?)に対して異議の申し立てをしたいという意図は分かった。


Casanovva.jpg
Casanovva のふざけたラルさんポスター。


MyBoss.jpgMy Boss

Director:Jithu Joseph
Cast:Dileep, Mamta Mohandas, Mukesh, Ganesh Kumar, Sai Kumar, Seetha, Valsala Menon, Subbalaxmi, Abu Salim, Rekha, Kalabhavan Shajon, Anand, Jeevan, Dharmajan, Sonia

原題:My ബോസ്

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間39分

ジャンル:コメディ
キーワード:ムンバイ、IT企業、女性上司、チェールッタラ、バックウォーター、クッタナード

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/07/my-boss-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】ムンバイにあるIT企業に就職した主人公が、切れ者の女性ボス(マラヤーリーだが、オーストラリア国籍を持っており、白人の企業社会のアグレッシブさを体得している)の下でしごかれる、という出だし。ちょっと Aadavari Matalaku Arthale Verule
(Telugu - 2007) Dir. Sri Raghava を思わせるところがあるが、AMAVがほんわかしたラブコメに落ち着くのとは対照的に、本作ではかなりどぎつく「じゃじゃ馬ならし」が追及される。頓智力で世の中を泳ぎ回る主人公に途中までは共感できるのだが、ヒーロー&ヒロインのそれぞれに科される「諌め」のアンバランスさ(ヒロインにだけ厳しい)がだんだんと辛くなってくる。しかし、このヒロインのキャラクターは現実の自分自身に似ている、とのマムタの証言もあって興味深い。ハリウッド映画のパクリだとして(こちら参照)非難されたが、大ヒットとなった。Software Ganda のタイトルでカンナダ・リメイクが進行中。


Ithiramathiram.jpgIthramaathram

Director:K Gopinathan
Cast:Swetha Menon, Malavika Nair, Biju Menon, Nedumudi Venu, Anoop Chandran, KPAC Lalitha, Vinu Joseph, V K Sreeraman, Tashi Bharadwaj, Siddique, Prakash Bale, Seetha, Babitha, Ben Bal, Rajeev, Manu, Ajitha Nambiar, Goutham

原題:ഇത്ര മാത്രം
タイトルの意味:So much as this
タイトルのゆれ:Ithramathram, Ithra Maathram

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間34分

ジャンル:アート
キーワード:デビュー監督、予期せぬ死、ワヤナード、多面性、女ざかり

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/07/ithramaathram-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
冒頭では、夜叉とユディシティラとの問答がマハーバーラタから引用される。「この世でもっとも驚異的なこととは何か?」「何千もの者たちが日々死んで行くというのに、人々が自分だけは死なないと信じるかのごとく何事もなく営みを続ける。これ以上の驚異があろうか?」カッコいい、芸術映画はこうじゃなくっちゃ!ワヤナードの田舎の村、38歳で突然逝ってしまった一人の主婦の葬儀に訪れた人々が、それぞれの思い出を想起するという形式の、『羅生門』的な一本。死が予測不可能であることが生を豊かにする、という観念が美しく語られる。アート映画なのでシュウェちゃんのエッチさも5割増し。


kasanova.jpgCasanovva

Director:Rosshan Andrrews
Cast:Mohanlal, Sriya Saran, Laxmi Rai, Jagathy Sreekumar, Riyaz Khan, Roma Asrani, Shankar, Lalu Alex, Vikramjeet Virk, Abhishek Vinod, Shahid Shamzy, Arjun Nandakumar, Ambika Mohan

原題:Confident കാസനോവ
タイトルのゆれ:Casanova, Confident Casanovva

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間44分

ジャンル:ゆる系スリラー
キーワード:プレイボーイ、ドバイ、強盗、リアリティー・ショー、リベンジ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/07/casanovva-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
2012年のモーハンラール出演作全5本の中で最高に「やらかしちまったな」感のある一本。Udayananu Tharam (Malayalam - 2005) 以降、本網站が注目している寡作なローシャン・アンドリュースの第4作目。大規模なドゥバイ・ロケ、3人のヒロイン格女優起用、二時間半越えのランタイムと、バブリー感が満々だが、貧乏監督がいきなり潤沢な資金を与えられて舞いあがっちゃった悲しい作例となった。欧州・中東を股にかけて遊びまくるジェットセット(死語)の色事師(死語)というラルさんのキャラ設定も、半端にファミリー観客を意識したのか、腰が引けていて全く生きず。第一ヒロインとしてシュレーヤー・サランが出てきてロマンスが展開される部分だけは、さすがに華やぎがあった。ラストの日本語がなんともいえん。


Shikkari.jpgShikkari

Director:Abhaya Simha
Cast:Mammootty, Aditya, Poonam Bajwa, Suresh Krishna, Tini Tom, Innocent, Mohan, Francis Mathew, Sihi Kahi Chandru, Achyutha Kumar, Ashawath Ninasam, Sarath Lohitashwa, Satish Ninasam, Naveen D Padil, Chandrahas Ullal, Dinesh Mangalore

原題:ശിക്കാരി (Malayalam)、ಶಿಕಾರಿ (Kannada)
タイトルの意味:Hunter
タイトルのゆれ:Shikari, Shikaari
※ちなみに過去に紹介したことのある Shikkar (Malayalam - 2008) Dir. M Padmakumar と実質的に同じタイトルだが、カンナダ版に引きずられる形でこれでいくことになったのだろう。

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間5分

ジャンル:スリラー
キーワード:1945年、サウス・カナラ、ワヤナード、コーンカン地方からの移住、フリーダム・ファイター、文芸作品映画化

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/08/shikkari-kannadamalayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
マンムーティの初のカンナダ映画として製作中からかなり話題になっていた。筆者が見たのはマラヤーラム版のみ。マラヤーラム版の方が一足早く封切りとなったが、内容を見てみれば、本作が「本籍カンナダ」であることはほぼ間違いない(一部のキャストが差し替えられているという情報もあるが、カンナダ版を見ることができないので未確認)。冒頭でゲストのアーディティヤがすかして登場し、映画に関する哲学的な勿体を披露する、意味不明なソングシーンを見ただけでもそれは明らか(俺がマラヤーラム版のプロデューサーだったら、情け容赦なくこれはカットするね)。余談だが、このアーディティヤはデビュー作 Love / Yei! Taxi (Kannada/Malayalam - 2004/2007) Dir. S V Rajendra Singh Babu ではゲストにモーハンラールを迎えた経歴もあり、何かマ映画界と因縁があるのかと思うのだが不明。話を戻すと、興行的にはどちらの州でも惨敗したらしい。面白いのは両州の批評家によるレビューの明暗。マラヤーラムの方では、アマチュア、生煮えetc.とこき下ろされているのに、カンナダでは(若干の保留があるものの)結構誉められてるんだよね。マルウッドとサンダルウッドの感性の違いがはっきりと出た、この読み比べは大変に面白かった。批評を読むのが面白いから観るべしという変なお勧め。


IvanMegha.jpgIvan Megharoopan

Director:P Balachandran
Cast:Prakash Bare, Padmapriya, Shweta Menon, Remya Nambeesan, Jagathy Sreekumar, Thampi Antony, V K Sreeraman, Margi Sathi, Murugan, Anu Mol, Chembil Asokan, Kannur Sreelatha, Bhanumathi, Sudarshan Annur, Vijayakumar Prabhakaran, Gopan Karunagappalli, Jayapriya, Ambika Mohan, Asha, Sunitha Nedungadi, Gopu Keshav, Surabhi, M R Rajan, Manojkumar IOTA, Sajitha Madathil, Shaji Surendranath, Chandramohan Kozhikode, Vijayan Peringode, Saji Sopanam, Manu Jose, Kalamandalam Prabhakaran

原題: ഇവൻ മേഘരൂപൻ
タイトルの意味:Behold, a Cloud-like Man!
タイトルのゆれ:Ivan Megharupan, Songlines of a Poet(サブタイトル)

DVDの版元:Highness
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間50分

ジャンル:アート
キーワード:デビュー監督、詩人、クリシュナーッタム、影絵芝居、放浪

オフィシャルサイト:http://www.megharoopan.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/09/ivan-megharoopan-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
どこの若造が作った映画なのかと調べてみれば、ここ2,3年で一気に出演が増えた脇役俳優Pバーラチャンドランの監督デビュー作なのだった。いつも村のトディ屋でにゃあにゃあ言ってる親爺たちの一人がこんなアートなことを考えてるとは思いもよらなかった。なんたって「恋多き詩人の彷徨」だ、こっ恥ずかしいったらないじゃないか。アート映画とはいえ女優陣があまりにも魅力的なので楽しみにしていたのだが、単なる健忘症のスケベ中年の色恋遍歴(腹上死であがり)としか思えず、羨ましい…じゃなかった、詩心てものは全く感じられなかったなあ。話題作りのために本編とは無関係のMTVを撮るとか、あんまし感心しない。


Face2Face.jpgFACE2FACE

Director:V M Vinu
Cast:Mammootty, Siddique, Kalabhavan Mani, Vijaya Raghavan, Vineeth Kumar, Abu Salim, Nishant Sagar, Ragini Dwivedi, Roma Aslani, Mamukkoya, Guruvayoor Sivaji, Kunchan, Rajesh Hebbar, Reena Basheer, Shan A Sameed, Mahesh, Amritha, Gayathri

原題:ഫെയ്സ് 2 ഫെയ്സ്
タイトルのゆれ:FACE 2 FACE, Face2Face

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間4分

ジャンル:スリラー
キーワード:無軌道警官、サスペンション、償い、猟奇殺人、Facebook、コーチン

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/03/face2face-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】スリラーとしては脇が甘過ぎて全く評価できず。マンムーティ主演作について回るソングシーン問題だが、今回は金持ちのボンボンからなるバンドを登場させて屋外ギグを展開するという方式で乗りきった。そのうちの一曲はなんとアーンドラ・プラデーシュ州のヴァイザーグでロケされている。ストーリー上の必然があってのものではなく、いわゆる「ワープ」のシーンである。他州映画が、ストーリーと無関係にヴァイザーグを撮影地に選ぶというのは史上初じゃないだろか。モッズもどきのファッションに身を固めたケララの餓鬼どもがNTR像の前で踊るというのは、何とも言えない奇観であった。


PuthiyaTheeran.jpgPuthiya Theerangal

Director:Sathyan Anthikkad
Cast:Nedumudi Venu, Nivin Pauly, Namitha Pramod, Innocent, Mallika, Siddique, Molly Kannamaly

原題:പുതിയ തീരങ്ങള്‍
タイトルの意味:New Shores
タイトルのゆれ:Pudhiya Thirangal, Puthiya Theerankal

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間7分

ジャンル:漁村人情
キーワード:不思議老人、漁師、アレッピー、トラウマ、性犯罪

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/03/puthiya-theerangal-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
Traffic (Malayalam - 2011) Dir. Rajesh Pillai で脇役として出てきて大変に可愛いらしかったナミタ・プラモードのヒロイン・デビュー作とのことで期待したのだが、「若いのに似合わず情に厚い、可愛い海の女」というキャラ造形に無理がありちょっと可哀そうだった。タイトルは「新しい岸辺」だが、どこが新しいんじゃい!と非難轟々、興行的にもイマイチに終わった。だがね、サティヤン・アンティッカードが何か新機軸を始めてイイことがあるかね?と逆に問いたい。ここのところしばらく途絶えていたように思われる伝統的設定「漁師もの」を復活させて、ほのぼのドラマにしたかったというのは良く分かる。Chemmeen (Malayalam - 1965) Dir. Ramu Kariat からいただいてきたコスプレもあり。


Cobra.jpgCobra

Director:Lal
Cast:Mammootty, Lal, Lalu Alex, Padmapriya, Kaniha, Salim Kumar, Manianpillai Raju, Siddique, Ramu, Sreejith Ravi, Babu Antony, Jagathy Sreekumar, Vijay Menon, Kunchan, Indrans, Pala Charlie, Radhika, Leena Maria Paul

原題:കോബ്ര

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間22分

ジャンル:コメディ
キーワード:双子、赤子取り違え、スポコン、格闘技、色黒コンプレックス、ラール・アレックスの腕毛

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/03/cobra-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
Ozhimuri のレビューでは、性格俳優としてのラールについて最大限の賛辞を送ったが、監督としてのラールはどうやらもう賞味期限を過ぎてしまったようなのだった。メガスター・マンムーティをフィーチャーした、ヴィシュ・シーズン封切りの難しいこと言わないお祭り映画だけど、なにもかもがどんよりと生温くて笑えない。1990年代あたりからBサーキット向けに作られるようになった、いわゆる「クンフー映画」(ただし主にタミル、テルグ、ヒンディーのもの、マラヤーラム映画での作例を筆者は知らない)の要素を取り込もうとした点は興味深い。


Karmayodha.jpgKarmayodha

Director:Major Ravi
Cast:Mohanlal, Murali Sharma, Bineesh Kodiyeri, Basil, Badri, Sai Kumar, Mukesh, Asha Sarath, Sukumari, Aishwarya Devan, Sona Heiden, Malavya, Vani, Sanjana, Devika, Thomas Pappan, Rajiv Pillai, Kannan Pattambi, Vishnu Hariharan, Shalin, Riyaz Khan, Sudheer Karamana, Anil Murali, Santosh Sleeba, Janardhanan, Piyush Vijayan, Lakshmi Menon, Sasi Kalinga, Vinita Menon, Nandhu, Majeed

原題:കർമ്മയോദ്ധാ
タイトルの意味:Warrior of Dharma

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間2分

ジャンル:クライム・アクション
キーワード:エンカウンター・スペシャリスト、ムンバイ、コーヴァラム、少女誘拐、娼婦輸出、葉巻

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/karmayodha-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
ミリタリー監督メイジャー・ラヴィが初めて軍隊ものを離れて撮ったクライム・アクション。しかし相変わらず、「一般人(および無能な上層部)はオフィサー(この場合は警察官)の足手まといになることばかりしくさって、そのくせ感謝の気持ちがないんじゃ」という意識がそこここに透けて見える。今回の敵は、ティーンエイジの少女を誘拐して売春婦として国内外に売り捌く犯罪組織。11月末の公開で、その後程なくして全インドを揺るがしたニルバヤー事件が起き、時宜に適ったテーマ立てとしてもてはやされてもよさそうなものだったが、そうはならなかった。若い世代の携帯電話への熱中が犯罪の温床として槍玉に挙げられ、共働きの母親の多忙が誘拐の呼び水になったかのようなエピソードが混じり、完全なる母性の象徴としてお祖母ちゃんが礼賛され、どちらかといえばニルバヤー事件で炙り出されボコボコに批判された「女子に隙があったんじゃ論者」のスタンスに近いものであることが明らかになってしまった。悪役に変態性と復讐動機をあてがったことにも疑問。ハードボイルドでハードコアなラルさんはカッコいい。


Bavuttiyude Namathil photo P1120271_zps0ffb7fd1.jpg
Bavuttiyude Namathil の上映館の様子。

投稿者 Periplo : 01:14 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年03月02日

PJ2012-35:Manjadikuru

Manjadikuru1.jpg

Director:Anjali Menon
Cast:Thilakan, Rahman, Murali, Jagathy Sreekumar, Sagar Shiyaz, Harishanth, Kaviyoor Ponnamma, Urvasi, Bindu Panickar, Praveena, Sindhu Menon, Sridevika, Thrissur Chandran, Firoz Mohan, Julia George, Kannan Pattambi, Poojapura Ravi, Venu Machad, Sreekumar, Prithviraj, Padmapriya
Children Cast:Sidharth, Vyjayanthi, Rijosh, Arathi Sasikumar

原題:മഞ്ചാടിക്കുരു
タイトルの意味:インド原産のナンバンアカアズキの実(こちら参照)。西洋の四葉のクローバーのように縁起の良いものと見なされている。ケララではクリシュナ寺院に奉納されることが多い。グルヴァユール寺院にこの実を奉納した山岳地帯の女性信徒の伝説が有名。グルヴァユール寺院に大いに関係のあるこの映画にも、マンジャーディクルが印象的に使われるシーンがあった。
タイトルのゆれ:Lucky Red Seeds(英語題名)

DVDの版元:Satyam Audios
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間7分

ジャンル:アートなメロドラマ
キーワード:子供、タラワード、大家族、骨肉の争い、湾岸NRI、児童労働、階級格差、トリシュール地方、酷暑期

公式サイト:http://www.manjadikuru.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/08/manjadikuru-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★★

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【寸評】
舞台は今から約20年前のケララ中部。酷暑期。ドゥバイで生まれ育った10歳のヴィッキ(Sidharth)は両親に連れられて母の故郷であるトリシュールの田舎の村にやってくる。毎年一回の定期的な帰省とは異なり、今回は祖父アップクッタン・ナーイル(Thilakan)の死去を受けてのものだった。大邸宅カウストゥバムには、祖母デーヴァヤーニ(Kaviyoor Ponnamma)と大叔父ヴァースデーヴァン(Thrissur Chandran)が住み、敷地内にはオジのラグ(Rahman)一家が小さな離れを建てて住んでいる。葬儀のために各地に散らばるその他の子供たちもやってくる。長女のアンム(Bindu Panicker)はデリーから、次女でヴィッキの母であるスジャータ(Urvasi)はドゥバイから、三女のシーラ(Praveena)はマドラスから、それぞれ配偶者・子供と共に、四女のスダーマニ(Sindhu Menon)は身重でありながら単身でアメリカから到着する。極左運動に身を投じるために家出した長男のムラリ(Murali)までもが10数年ぶりに姿を現し、2男4女全員が揃うことになった。

ヴィッキはオジのラグの二人の子供、カンナン(Rijosh)とマニクッティ(Arathi Sasikumar)とすぐに打ち解けて一緒に遊びまわるようになる。屋敷にはもう一人の子供がいた。タミル・ナードゥ州シヴァカーシからやってきて女中として働くロージャー(Vyjayanthi)だ。12歳の彼女は家の人々からは名前で呼ばれることもなく、何かにつけては容赦のない罵声を浴びせられ、それでも懸命に働いている。ヴィッキたち3人はロージャーの置かれた状況を次第に理解し、彼女を何とか助けようと思うようになる。

故人の子供たちを中心とした一族は、葬儀の後も16日間邸宅に滞在を続ける。デーヴァヤーニの意思で、16日後にアップクッタンの遺言が読み上げられることになったからだ。もともとあまり仲の良くない兄弟姉妹は、小競り合いを繰り返しながら戦々恐々としてその時を待つ。

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オムニバス映画 Kerala Cafe (Malayalam - 2009) 中のHappy Journey という一編を監督し、批評家・映画ファンを唸らせたアンジャリ・メーノーンによる待望の長編第一作。2008年には撮了していたが、プロデュースの部分に何やら問題があり、公開が引き延ばされた。2009年に没したムラリが登場しているのもそのため。2008年からやや短いビデオ版が各地の映画祭で上映され、多少の評判は聞こえてきただけに、それらにアクセスできないファンにとっては幻のカルト映画と化していた。2012年5月にやっと一般公開に漕ぎつけ、アンジャリが脚本を担当した Ustad Hotel とほぼ同時期に劇場に掛かることになった。

いわゆる「子供の澄んだ目に映った~」というタイプの設定で、それは通常ならば心の濁った筆者がもっとも忌避するものなのだけれども、本作にはやられた、参りましたと言うほかない。同時に、目の澄んだ子供が「戦争なんてなくなればいいのに」とか言うのに喝采するような観客にも受けるだろう。つまり、大変に高いポテンシャルをもったアート映画だということだ。

筆者のような腐った奴がなぜ感銘を受けたかというと、それは、子供の目から見た大人世界の批判という面を当然持ちながらも、個々の大人気ない大人たちの「大人の事情」ってやつが幅広い諧調で描かれているからだと思う。寄る辺のない女中っ子ロージャーに対しての無情な仕打ちと共に、各人の抱える過去の傷や、現在の問題、相互の憎しみ、労わり合いといったものが、2時間超の中にぎっしりと詰まって、主人公の独白にあるように「白と黒の間には無限の色が存在する」ことが示されるのだ。

そして無垢で無謬の子供たちも、いつまでもそのままでいられる訳ではない。やがて彼らも、自分の意思による行為の結果起こってしまった思わしくない事々に直面しなければならなくなる。責任を取りたいと思ってもそのすべもなく、非難の眼差しの前にただ項垂れるしかない事態に追い込まれる。子供時代の終わりが、雨季の先触れの驟雨によって区切られる。

メインのテーマと共に、現地の観客に強くアピールしたのは、圧倒するノスタルジー。携帯電話も、インターネットも、それどころか田舎にはエアコンすらなかった時代、子供にとってチョコレートを包む銀紙やマンジャーディクルが宝物となりえた時代の細かな描写は、それを知る世代の観客にとっては堪らないものだったろうと想像できる。

筆者にとって最も印象的だったのは、大家族の物語で登場人物が多いのに、その紹介のされ方、キャラの立ち方、ストーリー中での捌かれ方が絶妙で、誰が誰だか分からなくなるというのがほとんどなかったこと。これはもちろん、アンジャリ・メーノーンの采配だけでなく、子役から最長老に至るまでの演技者たちの高い演技力にも負っている。こんな渋い演技をする俳優たちが世界の片隅で広く知られることもなく埋もれている、という不当感を久しぶりに抱いた作品でもあった。

個人的には、2013年に没したティラカン翁にトップクレジットを贈りたい。限られたシーンのみの出演、翁にとってはなんでもない芝居だったことは想像できるが、ただもう素晴らしかった。晩年のオフスクリーンでの翁は、色々と揉め事が多く、アグレッシブに吼える痛ましい姿には不可解な面も多かったが、できれば本作でのイメージを翁の最後の姿(もちろんこれは遺作ではないのだが)として心に留めておきたいものだと思ったのだ。

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投稿者 Periplo : 00:27 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2014年02月28日

PJ2012-34:Da Thaadiya

デブと偉丈夫、その境界はどこにあるのだ???????

この項でちょっと考えてみようと思い、太め画像の収集まで始めたのだが、あまりにも長大な論考になりそうなので諦めた。とりあえず、作中に主人公をマハーバリになぞらえる台詞がある、ということだけ書いておく。
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Director:Aashiq Abu
Cast:Sekhar Menon, Sreenath Bhasi, Ann Augustine, Nivin Pauly, Arundathi Nag, Maniyanpilla Raju, Edavela Babu, Vinay Forrt, Jayaraj Warrier, Basil Kothamangalam, Jonathan Matthew, Thesni Khan, Kunchan, Gayathri, V K Sreeranan, Majeed, Kozhikode Narayanan Nair

原題:ടാ തടിയാ
タイトルの意味:Hey! Fatty
タイトルのゆれ:Da! Thadiya, Da Taadiya

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間59分

ジャンル:コメディ
キーワード:デブ、強制ダイエット、マッタンチェーリ、ローカル政治家、アーユルヴェーダ、コンプレックス商法、クリスチャン

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/da-thadiya-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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【寸評】
コーチン・マッタンチェーリのクリスチャンの名家に生まれたルーカ・ジョーン・プラカーシュ(Sekhar Menon)は、その120kgを超える巨体をものともせず、そしてロースクールからドロップアウトしてしまったことを特に苦にすることもなく、毎日を楽しく過ごしていた。亡くなった彼の祖父はコーチン市長を務めた人物。父(Maniyanpilla Raju)と叔父(Edavela Babu)はその政治的な威信を継承しようと独自のローカル政党を立ち上げているが、未だに選挙で当選したことがない。ルーカは当然のこととして大食漢で美食家でもあるが、それは彼を可愛がる祖母(Arundhati Nag)の料理上手によるところが大きかった。

そんなルーカの前に、長らく離れ離れになっていた幼馴染みのアーン・メーリ(Ann Augustine)が現れる。彼女はすらりとした細身の都会的な女性となっていた。ルーカは子ども時代以来の恋心が再び燃え上がるのを抑えきれないが、彼女は曖昧な態度に終始し、ルーカに高級アーユルヴェーダ・クリニックでの減量プログラムを受けることを勧める。

意を決してクリニックに入所したルーカだったが、厳しいダイエットに耐えかねて途中で逃げ出してしまう。こっそりと家に戻った彼が知ったのは、そのクリニックの怪しげなグルであるラーフル・ヴァイディヤル(Nivin Pauly)とアーン・メーリが恋仲であること、彼女がクリニック行きを勧めたのはその営業戦略の一環でしかなかったことだった。

失意のどん底に沈んだ彼が、再び自分自身を取り戻すために選んだのは政界入りの道だった。

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衝撃作 22 Female Kottayam に続くアーシク・アブ監督作。今回は打って変わってローカル色の濃いコメディ。筆者は本作をまさに舞台であるコーチンで見る機会があったのだが、劇場は大入り満員、台詞の一々が馬鹿受けで、かなりの熱気だった。ヒーローのシェーカル・メーノーン、悪役のニヴィン・ポーリなどが初登場するシーンでは歓声が起こった。ただしそれは、映画スターに対するものというよりは、同級生や遊び仲間が映画に出てるのを見て盛り上がる、といったニュアンスのものに感じられた。

基本はお気楽コメディ。メッセージ的なものを探すとすれば、体型で人を差別しちゃいけません&体型を過剰に思い悩んでウジウジしちゃいけませんという真っ当なもの。それから、無闇に神秘化・高級リゾート化して一部が怪しげな方向に向かっているアーユルヴェーダ業界に対しても警鐘が鳴らされている。

しかしまあ、ぶっちゃけた話、本作の一番の映画的愉楽は、「インパクトのある凄いデブを心ゆくまで見つめる」ことにあるだろう。本職はDJだというシェーカル・メーノーンは実際にもコーチン出身、アーシク・アブ監督作品には様々な形でかかわってきた(こちら参照)。そして本作の後にもちょっとした脇役での映画出演は続いている。おデブ系俳優というと Vinayakudu (Telugu - 2008) Dir. Sai Kiran Adivi で主演デビューしたクリシュヌドゥがまず思い浮かぶ。この人の場合、大増量前はヒーロー俳優予備軍だったというだけあって、色白で目もぱっちり。それもあってか、清らかなデブが真心によってハクいお姉さんのハートをゲットというストーリーで成功した。片やシェーカルの方は、せり上がった頬肉が圧迫して吊り目になってて、かなり変顔、時に凄く人が悪そうに見える。より動物っぽい感じが強くて、それが堪らんほどイイのだ。一方で「ビッグ・ハグ」という、敵対的な相手の心をもとろかす武器も持っていて、見るからに気持ちよさそうなんだよね。ということで、理屈を忘れて身体感覚で楽しめる、稀有なタイプのマラヤーラム映画なのだ。リラックスして臨んでほしい。

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コーチンの劇場では、初日初回の上映に体重100kg超の人を入場無料にするというプロモーションを行い、猛者の皆さんが押し掛けたという報道もあった。

投稿者 Periplo : 23:55 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年02月27日

PJ2012-33:Matinee

The Dirty Picture にケララから呼応するかのように作られた、アイテム女優一代記。

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Director:Aneesh Upasana
Cast:Mythiri, Maqbool Salmaan, Lena, Thalaivasal Vijay, Valsala Menon, Sasi Kalinga, Kiran Raj, Soja Jolly, Dinesh Nair, Fathima Babu, Subbulaxmi, Kochu Preman

原題:മാറ്റിനി

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間4分

ジャンル:映画界内幕
キーワード:デビュー監督、アイテム女優、ソフトポルノ、コーリコード、マーピラ、チェンナイ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/07/matinee-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
1990年代中頃のケララ北部。ナジーブ(Maqbool Salmaan)は、保守的なムスリム家庭に育った青年で、映画俳優となることを夢見ていた。その希望は家族からの反対にあうが、彼は何とか両親を説得して、念願の主演デビューのチャンスを掴む。その映画のヒロインに抜擢されたのは、やはりデビュタントであるサーヴィトリ(Mythiri)だった。彼女はナジーブとは対照的に、呑んだくれの父親(Sasi Kalinga)に半ば売り飛ばされるように映画界入りしたのだった。

待望の封切日、ナジーブは家族を引き連れて映画館に赴く。そこで彼が目にしたのは、後半部を全く別の俳優が演じるポルノに差し替えられた作品だった。新作にインパクトが足りないと感じ、資金回収を危ぶんだプロデューサーの指示によるものだった。家族から絶縁され、地元の人々にも顔向けできなくなった彼はチェンナイに逃れ、成り行きからサーヴィトリと共同生活を始める。そして、サーヴィトリには映画の中でセクシーなダンスを踊る割のいい仕事が舞い込むようになる。

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ボリウッド音痴ではあるものの、The Dirty Picture (Hindi - 2011) Dir. Milan Luthria ぐらいは観ておこうと思ったのだった。何といっても80-90年代のサウスを席巻したシルク・スミターの伝記的作品を謳ってるわけだし、色々ヤバすぎてサウスでは映像化できないこともボリでならしれっと撮っちゃえるんじゃないかという期待もあって。筋書きはまあ面白かった。ただ一方で見終わってもかなり醒めた気分だったというのも否定できない。基本的には安っぽいストーリーなのだけれど、その安っぽさを(たとえば「パルプ・フィクション」のように)テクスチャーとしての魅力に高めるまでには至らなかったように感じた。また、舞台は全編を通じてマドラスなのに、初登場シーンのヴィディヤーを除き、主要登場人物がどこをどう頑張ってもタミル人・サウス人には見えないところが何とも。つまり、まったく現実感のない、どこの国のいつの時代の話か?というよそよそしさで、手応えのない映画体験だったのだ。

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一方でこの Matinee はというと、モデルとなった実在の人物は特にいないようだが、全編が徹底したリアリズムに貫かれている。ケララといえば、芸術映画で毎年国家映画賞レースを賑わせるのと同時に、ソフトポルノの量産でも全インドに名前をとどろかせている。特に90年代後半から2000年代前半にかけての映画産業の相対的な不振期には業界全体がソフトポルノの売り上げで何とか回っていたという話まである(まあ、誇張だろうが)。お花畑でヒーロー&ヒロインが踊るお綺麗なロマンス映画が、インターミッション後何の脈絡もなくホームビデオ画質のソレもんシーンに切り替わるところなど、まさにその状況を象徴している。

それと、スター俳優が売れまくってる栄光の絶頂期とその後の転落を対比させるというのが、芸能界内幕ものの常套手段であり、The Dirty Picture もその例に漏れないのだが、本作には「有卦期」の描写が一切ない。最初から最後まで、全てが「苦界」なのだ。ヒロインを演じるマイティリのお腹の曲線(左下写真参照)といい、夢破れてヒロインに寄生して生きるしかなくなる男を演じるマクブール・サルマーンの情けなさといい、気が滅入るような雑巾リアリズム。これはチェンナイへの集団就職者の最底辺の世界を描いた Angaadi Theru (Tamil - 2010) Dir. Vasanthabalan のそれに近い。主役をとことん苛める作劇術にある種の爽快を感じることができる人には、本作はそこそこのお勧めといっていいと思う。

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投稿者 Periplo : 22:51 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年02月26日

PJ2012-32:Ardhanaari

君はヒジュラの葬式を見たことがあるかっ?
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Ardhanaari

Director:Santhosh Souparnika
Cast:Manoj K Jayan, Thilakan, Sukumari, Maniyanpilla Raju, Mahalakshmi, Saikumar, Irshad, Asha Sarath, Suraj Venjaramood, Thesni Khan, Kochu Preman, N Jayakrishnan, Poojappura Ravi, Kollam Ajith, Master Antony, Master Amarchandran

原題:അർദ്ധനാരി
タイトルの意味: Androgynous
※ただし、本作中ではさらに限定的に、ヒジュラでありなおかつバイセクシャルでもある者の意味で使われている
タイトルのゆれ:Ardhanari、Ardanaari

DVDの版元:Horizon
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間53分

ジャンル:メッセージ
キーワード:ヒジュラ、差別、性の多様性

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/ardhanaari-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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【寸評】
ヴィナヤン(Manoj K Jayan)は幼少時から女装への憧れと同性への性的な願望を胸に秘めていた。長じて自分の心に素直に生きることを決意して、タミル・ナードゥに出かけて行き、ヒジュラのコミュニティに加わる。しかしそこで彼/彼女が身をもって体験したのは、コミュニティの結束をもってしても防ぎきることのできない世間の差別と国家の無情だった。

題名から分かるとおり、ヒジュラ集団の実態を題材とした映画。このテーマは過去にも幾つか作例があり、日本でも公開された Navarasa (Tamil - 2005) Dir. Santosh Sivan や Tamanna (Hindi - 1997) Dir. Mahesh Batt などが有名。監督サントーシュ・サウパルニカは本作がデビューであるという以上の情報が見つからない。それよりも、プロデューサーがマラヤーラム映画界のトップシンガーであるMGシュリークマールであるということに注目が集まった。

先に難点を挙げさせてもらうと、この監督の力量は限りなくアマチュアに近い。メロドラマ風の演出、カット割りと編集、BGMの使い方、時代考証(一人のヒジュラの50-60年に渡る年代記だってのに青年期から携帯電話が出てくる)、どれをとってもイライラさせられる。ストーリーとしても、ヒジュラに対する詩的で神話的な称揚と、社会・国家によるマイノリティ差別(または差別の放置)への社会派的糾弾という、相容れない二つの要素がごちゃごちゃになっていてどっちつかず。それからキャスティングの一部に致命傷があった。主演のマノージKジャヤン、ティラカン、マニヤンピッライ・ラージュといった面々は易々と演じており何も言うことはない。ただし、ティラカンに別人の吹き替えを当てなければならなかったのは、事情があったのかもしれないが惜しまれる。ヒジュラ集団を演じる俳優たちの中に、二人の女優がいる。スクマーリマハーラクシュミだ。この二人、特にマハーラクシュミは、大変重要な役どころであるにもかかわらず、ビジュアル的にヒジュラとしての説得力がない。途中までヒジュラ集団に同居する謎の女性としか思えず、混乱させられた。

詩的な記述と社会正義の追及が同居していると上に書いたが、筆者が個人的に期待したのは、どちらかと言えば前者。最もマージナルな者が、特定のある瞬間にだけ最も完全なものとなりうるという逆説を感動的に劇化した「変容」のシーンに期待したのだが、溜息のでるような凡庸な仕上がりだった。本作におけるハイライトは、それとは別の、とあるヒジュラの葬式のシーンだったように思う。ヒジュラの葬式は、これまでにも映画中に出てきたものを見たころがある(何という作品だったかどうしても思い出せない、悶々)が、本作での描写はかなり克明。これほどに痛切な弔いのシーンはこれまでインド映画で見たことがない。「マージナリティ」というものを残酷に儀礼化したこの葬儀のためだけに本作を見ても決して損ではないと思う。

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主人公の少年時代を演じたマスター・アントニーの妖しい美しさも、多くの観客の注意を惹いたようだ。

投稿者 Periplo : 01:12 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年02月25日

PJ2012-31:Padmasree Bharat Dr. Saroj Kumar

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映画界の内幕ものってのは、あまりいい予感がしない作品でもやっぱ資料として見ておきたくなるもんだ。

Padmasree Bharat Dr. Saroj Kumar

Director:Sajin Raaghavan
Cast:Sreenivasan, Vineeth Sreenivasan, Fahad Fasil, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Mamta Mohandas, Salim Kumar, Mukesh, Manikuttan, Kollam Thulasi, Apoorva Bose, Shari, Ponnamma Babu, Sandhya, Meera Nandan, Sarayu, Roopa, Nimisha Suresh

原題:പത്മശ്രീ ഭരത് ഡോക്ടർ സരോജ് കുമാർ
タイトルの意味:Dr. Saroj Kumar, Padmashree awardee, National Film Award awardee
※パドマシュリーは、インド共和国によって授与される勲章のひとつ。バラト(バーラト)は、インド国家映画賞の主演男優賞が、1968年から75年の間、Bharat Award for the Best Actorと称されていたことによる。たとえば、マラヤーラム語の演劇と芸術映画で活躍した名優バラト・ゴーピの芸名もここから来ている。「ドクター」というのも、高等教育機関が往々にして人気俳優に良く分からない名誉博士号を授与することを皮肉ったものと解釈できる。
タイトルのゆれ:Padmasree Bharat Doctor Saroj Kumar, Padmashri Bharat Dr. Saroj Kumar

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間27分

ジャンル:サタイア
キーワード:マラヤーラム映画界、内紛、映画人組合、隠し子、メガスター、ITDレイド、名誉将校、殴打事件、プロデューサー銃撃、超人ヒーロー

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/padmasree-bharat-dr-saroj-kumar.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
サロージ・クマール(Sreenivasan)はマラヤーラム映画界を代表するスターでかつアイドル。しかしここのところフロップが続いており、人気の陰りは誰の目にも明らかなのだが、傲慢なふるまいを止めようとしない。彼は新進監督アレックス・サミュエル(Fahad Fasil)と組んだ新作の撮影現場で、共演相手のシヤーム(Vineeth Sreenivasan)という若手俳優に無茶な難癖をつけ、撮影をボイコットする。アレックスとプロデューサーのパッチャーラム・バシ(Jagathy Sreekumar)は、何とかサロージを宥めようとするが上手くいかない。困った二人は、逆にシヤームを主役に据えた別の映画に取り掛かろうとする。怒ったサロージはあの手この手でこの企画を妨害しようとする。

マラヤーラム映画界に特有の奇習、過去のヒット作の人気キャラを流用して(往々にして監督・脚本などはオリジナルとは別人が手がけ)全く新しい作品を作るという手法による一作。本作は Udayananu Tharam (Malayalam - 2005) Dir. Rosshan Andrrews に登場した悪役、汚い手を使って成り上がった俳優サロージ・クマールというキャラを、オリジナルと同じくシュリーニヴァーサンが演じたもの(脚本もシュリーニ自身が手がけている)。

1956年生まれ、1970年代後半から活躍するベテランのシュリーニヴァーサンは、コメディを得意とするが、コメディアンという言葉では括りきれない才人。オフスクリーンでも時折鋭い映画界批判を行うことがあり(一例としてこちらなど参照)、かなりどぎつい風刺ネタでも、この人がやると文句をつけにくいという面があるのかもしれない。キャラ頂きの元となった Udayananu Tharam には、モーハンラールが演じる万年助監督の人間ドラマがあって、スパイシーなお笑い悪役としてシュリーニ演じるサロージ・クマールがいたわけだが、本作では人間ドラマはなくなり、ほぼ100%風刺の連打となった。今回のおちょくりの対象はマラヤーラム映画だけに限定されず、広くサウス映画界や政界に及んでいる。たとえば「ドクター●●●クマール」なんて名前の人物に隠し子モチーフが加わったとなれば…(略)。それから、自宅に呼びつけたプロデューサーを至近距離から銃撃するなんて…(汗)。お約束のラジニの物真似もたっぷりと。

もちろん、主な標的はマラヤーラム映画界である。例えば、映画人組合による特定俳優の排除とか、名誉将校の地位を得ようと躍起になるスター、往年の名作の劣化リメイク、ファンクラブ会員の強制動員etc。各モチーフにはオタク心を刺激される。ただ、言わせてもらえば、どのネタもちと古臭い。マ映画自体がこの数年で大きく変わったのに、それを無視して、批判対象も批判の手法も7年前の Udayananu Tharam の時点でストップしちゃってるんだな。それと、トップスターである主人公を断罪するのに、ムケーシュ演じるプロデューサーが、「お前のような害虫が居座っているからマラヤーラム映画界が健全に発展できないのだ」というような意味のことを面と向かって言う、非現実的で杜撰なシーンがあって、ちょっと萎えてしまう。これは手抜きだ。こんなあり得ない性急な台詞ではなく、映画全体でメッセージを発するべきだっただろう。なんで、興味深いが心からは笑えない、そんな一作になってしまったのだ、残念なことに。

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ゲストで登場のカワイ子ちゃんたちの名前がミーラ・ナンダン以外特定できなかったとは、俺もまだ修行が足りん。

投稿者 Periplo : 00:19 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年02月24日

PJ2012-30:Asuravithu

昨年の夏以降、あまりに色んな事がありすぎて途絶えてしまっていた2012年マラヤーラム映画の総まくり。さすがに2014年に入ってもダラダラ続けるのは莫迦みたいだ。とりあえず、テキストを既に用意してあったもの、どうしてもこれには触れておきたいと思ったものに絞り込んで、あと数回でシリーズを終えようと思う。そしてすぐに2013年のまとめに入るつもりでいる(キリッ。

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Asuravithu

Director:A K Sajan
Cast:Asif Ali, Samvritha Sunil, Vijaya Raghavan, Lena, Maqbool Salmaan, Master Ganapathy, Jagannath Varma, Pala Charlie, Baburaj, Siddique, Harishree Ashokan, Anil Murali, Rekha, Kalsala Babu, Ronedavid Raj (Dr. Roni), Jiya Irani, I M Vijayan, Becky Thomas, Vidyalakshmi, Seema G Nair, Mehul James

原題:അസുരവിത്ത്
タイトルの意味:Devil’s seed

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間29分

ジャンル:クライム・アクション
キーワード:修道院、コーチン、ユダヤ人マフィア、リベンジ、クリスチャン、犯罪目撃者

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/asuravithu-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
ドン・ボスコ(Asif Ali)は修道院に寄宿し神学校で学ぶ孤児。バックウォーターの渡船に乗って働くマーティ(Samvritha Sunil)は、彼に思いを寄せている元気な娘。ドン・ボスコの運命は、用をいいつかって出かけたコーチンで、マフィアによる殺人の現場を目撃したことから、予期せぬ変転を迎える。

何でも本作は、同じ監督による Stop Violence (Malayalam - 2002) の続編なのだそうだ。正編はそのうち気が向いたら観ようかとも思っていたが、続編の方を先に観てしまって完全にその気をなくした。まあ、正編を観ないと続編の意味が分からない、という性格のものではなかった。大体5分に1人ぐらいの割合で人が殺される残虐映画。にもかかわらずダレダレに退屈で2時間半を見通すのが辛かった。ストーリーは古臭くて黴が染み出てきそうな、ぽっと出の若造が簡単に暗黒街の帝王になってしまうという劇画調。しかし同じ荒唐無稽バイオレンスでも、これがテルグ映画なら、キャスティングさえ誤らなければ充分に元の取れる娯楽作になっていたはずだ。ロマンスでもキャバレー・シーンでも何でも入れて適当に色をつければいいところを、何を勘違いしたのかキリスト教の象徴を散りばめたド深刻路線+田舎者憧れのスタイリッシュ映像でまとめようとして、「ポットボイラー」とは程度遠いものになってしまった。最大の問題は主演のアーシフ・アリが全然ヤクザに見えないことにあった。2009年にデビューして、2011年からものすごい勢いで出演しまくって、若手のホープとみなされているが、これといった当り役はまだない。悪役から自身の役でのカメオまで、声を掛けられたらどこでも出張る、「何でも屋のアリちゃん」と筆者は命名しているが、本作では極道ファッションで肩をいからせて凄めば凄むほど無理が感じられていたたまれない気分にさせられた。そして例によってだが、唯一の救いはサムちゃんことサムヴリタ・スニルさんの愛らしさにあったのだった。なお、本作は1968年の同名作品とは一切関係がない。

本作ではマンムーティの甥のマクブール・サルマーンが小さな役でデビューを果たしたが、これを見ただけではまだ海のものとも山のものとも判断できない感じだった。

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まっ、なにはともあれサムちゃんさえ出ていりゃね…。

投稿者 Periplo : 18:51 : カテゴリー バブルねたkerala
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2014年02月05日

【日程変更】マラヤーラム映画新作上映1402

2月14日正午現在、大雪のため開催が微妙な状態になっている。当日まで主催者公式サイトを確認されたい。
[追記]日程変更が確定。下記を参照のこと。

“Visuals can be deceiving” というのが現地での本作のキャッチコピー。「カメラは嘘をつく」とでも訳すべきか。むしろ「人生に必要な知恵はすべて映画で学んだ」の方がいいだろうか。

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Drishyam (Malayalam - 2013) Dir. Jeethu Joseph

原題: ദൃശ്യം
タイトルの意味:Sight, Visual, Seeing, View
タイトルのゆれ:Dryshyam, Dhryshyam, Dhrysyam

Cast:Mohanlal, Meena, Kalabhavan Shajon, Ansiba Hassan, Baby Esther, Asha Sarath, Siddique, Roshan Basheer, Irshad, Kunchan, Sukumar, Shobha Mohan, Aneesh G Nair, Sreelakshmi, Kozhikode Narayanan Nair, P Sreekumar, Kalabhavan Rahman, Koottikkal Jayachandran, Kalabhavan Haneef, Neeraj Madhav, Baiju, Pradeep Chandran, Antony Perumbavoor

公式トレーラーhttp://youtu.be/eMASubc1y_k

■日時:2014年2月15日、午後3:00開映2014年2月23日、午後4:00開映
■料金:大人1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:なし
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約2時間44分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■映画公式サイト:http://www.drishyamthemovie.com/
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/01/drishyam-malayalam-2013.html

※上映に際しては途中10分程度のインターミッションあり。別料金でインド・スナックのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機も会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【前半部の粗筋 - ネタバレ30パーセントぐらい】
ケララ中東部の山岳地方、イドゥッキ郡トドゥプラの小村ラージャッカードに住むジョージクッティ(Mohanlal)は孤児として育ったが、現在は妻のラーニ(Meena)、長女のアンジュ(Ansiba Hassan)、次女のアヌ(Baby Esther)と共に幸せな家庭生活を営んでいた。彼は農業に従事しながら、一方で村のケーブルテレビ局も経営している。そして無類の映画好きでもあり、一人ビデオを観るためにそのテレビ局の小さなオフィスに籠もることもしばしばあった。低学歴ながらウィットを持つ彼には、日常のさまざまな局面で、これまでに観た世界の映画のプロットを応用するという子供っぽい癖もある。

ほとんどの村人たちと良い関係を築いているジョージクッティだったが、溜り場の食堂でサハデーヴァン巡査(Kalabhavan Shajon)とちょっとした諍いを起こし、サハデーヴァンは彼を目の仇とするようになる。

一家の平穏な生活は、長女のアンジュが林間学校に出かけた際に遭遇したとある出来事によってひっくり返される。家族を守るためのジョージクッティの闘いがそこから始まる。

【さらに踏み込んで 40パーセントぐらいまで書いちゃった】
それは不良青年ワルン(Roshan Basheer)の突然の出現がきっかけだった。彼は林間学校中にアンジュが浴室を使っているところを携帯電話で盗撮し、それをインターネット上で公表すると脅しをかけてきたのだ。その翌日からワルンは行方不明となる。

ジョージクッティの一家は、ワルンの失踪に何らかの関わりをもつものとして、真っ先に警察から目を付けられた。幼い次女のアヌすらが、容赦ない尋問に耐えなければならなかった。サハデーヴァン巡査との過去の小競り合い、そしてワルンの母ギータ・プラバーカル( Asha Sarath)が警察の高官であることなど、状況は圧倒的に不利だった。ジョージクッティと警察との抜きつ抜かれつの神経戦がここから始まる。

【かなりヤバいネタバレなんで、知りたい人だけマウス指定で反転させて読んでくだはい】
実はトリック部分は、東野圭吾原作で2008年に公開された『容疑者Xの献身』からのパクリだという説がある。しかもこの日本映画については、一昨年のアジアフォーカスで上映された『カハーニー/物語 / Kahaani』のスジョイ・ゴーシュ監督がヒンディー語で正式なリメイクを行うと言明しており(こちら参照)、めんどくさい事になりそうな予感もする。自ら脚本をしたためたジートゥ・ジョーセフ監督自身はインタビューでこれを否定し、『容疑者Xの献身』はまだ観たことがないと述べている。

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【蛇足っぽいトリビア】
昨年2013年に158本が公開されたマラヤーラム長編劇映画の中で、日付的には最後から3番目の12月19日の封切り。怒濤のブロックバスターとなり、同年の最大ヒットどころか、あの Twenty:20 (Malayalam - 2008) Dir. Joshiy をぶっちぎって、マラヤーラム映画史上最大の売り上げを記録し、現在も更新中。今月に入り、連続上映45日超で興収50カロール・ルピー突破というニュースも入ってきている。時に200カロール超えが出ることもあるヒンディー映画などと比べればかわいい数字だが、シネコンの数がそれほど伸びず、入場料100ルピー以下の従来型館が主流のケララではこれは凄いことなのだ。ちなみに本作の製作費はこの記事によれば3.5カロール。例えば先月上映したテルグ映画 Yevadu のそれが35カロールなどと言われているので、10分の1の規模ということになる。

既にヒンディー、タミル、テルグ、カンナダのリメイクが決まっており、ヒンディー版とタミル版はカマル・ハーサンが、テルグ版はヴェンカテーシュが、カンナダ版はラヴィチャンドランが主演すると発表されている。

監督のジートゥ・ジョーセフは、本作が5本目となる、新人以上中堅件未満という感じの立ち位置。デビュー作 Detective (Malayalam - 2007) は、マラヤーラム映画では珍しい本格的な推理ものと称賛された(ただし興行的にはイマイチだった)。以前にここでちょっと書いた Mummy and Me (Malayalam - 2010) は、母娘の葛藤を描いたホームドラマ。ケララ版「じゃじゃ馬馴らし」My Boss (Malayalam - 2012) は政治的に微妙な線。昨年公開のもう一本 Memories (Malayalam - 2013) は、かなり当たったトラウマ系スリラー。本作公開に当たってのインタビューはこちら

本作で特筆すべきなのは、単にヒットして金を稼いだということだけでなく、観客と批評家のどちらもが高く評価したこと(これはマラヤーラム映画では結構珍しい)、それから、ここ数年マラヤーラム映画界を席巻しているニューウェーブ的な技法(凝った映像、多重ストーリーライン、都会性etc.)とは無縁の、正統的な語りで観客を惹きつけたという2点。後者については、今後のマラヤーラム映画の方向性にも影響を与えそうな予感もする。モーハンラールを始めとしたアンサンブル・キャストの演技も絶賛されてはいるのだが、本作には「なんといっても脚本が主役」との呼び声が高いからだ。この「脚本が主役」というのが、鼻息の荒いニューウェーブ派の人々の旗印だっただけに(そして、ニューウェーブ信奉者から「ギャラの高すぎる金食い虫」と批判されているモーハンラールが主役であるということも相まって)、なんとも皮肉なことに思える。

日本人の観客にとってはもちろん、昨年リバイバル上映も成った『ムトゥ』のヒロイン、ミーナとのスクリーン上での再会が特筆すべきポイントだろう。『ムトゥ』のインドでの封切りが1995年、日本での映画祭公開が97年(劇場公開は翌98年)。現地封切りから数えると18年ぶりのミーナが拝めるのだから(ミーナ出演作はその後も日本で公開されたが、いずれも『ムトゥ』から過去に遡る作品だった)。もちろんミーナちゃんも変わった。2010年に3度目の来日をした時(その際のスナップ)と比べても、さらに一層どぉーんと肥えてオカミさんっぷりにも磨きがかかったが、それでもやっぱり可愛いんだよねえ。これを印度の神秘と言わずして何と言う。

さらに、本作の舞台にして同時にロケ地でもある、イドゥッキ郡トドゥプラの魅力的な風景にも注目してほしい。ケララ中部の内陸部、西ガーツ山脈に抱かれた比較的冷涼な高地で、ここ6,7年でマラヤーラム映画のロケ地として大ブレイクしている。椰子の木陰にヌル~い微風が吹き渡るという、よくあるイメージとは違うケララの魅力が感じられると思う。

【主要登場人物】
以下は役名(カッコ内は俳優名)と簡単なプロフィール。イメージは必ずしも本作のスチルからではない。また、筆者自身も未見の状態で各種のレビューから拾った情報を元に書いているので正確ではないところがあるかもしれないがご容赦を。

DrishyamLal.jpgジョージクッティ(モーハンラール)
マラヤーラム語ではジョーッジュクッティと発音される。孤児として育ち、学校は4年生(5年制初等教育の4年目、大体9歳ぐらい)で挫折した。そんな訳で新聞を丹念に読むことも苦手だが、それを特に苦にしてもいないし、世の出来事への批評眼はかなり鋭い。教育がなくとも頭の回転は早く、警察を相手にした家族を守るための闘いにもひるむことがない。普段の彼は勤勉で、大層な倹約家でもある。いつの日か村の映画館を買い取って、自分自身の劇場を経営するという夢があるからだ。そんな彼も、二人の娘には可能な限りの最上の教育を受けさせたいとの親心を持っている。

DrishyamMeena.jpgラーニ(ミーナ)
ジョージクッティのケーブルTV局は、彼女の名前からラーニ・ヴィジョンと命名された。4年生どまりの夫を何かにつけてからかうラーニは、10年生(中等教育の2年目、大体15歳ぐらい)でドロップアウトした。消費が大好きな彼女は、人並みに外食したり服を買ったりしたいと願い、時々夫と揉めることもある。しかし、娘たちに高い教育を受けさせたいと願う点では彼との間で意見の相違はない。

Ansiba.jpgアンジュ(アンシバ・ハーサン)
ジョージクッティの長女。11年生。

esther.jpgアヌ(ベイビー・エステル)
ジョージクッティの次女。7年生。

AshaSarath.jpgギータ・プラバーカル(アーシャ・シャラト)
インスペクター・ジェネラル(IGP)。警察の階級についてはこちら参照。ワルンの母親。捜査の中でジョージクッティ一家を激しく追及する。

DrishyamSiddique.jpgプラバーカル(シッディク)
ギータの夫、ワルンの父親。

RoshanBashir.jpgワルン(ローシャン・バシール)
プラバーカルとギータの間の息子。甘やかされた不良。

Shajon.jpgサハデーヴァン(カラーバワン・シャージョーン)
村の巡査。ジョージクッティとの間で確執がある。

NarayananNair.jpgスレイマン・コーヤ(コーリコード・ナーラーヤナン・ナーイル)
食堂のオーナー

PSreekumar.jpg?(Pシュリークマール)
ラーニの父。

ShobhaMohan.jpg?(ショーバ・モーハン)
ラーニの母。

Irshad.jpgスレーシュ・バーブ(イルシャード)
サブ・インスペクター(SI)。

Kunchan.jpgマーダヴァン(クンジャン)
巡査長。

NeerajMadhav.jpgモーニッチャン(ニーラジ・マーダヴ)
ジョージクッティのケーブルTV局の助手。

AneeshMenon.jpg?(アニーシュGメーノーン)
ジョージクッティの義弟。

Antony.jpgアントニー(アントニー・ペルンバーヴール)
マラヤーラム語ではアーンタニと発音される。緊密で無駄がなく、全ての登場人物の全ての言動に意味があると評される本作中で、唯一の謎キャラ。アントニー・ペルンバーヴールは本作の製作も担当したアーシルワード・シネマズの代表。と言っても、ビジネスマンというのでもなく、実はモーハンラールの運転手をしていた人。つまり実質的にはモーハンラールのホームプロダクション会社の世話人というところらしい。

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はっ、ニューウェーブ?そんなごちゃごちゃしたことせんでも、俺様が本気出せばこんなもんよ!!と言う(かのような)ラルさん

投稿者 Periplo : 03:49 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年12月31日

【日程変更】マラヤーラム映画新作上映1401

マラヤーラム映画の上映もこれからシリーズ化するのだ。こうしちゃいられねえ。

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Escape from Uganda (Malayalam - 2013) Dir. Rajesh Nair

原題:എസ്‌കേപ് ഫ്രം ഉഗാണ്ട

Cast: Rima Kallingal, R Parthiban, Vijay Babu, Joju George, Tashu Kaushik, Winston Witecker, Micheal Wawuyo, John Bagenda, Wilberforce Mutete, Anita Kyalimpa, Carlos Ombonya, Mukesh

公式トレーラーhttp://youtu.be/bkEKEx4lSOc
ソング全曲ジュークボックスhttp://youtu.be/hs2kHj53GL0

■日時:2014年1月26日、午後3:00開映 通関の問題からフィルムの到着の遅れが生じ、当初予定の18日から変更となった。
■料金:大人1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:なし
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約1時間55分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/EscapeFromUgandaOfficial
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/12/escape-from-ugandamalayalam-2013.html
※上映に際しては途中10分程度のインターミッションあり。別料金でインド・スナックのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機も会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【前半部の粗筋】
シカ・サミュエル(Rima Kallingal)とジャヤクリシュナン(Vijay Babu)は異カースト恋愛が親から認められず、駆け落ち結婚をしてウガンダに移り住む。デザイナーをしていたシカは自分のブティックを開くことに成功し、ジャヤクリシュナンもカフェの店長の職を得、やがて二人の間には一人娘も生まれる。満ち足りた平穏な生活のさなか、ある日突然にシカは二人の女性の殺人の容疑で逮捕され獄に送られる。まったく身に覚えのない濡れ衣だった。殺された女性のうちの一人は市長の娘で、要人の家族に対する犯行とみなされたことはシカの立場を一層悪くした。ジャヤクリシュナンは同郷の弁護士フィロース(Mukesh)を頼るが、彼は事務所で何者かに射殺されてしまう。絶望したジャヤクリシュナンの前に現れたのは、金をはらえば非合法手段でシカを解放することを請け負うと嘯くアントニー(Parthiban)という男だった。(粗筋了)

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本作の見どころはふたつあると思う。ひとつは、マラヤーラム映画界で事実上トップ・ヒロインの地位を獲得したと言っていいだろうリマ・カッリンガルが主演で、アクションをこなすらしいこと。準ミス・ケララ出身ではあるものの、あまりに個性的な美貌。マラヤーラム映画が伝統的に求めていた良妻賢母的な女性像とは、演技する前から大きく隔たっていた。文芸的な若者映画Ritu (Malayalam - 2009) Dir. Shyamaprasad でデビューしてからしばらくはお色気担当的なキャスティングが多かった。容姿の存在感に演技の迫力が追いついたのは、なんといっても衝撃作 22 Female Kottayam (Malayalam - 2012) Dir. Ashiq Abu によって(しかし筆者は同年の Nidra も捨てがたいと思っている)。この11月にはその 22 Female Kottayam のアーシク・アブ監督と華麗なる地味婚を挙げたが、結婚を期に引退などということは毛頭も考えていないと言明しており、この先も楽しみである。

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ふたつめの見どころ(であると同時に不安点でもある)はもちろんウガンダ。全編をアフリカで撮影したというのは、マラヤーラム映画ではもちろん初、インド映画としても初めてかもしれない。一般的に印度人の、あるいは印度映画の外国観というのは、あからさまに差別的で、一番の上国は西欧と米国、東アジア「平たい顔族」の諸国に対してはアンビバレント、ブラック・アフリカに対してはブルータルとしかいいようのない偏見が示されることが多い。多くのレビューでスリラーとしては凡庸と評されてしまった本作だが、アフリカがどのように描かれるかという点ではかなりスリリング。最初に題名を聞いたときは、悪名高いアミン大統領時代のウガンダが舞台かと思ったが、どうもそうではないらしく、設定はバリバリの現代。過去の暗黒時代の糾弾という逃げ道もないわけだ。ああ、ホントにドキドキする。

監督のラージェーシュ・ナーイルは Annum Innum Ennum (Malayalam - 2013) でデビューし、本作が2本目となる新人。監督を志す前の会社員時代に何年かウガンダに暮らしていたことがあるそうだ。そのあたりはインタビュー動画(英語)を参照。なお、今回上映は残念ながら英語字幕つきではないが、作中ではマラヤーラム語の他に、タミル語、英語、フランス語、スワヒリ語、キニャルワンダ語、ルガンダ語などが飛び交う恐るべき多言語映画ということだ。英語を解する人ならば結構ストーリーは分かるのではないかとも推測される。

その他のキャストでは、タミル俳優のパールティバンが、かなり重要な役どころを担うようだ。ガングロ+縮毛+ギョロ目+獅子鼻の典型的なサウス顔、そして不細工だが男気にあふれる奴というような役どころが印象に残るパールティバンは、Melvilasom (Malayalam - 2011) [ここで紹介した]が高い評価を得て以来、時々マラヤーラム映画にも顔を見せるようになってきている。マラヤーラム映画界からは、ベテランのムケーシュも短い時間ながら登場し、渋いところを見せてくれそうだ。

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ヒロイン・リマの走りっぷりも見どころのひとつだそうだ。

投稿者 Periplo : 00:38 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年11月07日

マラヤーラム映画新作上映1311

当網站の名前の由来を久しぶりに思い出したぜよ。踊るかどうかはわからんが、元祖アメリカ帰りの博士が戻ってきた。先日のポストと前後してしまうが、こちらの方が先の上映。ってか、現地で11月14日封切りのものを16日に首都圏でってマジかぁぁぁ?

