2017年06月24日

6月のJ-テルグ

このシーンで裸足じゃなく革のサンダルを履いてるってのが突っ込まれたらしい
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Duvvada Jagannadham (Telugu - 2017) Dir. Harish Shankar

原題: దువ్వాడ జగన్నాధం
タイトルの意味:主人公の名前
タイトルの意味:DJ, Duvvada Jagannatham, Dhuvvada Jagannadham, etc.

Cast:Allu Arjun, Pooja Hegde, Rao Ramesh, Vennela Kishore, Posani Krishna Murali, Murali Sharima, Tanikella Bharani, Chandra Mohan, Jeeva, Shashank, Shatru, Prabhakar, Harish Uttaman, Pavitra Lokesh, Pragathi, Vidya Raman, etc.

Music:Devi Sri Prasad

■開催日:2017年6月25日(日)
■時間:13:30開映(チケット販売・引き換えは12:30ごろから)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円)、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば160分
会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※今回はランチ・スナックのケータリングなし。

映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/DuvvadaJagannadham/
公式トレーラー:https://youtu.be/fy-kooz9se4
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/WtPGNJECALo

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/06/duvvada-jagannadham-telugu-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
ヴィジャヤワーダでコックをしているドゥッヴァーダ・ジャガンナーダム(Allu Arjun)は気楽に生きていたが、温厚なバラモン青年という表の顔の他に、超法規的な仕置き人という別の顔も持っていた。彼はハイダラーバードの警察官(Murali Sharma)と秘密裏に連絡を取り合い、巨悪の追及に携わっていたのだ。あるとき出向いた結婚式で、彼はプージャー(Pooja Hegd)という女性と知り合い、一目惚れする。その一方、彼の叔父(Chandra Mohan)が投資詐欺の被害者となって自殺するという事件が起きる。復讐を誓った彼は、そのスキャンダルの中心にある不動産開発会社のトップであるロッヤラ・ナーイドゥ(Rao Ramesh)に近づく。

【主要キャラクター/キャスト】 ※イメージには本作のスチル以外のものも含まれる
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■ドゥッヴァーダ・ジャガンナーダム・シャーストリー/アッル・アルジュン
穏やかな愛他