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Geethaanjali (Malayalam - 2013) Dir. Priyadarshan

原題:ഗീതാഞ്ജലി
タイトルの意味:女性の名前。タゴールの詩集のタイトルとしても有名で、一般的には「歌の捧げもの」と訳されている。マニ・ラトナム監督作品で同名のテルグ映画(こちらに英語字幕つき全編動画あり)もあるが本作とは無関係。レーカー主演の同名のヒンディー映画とも無関係。本作のロゴを見ると、ギーターとアンジャリという、これまた良くある女性の名前がふたつ組み合わされたもののようにもとれる。
タイトルのゆれ:Geethanjali, Geetanjali, Gitanjali

Cast:Mohanlal, Keerthy Suresh, Nishan, Innocent, Siddique, Nasser, Madhu, Seema, Harishree Ashokan, Ganesh Kumar, Ambika Mohan, Shobana (guest appearance), Suresh Gopi (guest appearance)

トレーラーhttp://youtu.be/7RBM46gPojE

■日時:2013年11月16日(土)、 開映18:00
■料金:大人2250円、11-16歳の子供1500円、6-10歳の子供1000円
■字幕:なし
■上映資材:不明、後日追記
■上映時間:不明、後日追記
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)
■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Movie.Geethaanjali
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Malayalam.Theatre.Tokyo
■参考レビュー集成(この先も随時更新予定):http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/11/geethaanjali-malayalam-2013.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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やってくれるでねえの、Manichitrathazhu (Malayalam - 1993) からきっちり20年後に。

もう何から始めたらいいのか分からないほどに色々な事が頭ん中をぐるぐるしてんだけど、何とか自分を落ち着かせてアウトラインだけを簡潔にまとめるよう努めよう。

Geethaanjali は、今から20年前に公開され、マラヤーラム映画史上の不朽の名作といわれている Manichitrathazhu(上イメージ)の「スピン・オフ」を自称するホラー映画である。ここで言うホラーとは、超常現象を扱うものだけでなく、サイコ・スリラーをも含む広い意味のジャンル名と考えていただきたい。今回作品は、公開されているイメージなどから、クリスチャン社会をバックグラウンドに持つもののようにも予想される。そしてオリジナルと同じく、憑きものが主題となっているようだ。なぜ続編ではなくスピン・オフと言っているのかはよく分からない。呼び名は何であれ、過去のヒット作の登場人物を使って正編とはほとんど関係のないストーリーを作る(しかも監督をはじめとしたスタッフはオリジナルとは別人のことが多い)というのは、なぜかマラヤーラム映画界ではよくある。多くの場合このパターンの作品はしょぼい結果に終わるのだが、今回の布陣はかなり豪華なのでやはり期待せずにはいられない。

本作は Manichitrathazhu の重要登場人物(主役といっていいのかはわからない)であるドクター・サニー・ジョーゼフ(ケララ的発音ではサンニ・ジョーセフ、Mohanlal)を再登場させたストーリーではあるが、上に書いたような理由から、オリジナルを見ていなくても充分に楽しめるものなのではないかと思える。もちろん、Manichitrathazhu にまつわる楽屋落ちもサービスとして用意されてはいるだろうが。

なので、本質的なかかわりはないだろうが、ここでこれまでの関連作品をおさらいしておこう。

第一次作品群
Manichitrathazhu (Malayalam - 1993) Dir. Fazil
Cast:Mohanlal, Shobhana, Suresh Gopi, Sridhar, Thilakan
Aaptha Mitraa (Kannada - 2004) Dir. P Vasu
Cast:Vishnuvardhan, Soundarya, Ramesh Aravind
Chandramukhi [邦題:ラジニカーント★チャンドラムキ − 踊る!アメリカ帰りのゴーストバスター] (Tamil - 2005) Dir. P Vasu
Cast:Rajinikanth, Jyothika, Prabhu, Vineeth, Nayanthara
Rajmahal [Raj Mahal] (Bengali - 2005) Dir. Swapan Saha
Cast:Prosenjit, Rachana Banerjee, Abhishek Chatterjee, Anu Choudhury
Bhool Bhulaiyaa (Hindi - 2007) Dir. Priyadarshan
Cast:Akshay Kumar, Vidya Balan, Shiney Ahuja, Vineeth

第二次作品群(続編)
Aaptha Rakshaka (Kannada - 2010) Dir. P Vasu
Cast:Vishnuvardhan, Sandhya, Vimala Raman, Lakshmi Gopalaswamy, Vineeth, Avinash
Nagavalli (Telugu - 2012) Dir. P Vasu
Cast:Venkatesh, Anushka Shetty, Richa Gangopadhyay, Kamalinee Mukherjee, Shraddha Das, Avinash

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GTJmadhu.jpgGTJsiddique.jpgGTJInnocent.jpg
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出演者に関しては例によってざっくりと。なおイメージには本作のスチルではないものも含まれている。

普段はお茶目で冗談好きな風来坊、でも本当のピンチになると、沈着で洞察力に富んだ頼れるセンセイ、確かに一作だけの登場で終わらせるのは勿体ない、そんなサニー博士を演じるモーハンラール(上段左)は、マンムーティと並ぶマラヤーラム映画界のツインタワーの一人。『追われた人々』、『最後の舞』など、アート系の出演作がいくつか日本でも映画祭上映されている。銀座の老舗ナイル・レストランの初代店主アイヤッパンピッライ・マーダヴァン・ナーイルの伝記映画を来日して撮影するという公約は未だ果たされていない。日本語訳したプチ・インタビューもあるよ。

本作でヒロインとして幸運なデビューを果たすキールティ・スレーシュ(上段中)は、1980-90年代のマラヤーラム映画でヒロインとして活躍したメーナカーとプロデューサーであるスレーシュ・クマール(その制作会社レーヴァティ・カラーマンディルについてはこちら参照)との間に生まれた娘。役者としての力量は全く未知数だが、ホラー映画の取り憑かれ美女役というのは演技力よりは思い切りの良さが肝要。『チャンドラムキ』でのブレイク前に Vismayathumbathu でキョーレツな憑きもの芝居をしていたナヤンターラを見習って頑張ってほしいものだ。

ヒロインの夫もしくは婚約者を演じることになるニシャン(上段右)は、カルナータカ州クールグの出身でありながらカンナダ映画には一本も出演せず、これまでのキャリアの大半がマラヤーラム映画で占められる(こちら参照)という変わり種。シヤーマプラサード監督の文芸的な新感覚映画 Rituここで紹介)でデビューして以来、主としてニューウェーブ的作品に顔を出してきた。本作撮影中に行われたインタビューもあり。

1933年生まれ、本年80歳となったマドゥ翁(中段左)はマラヤーラム映画史の生き証人。1960-70年代にはプレーム・ナシール、サティヤンと共に人気を三分する大スターだった。マラヤーラム映画初のホラー作品とされている Bhargavinilayam にも出演。重々しい風貌(その割には今でもB,C級作品にホイホイと顔を出すのだが)が本作ではどう生かされるか。

マラヤーラム映画界売れっ子悪役ツートップの一人、シッディク(中段中)については、以前に書いた。今回はズラなしのガチ地肌出演。

イノセント(中段右)については前回にちょっとだけ書いた。本作の方が復帰第一作となるだろう。この人は20年前の Manichitrathazhu にも出演している。

ハリシュリー・アショーカン(下段左)はベテラン・コメディアンの一人。際立った芸風は、えーと…寄り目。本作ではおそらく一番ベタなお笑いを担当するものと思われる。

お色系演技派女優だったシーマさま(下段中)についても、以前に書いた。80年代をヒロインとして働きづめに働いた後、子育て期間を経て2000年過ぎからテレビと映画に復活。現在は肝っ玉母さんという役どころが多い。

ザ・デュオ』、『ロージャー』『ボンベイ』など、一連のマニ・ラトナム監督作やラジニ映画への出演で日本でも知られているタミル俳優ナーサル(下段右)は、ビジュアル的に一番気になる。シリアン・クリスチャンのマランカラ派の坊さんの装束だろうか。出来れば悪魔払いとかオイシい展開に持っていってほしいもんである。

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監督のプリヤダルシャンについては今更何を書いたらいいのか迷う。面倒なんでパスしてしまいたくなったけど、当網站の名前の由来でもあるわけだし、最低限のことだけ書いとく。1957年ケララ州トリヴァンドラム生まれ、モーハンラールとは学生時代からの親友だった。1980年代からマラヤーラム映画界で監督として活躍を始め、1990年代後半からボリウッドに進出し、一定の成功を収めた。サウスからボリウッドに出張って行って上手くいった例としてはマニ・ラトナム、ラーム・ゴーパール・ヴァルマーと並び御三家といってもいいかもしれない。巨匠マニが作家性を追及し、鬼才ラームがトンガリ路線を追及してるのに対し、プリヤン先生は徹底したベタベタ大衆迎合&省エネ・リメイクで大成功、銭の稼げる監督として確実な地歩を築いた。ただ、どうなんだろね、その勢いも4,5年ぐらい前から若干陰りが出てきたようで、ヒットの快音が聞こえなくなってきている今日この頃だ。古巣のマラヤーラム映画界で親友のラルさんと組んでもう一回盛り返すことができるかどうか注目したい。

なお、プリヤン監督は、サニー博士が初登場した1993年の Manichitrathazhu では、ファーシル監督の下で「セカンド・ユニット」と称する分業集団の中で部分的に監督をこなしてもいる。このセカンド・ユニットには他にもシビ・マライルやシッディク・ラールなど、今日トップ監督として知られる人々が名前を連ねていた。さらにプリヤン監督は Manichitrathazhu のヒンディーリメイクである Bhool Bhulaiyaa を2007年に手がけ、手堅く成功させている。

日本とのつながりで言えば、1998年に大ヒットして、先日リバイバル公開もされた『ムトゥ』の原作である Thanmavin Kombathu (Malayalam - 1994) の監督でもある。また、ボリウッドでの初期のヒット Virasat (Hindi - 1997) は、『VIRASAT(ヴィラサット)~愛と宿命の決断』の邦題で日本語字幕つきDVDになったりTV放映されたりしたこともある。

音楽監督のヴィディヤサーガルは、1980年代末から映画音楽の活動を始めており、まずテルグで、後にタミル、マラヤーラムでも人気作曲家となった。日本で公開された作品としては『チャンドラムキ』、『愛は至高のもの』がある。本作ではソングと共にBGMも手がけているようで、おどろおどろしい楽曲の録音シーン動画が公開されており、興味深い。

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簡潔になどといいながら、結局くどくどいっぱい書いてしまったが、頑張って予習しまくって膝を正して張り詰めて鑑賞するような映画でもないだろという気もしている。脱力してなんぼってのがマラヤーラム・ホラーのUSPだ。まあ気楽に楽しみましょうや。

投稿者 Periplo : 02:27 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年11月01日

【会場・時刻変更】マラヤーラム映画新作上映1312

テルグ映画で大騒ぎしてたら今度は最新マラヤーラム映画の上映情報が飛び込んできたよ。なんでも8月17日にクランクインして、11月末に現地封切り、そして12月8日に日本で上映ということらしい、凄いもんだねえ。

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Punyalan Agarbattis (Malayalam - 2013) Dir. Ranjith Shankar

原題:പുണ്യാളൻ അഗർബത്തീസ്‌
タイトルの意味:Holy Incense (作中で主人公が売り出すお香の商品名)
タイトルのゆれ:Punyaalan Agarbattis、Punyalan Agarbathis
タイトルの読み方:ぷにゃーらん・あがるばってぃーす

Cast:Jayasurya, Innocent, Nyla Usha, Rachana Narayanankutty, Aju Varghese, Idavela Babu, Sunil Sukhada, T G Ravi, Sreejith Ravi, Jayaraj Warrier, Ponnamma Babu, Leshoy, Sudhir Karamana, Mala Aravindan, Thesni Khan, Vinod Kovoor

公式トレーラーhttp://youtu.be/uz2TbNIFAwI(下ネタ注意)
東京上映チームによる監督インタビューhttp://youtu.be/O0hl6bLevMY(マラヤーラム語)

■日時:2013年12月8日、午後5:30 2:00開映(遅くとも1:30には開場しているとのこと)
■料金:大人2000 1900円、10歳以上の子供1000円
■字幕:英語
■上映資材:DVDとなる予定 DCP
■上映時間:不明、後日追記
■会場:東京都江戸川区東部フレンドホール 埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/PunyalanAgarbathisOfficial
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成(この先も随時更新予定):http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/11/punyalan-agarbattis-malayalam-2013.html
※上映に際しては10分程度のインターミッションあり。ただし食べ物のケータリングはなし。別料金でマサーラー・ワダとチャーイのサービスあり。また、ペットボトルなどの自販機は会場にあり。

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちらこちら(いずれも同内容)。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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■現状で分かる限りの導入部の粗筋
ケララ中部トリシュールに生まれ育ったクリスチャンの青年ジョーイ・ターッコールカーラン(Jayasurya)は、起業を夢見る楽天家。公務員や会社員になることは眼中になく、またより良いチャンスを求めて大都会に出て行くことも潔しとせず、地元で興すベンチャーでの大当たりを狙って、あれこれと試みるがどれも実を結ばず、結局妻のアヌ(Nyla Usha)が家計を支えている。あるとき、ジョーイはユニークな素材を使った線香の製造販売を思いつく。その素材とは象の糞。儀礼用に多数の象を擁しているヒンドゥーの大寺院との間で取り決めを交わし、マテリアルの安定供給を確保したジョーイは、Punyalan Agarbattis というブランド名で線香を売り出し、商売は順調に伸びてゆくかに見えた。しかしその矢先、原材料供給元の大寺院の管理委員会で議長の交代が起こり、新議長は象糞の下げ渡しを一方的に停止してしまう。新鮮な象糞を求めてのジョーイの奔走が始まる。

■見どころ予想、その他
Thoovanathumbikal から始まり、Pranchiyettan & The Saint、そしてイマイチな出来ではあったが昨年の Thiruvambadi Thampan まで、トリシュールを舞台にした映画作品には独特の空気が漂う。商都コーチンの北にあるこの中都市(ケララ第四の都市ということになってはいるが)は、名刹ヴァダックンナーダン寺院を中心に多くの歴史的な寺院・教会・モスクを擁し、また幾多の文学者や芸術家を輩出したことでも知られ、「文化首都」の異名を持つ。また、この地の住民が口にするマラヤーラム語には特異なアクセントがあり、余所者には真似が難しいと言われている。実際に本作にもイノセントをはじめとしたご当地出身俳優が幾人か登場している。

アクセントの問題については自分みたいなガイジンにはお手上げなのだが、トリシュール映画の風物として思い浮かぶのは、やっぱり象とシンクレティズム。 この二つについては Thiruvambadi Thampan の紹介の際にも書いた。象はズバリそのものが登場してくれるので説明はいらないだろう。シンクレティズムは、別にテーマとして中心に据えられているわけではないだろうし、そもそもがケララ全域に認められる現象であるのだけれど、各宗教の名刹が並び立ち、古式を保った祭礼が現在も盛んなトリシュールが舞台になると際立って見えるのだ。本作からは離れるが、トリシュール近郊クンナムクラムの聖ジョージ・シリア正教会の例大祭で聖ジョージ(ゲオルギウス)の聖像画が象の背中に乗せられて練り歩くとこ(動画あり)なんか見るとクラクラするよ。劇中でクリスチャンの主人公がヒンドゥー大寺院と商売上の関係を巡って揉めたりするのは、もちろんコミュナルな対立ではない。象の糞をめぐってお寺さん(といっても必ずしも坊さんではなく、州政府の管理下にあるデーヴァスワムという委員会が主体なのだが)とクリスチャンの起業家が対決するという馬鹿馬鹿しい構図に、ケララの地のいい加減でテキトーなシンクレティズムを感じ取ることができれば本作はそこそこ楽しめるのではないかと思う。

Passenger (Malayalam - 2009) でデビューしたランジット・シャンカル監督も本作で4作目。2作目の Arjunan Saakshi (Malayalam - 2011) はメタメタ、3作目のMolly Aunty Rocks ! は批評家から一定の評価を得たものの興行的には振るわなかった。トリシュール生まれのシャンカル氏は連続テレビドラマの脚本家からスターし、2009年の Passenger でセンセーションを巻き起こした。当網站が行きがかり上追いかけることになってしまっているニューウェーブの担い手の中では比較的早くに登場している。その分、後発の連中と比べると生真面目で、スタイリッシュ映像に妙に凝ったりすることもなく、またハイパーリンクシネマという形式にうつつを抜かすこともない。正統的なストーリーテリングに信頼を置き、一定の社会性を持った作品を作り続けていこうとしているようだ。

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Aju.jpgRachana.jpgSreejithRavi.jpg

出演者に関してはざっくりと。なお、上の写真は必ずしも本作のものではない。

ジャヤスーリヤ(上段左)はコーチン近郊生まれの35歳。2000年ごろに端役で映画デビュー、それまではTVの司会や物真似芸などをしていたという。デビュー後ほどなくしてトップキャストにクレジットされるクラスの売れっ子となったが、多くの場合セコイ系の悪役だった。典型的なのが Classmates (Malayalam - 2006) での、主人公と対立する学内政治グループのリーダー役か。時に主演を張ることもあったが、これがほとんどの場合「脳内お花畑」系のお笑いヒーロー。こちらの典型は Ivar Vivahitharayal (Malayalam - 2009) か。悪いがあまり笑えなかった。長身、小顔、色白、適度に筋肉質という要素が揃っても、椰子國では必ずしもマス・ヒーローにはなれないということの格好の見本だった。風向きが変わり始めたのは2011年あたりから。 JanapriyanBeautiful、それに翌12年の Trivandrum Lodge という一連のニューウェーブ系で良い脚本に恵まれ、半端ヒーローとしてよりもハイレベルの演技者として評価された。今後の活躍が期待される中堅スターである。本作では初のプロデュースにも取り組んでいる。

ナイラ・ウシャ(上段中)は本作でやっと2作目となるフレッシャー。トリヴァンドラム生まれだが長らくドゥバイに住んでおり、デビュー前は湾岸ベースの人気FM局でのラジオ・ジョッキーだったという。映画デビューは Kunjananthante Kada (Malayalam - 2013) で、マンムーティの妻役だった。デビューでいきなり熟年スーパースターの奥さんかい!とのけぞったが、実生活でも既婚で5歳児の母だという。こういう新人が出てくるところがマ映画界の面白さだわなあ。

イノセント(上段右)は、言わずと知れたマラヤーラム映画界お笑い二大巨頭の一人。オフィシャルサイトはこちら。1970年代初頭から活躍を続けてきていたが、昨年の後半に初期の喉頭癌を診断されたとしてファンを心配させた。しかし治療の後、今年の夏ごろには現場に復帰し、出演作もこれから続々と封切られる見込み。二大巨頭の片われであるジャガティ・シュリークマールがやはり昨年後半に交通事故に遭い、こちらは現在復帰の見込みが立っていないことを考えると、大変に心強いカムバックである。

アジュ・ヴァルギース(下段左)は、友人であるヴィニート・とっちゃん坊や・シュリーニヴァーサン(過去にここで紹介)に引っ張られる形で映画界入り。自分をあくまでもサイドキック俳優と見なし、タイプキャストを恐れない姿勢はこちらのインタビューから覗える。ヴィニート監督の Thattathin Marayathu (Malayalam - 2012) でのサイドキックぶりはなかなかに好感のもてるものだった。

ラチャナ・ナーラーヤナンクッティ(下段中)はトリシュール生まれのTVドラマ女優。今年に入って映画出演がどっと増えてきた。どちらかといえばコメディエンヌ的な立ち位置か。Amen (Malayalam - 2013) での主人公の姉役は高い評価を得た。

シュリージット・ラヴィ(下段右)もまたトリシュール出身。同地で、父であるTGラヴィ(本作にも出演している)と共にタイヤ会社を経営しているという。2000年代の中頃から主として悪役で顔を見せるようになってきた。台詞があるかないかというくらいの軽い扱いのものも少なくないが、愛嬌ある顔立ちはまさに「ザ・椰子國おっちゃん」という印象で筆者は密かに注目している。本年のIFFJで上映された Celluloid (Malayalam - 2013) では、初期のマラヤーラム映画人スンダルラージを好演した。

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止まらなくなっていっぱい書いちゃったけど、まあ椰子國呑気を気楽に楽しめる小品じゃないかと思うよ。各種の芸能を垣間見ることもできるんじゃないかと期待。

投稿者 Periplo : 22:00 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年10月31日

PJ2012-29:Molly Aunty Rocks !

ガールポップならぬオバちゃんポップを目指したものだったのか。
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Molly Aunty Rocks !

Director:Ranjith Shankar
Cast:Revathy, Prithviraj, Lalu Alex, KPAC Lalitha, Sharath, Mamukoya, Guruvayoor Sivaji, Sunil Sukhada, Lakshmi Priya, Krishnakumar, Rajesh Hebbar, Majeed

原題:മോളി ആന്റി ROCKS!

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間7分

ジャンル:人情
キーワード:NRI、税務署、クリスチャン、チャリティー、パーラッカード

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/molly-anty-rockes-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
Passenger (Malayalam - 2009) でデビューしたランジット・シャンカルの監督第3作目。第2作目の Arjunan Saakshi (Malayalam - 2011) はいまひとつ振るわなかったが、レーヴァティ小母様を主役にすえた本作では挽回が叶うだろうか。

米国籍NRIであるモリー(Revathy、ケララ的発音ではモーリだが)は夫ベニー(Lalu Alex)と二人の娘と共に平穏な家庭生活を営んでいたが、訳あって単身パーラッカード地方に数年間滞在し、銀行員として勤めていた。オフィスワーカーとしてのモリーは機転が利き、規則に縛られない柔軟な采配で同僚や顧客から信頼されていた。ある日モリーは税務上の小さな問題を処理するために税務署に赴くが、そこでシャームスッディーン(Sunil Sukhada)という署員に賄賂を要求されてブチ切れる。彼女は上長に直に掛け合おうとするが出張中と断られる。税務署長プラナヴ・ローイ(Prithviraj)の帰還を待っていらいらと過ごす彼女の元にある日郵送されてきたのは巨額の追徴課税通知書だった、というのが三分の一ほどの粗筋。

タイトルはどう訳したらよかんべね。「モリーおばちゃんがキてる!」とか「「モリーおばちゃんはやりよる!」あたりか。ヒロインのモリーは、職場の采配ではとても融通が利く、だけど賄賂などのインド的な方便に対してはNRI的に断固として拒否する。そして日常生活ではかなりおっちょこちょいでもある。この第三のキャラが若干弱かったような気がする。お魚咥えたドラ猫を追っかけろとまでは言わないけどもう一押し欲しかった。なんで、最初に期待した「オバちゃんポップ」とはちょっと違う、真面目な感じの仕上がりになっている。まあ、これがランジット・シャンカル監督の作風なんだろうけどね。ストーリーとしては追徴課税を巡る中盤からの攻防が手に汗を握る出来、税務スリラーとしては大変にお勧め。ただしラストの落としどころはどうだったかな。ストーリー繰り伸ばしのために秘密をキープした部分が多すぎたようにも感じた。それに込み入った事情を紙芝居風のイラストで説明という手法も手抜きっぽかった。

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演技者としては、もちろんレーヴァティさんが張り切っていた。かつての小鳥のような姿を知るものにとっては感無量の堂々とした姿。欲を言えば監督として現場にいるときのおっそろしいほどの迫力も見せてほしかった。

ちょっとした権力を笠にきて人もなげに振舞う若き税務署長を演じるプリトヴィラージも凄くいい。当サイトではこれまでぴい君に対して心無い誹謗を繰り返してきたわけだが、こういう心底嫌な奴を演じさせたときのハマり具合は凄いよ。悪役に転向してくれたら全力で応援するのになあ。

しかしそのプリトヴィラージが霞むくらいのウルトラ嫌な奴が本作で彗星のごとくデビュー(厳密に言えば前年のこれなどにも出演していたのだが)。モリー小母さんに賄賂を要求する税務署の木っ端役人シャームスッディーンを演じたスニル・スカダ(上右写真)だ。例によって、それまでは何してたんだという熟年デビュー。フィルモグラフィーはこれだけしか分かってない。バイオグラフィーも今のところ英語では見つからず。ともかく、薄っ禿げ、脂の乗り、たるみ、スケベそうな胡乱な目つき、下卑た笑い、世の女性が嫌悪するだろう諸要素を純粋結晶させたような恐るべき異貌だ。上のフィルモグラフィーによれば、2013年の出演作は22本を数える売れっ子ぶり、この顔は覚えといても損はない。

ということで、カタルシスが味わえるかというとちょっと疑問だが、色々と楽しませてもらいました。オバちゃん映画にはこれからも期待したい。

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このシーンにはちょっとクスリとさせられた。ただしこの本の著者についてちょっとは知らないと笑えない。この辺がマ映画の難しいところ。

投稿者 Periplo : 03:36 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年08月20日

PJ2012-28:Thappana

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こっ、これは…。ケララ版一本刀土俵入りってやつか?それとも還暦土俵入り…(違う)

Thappana

Director:Johnny Antony
Cast:Mammootty, Charmi Kaur, Murali Gopi, Suresh Krishna, Guruvayoor Sivaj, Vijaya Raghavan, Ponnamma Babu, Mala Aravindan, Kalabhavan Shajon, Vijeesh, Sajitha Betti, Sadiq, Anil Murali, Irshad, Kottayam Nazir, Geetha Vijayan, Abu Salim

原題:താപ്പാന
タイトルの意味: decoy elephant
タイトルのゆれ:Thaappaana, Thaappana

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:一部ストップする箇所あり
DVDのランタイム:約2時間9分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ムショ帰り、復讐、ポッラーッチ、カンヌール、山間の僻村

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/thappana-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

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【寸評】
能天気な独り者のコソ泥サムソン(Mammootty)はいつものお勤めを終えてカンヌール監獄から出所するが、偶然同時に女囚房から出てきたメーリクッティ(Charmi)の沈鬱ににただならぬものを感じる。成り行きから彼は、メーリクッティが夫のもとに戻るのに付き添うことにする。しかし辿りついた山間の僻村ではショッキングな出来事が待っていた。

しばらく前に当シリーズで紹介したシリアスなミステリー、Masters と同じジョニー・アントニーの監督作だが、本作は打ってかわってのユーモア人情譚。こちらが本来のアントニー節だ。マンムーティが演じるのは、すでに一つの型になっていると言えるかもしれない「お人よしで呑気でお節介な熟年ブルーカラー野郎」。パターンを踏んではいても、丁寧に作られ心をこめて演じられているものは、観ていて大変に心地よい。

Thuruppu Gulan (Malayalam - 2006) 以来、ジョニー・アントニー監督は最低でも一曲「マンムーティを踊らせる」というチャレンジを自らに課しているようで、本作でも ♪Oorum Perum Parayathe というナンバーでメガスターの華麗なステップが披露されている(楽曲としてもヒットとなったようだ)。完全に裏取りはできていないが、振り付けはディネーシュ・クマールが担当したようだ、ご苦労さんです。

なお、タイトルの「ターッパーナ」とは、里に下りてきて農作物を荒らしたりする野生象を制御するため差し向けられる訓練された象をさす言葉。通常は調教されやすい雌象が(群れが雌象を中心に作られるということもあり)この任にあたるという。本物の象は一切登場しない本作のタイトルにこの語があてられた理由はいま一つ良く分からない。

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Aagathan (Malayalam - 2010) Dir. Kamal に続き二本目のマラヤーラム映画出演となったチャールミー。テルグ映画ではこれまでは基本的にセクシー路線でやってきたけど、ここのところちょっと太っちゃって出演作も減ってきている(まだ20代だってのにさ!)のが残念なところ。でもマ映画ならまだまだ行けるね。陰のある人妻役、汚れ衣装で化粧っ気がなくてもこんなに可愛い。ソングシーンではコスプレで華を演出するあたり、製作者はよく分かってると思ったよ。

投稿者 Periplo : 21:14 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年08月09日

PJ2012-27:Thiruvambadi Thampan

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Thiruvambadi Thampan

Director:M Padmakumar
Cast:Jayaram, Haripriya, Nedumudi Venu, Jagathy Sreekumar, Thambi Ramaiah, Kishore, Suraj Venjharamoodu, Kalabhavan Mani, Sreejith Ravi, Majeed, Kalabhavan Shajon, Sadiq, Nandhu, Pala Charlie, V K Sreeraman, Jayaprakash, T G Ravi, Babu Namboothiri, Manraj, Anil Murali, Samuthirakani, Sudheer Karamana

原題:തിരുവമ്പാടി തമ്പാൻ
タイトルの意味:主人公の名。ティルヴァンバーディが家名だが、これはトリシュールに実在するクリシュナを祀る有力寺院の名前でもある。タンバンは語源的には「弟」を意味するものらしい。
タイトルのゆれ:Thiruvambadi Thamban, Thiruvambaadi Thambaan

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間43分

ジャンル:ファミリー人情スリラー
キーワード:象、トリシュール、マドゥライ、クリスチャン、寺院の大祭、グーンダ、ビハールの象市、訛りで人物特定

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/thiruvambadi-thampan-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
冒頭の謝辞にトリシュールのヒンドゥー教、キリスト教の名刹がズラズラ連なって壮観。

今日、聖トマス像の(ヒンドゥー寺院の祭りでの)練り廻しこそ絶えてしまったが、村々では(ヒンドゥー、クリスチャンに)共通する神話や祭事に古くからのシンクレティズムが残っている。北ケララのトリシュールでは、毎年行われるプーラム祭で寺院の象たちに白い茎についたココナツの芽を食べさせるという名誉ある役目を担うのは、いまだにほとんどが在地のクリスチャンである。(William Dalrymple 、Sisters Of Mannarkadより、勝手訳)

これまでにも書いたことではあるけれど、ケララの衆の象好きっていったら、まあ尋常じゃない。日常生活で象に接する機会の多さでもインド一なのじゃないだろうか。現在でもコーチンのような都会にあってすら、特定の季節に象が一般家庭で「門付け」することは珍しくないし、インターネットには愛象家サイトまである。ケララの象は、祭事用に飼われている寺院の象と、山間部での労役用に飼われているものがメインで、他に自然保護区には野生の連中もいる。そして、ケララ象文化を代表する二つの表徴が、グルヴァユール寺院の象園、そしてトリシュールのヴァダックンナーダン寺院の例大祭であるトリシュール・プーラムだ。

それから象が重要な役割を担う映画作品も目立つ。「象映画」(aanakkadha)というジャンルでくくってもいいくらいじゃないか。ちなみに、象映画で一番有名なのは、グルヴァユール寺院に実在したカリスマ巨象・ケーシャヴァンをとりあげた Guruvayur Kesavan (Malayalam - 1977) Dir. Bharathan ていうのだ。

ケララ芸能界きっての象好きで知られるジャヤラーム(グルヴァユール寺院象園に自家用象を寄進しているという)が主演で、トリシュール・プーラムで象の世話をする誉れあるクリスチャン家系の当主を演じるというのだから期待は否応にも膨れ上がった。

しかし象映画+御館様映画としての見せ場は冒頭の数分のみ。先々代の回想シーンだけなんだ。それ以外はいつものジャヤラームのドタバタ・ホームコメディとタミル人を悪者にした州境アクションもどきのミックス。以前についでで紹介したことのある Vaasthavam (Malayalam - 2006) からはじまり、Kerala Cafe (Malayalam - 2009) の短編、そしてShikkar (Malayalam - 2010) と、パドマクマールの監督作は辛辣でヒリヒリとした語り口が魅力的で新作を待ちわびていたのだが、ちょっと空振り。次回作に期待したい。

全体的にイマイチな本作、どーでもいい末梢的な部分に目が行った。ひとつは、親分の号令一下、鎌を片手にどこにでも切り込みにいくグーンダの皆さんが、スマホを使ってるという点。初めて見たよ。さすが豊かなタミルのヤクザさんだ。それからふたつ目は、このイメージ。多分これは意図的にしつらえたんじゃなくて、たまたま映り込んでしまったものだと思う。象にしろなんにしろ、ケララの衆はど~んとデカいものに惹かれる部分があるんだろうかね。まあ、この問題については本シリーズでこの先紹介する「デブ映画」のところで掘り下げてみたいと思っている(駄法螺)。

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’カバディ・コーチ’キショールの強面も活かされたとは言い難かった。

投稿者 Periplo : 21:04 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月25日

PJ2012-26:Husbands in Goa

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Husbands in Goa

Director:Saji Surendran
Cast: Indrajith, Jayasurya, Lal, Asif Ali, Rima Kallingal, Bhama, Remya Nambeesan, Praveena, Kalabhavan Mani, Innocent, Suraj Venjaramoodu, Divya Padmini, Sarayu, Maya Unni, Leena Maria Paul, Anna Bartfai, Jens Westin

原題:ഹസ്ബന്റ്സ് in ഗോവ
タイトルのゆれ:Husbands in Goa - celebration without wives

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間30分

ジャンル:コメディー
キーワード:恐妻家、逃避、誘惑、列車旅

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/husbands-in-goa-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
Happy Husbands (Malayalam - 2010) がヒットして味をしめたシャジ・スレーンドラン監督が再び送り出した複数カップルのドタバタ・コメディー。ただし前作の続編とはなっていない。また前作はタミル映画のリメイクということだったが、今回のものは一応オリジナル脚本であるようだ。Happy Husbands のカップルはジャヤラーム+バーヴァナ、インドラジット+サンヴリタ・スニル、ジャヤスーリヤ+ヴァンダナ・メーノーンという顔ぶれだったが、本作ではインドラジット+リマ・カッリンガル、ジャヤスーリヤ+バーマ、アーシフ・アリ+ラミャ・ナンビーシャンという組み合わせになっている。ジャヤラームが抜けた分、ぐっと平均年齢が下がったわけだが、どうなんだろうね。夫婦生活からエスケープしてリゾートで羽を延ばす疲れた夫、というのが第一のモチーフにあるのだが、もうちょっと年齢の高い俳優を使った方がペーソスが出たんじゃないか。そのあたり、制作者も多少は考慮したのか、途中から謎の不良中年ラールを登場させたが、夫婦コメディーというよりは学園ものみたいな雰囲気は完全には払拭できなかった。若者という設定のはずなのにそれを中年俳優が演じることがこれまでは多かったマ映画としては珍しいのだけれど。

コメディーとしても、Happy Husbands よりもさらに無害なものとなった感がある。妻からの逃避行であるからには当然のこととして浮気モチーフが登場するわけだが、これが完全に毒気を抜かれたファミリー安心仕様。ストーリーの落ち着き先が見え切っているだけでなく、個々のギャグもワンテンポ前に「こう来るな」と予測できてしまうベタベタぶり。それでもオーナム・シーズンに封切られてそこそこのヒットを記録したという。

しかし本作で特筆すべきはコメディーではなく、(レイル)ロードムービー的な部分。おそらくはコーチンと思われるケララ中部の町から出発して、ゴアのマドガーオン駅に着くまでのパートはそっくりそのまま、鉄道映画の不朽の名作 NO:20 Madras Mail (Malayalam - 1990) Dir. Joshiy へのオマージュとなっているのだ! 『マドラス急行』でお茶目な車掌さんを演じたイノセントが同じ役で登場し、『マドラス急行』の劇中歌がリミックスで歌われたりする。これは年季の入ったファンには堪えられないもののはずだ。もうこれがハイライトといってもいいくらいで、一行がゴアに到着したところで何ともいえない寂しさにおそわれたのだった。

しか~し、落としどころがバレバレでかったるいこのゴアの部分を我慢して見続けたところ、最後にとんでもないご褒美が待っていた!ラストの4分だ。こればっかりはネタバラシをしたくない。まったくもってつまらない思いつきに過ぎないものなんだけど、この4分で本作は筆者にとって生涯忘れられないものとなったのだった。ここだけの評価なら★×100だ。是非ともご覧いただきたい。

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2012年3月の不慮の交通事故さえなければ、ここにジャガティ・シュリークマール演じるパーラッカード線区の車掌さんも加わっていたんじゃないかと思えてならない。

投稿者 Periplo : 23:58 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月24日

PJ2012-25:Banking Hours 10 to 4

こうして眺めると、B級芸能人大集合お笑いショーみたいな感じにも見えるね。人相の悪い奴らをまとめて見たい!という人には効率のいい一本かもしれない。

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Banking Hours 10 to 4

Director:K Madhu
Cast:Anoop Menon, Meghna Raj, Sudheesh, Ashokan, Pala Charlie, Kailash, Aditya Menon, Nishant Sagar, Arun, Kiran Raj, Jishnu, Munna, Shafna, Shankar, Sathar, Majeed, Ambika Mohan, Manraj, Tiny Tom, Vishnupriya, Vijay Menon, Mithun Ramesh, Raghavan, Krishna, Sarin H Nair, Sreelatha, Sarayu, Renjith, Lakshmi Priya, Biyon, Surabi, Midhu Ramesh, Manoj Paravoor, Roshan

原題:ബാങ്കിംഗ് അവേഴ്സ് 10 to 4

DVDの版元:
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間52分

ジャンル:スリラー
キーワード:コーチン、銀行強盗、ソングなし、殺人事件、密室、親に隠れた男女交際

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/banking-hours-10-to-4-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
コーチン市内のとある銀行にそれぞれの用事でやって来た雑多な人々。そこに突発的事態が起き、さして大きくもない建物は外界から遮断される。そして彼らは否応無しにある種の運命共同体となってしまう。などと書くと、またしてもニューウェーブのハイパーリンクかい、と身構える向きもあるかもしれないが、ご安心を。監督は1980年代半ばから25年以上の長きに渡ってクライム・スリラーを専門に撮り続けてきた大ベテラン、Kマドゥーさんだ。当網站では過去に Nadiya Kollapetta Rathri を取り上げたことがある。本作も、舞台こそ市中の銀行でありながら、NKR と同じく『オリエント急行殺人事件』のような密室性の中での謎解きものとなる。なんで、やたらと登場人物が多いけどそれは犯人を分かりにくくするためであって、ニューウェーブ的な気取りとは無縁がなんだ。ソングシーンが一切ないというのもこの人の作風の中では珍しくない。

まあさすがにスリラー一筋でやってきた人の作品なんで、大きな破綻はない。ただ、Grandmaster にあったような深みのある人間ドラマはここにはない。なおかつ密室劇なのでややもすると間延びして単調になる。そこを何とかしようとして、神父として登場するアショーカンを変な形でハッスルさせる策がとられたのだが、これは不発でかなりイタいことになってしまった。徐々に緊張感が盛り上がってきたのに中盤のこのシーンで一気に脱力、痛恨のミスとしか言いようがない。

そういうマイナスはあるものの、婦警さん(ここではメーガナ・ラージさんが演じる。相変わらず肌荒れが痛々しいけど)も出てくるし、一度は見といても損はない一本。

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謎解きの舵取り役をアヌープ・メーノーンなんかじゃなくメーガナ・ラージさんに任せるくらいの外連味があっても良かったんじゃないかと思うよ。

投稿者 Periplo : 23:59 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月23日

PJ2012-24:Chapters

もしかしたらこの中に、明日のスーパースターがいるのかもしれんが。
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Chapters

Director:Sunil Ibrahim
Cast:Nivin Pauly, Vijesh, Dhananjay, Hemant Menon, Sadiq, Manikandan, Vanitha, Kalabhavan Haneef, Srinivasan, KPAC Lalitha, Kalabhavan Shajon, Pala Charlie, Vineeth Kumar, Shine, Rejith Menon, Riya Saira, Aju Varghese, Gautami Nair, Guruvayoor Sivaji, Majeed, Lena

原題:ചാപ്റ്റേഴ്സ്

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間52分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、ハイパーリンク、希少動物闇売買、ヒルステーション、ハワラ、デビュー監督

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/02/chapters-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
例によって例のごとしのハイパーリンク・シネマ。全体が4つのチャプターに分けられ、個々の章のエピソードは独立しているかに見えるが、一部の登場人物が重複し、弱いつながりを持ちながら最終章のドン詰まりで一応もつれた糸が繋がってくるというもの。

以前の Friday の紹介では、「人々がそれぞれの事情でバラバラに営む生活の、不規則で無秩序な分子運動の中で偶然が連鎖し、まるで神の手によるかのようなストーリーが生まれることを提示しようとする試み」と書いたが、本作はまさにその典型。スーパーヒーローなき時代に、ドラマの中で倫理的な裁きを下す(下す必要があるとして)のは、運命か、あるいは運命のように思われる偶然しかない、ということがよくわかる。それはそれでいいのだけれど、スーパーヒーローによるスーパーお裁きに匹敵するような、鮮やかな映画的興奮がラストで味わえるかというと、ちょっと弱い。特に群像映画の登場人物のほとんどが若手の新進俳優で占められるとなるとね。脚本が良くできているとして批評家からの受けは良かったが、興行成績は追いつかなかったらしい。それは実見すればよくわかる。小粒な連中のちまちました芝居を見てるのがかったるい。実際のところ、第二章になって、比較的小さな役のKPACラリタ小母さんが登場した時にはじめて画面が引き締まり、「待ってました、千両役者!」と叫びたくなったほどだ。できればラリタ小母さんのエピソードだけで一本撮って欲しかったとこだ。

例によって例のごとく、4章を通じてのバックグラウンドの通奏低音は「貧乏」。特に、第一章での「湾岸に出稼ぎに行って家は建てたものの、帰郷してからは収入がなく、再び出かける体力はない」という親父のエピソードが印象に残った。マ映画のお家芸である、さまざまなニュアンスの貧乏の形が味わえるというのが本作のお得ポイントかもしれない。

味があるすぎるお二人さん。
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投稿者 Periplo : 22:47 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月22日

PJ2012-23:Thattathin Marayathu

「北ケララにしか存在しない、真夜中に吹き渡る特別な微風」というものがあるそうな。
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ヴィニート・シュリーニヴァーサンの監督第二作目、少女趣味大爆発。しかし(それゆえに、なのかな?)若い観客を中心に大受けしたという。プロデュースは親父シュリーニヴァーサンとムケーシュのコンビ。Katha Parayumbol (Malayalam - 2007) Dir. M Mohan 以来ということになるか。

Thattathin Marayathu

Director:Vineeth Srinivasan
Cast:Nivin Pauly, Isha Talwar, Aju Varghese, Bhagath Manuel, Manoj K Jayan, Sreenivasan, Aparna Nair, Deepak Parambol, Ahmed Siddique, Sunny Wayne, Sreeram Ramachandran, Manikuttan, Niveda Thomas, Srinda Ashab, Ramu, Subheesh Sudhi, Ramakrishnan

原題:തട്ടത്തിൻ മറയത്ത്
タイトルの意味:Behind the Veil
タイトルのゆれ:Thatthathin Marayathu

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間6分

ジャンル:ロマンス
キーワード:異教徒間恋愛、マーピラ、パルダー、タッタム(ヴェール)、タラッシェーリ、ダフ・ムットゥ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/02/thattathin-marayathu-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
いわゆるヒンドゥー・ムスリム異教徒恋愛もの。冒頭からクライマックスまでどこを切り取ってもありがちすぎる&先が読めすぎる展開。正直なところ何がケララの衆の心の琴線に触れたのかさっぱりわからない。

きっとどこかでフェミニストの人が丁寧に分析していることだと思うが、ヒンドゥー・ムスリム恋愛ものには政治性が付いて回る。分かりやすいところで言えば、このジャンルの黄金パターンはヒンドゥーの男×ムスリムの女という組み合わせで、その逆というのはソーシャル娯楽映画ではとても少ない(逆パターンの実例として、以前にここで紹介した Avakai Biryani がある)。なぜならば、インドにおける結婚というものが、現実として女を男の家の中に取り込むことを意味するのがほとんどだから。マジョリティーのヒンドゥーの男がマイノリティーのムスリムの女を取り込む(改宗させるかどうかは別として)というのは、マジョリティーのヒンドゥーの観客にとって安心できる構図である。それはヒンドゥー教世界で古くからある「順毛婚」という概念にも合致する。それが逆となると、マジョリティー観客にはあまり気分のいいものでないのは、ラブ・ジハードをめぐる騒ぎなどからも明らかだろう。

その点では本作も安全路線を採っていて、コミュニストのナーイルの男(一般的にはヒンドゥーと見なされる)+ムスリムの女という組み合わせになっている。その中でユニークなのは、男の方からのムスリム文化への歩み寄りが見られるという点。そして何よりも男がパルダー・フェチ(パルダーの原義は男女隔離であるというが、ここでは狭義の「頭髪を隠すヴェール」としてつかわれている)であるという点だ。それが突き詰められた作中のプロポーズの台詞には驚倒した、ネタバレでも構わないという人のみこちら参照。純愛とフェティシズムは共存しうるのか、という疑問に極東のオタクは悶々とするのだが、現地のレビューでこの点に突っ込んでいるものは見当たらなかった。

上に書いたように、ストーリーにはほとんど新味がないが、それではヴィニートによる語りはどうなのかというと、全編が過剰なロマンティシズムで貫かれていて、個人的にはかなり辟易する。冒頭に「Inspired from a famous photograph」とある(その有名写真とはこれであるとの説もあるが、確認はとれていない)が、なんかこう、全体に静止画をつなぎ合わせたようなぎこちなさがあるんだよね。ヒロインのイシャ・タルワールさんがまとうヴェールが、マラバールの微風になぶられて美しくはためく様子を、カメラは細心の注意を払い、絶妙の構図で愛しむように追いかけるのだが、ちょっと作為的すぎるように感じた。っていうか、ずり落ちそうで落ちないわざとらしいヴェールにイライラするのだ(『ボンベイ』の有名なこのソングのように、女のヴェールが剥ぎ取られることに象徴的な意味を持たせているのでもなさそうだし)。ちゃんとピンで留めなさい、だらしない!と超正統派みたいなことを画面に向かって叫びたくなる。

リアリティがあるといえば聞こえはいいが、悪役が似合いそうなニヤケ面のヒーロー&臈たけていると言えば聞こえはいいが、激しく老け顔のヒロインもどんなものか。

まあそれと、ヴィニート監督に特徴的な、変に年寄りじみた視点からの青春賛美が逆に幼稚に感じられてしまうんだ。「若さとは、こんなにも純粋で美しく愛おしいものなんじゃよ」と20代の監督に言われると中高年は鼻白むものなんじゃよ。

そんなこんなで、いまひとつ強力にお勧めできない本作なのであるが、これがヒットとなった理由には、1.ガイジンには理解しにくい地域性の描写や台詞の意味に奥深いものがあった、2.すれっからしではなく、マ映画の過去の歴史にもあまり頓着しない若い「新人観客」が消費層として育ちつつある、の二つぐらいが考えられるのだが、どんなもんだろうね。

あー、だからピンで留めなさいって!
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投稿者 Periplo : 20:04 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年05月06日

PJ2012-22:run baBBy run

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run baBBy run

Director:Joshiy
Cast:Mohanlal, Amala Paul, Biju Menon, Shammi Thilakan, Sai Kumar, Siddique, Guruvayoor Sivaji, Vijaya Raghavan, Anil Murali, Anpoop Chandran, Aparna Nair, Mithun Ramesh, Krishna Kumar, Ponnamma Babu, Majeed, Ameer, Biju Pappan, Babu Jose

原題:റൺ ബേബി റൺ
タイトルのゆれ:Run Baby Run, Run Babby Run

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間19分

ジャンル:コメディー・スリラー
キーワード:メディア戦争、サイン・オフ、特ダネ、すっぱ抜き、超高性能隠しカメラ、悪徳政治家、政商

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/run-babby-run-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

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【粗筋】
ヴェーヌ(Mohanlal)は腕利きのフリーランス報道ビデオカメラマン。レーヌカ(Amala Paul)はバラト・ヴィジョンというTV局のアグレッシブなレポーター。二人は過去に恋人同士だったことがあるのだが、挙式を目前に控えた時期に起きたとある事件が原因で袂を分かち、以後は顔を合わせていなかった。拒否することができない諸事情から、二人は何年ぶりかに再会し、密告者によって予告された犯罪の一部始終を隠れて記録するという任務に共同であたることを命じられる。すっぱ抜きに成功すればケララ中に激震が起こるくらいの巨大スキャンダルとなる、しかし目前で行われる人命に関わる犯罪を抑止せずに記録のみすることは許されるのか。それよりなによりも、犬猿の仲である二人が力を合わせてスクープをものにすることが果たしてできるのだろうか?

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【寸評】
いや、ジョーシ監督も気が若いわ。今度は熾烈な競争に明け暮れるニュースチャンネル業界を舞台にしたスリラーだ。テンポのいい進行、安定の悪役、ご都合主義の少ない(全くないとは言わないが)よくできた脚本、何よりも里帰りしたアマラちゃんの可愛らしさ。これまでのマラヤーラムの出演といったら、デビュー作 Neelathaamara (Malayalam - 2009) Dir. Lal Jose と Ithu Nammude Katha (Malayalam - 2011) Dir. Rajesh Kannankara しかなく、どちらもチョイ役だったので、ヒロインとしての凱旋帰国は本当に嬉しい。

しかし微かな何かが熱狂を妨げている気もする。一時期よりは若干は体重を減らしたように見えるラルさんは、脚本が求める渋い枯淡と稚気とを併せ持ってカッコイイことこのうえないのだが、アマラちゃんとのいわゆる「ケミストリー」ってのが、なんかこう微妙なところで足りてない気がするのだ。いがみ合いながらもお互いにめちゃくちゃ意識しあってる元恋人同士っていう設定は魅力的なんだがなあ。正直言うと、若手俳優との撮影本番に臨む前日にアマラちゃんがラルお父さんを代役にして演技の稽古をしてもらってる光景に見えて仕方なかった。

まあでも、そんな贅沢な文句を垂れるのはこのくらいにしておこう。特に前半での凸凹コンビによる、ジェットコースター的というかスイング系絶叫マシンみたいな振れ幅のあるドンデン返しの連続はかなり面白い。一度は観といて損はない爽快娯楽作品。

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アマラちゃんだけにしか興味ない人にも自信を持ってお勧めできる。

投稿者 Periplo : 23:58 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年05月05日

PJ2012-21:Mayamohini

永久脱毛のCMじゃないのよ~ん♥ 
て、ただでさえ少ないアクセスがまたこれで減っちまうな。
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Mayamohini

Director:Jose Thomas
Cast:Dileep, Biju Menon, Lakshmi Lai, Mythili, Baburaj, Spadikam George, Unnikrishna Namboothiripad, Kalabhavan Shajohn, Vijaya Raghavan, Nedumudi Venu, Sadiq, Kochu Preman, Ponnamma Babu, Aravind Akash, Ryaz Khan, Ambika Mohan, Madhu Warrior, Radhika

原題: മായാമോഹിനി
タイトルの意味:主人公が名乗る女の名。マーヤーは「イリュージョン」を意味するがドゥルガー女神の異名でもある。モーヒニはヴィシュヌ神のアヴァターラの中で唯一の女神の名。
タイトルのゆれ:Maya Mohini

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間42分

ジャンル:コメディ
キーワード:ムンバイ、コーチン、成り済まし、リベンジ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/mayamohini-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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【寸評】                                                   
申し訳ないが最初に重大なネタばらしをしてしまう。本作でディリープが演じるのは女性ではなく、女に化けた男である。全編のだいたい4分の3ぐらいを女装で通す。封切り前からこの女装姿のポスター等がばら撒かれて好奇心を掻き立て、結果的に大変なヒットとなった。特に女性の観客に馬鹿受けだったらしい。ディリープの過去作品 Chanthupottu (Malayalam - 2005) Dir. Lal Jose でもそうだったんだけど、ケララの奥様&お嬢様方はなぜだか女装男を見るのがお好き。ストーリー自体は目新しくもなんともない、とある目的のために雌伏するヒーローがラストで満を持して立ち上がり闘う、というパターンのもの。その雌伏を文字通りの「雌」にしたってことだけがユニークなのだ。つまり本作は、ストーリーやナラティブに何かを期待して臨むべきものでは全然ない。ただディリープの女装だけが見どころなのだ。で、その女装をどう評価するかといえば、こりゃ凄いと言わざるを得ない。作中で男たちがメロメロになってしまうというのも、ほんの少し前までシャキーラが荒稼ぎしていたケララの風土を考えれば充分に頷ける(ただし、ムンバイのギャングまでもがイチコロというプロットだけは無理があった)。

話は飛ぶが、ケララの奇祭の一つにコッタンクランガラ・チャマヤヴィラックというのがある。毎年3月末頃に、コッラムにあるコッタンクランガラ・バガヴァティ寺院に女装した男達が列をなして詣でるというもの。これは異性装趣味の男性ではなく、(原則としては)そこいらにいる普通のオッちゃん、ニイちゃんが行うものなのだ。事情通の解説によれば、この女装行列は「苦行」のひとつの形なのだという。つまりタイプーサムで体中に針金を突き刺すのと本質は同じ(もっともその割にはノリノリのオッちゃんニイちゃんも多いという報告もあり)。この作品もまた、神への捧げものとしての苦行映画なのだ。

ディリープは、マンジュ・ウォーリアルと結婚して引退させた罪を償うための苦行。ディリープと仮面夫婦を演じなければならないビジュ・メーノーンはサミュークタ・ヴァルマと結婚して引退させた罪を償うための苦行。ディリープと☓☓☓までさせられるバーブラージは、ちょっと人気が出たからと主演までしちまった思い上がりを自罰するための苦行。観客にしてからが、償うべき罪などないなんていう御仁はいるわけもない。つまり、誰も彼もがつべこべ言わずに見るべき一作なのだ。良識あるケララの観衆はそれを充分に承知していたので大ヒットとなった、いい話じゃありませんか。

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できれば女装を剥ぎ取るシーンはもうちょっとホラー映画みたいな演出にしてほしかった。

投稿者 Periplo : 23:44 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年05月04日

PJ2012-20:Ozhimuri

「ナーイルの女は象のように歩め!」「象には象遣いが必要なのものだぜよ」
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Ozhimuri

Director:Madhupal
Cast:Lal, Asif Ali, Bhavana, Swetha Menon, Mallika, Kochu Preman, Jagadheesh, Sudhir Janardhanan, M R Gopakumar, Nandu Lal

原題:ഒഴിമുറി
タイトルの意味:Divorce document
タイトルのゆれ:Ozhimuri - Document of Separation

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間6分

ジャンル:アート
キーワード:penn malayalam, marumakkathayam(母系相続)、離縁、ティルヴァタンコード(トラヴァンコール)藩王国南部地方、州界再編

オフィシャルサイト: http://www.ozhimuri.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/ozhimuri-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★★

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【背景】 
タミルナードゥ州の最南端、カンニャークマーリ地方。そこは古くからトラヴァンコール藩王家の領地で、マラヤーラム語話者とタミル語話者が混住する地域だった。トラヴァンコール藩王国とその北のコーチン藩王国とはインド独立後の1949年に合併し、トラヴァンコール・コーチン州となり、両王家の人々は政治的権力を放棄した。1956年に、言語州再編の動きの中でトラヴァンコール・コーチン州はさらにその北のマドラス州マラバール地方と一体化し、ケララ州が成立する。それと同時に、最南端のカンニャークマーリ地方は、タミル語話者による政治運動の結果として、ケララ州から切り離されマドラス州(タミルナードゥ州の旧名)に組み込まれることとなった。

他のケララの地域と同じく、ここでも母系制をとるナーイル・カーストが社会階層の上部を占めていた。しかし、藩王国時代の1912年に Travancore Nair Act が成立し、ナーイルの財産相続も、母から娘への女系相続から、全ての子供へのへの均等相続になるべく制度が改められた。とはいえ法改正はこれまでの慣習を即座に変えるものではなく、その受け入れは各家庭によってバラツキがあった。それもあり、トラヴァンコール地方では(特に不動産)相続を巡る親族間での民事訴訟が異様なほどに多く、また係争が世代を跨いで続けられていることも珍しくないという。

ナーイルの母系相続と大家族制度は、これまでにも多くの研究者を惹き付けてきた。ひとつのカーストの慣習というレベルを超えてケララ州全体の際立った特徴として取り上げられることもしばしばある。筆者は長らくこれが不思議で、日本のナーイル研究の第一人者に尋ねてみたことがあるのだが、答えは極めてシンプルなものだった。ナーイルが財をほぼ独占していたから、その相続制度は社会全体にとっての関心事となった。その他のカーストには相続すべき財もほとんどなかったので、男系も女系もたいした意味を持たなかったのだと。ペン・マラヤーラム(Penn Malayalam、女の国ケララ)という言葉が劇中にも登場するが、この言い回しは上に書いたようなことごとを一言で指し示すものであるようだ。

【ネタバレ度50%の粗筋】
どこにもハッキリとは書かれていないが、本作の年代設定は2000年代初め頃と思われる。タミルナードゥ州カンニャークマーリ地方のナーイル旧家の当主ターヌピッライ(Lal)は71歳にして妻から離婚裁判を起こされるという事態に直面していた。妻のミーナークシ(Mallika)は55歳、一人息子で教師をしているシャラト(Asif Ali)はミーナークシの側に寄り添っている。ターヌピッライの弁護士となったバーラーマニ(Bhavana)は、保守的なタミル・バラモン家庭に育ちながらも法曹の道に進んだ進歩的な女性である。彼女は、老境に入ってからの離婚裁判は当事者の誰にも益にならないと考え、法廷外での和解に持ち込もうとしてまずシャラトに近づき、彼の両親の事情を聞き出そうとする。ターヌピッライの母カーリピッライ(Swetha Menon)は名家の家長で、旧時代のナーイルの領主の傲岸さの典型のような人物だった。彼女は貧しいレスラーのシヴァンピッライ(Lal)を夫として、ターヌピッライを生むが、彼以外に子供を持たなかったことで後に運命から仕返しを受けることになる。シヴァンピッライに飽きたカーリピッライは、定められた作法に則り、易々と、かつ一方的に彼を離縁する。離縁された父の絶望と惨めな最期を幼少時に目撃したターヌピッライは、母を憎み、母系制度を憎んでいたため、同じナーイルでもすでに父系相続に切り替えていた家庭の娘であるミーナークシを娶る。彼は、妻子に暴力を振るうことも辞さない専横な家父長としての家庭生活を送る一方、家格にふさわしい公職として得たトラヴァンコール文書局役人の地位は藩王家の解体によって名目だけの閑職となり、しかしそんなことは歯牙にもかけず完璧なナーイルの紳士としての社交生活を営むという、多面的な性格の持ち主であった。シャラトは、幼少時から家庭での父の暴力に反発し心を許すことがなかったが、バーラーマニに促されて父母の間に起こった過去の出来事を掘り起こして行くうちに、思いもよらなかった隠された事情や父の心情を知ることになる。

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【寸評】
いや、この連載20回目にして2012年最高傑作と思われるものを紹介してしまったら、この後を続ける気力が保てるだろうか。2時間ちょっとしかないにも拘らず、途中何度も停止しながら観た。退屈だからではなく、一気に観てしまうのが勿体なく感じられたからだ。デビュー作 Thalappavu (Malayalam - 2008) で唸らされたマドゥパール監督の4年ぶりの第二作。普段はなかなか目が行かないのだが、本作では原作・脚本担当にも刮目させられた。タミルナードゥ州最南部ナーガルコーイルの出身の、タミル・マラヤーラムのバイリンガル作家&脚本家&評論家であるジャヤモーハンだ。といっても最初は誰だか見当がつかなかったのだが、Naan Kadavul (Tamil - 2009) Dir. Bala、Angaadi Theru (Tamil - 2010) Dir. Vasanthabalan、Kadal (Tamil - 2013) Dir. Mani Ratnam の原作・脚本家として関わっている人と知ってかなり驚いた。特に Angaadi Theru は濃密に情念的なタミル固有の世界が展開されており、同じ人物が全く雰囲気の異なるマラヤーラム芸術映画にたずさわるとはとても思えなかったからだ。多言語のインドならではのバックグラウンドを持つ異才の人というのはいるものなんだ。

賞を獲ってなんぼである芸術映画、劇場で本作を観たそう多くはない観客の絶賛を浴びながらも、2012年ケララ州映画最優秀作品賞レースでは次点どまり、他にBGMと衣装部門での受賞のみに終わった。2013年1月に発表された第60回国家映画賞で、主演のラールに対するスペシャル・メンションが与えられたのが最高の評価となった。

結婚制度が重要なモチーフだが、社会派女性映画ではない。3世代が描かれるが歴史映画ではない。男女の愛や家族の絆をテーマにした詩的で心理小説的なスケッチとでもいったらいいのか。芸術映画に付きものの図式的な象徴性は少なく、生の人間のドラマが鮮やか。上では背景となる歴史的な流れを書いたりしたが、もちろん本作はこうした史実の絵解き解説ではない。父と息子、母と息子、姑と嫁、夫と妻といった関係性の中での、内に秘められ、時に噴出する強い感情的な紐帯をきめ細やかに描く。同時にトラヴァンコール南部地方の特殊な風土、社会変動の過渡期におけるナーイルの精神史も活写される。そこには失われた旧時代へのノスタルジーはもちろんあるが、同時に過去の愚かしさから学び、より良い関係性を築こうとする希望もあり、単なる懐古趣味では終わっていない。レスラーだった父シヴァンピッライと息子のターヌピッライの中年期から老年期までを一人で演じ切ったラールは賞賛に値する。この人に対してはどうしてもコメディー映画の監督としてのイメージが先行してしまっているが、考えてみれば俳優デビューの Kaliyattam (Malayalam - 1997) Dir. Jayaraj から数えれば15年もの演技のキャリアを持っている訳だ。マドゥパール監督との Thalappavu でもそうだったけど、もう、空恐ろしくなるくらいの巧みな演じ手である。が、一方でMoMa2大巨頭のようなカリスマ明星になることは絶対にないというのも分かる。しかしそんなことは当網站筆者にとってはニの次。本作の何が凄いって、やっぱシュウェちゃんことシュウェータ・メーノーンさんのド迫力の女お館様ぶり。出演時間はかなり限られているにも拘らず圧倒された!時代が変わりつつあることを絶対に認めない旧時代の封建領主の頑迷、人に頭を下げることなど考えたことすらない傲岸、微かに顔を覗かせる好色、富と自信に裏打ちされたディレッタントぶり、そして最後に陥ることになる孤独地獄、これら全てが短い出番の中で心憎いほどに見事な一幅の絵となって迫ってくるのだ。2012年に出産という大きな転機を迎えたシュウェちゃんだが、俳優人生の中での本作の占める位置はかなり大きいものとなったのではないかと思われる。シュウェちゃんのためだけに本作を観ても絶対に損はないと保証したい。

そうは言ってもバーヴァナちゃんのレース使いの法服も萌えどころとして高ポイント♥
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投稿者 Periplo : 23:30 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年04月30日

PJ2012-19:Friday

副題に「11.11.11 Alappuzha」とあるが、つまりこれは2011年の11月11日金曜日にアーラップラで起こったことであるという設定なのだ。11月は一年の中で比較的過ごしやすい良い気候の時期だ。

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Director:Lijin Jose
Cast:Fahad Fazil, Ann Augustine, Manu, Nedumudi Venu, Sudhir Janardhanan, Pala Charlie, Vijaya Raghavan, Narayanan Kutty, Sasi Kalinga, Nimisha Suresh, Tini Tom, Seema G Nair, Prakash Bare, Asha Sarath

原題:ഫ്രൈഡേ
タイトルのゆれ:Friday 11.11.11 Alappuzha

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間44分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、デビュー監督、グランドホテル、アレッピー、ヴェンバナード湖

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/friday-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
これもまた、ニューウェーブの連中が大好きなグランドホテル形式の一作。ただし、どういうわけか現地では「ハイパーリンク・シネマ」という言い方のほうが好まれている。

本作では、親の目を盗んでデートをする若いカップル、娘の結婚を控えた一家、臨月の乞食女、コーンカニー・バラモンの貧しいオート運転手、希少動物を違法に取引する売人、子供が出来ないために孤児院で養子縁組をしようとする夫婦etc.といった人々が、それぞれに何らかのやり取りをしたりすれ違ったりする様を描こうとしている。

そもそもマラヤーラム・ニューウェーブの連中はどうしてこんなにハイパーリンクが好きなんだろうか(同じニューウェーブでもタミルの方ではこういう作例はあまり多くない)。ひとつには伝統的な「神のごときヒーロー像」への反発があるのではないかと思う。神なき時代である現在を描こうとすると、超人ヒーローではなく等身大の人間の群像を映し出すことになる、というのは必然的な流れだ。一方で、人々がそれぞれの事情でバラバラに営む生活の、不規則で無秩序な分子運動の中で偶然が連鎖し、まるで神の手によるかのようなストーリーが生まれることを提示しようとする試みも見受けられる。

ただ、どちらにしても既にマニエリズム化が始まっており、才能を欠いた作り手によるものはこれから容赦なく淘汰されて行くことが予想される。本作はどちらかといえば不発に終わった見本。監督は、大スター不在映画というだけで劇場主から屈辱的な扱いを受けたと息巻いているが、やっぱり作品の質自体に問題があったとしか思えない。個別のパートに非常に印象的なシーンが幾つかはあるものの、全体を貫くストーリーが弱い。特に、群像映画とはいえ、明らかに最もスポットライトの当たった登場人物であるファハドが演じるオート運転手が、クライマックスに全く姿を見せないというのは、いくらなんでもバランスが悪い。他のキャラクターもあまりに短すぎる登場時間の中で、いかにもな型どおりの所作を行うだけで深みがない。見終えた後の充足感が足りない一本だ。

文句ばかり書いたが、観光プロモーション的ではないアレッピーの風景は大変に印象的。特にラストの長回しのシーンの美しさは凄い。これを撮りたいがために制作者は本作を企画したんじゃないかと思われるぐらいだ。

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この美しいポスターにも実際はこんな舞台裏がある。おもしろ~い。

投稿者 Periplo : 02:07 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月29日

PJ2012-18:Trivandrum Lodge

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Trivandrum Lodge

Director:V K Prakash
Cast:Jayasurya, Honey Rose (Dhwani), Anoop Menon, Master Dhananjay, Baby Nayanthara, Thesni Khan, P Balachandran, Saiju Kurup, Janardhanan, Sukumari, P Jayachandran, Bhavana, Babu Namboothiri, Devi Ajith, Arun, Kochu Preman, Krishnaprabha, Nandu, Nikhil, Ponnamma Babu, Indrans, V K Prakash

原題:ട്രിവാന്‍ഡ്രം ലോഡ്ജ്

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間59分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、愛、セックス、フォート・コーチン、マッタンチェーリ、貧乏下宿、ドクターフィッシュ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/trivandrum-lodge-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★★

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【寸評】
フォート・コーチンにある古色蒼然たる洋館トリヴァンドラム・ロッジ。そこには、年老いた音楽家、得体の知れない自称映画ジャーナリスト、非熟練労働者として職を転々とする若者など、様々な背景を持つ変わり者たちが入居し、どんよりと垂れ込めた日々を過ごしていた。そこに一人の若い女性が転居してくる、彼女はインテリで上層階級に属しているが、最近離婚したばかりで気分転換を求めていた。そしてこの貧乏下宿に蠢く男たちを観察して小説を書こうとしている。

本作を見た観客の反応は大雑把に言って3パターン。退屈で寝ちゃうか、大いに惹きつけられるか、猥雑表現(そのほとんどは映像ではなく台詞によるものだが)に激怒するかだ。筆者は最初の3分の1程は大欠伸の連続だったが、女性たちが賑やかになってくる中盤から引きこまれ、2時間もせずに終わった時にはこの黴臭くジメジメした貧乏下宿から立ち去り難く思われて悲しくなった。一般的には最後のパターン、怒っちゃった人が多数派だったらしい。その怒りの声をあれこれ読み漁るのもまた楽しい。一方で絶賛する観客は本作の「大胆さ」を言い立てているが、ダブルミーニングの猥語を連発した程度の「大胆さ」で感激しすぎるのもガイジン観客としてはどうかと思う。

ストーリーらしいストーリーもない本作の魅力は、俳優たちの高い芝居力と、卓越した美術・カメラワークによって醸し出される「気怠い心地よさ」と「いがらっぽさ」。実際、ジャヤスーリヤの芝居に感銘する日が来るとは思っていなかった。他にもサイジュ・クルップ、アルンなど「かつてのヒーロー候補生」たちが味のある存在感を見せてくれる。女優達は特別出演に近いバーヴァナを除いては、特に美人はいない。しかし、にもかかわらず不敵なほどにエッチで魅力的だ。主演のハニー・ローズの色事師ぶりはカッコイイ。

VKプラカーシュという人は、ご多分に漏れずパドマラージャンの大ファンであるようで、前作 Beautiful (Malayalam - 2011) でも Thoovanathumbikal (Malayalam - 1987) へのオマージュが捧げられていた。本作での Thoovanathumbikal への言及はオマージュを超えた、かなり下品なパロディになっていて、それがまた否定派の逆鱗に触れたのではないかと想像される。もちろん、一番イケなかったのは、女の方から男にお誘いをかけるところだったんだろうけどね。

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上にも書いたように本作の舞台はフォート・コーチンであって、トリヴァンドラムではない、念のため。

投稿者 Periplo : 01:25 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年04月28日

PJ2012-17:Akashathinte Niram

浜辺を舞台にして、常に海鳴りが背後に聞こえる映画は、それだけでちょっとばかし高等な雰囲気がでるよね。

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Akashathinte Niram

Director:Dr Biju
Cast:Indrajith, Nedmudi Venu, Amala Paul, Anoop Chandran, Master Govardhan, Prithviraj, V K Sreeraman, Indrans, Geedha Salam, Pai Guruvayur, C J Kuttappan, Gopakumar, Shaji Sharma, Biju John

原題:ആകാശത്തിന്റെ നിറം
タイトルの意味:Color of Sky
タイトルのゆれ:Aakashathinte Niram, Akasathinte Niram, Aakasathinte Niram

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間59分

ジャンル:アート
キーワード:アンダマン諸島、謎のアート老人、説教、チンピラ更正

オフィシャルサイト:http://www.colorofskymovie.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/11/akashathinte-niram-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
ドクター・ビジュことビジュクマール・ダーモーダラン監督による前作 Veettilekkulla Vazhi については昨年の総括の時に完膚なきまでに粉砕しておいたのだが、うっかり名前を忘れて、またこれを見ちゃった。てか、気がついたらデビュー作の Saira (Malayalam - 2006) も見てるじゃないか、最低だ俺。

アンダマン諸島の中心地ポート・ブレア港、食い詰めた流れ者(Indrajith)が小銭を手にしようと目論み、モーターボートで一人出航しようとしている老人(Nedmudi Venu)を刃物で脅す。 老人は意に介することもなく流れ者を乗せたまま離れ小島に向けてボートを操る。その小島では若者(Anoop Chandran)と少女(Amala Paul)と男の子が帰りを待っており、流れ者と共に奇妙な共同生活が始まる、というストーリー。

舞台をアンダマン諸島にしたのは、この地の特殊な風土を描くためではなく、逆に風土を消し去り抽象的な舞台で人間ドラマを際立たせる、という芸術映画的なものだということは分かる。そしてそれは成功している。ただその人間ドラマってのがどうにも安っぽい。苦手だ苦手だとぼやきながらもマラヤーラム芸術映画を見続けていると、やっぱり同じカテゴリーの中でも風格の違いってのはやがて分かるようになってくるもんだ。本作は気取ってばかりいて底の浅さが見え見えのおバカ芸術映画の格好の見本だと思う。

トロピカルでありながらどこか翳りを湛えたアンダマンの景色に星一つ、アマラちゃんに星一つ。監督については、もうイルカ・ヲチでもネイチャー・ゲームでもやって勝手に癒されてろとしか言いようがない。

そんな風に毒づいて、本作についてはもう完膚なきまでに粉砕した気になってたけど、実は世界各地の映画祭を転々とし、今年の全州国際映画祭の BEYOND BOLLYWOOD なんていう特集でも掛かったということだ。日本上陸まであとわずかってとこまで迫ってたんだ。はあ~、全州で止まってくれて良かった~。

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投稿者 Periplo : 00:20 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月27日

PJ2012-16:Cinema Company

また劇中で作られようとしている映画が半端なくつまらなそうなのよ。
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Cinema Company

Director:Mamas
Cast:Basil, Sanjeev, Badri, Shruthi, Nitin Paul, Sanam, Swasika, Lakshmi, Shible, Baburaj, Lalu Alex, Narayanan Kutty, Ambika Mohan, Krishna, T P Madhavan, Kottayam Nazir, Kamal, Sibi Malayil, Siddique (director)

原題:CINEMA കമ്പനി

DVDの版元:Horizon
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間31分

ジャンル:青春
キーワード:友情、決裂、再会

オフィシャルサイト:http://cinemacompany.in/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/11/cinema-company-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
映画監督志望、俳優志望、脚本家志望、ミュージシャン志望で一緒に映画を作ろうとして挫折した4人組が、歳月を経た後に再会して再び夢を追いかけようとする、という物語。

デビュー作 Paappi Appachaa (Malayalam - 2010) がなぜかヒットしてしまったらしいママース監督の第二作目。前作と今作を観て確信したのは、この人、そこそこの素材を使って死ぬほど退屈な映画を撮ることにかけては天才だってこと。同じストーリーでも、もたもた&クドクドをなんとかしてたら凡庸なメロドラマにはなったかもしれないのに。それと新人で固めた俳優連中にも惹きつける力が足りなかった。紅一点ギャルとか眼鏡君とか、ありがち~なパートをお行儀良く型どおりに演じてただけだし、主演格のベイシルというのが、また覇気のないお坊ちゃん系で魅力なし。それでもこの先こいつを見ていくことになるんだろうか。

かろうじて面白かったのは終盤に出てくる特定のスターさんへの当てこすりの部分。それ見たさで最後まで我慢できたという感じだ。誰かはここでは書かないが、興味ある人はこちらなど読むよろし。

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低予算映画の製作現場の様子など、多少の資料性はあると思う。

投稿者 Periplo : 23:38 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月26日

PJ2012-15:Diamond Necklace

主人公はドゥバイのブルジュ・ハリーファに住んでいるという設定。日本映画ならさしずめスカイツリーに住んでるってところか、いやもっとお洒落かな。
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Diamond Necklace

Director:Lal Jose
Cast:Fahad Fazil, Samvritha Sunil, Goutami Nair, Anushree Nair, Sreenivasan, Rohini, Kailash, Sreedevi Unni, Manian Pillai Raju, Sukumari, Guruvayur Sivaji

原題:ഡയമണ്ട് നെക്‌ലെയ്സ്

DVDの版元:Satyam Audios
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間37分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウエーブ、ドゥバイ、エリート、カード地獄、イージー男女交際、毛髪と我欲の関係、ブルジュ・ハリーファ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/11/diamond-necklace-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

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【ネタバレ度40%の粗筋】
ケララ出身でドゥバイに住んでいるアルン・クマール(Fahad Fazil)は、癌の専門医として高級クリニックに勤務しており、平均的な労働移民の苦労も知らずに贅沢で気楽な独身生活を謳歌している。しかし高給取りであるにも拘わらず、無計画な浪費によってクレジットカードが止められるという事態に陥っている。そんな問題を抱えながら、彼は職場で新人タミル人ナースのラクシュミ(Gauthami Nair)に目をつけ、あっという間に籠絡する。クレジットカード会社はさらに彼を追い詰め、車を差し押さえ、海外渡航もできないようにしてしまう。友人と共有していた豪華なフラットからも追い立てられ、ホームレスに近い状態になった彼だが、在ドゥバイの同胞の助けでなんとか一時帰国する。しかし故郷の家では予想外の展開によって田舎の箱入り娘ラージャシュリー(Anusree)と見合い結婚させられてしまう。ひとまず単身ドゥバイに戻った彼は、上司のサーヴィトリ(Rohini)から親類の娘マーヤー(Samvritha Sunil)を紹介される。彼女はパリに住むファッションデザイナーだったが、癌を宣告され、それによって婚約者からも捨てられていたので、アルンは彼女の話し相手となって慰めることを期待されたのだった。二人の仲は急速に親密なものとなっていく。相変わらず経済的に逼迫している彼は、マーヤーが婚礼に備えて買い求めていた高価なダイヤモンドのネックレスをある時目にする。

【寸評】
なぜかインド人に人気のあるOヘンリーの短編(筆者はかなり苦手だ)みたいな頓智噺だったらどうしようと若干不安に思いながらストーリーを追っていたのだが、なんとかギリギリでそれは回避されたのだった。本作が宝飾品小売りチェーンのジョーイ・アルッカスとのタイアップで制作されたことに不快感を表明するレビューもあったが、豪華なダイヤを見せつけつつもあからさまな広告にはなっていない、それで制作費用が浮いたのならよかったじゃないですか、というクレバーなものだったと思う。

ラール・ジョースの2012年作品3本のうち、先日紹介の Spanish Masala はほぼ全編がスペイン・ロケ、本作はドゥバイ・ロケで撮影されている。Spanish Masala の方は正直なところかなり浮ついた仕上がりで、見ていてゲンナリするものがあったのだが、同じ外国でもやはりドゥバイとなると全然風合いが異なる。最初の導入シーンこそ夢のようなリッチな都会生活であるものの、やがて綻びが顔を出し、どんどん面白くなって行く。脚本を担当したのは Arabikatha (Malayalam - 2007) Dir. Lal Jose の脚本家でもあるイクバル・クッティプラム。本作中には、自身はブルーカラーでありながらも同胞マラヤーリーとして主人公を助ける中年男の役でシュリーニヴァーサンが登場するのだが、Arabikatha のシュリーニのその後の姿を見るようでもある。

主要な出演者の中ではやはりサムちゃんことサムヴリタ・スニルさんが圧倒的。裕福でハイセンスな都会の女性としての姿と、死病に冒されての燃え尽きる蝋燭の最後の輝きのような美しさ、この二つを余すところなく見せてくれた。クライマックスのシーンでは、誇張ではなくホントにあっと声が出るほどのインパクトだった(ネタバレを厭わない、後から文句を言わない、という人のみここ参照)。それから、世間ずれしていないタミル人の看護婦役のガウタミ・ナーイルも、瑞々しい魅力で前半を盛り上げた。主演のファハド・ファーシルは、今やマラヤーラム映画界きってのスケコマシ野郎(スクリーン上でのことだ、念のため)だが、本作でも次々と魅力的な女性たちを食い散らかしている。それにしても、医師という高度に知的な職業に就きながら、一方でクレジットカード債務地獄に陥るまで浪費を続けるという欠落者、でありながら3人のヒロインから愛され(そして不実を許され)、それからローヒニおば様からも弟に対するように慈しまれ、周囲の人々からも助けられ、運命からすら決定的な罰を受けない、そういう不思議で不公平な愛され体質のキャラを説得力をもって演じていたかというと、かなり疑問だ。星5つではなく4つにした理由はそれだけ。

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ところで映画とは全然関係ないんだけど、ジョーイ・アルッカスのツイッターページ見て広告塔の人選に吃驚した。

投稿者 Periplo : 02:27 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月25日

PJ2012-14:Spirit

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いくらなんでもこのイメージはカッコ良すぎだろ。これじゃ酒飲みたくなっちまうわ。実際に、当初このイメージを使ったポスターが制作されたものの、クレームがついて撤去されたそうだ(こちら参照)。

Spirit

Director:Ranjith
Cast:Mohanlal, Kaniha, Madhu, Shankar Ramakrishnan, Thilakan, Nandu, Lena, Siddharth Bharathan, Kalpana, Tiny Tom, Suraj Venjaramoodu, Ganesh Kumar, Sasi Kalinga, Guruvayoor Sivaji, Master Ganapathy, T P Madhavan, V K Sreeraman, Vijay Menon, Govindankutty

原題:സ്പിരിറ്റ്

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間24分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、アル中、辛口ジャーナリスト、離婚、家庭内暴力

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/11/spirit-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
いやともかく、インドの通俗道徳が酒を憎むことといったら、Devdas の昔から並大抵のものじゃないのだ(にもかかわらず決別できない人々もまた多いようなのだが)。それに比べて煙草のほうは比較的近年まで見逃されてきたが、映画の中での表現への規制はここ数年で欧米よりも厳しいものとなった。酒にしろ煙草にしろ、開始前に警告が挿入されるだけでは済まなくなり、本編で画面に写るシーン全てに煩い警告ネームが焼き付けられることになってしまった。2012年度の国家映画賞 Best Film on Social Issues を受賞することになった本作は、そのメッセージ性から例外的に、冒頭の警告のみの表示で本編中の注意書きは免れることになった。また、興行収入への課税が免除または軽減されたという話もある(それに文句つけてる人ので知った)。

煙草のことはここでは措いておこう。それにしても、通俗道徳が酒を憎むことと関係があるのかないのか、(少なくともサウス)インド映画の中で旨そうに酒が嗜まれているシーンというのは本当に少ない気がする。コメディに出てくる貧乏下宿だろうが、ギャングのキャバレーだろうが、クリスチャンの名家だろうが、基本は無茶飲み。そんなに辛いのかね、インド人。

エリートでなおかつ組織に縛られない自由人である主人公(Mohanlal)が、ズルズルと常習的な深酒に引きずり込まれて行き、人間関係が壊れ健康も脅かされてきたところでやっと目が覚める。彼は立ち直ることが出来るのか、という物語。どうしても愛着の湧かない一作なのでさらにネタバラシしてしまうが、この男は驚異的な意志の力で飲酒癖を断ち切った後、さらに他人のアルコール依存を矯めようとして色々とおっぱじめるのだ。それが、かつての喫煙者が極端にアグレッシブな嫌煙論者に変じるのを見るときのような、何ともいえない気持ちの悪さを生むのだ。

ストーリーテリングの巧みさによって忘れがたい名作を幾つも生み出してきたランジットは、前作 Indian Rupee (Malaylam - 2011) あたりから、どうも「物語」と決別し、より思索的なエッセイに向かっているように思える。ランジットに限ってならば、それは俺が許可しようと言いたいところだが、その代わり上から目線のガサツな正義は止めてほしい、それが本作のメッセージ的なパートに対する筆者のリアクションだ。メッセージ部分を離れてみれば、インテリ上流階級のバラエティに富んだ人間模様、逃げた女房へのラルさんの未練、脇役軍団の底力、シッダールト・バラタン演じる無頼詩人の詩の素晴らしさ、などなど魅力たっぷり。一度は見て損はないと思う。

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投稿者 Periplo : 04:01 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月24日

PJ2012-13:Nidra

久しぶりにオリジナルを超えたリメイクを観た気がする。超えたというようりは、オリジナルの製作者が存命ならば、今日の技術でこんな風にセルフリメイクしたかったんじゃないか、とまで思わされた。

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Nidra

Director:Sidharth Bharathan
Cast:Sidharth Bharathan, Rima Kallingal, Jishnu, KPAC Lalitha, Thalaivasal Vijay, Vijay Menon, Sarayu, Guruvayoor Sivaji, Malavika, Rajeev Parameswaran, Ambika Mohan, Ajmal, Kavitha, Baby Maria Biju, Preethi

原題:നിദ്ര
タイトルの意味:Sleep
タイトルのゆれ:Nidhra

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間43分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、過去の名作のリメイク、ネイチャー系引きこもり、Chalakudy

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/nidra-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★★

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【ネタバレ度50パーセントの粗筋】
ケララ中部の裕福な家庭の次男坊として生まれたラージュ(Sidharth Bharathan)は、宇宙科学研究者を目指していたが、内向的な性格から世間とうまく折り合えず、念願かなって赴いたドイツ留学も精神的な問題から完遂することができず、帰国後は定職にも就かず無為に過ごしていた。彼には兄と弟がいたが、特に世知に長けた常識人である兄のヴィシュワン(Jishnu)に対しては屈折した感情を抱いている。

彼は子供のころから恋心を抱いていたアシュワティ(Rima Kallingal)と再会し、二人は結婚を望むようになる。寡婦の母(KPAC Lalitha)と二人で慎ましい生活を営むアシュワティと資産家の息子ラージュとの恋愛は周囲の反対を引き起こしたが、結局恋人たちは結ばれる。

希望にあふれて婚家での新生活を始めたアシュワティだったが、時にバランスを崩しそうになる夫の精神状態を見て不安を覚えるようになる。幾つもの不運な出来事の連鎖によって、ラージュの症状は悪化の一途をたどる。アシュワティは自分たち夫婦が肉親からさえも見放されつつあることを悟る。

【寸評】
注目のカムバック新人シッダールト・バラタン(ここで紹介した)による監督&主演作。オリジナルはシッダールトの父であるバラタン監督による1981年の同名作品。2012年の本作は、クライマックスの数分以外はかなり忠実にオリジナルをなぞっている。

たとえばこんなところまで。
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ついでだが、オリジナルでの主役は、今や嫌な奴系脇役が定位置となったヴィジャイ・メーノーン(2012年リメイクでは精神科医の役で登場している)。そしてヒロインは以前にちょこっと紹介したこともあったシャーンティ・クリシュナさん。
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オリジナル版のシャーンティ・クリシュナは文句なしに素晴らしい。小鳥のように可憐でありながら芯の強さがあり、自分自身が不安に苛まれながらも、壊れてゆく夫をなんとか繋ぎ止めようとする健気な若妻。この役を、全くタイプの違うリマにキャスティングしたシッダールト監督の、そしてオファーを受けたリマの勇気は大したものだと思う。これまで悩ましいイメージが先行していたリマだが、ここで見せた絶望の深さと愛の強さを体現した芝居は、ひとつの転機を感じさせるものだった。演技者としてのシッダールトも、自分を見つめる他人の瞳に映る恐怖と憐憫に深く傷つく孤独な若者の姿をリアリティを持って描き出していた。

オリジナルとリメイク、どっちを先に見てもいいけど、ともかく見比べてみると、最後の数分の改変の部分に深い感銘を受けると思う。両方は見ていられないというのなら、やはりリメイクの方がお勧め。

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クライマックスに近づくにつれ凄みを増して行くサミール・ターヒルのカメラ。この人の監督デビュー作 Chaappa Kurish (Malayalam - 2011) Dir. Sameer Tahir を見た時は、有望な新人監督の登場だと思ったのだが、本作を見るとこのままカメラマンを続けたほうがマ映画のためにはプラスなんじゃないかとも思えた。

投稿者 Periplo : 02:49 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年04月09日

PJ2012-12:Spanish Masala

もちろんこれは本作の本質とは無関係なイメージ。逆転の発想で、西洋の異人さんがケララに来てこんな風に大はしゃぎってのならまだ面白かったかもしんない。
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Spanish Masala

Director:Lal Jose
Cast:Dileep, Kunchacko Boban, Daniela Zacherl, Biju Menon, Vinaya Prasad, Kalaranjini, Nelson, Majeed, Archana Kavi, Nivin Pauly

原題:സ്പാനിഷ് മസാല
タイトルの意味:どうも本作中に登場する、具の部分にスペイン料理を取り込んだ創作マサーラー・ドーサ(ノンベジ)のことをこう呼びたいらしい。

DVDの版元:AP Inrernational
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間34分

ジャンル:ロマンス
キーワード:スペイン風オムレツ風マサーラー・ドーサ、マドリード、トマト祭り、フラメンコ、闘牛、ドン・キホーテの風車、ローマ水道橋、アレッピー

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/spanish-masala-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
不法移民としてマドリードにやってきたチャーリー(Dileep)は、なんとかインド料理店の厨房にもぐりこんで生活の糧を得るようになる。彼のつくるスペイン風味のドーサは評判となり、かつて駐インド・スペイン大使を務めた名士の館の専属料理人として引き抜かれる。チャーリーはそこで盲目の令嬢カミーラ((Daniela Zacherl)と知り合う。彼女は幼時に住んだインドの幸福な思い出が忘れられず、その頃に習得したマラヤーラム語を喋ることすらできる。チャーリーは特技の声帯模写で彼女を慰めようとする。というようなストーリー。

一作一作が注目されるラール・ジョース監督の2年ぶりの新作、なおかつほぼ全編スペイン・ロケということで大いに期待を集めたが、結果的にはブーイングの嵐で、興行的にも沈没。スペイン政府観光局の丸抱えを推測させる名所・旧跡・名物(例のトマト投げトンまつりまで出てくる)のオンパレードだが、それをストーリーに無理に組み込もうとして苦労した跡が感じられる。まあその、クルーの渡航費用から何からバーターで安上がりにしようと試みたのかもしれんけど、場合によっては出資者の要求にがんじがらめになって碌でもないコンテンツになっちゃうことも多いしね。

後半になって登場する悪役が「まるで昔のヒンディー映画だぜ」と嘯くシーンがあるのだが、実際にこれが本質を言い当てているのだからなんとも。ラール・ジョースもまた外国に出かけると訳もなくはしゃいでしまうタイプの監督だったのか、それとも上に述べたような「広告主様」の意向を上手くさばけなかったのか。自分たちに対して向けられる眼差しのステレオタイプには大層敏感なのに外国に対しては実に無邪気にステレオタイプ的なインド人という傾向をまたしても確認してしまった。しかし、翻って西欧人がインドに押しつけるステレオタイプの根強さを考えればもっとやれという気にもなるもんだ。

ヒロインのダニエラ・ツァヒャールさんはオーストリアの新進女優とのことだが、これからもインド映画のオファーが来るかどうかは微妙な感じだ。

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クンチャーコー君がこれまでにない役柄に挑戦しているので、チャコーチャン・ファンは必見。そしてチャコーチャンのいるところ必ず出てくるビジュ・メーノーンも。

投稿者 Periplo : 15:16 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月08日

PJ2012-11:Karmayogi

みんなムンドゥ着てるのに何で二ティヤだけラファエル前派してる衣装なんじゃ?

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Karmayogi

Director:V K Prakash
Cast:Idrajith, Thalaivasal Vijay, Padmini Kolhapure, Nithya Menon, Ashokan, Saiju Kurup, Manikuttan, Vinay Forrt, Sreejith Ravi, Babu Nambuthiri

原題:കര്‍മ്മയോഗി
タイトルの意味:通りのよいタイトルをつけるとしたら「求道者」か。しかし充分ではない。『バガヴァッド・ギーター』中でクリシュナがアルジュナに説いた、「結果を思い煩うことなく、己に与えられた使命を能力の限りをもって行うべし」という教えを実践する人。こちらなど参照。DVDの字幕では A yogi dedicated to his karma とあり。
タイトルのゆれ:Karma Yogi

DVDの版元:Horizon
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間53分

ジャンル:輸出用アート
キーワード:カラリパヤット、ウルミ、テイヤム、剣士の舞、クンフー軍団、沈黙の行、乞食の行

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/karmayogi-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

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【寸評】
統計的な数字を持ってるわけじゃないけど、シェイクスピアを翻案した映画作品の生産量ではインドってトップ3に入ってくるんじゃね?こんなまとめも見つかったけど、もっと隅々の地方語映画を探せばリストはさらに増えるんじゃないかと思う。なぜなのかという問いには簡単に答えられないが、「芸術映画」というハッキリとしたジャンル区分の存在が、背景の一部としてはあるのじゃないか。シェイクスピア劇でも喜劇作品が採用されることはほとんどないしね。

Beautiful (Malayalam - 2011) の成功で一躍ニューウェーブ系のヒットメーカーとみなされるにいたったVKプラカーシュ監督の芸術寄り作品。しかし同年にはThree Kings (Malayalam - 2011) というサイテー映画も送り出しているので、オイラは気を許しちゃいないのだ。ポスターなどにはハッキリと「Based on Shakespeare's Hamlet」と謳ってる。気持ちを引き締めて鑑賞に臨んだが…。

舞台はマラバール。武人の家系に生まれたルドラン(Indrajith)は、彼の実父を謀殺した人物への復讐を誓っている。そして、父の死後に彼の母(Padmini Kolhapure)と結婚して家長の座に収まった叔父のバイラヴァン(Thalaivasal Vijay)こそが仇であると知る。幼馴染みの恋人ムーンヌマニ(Nithya Menon)はそんな彼を案じている。大体こんな設定だ。

何となく予測はしていたけれど、無闇と深刻ぶって勿体をつけたアート作品風だが、どうにも底が浅い。同じシェイクスピア翻案ものでは、『オテロ』を原作とした Kaliyattam (Malayalam - 1997) Dir. Jayaraj には遠く及ばない。やっぱりこういうのは俳優の力あってこそのもんだろうに、インドラジットを主役に据えた時点で、もう半分失敗してる。この人は、都市の低所得者だのコメディでの「田舎のプレスリー」をやってる分には悪くないんだけど、額に縦線系は無理だよ。他のキャストも、タライヴァサル・ヴィジャイ以外はみんな生硬な感じで、なんか文士劇みたいなんだ。VKプラカーシュさんはやっぱ信用できんわ。カラリパヤットとそれにまつわる儀式、テイヤム、(見渡す限りどこにも映画や貴金属店の巨大看板がないという点で)驚異の風景etc.外国ウケする要素はあるけどね。


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投稿者 Periplo : 03:47 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月05日

PJ2012-10:Masters

タミル・ニューウェーブの人を引っ張ってきても、必ずしもマラヤーラム・ニューウェーブになるとは限らないんだな。

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Masters

Director:Johny Antony
Cast:Prithviraj, Sasikumar, Pia Bajpai, Mithra Kurian, Sandhya, Ananya, Biju Menon, Salim Kumar, Shammi Thilakan, Sai Kumar, Jagathy Sreekumar, Siddique, Vijaya Raghavan, Bhagath Manuel, Mukesh, Geetha, Sadiq, Anil Murali, V K Sreeraman, Sasi Kalinga, Majeed, Samdirakani

原題:മാസ്റ്റേഴ്സ്
タイトルのゆれ:Masters - deciders of destiny

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間23分

ジャンル:スリラー
キーワード:コーッタヤム、連続殺人、婦女暴行、自爆攻撃、凸凹コンビ、女優の卵

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/masters-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
舞台はコーッタヤム。警察官のシュリーラーマクリシュナン(Prithviraj)とジャーナリストのミラン・ポール(Sasikumar)は学生時代以来の親友だった。ある時この地方で不可思議な殺人事件が連続する。殺人の直後に下手人と思われる人物が自殺すること、そしていくら調べても被害者と加害者の間に犯行の動機となりそうな繋がりが見当たらないこと、この二つが一連の事件に共通していた。

ディリープ主演の C.I.D. Moosa (Malyalam - 2003) でデビューし、その後もマンムーティの Thuruppu Gulan (Malayalam - 2006) など、一貫してライトタッチのどたばたコメディーを撮り続けてきたジョニー・アントニー監督による、2012年公開作2本のうちのひとつ。もう一作はマンムーティの Thappana で、こちらは従来の作風の延長上にある楽しい一品。一方で本作はサスペンス・スリラーで、なおかつ中心的なテーマは「男の友情」だというのだ。

しかしまあ、そんなことよりも話題となっていたのはピヤ・バージペーイのマラヤーラム初出演、そしてさらに一層話題になっていたのは、タミル・ニューウェーブの中心人物のひとり、あの Subramaniapuram の監督シャシ・クマールが主役格で出演するということだった。

隙のない緊密な脚本でまずまずのヒットとなった本作だが、紛らわしいタイトルの Grandmaster と比べると、ミステリーとしてはこちらの方が優れていると思えるにもかかわらず、見終わった後の十全な満足感ということではイマイチ。Grandmaster でのラルさんの存在感は、Masters の出演者の皆さんが束になっても凌駕できるものじゃないって感じだ。特に注目のシャシクマールは全体にぎこちなく(タミル映画 Nadodigal での主演はまさに嵌り役と思えたのだが)、何のためにわざわざ吹き替え俳優をあてがってまでキャストしたのかよく分からなかった。こちらのインタビューによれば、本作への出演によって Subramaniapuram を熱烈に支持してくれたケララの観衆への感謝の気持ちを示したかったというのだが、それなら面白いマラヤーラム映画を監督してくれよと、普通は思うよな。

貶すようなことばかり書いてしまったが、謎解きとしての面白さではお勧めできる、一度は見ても損はない一本。

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投稿者 Periplo : 03:19 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月04日

PJ2012-09:Mallu Singh

まあ、見ての通りのおフザケよ。

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Mallu Singh

Director:Vysakh
Cast:Kunchacko Boban, Unni Mukundan, Samvrihta Sunil, Biju Menon, Manoj K Jayan, Rupa Manjala, Meera Nandan, Suraj Venjaramoodu, Aparna Nair, Shalin, Suresh Krishna, Kalsala Babu, Sreejith Ravi, Mamukoya, Master Ganapathy, Siddique, Sai Kumar, Geetha, Lakshmi Krishna Moorthy, Asif Ali, Shobi Paulraj

原題: മല്ലൂസിംഗ്
タイトルの意味:Malayali Sardar Ji
タイトルのゆれ:Mallusingh

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間26分

ジャンル:コメディー
キーワード:パンジャーブ、デコトラ、バングラ、菜の花畑、シク教、Hitler、相続問題

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/mallu-singh-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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【寸評】
インディラ・ガンジー暗殺後ケララにいられなくなったシク教徒がパンジャーブに引き揚げ、しかしマラヤーラム語を生活語として保持しつつリトル・ケララを形成している(もちろん架空)という、阿呆臭い設定のコメディ。着物も食べ物もパンジャーブ風なのに言葉だけがマラヤーラム語という都合の良さ。Punjabi House (Malayalam - 1998) Dir. Rafi & Mecartin 以来の久々のパンジャーブものマラヤーラム映画。楽園ハワイに住む人々が休暇がとれるとラスベガスに出かけて行くように、楽園ケララの連中も国内の異境にエキゾチズムを求めるんだわな。

タイトル・ロールのマッル・シンには当初プリトヴィラージがあてられて、イメージスチルまで出回っていたが、途中で降板し、代わりに駆け出しのウンニ・ムクンダンがキャストされた。それもあってか、実質的な主役はチャコーチャンことクンチャーコー・ボーバンが担うことになり、チャコーチャンのいるところにビジュ・メーノーンを配さなければ話にならないので、結局ヴァイシャーク監督の前作 Seniors (Malayalam - 2011) Dir. Vyshakh(ここで紹介)からジャヤラームをマイナスしただけのお馴染みの面々が揃うことになった。

ストーリーは予測可能でサスペンスはあまりないし、ロマンスとしての盛り上げも Punjabi House より劣る。ただもうケララ人俳優のパンジャービーっぷりをヘラヘラと笑いながら楽しむべきもんんだね。

本場のものとは微妙に回転数が違うように感じられるバングラーにのったクンチャーコー君の踊り(下の画像)はもちろん重要なアトラクション。しかし踊りで一番でかい顔してるのは特別出演の振り付け師ショービ・ポールラージ(♪Rab Rab Rab)だったりする。
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投稿者 Periplo : 02:03 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年04月01日

PJ2012-08:Grandmaster

なんともいえない微妙な表情のお二人さん。

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Grandmaster

Director:Unnikrishnan B
Cast:Mohanlal, Priyamani. Narain, Jagathy Sreekumar, Anoop Menon, Babu Antony, Roma Asrani, Siddique, Manikuttan, Devan, Riyaz Khan, Shanti Krishna, Arjun Nandakumar, Sruthi Menon, Sreelekshmi, Mithra Kurian, Rajshri Nair, Seetha

原題:ഗ്രാന്റ്മാസ്റ്റർ
タイトルの意味:グランドマスターは、国際チェス連盟 (FIDE) により付与されるチェスのタイトル(称号)で、「世界チャンピオン」を別にすれば、チェス選手の最高位のタイトルである。(ウィキペディアの説明)
タイトルのゆれ:Grand Master

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間13分

ジャンル:スリラー
キーワード:シリアルキラー、コーチン、殺人予告、法服、離婚、クリスチャン、精神病院、学芸会

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/grandmaster-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

【ネタばれ度30パーセントの粗筋】
コーチンにあるケララ州警の特別ブランチMCSC (Metro Crime Stopping Cell) は、チャンドラシェーカル(Mohanlal)をトップに、ラシード(Jagathy Sreekumar)、キショール(Narain)の3名からなる少数精鋭集団。チャンドラシェーカルは3年前に辣腕弁護士のディープティ(Priyamani)と離婚し、一人娘のダークシャーヤニーからも引き離されて、職務に対する情熱を失っていた。ある時彼のもとに殺人の予告状が送られてくる。そしてA,B,Cの頭文字を持つ人物が順番に殺されて行く。チャンドラシェーカルはDの頭文字を持つディープティとダークシャーヤニーの身を案じながら捜査を続ける。

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大ヒットシリーズ婆羅門刑事セードゥラーマ・アイヤルから、イマイチに終わった単発ものまで、名探偵が助さん格さんを従えるのはマラヤーラム・スリラーの伝統。

【寸評】
なんだこいつが犯人か、つまんねえ。

それだけで済ましたくなったけど、星4つにもした訳だし、ちょっとは書こう。ウォルト・ディズニーの子会社 UTV Motion Pictures によって制作された初めてのマラヤーラム映画。アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』にプロットの着想を得てはいるものの、ストーリーはオリジナル。

まあ、大変に洗練されたスリラーで、ループホールもないし、テンションを徐々に盛り上げて行くストーリー運びも見事。モーハンラール演じる主人公はエルキュール・ポワロとは異なり、頭脳も冴えてるが必要になれば腕力も使う。アクションシーンの演出も非常にリアルでなおかつカッコいい。ラルさんはここのところ未練たらたらのバツイチを演じることが増えているような気がするのだが、本作でも元妻に彼氏がいるのを知ってムギュッとなるところなど、激シブでありながら同情を誘われる面もあり、つまり魅力全開なのだ。惜しむらくは最後に対決する犯人があまりに小物過ぎること。サスペンスの維持のために敢えてそうなったのだろうが、バレバレでもいいからもっとキャラのたった人物にしてほしかった。そのせいで見終わった後の満足感が十全ではなかったように思えるのだが、一度は観て損はない、お勧め。

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各種の制服フェチの方には堪らない、こんなサービスカットもあり。

投稿者 Periplo : 03:12 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月31日

PJ2012-07:Ee Adutha Kalathu

タイトルが作品の本質を完璧に示している事には疑いがない。

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Ee Adutha Kalathu

Director:Arun Kumar Aravind

Cast:Indrajith, Tanusree Ghosh (Tanu Roy), Murali Gopi, Anoop Menon, Nishan Naaniah, Mythili, Lena, Jagathy Sreekumar, Riza Bawa, Baiju, Indrans, Manga Mahesh, Dinesh Panicker, Manikandan Pattambi, Mia George (Gimi George), Krishna Prabha, Master Ramzan, Kalabhavan Haneef, Prem Prakash, Felix JK, Shine Tom Chacko

原題:ഈ അടുത്ത കാലത്ത്...
タイトルの意味:In recent times
タイトルのゆれ:Ee Adutha Kaalathu, E Adutha Kalathu

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間39分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、トリヴァンドラム、ゴミ廃棄場、ヒンディー語嫌悪、YouTube流出、金持ちvs貧乏人、シリアルキラー

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/ee-adutha-kaalathu-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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巨大ゴミ捨て場から各種の屑を拾い集めては「リサイクル製品」を作って小銭を稼ぐヴィシュヌ(Indrajith)とその妻ラマニ(Mythili)。高級クリニックの院長でなぜか常にフラストレーションを溜めていて粗暴に振る舞うアジャイ・クリアン(Murali Gopi)と売れないボリウッド女優あがりのその妻マードゥリー(Tanushree Gosh)。二組の男女は全く縁を持つ事なくトリヴァンドラムに暮らしていた。そこに流れ者のチンピラ色事師ルスタム(Nishan)が現れた事により、予期せぬツイストが生じ、4人は犯罪的な出来事に巻き込まれて行くことになる。

Cocktail (Malayalam - 2010) で冴えたところを見せたアルン・クマール(アルン・クマール・アラヴィンド)の第二作目。2012年2月24日に封切られ、批評家たちから驚くほどの高評価を獲得し、興行的にもスター不在作としては健闘してヒットの一つに数えられるにいたった。ただし、意欲作の多かった一年の終わりから振り返ると若干埋もれた感がある。まあともかく、上半期には傑作との評判が流通していたのでDVD発売を待ちかねた末に観てみたのだが、うーん、貶めるつもりにはなれないが、大いに推すほどのものではないなあ。倫理の固定観念を揺るがそうとする意図は汲むが、これで〜いいのだ的なエンディングが虚無的すぎないか。しかし、封切り時点ではそれほどケララ人観客を感動させたのだから、好みが特殊過ぎる筆者以外なら、日本人にもあるいは受け入れられるかもしれない。

ニューウェーブの盛り上りとともに無闇と増えたグランドホテル形式(現地ではハイパーリンク・シネマという言い方が好まれている)の作品群の中の一つ。昆虫観察日記風のリアリズムを基調とし、価値観の相対化、玉突きのような廻り巡っての因果応報、ニヒリズム、といったものをアクロバティックなストーリーテリングの中に盛り込むのが共通項。そこにはこれまでインド映画が慈しんできたヒロイズムとの決別の意志がハッキリと見て取れる。ただ、過去においても、マラヤーラム映画のヒロイズムというのは、他のインド各地方の映画とはちょっと違った現れ方をしていたものだから、旧時代/新時代を簡単に対比して語るのは難しい。まあ、それについてはこの先も山のように出てくる同様な作品について書く時にさらに考えようと思う。

前作 Cocktail では隙のない仕上がりを賞賛されながらも、外国映画からの無断リメイクと馬鹿にされたアルン・クマールなので、今回はムラリ・ゴーピによるオリジナル脚本で汚名挽回して溜飲を下げたことだろう。しかしゴーピ・スンダルによる格好良過ぎるサンバのテーマチューンはブラジル映画からのパクリという事がばれて(こちら参照)目出度さも中くらいになってしまったのだった。掛け値なしの収穫はクリニックの秘書というチョイ役で登場のミヤ・ジョージさん。典型的なケララ美人ぶりに癒される気がした、これからが楽しみじゃよ。
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投稿者 Periplo : 01:08 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月30日

PJ2012-06:Bachelor Party

ファッションに凝って何が悪いんじゃ、そもそもこんなにファッションコンシャスなオイラがケララなんかに生まれたのが何かの間違いだっつーの(慟哭)。

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Bachelor Party

Director:Amal Neerad

Cast:Asif Ali, Indrajith, Rahman, Kalabhavan Mani, Vinayakan, Nithya Menon, Ashish Vidyarthi, Ramya Nambeeshan, John Vijay, Prithviraj, Lena, Kochu Preman, Jinu Joseph, Padmapriya

原題:ബാച്ച്‌ലർ പാർട്ടി

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間59分

ジャンル:クライム・スリラー
キーワード:ニューウェーブ、無頼、酒、煙草、ムンナール、洋館、マドゥライ、銃撃戦、無精髭、ブリーチジーンズ

オフィシャルサイト:http://www.bachelorpartythefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/bachelor-party-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
デビュー作 Big B (Malayalam - 2007) が衝撃的に格好良かったアマル・ニーラド監督の第4作目。今回初めて監督・撮影・制作を一人でとりしきった。筆者にとっては Big B はかなりのお気に入りなのだが、現地の評論家たちはこれまでの全作品に対してかなり懐疑的であるようだ。技術的なクオリティにはそれなりの評価ができるものの、まともなストーリーがない、というのが一貫した批判。本作に対する論評も、型で押したようにそれを繰り返すものがほとんどだった。

オイラに言わせれば、それこそが批評家連中の視野狭窄と凝り固まりな訳よ。アマル・ニーラド作品にストーリーがないと非難するのは、わざわざお洒落カフェバーに行っといてラーメン餃子がないと文句言うのと同じ。それ言ったら負けってことが批判してる皆さんにはわからないのか。あーまたやってるやってる、と微笑みながら横目で見るのが正しいAN作品との向き合い方だと思うぜよ。

ということで今回もAN監督はストーリーは他所から借りてきた。今回のネタもとは香港ノワール、ジョニー・トー監督の2006年作品『エグザイル/絆』。と書きながら筆者は実はオリジナルを観ていないのだ、申し訳ない。しかし色々とレビューなどを読んでみると、Bachelor Party 中の銃撃戦で人が被弾したときに上がる血飛沫をまるで煙のように写すトリックなども、実はオリジナルから貰ってきたものらしいと分かる。オリジナルの舞台がマカオだったのに対して、リメイクの方はムンナールとマドゥライ。ムンナールは、もちろん革ジャンを着るため。マドゥライは、もちろん敵役の親分がパットゥ・ヴェーッティを着てなきゃ話にならないから。ニヒリズムと笑いとお洒落のカクテルを目指した、アマル・ニーラド節全開の一作なり。

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黄色いグラサンて発想なかったけどこれいいかも、ファスナーにクロスがついてるGジャンかわいい、この極太縁フレームどこで買えるの?というようにお楽しみポイントは無数。

投稿者 Periplo : 01:14 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月29日

PJ2012-05:Arike

マラヤーラム映画界の二大「きれいなお姉さん」の競演。

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Arike

Director:Shyamaprasad
Cast:Dileep, Mamta Mohandas, Samvritha Sunil, Vineeth, Ajmal Ameer, Urmila Unni, Innocent, Madampu Kunjukuttan, Dinesh Panicker, Chithra Iyer, Sreenath Bhasi, Valsala Menon, Narayanan Nair, Prakash Bare

原題:അരികെ 
タイトルの意味:close by
タイトルのゆれ:Arike So Close

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間57分

ジャンル:ロマンス
キーワード:ニューウェーブ、コーリコード、同時録音、ニューエイジ風バジャン、核家族、中産階級、親の反対する恋愛

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/arike-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

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コーリコードの裕福なバラモン家庭の娘カルパナ(Samvritha Sunil)と言語学者のシャンタヌ(Dileep)は恋人同士。シャンタヌは非バラモンで孤児、講師としての稼ぎも良くないので、カルパナと結婚するには彼女の家族の反対が予想される。二人がこっそりデートするのを助けるアヌラーダ(Mamta Mohandas)はカルパナの親友で、愚痴やのろけの聞き役でもある。しかし彼女自身は過去のとある苦い体験のせいで恋愛というものを信じられなくなっている。そんな彼らに予想もしなかった感情的な転機が訪れ、三人の間のベクトルが大きく変わる。

Agnisakshi [邦題:誓いの炎] (Malayalam - 1999)、Akale [邦題:へだたり] (Malayalam - 2004) の2本が日本で映画祭公開されているシャーマプラサード監督の最新作。大変に文芸的・芸術的な作品群を送り出している同監督に対してはどうしても身構えてしまうが、本作は肩の凝らないロマンス。哲学的な深読みをすることも可能かもしれないが、監督自身はリシケーシュ・ムカルジーやバース・チャタルジーの作品のような、穏やかでロマンティックなものを目指したのだとインタビューで語っている。

その分、これまでのシャーマプラサード作品のファンからは期待に及ばずとの声もあったようだが、ストーリーのツボは非常に理解しやすく、なおかつ役者の持ち味が(意外性も含めて)とても効果的に使われていて楽しい。

全体のトーンは、エレガントなヨーロッパ映画のそれを思わせる。ヒーローとヒロインの間にはカーストの差があるが、これは最後に立ちはだかるハードルではない。典型ではない個としての人物の心理の綾によって物語は紡がれる。そして、通りすがりのオートの運転手までもが、メインの登場人物の会話を漏れ聞いて何かしら心に感じているものがあることが示されたりする(しかしこのエピソードは以降のナラティブには全く関わらず、ここで途切れる)。これは従来のインド映画では伏線としてでなければ存在することが許されない要素だったはずだ。もうひとつ、ヨーロッパ映画的に感じられたのは、カメラと人物との間のインティマシー。何がどう違うか言葉で指摘できないのがもどかしいが、本作の空気感は明らかに他のマラヤーラム映画のものとは異質だった。

なお、監督の強い意志により、本作の台詞はマラヤーラム映画としては珍しく、同時録音で撮られた(インタビューによれば録音技師はこの面で一歩先んじているボリウッドから招聘されたという)。メインの出演者のそれぞれが、この珍しい体験について語り、台詞を暗記するのが大変だったと述懐しているのは、何とも呑気で微笑ましい。

投稿者 Periplo : 00:21 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年03月28日

PJ2012-04:Second Show

タイトルがどういう意味を持つのかは分かったような分からないような。

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Second Show

Director:Srinath Rajendran
Cast:Dulquer Salmaan, Gauthami Nair, Sunny Wayne, Baburaj, Rohini, Sudesh Berry, Kunchan, Mithun Nair, Bibin Perumbillikunnel, Anil Anto, Murali Krishna, Srikanth Bhasi, Ratheesh Ram, Aneesh Gopal, Biju Varghese, Sam, Vijay Kumar, Noora Michael, Sundar, Joby, Sreekumar Kozhikode, Jayaraj Kozhikode, Kottayam Bose, Dominin, Sidhu R Pillai, Vijesh Gopi

原題:സെക്കന്റ് ഷോ

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間56分

ジャンル:青春、クライム
キーワード:周回遅れのニューウェーブ、デビュー監督、田舎、就職難、ヤクザ、ガンジャ栽培

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/second-show-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
2012年2月3日に封切られた本作は、マンムーティの息子、ドゥルカル・サルマーンのデビュー作ということで前年からかなり話題になっていたが、華々しい事前プロモーションはほとんどなく、むしろ情報秘匿主義がとられていたという。ドゥルカル以外のキャスト、スタッフにも新人の占める割合が異常なくらい多く、映画マニアの学生たちの自主制作みたいな雰囲気も多少感じられる。それでは見るに堪えないアマチュアの自己満足なのかと言うとそうでもなく、結構面白い。ストーリーは平凡で、田舎の職にあぶれた若者が道を踏み外してヤクザになって成功するが、その過程で色々なものを失うという、80年代に盛んに作られた暗黒メロドラマ(筆者による勝手な命名)のバリエーション。ドゥルカルの親父のマンムーティにも昔はこのパターンのものが山ほどあったので、見てるうちに否応無しにノスタルジックな気持ちになった。だけど最近の映画しか見てない若い観客には逆に新鮮だったんじゃないかな。ギャングとしての成功譚の部分には雑すぎる面も見られるが、それ以外の、田舎の息苦しく出口のない現実の描写には惹き付けるものがあった。監督のシュリーナート・ラージェーンドランへのインタビューによれば、デジタルシネマ全盛の昨今には珍しく、本作はフィルムで撮影されたものだそうだ。

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クウェート育ちのガウタミ・ナーイルと毛むくじゃらがトレードマークのサンニ・ウェインも幸先のいいスタートを切った。

投稿者 Periplo : 00:25 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月27日

PJ2012-03:Ordinary

いまだに「マジックバス」って言葉にはちょっとドキドキしちゃう訳よ、歳がバレっけど。

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Ordinary

Director:Sugheeth
Cast:Kunchacko Boban, Biju Menon, Asif Ali, Jishnu, Shritha Sivadas, Ann Augustine, Baburaj, Vaiga, Salim Kumar, Dharmajan Bolgatty, Lalu Alex, Hemanth Menon, Kochu Preman, Narayanan Kutty, Sreedevi Unni, Niyas Backer, Dinesh Panicker, T P Madhavan, Ambika Mohan, Raghavan

原題:ഓർഡിനറി
タイトルの意味:KSRTC(ケララ州道路交通公社)が運行する路線バスの種類のひとつ。冷房なしの最低限設備の車両による、短・中距離サービス。その他の種別についてはこちら参照。

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間25分

ジャンル:スリラー
キーワード:デビュー監督、僻村バスルート、外人ツーリスト客引き、飲酒運転、パッタナムティッラ、ガヴィ

オフィシャルサイト:http://ordinarythefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/ordinary-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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【寸評】
西ガーツ山中の僻村ガヴィと郡庁所在地パッタナムティッラを1日片道1便で結ぶ定期路線バス。運転手のスク(Biju Menon)と車掌のイラヴィクッタン・ピッライ(Kunchacko Boban)はドツキあいながらも息の会ったコンビで、ガヴィの村人たちのライフラインとなっていた。ある日二人は濃霧の中で乗客のいないバスを運行中に予期せぬ事件に遭遇する。

2012年の予想外のブロックバスターのひとつ。しかし作品全体の統一感には必ずしも満足できない。変てこな連中大集合の村の人間模様を描く前半と、一転してスリラーとなる後半を比べれば、本来後半の方がインパクトが大きく緊迫感のあるものにならなければならないのに、実際は後半が退屈でダレる。

にも拘わらず本作が大受けしたのは、ひとつはペリヤール国立自然保護区の中にある小村ガヴィの霧に煙る風景が観客の心の琴線に触れまくったということ。割と珍しいと思うのだが、この村が実名で本作中に登場したことによって、ロケ地ツーリズムのような現象が起きて、訪問客が激増したそうだ。ただし、ひとつ気になるのは、やはり本作でデビューしたカメラマン・ファイサル・アリが、何かちょっと変わったフィルターワークを施していたように見えること。ここに掲載した画像で説明するならばトップの画像のようなやや不自然な色味が主調で、真ん中や下のポスターのような素直なグリーンはほとんど見られなかった。これがDVDの質によるものなのか、オリジナル・プリントの状態でもこの通りの意図的なものだったのか、あるいはガヴィの景色は本当にこんななのか、できるなら知りたいものだと思う。

そして次に特記すべきは、ビジュ・メーノーンのコメディ演技の大ブレイク。やはりクンチャーコーと共演した Seniors (Malayalam - 2011) Dir. Vyshakh(ここで紹介)で注目されて、本作で完全開花。1995年にデビューして以来(若干の例外はあるものの)端役街道まっしぐらの苦節17年(いやもちろんこれまでだって芝居が上手いことは分かってたし、存在感は十二分にあったのだが役がそれに追いついてなかった)、ここで41歳の春ってやつか。ともかくクンチャーコーとビジュ・メーノーンの間のスクリーン・ケミストリーは凄いってことになって、めでたく二人は銀幕上のベストカップルに認定(おいおい)。これ以降、このデコボコ・コンビのキャスティングによるコメディがちょっとしたブームとなって今日に至っている。

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投稿者 Periplo : 00:29 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月26日

PJ2012-02:22 Female Kottayam

こんなポスターを見ると、都会派の小洒落た恋愛映画かと思ってしまうが、実際は都会派の血も凍るスリラー。おっかないけど後味は悪くない。

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22 Female Kottayam

Director:Ashiq Abu
Cast:Rima Kallingal, Fahad Fazil, Pratap Pothen, T G Ravi, Reshmi Sateesh, Ria Saira, Srindhaa Ashab, Shalini Menon, Malavika Menon, Nikitha Jayakumar, Rema Devi, Dileesh Nair, Ruben Gomez, Varghese, Sandeep Naratan, Pradeep Sukumar, John Zachariah, Mithun

原題:22 Female Kottayam
タイトルの意味:22 years old, female, from Kottayam

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間3分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、クリスチャン、バンガロール、コーチン、自由恋愛、リベンジ、大酒、マラヤーリー・ナース、牢名主

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/22-female-kottayam-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

【寸評】
バンガロールの病院に看護婦として務めながら、外国で働くためのビザが取得できる日を待つテッサ・アブラハム(Rima Kallingal)。手続きの過程でビザ・エージェントのシリル・マチュー(Fahad Fazil)と知り合い、やがて二人は恋仲となり、同棲を始める。シリルへの愛と出国への期待との間を揺れ動くテッサに、ある日悪夢のような出来事が降り掛かる。

Daddy Cool (Malayalam - 2009)、Salt N' Pepper (Malayalam - 2011) のアーシク・アブ監督の長編第3作目は、これまでのふわふわと楽しいシャボン玉映画から一転してハードボイルドな世界を展開して観客を驚かせた。ネタバレを回避する方が絶対に良いだろうとの判断から、ストーリーに関してのこれ以上の言及はしないが、2012年末にデリーで起きて印度全土を揺るがせたあの事件を予言するような内容(実際の事の成り行きはかなり異なるが)だったため、振り返るとより一層の迫力が感じられるものとなった(こんな画像も出回った)。これまではお色気先行のイメージがあったリマだが、本作を含めた今年の出演作ではこれまでの枠から外れた深みのあるキャラクターに恵まれ、意志的な強い女性像を造りだした。冒頭シーンでトレンチコート(実際には着てないけど)に咥え煙草(あくまでもイメージということで)でSIMをポイっと捨てるニヒルな姿は真似してみたいと思わせるものだった。

タイトルの一部になっているコーッタヤムは、コーチンの南、別の言い方ではトラヴァンコール地方の北部にある都市で、教育熱の高さで有名。そしてシリアン・クリスチャンの人口比が高い、いわゆるクリスチャン・ベルトの中心の一つでもある。作中には一切登場しないこの街の名がタイトル中にあることのニュアンスも汲み取りたい。

ところで、アーシク・アブは本作の前に、LOST IN BANGLORE (2011) という短編を発表している。これもバンガロールに在住するマラヤーリーが主人公、実話の再現劇なんだけどかなり怖い。印度の街をウロチョロしてる時の自分に重ねあわせてしまいそうだ。最後に広告主を見て唸る、ハイレベルのアド・フィルム、こちらのお勧め度は★★★★★だよ。

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投稿者 Periplo : 00:40 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月25日

PJ2012-01:Ustad Hotel

人間の貪欲は止まるところを知らん。ただし食べ物だけは別なんじゃ。誰だって満腹になればそれ以上は望まんもんさ。

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Ustad Hotel

Director:Anwar Rasheed
Cast:Dulquer Salmaan, Nithya Menon, Thilakan, Siddique, Mamukoya, Manian Pillai Raju, Jayaprakash, Jinu Jose, Lena, Kunchan, Prem Prakash, Kalabhavan Saijohn, Jagan Reju, Jishnu, Praveena, Asif Ali

原題:ഉസ്താദ് HOTEL
タイトルの意味:Maestro’s Restaurant
タイトルのゆれ:Usthad Hotel, Ustaad Hotel

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間30分

ジャンル:青春
キーワード:ニューウェーブ、料理特訓、マーピラ、スレイマニ・チャーイ、パロータ、ビリヤーニー、コーリコード、マドゥライ、湾岸成金

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/ustad-hotel-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★★

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【寸評】
ビリヤーニーというのは面白い料理だ。中東から亜大陸、東南アジアにまで広がり、無数のバリエーションを展開しながらも、基本的に名前は変わらない(そこのところが、いわゆるカレー系料理とは違う)。どんな入り口からであれ、インドに縁をもつことになった人はどこかで必ずこの料理と出会い、自分にとってのナンバーワンを語らずにはいられなくなる。筆者にとってのオブセッションは何と言ってもトリシュール以北のケララで供されるマラバール・ビリヤーニーだ(運命の出会いは駅弁だった)。ベンガル地方で収穫されるカイマと呼ばれる小粒で丸っこい米を使うのが最大の特徴で(カイマの主要消費地はベンガルとマラバール地方だけということだ)、ふんわりした軽快な食感、なおかつジューシー、そして爽やか。

本作の読後感にもまさにそんなマラバール・ビリヤーニーを形容する語句をそのまま使えそうだ。実際、脚本を担当したアンジャリ・メーノーンによれば、ストーリーの最初のインスピレーションは Kerala Cafe (Malayalam - 2009) のコーリコードでの撮影中に地元レストランが仕出しした絶品ビリヤーニーだったという(こちら参照)。

ストーリーを煎じ詰めれば、料理人になることを目指す青年のありきたりな成長物語。拝金主義の否定、西欧崇拝への穏やかな批判、弱者救済のメッセージ、といったものが散りばめられながらも、伸びやかで屈託のない語りに引き込まれる。そしてティラカンやニティヤといった演技者、舞台設定、脚本などの全てが、メガスター・マンムーティの御曹司であるドゥルカルを引き立てるために注意深くセッティングされたと想像されるのに、最終的に仕上がった作品にスター崇拝のカルト臭が全く感じられないのが驚異だ。

ストーリーや俳優の魅力は確かに大きいが、さらに衝撃的だったのはカメラと音楽。プレイバック・シンガー上がりの作曲家ゴーピ・スンダルによるソング&BGMは椰子國離れしたエッジの立った格好良さ。タイトルロールでウスタード・ホテルの看板が未明の海岸に現れるシーンの映像と音、主人公がマドゥライに出かけて行くシーンでフォークギターにナーダスワラムがかぶさるところには珍しく鳥肌が立ったものだった。

また、筆者がが意識して追っているマーピラ映画というジャンルの中でも特筆すべきものと思われる。スタッフにムスリムが多く名前を連ねているにも拘らず、あえてエキゾ風味な要素(カッワーリー、駱駝、旋回舞踊etc.といった本来のケララ・ムスリムの世界にはないもの)をあっけらかんと押し出すフュージョン感覚が印象的。この先のマーピラ映画にも大きな影響を与えるのではないかと想像される。

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親爺と息子のポスター、そろい踏み(2012年7月、コーチンにて)。

投稿者 Periplo : 00:21 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年03月23日

PJ2012-00:Project 2012 前口上

ここのところすっかりJ-テルグのイベント告知板となってしまっていた当網站だが、そろそろ恒例のアレを始めてもいい頃だ。

2008年から始めた総まくりもこれで5回目、年々紹介本数は減ってきてしまっているが、当のマラヤーラム映画自体の状況はどんどん面白くなっている。まず、2012年のマラヤーラム語オリジナル劇映画の公開本数は前年の88本から127本に激増した(本数について大騒ぎする気にはなれないが、このリストによればヒンディー映画103本、タミル映画143本、テルグ映画96本、カンナダ映画91本ということだ)。相変わらず変革への志向性は堅調で、ニュージェネレーションの作り手とその支持者の鼻息は荒い。しかし売り上げのトップとなったのはディリープの女装コメディだったりするのが面白い。同時に、ニューウェーブ作品にも既に陳腐化・マニエリスム化が始まっている。そのうちに観衆にも飽きが出て、何らかの反動や軌道修正が出てくるかもしれない。

総覧はウィキペディアのリストに拠った。主要作品を星評価の順位別に並べたMallayalam Movies のリスト、代表作を動画で振り返る Malayalam Tube のまとめはお手軽でよい。それなりの分析を求めるならば、Yentha.com の Malayalam Cinema 2012: Gains And Pains が良いと思う。

まとめの方法も変えてみる。これまでは対象作を全部観たうえで総括していたが、それではあまりに時間がかかりすぎるので、とりあえず1エントリーに1作を一言コメントで大体見た順に紹介するミニレビューの連載とする。今現在未見のものもまだ多いが、1−2日毎にアップして最終的に40-50本程度を俎上に上げるつもりだ。それから星5つを出し惜しみしないことにする。多少の瑕疵があってもとりあえず観る価値ありでお勧めしたいと思うものには大盤振る舞いする。現地のプロの批評家によくあるように、感激屋と思われるのを恐れて気難しい奴ぶりをアピールしてもしょうがない気がしてきたので。

ぎょーむ連絡は以上だけど、これだけじゃ愛想がないので、小話も。
DulquerSalman.jpgmaqbool.jpgFahadFazil jpg.jpg
JishnuRaghavan.jpgAnnAugustine.jpgsidharth.jpg
MuraliGopi.jpgsudhir.jpgVineethSreeni.jpg

2012年のマ映画界、ニューウェーブの躍進以外にもうひとつ、地味だけど気になる現象があった。それは二世俳優の増加。いわゆるフィルミー・カーストみたいなシステムが割と希薄なマ映画界で、これまで二世俳優と言ったらクンチャーコー君(昨年のまとめでちょっと紹介)、それからインドラジット&プリトヴィラージのスクマーラン兄弟、あとはちらほら、というところだった。それがこの年、気がついてみたら個性的な二世が色々と面白い活躍をしている(といっても同年のデビュタントだけではなく、時間をかけてじわじわと前面に進出、あるいは再浮上というパターンもあるのだが)という事態になっていたのだ。これは何らかの本質的な変化ではなく、単に偶然が重なっただけだとは思うのだが、特に気になる二世をちょこっと紹介しておきたい。

■上段左:ドゥルカル・サルマーン
二世という言葉を使っているが、ここで紹介する連中は必ずしもスターの二世ではないし、二世スターとも言えない。それなりに名の知れた映画人の子弟であるだけだというのが、「家業としてのスター」「ファンクラブという名の票田の世襲」が普通のテルグ映画界などとは違うところだ。唯一の例外が、マンムーティの息子であるこのドゥルカル・サルマーンということになるだろう。表面上はあくまでもさりげなくカジュアルなデビュー、しかし実際は緻密に計画されたお膳立てなのではないかと想像される、見事なスタートを切った。文句なしの2012年きっての大型新人だ。そして同年に3本の出演作を送り出した。このマ映画ならではの軽快なペースは好もしい。公式サイトはこちら。また、名前の英字綴りは Dulquer Salmaan であるとはっきり言明(ゆれはこんなにある)していて珍しい。

■上段中:マクブール・サルマーン
主にTVで活躍する俳優イブラヒム・クッティの息子で、やはり2012年にデビューした。それだけなら全く注目されなかっただろうが、そのイブラヒム・クッティがマンムーティの実弟となれば別だ。とはいえ、イトコのドゥルカルと比べれば遥かに地味地味なスタート、どちらかといえば性格俳優コースをたどりそうな予感もするが、これからも横目で見守って行きたい。

■上段右:ファハド・ファーシル
驚きのカムバック&急上昇。これを書いている2013年3月現在、疑いなくマラヤーラム映画界で一番忙しい主演俳優だ。前に一度書いたことを繰り返すが、あの Manichithrathazhu の名匠ファーシル監督の息子だ。2002年に親父の監督のもと、シャーヌの芸名でお膳立ては完璧なヒーローデビュー(Kai Ethum Dhoorathu)をしたのだが、全く鳴かず飛ばず。勉学を完了させるという名目で芸能界から姿を消した。それがオムニバス映画 Kerala Cafe (Malayalam - 2009) 中の短編でカムバック。風貌は相当に変わり、ケララ薄毛ヤング軍団の一翼を担うに充分となっていた。石橋を叩いて壊すほどに慎重な当サイトが珍しくハッキリと終わってる宣言を下した親爺ファーシルだが、ファハドはインタビューで、デビュー作の惨敗について、「父ちゃんは悪くない、全ての責任は未熟な自分にあった」と弁護。うう、泣かせる孝行息子じゃねえか。しかしこんな立派な心根とは裏腹に、スクリーン上では性格の捩じ曲がった奴を演じることも少なくない。比較的短躯短足でボディビルとも無縁、その割にはヒロインを食い物にするスケこまし野郎の役柄が多い。ニューウェーブのうねりの中でこそ花開いた特異なヒーロー俳優と言えるだろう。この勢いをかりて弟も俳優デビューするというもある。

■中段左:ジシュヌ・ラーガヴァン
俳優・監督であるラーガヴァンの息子。親爺のツテによって Nammal (Malayalam - 2002) Dir. Kamal のツインヒーローの片割れとしてデビュー。ジシュヌの略歴記事を読むとこの作品(余談ながら本作ではあのバーヴァナも衝撃のデビューを果たしている)はスーパーヒットだったなどと書かれているが若干怪しげ。ともかくこれ以降は年に1、2本のマイナー出演しかなく、それも2006年でぱったりと止まった。インタビューによれば映画とは無関係のNGO活動に従事していたということだが、映画界から遠ざかった理由は不明。虚心に観察すれば、極東とは美意識が異なるケララではあっても、いくら何でもこの顔はキモすぎたからじゃないだろかと思えるのだが。ともかく、2012年に幾つかの作品で印象的な脇役として復活。相変わらずのキモ顔を最大限に生かした「嫌な奴」キャラ(たとえば Ustad Hotel の婚約者役)には痺れる。

■中段中:アン・オーガスティン
脇役としておなじみの性格俳優オーガスティン(ケララ風に言うとアガスティン)の娘。Elsamma Enna Aankutty (Malayalam - 2010) Dir. Lal Jose(以前に総まくりで紹介)のヒロインとしてデビュー。同作のこんなポスターを見た時には、ギャッと叫んでノートPCをパタンと閉じたりしたもんだったが、2年たってそこそこの本数をこなすうちに、しっとりとした女っぽさを出すことも出来るようになってきたのには驚いた。インタビューなどを読むと素のところはチャキチャキのカリカットっ子であるようで、筆者はそれをもっと見たい気持ちはあるのだが、まだこれからも芸域の広がりが期待できそうだ。

■中段右:シッダールト・バラタン
パドマラージャンと並び称される1980-90年代の巨匠バラタン監督(故人)とKPACラリタとの間に生まれた。このくらい濃い芸能の血を感じさせるバックグラウンドも他にはない。ゲジゲジ眉以外のパーツは笑っちゃうくらいに母ちゃんに生き写し。上に紹介したジシュヌ・ラーガヴァンと共に Nammal でデビュー。その後同様の青春映画に数本出た後、2006年を最後に映画界からふっつりと消える(この記事によれば、実際のところはボリウッドに行き、プリヤン先生を始めとした監督の下で裏方修行をしていたという)。それが2012年に親父様の旧作 Nidra (Malayalam - 1981) の同名のリメイク(主演・監督)を引っさげて戻ってきたのだ。デビュー作の頃はまだ少年の面影があったが、10年後には沖縄の民謡酒場にいそうなハイサイ小父さんとなっていた。念のため書いておくが、この顔はケララ的基準でも男前の範疇には入っていないはずだ。しかし見れば見るほど味がしみ出てくるようなイイ顔じゃありませんかい?続いて公開されたアル中映画 Spirit での短い出演でも、酒に取り憑かれた無頼詩人という、一歩間違えたらお笑いになりそうなキャラクターを易々と演じていて大したものだと思った。これからも、こいつが出てるものなら取りあえず観ちゃうことになるだろうな、という予感。

■下段左:ムラリ・ゴーピ
この人についても以前にちょこっと紹介したことがある。本格的な俳優デビューとなったのは Bhramaram (Malayalam - 2009) Dir. Blessy で、この頃はVGムラリクリシュナンの名でクレジットされていたが、その後芸名をムラリ・ゴーピに改めたようだ。2008年に亡くなったあのバラト・ゴーピの息子(ちなみにバラトという冠名は、国家映画賞主演男優賞が1968-75年の間「バーラト賞」と呼ばれていたことから、その受賞者に付与されるようになったものだという)、本業はむしろ脚本・評論などの物書き。こちらのインタビューを読むと、マ映画界に時々存在する、霞を喰ってるのか不動産を持ってるのか、ともかくガツガツと仕事を貪ることなく趣味っぽく映画に関わるインテリの一人のようだ、いや羨ましい。自身で脚本を書き、悪役も演じた Ee Adutha Kaalathu が高く評価されたが、もっと単純に粗暴犯的な Thappana も悪くなかった。書きもの系オフィシャルブログはこちら

■下段中:スディール・カラマナ
凄い名優だったのにインターネット上のリソースが少なすぎて泣けてくるカラマナ・ジャナルダナン・ナーイルの息子。息子のスディールについてもまた手がかりが非常に少なく、まともなインタビューといったら2008年ごろの 'My father is my favourite actor' ぐらいしか見当たらない。デビュー作かどうかは不明ながら、最初に注目されたのは Vasthavam (Malayalam - 2006) Dir. M Padmakumar でのグーンダの役。それから Thalappavu (Malayalam - 2008) Dir. Madhupal、City of God (Malayalam - 2011) Dir. Lijo Jose Pellissery など数作で目撃しているのだが、いずれも出演時間の限られたチョイ役、しかしそれが消えがたい強烈な印象を残すのだ。2012年にも Namukku Paarkkan... などに出演、多くがセリフが二言三言といった程度のもので、このポテンシャルをもった俳優をこんなに贅沢に勿体なく使っていいものかと咽び泣きしたくなる。しかし見かける頻度は確実に上がってきている、この人相の悪い奴がいずれ椰子國悪役シーンを席巻する日も来るのではないか、そんな期待を持って静かにヲチ中。

■下段右:ヴィニート・シュリーニヴァーサン
言わずと知れた脚本家兼性格俳優(最近はコメディアンという側面は薄れつつあるように思える)シュリーニヴァーサンの息子。学生時代からバンド活動に熱中し、まずシンガーソングライターとして頭角を現した。2008年に発表されたアルバム Coffee @ MG Road は、普段英語のポップスしか聴かないような若者達にも受け入れられ、大ヒットとなった。このアルバムの各楽曲はミュージック・ビデオ化されたが、これも自身の手になるものと思われる。俳優デビューは Cycle (Malayalam - 2008) Dir. Johny Antony によって。そして2年後には Malarvaadi Arts Club (Malayalam - 2010) で監督デビュー。2012年には、監督第二作目となった Thattathin Marayathu が高く評価され、興行的にもヒットとなった。しかし筆者にとっては上に挙げた作品群は妙に感傷的すぎて、どうもついて行けないものを感じている。それよりも Chaappa Kurish (Malayalam - 2011) Dir. Sameer Tahir で見せた、順風満帆の実人生とは真逆の負け犬の演技に大層感銘したのだ。おそらくは役者よりは監督・脚本を本業ととらえているのだろうが、まだ若いヴィニートが芝居の方でもキャリアを積んで行くことを期待したい。公式ブログはこちら

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前口上が随分長くなってしまったので、いい加減にしよう。ここに挙げた連中は個人的に気になった面子をピックアップしてみただけのもので、2012年が二世俳優席巻の年だったとか、そういうことを言うつもりではない。二世以外でも印象的な活躍をした人々については個々の映画紹介の中で書いて行きたいと思う。

これまでも何度か書いてきたが、スーパースターから端役にいたるまでのマラヤーラム映画の演じ手達の、高い芝居力や味のある顔面の魅力には、一度惹き付けられると逃れられないものがある。「これからは脚本が主役の映画じゃ」と大騒ぎしてる現地の皆さんに言いたい。ちょっとばかし気の利いた脚本、スカした新感覚映像、それだけじゃあ映画は成り立たない。一群のニューウェーブ・マラヤーラム映画が成功したのは、輸出品質の美女軍団、個性的な薄毛ヤング軍団、貫禄の中高年トド軍団が、新しいコンセプトを血肉化したからこそじゃあないか。もしそれがなかったらマラヤーラム映画は単なる「ボリウッドの廉価版」になってしまう。この連中が頑張ってる限りは、オイラはこれからもマ映画を見続けて行くことになるだろう。

投稿者 Periplo : 12:54 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年08月24日

Project 2011: その6

2011年のシリーズ最終回。スタート当初は「総まくり」として企画されたプロジェクトだ。全部見るのは挫折してしまったけど、ひとまず他にどんなのがあったのかだけは押さえておきたい。もしかして意外なお宝が隠れているのかもしれないし。以下は2011年公開作品88本中の、その他の43本(うち30本は見ようと思えば見られるのだが)。このうち My Dear Kuttichathan 3DVeeraputhranAthe Mazha Athe Veyil の3本はDVDが発売になったら必ず見ようと思っている。

なお、公開作のリストとしてはウィキペディアの Malayalam films of 2011 に準拠した。もうちょっと客観的なレーティングで振り返りたいならば malayalammovies.org による Malayalam Movies 2011 もいいかもしれない。それから2011年作品76本を観たといってる MovieOrange の書き手による Flashback 2011 : Malayalam Films も参考になる。この記事によれば2011年は豊穣な年だったという。しかし一方 metromatinee のMalayalam Cinema 2011- Flashback によれば、85本リリースのうち投下資金を回収できたのは僅か20本であるとも。危機はまだ去ってはいないのだ。2011年に噴出した感のあるニューウェーブ的な流れが、この危機からの脱出の原動力になるのか足を引っ張るのかまだまだわからないねえ。それではまた来年。

鑑賞保留

Nakharam
Director:T Deepesh
Cast:Ganesh Kumar, Architha, Jose Thettayil, Mamukoya, Madhupal, Sreelatha
VCD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:都市開発のために立ち退きを喰らった小商人の悲劇

Achan
Director:Ali Akbar
Cast:Thilakan, Sasi Eranjikkal
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:孤独な老人と看護士との絆

Note Out
Director:Kutty Naduvil
Cast:Nishan, Mithra Kurian, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Bijukkuttan, Anoop Chandran, Sumesh, Shiya
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:5人の若者のドタバタ・コメディー?

Kudumbasree Travels
Director:Kiran
Cast:Jayaram, Bhavana, Jagathy Sreekumar,Janardhanan, KPAC Lalitha, Radhika
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:田舎者が都会で行われる結婚式に列席するために大挙してバスを仕立てて出かけて行く珍道中記

Payyans
Director:Leo Thaddeus
Cast:Jayasurya, Anjali, Lal, Rohini, Lalu Alex
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:ジャヤスーリヤ定番のオツムが温い若者が中心のファミリードラマか

Living Together
Director:Fazil
Cast:Hemanth Menon, Sreelekha, Sreejith Vijay, Jinoop, Darshak, Menaka, Innocent, Nedumudi Venu
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:ファーシル監督最新作。ディスクに字幕がついてないのを理由にパスできた、ほっとしたよ〜

Nadakame Ulakam
Director:Viji Thampi
Cast:Mukesh, Vinu Mohan, Sarayu, Sharanya, Jagadeesh, Suraj Venjaramoodu, Jagathy Sreekumar, Indrans, Siddique
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:アマチュアの演劇マニアが自称プロデューサーの甘言に乗せられて映画作りにかかわるという話

Mohabbath
Director:East Coast Vijayan
Cast:Meera Jasmine, Anand Michael, Munna, Nedumudi Venu, Jagathy Sreekumar, Salim Kumar, Ashokan, Suresh Krishna, Devan
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:許婚である従兄ととカレッジでの恋人との間で揺れるヒロイン

Lucky Jokers
Director:Sunil
Cast:Suraj Venjaramoodu, Jagathy Sreekumar, Ajmal Ameer, Jagadeesh, Vadivelu, Harishree Ashokan, Madhu
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:不明
コメント:ネパール王家由来の宝石を巡ってのドタバタ。コメディアン全員集合映画

Kalabha Mazha
Director:P Sukumenon
Cast:Krishna, Radhika, Thilakan, Mamukoya, Cochin Haneefa, Jagathy Sreekumar
VCD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:隣り合って暮らすヒンドゥーとムスリムの家族の間の出来事を描く

Maharaja Talkies
Director:Devidas Chelanatt
Cast:Mukesh, Urvashi, Jagadeesh, Janardhanan, Vijaya Raghavan, Salim Kumar, T G Ravi, Harishree Ashokan, Unni Maya
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:村の映画館を経営するウールワシさんの細腕繁盛記のようなものか

Raghuvinte Swantham Rasiya
Director:Vinayan
Cast:Gopi Muralikrishnan, Meghana Raj, Charu Haasan, Thilakan, Sphadikam George, Sudheer Nair
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:職が得られず無為に暮らす若者達にテロリズムの魔の手が忍び寄る、という話

Njan Sanchari
Director:Rajesh Balachandran
Cast:Prashanth Punappara (Ayyappa Baiju), Sonima Sreedhar, Kalasala Babu, Shammi Thilakan, Bheeman Raghu, Kollam Thulasi, Anil Murali, Machan Varghese, Kalabhavan Niyaz, Sagar Shiyas, G K Pilla, Arumukham, Kalpana, Urmila Unni, Maya Moushami, Shabnam, Priyanka, Shantha Kumari, Thanima, Bindu Varapuzha, Tarishma
VCD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:レビューらしいレビューが見つからない正体不明作品。自主制作に近いものか?

Aazhakadal
Director:Shaan
Cast:Kalabhavan Mani, Shruthi Lakshmi, Shammi Thilakan, Vijaya Raghavan, Sai Kumar
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:ムショ帰りのクリスチャンの海の男が、漁師達を搾取する悪者と戦うという話

Shankaranum Mohananum
Director:T V Chandran
Cast:Jayasurya, Meera Nandan, Rima Kallingal, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Sudheesh, Bijukuttan, Indrans
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:これまでミーニングフルな映画ばかりを撮ってきたTVチャンドラン監督による初めてのコメディーという振れ込みだったが、DVDのジャケット写真を一瞥してみる気をなくしてしまった

Vaadamalli
Director:Albert Antoni
Cast:Rahul Madhav, Ramesh Raveendran, Pradeep Chandran, Richa Panai, Niji Mary, Jyothi Chatterji, Bijukuttan, Raveendran
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:例のナイルさん映画を企画しているはずのアルバート監督の第二作目。音楽学校を舞台にしたロマンスとサスペンスらしい

Uppukandam Brothers Back in Action
Director:T S Suresh Babu
Cast:Srikanth, Honey Rose, Vani Viswanath, Richard Rishi, Babu Antony, Jagadheesh, Baiju, Captain Raju
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:タミル・ヒーローのシュリーカーントの初マラヤーラム出演として多少は話題になった

Kanakompathu
Director:Mahadevan
Cast:Deepu Shanth, Shankar Narayanan, Vinod Kishan, Manoj K. Jayan, Mythili, Vivek, Nedumudi Venu, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, KPAC Lalitha, Kalpana
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:Manichithrathazhu (Malayalam - 1993) Dir. Fazil の脚本家マドゥ・ムッタムが久しぶりのカムバックして手がけたスリラーらしいが、意味不明と痛罵されて終わった

Kottarathil Kuttibhootham
Director:Kumar Nanda - Basheer
Cast:Mukesh, Jagadheesh, Althara, Ashokan, Suraj Venjaramoodu, Sheela, Geetha Vijayan
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:只今上映中の粗筋を読むとなんだかManu Uncle (Malayalam - 1988) Dir. Dennis Joseph のリメイクのように思える。ただし豪華大スターの特別出演抜きの

Bangkok Summer
Director:Pramod Pappan
Cast:Unni Mukundan (Jayakrishnan), Richa Panai, Rahul Madhav, Sruthi Lakshmi
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:バンコクを舞台にしたスリラーらしいということ以外は何もわからない

Ninnishtam Ennishtam 2
Director:Alleppey Ashraf
Cast:Suresh Nair, Sunitha, Priya, Mukesh, Jagathy Sreekumar, Bheeman Raghu, Suraj Venjarammoodu, Sukumari
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:ラルさん主演+プリヤン先生監督の1986年作品に対して勝手に作った後日談。こういう作り方をしたものにこれまで当たりはなかったんでパス

Scene No. 001
Director:Snehajith
Cast:Saiju Kurup, Niya, Roopasree, Priyanandanan, Biju Varkey, Yadu Krishnan
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:新人映画監督が直面するあれやこれやのトラブルを映画いたものらしい

Oru Nunakkatha
Director:Johnson Thankachan
Cast:Aswathy, Piyoosh, Aneesh Menon, Riaz Khan, Vivek, Asharaf, Jagathy Sreekumar
VCD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:映画界を舞台にしたコメディーらしい。タミル・コメディアンのヴィヴェークが出演

Kadhayile Nayika
Director:Dileep
Cast:Urvashi, Roma, Kalabhavan Prajod, Suraj Venjaramoodu, KPAC Lalitha, Ambika Mohan, Sukumari, Sai Kumar
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:ウールワシさん演じる未亡人の生活奮闘記と、ローカルTV局を舞台にした殺人事件が絡む話

Chungakkarum Veshyakalum
Director:Isaac Thomas
Cast:Thilakan, Sanjay George, Michelle Sinclair, Jaison Mathews, Saju Varghese, Anu Thahim, Sivan Kailas,
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:カナダで暮らすNRIの息子を訪ねてケララの村からやってきた老人が巻き起こす騒動

Priyappetta Nattukaare
Director:Sreejith Paleri
Cast:Kalabhavan Mani, Bala, Lakshmi Sharma, Mallika, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Mala Aravindan, Ganesh Kumar, Sukumari
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:ポリティカル・スリラー。カラーバワン・マニが共産党の活動家を演じるという

Ven Shankhu Pol
Director:Ashok R Rath
Cast:Suresh Gopi, Murali, Manoj K Jayan, Jyothirmayi, Meera Nandan, Anoop Menon, Lalu Alex, Chembil Ashokan, Sukumari
ディスクの発売:何らかのディスクがあることを MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:スレーシュ・ゴーピのアクション推理ドラマ。この手のものとしてはけっこう贅沢なキャストだと思うのだが、レビューが見つからず

Umma
Director:Vijayakrishnan
Cast:Shobha Mohan, Sreehari, Madhu
ディスクの発売:確認できず
コメント:マクシム・ゴーリキーの『母』の翻案、マーピラ社会を舞台にしている

Teja Bhai & Family
Director:Deepu Karunakaran
Cast:Prithviraj, Akhila Sasidharan, Thalaivasal Vijay, Suman, Suraj Venjaramood, Jagadheesh, Salim Kumar, Indrans, Nedumudi Venu, Rajeev Govinda Pillai
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:クアラルンプルのヤクザのドンが、惚れた娘と結婚するために堅気のふりをする、というコメディー

Arabipponnu
Director:Vijay
Cast:Thilakan, Joobin, Rajan P Dev, Sarika, Soorya, K R Vijaya
VCD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:MTヴァースデーヴァン・ナーイルの同名小説があるが、それの映画化なのかどうかは不明。子供達に見捨てられたムスリムの老夫婦を描くという

My Dear Kuttichathan 3D
Director:Jijo Punnoose
Cast:Kottarakkara Sreedharan Nair, Dalip Tahil, Rajan P Dev, Mukesh, Master Arvind, Master Suresh, Baby Sonia, Urmila Matondkar, Prakash Raj
VCD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:大人気の3Dの波が面白い形でケララに押し寄せてきた。1984年にインド初の3D映画として封切られた My Dear Kuttichathan は、1997年にヒンディー吹替え版 Chhota Chetan が公開され、その際にはウルミラー・マートーンドカルをフィーチャーしたポーションが追加された。2010年のタミル語版 Chutti Chathan にはさらにプラカーシュ・ラージとサンターナムのパートが加わったという。この2011年マラヤーラム版はどうやらそのタミル版が逆輸入されたもののようだ
Kuttichathan.jpg

Ulakam Chuttum Valiban
Director:Raj Babu
Cast:Jayaram, Mithra Kurian, Biju Menon, Suraj Venjaramoodu, Vandana Menon, Suresh Krishna, Salim Kumar
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:金に困った野菜卸商が、TVのリアリティ・ショーに出演する、というような話

Sarkar Colony
Director:V. S. Jayakrishna
Cast:Mukesh, Devayani, Jagadheesh, Jagathy Sreekumar, Ashokan, Sona Nair, Suraj Venjaramoodu, Jaffer Idukki
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:下級公務員の楽ではない暮らしを悲喜こもごもで物語るコメディー

Koratty Pattanam Railway Gate
Director:Hafiz Ismail
Cast:Ajay Natesh, Mallika, Premnath, Rajeev Rajan, Shammi Thilakan, T S Raju, Kalasala Babu, Narayanan Kutty, Bineesh Kodiyeri, Nelson, Sajeer, Shafeek, Seema G Nair, Seenath, Shalini, Krishna, Sonia, Master Sreekailas, Master Aashik
ディスクの発売:確認できず
コメント:二つの若者のギャング団が対立し、凄惨な暴力の応酬が描かれるという。タミル・ニューウェーブの影響下?

Pachuvum Kovalanum
Director:Thaha
Cast:Mukesh, Suraj Venjaramoodu, Meghana Raj, Jyothirmayi, Jagathy Sreekumar, Innocent, Sai Kumar, Sona Nair, Kalpana
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:連続テレビドラマのやり手ディレクターが撮影現場のでの殺人事件に遭遇する、というコメディー

Veeraputhran
Director:P T Kunju Muhammed
Cast:Narain, Raima Sen, Sarath Kumar, Lakshmi Gopalaswamy, Siddique, Kalabhavan Mani, Sai Kumar, Devan, Valsala Menon, Sajitha Madathil
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:ケララの生んだ対英独立闘争の英雄、モハンマド・アブドゥル・ラヒマーンの伝記映画。Paradesi (Malayalam - 2007) のPTクンニュモハンマドの監督作。堅苦しい面はさておき、ライマ・セーンのマラヤーラム初出演作だ。なんでディスク発売されないんだよ〜
veeraputran.jpg

Swapna Sanchari
Director:Kamal
Cast:Jayaram, Samvritha Sunil, Innocent, Harishree Asokan, Salim Kumar, Bhama, Meera Nandan, Balachandran Chullikkadu
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:湾岸帰りの小金持ちが肥大した自尊心から各種の大盤振る舞いを行うがその行き着く先は…というストーリー

Innanu Aa Kalyanam
Director:Rajasenan
Cast:Rajath Menon, Saranya Mohan, Malavika Wales, Roshan, Kunchan, Jagathy Sreekumar, Sudheesh, Bindu Panicker, Rohini, Suraj Venjaramoodu
ディスクの発売:ACDのみ MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:工科大学で学ぶ4人の男女の青春成長物語

Sundara Kalyanam
Director:Chandra Mohan
Cast:Ubaid, Sruthi Lakshmi, Pooja Vijay, Santha Kumari, Ottapalam Pappan, Venu Machat
ディスクの発売:確認できず
コメント:ネット上で情報がほとんど見つからない。イメージを眺めると、Krishnanum Radhayum と同類じゃないかという気もしてくるのだが

Athe Mazha Athe Veyil
Director:G Manu
Cast:Anoop Menon, Lena, Jagathy Sreekumar, Madhupal, Master Ashwin
ディスクの発売:確認できず
コメント:おお、注目のレナさんがヒロインをやっているではないか。子育てを巡って夫婦間でギクシャクする話らしい
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Bhagavathipuram
Director:Prakashan
Cast:Ashraf, Arun, Souparnika, Jaffar Idukki, Narayanan Nair, Archana
ディスクの発売:確認できず
コメント:タミル・ニューウェーブの田舎もの Aaravadhu Vanam (Tamil - 2010) Dir. Bhuvanesh からイタダいてきたストーリーらしい

Happy Durbar
Director:Hari Amaravila
Cast:Mukesh, Suraj Venjaramoodu, Lakshmi, Rahul Madhav, Jagathy Sreekumar, Captain Raju, Spadikam George, Indrans
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:CID捜査官のお笑いコンビが巻き起こす珍騒動の数々

Killadi Raman
Director:Thulasidas
Cast:Mukesh, Megha Nair, Siddique, Lena, Siddique, Saranya Mohan, Lalu Alex, Priya Lal, Jagathy Sreekumar, Rajith Menon, Sukumari
DVD の発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:交通事故に遭った女性を善意から病院に担ぎ込んだことから主人公を襲う不条理なトラブルの数々、というコメディー

投稿者 Periplo : 15:29 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年08月23日

Project 2011: その5

それでは今回もオマケから。2011年に目覚ましかった男優編だ。お姉ちゃん&小母ちゃんと比べていまいちノリが良くないな。モーハンラール、マンムーティのツインタワーはメガヒットこそなかったものの存在感は減じていない。それから若いニイちゃんたちが何やらワラワラ出てきてるみたいだが、悪いが顔を覚えきらん。まっ、来年あたりに淘汰された時点でまだ生き残ってたら覚えてやってもエエよ。

chackochan.jpg

2011年にグワーッと来た人って言ったら、やっぱこの人、希少な30代明星(当年35歳ということになっている)クンチャーコー・ボーバン君(別名チャコーチャン、ふざけているのではなく、ケララ・クリスチャンの間でポピュラーな愛称形で、現地でもこう呼ばれている)でしょう。

かなり前に少しだけ紹介したこともあったけど、「お家制度」がそれほど強固ではないマ映画界の中で、名門といえばこれほどの名門も他にいないだろうという育ちの良さ。監督・プロデューサーだった祖父のクンチャーコーは1947年にアレッピーにウダヤ・スタジオを創設し、マドラス、コインバトール、セーラムなどタミル・ナードゥ州のスタジオ施設に依存していたマラヤーラム映画界をケララに呼び戻し、一時代を築いたという。その後事業はチャコーチャンの父でやはり監督だったボーバン・クンチャーコーに引き継がれたが、いつの頃からかケララではスタジオ・システム自体が斜陽化し、TV撮影施設として細々と存続するのみとなっていた。その父が2004年に没した後はチャコーチャンが引き継ぎ、2009年には Uday Soorya Hi-tech Film City なる名前で再出発したなどと報じられたが、これが現在事業として軌道に乗っているのかどうかは調べてみてもよく分からなかった。

チャコーチャンの個人的な芸歴に転じると、Aniyathipravu (Malayalam - 1997) Dir. Fazil でデビュー、これは大ヒットとなり、チョコレートヒーローとして若い女性の間での人気が沸騰した。Aniyathipravu は非の打ち所のない名作だったが、それを名作たらしめたのはファーシル監督のきめ細かな演出に支えられたチャコーチャンの天才的な演技力だったと思う。 そして、(例によってだが)二十歳そこそこのヒーローというのはこの時期のケララでは全くもってユニークな存在でもあった。さらに「ダンスのセンス全滅」 なマ映画界にあって、踊りの能力においてもチャコーチャンは突出していた。易易と軽々と踊る若いロマンチック・ヒーローというのは革命的な存在だったのだ。

デビュー以降2004年頃までは概ねこの路線で、しかしかなりのんびりとキャリアを築いていたのだが、その後出演本数が落ち込み、内容もどんよりとしたものになっていき、ついに2007年には新作封切りゼロにまでなってしまう。2004年に父をなくし、翌2005年に結婚し、それらと関係があるのかどうか不明ながら同じ頃に不動産ビジネスに乗り出したのが原因である。途中 Twenty:20 (Malayalam - 2008) Dir. Joshiy での情けな~いアイテムダンサーと Lollipop (Malayalam - 2008) Dir. Shafi での情けな~い恋敵役を経て、本格的な再出発はジャヤスーリヤと共演の Gulumal: The Escape (Malayalam - 2009) Dir. V K Prakash から。かつてのような、単独ヒーローとしての出演があたりまえという待遇はもうなかった。

俳優としてのチャコーチャンが本当に息を吹き返したのは Elsamma Enna Aankutty (Malayalam - 2010) Dir. Lal Jose によって。チャコーチャン自身も自分の復活がラール・ジョース監督に負っていることをインタビューで述べている。そして2011年には秀作、サイテー映画、ゲスト出演とりまぜて出演作を8本にまでのばした。かつてのおっとりした構えを振り払うかのように、親爺達ともみ合ったり(Seniors)若いのに混じってみたり(Sevenes)ニューウェーブだったり(Traffic)古くさいのだったり(Doctor Love)。比較的短躯で童顔なのは変わらず、しかし突風には充分気をつけなければならない頭髪になって、それでも ’I have to keep myself young if I have to be competing with them in this field’ なんて言ってるのだ、泣ける〜。結局、2000年代半ばの休業に到る事情、不動産ビジネス分野での成果など、本当のところはどうだったのかは分からない。けど、勝手な想像をすることを許してほしいのだ。呑気に構えすぎて身上が傾き、試しにやってみた投機で大火傷して、やっと我に返った若様がお家再興のためについに本気で踊り出す、ロマンだあ〜、浪花節だあ〜。

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脇役マニア的には、当サイトでは「万年チンケ悪役」が冠言葉になってしまったバーブラージの突然のブレイク。 Salt N' Pepper でのコミカルな料理人役が大受けしてしまっての椿事。調子に乗って翌2012年には主演作品まで公開された(Naughty Professor)が、これは調子に乗りすぎたようで撃沈されてしまった。まあしかし、いつも目ぇ吊り上げて「ぶっ殺したる!」なんて言ってる奴が、意外にお惚けだったり意外に優しかったりするところを見せられると胸キュンになっちゃう観客ってのは、なんか大衆情報化社会を感じさせる現象だよね。

なんてところで、やっと本題。

星1つ

cvKayam.jpgKayam

Director:Anil K Nair
Cast:Swetha Menon, Manoj K Jayan, Bala, Aparna Nair, Anil Murali, Sona Nair, Subair, Kottayam Nazir, Pala Charlie

原題:കയം
タイトルの意味:Whirlpool

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間51分

ジャンル:エ ロ
キーワード:ニンフォマニア、漁師、幼時のトラウマ、男性不信、たらい舟

当網站の関連ポスト:2010.12.31(予告的紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/kayam-malayalam-2011

【寸評】
70 年代または80年代に作られた同名作品のリメイクらしい。しかしオリジナルについてはVCDが発売されているのみで、情報が全くつかめない。それはともかく、本作も事前には結構期待が高い一品だったのだ。並外れて肉感的で性への欲望を隠そうともしない野生の美女と翻弄される男たちなんてストーリー、マラヤーラムでしか作れないアートなファンタスティック・ワールドになるかもしれなかった、それもシュウェちゃんことシュウェータ・メーノーンさんの主演でだ。しかし制作者側の力量が決定的に不足していた、三流桃色映画が途中で収拾がつかなくなってホラー映画に路線変更して無理矢理終わらせるというていたらく。おまけにプロデューサが小銭欲しさに本作のスチル写真を勝手に精力剤メーカーの広告に流用することを許したとして(こんなの)、シュウェちゃんが訴えを起こす、なんていうみっともない一幕も。やれやれ。


cv3kings.jpgThreee Kings

Director:V K Prakash
Cast:Kunchacko Boban, Indrajith, Jayasurya, Sandhya, Ann Augustine, Samvritha Sunil, Ashokan, Jagathy Sreekumar, Salim Kumar, Suraj Venjaramoodu, Kunchan, Sreejith Ravi, Vijay Babu, Ambika Mohan, Majeed, Balachandra Chullikkad, Sasi Kalinga

原題:ത്രീ കിങ്ങ്സ്
タイトルのゆれ:Three Kings

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間03分

ジャンル:コメディー
キーワード:ニランブール、王家、三馬鹿息子、マイソール、埋蔵宝物、TVリアリティショー、ハリウッド元ネタ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/three-kings-malayalam-2011

【寸評】
この前のエントリーBeautiful の項)では「突然ランクアップし、ほとんど一部リーグ入りしたと言ってもいいくらいになった」と書いたVKプラカーシュ監督のコメディー。これまで紹介してきた2011年作品の中では文句なしのサイテーだ。だからこのプラカーシュさんは信用できないんだよ。どういう訳かケララ人が愛好する、中年男(まあ本作では若者という設定だけど)3、4人が画面狭しとドツキ合うタイプのやつ。敢えてポジティブな点を挙げるなら、中盤に出てくる(ケララ人から見た)テルグ人の名前の神秘に関するジョークのところが面白かった。もっと色々書こうと思ったのだが、これを見た時にオイラがとってたノートには、あとは「笑いの永久凍土帯」としか書かれていなかったのだった(泣)。

【2013年10月18日追記】
その後、本作はMast Maja Maadi (Kannada - 2008) Dir. R Ananth Raju の志の低いパチリだということも判明した。

ThreeeKings.jpg
これは多分カメラマンが悪のりしたイメージ・スチルだろう、いくら何でも本編には出てこないだろうと思ってたら、実際にこーゆーシーンがあった……。クンチャーコー君、やっぱり少しは脚本を選ぼうよ。

以上で、筆者が鑑賞した2011年作品の45本の紹介は終わり。次回はそれ以外の40余本について簡単にリストアップしようと思う。

投稿者 Periplo : 01:50 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年08月22日

Project 2011: その4

今回は星2つ、もう紹介と言うよりは警報として発信しておきたいというレベルのものだ(その割には妙に口数多いな、自分)。それだけじゃあナンなので2011年にガーンと前面に出てきた人たちについてサラリとふれておきたい。まずは女の子ちゃん&小母ちゃんから。

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まあ、女王の座は再びカーヴィヤ・マーダヴァンに戻ってきたことは間違いはない。フィルモグラフィーを見ると、離婚騒動の最中にあった2010年にはたった1本の出演作しかなかったが、2011年は5月に正式に離婚が成立し、本数も一気に6本まで戻した。いずれも大作、あるいは意欲作。はっきり言って逆戻り不可能なほどに膨満化+オバさん化してしまったように見えるのだが、ケララの衆がカーヴィヤさんに寄せる支持はいまだに絶大なようなのだった。この先も頑張って欲しい、でもできれば洋装は避けたほうがいいと思うのだが。

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女王様は一人だけではなかった。この2011年に頂点を極めたのはシュウェちゃんことシュウェータ・メーノーンさんでしょう。ウィキペディアのフィルモグラフィーによれば、2001年にAnaswaram (Malayalam - 2001) Dir. Jomon でデビュー(ここの右下にその時のものと思われるイメージあり)、その後ボリウッドに行き、マラヤーラムへのカムバックは2006年、そしてPaleri Manikyam で2009年に大躍進、2010年はちょっと休憩、2011年には再び Salt N' Pepper などで話題をさらった。そのシュウェちゃんも2011年6月にめでたく挙式、現在は妊娠休業中ということだが、このまま引退してしまうということはどうやらなさそうだ。

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ガールズではこの二人、ニティヤ・メーノーンとラミャ・ナンビーシャン。

ニティヤは Aakasha Gopuram (Malayalam - 2008) Dir. K P Kumaran で本格的に映画デビュー、Kerala Cafe (Malayalam - 2009) の中の短編 Happy Journey Dir. Anjali Menon でも大いに注目されたが、2011年に名実共にメジャーリーガーになったという感じだ。既にタミル、テルグ、カンナダの出演作があり、特にテルグではさほど多くはない出演が全て話題作となって確実に地歩を築いている。それとともに業界内での内輪揉めにまつわるゴシップもしばしば聞こえてくるようになった。個々の事例の真贋は不明だし、内容も死ぬほど下らないから興味はないのだが、要するにこうした摩擦はこの子がマラヤーラム映画(あるいはインド映画)の現状に対して大いに批判的であり、それを率直に口に出していることが根底にあるのではないかと思う。

ラミャ・ナンビーシャンは1990年代半ばから子役として活躍しており、ヒロイン・デビューは Aanachandam (Malayalam - 2006) Dir. Jayaraj によって。しかしその後しばらくは子役を脱しきれていないような助演が続き、キャリアは低迷していた。それが2011年になって TrafficChaapa Kurish とで急浮上。ベビー・フェイスはそのままに、悩ましく蠱惑的かつ不道徳な「危ない子」として観客を圧倒した。しかも肌の露出もアイテムソングもなしでだ。それはひとえに、この子のちんまりとまとまった子役顔に拭いようもなくクッキリと「悪」という文字が浮かび上がっている、そのことを彼女が充分に自覚したからなのではないだろうか、そんな想像が掻き立てられるのだ。

ともかく、ニティヤとラミャ、どちらもこの先のマラヤーラム・ニューウェーブを牽引して行くことになるのは間違いないと思う。

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このくらいで止めておけば普通の人には充分なところだが、脇役マニア+熟女好きとして、どうしてももう一人紹介しておきたい。レナ・アビラーシュさんだ。

正直なところ、この人の顔と名前が一致するようになったのは割と最近のことだ。実はテレビの連続ドラマではかなりの人気者だというのだが、映画の方では端役専門だった。フィルモグラフィーを見ると自分が以前から名前も知らずに礼奈さんを眺めていたことがわかった。懐かしい感じがするのはそのためか。大抵は大家族全員集合もので前から3列目で顔だけ出して笑ってるような役だった。それが2011年には前から2列目まで来た。その分台詞が増えて魅力も倍増、特に Traffic での大スターを叱り飛ばす妻の役、Snehaveedu での実母と和解したいのに出来ずに喧嘩してしまう駆け落ちした娘の役がこちらの心の琴線に触れた。2012年には最前列に出てきてくれるのではないかと今からワクワクなのだ。

さて、ここからが本題。

星2つ

cvIthuNammude.jpgIthu Nammude Katha

Director:Rajesh Kannankara
Cast:Asif Ali, Nishan, Abhishek, Ananya, Amala Paul, Nimisha Suresh, Vineeth Kumar, Kaviyoor Ponnamma, Shoba Mohan, Indrans, Lalu Alex, Jagathy Sreekumar, Ambika Mohan, Suraj Venjaramoodu, Kottayam Nazir, Devan, Kalaranjini, Dhanya, Jagadheesh, Lishoy, Balachandra Chullikkad, Manoj Thomas

原題:ഇതു നമ്മുടെ കഥ
タイトルの意味:This is our story
タイトルのゆれ:Ithu Nammude Kadha

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間11分

ジャンル:青春
キーワード:タミル・ニューウェーブ、リメイク、アレッピー

当網站の関連ポスト:2011.12.18(リメイク比較)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/wish-list-ithu-nammude-katha

【寸評】
タミル・ニューウェーブの有名作 Nadodigal (Tamil - 2009) Dir. P Samuthirakani のかなり忠実なリメイク。同作の売りであるアクションシーンなどはカット割りまで同じではないかというくらいのものだ。しかし地理的なセッティングをタミル南部のマドゥライ地方からケララの水郷アレッピーに、主役をシャシ・クマールからアーシフ・アリに変えただけで、完全に別物となった。なんかこう醒めていて、低血圧で腰砕けなサスペンスなのだ。脚本も演出も原作に忠実だから破綻は全然ない、ニュアンスだけが違う。タミル映画の激情的な性向とマラヤーラム映画の抑圧的・内向的な指向性との違いが本作を通してくっきり浮かび上がった形だ。タミル・ニューウェーブを移植したからといって即そのままマラヤーラム・ニューウェーブとはならない、ということがよく分かる、そういう意味での変なお勧めだ。


cvChinatown.jpgChinatown

Director:Rafi Mecartin
Cast:Mohanlal, Jayaram, Dileep, Suraj Venjaramoodu, Kavya Madhavan, Poonam Bajwa, Deepa Sha, Pradeep Rawat, Captain Raju, Shankar, Shanavas, Jose, Jagathy Sreekumar, Ranjini Haridas

原題:ചൈന ടൌണ്‍
タイトルのゆれ:China Town

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間29分

ジャンル:コメディ
キーワード:ゴア、カジノ、関取、ギャング抗争、クリスチャン、マルチスター

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/chinatown-malayalam-2011

【寸評】
モーハンラール、ジャヤラーム、ディリープのデコボコ3人組が繰り広げるドタバタ・アクション。この分野の第一人者であるラーフィ・メカーティン監督のものということもあり、そこそこはヒットしたようだが、リリースの時期をちょっと誤ったのではないかと思う。前回紹介の Christian Brothers とキャストがかなりかぶっているのに同時期に劇場にかかっていたのだから。筆者は両作を現地で2日間で立て続けに観て、すっかり何がなんだか分からなくなってしまった。ちなみに本作のタイトルは、舞台の一部であるゴアにあるカジノの名前「チャイナタウン』にちなんでいるだけで、中国的な要素は全くない。で、中国人の代わりに正体不明の欧州人角力を延々と写しているのだ。豊満親爺ランドであるケララで、笑いを取るためにわざわざ日出ずる国の角力のビジュアルを使うというのは時折目にする現象。一部のニュースではハンガリー出身のプロの関取だという情報もあったがたぶんガセ、この画像を一瞥すればわかるが、鍛え抜かれたアスリートの体には見えないし髷の結い方も杜撰、大方コーヴァラム・ビーチで拾ってきたんだろう。まあこの人の出自はどうでもいいけど、この画像だけで本作のユーモアのレベルは推し量れてしまうだろう。ラーフィ・メカーティンの劣化を感じてしまった残念な一作。


cvSeniors.jpgSeniors

Director:Vyshakh
Cast:Kunchacko Boban, Jayaram, Biju Menon, Manoj K Jayan, Ananya, Padmapriya, Suraj Venjaramoodu, Siddique, Meera Nandan, Radha Varma, Jyothirmayi, Jagathy Sreekumar, Vijaya Raghavan, Lalu Alex, Shammi Thilakan, Rahasya, Sumit Naval, Sajitha Betti, Sreejith Ravi, Narayanan Kutty

原題:സീനിയേഴ്സ്

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間24分

ジャンル:コメディ
キーワード:学園殺人事件、生涯教育、幽霊、学園祭レビュー

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/seniors-malayalam-2011

【寸評】
何かと話題になりヒットもした Pokkiri Raja (Malayalam - 2010) でデビューしたヴァイシャーク監督の第二作目。本作も地すべり的なヒットになったという。しかし内容は破れかぶれの便所の火事映画とでも言ったらいいだろうか。早い話が Classmates (Malayalam - 2006) Dir. Lal Jose のパロディな訳よ。今からもう6年も前の作品になるが、まあこれは今日隆盛となったニューウェーブの先駆けだったと言えるだろう。Classmatesでもキーとなるのは4人の学生だった。そして学園内の死亡事件というモチーフ、卒業後時間が経ってから当事者達が再会するという構造も同じ。まあそれを親父ギャグで全面コーティングして展開するわけなのだが、Pokkiri Raja での馬鹿笑いには至れなかった。やっぱりあれはマンムーティの自虐ネタの破壊力だったのかもしれない。本作ではビジュ・メーノーンのコメディセンスが高く評価されることになった、埋もれてる才能ってのはまだまだあるもんなんだ。これからこのオッさんのコメディを嫌というほど見せられることになるのかもという予感。

それにしてもこの↓ポスターを目にしながら(劇場で実際に掲げられてた)ひるむことなくボックスオフィスに向かい金を払って入場する成人男女がいるというのは凄い。やっぱインド人に勝てると思っちゃあかん。
seniors.jpg


cvViolin.jpgViolin

Director:Sibi Malayil
Cast:Asif Ali, Nithya Menon, Lakshmi Ramakrishnan, Reena Basheer, Vijayaraghavan, Nedumudi Venu, Sreejith Ravi, Chembil Asokan, Anil Murali, Janardhanan

原題:വയലിൻ

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間17分

ジャンル:ロマンス
キーワード:フォート・コーチン、クリスチャン、若草物語

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/violin-malayalam-2011

【寸評】
以前傑作として紹介した Mutharam Kunnu PO (Malayalam - 1985) でデビューしたシビ・マライル先生は25年超の安定したキャリアを持つ「中堅以上巨匠未満」という監督。 40本以上の監督作のジャンルはスリラー、ミュージカルなど多岐に渡るが、「気恥ずかしくなるくらいのバタ臭い設定の中での少女漫画みたいなラブコメ」というものを結構作っているのだ、このジャンルでは第一人者と言ってもいいだろう。ただ昔はそれをこういう面子で作ってた。なので、気恥ずかしさよりもシュールさの方が上回っていた。それが、前作 Apoorvaragam (Malayalam - 2010) でニティヤ・メーノーンという「逸材」を見つけて、完全にストッパーが外れてしまったようなのだ。生年がはっきり分からないシビ・マライル先生、50代半ばというぐらいのところだろうか、まだ老耄には早いと思うのだが、このままストッパーなしで暴走を始めてしまうのではないか、見ていてそんな不安が胸をよぎる、乙女の夢(ただし初老男の想像による)が詰まったロマンチックな一品。


cvMetro.jpgThe Metro

Director:Bipin Prabhakar
Cast:Sarath Kumar, Bhavana, Nivin Pauly, Suraj Venjaramoodu, Suresh Krishna, Shammi Thilakan, Nishant Sagar, Siddique, Kalsala Babu, Majeed, Jagathy Sreekumar, Ponnamma Babu, Bhagath Manuel, Biyon Gemini, Arun

原題:ദി മെട്രോ

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間11分

ジャンル:スリラー
キーワード:コーチン、政治家暗殺、グーンダ、ヤング群像、ブロードウェイ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/the-metro-malayalam-2011

【寸評】
湾岸出稼ぎから一時帰国した青年とその友人達が再会を祝して田舎への小旅行に出かけるが、その帰途コーチンで犯罪に巻き込まれ深夜の街を右往左往する、というストーリー。つまり、メトロとはコーチンのことなのである。作中では「ドゥバイにも並ぶ」なんて形容してる台詞まであって、こっちは飲みかけのチャイを辺り一面に吹き散らしたりした。夜の12時前に寝静まって真っ暗になっちゃう街を普通はメトロとは言わんだろ。大都会とまではいかなくても昼間は賑わっていてウキウキ楽しく散策できる、それがレストランで夕食を終えて表に出ると、繁華街を歩くのに懐中電灯が欲しくなる、インドの地方都市って大概がこんなもんだ。そして本作のキーとなっているのもまさにこの現象なのだ。青年達がコーチンからヴァイピーン島を経由してトリシュールに抜けようとしてどうやら道を間違えたらしく逆戻りしてしまう、などという具体的な地名が辿れるのは面白い。そういうリアリティあるスリルと、サラト・クマールのスーパーコップぶり、マ映画の緩い基準からしても二昔前なアイテムソングなどが結びつかずチグハグな印象。


cvRathinirvedham.jpgRathinirvedam

Director:T K Rajeev Kumar
Cast:Swetha Menon, Sreejith Vijay, Manian Pillai Raju, Shammi Thilakan, Unda Pakru, KPAC Lalitha, Shoba Mohan

原題:രതിനിര്‍വേദം
タイトルの意味:Adolescent desire
タイトルのゆれ:Rathinirvedham, Rathi Nirvedam

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間51分

ジャンル:青春
キーワード:同一言語旧作のリメイク、蛇塚、初体験、年上のお姉さん、中央トラヴァンコール、星回りの凶兆、SEIKO時計

準オフィシャルサイト:http://www.manoramaonline.com/advt/Specials/Metro/Rathinirvedam/index.asp
当網站の関連ポスト:2011.03.10(予告的紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/rathinirvedam-malayalam-2011

【寸評】
パドマラージャン原作、バラタン監督による Rathinirvedam (Malayalam - 1978) Dir. Bharatan の鳴り物入りリメイク。しかし原作を貶めたと酷評された(ただし興行的には、もともと低予算だったこともあり、エ ロが呼び物となって一定程度のヒットになったようだ)。本作を観て、パドマラージャンの未亡人はもうリメイクの許可を出さないことを決めた、などとも報道された。オリジナルは、片田舎で無為の日々を過ごす青年の春の目覚めを、詩情豊かに、かつ残酷に描き名作とされた。リメイクの本作の最大のウリは、なんといってもヒロインがシュウェちゃんことシュウェータ・メーノンさんであること。若いのがあれこれとイケない妄想を膨らませる相手としては最高のキャスティングでしょう。この点だけはオリジナルのオバちゃん臭いジャヤバーラティよりも格段に勝っていた。だけど、ただそれだけなんだよね。オリジナルにあった張りつめた緊張感と瑞々しさは本作では失われ、よくある記号表現の羅列だけのダレダレの2時間となってしまった。なお、こちらの記事によれば、本作でデビューした主演(いや助演だな)のシュリージット・ヴィジャイ君にとって、撮影を通して一番チャレンジだったのはムンドゥを着こなすことだったという。いや、世も末じゃ。


cvFilmstar.jpgThe Filmstaar

Director:Sanjeev Raj
Cast:Dileep, Kalabhavan Mani, Muktha George, Rambha, Thalaivasal Vijay, Jagathy Sreekumar, Vijaya Raghavan, Salim Kumar, Ashokan, Valsala Menon, Devan, Suraj Venjarammoodu, Baburaj, Sadiq, Narayanan Kutty, Babu Namboothiri, Kottayam Nazir, Pala Charlie, Guruvayoor Sivaj

原題:ഫിലിംസ്റ്റാര്
タイトルのゆれ:Filmstar, Film Star

DVDの版元:AP Internationaal
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間21分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:悪徳政治家、スーパースター、石鹸会社、映画界内幕

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/filmstar-malayalam-2011

【寸評】
南インド映画界きってのスーパースター(Kalabhavan Mani)の邸宅に侵入した脚本家志望の男(Dileep)、彼は不快さを隠さないスターを前にして自分が温めてきたストーリーのプレゼンをすることをなんとか許される。最初は嫌々耳を傾けていたスターは、途中から俄然興味を示し始め、その脚本を映画化すること、そして自分が主演することをその場で約束する。それは巨大資本と利権まみれの政治家による謀略で父祖伝来の土地を追われた村人たちの物語だった。大体こんなストーリーで、要はよくある悪徳資本家+政治家粉砕ものなんだけど、主演のディリープに並べてカラーバワン・マニを準主役で立てたり、凝った仕掛けを作ろうとした意図は窺える。しかしこれは観客の共感の行き先をどっちつかずなものにしてしまった。ここのところの「ディリープがなんか変わったことしようとしてる」シリーズのうちの一つなんだと思うけど、裏目に出てしまった。だいたい、カラーバワン・マニは「南インドのスーパースター」(注:ケララではない)をやるには格好良すぎ&インテリ過ぎじゃあねえか。


cvCollector.jpgCollector

Director:Anil C Menon
Cast:Suresh Gopi, Aditya Menon, Pala Charlie, T P Madhavan, Sudheesh, Babu Raj, Abu Salim, Manian Pillai Raju, Janardhanan, Nedumudi Venu, Manga Mahesh, Srihari, Ponnamma Babu, Subair, Kaviyoor Ponnamma, Kalsala Babu, Mohini, Megna, Yamini Sharma, Viju Pappan, Anil Murali, Rajeev, Laxmi Sharma

原題:കളക്ടര്‍
タイトルの意味:当網站では「地方行政長官」と訳しているが、妥当性については自信なし。選挙で選ばれる自治体首長とは異なり、州政府によって任命される高級官僚である。英領時代の収税長官に起源を辿ることができる官職で、担当地域における権力は絶大であるという。ウィキペディアのエントリーも参照。

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間24分

ジャンル:スリラー
キーワード:コーチン、大規模ビル、ゼネコン、婦警さん、ラジニカーント大好き少年、テロ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/collector-malayalam-2011

【寸評】
誰だったか、外国のことを良く知ろうと思うなら、その国の言葉で書かれたB級文芸作品を片端から読むがいい、と言った人がいた。A級には時代や地域を超越した高みに達してしまうものがある、しかしB級にはその土地の人々の時代精神や欲望が無意識のうちに宿るから、という理屈だった。そういう意味では本作は大変タメになる一品。まず、コーチンで遠い昔に不法占拠した土地に大型商業ビルをおったて、長年営業を続けて巨益をあげている悪徳資本家というのが登場する。これは2011年の他の作品でも見かけた設定だった。具体名は不明ながら実際にこういう事業者がいて社会問題化しているということなのだろう。またこれまもまたよく見るモチーフだが、大規模開発で甘い汁を吸うのは北インド人とタミル人だという通念がはっきりと示され、同時にタミル語を話す乞食の少年も登場する。そこにまたイスラム原理主義のテロリスト集団までが出てくるのだが、これはちょっと詰め込みすぎたようで、ラストになっても悪徳資本家とどういう契機で繋がっているのか分からなかった。それから上の「タイトルの意味」欄でちょと書いたけど、コレクターという独特の権力装置と選挙で選ばれる地方自治体の首長との力関係というのも、これまでよく分からずにいたことなんだけれど、劇中ではスレーシュ・ゴーピ演じるエルナクラム・ディストリクト・コレクターとモーヒニが演じるコーチン市長が激しく対立するシーンもあり、ニュアンスとしては理解できた。なお、2011年7月に封切られた本作には、2010年8月に没したスバイールが登場するが、一方で屋外シーンには2011年1月に封切られた Arjunan Shaakshi のポスターが見えたりする。短期間でさくさくと撮影されることが普通のマ映画としては珍しく、途中で寝かされていたのかもしれない。それから積極的に評価できたことも書いておこう。それは殺陣の振り付けの技術水準の高さ。タミルやテルグのアクション大作にあるような荒唐無稽ではなく、基本的には重力に逆らわない仕様でそれなりに見せるものになっている。本作特有というようりはマラヤーラム映画界全体の技術的な底上げが起きていることを推測させるものだった。あ、それからヒマーチャル・プラデーシュ州出身のヤーミニ・シャルマさんが演じた婦警さんも良かったよ。

ふっ、婦警さ〜ん!
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cvDoctorLove.jpgDoctor Love

Director:K Viju
Cast:Kunchacko Boban, Bhavana, Innocent, Ananya, Nedumudi Venu, Bindu Panicker, Majeed, Vidya Unni, Hemanth Menon, Salim Kumar, Vijaya Raghavan, Shari, KPAC Lalitha, Manikuttan, Rejith Menon, Aju Varghese, Nimisha Suresh, Bhagath Manuel, Lal, Asif Ali

原題:ഡോക്ടര്‍ ലവ്
タイトルのゆれ:Dr. Love

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間36分

ジャンル:ラブコメ
キーワード:デビュー監督、カレッジ、三文ロマンス小説、幼なじみ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/doctor-love-malayalam-2011

【寸評】
要するに、ゴーマン女子大生のバーヴァナちゃんが全校の学生を前に、彼女に思いを寄せるとある男子に惚れたりすることは絶対無いと言い放ち、「恋の臨床医」を自認するクンチャーコー君は一定期間内にバーヴァナちゃんをその男子の前に跪かせてみせると公言する、阿呆臭い賭け事を巡る騒動なのだが、もうちょっとスリリングに胸キュンに作ってほしかったなあ。2人とも適役なだけに残念。冒頭ではラール(映画監督兼俳優の)とアーシフ・アリによる本編とは無関係なアイテムソングとアイテム口上があって、なんじゃこりゃってなものなのだが、我慢して最後まで見通すと、つまり本編に自信がなくて後から小細工でくっつけたんだということがよく分かった。オマケならもうちょっとましなものをつけてくれ(涙)。


cvVeettilekkulla.jpgVeettilekkulla Vazhi

Director:Dr. Biju
Cast:Prithviraj, Indrajith, Master Govardhan, Danya Mary Varghese, Uday Chandra, Kiran Raj, Vinay Forrt, Irshad, S Saji, Melwyn, Azim, Lakshmipriya, Malavika

原題:വീട്ടിലേക്കുള്ള വഴി
タイトルの意味:The way home
タイトルのゆれ:Veetilekkulla Vazhi, Veetilekulla Vazhi

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間31分

ジャンル:アート
キーワード:テロリスト、デリー、トリヴァンドラム、ジョードプル、アジメール、ジャイサルメール、ラダック、カシミール

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/veettilekkulla-vazhi-malayalam-2011

【寸評】
失敗に終わった自爆テロの実行犯女性が、残された自分の幼い息子を父親の元に送り届けてくれるよう、息を引き取る直前に担当医師に懇願する。医師はその子供を連れて、ケララからラージャスターン、ラダック、カシミールへと旅をする。その医師には過去に妻と息子をテロ事件で失った際のトラウマがあった、というような話。こう書くと、最低でもロードムービーとしての楽しさはあるのではないかと思われるかもしれないが、BGMが死ぬほどだっさくて、効果の全くない手持ちカメラのブレがイライラさせるだけの典型的なメッセージ系アート作品。こういうテーマにしときゃあどこぞで賞でも獲れるだろう、ってくらいのさもしい志で作られたとしか思えない腹立たしい一作。そして予想通り国家映画賞マラヤーラム映画部門を始めとした各種の賞を獲得したのだった。勝手にしろ。


cvSandwich.jpgSandwich

Director:M S Manu
Cast:Kunchacko Boban, Richa Panai, Ganesh Kumar, Lalu Alex, Valsala Menon, Suraj Venjaramoodu, Vijayakumar, P Sreekumar, Shari, Kottayam Nazir, Kulappulli Leela, Indrans, Ananya

原題:സാന്‍വിച്ച്

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間23分

ジャンル:ラブコメ
キーワード:デビュー監督、トリヴァンドラム、ひき逃げ、コーヴァラム・ビーチの白人、タミルのグーンダ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/sandwich-malayalam-2011

【寸評】
お笑いなのかスリラーなのがロマンスなのか、制作者も迷っていることがはっきり分かるかったるい仕上がり。タイトルが示唆するようにクンチャーコーお坊っちゃんが2人のヒロインの間で板挟みになって多いに弱るという話なのだが、もうちょっとキャスティングと脚本とダンス振り付けとソングと編集と演出に配慮が行き渡ればそれなりに見られるものになってただろうな。残念だ〜。


cvDoubles.jpgDoubles

Director:Sohan Seenulal
Cast:Mammootty, Nadia Moidu, Taapsee Pannu, Geetha Vijayan, Anoop Chandran, Saiju Kurup, Bijukuttan, Anand Raj, Suraj Venjaramoodu, Salim Kumar, Narayanan Kutty, Avinash, Abu Salim, Kiran Rathod, Y G Mahendra

原題:ഡബിള്‍സ്

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間00分

ジャンル:
キーワード:デビュー監督、ポンディシェリー、レスキュー隊、ニカブ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/doubles-malayalam-2011

【寸評】
ストーリーラインとしては古くからある兄妹の絆もの。それはいいのだが、色々と余計な要素を詰め込みすぎて、その肝心の兄妹(二卵性双生児という設定)の間の情愛や葛藤といったものがひどくあっさりとした扱いになり、感情移入が出来ないまま終わってしまうのだった。ともかく、誰か教えてほしいのだが、タプシーディークシャ・セートを見分けるコツって何かあるのか?もうどっちがどっちだか。

投稿者 Periplo : 01:34 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年07月28日

Project 2011: その3

長いブランクが空いてしまったけど、シリーズはまだ続くのだ。星三つともなるともうほとんど悪口ばっか書き倒してる感じだけど、実際には各種の賞を取った作品なども目白押し。そういうのを相手に難癖ばかりつけるのは、自分がいかにリテラシーが低くて度量の狭い人間かを宣伝してるようなもんだなあ、と思いつつもやめられない。逆に筆者以外の人にとってははまだまだお宝が詰まってるセレクションと言えるかもしれない。

vellari.jpg
Vellaripravinte Changathi のイメージスチルから。

2011年はニューウェーブ以外にもここ数年来の目立った傾向が幾つか認められた。ひとつは、古い時代の有名作のリメイク、それから人気作のキャラを流用した続編の数の増加。前者では RathinirvedamKayam なんていうあたり、後者ではAugusut 15 なんてところ。さらに今年顕著だったのは1970〜80年代など近過去のノスタルジックな再現を売り物にした作品群。NayikaVenicile VyaapariVellaripravinte Changathi などなど。こっちも老いぼれだからこういう懐古趣味は嬉しいのだけれど、その再現された過去が、ビジュアル面だけの面白さにとどまり、上手く仕掛けとして機能している作品が見当たらなかったのが残念。

それから作品を離れると、他州(の州都クラス)からはかなり遅れて(掲示板にこんなスレがあるくらいだ)、やっとケララにもマルチプレックスの波が迫りつつあるようだ。ケララ初のMPがコーチン郊外に出来たのが2010年、しかしこれはやや不便な場所にあり、自家用車を持たない人間には気軽に行きにくい(それを狙っているのだろうか)ものだった。その後の歩みは遅々たるもので、観客の流れを大きく変えるまでには至っていない。なおかつMPが後押しするのはマラヤーラム以外の映画である可能性もある。しかしMP化はやっぱりマ映画の質的な変化にも影響を与えて行くことになるだろう。2011年限定ではなく、もうちょっと長いスパンでこの流れを見守りたい。

また目覚ましかったのが映画作品パブリシティにおける恐ろしいほどのビジュアルの洗練化。これは主としてネット上のパブリシティが舞台となっているのだが、たとえば Oldmonks などというデザイン事務所が脚光を浴びたり、他のポスターデザイナーについても映画ニュースの中で名前を目にする機会が増えた。サウスの映画パブリシティ・アートのいい味ワールドを愛するものとしてはちょっと寂しい。っていうか、パブだけこんなに先鋭化して本編を置き去りにしちゃあいねえかい?といいたくなるようなものもままあるのだ。ネットを離れて街頭ではどういうシーンが展開してるのか気になって、ついこないだ確認のためにコーチンまで行っちゃったんだけど、昔ながらのものも残ってはいるものの、やっぱり何となくニューウェーブな感じのものが目立ってきているのだった。

無駄話はこれくらいにしとこう。色々とバラエティに富んだ19本。

星3つ

cvMakeUpMan.jpgMakeup Man

Director:Shafi
Cast:Jayaram, Sheela, Kunchacko Boban, Prithviraj, Siddique, Suraj Venjaramoodu, Janardhanan, Jagadeesh, Salim Kumar, Jagathy Sreekumar, Shammi Thilakan, Kamna Jethmalani, Babu Namboothiri, Saiju Kurup, Appahaja, Devan, Krishna Kumar, Pala Charlie, Baiju, Kalpana, T P Madhavan

原題:മേക്കപ്പ്മാന്‍
タイトルのゆれ:Make Up Man

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間27分

ジャンル:コメディ
キーワード:映画界内幕、スキャンダル、TV視聴率、Touch Up

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/makeup-man-malayalam-2011

【寸評】
心ならずも女優となったヒロインが、意外にも順調にスターダムの道を突き進み、一方でその夫はスポットライトの外に取り残されて、やがて夫婦間に亀裂が生じる、というストーリーライン。クンチャーコー・ボーバンとプリトヴィラージが自分自身の役で登場するのだが、クンチャーコーお坊ちゃまの扱いが不当に軽く、見ていてプンプン怒ってしまった。映画界にTV界が絡んでくるところが今日的ではあるが、それ以外は古くさいスタ誕もので退屈。


cvRace.jpgRace

Director:Kukku Surendran (Subil Surendran)
Cast:Kunchacko Boban, Indrajith, Mamta Mohandas, Baby Anikha, Gowri Munjal, Jagathy Sreekumar, Geetha Vijayan, Sreejith Ravi

原題:റേസ്

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間03分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、コーチン、バンガロール、ソングなし

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/race-malayalam-2011

【寸評】
異色の民俗映画とでもいうべき Veeralipattu (Malayalam - 2007) で大層注目した新進監督クック・スレンドランが長いブランクの後に送り出した作品として個人的には期待が高かったのだが、空振り。現地での評判・興行成績も芳しくなかったらしい。いや、スリラーとしては手堅くまとまっているのだ。ただ、これまで以上にオリジナリティが問題となってくるニューウェーブ(しかもスリラー)の中にあっては、前年公開作 Cocktail Dir. (Malayalam - 2010) Dir. Arun Kumar とあまりにも似すぎているのは致命傷だと思う(おそらくは共通のネタもとからプロットを頂いてきたのだろうが)。そうではあっても、作中クンチャーコー・ボーバンが半泣きでコーチンの街頭を駆け回るシーンを眺めるのに一種の快感があったことは確かだ。


cvChristian.jpgChristian Brothers

Director:Joshiy
Cast:Mohanlal, Suresh Gopi, Sarath Kumar, Dileep, Lakshmi Rai, Kaniha, Lakshmi Gopalaswamy, Kavya Madhavan, Sai Kumar, Jagathy Sreekumar, Biju Menon, Vijaya Raghavan, Suresh Krishna, Devan, Salim Kumar, Harisree Ashokan, Suraj Venjaramood, Subair, Kaviyoor Ponnamma, Anand, Kunchan, Shobha Mohan, Kollam Tulasi, Ramu, Anoop Chandran, Majeed, Jagannatha Varma, Guruvayur Sivaj, P Sreekumar, Pala Charlie, Kiran Raj, Babu Antony

原題: ക്രിസ്ത്യന് ബ്രദേഴ്സ്

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約3時間00分

ジャンル:アクション
キーワード:大家族、ロンドン、ムンナール、クリスチャン、聖職者の還俗

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/christian-brothers-malayalam-2011

【寸評】
Twenty:20 (Malayalam - 2008) ですっかり味をしめたとしか思えないジョーシ監督がまたしても送り出した「こてこてマルチスター画面ぎゅうぎゅう映画」、当然のことながら大ヒットした。上映時間もきっかり3時間、なんやこちゃこちゃしとるニューウェーブなんぼのもんじゃい!な一作。モーハンラール、スレーシュ・ゴーピ、サラト・クマール、ディリープにそれぞれ充分に見せ場が用意されていて、対する悪役、そして脇役も充実(ヒロイン達にはちょっと不満あり)。クリスチャンもののお約束である大家族内の揉め事がメインプロットだが、ストーリー自体は退屈。スターさん達が対峙する際の大見得と殺気の応酬でハイボルテージなものに仕上がっているという感じだ。気力・体力が充実した状態で鑑賞に臨まれることをお勧めしたい。蛇足ながら本作にはジョジ(Joji)とジョージ(George)という名前を持つ人物が登場するのでえらく混乱する。ケララ・クリスチャンの名前の神秘にまたしても悶絶。


cvAugust15.jpgAugust 15

Director:Shaji Kailas
Cast:Mammootty, Nedumudi Venu, Siddique, Jagathy Sreekumar, Meghana Raj, Sai Kumar, Swetha Menon, Lalu Alex , Balachandran Chullikkad, Thalaivasal Vijay, Biju Pappan, Madhu, Deepesh, Aditya, Majeed, Ambika Mohan, Pala Charlie, Johnny, Kiran Raj, Harishree Asokan, Narayanan Nair, Zeenath, Poojapura Ravi

原題:ഓഗസ്റ്റ് 15

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間23分

ジャンル:スリラー
キーワード:別監督による続編、トリヴァンドラム、サイバーセル、ラール・アレックスの腕毛、プラサーダム

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/august-15-malayalam-2011

【寸評】
サウスでもマ映画界だけでなぜか盛んな珍現象として、コンビの活躍(監督、脚本家、作曲家など)とならび、昔のヒット作のキャラを流用した続編の盛行というのがある。しかも続編のスタッフはオリジナルのものとは別人というケースが多いのだ。あまりに多いんで列記はしないが、たとえば今年公開の The King and The Commissioner (Malayalam - 2012) Dir. Shaji Kailas なんて、マンムーティ主演の The King (Malayalam - 1995) とスレーシュ・ゴーピ主演の Commissioner (Malayalam - 1994) 、どちらも本作と同じシャージ・カイラース監督のものだが全く無関係な2作を無理矢理ドッキングさせた続編だったりする。そして二匹目の泥鰌をねらったこういう試みは大抵惨めな失敗に終わるのだが、それでも後を絶つことがない、不思議なもんだ。

話を戻すと、本作は要人警護の対テロ特別捜査官を主人公とした August 1? (Malayalam - 1988) Dir. Sibi Malayil の続編。正編は今ではカルトクラシックとされているというけど、実際に観てみての感想は「あまりにも捻りがなさ過ぎて気が抜ける」というものだった。続編である本作の感想はというと…まるでマラソンの伴走白バイみたいなマ様の格調高い単車乗りこなしと、ラール・アレックスの腕毛が凄い、という以外は何もないのだった。


cvUrumi.jpgUrumi

Director:Santosh Sivan
Cast:Prithviraj, Prabhu Deva, Arya, Genelia D'Souza, Nithya Menon, Vidya Balan, Tapu, Jagathy Sreekumar, Alexx ONell, Robin Pratt, Amole Gupte, Ankur Khanna

原題:ഉറുമി
タイトルの意味:Curling blade
タイトルのゆれ:Urumi: The Warriors Who Wanted to Kill Vasco Da Gama, 秘剣ウルミ - バスコ・ダ・ガマに挑んだ男(2011年の第12回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映された際の邦題)

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間51分

ジャンル:歴史
キーワード:ポルトガル、香料貿易、反植民地闘争、水のカーテン、騎馬戦

公式サイト:http://www.urumithefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/urumi-malayalam-2011

【寸評】
16世紀のマラバールでヴァスコ・ダ・ガマと対決した架空のケララ人の英雄をロマンチックに描く歴史もの。

7曲あるソングは1曲(だったっけ?)を残して他を全てカット、ポルトガル人がインド人の耳を切り落とすシーンなども細かくトリミング、2011年秋にNHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映されたのは約 50分がマイナスされた国際版(日本版?)だった。そして付随する日本語字幕はどうやら171分のオリジナル版を見ずに作成されたようで、時に意味の通らない箇所があった。おそらく本作は、これまでの例に従い今年秋の同フェスティバルの頃にNHK-BSで放映されるものと思われるが、DVDと放映とどちらがお勧めかというと難しい。ソングのない120分は退屈だし、ソングが入っても171分はかなり辛い。DVDでソングだけを再生するのがお勧めかな。なんか気のないことばっか書いてると自分でも思うけど、どうしても乗り切れない一作だったのだ。

最新のマラヤーラム映画が東京で公開されるというのは本当に珍しいことなので、お客さんの反応をネット上で追いかけてみたのだが、たとえばツイッターでの反応は賛否で8:2ぐらいに見えた(つまり上映は成功だったと言っていいのだろう)。推してる人たちは歴史ロマンに感じるところがあり、エキゾチックなケララ風俗に好感を持ったようだった。駄目だった派は一様に退屈さを言い立てている。その退屈というのが、ラジニ映画みたいじゃないから退屈だったということなのか、もうちょっと深い話なのか。

なぜ乗り切れないのかと考え続けたのだが、ヴィジュアルの洗練に反比例して全体に漂う安易さと子供っぽさがネックなのだと思った。単純すぎる輪廻転生的な人物の相似関係、悪役レスラーみたいなポルトガル人の演出の大雑把さ。あるいは20世紀の組織化された反植民地闘争のロジックを強引に16世紀のケララに当てはめた蜂起の図式的描写。歴史考証面では劇画調の衣装や、何かやたらと布を張り渡したリゾートホテルみたいな嘘くさい大道具。

屋外シーン撮影がほとんどモンスーンの曇天のもとで行われているというのも不可思議だった。そのせいで、全般的に画面が寒々しいものとなっていた。これは要するに霧に煙るケルティック神話ワールドみたいなのを印度でやりたかったってことなのか。あるいは世界の辺境であったケララを際立たせるために寂しい景色に敢えてしたのか。

それと、色々なところで指摘されていたが、スローモーションの多用も興ざめだった。本作でのサントーシュ先生はスローモーションでの跳躍と水のカーテンに取り憑かれてしまったようだ。どちらも粋を凝らした造りだが、延々と見せられるとかえって逆効果。クライマックスの戦闘シーンまでもがほとんどスローモーション尽くしというのはいただけなかった。

歴史映画だからといって重厚で雄渾なものでなければならないという決まりはない。ケララだからといって太陽と椰子の風景でなければならないという決まりはない。どうも本作は敢えて逆を逆をと狙って行ったもののようであるのだが、今ひとつ効果的ではなかったように感じた。
urumiposter.jpg


cvBhaktaJananga.jpgBhakthajanangalude Sradhakku

Director:Priyanandanan
Cast:Kavya Madhavan, Irshad, Vanitha, Kalabhavan Mani, V K Sreeraman, Jagadeesh, Salim Kumar, Indrans, Pala Charlie, Sadiq, Geetha Vijayan, Jaffer Idukki, Augustin, Guruvayur Sivaj, Kalabhavan Sasi

原題:ഭക്തജനങ്ങളുടെ ശ്രദ്ധയ്ക്ക്
タイトルの意味:直訳は to the faith of all devotees といったところだが、実際には大寺院の構内放送などでattention, please のような呼びかけ語として使われることが多いフレーズ
タイトルのゆれ:Bhaktha Janangalude Sradhakku

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間03分

ジャンル:アート系サタイア
キーワード:新興宗教、霊能者、アル中

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/bhakthajanangalude-sradhakkumalayalam-2011

【寸評】
あのランジットがストーリー担当、Sufi Paranja Katha (Malayalam - 2010) のプリヤナンダナン監督の次作ということで、これも大層期待していたのだが、中途半端な出来だった。全編に渡って映画ならではの華と躍動感がなく、新聞の風刺漫画を動画化して延々と見せられているような感じなのだ。現代のケララ(あるいはインド)で聖者というものが如何にイージーに捏造され、聖者を祀り上げる教団が如何に利権の巣となって行くかを、分かりやすく見せてくれる学習映画としては良く出来ているのだが。ソングは2曲ある。


cvTheTrain.jpgThe Train

Director:Jayaraj
Cast:Mammootty, Jayasurya, Sheena Chohan, Sabitha Jayaraj, Jagathy Sreekumar, Sai Kumar, Salim Kumar, Anchal Sabharwal, Kota Srinivasa Rao, Valsala Menon, KPAC Lalitha, Zeenath, Augustin

原題:ദി ട്രെയിന്‍

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間53分

ジャンル:反テロリズム
キーワード:ムンバイ、同時多発テロ、売れないミュージシャン、自殺願望、ヒンディー語ソング

当網站の関連ポスト:2012.00.00(レビュー)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/the-train-malayalam-2011

【寸評】
ムンバイの近郊鉄道を舞台とした同時多発爆破事件(実際の事件をもとに構成された架空の事件)の起きた一日をグランドホテル形式で描く。中心となるのは、以前のテロ事件で妻子を失ったため異様なまでに猜疑心・警戒心が強くなった対テロ捜査官(Mammootty)と、ケララからボンベイに出てきてチャンスをつかもうともがくミュージシャン(Jayasurya)、この2人を中心としたお互いに関係のないエピソードの流れ。しかしヒンディー映画界から世に送り出された「ムンバイ・テロ映画」の秀作群には遠く及ばなかった。まず、ミュージシャンのジャヤスーリヤのパートが単調過ぎで、なおかつ短いランタイム中にソングが時間を食い過ぎていた。それからナラティブが凝ってる割に犯人特定&追跡の部分が雑でご都合主義的だった点もマイナス。どうも水増し感が感じられる作品なのだ。もちろん過去のムンバイ・テロ事件ではマラヤーリーが犠牲になったケースもあるのかもしれないが、いや勿論そうではなかったとしてもムンバイで起きた事件だからといってマラヤーリーが無関心であっていいわけがないのだが、それでもどうしてこれをマラヤーラム映画として作りたかったのかなあ、そんな疑問が頭の中をグルグル。


cvBombayM12.jpgBombay March 12

Director:Babu Janardhan
Cast:Mammootty, Unni Mukundan, Roma Asrani, Irshad, Rajeev Govinda Pilla, Shari, Sadiq, Lal, R Jayan, V K Sreeraman, Anil Murali, Sudheer Karamana, Baby Diya, Akhil Dev

原題:ബോംബെ മാര്ച്ച് 12

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:途中ストップする箇所あり
DVDのランタイム:約2時間06分

ジャンル:ミステリー
キーワード:アレッピー、1993年ボンベイ爆弾テロ事件、1998年コインバトール爆弾テロ事件、アーンドラ・プラデーシュ、脚本家の監督デビュー

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/bombay-march-12

【寸評】
ジャケット写真だけを見た段階では、1993年3月12日に起きたムンバイのテロ事件(92-93年にかけてのボンベイ大暴動に続いた悲劇だった)を背景に、マンムーティが狂信的なヒンドゥー原理主義者と穏健ムスリムの二役をやる、社会派の看板を掲げたアイドル映画なのじゃないかと思っていたけど、実見したら全然違ってた。テロに彩られたインド現代史のなかで翻弄され、自らのアイデンティティを変えることを選んだ男の物語。いわゆるハイパーリンク方式のナラティブが採用されている(監督のジャナルダンはこのシリーズのパート2で紹介した City of God の脚本家でもある)のだがニューウェーブな印象は全くない。「そら無茶無茶やで!」というどんでん返しストーリーながら、マンムーティの力で最後まで惹き付けて離さないものとなっている。なお、本作でマラヤーラム・デビューしたモデル上がりのウンニ・ムクンダンは、今年になって一気に出演作の本数を増やしており、若手ヒーロー群の一角に食い込んでいる。


cvIndianRupee.jpgIndian Rupee

Director:Ranjith
Cast:Prithviraj, Thilakan, Rima Kallingal, Lalu Alex, Revathy, Babu Namboothiri, Mallika, Suresh Krishna, Shammi Thilakan, Kalpana, Majeed, Jagathy Sreekumar, T P Madhavan, Mamukoya, Zeenath, Sasi Kalinga, Tiny Tom, Sadiq, Guruvayur Sivaj, Irshad, Augustin, Sasi Eranjikkal, Asif Ali, Fahad Fazil

原題:ഇന്ത്യന്‍ റുപീ

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間32分

ジャンル:サタイア
キーワード:ニューウェーブ、不動産業、土地バブル、アルジュナを導くクリシュナ、コーリコード

オフィシャルサイト:http://www.indianrupeethefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/indian-rupee-malayalam-2011

【寸評】
2011年度の国家映画賞マラヤーラム映画部門作品賞、ケララ州映画賞作品賞などを受賞した重要作品。発表する作品の一々が大きな期待を持って迎えられるランジットの監督作(Pranchiyettan and The Saint に続くものとなる)で、各種の受賞だけではなく封切り後の巷の評判も総じて高かった。しかし正直なところ、うわあああ〜、困ったー、という一本だ。

コーリコードに住む、無一文だが野心だけは人一倍の若い男(Prithviraj)が、ブームに沸く不動産取引の世界に乗り込み、自己資金ゼロから始まり、やがて倍々ゲームで巨額の取引を転がすようになる。その背後には、まるで放浪者のような風体の蔭に恐ろしいほどの知恵と奸智を持った謎の老人(Thilakan)の導きがあった、というストーリー。まあ、ここまで書けば、その先に何が待ち受けているかは容易に想像出来るだろう。やがて主人公はポーカーゲームの虚しさに気づく訳なのだが、そこにどういうプロットを持ってくるかが鍵となる訳だ。が、前半の急坂を駆け上るような成り上がりのエピソード、どういうカラクリで巨額物件を転がせるようになっていくのかがハッキリと理解できなかった。英語字幕が悪いのかそれともこちらの頭が悪いのか(日本人でも不動産業や金融業の専門家が見たらすんなり理解できるものなのだろうか)。それ以上に、ティラカン演じる極めて重要なキャラクターである老人(ティラカンの芝居もまた激賞された)のドラマ上の存在意義がどうもはっきりとしなかったのだ。分からないので色々とレビューを読んでみた。で、同じような感想を持ったブロガーの批評を見つけてちょっとホッとしたりもしたのだが、まあ少数派である事には違いはない。

2,3年前の湾岸経済失速の道連れになってケララはもう落ちていく一方なのかと勝手に思っていたけれども、実際には空前の不動産・建設ブームに湧いているという。それにともなった不正土地取得だの人心の荒廃だのというのは、ここのところ映画のテーマや背景となってよくお目にかかるようになってきた。本作は現実にあるそういう事々を日々耳にしている現地の人にとってはグサリとくるものがあったのかもしれないが、ドラマとしては非常に凡庸で盛り上がりに欠けるものに思えた。しかしその盛り上りに欠けるドキュメンタリー風のナラティブ自体が評価されて各種の受賞をもたらしただろうことが想像され、マ映画も難しい時代に入ったものだと痛感されたのだ。


cvMakaramanju.jpgMakaramanju

Director:Lenin Rajendran
Cast:Santosh Sivan, Karthika Nair, Nithya Menon, Jagathy Sreekumar, Laxmi Sharma, Mallika Kapoor, Shamna Kasim, Chitra Iyer, Saiju Kurup, Dinesh Panicker

原題:മകരമഞ്ഞ്
タイトルの意味:マカラはヒンドゥー教神話の架空の動物、manjuというサンスクリット語には様々な意味があるようだが、この場合は「雨雲」か。
タイトルのゆれ:The Mist of Capricorn(英題)、Makara Manju

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間05分

ジャンル:アート
キーワード:ラージャー・ラヴィ・ヴァルマー、神話、ミューズ、芸術家の苦悩

公式ブログ:http://makaramanjufilm.blogspot.jp/
当網站の関連ポスト:2009.11.062010.05.31(予告的紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/makara-manju-malayalam-2011

【寸評】
センサー認証は前年に通っていたが、劇場公開に漕ぎ着けるまでには大変だったらしいことが窺えるアート映画。これも期待は大変に高かった。何といっても Mazha (Malayalam- 2000) のレーニン・ラージェンドラン監督作品〔間に Rathri Mazha (Malayalam- 2008) というイマイチだった一本を挟んでいるにせよ〕 、そして、ケララのみならず亜大陸全域の大衆文化に大きな足跡を残したラージャー・ラヴィ・ヴァルマーの評伝(学術的な正確さが期待できるものではないにしても)だ。しかしまず入手したメディアに泣いた。アート系にしては珍しく英語字幕がついていないのだ。そしてDVDの画質が悪い、ところどころVCD並みのくぐもった映像になる(オリジナルのフィルムの状態が悪いということはちょっと考えにくい)。封切りのずっと前から流通していた、クラシックアートしてる美麗スチルの数々を目にして、仮にどんなにヘボいストーリーでもビジュアルでだけは楽しませてくれるに違いないと思っていたのにガッカリだ。そのストーリーだが、字幕がないので確たる論評は出来ないのだが、ラージャー・ラヴィ・ヴァルマー画伯の架空の恋愛事件を、彼が描こうとしていた神話画の大作『プルーラヴァスと天女ウルワシー』(このタブローは現存する)と絡めてロマンチックに描くというもの。ちなみにこの神話はカーリダーサによって戯曲化されたものが有名で、日本語訳『武勲に契られし天女ウルヴァシー』は文庫本で簡単に読める。当時のトラヴァンコールの宮廷における芸術家と社会との関わりも色々と語られており、印象的な、そして台詞の意味が知りたいシーンは幾つもある。また「大根だけどモード系」のカールティカ・ナーイルの面白い顔を眺めているのは本当に面白い。一方で、絶望した芸術家が描きかけのキャンヴァスをナイフで切り裂いたりするような、腰を抜かすような古くさい表現に腰を抜かしたりもした。既に世界各地の映画祭は一巡してしまったようではあるが、今からでも遅くはない、リマスターした美麗プリントと日本語字幕でどこぞの映画祭で掛けてくれることを切に望む。なお、本作で主演デビューしたサントーシュ・シヴァンの台詞はどうやらビジュ・メーノーンによって吹き替えられているようだ。
makara_manju.jpg


cvSevens.jpgSevenes

Director:Joshiy
Cast:Kunchacko Boban, Asif Ali, Rejith Menon, Nivin Pauly, Aju Varghese, Vineeth Kumar,Bhama, Maniyan Pillai Raju, Nadiya Moidu, Ameer, Rima Kallingal, Mamukoya, Shivaji, Dinesh Panickar, Ambika Mohan, Zeenath, Mahadevan, Bindu Panickar, Kunchan, Vijaya Raghavan

原題:സെവന്‍സ്
タイトルの意味:狭義のマラバール地方で盛んな7人制サッカーのことを sevens という。余計なeを加えてSevenes としたのは、たんに綴りを7文字にしてロゴデザイナーの都合に合わせただけなのか、命数占いってやつに従ってのことなのか。
タイトルのゆれ:Sevens

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間29分

ジャンル:青春
キーワード:コーリコード、コーテーション、グーンダ、ベイポール、婦警さん

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/sevenes-malayalam-2011

【寸評】
Christian Brothers のようなコッテコテ大作を送り出す一方で、ジョーシ監督はこんな低予算若者映画も手がけた。サッカーを通じて友情を育んできた若者達が、貧困から来る諸問題に直面し、悪の道への誘惑にさらされる様を描く。スーパーヒーローの登場しない若者群像映画ではあるけど、ニューウェーブではない。それはもう見てもらえれば分かるのだが、風合いが全く異なるのだ。このあたりに「椰子國ニューウェーブ」の定義の難しさがある。古典的な若者成長物語を現代の社会問題のもとで描こうとした意欲作だが、ヒーロー映画としては誰が主役なのかいまひとつはっきりしない、やっぱり群像映画なのだろうけど個々の人物への目配りがが足りない、サッカーのモチーフが途中で消えてしまうこととともに不満点としてそれが残った。特筆すべきは久々にマ映画にカムバックしたナディヤ・モイドゥが演じる婦警さんの格好良さ。この婦警さんの説教がまたイイのだ!この部分のためだけに本作をお勧めしたい。それにつけてもジョーシ監督の気の若さよ。


cvOrmaMathram.jpgOrma Mathram

Director:Madhu Kaithapuram
Cast:Dileep, Priyanka Nair, Master Sidharth, Jagathy Sreekumar, Dhanya Mary Varghese, Nedumudi Venu, Salim Kumar, Harishree Ashokan, Sasi Kalinga, Pala Charlie, Anil Murali, Majeed, Guruvayur Sivaji

原題:ഓര്മ മാത്രം
タイトルの意味:Memories Alone
タイトルのゆれ:Orma Maathram

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間05分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:不治の病、核家族、子供の神隠し、視力喪失、異教徒間結婚、堕胎、フォートコーチン、ムスリム女祈祷師、ユダヤ人骨董商、文学作品の映画化

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/orma-mathram-malayalam-2011

【寸評】
主人公を徹底的に苛めるタイプの人間ドラマ。核家族の逼迫した暮らし。珍しく出かけた行楽地(コーチンからトリシュール動物園に遠足するのだ)で爆弾騒ぎがあり、その混乱の中で一人息子が行方不明になる。我が子の行方を必死に探す父親は、一方で進行が止められない眼病を患っており、視力を完全に失う日をただ待ち受けるしかないetc。陰々滅々たるエピソードのオンパレードで、一般にシリアス映画には好意的な批評家からも「80年代アート映画の焼き直し」などと酷評された。愛嬌もおどけもないディリープのシリアス演技はそれだけ切り離して高評価を受けたが、まあ別に驚きはしない。ともかくエモーショナルに牽引するものが一切ない辛い2時間。上のキーワード欄に挙げたような興味深い部品群への興味によってなんとか最後まで見通すことが出来たという感じだ。


cvBeautiful.jpgBeautiful

Director:V K Prakash
Cast:Jayasurya, Anoop Menon, Meghna Raj, Nandu, Jayan, Tini Tom, Unni Menon, Aparna Nair, Praveena, Thesni Khan, Kochu Preman, Ponnamma Babu, Jayan, Pala Charlie

原題:ബ്യൂട്ടിഫുള്‍

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間48分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、孤独な金持ち、Thoovanathumbikal、筋弛緩症、ヒンディー語ソング

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/beautiful-malayalam-2011

【寸評】
知る人ぞ知る話だが、本作の監督VKプラカーシュは、毎年春に東京でひっそりと開催されるラブストーリー映画祭の常連出品者ともいえる人なのだ。おそらくは主催者との何らかの繋がりがあってのことだと思われるが、その監督作品がほぼ全てデジタル・シネマのフォーマットであることも大きいように思える。現地では、これまでこの人はそういった技術面の文脈でのみ言及され、監督としてはいつまでも二流扱いされ続けていた。筆者も、異色のホラー映画 Moonnamathoral (Malayalam - 2006) 以外はほとんど評価していなかった。それが本作の大成功で突然ランクアップし、ほとんど一部リーグ入りしたと言ってもいいくらいになったのだ。しかし本作を観ての筆者の感想は…う〜ん、退屈、としか言いようがない。いやしかし、より高いヒューマニティの持ち主が観たら感動的なものとなるのかもしれない。一生かかっても使い切れないほどの財を持ちながら全身を筋弛緩症に冒され食事すら一人では出来ない孤独な若者(Jayasurya)と流しのステージ歌手(Anoop Menon)との友情の物語。

一つだけ、末梢的に見えるかもしれないけど実は重大な瑕疵について書き留めておきたい。ヒロインであるカルナータカ出身のメーガナ・ラージについてだ。前年に Yakshiyum Njanum (Malayalam - 2010) Dir. Vinayan というどうしようもない作品でマラヤーラム・デビュー、この2011年には本作も含め4本に主演するなど、急速にマラヤーラム女優化が進んでいる。本作での彼女の芝居が悪かったというのではない、ミスキャストだったというのでもない。ともかく肌が吹き出物だらけで見るに耐えない状態だったのだ。ただそれだけの事なのに映画の世界に入り込めず、肌の荒ればかりに目が行ってしまうほど酷いものだった。一般的にサウスの女優さんの肌荒れ問題というのは大層同情をそそるものだ。日本の芸能人ならば、仮にぽっつり大きなニキビが出来てしまっても、応急処置でほとんど目につかない程度にまでしてくれる美容整形外科を頼ることが出来る。芸能プロダクションのバックアップ体制というのはそういうものだ。実際の映画作品から推測するに、サウス印度の場合、そういう部分のケアはほとんど存在しないようなのだな。これまでも若いピチピチの女優さんの頬っぺに盛り上がった吹き出物を見ては痛々しい思いをしてきたものだった。しかし本作のメーガナさんのそれは限度を超えていたと思う。本人もそうだが、監督を始めとした周りも何らかの策を講じるべきではなかったか。女優を綺麗に撮る努力を怠った作品にはどうしても厳しくなってしまうのだ。


cvNayka.jpgNayika

Director:Jayaraj
Cast:Padmapriya, Jayaram, Mamta Mohandas, Sharada, Siddique, Salim Kumar, Narayanan Kutty, Ambika Mohan, Sukumari, KPAC Lalitha, Sarayu, Jagathy Sreekumar, Sasi Kalinga, Sabitha Jayaraj

原題:നായിക
タイトルの意味:Heroine
タイトルのゆれ:Naayika

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間00分

ジャンル:ロマンス
キーワード:レトロ、芸能界内幕、認知症、女性が主役

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/nayika-malayalam-2011

【寸評】
1970 年代のマラヤーラム映画界(「バラタンという新人監督」に対する言及がある)で活躍したトップヒロインの銀幕の裏側での悲劇を、現代の女性ジャーナリストが追うという筋立て。封切り前に公開されたイメージスチルの類が非常に洗練されて美しく、大層期待を掻き立てられた一作だったが、実見すると凡庸なメロドラマで残念な結果となった。映画界の舞台にした作品というのにはそれだけで興味を惹かれるかれるものがある(実際に印度映画では他と比べて数的にも多いのじゃないだろうか)けれど、本作はヘビーなメロドラマでコーティングした「批判精神なき映画界内幕もの」で終わってしまったように思う。ともあれパドマプリヤーのコスプレは素敵だし、二昔前の色男をやるジャヤラームも適役。しかし、1970年代の映画女優に、映画デビュー前に「女性として初めて舞台に立った」(マグダラのマリア役ということになっている)というエピソードをかませるのは時代錯誤じゃないのかな、いくらなんでも。OldMalayalamCinema さんによれば、劇中のエピソードのいくつかにはモデルとなった人物や事件があったようだ、詳しくはこちら参照。
nayika1.jpg


cvOMK.jpgOru Marubhoomi Kadha

Director:Priyadarshan
Cast:Mohanlal, Mukesh, Bhavana, Shakti Kapoor, Suraj Venjaramuudu, Maniyan Pillai Raju, Nedumudi Venu, Innocent, Mamukoya, Lakshmi Rai, Lakshmi Gopalaswamy, Sreenivasan (narration)

原題:ഒരു മരുഭൂമിക്കഥ
タイトルの意味:Desert Tale
タイトルのゆれ:Oru Marubhoomikkadha, Oru Marubhoomi Katha, Arabiyum, Ottakavum, P Madhavan Nairum in Oru Marubhoomikkadha, Arabeem Ottakom P. Madhavan Nayarum

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間45分

ジャンル:コメディ
キーワード:アブダビ、中年恋愛、湾岸ビジネスマン、身代金誘拐、砂漠での立ち往生

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/oru-marubhoomi-kadha-malayalam-2011

【寸評】
一応この網站のタイトルにもなってるプリヤン先生監督作、それも7年ぶりのマラヤーラム映画への里帰り、しかもラルさんとのコンビ、もうちょっと騒いでも良さそうなものだと我ながら思うのだが、こんな地味な紹介になってしまった。いや観る前は、ただもう時代遅れのドタバタを延々見せられるんじゃないかという気がして、これについて触れるのが怖かったのだ。恐る恐る見てみたら、ドタバタには違いないがそんなに酷いものじゃなかった(そんなに素晴らしいものでもなかったけど)。砂漠の景色の中で繰り広げられるそれは、ヴィジュアルとして心地よく開放感があるものだったし、バーヴァナちゃんのバイオレンス・アクション(マ映画的水準では)が笑えた。前回は田舎人情ものの巨匠サティヤン・アンティッカードによる、ニューウェーブどこ吹く風の、あいも変わらぬ Snehaveedu を紹介したけれど、プリヤン先生もまたニューウェーブとは無縁の立ち位置で、名優モーハンラールを中心に据えることにこだわり、虚構性の強いアイデンティティ・エラー系お伽噺コメディを作り続けていくのだろうなと思った。


cvVellaripravinte.jpgVellaripravinte Changathi

Director:Akku Akbar
Cast:Dileep, Kavya Madhavan, Indrajith, Maniyan Pillai raju, Kollam Tulasi, Sadiq, Lal, Suraj Venjaramoodu, J Pallassery, Vijaya Raghavan, Manoj K Jayan, Mamukoya, Anil Murali, Zeenath, Sai Kumar, Guruvayur Sivaj, Majeed

原題:വെള്ളരിപ്രാവിന്റെ ചങ്ങാതി
タイトルの意味:Friend of pigeon
タイトルのゆれ:Vellari Pravinte Changathi, Vellaripravinte Changaathi, Vellaripraavinte Changaathi

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間26分

ジャンル:ロマンス
キーワード:レトロ、映画界内幕、お蔵入り映画作品、異教徒間恋愛

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/vellaripravinte-changathi-malayalam-2011

【寸評】
結果的には狙いが何だかよくわからない作品としか思えなかったのだが、冒頭の20分にだけはドキドキした。1970年代に撮影されたが封切られることなくお蔵入りとなったマラヤーラム語の映画作品、監督はその後自殺してしまう。35年後にその息子はコーリコードからチェンナイに向かう。男はジェミニ・ラボの奥深く、お蔵入り作品のフィルムを保管する収蔵庫に足を踏み入れる…。ここでゾワッと来たね、名作の予感がしたよ。しかしそこからフィルムが撮影された時代に話が飛ぶと、あとはただひたすら退屈な100分超のセピア色のメロドラマになってしまうのだった。それはまだ我慢しよう、その後再び話は現代に戻ってくるのだが、激しくずっこける。一体これは何なのだと自問自答するうちに映画は終わってしまうのだった、最初のドキドキを返してくれ。しかし本作のシリアス系の芝居によってディリープは2011年度ケララ州映画賞の主演俳優賞を受賞したのだった。いまひとつ納得がいかない。それにしても、上に紹介した Orma Mathram といい、本作といい、これまでの定番じゃないものに色々挑戦しているところを見ると、マラヤーラム映画界の孤独な40代スター・ディリープ(1968年生まれ)は、下からの突き上げが目立ってきた昨今に、何か方向転換をはかろうとしてるんだろうかね。それとチェンナイの撮影所には本当にこんな「お蔵」があるのだろうか、興味が掻き立てられて仕方がない。


cvVenicile.jpgVenicile Vyaapari

Director:Shafi
Cast:Mammootty, Kavya Madhavan, Poonam Bajwa, Vijaya Raghavan, Janardhanan, Johnny, Suraj Venjaramoodu, V K Sreeranman, Biju Menon, Abu Salim, Jagathy Sreekumar, Unda Pakru, Majeed, Suresh Krishna, Salim Kumar

原題:വെനീസിലെ വ്യാപാരി
タイトルの意味:The Merchant of Venice
タイトルのゆれ:Venicele Vyaapari, Venicile Vyapari

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間24分

ジャンル:コメディ
キーワード:レトロ、1980年、ベルボトム、旧式の警官ユニフォーム、コイール、アレッピー、アラック、労働運動、ハウスボート、入れ子式ストーリー

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/venicile-vyapari-malayalam-2011

【寸評】
熟年映画では悪役のグーンダも熟年。和むわ〜。
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cvManusya.jpgManushyamrugam

Director:Baburaj
Cast:Baburaj, Kiran Rethod, Oviya, Seema, Aishwarya, Kalabhavan Mani, Prithviraj, Spadikam George, Majeed, Pala Charlie, Devan, Kollam Tulasi, Abu Salim, Indrans, Jagathy Sreekumar, Mamukoya, Kalsala Babu, Harishree Ashokan, Anil Murali, Aditya Menon, Ponnamma Babu, Kulappulli Leela

原題:മനുഷ്യമൃഗം
タイトルの意味:Human beast
タイトルのゆれ:Manusya Mrugam, Manusyamrugam

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間21分

ジャンル:スリラー
キーワード:羅生門、クリスチャン、ローリードライバー、性欲過多、一家皆殺し、キランの旅路

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/manushya-mrugam-malayalam-2011

【寸評】
Black Daliya (Malayalam - 2009) に続く、チンケ悪役バーブラージの監督第二作目。前作と同じく、B級コンテンツの割に脇を固める俳優が異様に豪華。そしてこれもまた前作と同じく、陰々滅々かつ血みどろのスリラー。例によって期待値最低で臨むと思ったよりも面白かったりして、かといって激賞できるものでもなく、始末が悪い。ウィキペディアの解説によれば、1980年の同名の映画作品をバーブラージ自身が翻案して脚本を書いたとのことだったが、調べてもオリジナルについては分からなかった。いかにも80年代のある種の作品群を思わせる暗いストーリーではある。ともかく、そこそこ面白く作れるのだからバーブラージ監督には一つだけお願いしたい。画面を綺麗に撮る努力をしてほしいのだ。主題が主題だけに難しい面はあるとは思うが、色の使い方、俳優の肌の調子、空気感の表現など、マラヤーラム映画ならヘボいBクラス作品でも普通はクリアできてるところに達していないのだ。まるでちょっと昔のカンナダ映画みたいなのをなんとかしてくれたら、まだ先が開けると思うんだけどなあ。


cvManikyakallu.jpgManikya Kallu

Director:M Mohanam
Cast:Prithviraj, Samvritha Sunil, Nedumudi Venu, Anoop Chandran, Indrans, Salim Kumar, Bindu Panicker, Kottayam Naseer, Anil Murali, Jagadeesh, KPAC Lalitha, Kulappulli Leela, Sasi Kalinga, Kochu Preman, Jagathy Sreekumar, P Sreekumar, Sai Kumar, Suresh Krishna, Devan, Ambika Mohan, Manraj, Narayanan Kutty

原題:മാണിക്യക്കല്ല്
タイトルの意味:Gemstone mining
タイトルのゆれ:Manikyakkallu

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間18分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:Model High School、熱血教師、チェンダたたき、密造酒、パーラッカード地方

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/manikiakkallu-malayalam-2011

【寸評】
あの Katha Parayumbol (Malayalam - 2007) でデビューしたMモーハナン監督の第二作目。で、やっぱ学校が舞台で、クライマックスは全校集会でって流れになるんだな。かつて名門の名をほしいままにしていたけれど今は見る影もない田舎のハイスクール、生徒だけではなく教職員もダレきっている。そこに転任してきた静かなる熱血教師が子供達を変え、教師にも刺激を与え、廃校の危機にあった学校を救う、というストーリー。くっ、臭っさ〜〜〜ってやつで途中何度も気を失いかけたんだけど、結局最後まで見ちゃった。それはひとえに無気力教師の一人を演じるサムちゃんが尋常でなく可愛かったから。この監督は前作でもミーナーちゃんをえらく可愛く撮ってたんだった。しかしケララ人観客にはそれ以外にもなにか訴えるところがあったようで、2011年度のケララ州映画賞のストーリー部門でモーハナンが受賞している。だっけどさ、場末校の汚名を挽回して先生マンセーとなるのは、結局のところ統一テストで高得点を上げた生徒が続出したから、そしてそれを讃えて先生大感謝ラリーを全校あげて行う、という身も蓋もない即物性。やっぱ印度には勝てないと思ったよ。
ManikyaKallu.jpg

投稿者 Periplo : 18:54 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年06月25日

Project 2011: その2

本当は個々に独立したレビューを上げたいんだけど、というくらいの秀作が集まった。全部で10本、志の高いものばかりだと思う。

SaltnPepper.jpg
Salt N' Pepper でのシュウェちゃんの役どころはマラヤーラム映画の吹替え声優。いつも吹替えのお世話になってるシュウェちゃんはどんな気持ちでこれを演じたんだろうか。

星4つ


cvGadhama.jpgGaddama

Director:Kamal
Cast:Kavya Madhavan, Sreenivasan, Suraj Venjaramoodu, Biju Menon, V G Muralikrishnan, Jaffer Idukki, Lena, Sukumari, KPAC Lalitha, Sasi Kalinga, Shine Tom, Manu Jose, Ali Khamees, Mariam Sulthan, Khaamiz S Mohammed, Hala Al Sayed, Ahmed Saleh, Adnan Althuki, Tehani Al Mohammed, Abi Gael

原題:ഗദ്ദാമ
タイトルの意味:Housemaid(原題はアラビア語)
タイトルのゆれ:Khaddama, Gadhama

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間56分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、湾岸出稼ぎ、サウジアラビア、住み込みメイド、虐待

当網站の関連ポスト:2011.10.08(レビュー)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/gadhama-malayalam-2011

【寸評】
これについても感想は以前のレビューに書いた。仮の試みとしてはこれもニューウェーブの括りの中に入れてみたけどどんなもんだろうか。ベテランのカマル監督は以前から、女性が主役のストーリーとか様々な試みをしてきた人なので。センチメントも組み込んだキリッとしたスリラーで短尺という点で2011年のトレンドとも合っていると思うのだけれど。


cvAdaminte.jpgAdaminte Makan Abu

Director:Salim Ahamed
Cast:Salim Kumar, Zarina Wahab, Mukesh, Nedumudi Venu, Kalabhavan Mani, Suraj Venjarammoodu, Sasi Kalinga, Thampi Antony, Jaffer Idukki, Ambika Mohan, Gopakumar

原題:ആദാമിന്റെ മകൻ അബു
タイトルの意味:Abu, Son of Adam
タイトルのゆれ:Adamante Makan Abu

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間45分

ジャンル:アート
キーワード:ハッジ、湾岸出稼ぎ、行商人、アッタール、バクリード、ハラール・マネー、ジャックフルーツの木、コーリコード、デビュー監督

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/adaminte-makan-abu-malayalam-2011

【寸評】
2010年度の国家映画賞(作品賞、主演男優賞ほか全4部門)を受賞するまで誰もこの作品のことを知りもしなかったという、驚きのダークホース。その勢いをかって米アカデミー賞の外国映画部門にも出品されたが、米学会の審査員・マスコミにはほとんど理解されることがなかったようだ。底辺で慎ましく生きるムスリムの老夫婦が人生の究極の目的としてのハッジにのぞもうとして直面する出来事をゆっくりとしたテンポで描きながら、イスラームの信仰の本質を浮かび上がらせる。言うなれば説教映画なのだが、極東のふざけたガイジンの心にも響く(なぜアメリカ人にはアピールできなかったのだろう?)。主演のサリム・クマールはもとより、スラージ・ヴェニャーラムード、カラーバワン・マニといった普段お笑いに従事することが多い面々の渋い芝居に痺れる。これがデビューとなった監督・プロデューサーのサリム・アフメドはカンヌール出身、旅行代理店に勤めながらも映像作家への憧れが絶ちがたく、テレビ業界に転職したという。本作はアートの定式に則った造りであったが、この先より商業的で大掛かりな作品に挑む野心ものぞかせている。


cvArjunanSaksih.jpgArjunan Saakshi

Director:Ranjith Shankar
Cast:Prithviraj, Ann Augustine, Mukesh, Nedumudi Venu, Vijayaraghavan, Jagathy Sreekumar, Ambika Mohan, Ramu, Suraj Venjaramoodu, Biju Menon, Suresh Krishna, Anand, Salim Kumar

原題:അർജുനൻ സാക്ഷി
タイトルの意味:Arjunan, the witness
タイトルのゆれ:Arjunan Sakshi

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間56分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ(前半だけ)、行政長官暗殺、「コーチンをインド第五の都市に」、土地不法占拠、巨大モール、メトロレイル計画

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/arjunan-saakshi-malayalam-2011

【寸評】
コーチンの秩序ある発展を目指した有能な行政長官(Mukesh)の暗殺事件。1年が経っても犯人解明の手がかりは見つからず、迷宮入りとなろうとしていた。ある日、新聞記者(Ann Augustine)の元に、その事件の目撃者だという男からの連絡が入る。アルジュナンと名乗るその男は、とあるホテルのレストランで彼女と接触することを申し出る。しかし、約束の時間に現れ指定された席に座ったのは、純然たる偶然でそこにやってきた建築技師(Prithviraj)だった。彼はその席に座ったことによって、目撃者の存在を察知した犯人と思われる勢力から攻撃を受けるようになる、というような出だし。 Passenger (Malayalam - 2009) のランジット・シャンカル監督の第二作目。つまりかなりの期待が寄せられたものだったのだが、思い切り空振り、どちらかというとクズ映画に分類されるような結果となってしまった。前半は小気味よいテンポで意外性の連続、期待させておきながら、後半に入って馬鹿過ぎる悪役・難解な動機・もっさりしたダルい進行によって台無しになってしまった。大体、開発を主導する行政長官と、ここでの犯人が代表する勢力というのがなぜ対立しなければならないのかが全然分からない。この不自然さからは、逆に現実に込み入った裏事情が存在することを窺わせるが、それが劇的なストーリーとして結実しなかったのが残念。にもかかわらずここで星4つとしたのは、目撃者アルジュナンにことよせて語られるメッセージが美しいと思ったから。


cvCityOfGod.jpgCity of God

Director:Lijo Jose Pellissery
Cast:Indrajith, Prithviraj, Rima Kallingal, Parvathi Menon, Rohini, Swetha Menon, Jagadheesh, Anil Murali, Rajeev Govinda Pillai, Kalabhavan Sunny, Valsala Menon, Arun Narayan, Rajesh Hebbar, Sreehari, Kishore Sathya, Sudheer Karamana

原題:സിറ്റി ഓഫ് ഗോഡ്

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間26分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、コーチン、ナーガルコーイル、タミル人出稼ぎ、低所得者コロニー、コーテーション殺人、復讐、若いツバメ

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/city-of-god-malayalam-2011

【寸評】
いわゆるハイパーリンク・シネマの各種の技法を駆使して作られたお洒落クライム・スリラー。長回し手持ちカメラで撮影するアクション・シーンなど斬新でドライな語りが心地よいが、テーマとなるのは金持ちの退廃と貧乏人の健全の対比という伝統的なもの。都市そのものの多様性や重層性の描写という点では弱い。リジョー・ジョース監督のトレードマークと言ってもいいかもしれない、凝りに凝った映像処理は一時的にはもてはやされてもやがて飽きられて行くんじゃないかという印象を持った。ナガルコーイルからコーチンに出てきた日雇い労働者が口にする「コーチンはオイラにとってのドゥバイよ」という台詞は衝撃力があった。ヒロインが3人とも既婚者または未亡人であるという点、一群のタミル人の登場人物を(ローヒニ以外)すべてケララ人俳優でまかなったという点は凄い。見どころは久しぶりにマ映画に戻ってきたパールヴァティちゃん。Poo (Tamil - 2008) Dir. Sasi そのまんまの役作りだけど相変わらず可愛い。往年の名優カラマナ・ジャナルダナン・ナーイルの息子スディールがマイナーな役で出てきてくれたことがとてつもない収穫だった。


cvMelvilasom.jpgMelvilasom

Director:Madhav Rama Dasan
Cast:Suresh Gopi, Parthiban, Thalaivasal Vijay, Ashokan, Nizhalgal Ravi, Krishna Kumar, Sanjay

原題:മേൽവിലാസം
タイトルの意味:The Address
タイトルのゆれ:Melvilasam

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間38分

ジャンル:法廷スリラー
キーワード:軍事法廷、上官への反逆、軍隊内いじめ、舞台劇翻案、ジャワーンサワール

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/melvilasom-malayalam-2011

【寸評】
スレーシュ・ゴーピの主演作(アートであれアクションであれ)が批評家から高評価を得るなんて天変地異の前触れじゃないかと心配したのだが、実際に観てみるとスレーシュさんは客寄せのパンダで、本当の主役はパールティバンとタライヴァサル・ヴィジャイという2人のタミル人俳優であることがわかり(2人が自分でダビングしたのかどうかは不明)別の意味で驚いたのだった。オリジナルはヒンディー語の舞台劇でそれがケララでもマラヤーラム語に翻訳されて舞台上演されていたものだという。台詞がマラヤーラム語であること以外のローカライズは行われておらず、登場人物が皆北インド風の名前を持つなど、リアリズムからは乖離しているがそれはあまり気にならない。回想シーンを除き物語は全て法廷内で進行し、ソングはない。最後の方で顔を見せる童女以外、女性の登場人物もいない、禁欲的な100分。いかに成功したものとはいえ、舞台劇を映画化することに意味があるのだろうかと最初は思うのだが、映画ならではのアップを多用した画面に繰り広げられる制服オッさん達の芝居に釘付けになる。つぶらな瞳の性格俳優パールティバンがなぜ主役として登用されたのか、後半のドンデン返しで一気にわかる、アッと驚くよ。


cvSaltnPepper.jpgSalt N' Pepper

Director:Aashiq Abu
Cast:Lal, Swetha Menon, Asif Ali, Mythili, Baburaj, Vijayaraghavan, Kalpana, Ambika Mohan, Majeed, Archana Kavi, Ahmed, Kelu Mooppan, Dileesh Pothen, Nandu

原題:സാള്‍ട്ട് & പെപ്പെര്‍
タイトルのゆれ:Salt & Pepper

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間59分

ジャンル:ラブコメ
キーワード:ニューウェーブ、Thattil Kutti Dosa、吹替え声優、未婚中年、見合い、トリヴァンドラム

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/salt-n-pepper-malayalam-2011.html
YouTube上の有料全編視聴:http://youtu.be/u842eompQbU(ただし字幕なし)

【寸評】
さてさて、今回紹介の中では一番の問題作。といっても内容が衝撃的なのではない。倭人の目にはどこをとっても平凡なラブコメにしか見えない本作が、ケララで異様なくらいの反響を引き起こした不可解が衝撃的なのだ。現地の観衆にとっては、中年男女の恋愛、酒を飲むヒロイン、食という最も日常的なモチーフを物語の中心に持ってきたこと、遮蔽物のないキスシーンetc.といったものがともかく目新しく映ったようで、Salt n’ Pepper is a Cultural Milestone とまで持ち上げている批評に度肝を抜かれた。逆に本作中に見当たらないものを数え上げてみると、カーストの桎梏、貧富の差、お館様、借金を残して死んだ父、湾岸出稼ぎ、カタカリ、腐敗した政治家、汚職警官、嫁の行き先が決まってない妹、水郷の風景、グーンダ、市場の乱闘なんていう伝統的なマ映画の部品が網羅される感じだ。いや、例えばハリウッドで一定の間隔ごとに工業製品のように製造されているナイスミドル(←死語)向けお気楽ラブコメとどこが違うのか。舞台がケララであるという点以外さして違いはないと思う。ケララの衆にとっては「これが我々自身によって作り出された」というのが重要であるということなのかな。首にカメラぶら下げたガイジンとしてこれにどう向き合うべきなのか。以前に欧米の何かで見たような話、しかも前にどっかで見たものの方が出来が良かったりする。近年のボリウッドの都会派作品を見ていて時に感じていた落ち着かないもどかしさに、ついにケララでも直面することになってしまった。内容にも不満はある。まずラブコメとして膨らませ方が足りない点。普通に考えればここでインターミッションだな、というところで映画が終わってしまって満腹できない。それから、Thattil Kutti Dosa というナイスなアイテム(くくっ、ここに目に毒動画もあり)を介して知り合ったカップルが、その後何を勘違いしたのか、第一次世界大戦中にフランス女が作ったケーキの話で延々盛り上がるのだが、劇中で再現される(明らかにインド人パティシエの手になる)このケーキが 半端なくゲロ不味に見える!!!! いや実際、ムンバイやデリーのことは良く分からないけど、サウスの生洋菓子ってサイテーだからね。美食談義で蘊蓄を開陳しあう都会の中年カップルが、これのせいで途端に幼稚にみえちゃうんだよお。星4つにしながら、罵詈雑言ばっかし書いてしまったが、冒頭タイトルロールでケララ各地の旨いもんを見せてくれる ♪Chembavu は凄い。オイラ深夜にこれ見て何度号泣しただろう。


cvChappaKurish.jpgChaapa Kurish

Director:Sameer Thahir
Cast:Fahad Fazil, Vineeth Sreenivasan, Ramya Nambeesan, Roma Asrani, Niveda Thomas, Jinu Joseph, Sunil Sukadha, Dinesh Panicker

原題:ചാപ്പാ കുരിശ്
タイトルの意味:Head or Tail ※But I wanted it in the colloquial lingo.” To one's amusement he adds "It's called 'Changum Chappayum' in Kollam, 'Thalayum Valum' in Kottayam, 'Raja Kozhi' in Thrissur and 'Chaappa Kurish' in Cochin. And I belong to Cochin." (Yentha.com 記事 Behind The Camera: Chappayum Kurishum Screenil より)
タイトルのゆれ:Chappa Kurish, Chaappa Kurishu, Chaappakurish

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間11分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、iPhone、コーチン、トイレ、YouTube、貧富の差、エ ロ 動画流出、デビュー監督

当網站の関連ポスト:2012.02.28(レビュー)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/chaappa-kurish-malayalam-2011

【寸評】
これについても書きたいことは以前のレビューで概ね書いた。デビュー監督のサミール・ターヒルは、本作の後すぐに次作に取り組むということもなく、再びシネマトグラファーに戻って Diamond Necklace (Malayalam - 2012) Dir. Lal Jose などを担当している。こちらの方の仕事ぶりも結構楽しみだ。


cvJanapriyan.jpgJanapriyan

Director:Boban Samuel
Cast:Jayasurya, Bhama, Manoj K Jayan, Lalu Alex, Jagathy Sreekumar, Bheeman Raghu, Sasi Kalinga, Anoop Chandran, Salim Kumar, Devan, Sarayu, Geetha Vijayan

原題:ജനപ്രിയൻ
タイトルの意味:The Popular One

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間01分

ジャンル:コメディ
キーワード:ミステイクン・アイデンティティ、エスカレーターに乗れない奴、映画狂、役所仕事、デビュー監督

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/janapriyan-malayalam-2011

【寸評】
ジャヤスーリヤが「愛され体質」の村の天然イイヒトをやるなんて、ほとんどそれ自体がジョークだと思ったが、これがハマったのだ、信じられないくらいに。上で Salt N' Pepper について書いたのとは逆に、こちらには借金こさえて死んだ親爺、適齢期だけど持参金が用意できない妹、女高男低身分差恋愛、なんていう伝統的な要素が満載。それがどうしてこんなに面白いかというと、拝金主義とか役人の無気力とか度を超した利己主義とか、普通なら辛辣に、あるいは腕力でもって糾弾されることごとを、主人公が頓智力と無意識過剰でもって正して行くのが痛快だからなのだと思う。古くさい人情コメディでも丁寧に作ればヒットにつながるという好例。


cvPranayam.jpgPranayam

Director:Blessy
Cast:Mohanlal, Jayaprada, Anupam Kher, Anoop Menon, Niyas, Aryan, Niveda, Sreenath, Apoorva Bose, Dhanya Mary Varghese, Navya Natarajan

原題:പ്രണയം
タイトルの意味:Love

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間18分

ジャンル:ロマンス
キーワード:異教徒間の結婚と子供の宗教、老境の恋、パンチャーリー

公式サイト:http://www.pranayamthemovie.com
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/pranayam-malayalam-2011httpsmailgooglecommail

【寸評】
ラルさんだって新しいことをやってみた。ジャヤプラダー、アヌパム・ケールというボリウッド大スターとの共演。そして実年齢以上の老け役、車椅子の障碍者、そして老年(インドの現実的なライフスパンからいえば立派な老年だと思う)の三角関係恋愛だ。筆者は実見していないのだが、オーストラリア映画『もういちど』の翻案ということだ。ただし、原作は老人の性にも大胆に切り込んだものだというが、インドの場合それは絶対に絶対にタブーなようなのだな。まあそれと、自分の心に忠実であるために長年連れ添った夫を捨てて恋人と暮らす老女というのも無理だ。なのでインド版のストーリーはその代わりにより細緻を凝らした複雑なものになり(まるで『クレーヴの奥方』のように)、事実上別の映画となったようだ。ほとんど心理戦と言っていいようなその三角関係の果てに、しかしハッキリと残酷なまでに恋の勝者を提示したクライマックスは大変よろしかった。回想シーンでジャヤプラダーの少女時代を演じるニヴェーダー・トーマスちゃんも子役を脱して可愛らしくなってきて小父さん嬉しくなっちゃったよ。


cvSnehaveedu.jpgSnehaveedu

Director:Sathyan Antikkad
Cast:Mohanlal, Sheela, Padmapriya, Mallika, Biju Menon, Innocent, KPAC Lalitha, Mamukkoya, Rahul Pillai, Reeja, Chembil Ashokan, Lena, Urmila Unni, Arundathi, Sasi Kalinga, Appukutty

原題:സ്നേഹവീട്
タイトルの意味:House of Love
タイトルのゆれ:Snehavidu

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間20分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:田舎、人情、異教徒間結婚、勘当、映画界下積み、隠し子、マザコン中年

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/snehaveedu-malayalam-2011

【寸評】
こっちのラルさんはノスタルジック路線だ。巨匠サティヤン・アンティッカード節が全開のユートピア的田舎人情譚。それ以上でもそれ以下でもないのだが、サティヤン監督作品の楽しみとして人間味ありすぎの傍役さん達の人生模様というのがあるわけで、本作の場合はKPACラリタ小母さんとレナ演じるその娘、そして宗教の違う婿のビジュ・メーノーンの3人のやり取りが面白かった。ニューウェーブが話題をさらった2011年のマ映画界で、時の止まったオアシスのような空間を作ってくれた本作はありがたかった。これからもこういうものが出てきてほしいよ。

Snehaveedu.jpg
やっぱ田舎はええのう…、ラルさんはええのう…。(Snehaveedu

投稿者 Periplo : 23:57 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年06月24日

Project 2011: その1

2008年2009年2010年に引き続き4回目、ずれたタイミングでお送りするマラヤーラム映画のアニュアル回顧シリーズ。

traffic2011.jpg

それは Passenger (Malayalam - 2009) Dir. Ranjith Shankar あたりから何となく見えてきていたのだった。Cocktail (Malayalam - 2010) Dir. Arun Kumar でおずおずと予言めいたことを書いたりもしたんだけど、まだためらいもあった。それが2011年に一気に来たという感じだ。まるで鹿威しに水が満ちてカッコーンとひっくり返るように。この2011年にマラヤーラム映画の様相がかなり大きく変わってしまったように思えるのだ。

何がどう変わったかを説明しようとして、脱二大巨頭、脚本重視、都会志向、ジャンル映画化、ヤング群像、ミニマリズム、スタイリッシュ志向、脱演芸会臭、スリラー盛行、中産階級的価値観、同時代への批評…etc.色々な言葉が渦を巻いて頭が爆発しそうになったんだけど、簡潔に最低限の定義をすると、「クレバーな映画」への指向がはっきりとしてきた、ということだと思う。

こう書くと何もかもがひっくり返ってしまったかのようだが、冷静に個々の項目を検討すると、以前から言われてきたマ映画の特色とされるものを並べただけのようにも思えて混乱する。本当に一番大きく変わったのは、二大巨頭中心からヤングの団体戦に、田舎呑気から都会の無情に、ってとこかな。

ともかくこの流れはインテリ寄りの観客には大層歓迎されているようで、「80年代マ映画黄金時代の再来」とまでハシャいでいる面々も見受けられる。しかし、これで本当に80年代のように観客が映画館に押し掛けるようになるのだろうか。結論を出すにはもう少し観察を続ける必要がありそうだ。

ガイジンの感傷としては、この変化は必ずしも諸手を上げて歓迎できるものではない。タミルでもテルグでもヒンディーでもなく、なぜマ映画を観るのかといえば、やはりそれは二大巨頭のアイドルぶり&村のチャイ屋やトディ屋でのドーティ親爺達のにゃあにゃあ政談が楽しいというのが大きかったのだ。ケララの衆にとっては、マラヤーラム語で作られている限りそれは「我らの映画」なのだろうけど、首にカメラぶら下げた観光客にとっては「やっぱカタカリは観たいよ」となるのはしょうがないじゃん。

地方色が薄まった「よくできた映画」というだけならわざわざ苦労してマ映画を観る必要もなくなりそうではあるのだが、それでも筆者はまだまだ付き合って行くつもりだ。やはりここまで深く入れ込んでしまうと、自分の好みとは違う方向に進んでいるようだというぐらいの理由では見限ってしまうことができないのだ。マ映画とケララ社会がどこに行こうとしているのか見届けたい気持ちがある。より積極的な理由としては、マ映画芸達者脇役(&主役)軍団が新しいフェーズにどんな活躍を見せてくれるかが楽しみなのだ。

ということで、もしかしたらこの先引っ込めてしまうことがあるかもしれないが(ここまで書いてもまだ自信がない)、マラヤーラム・ニューウェーブという言い方をこのシリーズでは使ってみようかと思う。

以下に、2011年に公開されたマラヤーラム語(吹替え除く)長編劇映画88本の内の約半数、45本を駆け足で振り返る。今年も例年と同じく秀作・駄作ともに充実していたが、初回は最も2011年的な快作とサイテー映画各一本を取り上げたい。

星5つ

cvTraffic.jpgTraffic

Director:Rajesh Pillai
Cast:Sreenivasan, Kunchacko Boban, Rahman, Vineeth Sreenivasan, Asif Ali, Lena, Sandhya, Roma Asrani, Ramya Nambeesan, Sai Kumar, Shanti Krishna, Vijayakumar, Prem Prakash, Anoop Menon, Namitha Pramod, Anjana Menon, Gauri Krishna, Munshi Venu, Baiju Ezhupunna, Saju Alffingal, Dr. Rony, Santosh Krishna, Sudeep Joshi, Premlal, Manoj, Raj Kumar, Sibi Kuruvilla, Reena Basheer, Fathima Babu, Nisha Sarang

原題:ട്രാഫിക്‌

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間56分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、グランドホテル、コーチン、パーラッカード、国道47号、公道レース

当網站の関連ポスト:2011.09.27(レビュー)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/traffic-malayalam-2011

【寸評】
言いたいことは以前のレビューで大体書いたが、一つだけ付け加えるとしたら、本作のソングシーン(たとえば ♪Pakalin)が恐ろしくクレバーに作られているという点かな。切り詰めたランタイムの中、このソング一曲を挿入することで、無闇と多い登場人物の職業から家庭環境までを圧縮して効率よく説明して大層経済的。ちょっと嫌になるくらいに。

Traffic201102.jpg
シャヒード・カーダル監督によるタミル・リメイク(このキャスティングは興味深い)、ラジェーシュ・ピッライ監督自身による(らしいが未定)ヒンディー・リメイクが進行中という。


星ゼロ

Krishnaynum.jpgKrishnanum Radhayum

Director:Santosh Pandit
Cast:Santosh Pandit, Souparnika, Rupa Jith, Devika, Ajit, Vijayan, Hanif

原題:കൃഷ്ണനും രാധയും
タイトルの意味:Krishna and Radha

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間34分

ジャンル:ロマンス&コメディ
キーワード:異教徒間恋愛、ワンマンアーミー、YouTube発ヒット、炎上マーケティング

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/krishnanum-radhayum-malayalam-2011
YouTube 全編動画:http://youtu.be/_UDI2gOVLww

【寸評】
マラヤーラム映画に関心のある日本人でもこれを観た人はまずいないだろうし、実際に観る必要もないと断言してしまおう。ただ本作の監督・主演・作詞・作曲・プレイバック・美術・衣装・アクション・原作・脚本・制作・編集の全てをこなしたサントーシュ・パンディットという男を巡る数々の現象が、実に新時代的だと思えるので紹介しておきたいのだ。

2011 年3月頃にYouTubeにアップされた本作のミュージカル・シーン ♪Rathri Shubharathri が、コンテンツの貧弱さに対して異様なほどのアクセスを集め(これを書いている現時点で100万超え)、またコメント欄が罵倒で埋め尽くされたことが発端である。程なくしてパンディットはネット上のカルト・ヒーローとなり、10月に本編が封切られて最初の数日はほぼフルハウスとなった劇場もあったという。ネット上と同じく劇場でも観客のほとんどはスクリーンに向かって罵詈雑言と嘲笑いを浴びせるのがもっぱらだった。斜に構えた批評家の中には、メインストリームのマラヤーラム映画への毒のある批判として、超低予算のこのアマチュア作品を二大巨頭出演作よりも優れたものと持ち上げる者も現れた。現地の主要なマスコミはほとんど全てがインタビューやパネルディスカッションにパンディットを登場させた。その作品の質と興行成績のアンバランスへの批判に対して、彼は「自分の映画を見たいと思った人だけが劇場に足を運んでくれればいいのだ、自分は誰にも強要はしない」と見事に切り返している。YouTube芸人としてのパンディットの特徴は、タミルのウィルブル・サルグナラージなどとは違い、笑いを取ろうとしてないという点。

詳しくはシヴァラーム・シュリーカンダートによる ManoramaOnline の記事 The Curious Case of Santosh Pandit が要領よくまとめてくれているので、そちらをご参照いただきたいが、なんというか、ケララへの本格的な大衆消費社会の到来を物語るような、極めて象徴的な現象に思えて仕方がないのだ。伝統的な口コミと並んでネットの情報が興行に影響を与えるようになったということ。鍛え抜かれた玄人の芸を味わうためではなく、神のごとき名優を仰ぎ見るためでもなく、イタい素人を嘲るために金を払って劇場まで赴く観客が多出したという点。多くの観客が心の奥底で抱いてはいても普通は実行にうつすまでにはいたらない映画出演の願望を図々しく自分で叶えてしまう奴が出てきて、その代わりにフラストレーションの捌け口として一般人はそいつには何を言ってもいいという構図。これを新時代と言わずして何と言う?

KrishnanumRadhayum.jpg
もちろん、成功したマラヤーラム映画の常として、タミルとヒンディーの吹替え版も製作されたという。さらに英語吹替え版も作られるらしい。

投稿者 Periplo : 16:21 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年04月19日

収集癖:ナーラダ仙(3)

お約束の雲海ウォークソングも、セットも組まず単なる多重露光で済ましてしまった。富み栄える王国の宮殿もなんだかモーテルみたいなんだ。あああ貧乏が憎いっ! いや、こんなボケボケ画像しか掲載できなくて忸怩たるものがあるのだが。

Mahabali1.jpg

前回紹介した Bhakta Prahlada に登場した童子プラハラーダの孫にあたる魔王マハーバリの物語を、珍しいマラヤーラム神話映画から。豪傑笑いも大見栄切りもない神話映画に君は耐えられるか?ってなもんだ。

Mahabali (Malayalam - 1983)

Director:Sasikumar
Cast:Prem Nazir, Jayabharathi, M G Soman, Raj Kumar, Adoor Basi, Shankaradi, T G Ravi, C I Paul, Murali Mohan, Ravi Menon, Thodupuzha Radhakrishnan, Aalum Mudan, G K Pillai, Kaavan Surendran, KPC Pilla, Unnimary, Meena, Prameela, Sadhana, Ishashri, Vijayalalitha, Rajeswari, Priyavadana

原題:മഹാബലി
タイトルの意味:Great Bali

VCDの版元:T-Series
VCDの字幕:なし
VCDの障害:特になし
VCDのランタイム:約2時間13分

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/mahabali-malayalam-1983

【ネタバレ度100%の粗筋】
なにぶん字幕なしなので、以下に書くのは Old Malayalam Cinema さんによるレビューをなぞっただけのもの。こういうブログエントリーがあるかないかで鑑賞の充実度が全然違うね、ありがたい。

プラハラーダの孫にあたる夜叉の王、バリ(Prem Nazir)は今日のケララにあたる地域を支配しており、その高い徳性と公正な統治の手腕から臣民達から慕われ、マハーバリと呼ばれていた。彼の王国は富み栄え、争いもなく、その名声は三界に轟いていた。彼は熱心なヴィシュヌ信徒だったが、息子のバーナ(Raj Kumar)はシヴァ神に帰依していた。マハーバリが得ている信望のあまりの高さに天界の神々や神人達は嫉妬と焦燥を覚えてヴィシュヌ神に訴えるが、ヴィシュヌは取り合わない。ある時マハーバリは牢獄に繋がれた罪人に身を窶したヴィシュヌに試されるが、その誠心は揺らぐことがない。その場に居合わせたナーラダ仙(M G Soman)は、マハーバリを褒め讃え、彼こそが天上界をインドラに代わって治めるべき人物だとまで言う。しかし謙虚な王は恭しく辞退する。一連の出来事をナーラダから聞かされたインドラ神(C I Paul)は、自分の地位を脅かすものとしてマハーバリを敵視する。

マハーバリの息子のバーナは父とは違い野心家で、父が天界の支配者となるべきだと信じていた。それを知ったインドラは町外れのシヴァ寺院を訪れたバーナを襲うが、バーナはかすり傷一つ負わず、寺の警固兵一人を殺すだけに終わった。その警護兵の娘ナンディニ(Unnimary)はバーナに保護され、やがて2人は恋仲となる。マハーバリと王妃(Jayabharathi)はナンディニを王子の婚約者として認める。

(途中の細かいエピソードは省略)

王子バーナと宮廷付きの仙人スクラーチャーリヤ(T G Ravi)を中核とした急進派は、インドラに代わってマハーバリを天界の支配者の地位に据えようと計画を練る。彼らはマハーバリが12年にも渡る大犠牲祭(Maha Yajna)を執り行うように仕向ける。それだけの大祭を成し遂げれば、ヴィシュヌ神は恩寵としてインドラの玉座をマハーバリに与えざるを得なくなるだろうというのが彼らの目論見だった。インドラは祭祀を妨害しようと試みるがうまくいかなかったため、結局ヴィシュヌに直接助けを乞うことになる。訴えを聞き入れたヴィシュヌは、婆羅門の夫妻のもとにヴァーマナ(十化身のひとつ、矮人)として生まれる。12年後、祭祀を間もなく完遂しようとしていたマハーバリの宮廷にヴァーマナは赴き、自分が三歩でカバーできるだけの広さの土地を喜捨するように求める。童子の正体に勘付いたスクラーチャーリヤが止めるのも聞かず、マハーバリはその要求に応じる。するとヴァーマナは最初の二歩で地上と天界を全て跨いでしまった。三歩目をどこに置くべきかを尋ねる童子。今やヴァーマナが何者であるかを悟ったマハーバリは、冠を脱ぎ、自分の頭頂を恭しく差し出す。最後の一歩を踏込む前に、ヴィシュヌはマハーバリに慈悲をかけ、一年に一日だけ彼が君臨した地上に戻ってくることを許す。そして童子の足がマハーバリの頭を踏みつけ、王はそのまま冥府に沈んで行く。こうしてケララの人々はマハーバリが地上に戻ってくる一日をオーナムとして祝うようになったのである。(粗筋了)

Mahabali2.jpgMahabali3.jpgMahabali4.jpg
Mahabali5.jpgMahabali6.jpgMahabali7.jpg

【寄り道】
一般にインドのヒンドゥー教徒の間での最大の祭りとされているのは ディーワーリー(ディーパーヴァリー)で、概ね西洋暦の10月末から11月初旬の5〜6日間。「光の祭り」と呼ばれるこの節句の起源や意味については諸説があるが、ラーマ王子がランカー島での戦いに勝利してアヨーディヤーに帰還したことを祝うもの、というのが一応の定説になっている。

しかし祭り期間中の各日には、ラーマの帰還以外に細かく意味付けがされており、それらは地方によって多少異なる。多くの場合第2日目に当てられているナラカ・チャトゥルダシは興味深い。邪悪な阿修羅ナラカスラBhakta Prahladaに登場したヒランニャクシャの息子ということになっている)が力にまかせて天界を荒し回り、インドラ神をすら逃げ惑わせるに至ったのを、ヴォシュヌ神によって成敗されたことを祝うのだ。このナラカスラはヴィシュヌの持物であるチャクラで首を刎ねられるのだが、直前に改悛し、自分が死ぬこの日には世の人々が灯を点して祝うようにしてほしいと願い、聞き入れられる。徳の高い賢王マハーバリと乱暴者のナラカスラ、属性こそ異なるものの、ストーリーラインの骨格はよく似ているのだ。

さらに興味深いのは、全インド的な大祭日であるディーワーリーが、ケララではそれほど盛大には祝われないということ。他州と異なり原則的には1日で終了してしまうのだ。その代わりに、8月末から9月初旬頃に始まり、最長で2週間ほども続くオーナムがケララ人にとって最も重要な祭りとしてある(詳しくはこちらさんなど参照)。期間中はマハーバリ(マーヴェーリとも呼ばれる)の扮装をしたこんなオッちゃんが街を練り歩くのだ、そっち(どっちだ?)方面の人には堪らんだろうね。そしてヒンドゥー神話を起源として持つこのオーナムは、現在ではムスリムやクリスチャンも巻き込んで全州一丸の祭りとなっているという。

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【寸評】
みんなが祝うオーナムの起源を説くストーリーなのになんだか哀しい気持ちになる、ただ異族であるというだけで狩られて地底界に追いやられた魔王の物語。桃太郎物語と同じくらいあからさまに外来民族による先住民の征服と支配を示唆する構造。以前別の神話映画のレビューにもちょっとだけ書いたけど、天界の神々と地上・地底の夜叉・阿修羅・羅刹(この三種の違いがあまりよくわかっていないのだが)との隔てというのは、神性とか徳性の違いによるものではないのだ。前者が善で後者が悪という単純な対概念ではなく、いうなればカーストみたいなもんなのだ。つまり勝ったものが神となり、負けたものが悪鬼となった、そういう経緯がとてもよく分かる。

本作が形式上は神話映画として分類されることは間違いないが、実際の筋はむしろ宮廷クーデターの叙述に近い。っていうか、どうしてもサラリーマン残酷物語に思えちゃうんだよね。

公正で有能で部下から慕われてる部長(マハーバリ)が、収益あげてるのに待遇が他部署と変わらないのを不満に思ってる側近(王子バーナ、スクラーチャーリヤ仙人)の勇み足で「事業部制+独立採算化へ移行」みたいな動きの首謀者に祭り上げられて、危機感を持った役員連中(天界の神々)に目を付けられていきなり地方の営業所に左遷、みたいな話じゃねえか。かつて花形部署の責任者としてもてはやされていたのだけど今はちょっと微妙な立場の副社長(インドラ)がイマイチ効きの悪いジャブを連打して衆目を引き寄せてるうちに、裏で着々と追放に向けて動いてるのは総務部の古狸(ナーラダ)だとか…嫌すぎるよ〜〜〜。

ま、最大の吃驚ポイントはなんて言っても「ブランデーグラスの似合う男」MGソーマンによるゴルゴ13みたいなモミアゲのナーラダ仙だわな。こんなに聖性のかけらもない、微塵の愛嬌もない、デモーニッシュなナーラダ仙見たことないわ。こんなに真心のこもらない「ナーラーヤナ」他では聞いたことない。本作の公開時のレビューや制作者のインタビューなど、もちろん一切入手できないのだが、多分これはミスキャストなのではない。演出する方も演じる方も充分に意識的にやった結果であるはずなのだ。また傑出した性格俳優だったCIポールによる、あまりに人間的すぎるインドラ神も大層印象に残った。通常は滑稽で臆病な奴として描かれることの多いインドラ神(これはこれでまた不思議なのだけれど)だが、ここでは焦燥とプライドとの間で身悶えするキャラクターとして登場し、よりいっそう非・神話映画的なテイストを加えていたのだった。

という訳で、誰にでもお勧めできるというものでは全然ないのだが、マラヤーラム映画らしい脱定型への指向が神話映画にすら現れている一例としてここに記録しておきたいと思うのだ。

投稿者 Periplo : 18:45 : カテゴリー バブルねたkerala
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2012年02月28日

レビュー:Chaappa Kurish

マラヤーラム映画史上(印度映画史上?)初のiPhone映画。いや別にあいほんで撮ったって訳じゃないけど。

ChappaKurish01.jpg

アマル・ニーラドのもとで撮影監督をつとめ(Big B などを担当)、本作で監督デビューしたサミール・ターヒルはインタビューで以下のように語っている。

“I am not trying to convey any particular message through the movie. It’s a pure commercial entertainer. But if the viewers get something out of it, I will be more than happy,” Sameer says. (Yentha.com 記事 Behind The Camera: Chappayum Kurishum Screenil より)

なかなか潔い言明だね。しかし32歳のデビュー監督の言葉とは裏腹に、観た後にかなり色々考えさせられたよ。持てるものと持たざるものとの間の絶対的な距離についてではなく、マラヤーラム映画の将来についてだけど。

cvChappaKurish.jpgChaappa Kurish (Malayalam - 2011)

Director:Sameer Tahir
Cast:Fahad Fazil, Vineeth Sreenivasan, Ramya Nambeesan, Roma Asrani, Niveda Thomas, Jinu Joseph, Sunil Sukadha, Dinesh Panicker

原題:ചാപ്പാ കുരിശ്
タイトルの意味:Head or Tail ※But I wanted it in the colloquial lingo.” To one's amusement he adds "It's called 'Changum Chappayum' in Kollam, 'Thalayum Valum' in Kottayam, 'Raja Kozhi' in Thrissur and 'Chaappa Kurish' in Cochin. And I belong to Cochin." (Yentha.com 記事 Behind The Camera: Chappayum Kurishum Screenil より)
タイトルのゆれ:Chappa Kurish, Chaappa Kurishu, Chaappakurish

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間11分
DVD 入手先:Webmall IndiaBhavani DVDMaEbag など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/chaappa-kurish-malayalam-2011.html/a>

【ネタバレ度40%の粗筋】
舞台はコーチン。建設会社のエグゼクティブであるアルジュン(Fahad Fazil)は、裕福な家庭に生まれ、ブームに沸く建設業界での競争に果敢に挑む企業家精神の持ち主である。一方で、選良意識の高い彼は、目下の人間・無用とみなした人間に対しては、挨拶やねぎらいの言葉をかけることすらしないような冷淡なところがあった。両親が決めた婚約者である資産家の令嬢アン(Roma Asrani)とつきあいながらも、会社の部下のソニア(Ramya Nambeesan)と密かに肉体関係を持っていた。

フォート・コーチンの惨めなアパートに住むアンサーリ(Vineeth Sreenivasan)は、エルナクラムのスーパーに勤め、さして多くもない稼ぎの中から田舎に仕送りしている。職場ではトイレ清掃などの単純労働のみをあてがわれている。彼は教育程度が低いだけでなく元来の性格にも鈍重なところがあり、同僚達から馬鹿にされ、雇い主からは屈辱的な叱責を浴び続けながら毎日を送っていた。

ある日、アルジュンはふとした遊び心から、自室に訪ねて来たソニアとの情事の一部始終をアイフォンで録画する。その後、ソニアはアルジュンとアンの挙式が迫っていることを偶然に知り、アルジュンを詰るが、彼はソニアとの結婚の約束をした覚えはないと突き放す。公衆の面前で取り乱したソニアを宥めようとしているうちにアルジュンはアイフォンをうっかりと落としてしまう。それを拾ったのはアンサーリだったが、彼は拾得物をこっそりポケットにしまい、その場を足早に後にする。落とし物に気づいたアルジュンの煩悶と焦燥の日々がそこから始まる。(粗筋了)

ChaapaKurish02.jpg

【寸評】
以前に
Cocktail (Malayalam - 2010) Dir. Arun Kumar を紹介する際に形容した言葉を再度使うと、本作もまた「ごく平凡な都会人の生活スケッチと思われるところからスリリングなドラマを生じさせる、よく考えられた脚本」「担い手となっているのはデビュー、あるいはデビューから2、3作の新人監督」「知名度はそこそこあるが大スターとまではいかない俳優を巧みに配置し(つまり中規模の予算ということ)、都会を舞台にしてスリラー的な展開をする」といった共通の特徴をもつニューウェーブ的な流れの中の一本といえよう。いくつかの項目について留保つきながら、インテリ系の観客からはそれなりの評価を受けた。

そして例によって犯罪成分を含んだスリラー。しかしいくら流行だからといって、先が見えきった定型的展開&ソングやコメディなど独立パーツの組立て工法の映画ばかりを作ってきたケララ人が、緊密な金縛り系スリラーをゼロから急に作れる訳がない。なのでプロットやストーリーは他所から借りてくることになる。本作も、スマートフォンに録画された激やばビデオを巡る攻防という点で Handphone (Korea - 2009) Dir. Kim Han-min からヒントを貰っているという。金持ちの死活の鍵を貧乏人が手にしてしまったというシチュエーションは Taxi No.9211 (Hindi - 2006) Dir. Milan Luthria ともよく似ている(これ自体がハリウッド映画の非公式リメイクだという)。だけど、こういうのを見つけて「モラルのないパクリ」と切り捨ててしまうだけでは面白いとこを取り逃がしてしまうことになる。問題はローカライゼーションが成功してるかどうかということ。

ローカライゼーションとなると、ここにもう一つの問題が立ちはだかってくる。つまりケララには都市型スリラーにふさわしいメトロポリスというものが、現状ではどう贔屓目に見ても存在しないということ。そこを無理に作ろうとすると舞台は必然的にコーチンとなる。もちろんコーチンにも都市ならではのゴミ問題だの交通問題だのはあるけれど、都会的なクールさや酷薄さがあるかというとねえ。なもんで、そのへんのギャップをカバーしてアーバンでスタイリッシュな雰囲気を出すためにヴィジュアルワークに傾斜することになったりするのだ。本作でもその傾向は認められたが、全体的なバランスを崩すほどの変な凝り方にはなってなかった、幸いにして。

ケララらしさが感じられたのは、金持ちと貧乏人との間の距離の設定だね。金持ちの方は、印度全域に生息している鼻持ちならない&躾けが全くなってない自己中野郎の典型だけど、その身の回りからは目も眩む想像を絶するような富と権力は感じられない。貧乏人の方も、愚鈍で無気力で「貧困は自己責任」論者をほくそ笑ませるような人物像になってるけど、ともかく定職があり住処も持っている。両者を分け隔てる最も分かりやすい生活資材がアイフォンとガラケーなんだな。お宝の詰まったアイフォンを拾った貧乏人は、しかしその中身を見るすべを知らない。彼にできるのは着信に応対することと電源を切ることだけ。バイブ設定に切り替えるやりかたすら分からないのだ。この部分が、ネタもとの韓国映画にはなく、本作で観客を引き込ませる最大のポイントなのだと思う。

なお本作では、マラヤーラム映画としてはおそらく初めて、長々としたフレンチ・キスが遮蔽物なしに映された。ほとんどのレビューがそのことを取り上げているが、不思議なことにさほど非難も賞賛も引き起こさなかったようだ。同年公開の Salt n' Pepper (Malayalam - 2011) Dir. Aashiq Abu のソング中でのカジュアルなチョロっとしたキスシーンが一部で妙に持ち上げられたのと対照的に(というかこの小品自体がどうしてこんなにケララの衆に馬鹿ウケしたのかさっぱり理解できないのだが)。

本筋からはズレるのだが、しかし本作がお得だと感じたのは主人公アルジュンの友人に映画の吹き替え声優という設定の人物が出てくる(脚本上若干の必然性があるのだ)点。その人物が仕事してるとこが描写される短いシーン(ネタバレでも構わない人のみこちら参照)、最近のマ映画界の状況がクッキリ出ててかなり笑えるよ。ここにレビューをあげたのは実はこれを言いたいためだったりして。

ChaappaKurish03.jpgChaappaKurish04.jpg
まあそれと、金持ちが吠え面かかされてるところ見るだけで飯ウマ〜、って人にもお勧めだすね。

投稿者 Periplo : 13:32 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2011年09月27日

レビュー:Traffic

汚れちまった人生だけど、それでも生きにゃあならんのだ。

Traffic1.jpg

渋い実力派俳優を揃えて低予算で勝負、2011年前半に封切られて評判になり、結果的にかなりの興行成績を収めたという一本。

cvTraffic.jpgTraffic (Malayalam - 2011)

Director:Rajesh Pillai
Cast:Sreenivasan, Kunchacko Boban, Rahman, Vineeth Sreenivasan, Asif Ali, Lena, Sandhya, Roma Asrani, Ramya Nambeesan, Sai Kumar, Vijayakumar, Prem Prakash, Anoop Menon, Namitha Pramod, Anjana Menon, Gauri Krishna, Munshi Venu, Baiju Ezhupunna, Saju Alffingal, Dr. Rony, Santosh Krishna, Sudeep Joshi, Premlal, Manoj, Raj Kumar, Sibi Kuruvilla, Reena Basheer, Fathima Babu, Nisha Sarang

原題:ട്രാഫിക്‌

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間56分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingWebmall IndiaAmazon.comBhavani DVDMaEbag など

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/traffic-malayalam-2011

Traffic2.JPG

【ネタバレ度10%の粗筋】
9月16日の朝9時ごろ、エルナクラムの市街地のとある交差点。自家用車を運転する若い女性は、しばらく前から前後を付きまとっては野卑な言葉を投げかけてくるバイクの不良達に悩まされていた。マラヤーラム映画界のトップに立つスター、シッダールト・シャンカル(Rahman)は、新作の封切りを横目に、早朝撮影を終えてパーラッカードの自宅に自家用機で向かう前に、ライブのTVインタビューをひとつこなそうと車を走らせていた。医師のエイベル・テリアン(Kunchacko Boban)は愛妻シュウェータ(Ramya Nambeesan)へのサプライズ・プレゼントに買った新車を引き取り、自ら運転して帰宅するところ。助手席には友人のジートゥがいた。交通巡査のスデーヴァン・ナーイル(Sreenivasan)は長年の勤続で初めてくらった停職処分が解けて、職場である警察署にスクーターで向かっていた。微細な収賄に手を染めて検挙され、その模様が大々的に報道されてしまったため、彼は家族にあわせる顔がなかった。若いレーハン・シャイフッディーン(Vineeth Sreenivasan)は、念願かなってTV局の採用試験をパスし、試用期間初日に親友ラージーヴ(Asif Ali)のバイクに同乗して出勤するところだった。FMラジオ局のディレクターであるマリア・テリアン(Roma Asrani)は空港に向かう同僚が運転する車に乗って移動する途中で、自局の放送を耳にしてその内容に腹を立てていた。

同じ日の昼前後、コーチン警察のコミッショナーであるアジマル・ナーセル(Anoop Menon)は、コーチンからパーラッカードまで、非常にデリケートな荷物を運ぶために警察の総力をあげて作戦行動にとりかかるよう州政府高官から依頼される。両都市間の距離は約180km、自動車専用の高規格道路は存在しない。立体交差すらほとんどないのだ。ウィークデイの午後に、この区間を平均時速100km、2時間で走り抜けなければならない。何よりも厳しいのは綿密に作戦を練る時間がないということ。1秒でも早く行動を開始しなければならないのだ。(粗筋了)

【寸評】
いや、アクロバティックな脚本に唸ったね。いわゆるグランドホテル・スタイルのストーリー。普通このタイプの物語は、クライマックスに来てそれまで無関係だった登場人物が一堂に会して大イベントが起きるというのがパターン。このスタイルは、まあまずクライマックスを先にブチあげておいて、そこに到るまでの各人の人生行路みたいなのを個別にそれらしく構築すればいっちょあがりだ。実際に本作と同時期に公開された Vaanam (Tamil - 2011) Dir. Krish などもそれだった。 ところが本作はその裏をかいて、冒頭でいきなり主だった登場人物が一つの交差点の周辺でニアミスしてしまう。そしてその後彼らはくっついたり離れたりしながら最後まで濃くあるいは薄く関わり続けるのだ。しかも最初の全員集合にしても、実は直前の各人の言動が微妙に絡み合った結果であるというのにも感銘する。また、2時間を切るランタイムの中で大勢の登場人物の性格や置かれた状況を的確に表出するテクニックも凄い。一例を挙げるならば、ラフマーンが演じるマラヤーラム映画界のトップスターが口にする「俺の名前を出したのか?」という一言、これでこの人物がいかに思い上がった増長慢であるかがクッキリと浮かび上がる。台詞だけではなく、シュリーニヴァーサンのアップの顔が映し出されるだけで、平凡な下積み人生の中でほんの一瞬魔が差した汚職警官の深い悔恨が押し寄せて、貰い泣きせずにはいられなくなるのである。やはり芸達者脇役軍団の芝居は凄い。一方で親子や恋人・夫婦同士の感傷的なやりとりもむせび泣くバイオリンと共にたっぷり描かれるのだが、どこか抑制が効いている。制作者達は、たとえばシュリーニとヴィニートを親子役にキャスティングするとか、そういう方向での安易なセンチメントの盛り上げには一切興味がなかったようだ。

しかし、いろいろ書いてみたものの、最大のアトラクションはコーチン(エルナクラム)〜パーラッカードの2時間走破大作戦の部分。一度でもこの2点間移動をやってみた者なら分かるスリリングさ。ケララ州の大動脈である国道47号線で平地部を貫いてトリシュール近郊まで北上する約90キロ、ここまではまだ何とかなる。残り半分は徐々に高度を上げて行く片側一車線道、ところどころに葛折もある。狭隘なのに交通量の多いこの部分を平均時速100kmで駆け抜けるのはまず無理。どうするかというと、前半の平地部でさらにスピードを上げて時間を稼ぎ、なおかつ山地部では国道から外れた小集落の村道を抜け道として利用するしかない。運搬車の乗員、そして路上の歩行者のリスクといったら尋常じゃないのだ。しかもそこに、ある人物の突然噴出した激情の波が押し寄せて…。と、最終的には運転技術ではなく人の心が道行きを揺さぶる。まあ、面白いですよ。低予算映画でもクレバーに制作されれば、ヒットに繋がるという見本のような一本。カマル・ハーサンが出演するというタミル・リメイク、 結構なマルチスターになりそうなヒンディー・リメイクの話も既に動いているようだが、できれば最初にマラヤーラム版を観とくことをお勧めしたい。

【それでも突っ込みはある】
ケララ・ポリスにはGPSナビを買う金もないんかい!

【本筋には無関係だが気になる】
クライマックスの舞台になる架空の集落、ビラール・コロニー。ゴールのパーラッカードに近い最後の難所として現れる。劇中の台詞によれば「マイノリティ(=ムスリム)が集住し」「デリケートで警察も気軽には踏み込めない」「ブラックマーケットのある、違法流通物資の集積地」「かつての手入れでは銃撃戦が起きたこともある」「DVDを求める外国人観光客がしばしば訪れる」。なぬっ、DVD? そんなパラダイスな無政府地帯がケララにある訳? モデルはどこだーっ!

Traffic
しかしいくら脚本の勝利だからと言って、裏方の方が威張ってるこのポスターには感心しないがな。

投稿者 Periplo : 03:31 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2011年09月15日

秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男

Urumi

10月15日から19日の5日間、東京渋谷で行われる第12回NHKアジア・フィルム・フェスティバル、今年の唯一のインド映画はサントーシュ先生の Urumi (Malayalam - 2011) Dir. Santosh Sivan に決定。上映スケジュールは未定、詳しくはAFFサイトを追っかけてくだせえ。

日本上映を奉祝して一発レビューでもあげたいところだすが、あいにくこれに関しちゃ4月に現地で字幕なしで観ただけ。DVDも発注済だけど、ブツはケララの皆さんがオーナム惚けから我に返るまで(いつだ?)トリヴァンドラムの倉庫で寝てることだろうから、ちょっとタイミングが悪いやね。

なんでとりあえず今日のところはリンクのご紹介ということで。
オフィシャルサイト:http://www.urumithefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/urumi-malayalam-2011

投稿者 Periplo : 00:12 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年08月25日

Project 2010:その6

誰かの役に立つかどうかはわからないが、一応2010年に公開されたその他の映画42本についてもサラっと紹介しておく。別にこれらを絶対見ないと決めたわけではないので、そのうち気が向いて鑑賞して、いいものだったら紹介したい。また、「お前は外していたが、残り物の中にこんな秀作があったぜよ」と当網站読者からのたれ込みがいただければ、これより嬉しいことはない。そんなムシのいい期待も込めて、ディスクが発売となっているものについては通販サイトのアドレスも付記した。

今回の総括に当たっては、全公開作品リストとして Wikipedia のものと現地新聞社 Mathrubhumi のものとを参照した。どちらかがもう片方のコピペである可能性は否定できないが。

無味乾燥なリストではないものとしては Metromatinee の Malayalam Cinema - 2010 Flash Back がお勧め。この年に注目された人物や作品が一目で分かる(多少ご祝儀的なものも混じっているように思えるが)。

個人的な感想としては、熟年王国ケララとはいいながらも、20台前半の若い役者達が多少はプレゼンスを増して来たかなという印象を持った。いやつまり、オッちゃんと熟女にばかり目が行ってる筆者ですら名前を覚えられるようになった若いのが増えたってだけのことなんだけど。そんな彼らは、かつてのヒーロー・ヒロイン候補生のようにいきなり一枚看板で主演したりせず、とりあえず団体戦で勝負に出るというのが多い。やがて淘汰されて行くんだろうけど。裏方に関して言うと、この年もまたデビュー監督による作品の数が尋常ではなかった。そのほとんどが「アマチュアは大人しく引っ込め!」的に痛罵され、第2作目を手がけるチャンスはもう来ないだろうが。生き残りは新人俳優以上に厳しいものと思われる。カメラの前と後ろにいるこうした連中が、目の覚めるような秀作を生み出した実例には今のところお目にかかってはいないが、ゆっくりとしたシフトが起こりつつあるのかもしれない。一方で、星4つの項で書いたように、学生達が In Ghost House Inn の親爺達に熱狂しているような現象を見るにつけ、一筋縄では行かないなあ、という実感もひしひし。

なお、当エントリーの末尾には、ここまでお付き合い下さった皆さんへのお礼として、ちょっとしたお得情報を記載した。そこいらのチャラい情報サイトでは絶対に書いてない凄いネタ。お楽しみに。

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☆☆☆☆☆(星ゼロ)色々あって観なかった

Black Stallion
Director:Pramod-Pappan
Cast:Kalabhavan Mani, Namitha, Bala, Asish Vidyarthi, Pitamagan Mahadevan
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:核爆バディのナミーちゃんのマ映画初出演てえだけじゃなくて、脇を固める連中も一癖二癖ありそうで面白そうだよね。そのうち気力充実した時に見てみよう。

Kanmazha Peyyum Munpe
Director:Roy
Cast:Shafna, Arun, Thilakan
DVDの発売:確認できず
コメント:学園友情&ロマンスもの。

Brahmasthram
Director:Benny Ashamsa
Cast:Saiju Kurupu, Jagathy Sreekumar
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:College Days と同じく、有力者の子弟によるカレッジでの犯罪的なラギングがテーマだという。

Senior Mandrake
Director:Ali Akbar
Cast: Jagathy Sreekumar, Charutha, Jagadeesh, Kalpana, Suraj Venjaramood
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:ジャガティ先生主演、マ映画界のコメディアン全員集合!作品のようだ。

Annarakannanum Thannalayathu
Director:Prakash
Cast:Kalabhavan Mani, Jagathy Sreekumar, Thilakan
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:カラーバワン・マニの一人二役、田舎のイイヒト映画か。

Cheriya Kallanum Valiya Policum
Director:Haridas Kesavan
Cast:Mukesh, Jagadeesh, Machan Varghese, Suraj Venjaramoodu, Indrans, Kochu Preman
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:低予算の割には予想外にヒットしたとあるのだが、本当だろうか、気になる〜。

Nanthuni
Director:Hari Narayanan
Cast:Vijaya Raghavan, Mithuna, Govindankutty
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:田舎に住むナンドゥニ(原始的なヴィーナと説明される、こちらのページに画像あり)奏者を主人公にして、女神崇拝とタブーを描く、とか言われるとすごく面白そうなんだけど。

Valiya Angadi
Director:Salim Baba
Cast:Manikuttan, Varada, Shwetha Menon
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:市場の若き顔役が、腐敗した政治家と対峙して正義を貫く、みたいな話か。

Kausthubham
Director:Sajeev Kilikulam
Cast:Sai Kumar, Sukumari, Karthika, Vijaya Raghavan, Sukumari, Indrans, Jagadeesh, Baiju, Mamukoya, Kochu Preman
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:レビューは軒並み低評価だが、BharatStudent によれば「80年代のバクティ映画の焼き直し」みたいなものなんだそうだ。それは大層気になる。神さんの役は誰がやってるのか、今度見てみよう。

Kadaksham
Director:Sasi Paravoor
Cast:Suresh Gopi, Swetha Menon, Swetha Vijay, Jagathy Sreekumar, Indrans, Kottayam Nazir, Jaffer Idukki, Machan Varghese, Narayanan Kutty
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:只今上映中のレビューによれば、最後の10分のあっと驚くどんでん返しは見物らしい(皮肉で言ってる可能性もあるが)。やっぱ見てみようかな。そもそも、字幕がないとか、嫌な予感のするスレーシュ・ゴーピの文芸調作品だからとか、そんなくだらない理由でシュウェちゃん主演作を見逃してたらバチが当たるわな。

Kadaksham
Kadaksham のポスター。最初は同名の桃色映画かなにかかと思ったが、こちらで確認すると、やはりシュウェちゃん+スレーシュ・ゴーピの共演作のものだったのだ。うむむ、サリーの着付け教室をやってくれてるこのお姉さんは一体誰?

Pulliman
Director:Anil K Nair
Cast:Kalabhavan Mani, Meera Nandan, Vijaya Raghavan, Sreejith Ravi, Sudheesh, Kochu Preman
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:田舎を舞台にした貴種流離譚的なドラマか。

Canvas
Director:Shaji-Rajasekharan
Cast:Kalabhavan Mani, Kannan, Althara
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:カラーバワン・マニが画家でかつ舞台監督という設定は面白そうだね。

Thoovalkattu
Director:Venu B Nair
Cast:Manoj K Jayan, Lakshmi Gopalaswamy, Sai Kumar
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:『美女と野獣』型のロマンスと、テロリズムの恐怖が同時に語られる?

Nalla Pattukare
Director:K S Sivachandran
Cast:Vijay Madhav, Najim Arshad, Sannidanandan, Bheeman Raghu, Hima, Vijaya Raghavan, Jagathy Sreekumar
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:ケララでは2006年にその前身が放映をスタートした、テレビの勝ち抜きのど自慢 Idea Star Singer は、映画という娯楽メディアを脅かすことになるのではないかと思えるほどの勢いだが、本作はそれを直接的にテーマにしたものだという。

Text Book
Director:Satheesh Kandanchira
Cast:Kanthesh, Abhinay, Soni, Sakki, Basheer, Jagathy Sreekumar, Sreejith Ravi, Suresh Krishna, Sobha Mohan, Mamukoya, Syamili
DVDの発売:確認できず
コメント:どうやら学園ロマンスらしいのだが、プレビュー、レビュー一切見当たらず。

Nallavan
Director:Aji John
Cast:Jayasurya, Mythili, Sai Kumar, Siddique, Suraj Venjaramoodu, Bijukuttan, Sudheesh
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:タミル・ケララ州境を舞台にした駆落ち&殺人&暴虐大地主etc.のドラマらしい。

Advocate Lakshmanan - Ladies Only
Director:Pappan Payattuvila
Cast:Mukesh, Mallika Kapoor, Suraj Venjaramoodu
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:不明
コメント:離婚問題専門で、必ず女性の側に立って仕事することをポリシーにしている弁護士が主役。うーん、これは楽しそう。

Avan
Director:Nandakumar Kavil
Cast:Vijay Yesudas, Bala, Muktha George, Riaz Khan, Thalaivasal Vijay, Vijaya Raghavan, Indrans, Devan
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:これも例によってTV勝ち抜きのど自慢が背景になっている。御大の息子で、自身も既に充分に活躍しているプレイバック・シンガー、ヴィジャイ・イェースダースの俳優デビュー作。

Taskkara Lahala
Director:Ramesh Das
Cast:Suraj Venjaramoodu, Lakshmi Sharma, Salim Kumar
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:スラージ・ヴェニャーラムード主演で、コメディアン軍団の皆さんがワサワサという例のパターン。

Ammanilavu
Director:M D Rajendran
Cast: Sasi Ayyanchira, Aparna
DVDの発売:確認できず
コメント:そこそこ有名なプロデューサー、シャシ・アイヤンチラが俳優デビューというのが一番の話題。嫌な予感。

Pulliman
Pulliman の看板。クリシュナ神のテラコッタ像を造る職人というのがマニさんの役どころ。

Patham Adhyayam
Director:P K Radhakrishnan
Cast:Bala, Udayathara, Murali, Madhu, Suchitha, Madhu Warrier
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:2009年の8月に他界したムラリが出演してるのに公開が2010年の8月、きっと裏では色々あったんだろうね。

Plus Two
Director:Shebi Chavakkad
Cast:Roshan, Vishnu Mohan, Shafna, Justing John, Deepak Murali, Ranjith, Sai Kumar, Suraj Venjaramoodu, Salim Kumar, Manian Pillai Raju, Geetha Vijayan, KPAC Lalitha
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:katha Parayumbol (Malayalam - 2007) Dir. M Mohan から子役として注目されてきたシャフナのヒロインデビュー作。シャフナ以外のキャストはほとんどが同世代の無名の新人。その割には好意的に受け止められた作品(もちろん絶賛されたわけではないが)のようだ。

3 Char Sau Beas (Three 420)
Director:Govindan Kutty
Cast:Govindan Kutty, Rahul Menon, Anu Anandhan, Kalabhavan Mani, Dhanya Mary Varghese, Suraj Venjaramoodu, Salim Kumar, Bijukuttan, Jaffer Idukki, Sukumari, Jagathy Sreekumar
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:人気TV番組の司会者が主演・監督の両方をこなしている。前衛的な手法を取り入れたクライム・ドラマらしい。

Fiddle
Director:Prabhakaran Muthana
Cast:Varun J Thilak, Ayilya G Nair, Jagathy Sreekumar, Ananya
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:Idea Star Singer で勝ち残って顔を売った男性歌手が本作で俳優デビュー。音楽大学で学ぶ理想主義的な若者たちがツアーの途中で遭遇するミステリアスな事件、というような話。

Nirakazhcha
Director:Anish J Karrinad
Cast:Mamta Mohandas, Manoj K Jayan, Vincenzo Bocciarelli, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Bijukuttan, Mamukoya, Kalpana
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:楽園ケララに憧れてノコノコやって来たイタリア人の絵描きが、モデルにマムタ姐さんをあてがわれて鼻血ブーッってな話らしい(←テキトー)。

9 KK Road
Director:Simon Kuruvila
Cast:Babu Antony, Vijaya Raghavan, Shammi Thilakan, Nishant Sagar
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:バーブ・アントニーが捜査官を演じるマーダー・ミステリーもの。

Idayan
Director:Santosh Sauparnika
Cast:John Mathew, Rajeev Rangan
DVDの発売:確認できず
コメント:久々のクリスチャン宗教映画、それも「イエス・キリストの生涯」ものらしい。これは見たい。こちらなど参照。

Inganeyum Oral
Director:Kabeer Rowther
Cast:Sai Kumar, Vinu Mohan, Praveena, Indrans, Sarayu
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:定年も間近になってから若い女性と結婚した老教授が、妻と自分の甥との関係を疑って悶々とする、みたいな話。面白そうだけどネットでの評価はボロボロ。

Orange
Director:Biju Varkey
Cast:Kalabhavan Mani, Biju Menon, Sona Nair, Lena
DVDの発売:確認できず
コメント:さすらいのローリー・ドライバーをカラーバワン・マニが演じる人情譚なのかな、これは見たい。題名の「オレンジ」は運ちゃんが転がすトラックの名前ということだ。

24 Hours
Director:Aditya Sam
Cast:Kuldeep, Manoj K Jayan, Komal, Anil Murali, Jagathy Sreekumar
VCDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
コメント:マフィアのドンの弟を殺した犯人と間違われ、マフィアから追われる青年の物語。

Vande Matharam
Director:Aravinda Raj
Cast:Mammootty, Arjun, Sneha, Kalabhavan Mani, Rajan P Dev, Atul Kulkarni, Jai Akash, Gopi Krishnan, Sumithra, Cochin Haneefa, Riyaz Khan, Shraddha
DVDの発売:確認できず
コメント:マンムーティとアルジュンの初共演のアクション大作ということで期待していたのだが、今日現在ディスク発売はなし、なぜなのか。タミル版の方はSrithilayam のDVDが発売済。

Sadgamaya
Director:Harikumar
Cast:Suresh Gopi, Navya Nair, Swetha Menon, Thilakan, Jagathy Sreekumar, Ambika, Guruvayoor Sivaj, P Sreekumar, Balachandran Chullikkad, Lakshmipriya
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:スレーシュ・ゴーピのアートな試みにはほとほと参ってるのでパスしてしまったが、適当に早送りしてシュウェちゃんの登場シーンだけは見とこうかしら、と悩みちう。

Thoovalkattu
Thoovalkattu の看板。この巨大な麦わら帽子の呼び名が知りたい。

Chithrakuzhal
Director:Majeed Gulistan
Cast:Amal Ashok, Sidharth, Meera Nair
DVDの発売:確認できず
コメント:環境問題をメインテーマとする児童映画。西ガーツ山脈の山中で撮影され、部族の少年と平地の子供たちとの交情も描かれるという。

Holidays
Director:M M Ramachandran
Cast:Vinu Mohan, Ranjith Menon, Priya Lal, Sruthi Lakshmi, Sudheesh, Kalabhavan Mani
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:コーチンに暮らすITエンジニアたちのオサレ・ライフに、殺人事件が降りかかって…という話。

Koottukar
Director:Prasad Vaalacheril
Cast:Vinu Mohan, Bhama, Saiju Kurup, Anoop Chandran, Devan, Shankar
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:不明
コメント:学園を舞台にしたアクションドラマ。いわゆるキャンパス・ポリティクス問題も絡んでいるという。

Oru Small Family
Director:Rajasenan
Cast:Rajasenan, Seetha, Kailash, Ananya, Kalabhavan Mani, Bheeman Raghu
DVDの発売:確認できず
コメント:酒の違法醸造によって富み栄えている一家と、飲酒習慣の拡大にストップをかけようとしている一家の戦い。いやともかく、もうラージャセーナンは勘弁してほしい。

Swantham Bharya Zindabad
Director:Biju Vattappara
Cast:Unda Pakru, Sruthilakshmi, Mukesh
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:マ映画(インド映画?)最小俳優ウンダ・パクルが、今度はコミュニストのリーダー役に挑戦。インターバル前の部分については結構褒められてる。さて、どうしたものか。

Sahasram
Director:Dr Janardhanan
Cast:Suresh Gopi, Lakshmi Gopalaswamy, Bala, Sarayu, Sandhya, Suresh Krishna, Riza Bava
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:スレーシュ・ゴーピのお巡りさんシリーズ。今回は映画界を舞台にした殺人事件だそうだ。

Again Kasargod Khader Bhai
Director:Thulasidas
Cast:Jagadeesh, Radha Varma, Innocent, Suraj Venjaramoodu, Salim Kumar, Bijukuttan, Ashokan, Baiju, Babu Antony, Gautham
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:ジャガディーシュ率いる物真似劇団が、刑務所での慰問公演に臨み、そこで起きた殺人事件に巻き込まれて…という話。

Chaverpada
Director:T S Jaspal
Cast:Bala, Muktha George, Arun, Tony, Manikuttan, Jagathy Sreekumar, Kalasala Babu, Tony, Riza Bava
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:才能あるIT系の学生たちが、テロリストに誘拐され技術を提供するよう強いられるところを、特殊部隊によって救出される、というストーリー。

Marykkundoru Kunjaadu
Director:Shafi
Cast:Dileep, Bhavana, Biju Menon, Vijaya Raghavan, Vinaya Prasad, Jagathy Sreekumar, Innocent, Salim Kumar, Jai, Appa Haja, Kochu Preman, Nimisha Suresh, Ambika Mohan
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:英語
コメント:2010年の12月に封切られてかなりのヒットとなったらしいファミリー・スリラー。単にDVD発売が遅いというだけの理由で50本から漏れたので、そのうち実見して、面白ければ紹介するつもり。

Puthumukhangal
Director:Don Alex, Biju Majeed
Cast:Angel Agarwal, Silsil, Helan, Nima, Maya Unni
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:それほど多くはないレビューを読んでみてもどんな話なのかさっぱりわからない。カレッジの農学部が舞台で、若いもんが筋肉を見せびらかす傾向があるということ以外は。

【追記】
Venalmaram (2009)
Director:Mohanakrishnan
Cast:Bala, Lakshana, Sona, Sarvajith, Mala Aravindan, Suraj Venjarammoodu, Kottayam Nazeer
DVDの発売:MyIndiaShopping にて確認済み
DVDの字幕:なし
コメント:いや、申し訳ない。2009年の総まくりをやってた時には、これは2010年作品だと思い込んでたんだよね。まあそれにしてもレビューでここまで何もかもがdisられてるのも珍しいね。一応記録しとこう、BizHatSifyのレビュー。

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こんなヤクザなことばっか書いてるにも拘らず、当網站の読者には女性の方もいらっしゃるということを知ったのでスペシャルサービスで裏技伝授。

作品の出来不出来とは無関係に、派手なドーティ・アクションが見たければ、クリスチャン映画なのだ。なぜだかは分からない。特に都会ものではなく、コーッタヤムからパーラにかけてのクリスチャン・ベルトが舞台のものが高確率。お嬢様も、奥様も、目を覆いたくなるようなドーティでの死闘には充分にご用心を。

Nazrani.jpgPappyAppacha2.jpgThanthonni.jpg
左から、Nazrani (Malayalam - 2007) Dir. Joshiy、Pappy AppachaThanthonni

投稿者 Periplo : 01:47 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年08月24日

Project 2010:その5

50本総括の底辺の4本にやって来た。たったの4本というのがなんか寂しい。見なかったものの中には、きっとこれよりももっとドン底があるだろうと思うと変に気持ち悪い。極めきれなかった悔恨はあるものの、他にやりたい企画もあるし、やっぱり前に進まないとね。次回は諸事情で俎上に載らなかった作品の一覧も掲載の予定。

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★(星1つ)観るというなら止めはしないが

cvKarayilekku.jpgKarayilekku Oru Kadal Dooram

Director:Vinod Mankara
Cast:Indrajith, Mamta Mohandas, Dhanya Mary Varghese, Laxmi Sharma, Jagadheesh, Kozhikode Narayanan Nair, Ambika Mohan, Guruvayoor Sivaj, T P Madhavan, Geetha Vijayan, Kochu Preman, Valsala Menon, Narayanan Kutty

タイトルの意味:A Sea away to the Shore
タイトルの揺れ:Karayilekku Oru Kadal Duram

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム: 1時間53分

ジャンル:アート
キーワード:作家、運命の女、死の予感、創作ダンス、先祖のタラワッド、デビュー監督

寸評:内なる声に従ってというのではなく、見よう見まねのツギハギでアートに挑戦してみました、というのがバレバレのC級芸術映画。同じC級でも娯楽映画には楽しみ方もあると思うだが、アートの場合は救いようがない。今回の50本のなかではダントツのサイテー映画。しかしヴィノード・マンカラは本作でケララ州映画批評家賞のデビュー監督賞を獲得しているのだった。世も末じゃ。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/karayilekku-oru-kadal-dooram-malayalam-2010


cvPathinonnil.jpgPathinonnil Vyazham

Director:Suresh Krishnan
Cast:Mukesh, Manya, C I Paul, Nedumudi Venu, Sadiq, Jagathy Sreekumar

タイトルの意味:Jupitor in 11th House
タイトルの揺れ:11nil Vyazham

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:1時間59分

ジャンル:コメディー
キーワード:ウーティ、資産家、盗撮ビデオ、我儘令嬢、邪なマネージャー、強請、入婿

寸評:一見して Pistha (Tamil - 1997) Dir. K S Ravikumar とよく似たストーリーライン。舞台となるウーティ、ティー・エステートのオーナーである資産家の豪邸、形式だけの結婚etc.と90年代のタミル娯楽映画のパーツがてんこ盛りでレトロ感一杯。2005年12月に没したCIポールが重要な役どころで出演している。つまり少なくとも5年はお蔵に入ってたということになる。なんで、登場するお馴染みの面々もなんだか皆うっすらと若い。そしてよく分からないバタバタとした終わり方。明らかに伏線として提示されながら、打ち捨てられてしまったエピソードなどもあり。ポールさんの急逝で予定していたショットが撮れなくなったなどということでもあったのか、合掌。監督のスレーシュ・クリシュナ(オープニングロールでは Suresh Krishnnan と表示される)が、あの Badsha (Tamil - 1995) などの有名作品を手がけたスレーシュ・クリシュナ監督と同一人物なのかどうか、結局よくわからず。どなたか情報を持ってたら教えて下さい。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/pathinonnil-vyazham


cvRamaRavanan.jpgRama Ravanan

Director:Biju Vettappara
Cast:Suresh Gopi, Mithra Kurian, Biju Menon, Nedumudi Venu, Vadivukkarasi, Baburaj, Kochu Preman, Sona Nair, Sudheesh, Kulappulli Leela

タイトルの意味:
タイトルの揺れ:Raama Raavanan

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:1時間55分

ジャンル:アート
キーワード:スリランカ、LTTE、詩人、マドゥライ、ティルチラパッリ、テロリスト支援、ミューズ

寸評:マーダヴィクッティによるマラヤーラム語中編小説「Manomi」を原作としてもつアート作品で、なおかつ劇中にもこの原作への言及があり、メタ的な要素も兼ね備えている。一応舞台はタミル・ケララの州境ということになってるが、スリランカからやって来たシンハラ人であるヒロイン以外のキャラクターは明らかに全てタミル人。だってそうじゃないとストーリーが成立しないんだもん。原作を読んでないから確かなことは言えないが、タミル人の物語をマラヤーラム語で綴る(著者がマラヤーラム語人だから)ことには全くおかしなところはなかったはずだが、これが映画になるとかなり変。吹き替え作品でもないのに、タミル人、あるいはスリランカ・タミル人である登場人物をケララ人俳優が演じ、台詞も全部マラヤーラム語。ご都合主義の娯楽作品でならともかく、芸術映画ではさすがにマラヤーラム語でおk、とはならなかったと思うんだけどな。かといってタミル語の台詞でマラヤーラム語の字幕という訳にもいかなかったことは分かる。使用言語において、小説と映画というメディアの違いがクッキリ出てしまった珍現象として貴重。コンテンツ的には、スレーシュ・ゴーピの失敗したアートな試みにまたひとつ追加、という以外言うことはなし。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/rama-ravanan-malayalam-2010


cvYakshiyun.jpgYakshiyum Njanum

Director:Vinayan
Cast:Meghna Raj, Sajan Madhav (Gautham), Jubin Raj, Thilakan, Sphadikam George, Captain Raju, Mala Aravindan

タイトルの意味:Ghost and Me

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間25分

ジャンル:ホラー
キーワード:コーテーション、英国式ホーンテッド・マンション、女神崇拝、ティー・エステート、見世物小屋、ウェディングドレス、州境

寸評:マ映画きっての「見世物小屋の香具師」ヴィナヤン監督が3年ぶりに送り出した怪作ホラー。「夜叉と俺」というタイトルに軽く痺れる。マラヤーラム俳優組合と全面戦争中のヴィナヤン監督なので、出演の顔ぶれになじみがなくて凄い。なにしろ主演俳優の名前すらレビューによって異なっているのだ。演劇あるいはTV界からのリクルート、全くの新人、他州出身者、組合内のスト破りといった皆さんが熱演してるのだが空回り。科学では説明できない超常現象を描くとはいえ、ホラーにはホラーのロジックというものがあるはず。女の幽霊と生身の男のロマンスは面白いが、元の恋人はどうなったんじゃと女幽霊に問いたい。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/yakshiyum-njanum-malayalam-2010

yakshiyumnjanum.jpg
こんなふうに紹介すると Yakshiyum Njanum が凄く面白い映画に見えたりしないだろうか、心配だ。

投稿者 Periplo : 20:35 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年08月23日

Project 2010:その4

そろそろ黒い霧がまつわりつき始めたぜ、の星2つ、全部で14本。しかしなんだろね、酷い目にあった映画がほとんどだってのに、星が減れば減るほど、寸評を書きながらヘラヘラ笑いが止まらないってのは。こうやってここで罵詈雑言を書くってのは、復讐なのか、セラピーなのか。

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★★(星2つ)観る人を選ぶと思う


cvPunyamAham.jpgPunyam Aham

Director:Raj Nair
Cast:Prithviraj, Samvritha Sunil, Nedumudi Venu, Sona Nair, KPAC Lalitha, Nishant Sagar, Sreejith Ravi

タイトルの意味:'Punyam' and ‘Aham’ are Sanskrit words adopted into the Malayalam language. ‘Punyam’ literally translates as purity, holiness, virtue, blessedness, or auspicious deed. ‘Aham’ means ‘I’ or ‘self’.

Joined, 'Punyaham' usually refers to a ‘holy water’ made and used ritualistically by the Hindu priests of South India to cleanse impurity (for example, if death occurs within a temple courtyard).

However the ‘substance’ can be anything - organic or inorganic, spiritual or secular, or even a state of mind. It could be a handful of muddied water, turned into a holy substance in the hands of a pure mind. ‘Punyaham’ can also refer to a transitional or transformed state of mind, perhaps with remedial power on another state of mind. It is this sense that is intended in this story.(プレスキットより)

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:1時間52分

ジャンル:アート
キーワード:カタカリ、性的搾取、バラモンとダリトの結婚、色白コンプレックス

寸評:ホラー映画の化け物役、推理映画の死体役から始まって現在もセカンドヒロインどまりのサムちゃんがついにヒロイン役か!と期待を持って臨んだが巨大空振り。辛気臭い芸術映画だったorz。オフィシャルサイトに抜け目なく用意されているプレスキット(お勧め!)の釣り書きの方が本編よりもずっと面白いってのは問題だよ。まったく観る価値なしと切り捨てたいとこなのだが、ネドゥムディ・ヴェーヌの妖怪のような老カタカリ役者の芝居は捨てがたいのだから、始末に負えない。監督のラージ・ナーイルは『えび』の著者として名高い文豪シヴァシャンカラ・ピッライの孫にあたるという。

オフィシャルサイト:http://punyamaham.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/punyam-aham-malayalam-2010


cvAgathan.jpgAagathan

Director:Kamal
Cast:Dileep, Charmi, Sathyaraj, Lal, Innocent, Biju Menon, Zarina Wahab, Valsala Menon, Majeed, Ambika Mohan, Babu Namboothiri , Reema Bashir

タイトルの意味:Arrival, Coming
タイトルの揺れ:Agathan

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム: 1時間59分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:カシミール紛争、特殊部隊、復習、バンガロール、葡萄園、ウドゥマライペーッタイ、シュリーナガル、ワイン樽

寸評:カシミールの紛争で家族全員を失った少年が、成人して故郷のケララに帰還する。次に彼はバンガロールに現れ、裕福な家庭の娘と恋に落ち、許婚となる。彼女の父である退役した将軍が住む山荘に招かれた主人公は、大家族と共に高原のヴァカンスを楽しむが…、という物語。ロマンスとサスペンスがいい具合にブレンドされた佳品なのだが、結末だけがちょっと強引&杜撰で全体の評価が下がったか。サディヤラージとチャールミーのマラヤーラム映画初出演ということで多少は話題になった。他言語の映画だとグラマーを要求されることの多いチャールミーだが、ここでは典型的な良家のお嬢さんを演じていてホンマに可愛い。これからもマ映画に居着いてくれないかな〜。ああ、チャールミーがこんなにカワユイのになんでオイラこれを星2つになんかしちゃったんだろうぉぉぉ~(後悔)。

オフィシャルサイト:http://aagathan.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/aagathan-malayalam-2010


cvThanthonni.jpgThanthonni

Director:George Varghese
Cast:Prithviraj, Sheela, Sai Kumar, Ambika, Suresh Krishna, Jagannatha Varma, Vijaya Raghavan, Captain Raju, Ramu, Guruvayoor Sivaj, Anil Murali, Sadiq, Suraj Venjaramoodu, Baburaj, Sreejith Ravi, Sudheesh, Majeed, Bindu Panicker, Lena, Jagathy Sreekumar, Aditya, Abu Salim

タイトルの意味:Libertine

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間30分

ジャンル:アクション系ファミリー・ドラマ
キーワード:デビュー監督、パーラ(Pala)、シリアン・クリスチャン、アコーディオン、ドゥバイのドン、デザート・キャンプ、生き別れの父、飲んだくれ、ドーティ、もみあげ

寸評:久しぶりに見てて恥ずかしいと思った一品。結構予算をつぎ込んだような跡がうかがえるが、現地でもプリトヴィラージのダイハード・ファン以外にはほとんどアピールしなかったようだ。「シリアン・クリスチャンの名家のメンバー間での(大酒かっくらいながらの)骨肉の争い映画」のコレクター以外にはお勧めしたくない。自分はもちろんコレクターだ。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/thanthonni-malayalam-2010


cvAprilFool.jpgApril Fool

Director:Viji Thambi
Cast:Jagadheesh, Ashokan, Siddique, Mukesh, Biju Menon, Jagathy Sreekumar, KPAC Lalitha, Indrans, Majeed, Dinesh Kodieri, Lal, Kaveri , Nayana

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間4分

ジャンル:コメディー
キーワード:トリヴァンドラム、ニンフォマニア、痛い奴を晒すゲーム、長距離バス、自称歌手

寸評:ストーリー&脚本担当は主演のジャガディーシュとクレジットされているが、実際は Bheja Fry (Hindi - 2007) Dir. Sagar Ballary(これ自体がフランス映画『奇人たちの晩餐会』のパクリだという)の勝手リメイク。4月1日に封切られた。キャストをざっくり見ると分かるように、In Ghost House Inn とかなり被っていて、否応なしにコメディーとして期待させられてしまうのであるが、大外れ。少し前に封切られて大ヒット中だった同作が満員御礼で、あぶれた観客が多少はこっちに流れたのかもしれない。なお、衣装担当はインドランス

オフィシャルサイト:http://aprilfool.moviebuzz.org/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/april-fool-malayalam-2010


cvRingtone.jpgRingtone

Director:Ajimal
Cast:Suresh Gopi, Bala, Megna Nair, Baburaj, Zeenath, Machan Varghese, Manraj, Jagannath Varma, Abu Salim, Anoop Chandran, Rajan P Dev, Ambika, Kozhikode Narayanan Nair, Kiran Raj, Sai Kumar, Sreelatha, Ambika Mohan,

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:1時間57分

ジャンル:スリラー
キーワード:デビュー監督、コインバトール、パーラッカード、トラックの荷台、ケララ・アイヤル、ワランガル、AP州のテロリスト

寸評:とりあえずB級スリラーであることは最初から分かっていたのでダンスシーンのショボさやアクションシーンの安普請には目をつむるつもりでいた。最初の30分ほどでは、なにやら緊迫した展開があってちょっとワクワクしたのだが続かなかった。マラヤーラム映画におけるアーンドラ・プラデーシュ州のイメージに関して興味のある人以外にはお勧めしない。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/ring-tone-malayalam-2010


cvMalarvaadi.jpgMalarvaadi Arts Club

Director:Vineeth Sreenivasan
Cast:Nivin Pauly, Shraavan, Bhagath, Harikrishnan, Aju Varghese, Nedumudi Venu, Jagathy Sreekumar, Kottayam Nazir, Suraj Venjaramoodu, Janardhanan, Sreenivasan, Salim Kumar, Apoorva Bose, Malavika Wales

タイトルの意味:Malarvadi は beautiful flower garden の意。後は読んでの通りだが、どうやら土地の有志や政党の支部などが提供する少年の自主活動(スポーツ系を除く)の場が Art club と呼ばれることが多いようだ。
タイトルの揺れ:Malarvadi Arts Club

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間11分

ジャンル:青春
キーワード:バンドやろうぜ!、勝抜きのど自慢、マヘへの酒の買い出しツアー、政党の下働きのグーンダ、スト破り

寸評:プレイバック・シンガーとしてイイ線いってて、性格俳優としても見所ありとされているヴィニート・シュリーニヴァーサンの初監督作。音楽に賭ける若者達の青春群像を、平凡だが訥々と描く。主役級のキャストが無名の新人ばかりであるにも拘らず、現地では若い世代を中心に受け入れられ、それなりにヒットしたという。が、個人的には困った映画だな。ー番の違和感は、(ロックンロール的な)バンドの音楽性と(喉自慢的な)シンガーの音楽性とが一緒くたにされてしまっているところか。そのへん、曲は基本的にヴィニートお得意のバラードなのにヴィジュアルだけがタテのりになってるクライマックスシーンに最もクッキリと現われていた。これが非古典音楽に対するケララ的な感性なのだろうか。ともかく音楽が飾りじゃない本質的な役割を果たす映画だけに、このギクシャクはちょっと痛すぎると思った。ディリープ(Graand Production)がプロデューサーというのもまた意表をつく布陣。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/malarvaadi-arts-club-malayalam-2010


cvPattinte.jpgPattinte Palazhy

Director:Rajiv Anchal
Cast:Meera Jasmine, Manoj K Jayan, Nedumudi Venu, Revathy, Jagathy Sreekumar, Jagadheesh, Sreedevi Unni, Balabhaskar, Kozhikode Narayanan Nair

タイトルの意味:Milky Ocean of Songs
タイトルの揺れ:Pattinte Palazhi, Paattinte Paalaazhy

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間12分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:プレイバック・シンガー、パーラッカード・バラモン、チェンナイ、ヒンドゥスターニー音楽、ガザル、マイソール、サンダルウッド、アーター粉、異教徒間結婚

寸評:芸道を主軸に据えたミュージカル映画のようでありながら、途中からインド映画お得意の「サイコロジカル・ディスオーダー」ものに転じてしまい、どっちつかず。劇中、MSスッブラクシュミと夫のサダシヴァムについて意味ありげに語られるのだが、いうなれば本作は「MSが無理解な夫を持ったらどうなっていたか」をシミュレーションしてみた鏡面像のドラマのようにも見える。個人的に大ショックだったのは厚化粧のレーヴァティとラミャー・クリシュナンの区別がつかなくなって来たってことだ。見終わって各種のレビューで確認するまで本当にどっちだか分からなかった、なんてことだあ(泣)。カルナーティック・ヴァイオリンをフィーチャーしたテーマチューンはセンチメンタルでいい。

オフィシャルサイト:http://www.simplymadframes.com/works/pattinte/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/pattinte-palazhy-malayalam-20109


April Fool
April Fool のポスター。これ見て行きたいと思う人は…まあ、いるんだろうけど。


cvNeelambari.jpgNeelambari

Director:Harinarayanan
Cast:Vineeth, Bhama, Divya, P Sreekumar, Ambika Mohan, Kalasala Babu, Anoop Chandran, Harishree Ashokan, Suraj Venjaramoodu, Anoop Menon,Ponnamma Babu

タイトルの意味:Blue Lotus、またカルナーティック音楽のラーガの一つの名称でもある
タイトルの揺れ:Nilambari

DVDの版元:Empire
DVDの字幕:なし
DVDのランタイム:1時間47分

ジャンル:ロマンス
キーワード:パーラッカード、パラニ、ケララ・アイヤル、巡礼団、シヴァ讃歌、親切なトラックの運ちゃん、憧れのセンセイ、物乞いのコロニー

寸評:慎ましいバラモン集落に育った二人の女の子が、乙女の夢と妄想できゃっきゃきゃっきゃの楽しい毎日に、素敵な音楽の先生が現れて、いつの間にやら生臭の渦に巻き込まれ、気が付けば…というジェットコースター・ドラマ。あまりにもベタベタで古臭すぎてなんとコメントしていいやら。それにしても、Vietnam Colony あたりから意識して見るようになったのだが、ケララ・アイヤル=パーラッカード・バラモン(こちらなど参照)の世界を背景にした映画というのは、現実の人口比率に対してみるとかなり多い。ムスリムやクリスチャンといった「メジャーなマイノリティ」に匹敵するぐらいに多いような気がする。他のマイノリティと比べてあまり政治的な気遣いをせずにネタにできる、しかも衣装や舞台装置などがわかりやすくエキゾチック、みたいなところがあるからなんだろうか。そういう意味での魅力は確かにあるので、観光的な楽しみを求める人にはお勧めしたい。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/neelambari-malayalam-2010


cvChekavar.jpgChekavar

Director:Sanjeevan
Cast:Indrajith, Kalabhavan Mani, Sreejith Ravi, Samvritha Sunil, Sarayu, Jagathy Sreekumar, T P Madhavan, Pala Charlie, Subair, Ambika Mohan, Suraj Venjaramoodu, Janardhanan, Kalasala Babu, Narayanan Kutty, Majeed, Kollam Ajit

タイトルの意味:Name of warriors' class in ancient south India

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:1時間40分

ジャンル:アクション・スリラー
キーワード:デビュー監督、コーチン、警官の身内の犠牲者、兄弟ペアの犯罪者、寺院の決闘

寸評:身内に危害を加えられた警官が、遵法的な捜査活動を放棄して犯人と私闘に望む、という身も蓋もないストーリー。勿体をつけたセリフ(俺様は罪障消滅のための祈祷を知ってるだけのバラモンじゃない、破壊を体現するシヴァ派バラモンなのだ)とかで色々と膨らまそうとした努力のあとはうかがえるのだが、アイディア不足で失墜した感は否めない。カラーバワン・マニによる「昔はかなりヤンチャしたけど、今はもう落ち着こうと思ってるの、いつまでもバカやってられないじゃない♫」タイプの中年ヤクザ像はちょっと面白かった。

オフィシャルサイト:http://www.chekavar.in/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/chevakar-malayalam-2010


cvOridathoru.jpgOridathoru Postman

Director:Shaji Azeez
Cast:Kunchacko Boban, Innocent, Sarath Kumar, Meera Nandan, Salim Kumar, Jaffer Idukki, Majeed, Narayanan Kutty, Anil Murali, Kalabhavan Mani, Suraj Venjaramoodu, Ganesh Kumar

タイトルの意味:Postman at a place

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間8分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:富籤中毒、テロリスト、社会改革家、郵便配達人、息子が親を勘当、野生動物写真家

寸評:親父と息子のドツキ合いをメインとしたヴィレッジ・コメディーと、テロリズムを扱うシリアス・メッセージが噛み合ず、ちぐはぐな印象。イノセント演じる親父の職業を郵便配達にして、なおかつタイトルにも掲げた意味もあまりはっきりしない結果となった。郵便屋映画というと Mutharam Kunnu PO (Malayalam - 1985) Dir. Sibi Malayil みたいなお気に入りがあったんでつい期待してしまったのだが。ミーラ・ナンダンちゃんを出してるのにロマンス要素もない妙に禁欲的な構成も勿体無いと思えた。富籤に入れ込んで破滅する男のエピソードは興味深かった。普通の理性があれば、こんなオッちゃんが宣伝してる富籤にアタリがあるわきゃないと分かりそうなもんだが。パチンコも競馬も競輪もないケララじゃあ唯一の公認の博打なのでやむを得ないのか。それにしても、インド映画でたまに遭遇するネイチャー・フォトのカメラマンという設定は面白い。Photographer (Malayalam - 2006) Dir. Ranjan Pramod とかでもそうだったけど、風来坊の自由人だが、デカトラ運ちゃんとは違って都会的センスがありインテリでもある人物像として好まれているようなのだ。1995年の米映画『マディソン郡の橋』あたりの影響だろうか。Orange (Telugu - 2010) Dir. Bhaskar で、主人公がシドニー在住の若いグラフィーティ・アーティスト(憫笑)で同時にネイチャー・フォト・カメラマンでもある(爆笑)ってのを見たときは、さすがにひっくり返ったが。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/oridathoru-postman-malayalam-2010


cvFourFriends.jpgFour Friends

Director:Saji Surendran
Cast:Jayaram, Jayasurya, Kunchacko Boban, Meera Jasmine, Kamal Hasan, Siddique, Sukumari, Lalu Alex, Seema, Ganesh Kumar, Salim Kumar, Suraj Venjaramoodu, Manikuttan

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間36分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:マレーシア、ランカウィ島、Suicide Bridge、地獄の沙汰も金次第、天后廟、Sholeyのテーマソング

寸評:奇妙な映画、としか言いようがない。極限の状況におかれた男3人女1人の4人組の友情。オリジナルはハリウッド映画ということなのだが、マ映画としては空前絶後の設定で、現実感はゼロ。ジャヤラーム、ミーラ・ジャスミン、クンチャーコー・ボーバン、ジャヤスーリヤのそれぞれの芝居が良くてところどころ胸を打たれるが、次の瞬間アホ臭い展開に一気に白ける、その繰り返しで疲れた。自身の役で現れるカマル・ハーサンは友情出演でストーリーには絡まないが、プライベートなことをベラベラと喋ったりしてちょっと驚いた。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/four-friends-malayalam-2010


cvKaryasthan.jpgKaryasthan

Director:Thomson
Cast:Dileep, Dileep, Akhila, Vandana, Madhu, G K Pillai, Siddique, Biju Menon, Sadique, Ganesh Kumar, Lena, Suresh Krishna, Kozhikode Narayanan Nair, Shammi Thilakan, Suraj Venjaramoodu, Salim Kumar, Kochu Preman, Janardhanan, Haishree Ashokan, Ramu, Nishant Sagar,Anoop Chandran

タイトルの意味:Manager
タイトルの揺れ:Kaaryasthan, Kariyasthan, Kaariyasthan

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間49分

ジャンル:コメディー
キーワード:デビュー監督、敵対する隣同士の名家、TV俳優によるOmShantiOm式ソングシーン

寸評:なんたってJanapriya Nayakan (much loved hero)、皆様のディリープの記念すべき100本目の出演作だ。脚本はお気に入りのシビKトーマスとウダイクリシュナのコンビ、Twenty:20 (Malayalam - 2008) Dir. Joshiy を手がけた腕利き。なもんだからコッテコテの大サービスであることは見る前から分かってた。で、実見してみて、期待を裏切らないサービスぶり。あまりにも予想通りで、逆に何も記憶に残らなかった…。ええと、どんなストーリーだったっけ? 隣り合っているのにいがみ合ってる二つの名家のうちの片方にディリープがやってきて執事となり、その心とろかす微笑みと機智と愛嬌によって良家を和解させ、ついでに美人の恋人も手に入れて、最後に正体をあかす、ってんだったわな。とあるレビューでは、「ラージャセーナン・タイプのコメディ」と評されてた。最近の経年劣化の激しいラージャセーナンしか知らないもんだから、そうか全盛期にはこういう作風だったのかということが分かり勉強になった(なんのこっちゃ?)。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/karyasthan-malayalam-2010


cvThethriller.jpgThe Thriller

Director:B Unnikrishnan
Cast:Prithviraj, Katherine Theresa, Riyaz Khan, Vijaya Raghavan, P Sreekumar, Siddique, Lalu Alex, Sasi Kalinga, Subair, Sampat Raj, Guruvayoor Sivaj, Kollam Thulasi, Dinesh Panicker, Mallika Kapoor, Mamta Mohandas

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間22分

ジャンル:スリラー
キーワード:サンド・マフィア、コーテーション殺人、ハワラ、コーヴァラム、トリヴァンドラム、ナガルコーイル、サイバー捜査官、ガンの飛ばし合い

寸評:スレーシュ・ゴーピの偉大さが再確認できる作品。ただし本作にはスレーシュ・ゴーピは出演していない。題名こそスリラーだが、ムーンウォークはない、ゴリマーもない、これが本作の最も肯定的な要素。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/the-thriller-malayalam-2010


cvKanyakumari.jpgKanyakumari Express

Director:T S Sureshbabu
Cast:Suresh Gopi, Babu Antony, Jagathy Sreekumar, Bheeman Raghu, Lena, Urmila Unni, Kiran Raj, Gouri Nanda, Dinesh Panicker, Baiju

タイトルの揺れ:Kaniyakumari Express

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム: 1時間48分

ジャンル:アクション・スリラー
キーワード:トリヴァンドラム、コーヴァラム、カニヤークマリ蝋人形館、タミル州警、イケイケおばちゃん

寸評:鉄道ものと思いきや、カニヤークマリ・エクスプレスとは一般道を走るバスの事なのだった。カニヤークマリ岬の周辺にあるショボいテーマパークなどが舞台になっており、田舎くさいことこの上ない。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/kanyakumari-express-malayalam-2010


Four Friends
Four Friends のカットアウト。まるで変種の青春映画みたいな印象を与えるが…。

投稿者 Periplo : 19:35 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年08月22日

Project 2010:その3

一番バラエティに富んだ星3つ、ここはさくさくっと行こう、全部で21本だ。こうして見るとクソミソに貶してるものと結構褒めてるものとが混じってて不思議な感じだが、自分の好き嫌いだけでなく客観的な視点を意識した結果、個人的にはイマイチだったものもこのカテゴリーに入って来たとご理解いただきたい(←いちいち大仰だっての)。

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★★★(星3つ)色々あって面白い

cvHappyHus.jpgHappy Husbands

Director:Saji Surendran

Cast:Jayaram, Bhavana, Reema Kalingal, Salim Kumar, Suraj Venjaramoodu, Maniyan Pillai Raju, Indrajith, Jayasurya, Samvritha Sunil, Vandana, Sadique, T P Madhavan, Mamukoya, Kalabhavan Shajohn

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間37分

ジャンル:コメディー
キーワード:浮気、バンコク、中産階級、ジャヤラームの踊りっぷり

寸評:Charlie Chaplin (Tamil - 2002) Dir. Shakti Chidambaram、Pellam Oorelithe (Telugu - 2003) Dir. S V Krishna Reddy、No Entry (Hindi - 2005) Dir. Anees Bazmee とブーメランのようにリメイクされてきたストーリーのマラヤーラム版。浮気が主要なモチーフとはいえ、見るからに人畜無害なスターさんを揃えたおかげで家族揃って楽しめるものになってる。ただし、ちょっと長過ぎ。このシャージ・スレンドランという監督、デビューからまだ数作だが、若い連中が(一部若くないのも混じってるが)集団でドツキ合うあるような群像ドラマをハッキリと指向してるところが面白い(同年公開の Four Friends もそうだ)。今後どんなものが出てくるか。それにしても、劇中での一行の旅行先は見た目からして明らかにタイなのに、台詞の上ではマレーシアで押し通す不思議、なにか訳でもあったのか。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/happy-husbands-malayalam-2010


cvBodyGuard.jpgBodyguard

Director:Siddique

Cast:Dileep, Nayantara, Harisree Ashokan, Thyagarajan, Mithra Kurian , Cochin Haneefa, Janardhanan, Balachandran Chullikkad, Unda Pakru,Zeenath

タイトルの揺れ:Body Guard

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間36分

ジャンル:ラブコメ
キーワード:コメディー・オブ・エラーズ、ジェミニ・ガネーシャンという綽名、グラサン、サファリスーツ、親爺学生、悪戯電話、「まだ見ぬ恋人」

寸評: はっきり言って2010年の最大の問題作だ。それはもちろん、本作が雪崩的にあるいは将棋倒し的に他言語リメイクを起こしたから。それも安っぽいのじゃなく、ヴィジャイ&アシンの Kaavalan (Tamil - 2011) Dir. Siddique、サルマーン&カリーナーの Bodyguard (Hindi - 2011) Dir. Siddique、ヴェンキー&トリシャーの Ganga (Telugu - 2011予定) Dir. Mallineni Gopichand と、各言語の大スターをフィーチャーしたものになったから。オリジナルは大ヒットにはいたらなかったというのに。なんでもシッディク監督によればこれはもともとヴィジャイ主演のタミル映画として構想されたものだったのだそうだ(SouthScope 誌のインタビューによる)。本当かどうかはわからないけどね。ともかく、こちらのフィルモグラフィーを見ると分かるように、なんかこの人は「(セルフも含めた)リメイクされ体質」を持ってるようなのだ。本作に限定した感想はというと、正直なところ眠たい印象だった。あり得ない奇想天外な話なのにロジック的には一応筋が通ってる魔術のような展開、特にコメディーがロマンスに変わる中盤や、どんでん返しのラストには胸を打つものがある。ただ、導入部分が長過ぎたのと、キャスティングにところどころ説得力がなかった(たとえばヒロインの父役にはもうちょっと陽性の凶暴さが欲しかったが、どうだろう)のが、エキサイトに至らなかった原因だと思う。なので後から雪崩うつリメイクの話を聞いてビックリだった。本作の何が他言語圏のプロデューサーにアピールしたのだろうか、やっぱり気になって全部観てしまいそうなのだった。
8月27日追記:カンナダ版もあった! Bodyguard (Kannada - 2011) Dir. Anand

当網站の関連ポスト:2009.03.08(予告的紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/bodyguard-malayalam-2010


cvDrona2010.jpgDhrona 2010

Director:Shaji Kailas

Cast:Mammootty, Kaniha, Navya Nair, Manoj K Jayan, R Jayan, Subair, T P Madhavan, Kollam Thulasi, Laxmi Sharma, Suraj Venjaramoodu, Dhanya Mary Varghese, Thilakan, V K Sreeraman, KPAC Lalitha, Sadique, Bala, Devan, Abu Salim, Narayanan Kutty, Kulappulli Leela, Manraj

タイトルの意味:マハーバーラタの登場人物ドローナについてじはこちら参照。本作のタイトルとして意味は正直なところよくわからない。
タイトルの揺れ:Drona 2010, Drona

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム: 2時間30分

ジャンル:ホラー
キーワード:酒好きバラモン、ナンブーディリ、呪いの館、蛇神、ライバル名家、夜叉、一人二役、エクソシスト、アンクレットの鈴の音、憑物、フラストレーションの高まりから自分の額を柱に打ち付けるあのジェスチャー

寸評: マッチョ・アクション映画の大家であるシャージ・カイラースとマンムーティが組んでホラー映画を作ったってんだから期待は否応無しに膨れ上がったが、ともかく現地でのブーイングが酷かった。登場するキャストは全てオーバーアクト気味。しかしこれはホラー映画としては責められるところではないはずだ。問題は、次々と怪奇現象が起こるなか、主役とメイン悪役が睨み合いながら延々と勿体つけた禅問答を続ける描写が長過ぎたってことかな。クライマックスの憑物シーンは評判が悪いが、この悪趣味グロテスク加減は嫌いじゃない。伝説の悪霊を演じる女優の下品な美貌もまた魅力的。笑えるホラーでもないし、美しいホラーでもないけど、ゴージャスなパチもんとしてはお勧めしたい。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/drona-2010malayalam-2010


cvThathwamasi.jpgThathwamasi

Director:Viswachaithania

Cast:Vineeth, Laxmi Gopalaswamy, Rajasenan, Anoop Chandran, Narayanan Kutty, Dinesh Panicker, Manikuttan, Guruvayoor Sivaj, Subair

タイトルの意味:That you are (サンスクリット語のフレーズ、Tat Tvam Asi から来ている)

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム: 2時間6分

ジャンル:ディヴォーショナル
キーワード: アイヤッパン、シャバリマラ巡礼、無神論者、警備の警官、神の窶し、ラーマ神話、Attukalamma (Sabarimala of Ladies)

寸評:マラヤーラム映画としては久々の神話・バクティ映画というのでかなり期待していた。サウスではこのジャンルで時折大作が作られている(今でも盛ん、とまでは言わないが)テルグ映画のそれとどのように違う表れ方をするかというのが、興味の大半だった。満艦飾で、現代的なテクノロジーを駆使して、世俗的・娯楽的な魅力も満載のテルグ神話映画と異なり、本作は絵巻物のような淡々とした語り口で、クライマックス以外はリアリズムに支配されており理知的。一方で時折挿入される神話の再現は、まるで紙芝居のようで古拙の味わい。クライマックスも完全に定式化したもので、冒頭から予測がつくもの。スリリングな展開によって観客の心をがっちり掴んで離さない、そして宗教的な熱を呼び覚ます、という類のストーリーでは全然ない、しかし何故だか好感が持てる。巨大な宗教現象としてのシャバリマラ巡礼についてのある種のドキュメンタリーとして大変に興味深い。参拝を許されない女性に巡礼を疑似体験させるという意味合いも持っていたのではないかとも思える。

当網站の関連ポスト:2010.01.25(予告的紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/thathwamasi-malayalam-2010


cvYugapurshan.jpgYugapurushan

Director:R Sukumaran

Cast:Thalaivasal Vijay, Mammootty, Kalabhavan Mani, Navya Nair, Siddique, Salim Kumar, Pala Charlie, Thampi Antony, Sai Kumar, Shoba Mohan, Babu Antony, Arun, Jishnu, Augustine, Jagathy Sreekumar, Kalpana, Devan, Saji Vakkanad

タイトルの意味:Person of this Age

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間31分

ジャンル:アート、偉人伝
キーワード:イーラヴァ、地位向上、神前飲酒の禁止、ブラウスを纏う権利、異カースト間(逆毛)婚、ガンジー、タゴール、低カーストの寺院入構、"Chattambi Sage"

寸評: イーラワ・カースト(こちらなど参照)の社会的地位の向上に努めた(本来の教えはイーラワに限定したものではなかったが)導師で、死後は神格化されたシュリー・ナーラーヤナ・グル(1855-1928)の生涯を伝記的に描く。もちろん直球のメッセージ映画な訳だから、通常の娯楽映画のアトラクションは全くないのだが、これが結構飽きないのだ。聖人とはいえ19-20世紀の実在の人物の行跡が描かれているのだが、話法としては完全にバクティ映画のそれで、フラッシュバックなどもあまりなく直線的にストーリーが進行する。バクティ映画的でありながらも、奇跡とか神さんの降臨とかはないのでどこまでも淡々としている。なのにどうして飽きないのかというと、やぱりスターさん達が実在の歴史上の有名人になりきって歴史上の事件にかかわっているところに見とれるからだと思う。実際のところ、ガイジンである自分にとっては初めて知る人物や事件も多いのだけれど、本作を教材にして知識を得られるというのは大層贅沢なことだと思う。

当網站の関連ポスト:2009.03.06(誤報的紹介)
オフィシャルサイト:http://yugapurushan.moviebuzz.org/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/yugapurushan-malayalam-2010


cvNayakan.jpgNayakan

Director:Lijo Jose Pellissery

Cast:Indrajith, Siddique, Jagathy Sreekumar, Thilakan, Lalu Alex, Dhanya Mary Varghese, Kalasala Babu, Vijaya Raghavan, Ambika Mohan, Majeed, Sreejith Ravi, Kiran Raj, Anil Murali

タイトルの意味:Actor
タイトルの揺れ:Nayagan, Naayakan, Naayagan

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間15分

ジャンル:アクション・スリラー
キーワード:デビュー監督、カタカリ、飲酒ショック死、カーニバル、マレーシア、フォート・コーチン、カバディ、泥仕合、EMSのそっくりさん、養豚場、錠剤の向精神薬(?)、京劇メイク(?)

寸評:デビュー監督のものとしては意外なほどに現地のレビューの評価が高かった作品。ストーリーは比較的単純な復習譚なのだが、色々と新しいことをしようとした工夫の跡が見て取れる。まずフラッシュバックの多用、それに演劇性の高い演出、ワイヤーにあまり頼らないアクション、芸術映画で採用されそうな凝った映像処理。アクション映画ではあっても単細胞マッチョ野郎が吠えまくり暴れまくるというのは避けて、内向的で翳りのあるものにしたかったんだな。その辺が一部の現地観客にはウケたみたいだ。ただ、芝居がかった劇画調のギミックがあまりにも前に出過ぎて、ストーリーが埋もれてしまった感は否めない。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/nayakan-malayalam-2010


cvPramani.jpgPramani

Director: B Unnikrishnan

Cast:Mammootty, Prabhu Ganesan, Siddique, Fahad Fazil, Sneha, Lakshmi, Kalabhavan Mani, Suraj Venjaramoodu, Salim Kumar, Suresh Krishna, KPAC Lalitha, Guruvayoor Sivaj, Anoop Chandran, Janardhanan, P Sreekumar, Majeed, Lena, Baiju, Narayanan Kutty, Sasi Kalinga, Pala Charlie, Baburaj, Nazriya Nazim

タイトルの意味:Person who rules with properties
タイトルの揺れ:Pramaani

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間14分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:パンチャーヤト・プレジデント、腐敗告発、隠し子、密告レター

寸評:Bウンニクリシュナン監督といえば2008年の総潰しの時に Madambi で酷い目にあったんだった。実際に本作もまた「嫌われ役を一手に引き受けるホントはいい人のお館様」路線を継承している。そして主人公との間にロマンスがあるのかないのかよくわからない微妙なヒロインを配してるところも同じ。回想シーンで登場する故人役のプラブ・ガネーシャンは久々のマラヤーラム映画出演だが、そのブッとい存在感が活かされているとは思えず。っていうか、その死のシーンはマ映画史上でも空前のバカバカしい最期だったと思う。しかしあれには気をつけんと(汗)。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/pramani-malayalam-2010


cvJanakan.jpgJanakan

Director:N R Sanjeev

Cast:Mohanlal, Suresh Gopi, Guruvayoor Sivaj, Dinesh Panicker, Krishna Nair, Jothirmayi, Biju Menon, Harishree Ashokan, Kaveri, Priya Lal, Vijaya Raghavan, Vijayakumar, Pala Charlie, Ganesh Kumar, Ranjit Menon, Sivani, Parvathy

タイトルの意味:Father
タイトルのゆれ:Janagan

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:2時間02分

ジャンル:スリラー
キーワード:トリヴァンドラム、政府高官の子弟、未成年女性への性犯罪、逮捕状

当網站の関連ポスト:2010.08.10(ディスク情報)
オフィシャルサイト:http://janakan.moviebuzz.org/
その他の参考レビュー:http://periplo.posterous.com/janakan-malayalam-2010-18753


cvPappiAppacha.jpgPaappy Appachaa

Director:Mamas

Cast:Dileep, Innocent, Kavya Madhavan, KPAC Lalitha, Machan Varghese, Kochu Preman, Narayanan Kutty, Majeed, Ashokan, Suresh Krishna, Abu Salim, Shoba Mohan, Kalabhavan Shajohn

タイトルの意味:Paappi and Father
タイトルの揺れ:Pappi Appacha

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間40分

ジャンル:コメディー
キーワード:デビュー監督、クリスチャン、駄目親爺、パンチャーヤト・プレジデント選挙、トドゥプラ、親子喧嘩、保険金詐欺、飲んだくれ、ドーティ、もみあげ、ガウンダール・スタイルの悪役

寸評: ディリープとイノセントがやりたい放題をやるヴィレッジ・コメディなのだから楽しいのは保証付きみたいなものなのだが、ちょっと長過ぎ。個性派揃いの脇役による村のおかしな人間模様、お馬鹿なソングシーン、さらにお馬鹿なアクションシーン、全てが揃ってるのに、ともかく長くて長くて辛かった、なんでだろ。なんでもありのパンチャーヤト・プレジデント選挙のシーンは面白かった。

当網站の関連ポスト:2010.04.07(カットアウト紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/paappi-appachaa-malayalam-2010


cvAlexander.jpgAlexander the Great

Director:Murali Nagavally

Cast:Mohanlal, Bala, Aswathi, Sai Kumar, Jagadheesh, Nedumudi Venu, Zarina Wahab, Ganesh Kumar, Siddique, T P Madhavan, Lalu Alex, Shanti Krishna

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:2時間24分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ドゥバイ、大富豪、精神科、数学の天才、音楽の天才、予知能力、アングロ・インディアン

当網站の関連ポスト:2010.08.12(ディスク情報)
その他の参考レビュー:http://periplo.posterous.com/alexander-the-great-malayalam-2010


cvMummyAndMe.jpgMummy & Me

Director:Jithu Joseph

Cast:Archana Kavi, Urvasi, Mukesh, Konchacko Boban, Suresh Gopi, Lalu Alex, Shari, Sudheesh, Arun, Anoop Menon, Janadhanan

タイトルの揺れ:Mummy and Me

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間11分

ジャンル:青春
キーワード:反抗期、中産階級、インターネットのチャット、鱗みたいなパーティードレス

寸評:思春期の女の子が持つありきたりの問題を丁寧に描いていて新鮮。ヒロインを取り巻く家族や友人たちの人間模様にもいちいち頷く。脇を固める名優の皆さんのアンサンブルとアルチャナちゃんのフレッシュさがいい具合に噛み合ったんだな。最後に問題の解決を神の(ごとき登場人物の)手に委ねたりしなければ傑作になったと思うのだが。もし最後にこの神さんをヒロインが実際に目にしたらどんな反応をしていたか、というところも気になる。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/mummy-me-malayalam-2010


Yugapurushan
Yugapurushan の看板


cvOruNaalVarum.jpgOru Naal Varum

Director:T K Rajeev Kumar

Cast:Mohanlal, Sreenivasan, Sameera Reddy, Devayani, Suraj Venjaramoodu, Indrans, Nedumudi Venu, Kottayam Nazir, Balachandran Chullikkad, Maniyan Pillai Raju, Lalu Alex, Dinesh Panicker, Aditya, Ambika Mohan, Siddique, T P Madhavan, Kollam Thulasi

タイトルの意味:A day will come
タイトルのゆれ:Orunaal Varum

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間29分

ジャンル:コメディー
キーワード:アシスタント・タウン・プランニング(ATP)・オフィサー、賄賂、クトラーラムの滝

当網站の関連ポスト:2011.08.12(ディスク情報)
その他の参考レビュー:http://periplo.posterous.com/oru-naal-varum-malayalam-2010


cvApoorvaRagam.jpgApoorvaragam

Director:Sibi Malayil

Cast:Nishan, Asif Ali, Nithya Menon, Vinay Forrt, Jagathy Sreekumar, Santhosh Jogi, Abhilash, Hima

タイトルの意味:Rare Melodies
タイトルの揺れ:Apoorva Ragam

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間15分

ジャンル:スリラー
キーワード:Seemati、カレッジ・ロマンス、どんでん返し、カツラ

寸評: スリラーといいながらユルユルのものが多いマ映画にしては、比較的緊密に編まれたものではあると思うのだが、頭の中でこしらえた感のあるストーリー。現実に根ざしていないファンタジック・スリラーとでも言うべきかな。見てる間は飽きはないんだけど、終わった後にこれと言った感動もない。過去に幾多の名作を世に送り出しているシビ・マライル監督が、既存のスターを一切使わずに有望な若手を前面に出して本作を撮ったことの意義は記憶しておきたい。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/apoorvaragam-malayalam-2010


cvSukudumbam.jpg
Sakudumbam Shyamala

Director:Radhakrishnan Mangalath

Cast:Urvasi, Kunchacko Boban, Sai Kumar, Bhama, Nedumudi Venu, Geetha Vijayan, Jagadheesh, Suraj Venjaramoodu, Kiran Raj, Balachandran Chullikkad, Dinesh Panicker, P Sreekumar

タイトルの意味:Shyamala with her family
タイトルの揺れ:Sakudumbam Syamala

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間19分

ジャンル:コメディー
キーワード: トリヴァンドラム、隠しカメラ、主婦感覚、アジタのパロディ、謎の野郎アイテムダンサー

寸評:クンチャーコー君が主演のほのぼのラブコメかと思いきや、マ映画伝統の「痛い奴が好き勝手やって顰蹙買いまくったあげくに懲罰を受ける」コメディなのだった。 ここでの痛い奴はウールワシさん。やり過ぎ感のあるくどい脚本をギリギリのところで笑えるものにしてるのはウールワシさんの力だろうね。教訓で終わるストーリーはともかくとして、トリヴァンドラムの町中で偶然にデモ隊と警官隊との小競り合いに巻き込まれたところをTVで放映され、それをきっかけに御輿に担がれ州政界でのし上がって行く一介の主婦というモチーフ、激しくえげつなく描写されていて見応えがある。ケララ政治の実際を知るための学習的な効果大ありのコメディーだ。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/sakudumbam-shyamala-malayalam-2010


cvPennpattanam.jpgPennpattanam

Director:V N Vinu

Cast:Swetha Menon, Revathy, KPAC Lalitha, Vishnupriya, Kailash, Sadiq, Nedumudi Venu, Abu Salim, Augustine, Lal, Guruvayoor Sivaj, Praveena, Sasi Kalinga

タイトルの意味:City of women, Supremacy of woman
タイトルの揺れ:Penn Pattanam

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間1分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:コーリコード、ゴミ収集人、ハワラ、因業金貸し、セクハラ

寸評: すっかり映画監督として一家を成した感のあるランジットが、珍しく脚本を提供している。社会の「中より下」(最底辺ではないが)にあって、市清掃局からの委託作業員としてゴミ収集をしている4人の女性達の尊厳と葛藤を描く。美人揃いのゴミ収集小母さん+お姐さんが不法投棄をする小狡い金持ちをこてんぱんにするシーンには胸がすくが、それだけでは終わらない。30ラクもの大金の入ったバッグをゴミ捨て場で見つけた時から、4人組には眠れぬ夜が訪れ、相互不信が芽生え始める… というストーリー。風刺映画としてよくできてるんだけど、見終わった後のスカッと感が欠けていて微妙。シュウェちゃんのアクションシーンは格好良過ぎ♥リアリズムを犠牲にしても仁王立ちで見栄を切ってほしかった。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/penpattanam-malayalam-2010


cvAthmakatha.jpgAathma Katha

Director:Premlal

Cast:Sharbani Mukherjee, Sreenivasan, Babu Namboothiri, Bindu Panicker, Jagathy Sreekumar, Ambika Mohan, Shafna, Urmila Unni

タイトルの意味:Autobiography
タイトルの揺れ:Athma Katha, Athmakatha, Athma Kadha, Athmakadha

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間13分

ジャンル:アートというかパラレルというか
キーワード:盲人、シネマソサエティ、神父の飲酒、映画館でのソングブック販売、母の導き

寸評:2011年4月に東京で行われた「ラブストーリー映画祭」において英語字幕で上映された。共に全盲の夫婦が支え合いながら生きていく様を丁寧に描く。主人公の少年時代を回想する映画館のシーンで上映されているのは、Odayil Ninnu (Malayalam - 1965) Dir. K S Sethumadhavan である。社会の不平等に声高に異議を唱えながら最底辺を生き、報われることなく死んでいく男の物語。含意するところの多い引用だと言える。それにしても、全くジャンルの違う Angaadi Theru (Tamil - 2010) Dir. Vasanthabalan とかでもそうだったけど、インド映画の中での「社会福祉というものをハナから全くアテにしない」という姿勢の貫徹ぶりは凄い。もちろん実社会において福祉が機能していなくて、弱い者たちが相互扶助によってなんとか生きて行くという構図を反映しているのだろうけれど、理想を追求する芸術映画にあってさえこれだ。美しいラストシーンでちょっと暗澹とした気持ちになった。イドゥッキ郡の風光明媚なクッティッカーナムで撮影されている。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/aathma-katha-malayalam-2010


cvAnwar.jpgAnwar

Director:Amal Neerad

Cast:Prithviraj, Mamta Mohandas, Lal, Prakash Raj, Nithya Menon, Sai Kumar, Geetha, Salim Kumar, Guruvayoor Sivaj, Pala Charlie, Sreejith Ravi, Sampath Raj, Vinay Forrt, Sasi Kalinga

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間13分

ジャンル:スリラー
キーワード:ハワラ、チェライ・ビーチ、コインバトール爆弾テロ、ベカル城趾、カンヌール監獄、フォート・コーチン

寸評:Big B (Malayalam - 2007)、Sagar alias Jacky (Malayalam - 2009)のアマル・ニーラド監督の長編映画の第三作目。前作でストーリー不在を批判されたことを意識したらしく、今回は社会性のあるシリアスな物語を持って来たが、既視感のある平凡なものになってしまった。テロリストの隠れ住むフォート・コーチンの下町の描写とかは面白かったけどね。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/anwar-malayalam-2010


cvBestOfLuck.jpgBest of Luck

Director:M A Nishad

Cast:Kailash, Asif Ali, Reema Kalingal, Archana, Prabhu Ganesan, Urvasi, Aneesh, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Bheeman Reghu, Baiju, Machan Varghese, Kozhikode Narayanan Nair, T P Madhavan, Jaffer Idukki, Janardhanan, Mammootty, Radhika, Mukesh, Fahad Fazil

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間27分

ジャンル:コメディー
キーワード:コメディー・オフ・エラーズ、映画監督志望、女優志望、変なお手伝いさん、撮影現場凸撃

寸評: 若いもんが束になって、あーでもないこーでもないとドタバタする、ある意味では最近のトレンドになっている作品群のひとつ。序盤、さざ波のように時折やってくる笑いは心地よいものなのだが、途中から助演であるべき年長者(具体的に言うと、例によってウールワシさんなのだが)にすっかり頼り切った展開になってしまって、なんだか業界の縮図を見てるようなのだった。

オフィシャルサイト:http://bestofluckmovie.moviebuzz.org/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/best-of-luck-malayalam-2010


cvCollageDays.jpgCollege Days

Director:G N Krishnakumar

Cast:Indrajith, Bhama, Sandhya, Dhanya Mary Varghese, Ryan, Sajith Raj, Govind Padmasurya, Sai Kumar, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Narayanan Kutty, Geetha Vijayan, Biju Menon, Sasi Kalinga, Abu Salim, Ambika Mohan, Dinesh Kodieri, Balachandran Chullikkad, Vijay Menon, Venu Nagavalli, Appa Haja, Mohan Jose, Sinesh Panicker, Priyadarsini, Bindu Nemom

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間43分

ジャンル:スリラー
キーワード:ラギング、幽霊、ゆすり

寸評: ポスターなどからノスタルジックなキャンパス恋愛映画なのかと思って臨むと、しょっぱなからすごい展開。化け物話の風味を加えたリベンジ・アクションという着想は悪くないと思うけど、落とし所がバレバレで、なおかつトリックに無理がある。とりあえず観てる間は飽きないけどね。学園に蔓延する(と言われる)度を越したラギング (新入生イジメ)と有力者の子弟の無法ぶりについて知識を深めたいならお勧め。それにしても本作の悪役は、ちょっとバランスが悪いんじゃないかと思えるほどに贅沢で意表を突くキャスティング。しかも意外なほどに上手くハマってる。それが誰なのかはお楽しみ。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/college-days-malayalam-2010


cvBestActor.jpgBest Actor

Director:Martin Prakkat

Cast:Mammootty, Nedumudi Venu, Salim Kumar, Lal, Sreenivasan, KPAC Lalitha, Bijukuttan, Sruthi Ramakrishnan (Sonu), Kulappulli Leela, Baiju, Sukumari, Vinayakan, Mafia Sasi, Lal Jose, Ranjith

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間13分

ジャンル:コメディー
キーワード:撮影用タラワッド、フォート・コーチン、社会勉強、ステージ・パパ、デビュー監督

寸評: 熟年になっても映画の役者になるという夢を捨て切れない田舎の教師がチャンスを求めて右往左往、というコメディー。特に非の打ちどころはないのだが(←変な言い方)どうも充実した読後感がなかった。なんでなんだろう。一つは生ぬるいエンディングのせいかな。二つ目は、たぶん色々と差し障りがあって映画界の内幕の描写を突き詰めることが出来ず、フォート・コーチンの下町ヤクザの人情譚みたいなところにアクセントを置いてしまったことかな。それはそうと、前半部分で主演のマンムーティが、売り込みのためにアポ無しで有名監督の家を訪れるシーンが印象に残った。ランジットとラール・ジョースが自身の役で友情出演しているのだが、それぞれの家の佇まいのコントラストが凄い。本物の監督の家で撮られたのだろうか、気になって仕方がない。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/best-actor-malayalam-2010


cvTournament.jpgTournament

Director:Lal

Cast:John, Fahad Fazil, Praveen, Manu, Rupa Manjari, Siddique, Kochu Preman, Bijkuttan, Salim Kumar, Indrans, Aryan, Prajin

タイトルの揺れ:Tournament – Play & Replay

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間4分

ジャンル:青春
キーワード:コーチン、バンガロール、クリケット・マッチ、蛇肉の煮込み、 グンドルペート、タミル語

寸評:バンガロールで開催されるクリケットのトーナメントに出場する若者達が、航空機の欠便のためにコーチンからはるばる陸路で行脚することになる。フレッシュなスポ根風味の友情讃歌ロードムービーかと思いきや、虚無的なストーリー展開に唖然とする。人によってはサイテー映画という評価を下すかもしれない。あるひとまとまりのエピソードが終了した後に、ビデオテープを巻き戻しすように少し前に遡り、隠されていた別の一面を観客に提示するという斬新な手法が面白いが、それが映画の面白さには結びついていない。それに、いい若いもんが揃ってるのに、グラフィックワークに頼ったダンスばかりなのもいただけない。ともかく、中堅の監督たちが「MoMa後」に備えて模索しながら右往左往してるのが本当によく分かる。そういう意味で観といて損はない、変なお勧め。

オフィシャルサイト:http://www.tournamentplayandreplay.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/tournament-malayalam-2010

Nayakan
Nayakan のカットアウト

投稿者 Periplo : 02:52 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年08月21日

Project 2010:その2

昨日に引き続き星4つ。9本をご紹介。本当のことを言うならば、今回紹介の筆頭に来た In Ghost House Inn は、筆者のこの年のインド映画鑑賞体験の中では最高のものだった。3月末のコーリコード、学年末休暇で街は若いもんで溢れていた。映画館が軒並みフルハウスの中、とりわけ人気の高かった街の中心の小屋、ここでは書けないさる手段でプラチナ・チケットをゲットして潜り込んだマチネー・ショー。熱気に満ちた館内では予告編から大歓声があがっていた。もちろん台詞の意味は一言もわからない、しかしストーリーは95%まで理解できて、現地観衆に混じって大笑い。これ以上はないという幸福な体験。その反動でか、半年ほど後にDVDを入手して再鑑賞した折には、自分でもビックリするくらい醒めていた。

芸術との付き合いというのは、知識の集積ではなく、なによりも体験である。とりわけ、第七芸術というのは、そのテクノロジーの特質上、大衆文化としての性格が強い。自宅にどんなに立派なホームシアターを設置しても、そこでの鑑賞は、映画館で何百人もの観衆と共有するものとは質的に異なったものとなるだろう。そういう意味で In Ghost House Inn は最高の祝祭的体験だったのだが、敢えて星5つからは外した。他の作品と条件が均一ではないというのが一番の理由。自分自身ですらその幸福な昂揚に再現性がない、そういうものについて書くことは、もう批評というよりは旅行記の範疇に入ってしまうんだな。なんで、そのうち機会があったら別の場所で旅行記として書こうかなとは思っている。

******************************************************************

★★★★(星4つ)観ないと損する

cvInGhostHouse.jpgIn Ghost House Inn 

Director:Lal
Cast:Mukesh, Siddique, Jagadeesh, Ashokan, Nedumudi Venu, Lakshmi Rai, Anoop Chandran, Rohini, Lena, Reena Bashir, Rakhi, Radhika, Majeed, Kochu Preman, Harisree Asokan, Kalabhavan Shajohn, Thampi Antony, V P Ramachandran, Appa Haja, A G Vinod, Rajesh Hebbar

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間15分

ジャンル:コミック・ホラー
キーワード:ヘリテージ・ホテル、呪いの館、憑き物、エクソシスト神父、70年前の惨劇、Bhargavinilayam

寸評:In Harihar Nagar (Malayalam - 1990) Dir. Siddique-Lal、2 Harihar Nagar (Malayalam - 2009) Dir. Lal(こちら参照)に続く大ヒット・コメディーシリーズの第3作目。批評家からはボロカスの評価を浴びながら本作もまた大いに稼いだ。しかも今回はケララの皆さんが大好きなホラー風味!それにしても、アレックス・ポール(監督の実弟である)の手になる本作の劇中歌は、♪Ole Ole Othapona Ole といい、♪Oh Rambha といい、マ映画音楽としては空前のダンサブル・チューン。それを親父4人があっぷあっぷしたりバタバタもがいたりするのに使っちまうたあ、ラール監督も豪気なもんだわ。現地劇場での鑑賞時に、4人組の中で一番観客を沸かせていたのはジャガディーシュ。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/in-ghost-house-inn-malayalam-2010


cvTDDASAN.jpgT. D. Dasan Std. VI B

Director:Mohan Raghavan
Cast:Biju Menon, Jagadeesh, Swetha Menon, Jagathy Sreekumar, Suresh Krishna, Mala Aravindan, Valsala Menon, Sreehari, Sruthi Menon, Dennis Parakkadan, Aloysius, Tina Rose, Master Alexander

タイトルの意味:6年B組TDダーサン (インドの初等教育は8年間が原則で、スタートは日本よりも1年早い、 こちらなど参照)

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間38分

ジャンル:アートというかパラレルというか
キーワード:バンガロール、パーラッカード、宛名違い、清涼飲料、蛇神、行方不明者、母子家庭

当網站の関連ポスト:2011.07.30(レビュー)
オフィシャルサイト:http://www.tddasan.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/t-d-dasan-std-vi-b-malayalam-2010


cvPokkiriRaja.jpgPokkiri Raja 

Director:Vyshakh Abraham
Cast:Mammootty, Prithviraj, Shriya Saran, Nedumudi Venu, Vijaya Raghavan, Siddique, Riyaz Khan, Rizabawa, Kalasala Babu, Johnny, Arun, Dandapandi, Baburaj, Abu Salim, Delhi Ganesh, Bindu Panikkar, Salim Kumar, Suraj Venjaramoodu, T P Madhavan, Jagannath Varma, Sadiq, Ambika Mohan, Kozhikode Narayanan Nair, Anil Murali, Unnikrishna Namboothiri, Paravai Muniyamma, Urmila Unni, Sasi Kalinga, Ponnamma Babu, Swetha Meno, Rachana Maurya

タイトルの意味:Rowdy King
タイトルの揺れ:Pokkiriraja, Pokiri Raja, Pokiriraja

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間43分

ジャンル:コメディー
キーワード:パンチ・ダイアローグ、スローモーション、スタイル、兄弟生き別れ、トリリンガル、コッランゴード、マドゥライ、エルナクラム、ウドゥマライペーッタイ、子供の日

寸評:以前の紹介では本作を「パスティーシュ」と断言してしまったが、別にそういうメタ的な視点を意識せずに単なるお話として臨んでも充分に楽しめることを付記しておきたい。少なくとも筆者にとっては、正真正銘のパスティーシュ映画である Thamizh Padam (Tamil - 2009) Dir. C S Amudhan の湿気った笑いよりも断然充実した体験だった。ただし、いくらお遊戯とはいえ、悪役にはもうちょっと強そうな奴を揃えた方がよかったとは思うけどな。一番悪い奴二人のこのシーンは何だったのか、芸術映画みたいな意味不明さじゃん。

当網站の関連ポスト:2010.12.04(刺身のツマ的紹介)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/pokkiri-raja-malayalam-2010


cvKathaThodarunnu.jpgKadha Thudarunnu... 

Director:Sathyan Anthikkad
Cast: Jayaram, Mamta Mohandas, Asif Ali, Innocent, Baby Anikha, Mamukoya, Chembil Ashokan, Lakshmipriya, Sreejith Ravi, Amit, Vettukili Prakash, Manu Jose, Sreedevi Unni

タイトルの意味:Story Continues
タイトルの揺れ:Katha Thudarunnu

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム:2時間11分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:コーリコード、人情長屋、雲助運ちゃん、異教徒間結婚、コーテーション殺人、ホームレス、勝抜きのど自慢

寸評:家族の反対を押し切って結婚したムスリムとヒンドゥーの男女が、一人娘と幸せに暮らしていたところに突然降り掛かる不幸。夫の突然の死によって路頭に放り出された若妻(Mamta Mohandas)がホームレスになりかかっていたところ、気のいいオートの運転手(Jayaram)に助けられ、彼の住む貧しいコロニーに保護される。コロニーの人々全員に助けられて彼女は自立への道を歩み始めるが、そこに…というストーリー。どうせいつもの型で押したよなメロドラマだろうとタカをくくって臨むと不覚にも貰い泣きしそうになる、サティヤン・アンティッカード節全開の人情劇。主軸となるのは運ちゃんと若妻の交情なのだが、彼らを取り囲む住人達の人間模様も非常に丁寧に描かれる。KPACラリタおばちゃんの嘘泣きの実演。コロニーの小町娘に岡惚れしてる給水車の兄ちゃんの純情。マームコヤの爺ちゃんが演じるデモ隊の仕出し屋 (今日は会議派、明日は共産党)とか、その下で日雇いやってる元コソ泥が時々警察の首実検(無関係な人間と容疑者とが一列に並んで目撃者の面通しを受けるあれ)に出かけてくなんていう、ちょっとした描写の芸の細かさも印象に残る。特に仕出し屋爺ちゃんが、入りの悪い映画のサクラ観客の動員(AC完備の劇場でタダの映画だぜよ、足代と幕間のチャーイ付!)をかけようとして総スカンを食らうシーンには笑った。ホントにこんなことやってんのかいな。といってもほのぼのエピソードばかりではない。死んだムスリムの夫の親族が、ヒロインから一人娘を引き離そうとするくだりで、「彼らが"宗教的マイノリティ・カード"を出してきたら話はかなり拗れるかもしれない」とヒロインの友人が述べるところなど、ひんやりとしたものも感じられる。演技陣はいずれも適材適所だが、ジャヤラームの無学でお人好しなオート運ちゃん役のハマり方が凄い。Pranchiyettan & The Saint でも思ったけど、熟年の大スターさん(♂)と若い女優、親子と言ってもいいくらいのペアをヒーロー&ヒロインにすることが各方面から揶揄されている中、その2人のカップリングに脚本上の工夫が凝らされてより説得力のあるものになってきたなという印象だ。これからもケララ熟年王国は続いてほしいもんだ。

参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/kadha-thudarunnu-malayalam-2010


cvPranchiyettan.jpgPranchiyettan & The Saint

Director:Ranjith
Cast:Mammootty, Priyamani, Siddique, Khushboo, Master Ganapathy, Innocent, Jesse Fox Allen, Biju Menon, Jagathy Sreekumar, Ramu, Tini Tom, T G Ravi, Edavela Babu, V K Sreeraman, Sreejith Ravi, Sasi Kalinga, Jayaraj Varier, Balachandran Chillukkad, Guruvayoor Sivaji, Sadiq, Pala Charlie

タイトルのゆれ:Pranchiyettan and The Saint
タイトルの意味:Pranchi and The Saint Francis
プランジはクリスチャンネームのフランシスがマラヤーラム語化したもの。-ettanは兄を意味する親族呼称。ヒンドゥー、クリスチャンの男性の名前に付加されて、ある種の敬語となる。実際に血縁ではなくとも使用可能で、妻が夫の名前を呼ぶ際にもしばしば付加される。

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間21分

ジャンル:コメディー
キーワード:トリシュール、シリアン・クリスチャン。パドマシュリー称号、オスカー受賞セレブ、ロータリークラブ、アッシージのサン・フランチェスコ

当網站の関連ポスト:2011.08.13(レビュー)
オフィシャル・サイト:http://pranchiyettan.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/pranchiyettan-the-saint-malayalam-2010


cvElsamma.jpgElsamma Enna Aankutty 

Director:Lal Jose
Cast:Ann Augstine, Kunchacko Boban, Indrajith, Nedumudi Venu, KPAC Lalitha, Janardhanan, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Vijaya Raghavan, Maniyanpillai Raju, Manikuttan, Vani Kishore, Majeed, Balachandran Chullikkad, Meera Nandan

タイトルの意味:A Boy Called Elsamma
エルサはクリスチャン・ネームのエリザベスがマラヤーラム語化したもの。また-ammaは「母」を意味する親族呼称だが、ヒンドゥーやクリスチャンの女性の固有名の後に付加され一体化することも多い、ある種の敬称。男性の場合固有名の後にカースト名が続くところを、女性の場合は代わりに-ammaが付加されることもあるという(こちらなど参照)。

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDのランタイム: 2時間22分

ジャンル:ラブコメ
キーワード:クリスチャン、牛乳配達、新聞配達、パンチャーヤット選挙、都会vs田舎、学業断念、サンド・マフィア

寸評:ヒロインのエルサンマは文字通りの細腕で母と妹3人からなる一家を支えるという設定。あまりにも違和感がないので見逃してしまいそうだが、性格俳優オーガスティン(アガスティンと読むのがケララ風か)の娘・本作でデビューのアンはほぼ全編をルンギー+亡き父のワイシャツという男装で通すのだ。マ映画としては結構凄い。ストーリーは、煎じ詰めれば「惚れているのに好きたあ言えぬ」という王道ラブコメ。冷静に見ればエルサはちょっと風紀委員みたいで感じ悪いところもあって、若干の引っ掛かりを残すのだが、「帰ってきた王子様」クンチャーコー・ボーバンのえも言われぬ味に相殺される。オッちゃん的にはヒロインの3人の妹の1人の眼鏡っ娘をやったマヤ・ウンニちゃんに痺れ。これだからやめられんのじゃ!

参考レビュー集成: http://periplo.posterous.com/elsamma-enna-aankutty-malayalam-2010


cvShikkar.jpgShikkar

Director:M Padmakumar
Cast:Mohanlal, Thalaivasal Vijay, Samuthirakani, Sneha, Laxmi Gopalaswamy, Ananya, Kailash, Mythili, Kalabhavan Mani, Jagathy Sreekumar, Suraj Venjaramoodu, Lalu Alex, Vineeth Kumar, Shanti Krishna, Kochu Preman, Sadiq, Jain Babu, Abu Salim, Babu Namboothiri, Lal, Kani, John Kokken

タイトルの意味:Hunter
タイトルのゆれ:Sikkar, Shikar, Shikkaar

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間31分

ジャンル:スリラー
キーワード:シュリーカクラム、イドゥッキ、トラック運ちゃん、ナクサライト

当網站の関連ポスト:2011.08.09(ディスク情報)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/shikkar-malayalam-2010


cvCocktail.jpgCocktail

Director:Arun Kumar
Cast:Anoop Chandran, Samvritha Sunil, Jayasurya, Mamukoya, Innocent, Aparna Nair, Fahad Fazil

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間50分

ジャンル:スリラー
キーワード:コーチン、人質、爆弾入りスーツケース、街娼、質屋、ブルガリ時計、企業秘密漏洩

当網站の関連ポスト:2011.08.15(レビュー)
オフィシャル・サイト:http://www.cocktailthefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/cocktail-malayalam-2010


cvKandahar.jpgKandahar

Director:Major Ravi
Cast:Mohanlal, Amitabh Bachchan, Ganesh Venkatraman, Sharath, KPAC Lalitha, Anoop Chandran, Jaffel Idukki, Major Ravi, Mamukoya, Geetha Vijayan, Sumalatha, Anil Murali, Kannan Pattambi, Ragini Dwivedi, Ananya

タイトルの意味:アフガニスタンの地名。これだけで1999年に起きたイスラーム原理主義テロリストによるハイジャック事件を思い起こさせるものがあるようだ。

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間15分

ジャンル:ミリタリー
キーワード:駄目息子更正、ハイジャック、銃後の父、ウーティ、特殊部隊、タリバン軍事訓練キャンプ

当網站の関連ポスト:2011.08.07(ディスク情報)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/kandahar-malayalam-2010


In Ghost House Inn のポスター。ラクシュミ・ラーイちゃんはホンマにええ子やなあ。

投稿者 Periplo : 01:31 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年08月20日

Project 2010:その1

この3月に終えたばかりのProject 2009に引き続き、2010年マラヤーラム映画の回顧企画。ただし、前に宣言したように今回からは全点潰しではない。2010年に公開されたマラヤーラム語(吹き替えを除く)の長編劇映画はウィキペディアのリストによれば、92本あったということだが、その半分強の50本を俎上に載せてみた。

50本という数字に深い意味はない。現地の映画館で見てるのではないのだから速報性を売りにする訳にもいかない。かといって歯を食いしばって全点見てたら、いくらなんでも鮮度が落ちてしまう。万が一当サイトを見てディスクを取り寄せてみよう思った人がいても、その頃には品切れになってしまっているかもしれない。そのへんの綱引きでの落としどころがこの50本だった。できることなら今年の前半に総括しておきたかったんだけどね。まあ色々あって。

まずは一番波乱のない最高得点、星5つから。

★★★★★(星5つ)どなたさんにもお勧めします

波乱がない? 両方とも芸術映画じゃん! 大丈夫か俺?

cvKuttySrank.jpgKutty Srank

Director:Shaji N Karun
Cast:Mammootty, Padmapriya, Kamalinee Mukherji, Meena Kumari Perera, Siddique, Suresh Krishna, Sai Kumar, Wahida, P Sreekumar, Satheesh Chandra, Amit, Gaurav Moudgill, Valsala Menon, Johnny, Maya Viswanath, Nanda Lal, Divya Das

タイトルの意味:The Sailor of Hearts というのが流通してるが、これはキャッチフレーズ。DVDは Small time captain Kutty としている。これだと「日雇い船頭クッティ」か。またJunior boat captain という訳もある。kutty を固有名詞とするか形容詞とするか、どっちが妥当なのだろうか。
タイトルのゆれ:Kutti Srank, Kuttysrank, Kutty Shrank, Kutty Sranku, Kutty Shranku, Kuttisranku, etc.

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間13分

ジャンル:アート
キーワード:チャヴィットナーダガム、痛み、腐敗する死体、聾唖、人柱、鼻血、失禁

当網站の関連ポスト:2008.08.19(予告的紹介)、2011.08.13(レビュー)
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/kutty-srank-malayalam-2010

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cvSufiParanja.jpgSufi Paranja Katha

Director:Priyanandanan
Cast:Sharbani Mukherji, Prakash Bare, Thampi Anthony, Jagathy Sreekumar, Geetha Vijayan, Valsala Menon, Indrans, V K Sreeraman, Augustine, Irshad, Sona Nair, Babu Anthony, Samvritha Sunil, Vineeth Kumar

タイトルの意味:スーフィーの語った物語
タイトルのゆれ:Sufi Paranja Kadha, Soofi Paranja Kadha

DVDの版元:Highness
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間5分

ジャンル:アート
キーワード:ナーイル、マーピラ、改宗、駆け落ち、衆道、天然痘

当網站の関連ポスト:2011.07.18(レビュー)
オフィシャルサイト:http://www.sufikatha.com/
参考レビュー集成:http://periplo.posterous.com/sufi-pranja-katha-malayalam-2010

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内容についてはどちらもレビューにクドクド書いたんでここでは繰り返さないが、日本の映画祭関係者の皆さんに言いたい(どうせ届くこともないだろうが)。エキゾチックでカラフルなアート作品を探してるんなら絶対この二つだ。サントーシュ・ブランドってだけで Urumi みたいな低血圧映画を持って来たりしないでおくんなさいまし。

Sharbani.jpgKamalinee.jpg
そういやどっちもムカルジーさんだ♪

投稿者 Periplo : 01:40 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年04月04日

再編再録:ケララ・ムスリム=マーピラについての覚書

Patturumala.jpg

patturumala または thattam と呼ばれる古風な頭巾をまとったシュウェちゃん、Paradesi (Malayalam - 2007) Dir. P T Kunhi Muhammad から。この独特のヒジャブのイメージはケララ情緒100%だが、実際に現地で目にすることはまれ。現在では映画の中だけでの分りやすい記号のように思える。シリアン・クリスチャンのマランカラ派の女性が身につける巨大なイヤリング(mekkamothiram または kunukku というらしい、こちら参照)と同じように。

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最初にお断りしておきたいが、筆者はもちろん歴史研究者ではない。民間の歴史ファンですらないと言ったほうがいい。なので以下に書くことに学術的な妥当性を求められても困る。大航海時代以前の文献資料など存在しないに等しいケララにおいて、史料によって裏付けることができるそれ以前の事象は大変に限られている。半ば、というかほとんど全てが伝説の類だと思っておいたほうが無難だ。ただ、人々が自分たち自身の物語をどのように規定しているかを知るのは、それはそれで意味のあることだと思っている。これをさらっと読めば、筆者が映画を見る作業の中で何にウケたり何に仰け反ったりしてるのかも分っていただけるかと思い、消滅した過去記事に手を加えて再アップした。Kilichundan Mambazham (Malayalam - 2003) Dir. Priyadarshan 公開の前後に書いたものを基にしている。

【マーピラとは】
マラヤーラム映画界は、ムスリムやクリスチャンが主人公で、かつ宗教対立やマイノリティ問題をテーマとしないフツーの娯楽映画が製作される場所としては、現在のインドでは唯一かもしれない(このあたりについては過去に Balancing Act として書いた)。ケララ州の宗教別人口比は大雑把に言って、ヒンドゥー:ムスリム:クリスチャンが56:24:19。ムスリム人口は特に州北部に多く分布している(※1)。後二者には、近世以降のヒンドゥー低位カーストからの改宗者が多く含まれている。しかし少なからぬムスリムは、自らのルーツをムハンマドによる創宗直後にインドに渡ってきたアラブ人とみなし、ペルシャ・アフガン系の征服王朝下で改宗した北インドのムスリムとは一線を画すものととらえている。またクリスチャンも、大航海時代のヨーロッパ諸国による布教のはるか以前にやってきた、一二使徒のひとり聖トマスの教えに従ったシリア・クリスチャンの末裔であるとの矜持をもち続けている。

moplah(マラヤーラム語ではマーピラmappila、mappilla)は広義にはケララ・ムスリム全般を指し、より限定的にはマラバール地方(※2)のムスリムを意味する(※3)。現在のケララの公的な歴史ではあまり触れられることはないが、近世には海賊として盛名をはせた者も多く、またヒンドゥー教徒(特に戦士カーストであったナーイル)と殺し合いを繰返していた時期もあった(※4)。また、1921年のMappila Rebellion(英国支配階級と結託したヒンドゥーの地主をムスリム農民が襲撃して殺害した事件)は一般には対英独立闘争史の重要な一ページと見なされているが、蜂起した者の中には、ジハードを唱える過激派メンバーがいたのも事実。(※5)。

マーピラ・コミュニティには独自の文化が育まれており、特にマーピラ・マラヤーラムと呼ばれるアラビア語の語彙を多く取り入れた方言と、マーピラ・パーットゥ(mappila pattu = mappila songs) に代表される芸能はケララ・ムスリムのアイデンティティの核となっている(※6)。今日ではケララ全域に分布するマーピラだが、マラバール地方、特にマラップラム県はマーピラ文化の原郷とみなされている地域(※7)だという。

20世紀に入って盛んになった北インドやパキスタン地域との間の往来、またここ30年ほどの湾岸諸国への出稼ぎの影響もあり、今日のマーピラは文化的な孤島状態にあるわけでは決してない。しかし、家族制度の一部や命名法、料理などの生活文化には、他の南アジアのムスリム世界、あるいはケララの他のコミュニティとは異なる独自の表徴がいまだに見て取れる。

※1 マラバール地方の総人口のうち67%がムスリムという。またケララ・ムスリムはスンニ派が圧倒的。民族的、職業的な違いによって細かいセクトに分かれている。
Kerala Muslims had several subdivisions. Some of these subgroups are known by such names as dakkini, labba, Kachmeman, nainar, ravuthar, marakkar, and koyimar. The dakkini group are descendants of the armies of sultan of Bijapur. Labbas are traders. They live in Kerala as well as Tamil Nadu. Labbas are of Arabic extraction. Ninars are believed to be converts from the Drawidians. Ravuthars were active in trade. Muslims of Malabar are collectively referred to as 'Mappilas'. Kachumemons are descendants of traders of Gujarati origin. Another group called vattakolikal are of Arab decent and are mostly traders. They are also called navathukal. Koyimar originated in the area of Malabar called chowa and played a major role in internal and external trade. (Ananthapuri.com, Muslims of Kerala より)

※2 行政上14県に分かれるケララ州だが、文化的な区分としてのマラバール(北部)コーチン(中部)トラヴァンコール(南部)の3つの地方名はよく使われている。マラバールは本来ケララ州全域を表す語だったらしいが、イギリス支配下の行政区分としてマドラス管区マラバール県が制定されて以降は、より限定的な地域を示すものとして定着した。3地方の区分けはこちらを参照(ただし、今日の行政界線と一致しない細かい区分けは思い切り省略しているので注意)。また英領時代のマラバールの詳細な地図はこちら
※3 コーチンやトラヴァンコール地方のムスリムのことをシャーフィ(shafi)と呼ぶこともある。また、マーピラの語源には諸説ある。有力なのは、外の世界からやってきた客人に対する尊称だという説、それから(親の立場からの娘の)婿に対する呼びかけだという説など。なお、この語を姓としてもつのは主にクリスチャンであるという。またタミル語地域ではマーピライ(マープレ)は宗教的コミュニティ区分とは無関係に婿の意味で使われ、さらにはそこから若い男性一般への呼び掛け語となり、日常でもよく用いられている。
※4『千夜一夜物語』の英訳者でもある探検家リチャード・バートン(1821-1890)による、そうした現代的な気遣いとは無縁のインド紀行 ‘Goa and the Blue Mountains’ の中の一章に、そのあたりが活写されている。
※5 この事件を扱った映画もある。1921 (Malayalam - 1988) Dir. I V Sasi
※6 今日のケララ・エンタメ界で大きな旋風を巻き起こしている素人の勝ち抜き喉自慢ショー(いわゆるリアリティ・ショー)でも、マーピラ・ソングで勝負するムスリムの挑戦者は結構多いみたいだ。たとえばこちらのサイトで視聴が可能。http://www.mappilatube.com/
素人耳にはマレーシアの伝統歌謡との類縁性が強く感じられる(特にザピンと酷似したリズムが印象に残る、もちろん大元はアラブなのだが)。実際に少なからぬマーピラが半島マレーシアに渡り、コミュニティを築いているようだ。現在は消滅してしまったマレーシア発のマーピラのサイト、e-malabari の中には以下のような一節があった。
Certain aspects of Kerala history gives it a 'South East Asian Personality' - as described by Charles A. Fisher in South East Asia: a Social, Economic and political Geography-the tropical climate, the plentiful water supply and regular monsoons, dispersed settlement and communication by the river, the large degree of rice and coconut cultivation, and port cities functioning as entreports for the passage of merchandise from the West and East.

※7 上述の Kilichundan Mambazham1921 の他に、当サイトで紹介した作品では Oneway Ticket (Malayalam - 2008) Dir. Bipin Prabhakar もマラップラムを舞台としたマーピラ映画。

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【ケララ・ヒストリーのイスラームな出来事とその周辺】
[前史] デカン高原以南の現在の南部4州の要部が一つのドラヴィダ文化圏=大タミル語圏だったサンガム時代(CE1~3世紀、ちなみにカンナダ語の現存する最古の文学は9世紀のもの、テルグ語のそれは11世紀、マラヤーラム語となると13世紀まで下る)、すでにチェーラ王国(今日のケララ)には西方世界との交易の拠点がいくつかあり、アラビア商人も多く訪れていた。
[伝説] タービイーン(初期のイスラーム布教者)のひとり、マーリク・ビン・ディーナールのケララ来訪と布教開始。ムハンマドが啓示を受けてからわずか30余年後、643年のこととされている。
[伝説] チェーラ朝最後の王、チェーラマーン・ペルマールがイスラームに改宗し、領土を分割して自らの王権を放棄し、メッカ巡礼に赴く。王は628年にムハンマドからの手紙を受け取って帰依したという。アラビアでは預言者その人に会ったとも。ただしチェーラマーン・ペルマールの治世については4世紀説から12世紀説まであり、曖昧模糊としている。この名前自体がチェーラ朝の王の称号でしかないので、実際にどの王だったのか、研究者の間でも意見が一致していない。また彼が改宗したのはキリスト教だったという伝説もあり、一方でシヴァ派の熱心な帰依者だったという言い伝えもある。他に仏教改宗説、ジャイナ教改宗説まであり。
[なかば伝説] 629年、中部ケララのコドゥンガルール(クランガノール)にはじめてモスクが建設される。
[なかば伝説] 北部ケララのカンヌール(カンナノール)でアラッカル家が権力を掌握し、ケララ史上唯一のムスリム王国が成立する。8世紀とも12世紀ともいわれる。
[1124年] 第二次チェーラ朝の崩壊。以降ケララ地域は多くの土侯が支配する地方(nadu)に分裂して互いに覇を競い合う。上記伝説のチェーラマーン・ペルマールによるチェーラ王国の分割は実際にはこの時期のことだったという説が有力。
[1183年] アラッカル家のアジ・ラージャーがモルディヴ諸島を制圧。
[13世紀] コーリコード(カリカット)地方でサムーディリ(ザモリン)家が台頭し、一帯の領主となる。ザモリンはヒンドゥーだったが、海外交易の利益を独占するためアラブ商人への優遇政策をとり、アラブ人の定住を奨励した。またヒンドゥー下位カーストのイスラームへの改宗にも寛容な態度でのぞみ、ときには奨励すらした。ザモリンの保護下で、ムスリムによる海軍が組織され、彼らにマラッカルMarakkarの称号が付与された。マラッカルたちは、防衛と共に貿易にも従事し社会的・経済的に躍進した。13世紀から15世紀にかけてコーリコードは南のコッチ(コーチン)王国と鋭く対立しながらも勢力を拡張していった。それにともない、ムスリム人口もコーリコードからポンナーニなどの周辺部、さらにパーラッカード(パルガート)など内陸地域へと拡大していくこととなった。
[1343~1345年] アラブの紀行家イブン・バトゥータのケララ(コッチ、コーリコード)滞在。多数の裕福なムスリムの暮らしぶりを書き留める。
[1498年] ポルトガル人、ヴァスコ・ダ・ガマのコーリコード到達。香辛料などの通商権独占を求めるが、ザモリンはこれを拒否する。ザモリンと対立するコッチ王国と同盟し、4年後の1502年に再びやってきたポルトガルはマラッカルとの間で戦闘を開始し、圧倒的な火力で勝利する。
[1540年] ポルトガルに屈服したザモリンは、コーリコードでの交易独占を認める。これによってムスリム商人の特権が崩れ去る。多くのムスリムが内陸地方へ移住を余儀無くされ、ヒンドゥーの地主のもとで小作農民となったり、沿岸部に残ったものも漁民となって細々と生計をたてる状況に追い込まれた。
[1664年] ザモリンの後ろ楯を得たオランダ東インド会社がポルトガルを駆逐し、マラバールの通商権を握る。
[1684年] 北部マラバールのタラッシェーリ(テリッチェリー)にイギリスが商館を開設。これ以降、イギリスによるマラバールの蚕食が徐々に進行していく。
[1766年] マイソール藩王国のハイダー・アリによるケララ北部への侵攻。マラバール・ムスリムは侵略に徹底的に抗戦したものと、ムスリム支配者を歓迎したものとの二派に分かれた。
[1782~1792年] マイソール藩王国のティープー・スルターンによる統治。この期間中、北部支配地域(カンヌール、タラッシェーリ、コーリコード、マラップラム)ではバラモンやナーイルなど高位ヒンドゥー教徒の多くが強制的にムスリムに改宗させられた。
[1792年] イギリスがマイソール勢力を駆逐し、マラバール地方での支配権を確立する。これ以降、同地域はボンベイ管区マラバール県となる。またケララ・ムスリムの経済的・社会的な落ち込みが進行する。
[1801年] マラバール県がボンベイ管区からマドラス管区に移管される。
[1832年] マラバール県で大地震。この災害はその後の飢饉とあいまって、ムスリム零細農民を直撃し、コッチ、トラヴァンコール地域への移民が急増した。
[1877年] ヴィクトリア女王を皇帝とするインド帝国の成立。英国統治時代、現ケララ州地域は北部がマドラス管区マラバール県、中部と南部がそれぞれ英国「保護下」のコッチ藩王国、ティルヴァタンコードゥ(トラヴァンコール)藩王国として三分されていた。
[19世紀末~20世紀初頭] 英国によってマラバールに導入されたライーヤットワーリーと呼ばれた徴税制度によって、ヒンドゥー地主層とムスリム小作人層との間に対立が深まり、暴動が散発的に起こるようになる。
[1919~1924ごろ] キラーファット運動の高まりがケララにも波及。国民会議派主導の独立運動と連携する。しかし先鋭化したマーピラの中からはケララ南部に独立したムスリム国家モプラスタンMoplahstanを要求する主張までもが出現し、当初マーピラ農民に対して同情的だったヒンドゥー運動家からの支持を失う結果になる。
[1921年] マーピラの反乱 Mappila Rebellion (Mappila Lahala)。地主の横暴にフラストレーションをつのらせたコーリコード地方のムスリム小作農民が蜂起し、地主の邸宅、官庁、警察署などを占拠し、多くのヒンドゥー教徒(とはいえ、被害者のなかにはムスリムの警察官やクリスチャンも含まれていたらしい)を殺害した事件。詳しくはこちら参照。
[1937年] マラバールで初のムスリム政党ムスリム・リーグの成立。
[1947年] インド独立。
[1956年] ケララ州の成立。
※近世以前の年号に関しては資料により数年の幅がある場合が多い。だいたいの目安ということで。

このエントリーの主要な参考資料
■Ananthapuri.com, Kerala History Series, Muslims of Kerala
Mappila Muslims of Kerala, a study of Islamic trends, Rolland E Miller, 1992, Orient Longman
■A Survey Of Kerala History, A Sreedhara Menon, 2006, S. Viswanathan Pvt. Ltd.
People of India - Kerala, K S Singh (ed.), 2002, Anthropological Survey of India, Affiliated East-West Press Pvt. Ltd.

Photobucket
コーリコードのマーピラの最初期の居住地といわれるテッケプラム(Thekkepuram)地区にある、巨大な木造のミシュカル・モスク。14世紀の創建とされる。このようなモスクらしからぬモスクはケララでもそれほど多くはない。湾岸出稼ぎが盛んになった1970年代以降に建造されたモスクは、ほとんどが石造またはコンクリートでドームを戴く万国共通の建築様式となっている。

投稿者 Periplo : 01:51 : カテゴリー バブルねたkerala
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2011年03月28日

レビュー:Bhargavinilayam

Bhargavinilayam01.jpg

いまから5年も前に書いた記事白黒時代の名作2に補追。

印度におけるホラー映画の(特に初期の)歴史というのは、大変興味深いテーマに思えるのだが、一愛好家が入手できる資料・鑑賞できる実作品は非常に限られていて、サックリとした要約ですら難しい。

ヒンディー映画に関しては、それでも多少のテキストが見つかる。ウィキペディアの Bollywood horror films の項には、1940年代から60年代にかけて公開されたホラー映画4本が挙げられている。この維基百科リスト(なぜか80年代まででストップ)、およびその筋では有名なサイト Bubonic Films のリストでも、またその他の資料でも、最初のホラー映画を Mahal (Hindi - 1949) Dir. Kamal Amrohi とするところでは一致している。これはホーンテッド・マンション+輪廻転生モチーフだという。比較的楽に手に入れられそうなのでそのうち見てみようと思う。

それから、1970年代末からはラムゼイ兄弟という、B級ホラーを専門に手がける制作者集団が現われている。この兄弟の送り出した作品群は、世界のモンド映画愛好家からは一定の注目を集めているようだ。ヴィジュアルはこんな感じ。正直な話、あんまし観たくないかも。

サウスのホラーに転じるとどうか。これがもう、絶望的なまでに資料がない。地道に一作一作をあたって行くしかないという感じ。これまでにも何度か書いてきたが、その中ではマラヤーラムは実作品で入手できるものがずば抜けて多い。「マラヤーラム界はホラー映画王国」と言い切ってしまうのには躊躇が残るが、他の3言語圏よりも盛んであるということについては間違いないと思う。今回はウィキペディアの散漫なリストのなかで最古のものとなっている白黒映画について紹介。

cvBhargavinilayam.jpgBhargavinilayam (Malayalam - 1964)

Director:Aloysius Vincent
Cast: Madhu, Prem Nazir, Vijaya Nirmala, Adoor Bhasi, Kuthiravattom Pappu, P J Anthony

タイトルのゆれ:Bhargavi Nilayam, Bhaargavi Nilayam,
タイトルの意味:House of Bhargavi

VCDの版元:Harmony
VCDの字幕:なし
VCDの障害:あり、下記参照

2006年に本作を4枚(2作品)組VCDで鑑賞した際には、ディスク1は問題なかったのに、ディスク2が最初の5分程度しか再生できなかった。その後シングル(2枚組)VCDが再発売となったので買ってみたのだが、そちらもディスク2がアウト。どちらもディスク2の盤面の同じ箇所に気泡のような汚れが付着していた。昨年後半になってダメ元でもう一度同じディスクを買い(さらに再生機も買い替え)たところ、めでたく全編通して見ることに成功したのだった。

なんでそこまで意地になったかというと、やはり5年前に観た最初の1時間超がなんとも素晴らしかったからだ。

まずは原作となったヴァイコム・ムハンマド・バシールのマラヤーラム語の短編小説、 Neela Velicham [Blue Light] から。英訳での分量だが僅か11ページほど。1952年に発表された短編集 Paavappettavarude Veshya の中の一篇。

【原作小説のあらすじ】
転居癖のある独身の小説家(名前は明かされない)は、ある日執筆に向いていそうな村はずれ(場所もまた一切明かされない)の一軒家を見つける。ひどく感じの良いその家が空家だったということに驚きながらも、彼は早速2か月分の家賃を前払いし、意気揚々と引っ越してくる。彼が入居を最初に知らせに行った郵便局員は、その住所を聞いて絶句する。郵便局員が言うには、その家では過去に不自然な人死にがあり、それ以降夜になると無人のはずの家の中で妙な物音がしたり、水道の水が勝手に流れ出したりと、不可解な出来事が起こるようになったというのだ。小説家は予想もしていなかった話に驚く。次に毎日の食事の出前を頼みに行った食堂では、従業員がさらに詳細を語ってくれた。不自然な死に方をしたというのはその家の娘、21歳のバーガヴィだった。彼女には深く愛し合った恋人がいたのだが、その恋人は最後に彼女を裏切り別の娘と結婚してしまった。その結婚式の夜にバーガヴィは自宅の井戸に身を投げて自死したのだという。幽霊が女であると聞き、小説家の緊張は半減する。「豪勇でもなければ臆病でもない」と自認する彼はその家でなんとか暮らしていこうと考える。

その家で迎えるはじめての夜から、彼は目に見えない幽霊に話しかける、バーガヴィ・クッティ、と(※)。彼は自分がこの家に住む事の許し、バーガヴィへのいたわり、蓄音機でかける音楽の話など、様々な物事についてしゃべる、まるで共に暮らす妻に対するかのように。食事の後、彼が執筆をはじめようとすると、背後に何かの気配が感じられた。振り返っても誰もいない。落ち着かず家の中を歩き回る彼の目に、窓の外の漆黒の闇の中に何かが一瞬光るのが見えた。

しかしそれ以上のことは何も起こらず、彼は2ヵ月半以上をその家で安穏と過ごす。最初の頃には熱心だったバーガヴィへの語りかけも、やがてなおざりになり、時々彼女のことを思い起こすだけになっていった。ある夜、執筆が佳境に入り夢中になっていた小説家は、卓上灯が消えそうになっているのに気がつく。執筆を中断したくない彼は、補充のケロシン油を求めて街中の銀行で夜勤をしている知人を訪ねる。油を分けてもらいすぐに引き返そうとしたところに雨が降り出し、やむなく知人とカードゲームで時間を潰し、結局家に戻ったのは3時間後の真夜中だった。

そこで彼が目にしたのは、消えかけていたはずの灯火が煌々とあたりを照らし出し、全体が青い光で満たされた書斎だった。(粗筋了、なおこの要約は英訳アンソロジー Poovan Banana And Other Stories を基にしている)

※クッティ(kutty)というのもなかなか訳しにくい言葉である。「~ちゃん」よりも用途が広い。単独で呼びかけで使われることもあるし、また正式な人名の一部となることもある。

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【寸評】
原作のストーリーはこれで全部、掌小説的というか、スケッチというか、劇的な展開は何もない。これをそのまま映画化するのは絶対無理だ。で、いろいろと変更を加えて起伏のある展開にしたわけだが、まあ、ふつう文学作品の映画化がそうであるように、細やかなニュアンスが飛び、ヒロイズムや勧善懲悪モラル、通俗的なロマンスなど(さらにはコメディまでも)が幅をきかせることになった。だが、IMDbを見ると、原作者のバシールが、ストーリーライターだけでなくダイアローグを担当しているとある。つまりこれは原作者も了承の上での改変ということだったのか。結果としては本作は大ヒットしたという(The Hindu 記事による)。

上に書いたように、文学的な深みという点ではかなり後退してしまった本作だが、それでも強力に推したいのは、超自然的な存在が自らを顕示するシーンの信じがたい美しさのためだ。それ以降多数作られたマラヤーラム・ホラー映画でもこれを超えたものは無いように思える。ただし、5年前の感想にも書いたが、効果音の演出が激しく安物じみていて、50年近く前の作品だとしても、もうちょっとどうにかならなかったものかと思えてしまう。しかし一方で上記の顕現シーンにおける楽曲の美しさはたとえようもない。以前に紹介したドキュメンタリー Cinemayude Kalppadukal(本作の監督であるA ヴィンセントも出演している!)でも、時代の証人たちが本作の音楽の特別さについて語るシーンがある(40:00~46:00のあたり)。

そして上に挙げたような本作の美点は、ほとんどが前半、つまりディスク1の範囲内にあるのだ、実のところ。苦心してやっと観たディスク2は、長大なフラッシュバック、つまりヒロインのバーガヴィがどのように恋人(映画では誠実な恋人というキャラクターに変更されている)と巡りあい、愛し合い、非業の最期を遂げたかという説明となっている(詳細なストーリー解説はウィキペディアにあり)。このクリシェをなぞった回想部分では、前半での緊張感がほとんど失われてしまっているのが残念。それじゃあ、この間の探求が無駄だったかというと、やっぱ人生捨てたもんじゃない、ディスク2ではヒロインのヴィジャヤ・ニルマラの美貌が炸裂しているのだった。

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ヴィジャヤ・ニルマラ、出生地や出生年は不明ながら今日のアーンドラ・プラデーシュの出身であることはほぼ間違いない。子役として出発し、本作でヒロインデビュー。その後タミル、テルグ映画にも出演し、特に後者ではクリシュナとの共演でヒットを多く飛ばし、二人は銀幕上のベストカップルとされた。その後なんとクリシュナの第二夫人(後妻ではなく)となって世間を驚かせた。マヘーシュ・バーブの継母という事になるが、自身の初婚でもうけた実子ナレーシュもまた俳優(当サイトでは主演作を紹介したことがある)。中年以降は監督に転じ、最も多作な女性監督としてギネスブックにも掲載されたという。現在は、(夫ともども)なにやら妖気漂うような佇まいだが、このデビュー作での可憐さには声を失った。

なので、最後まできちんと再生できる本作VCDの流通はやはり大変にめでたいことなのだった。

投稿者 Periplo : 00:39 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2011年03月23日

Project 2009:その7

ここまでお付き合い下さった皆さんに感謝しつつ連載の最終回。なお、最初に宣言したように、総潰し企画はこの2009年をもって終えることにしている。2010年については筆者が興味の赴くままに見た範囲内(それでも全体の半数程度はいっていると思う)の総括をそのうち行う予定。まだ幾つか残ってる注目作を潰した上で、2,3ヶ月以内にアップしたいと思っている。

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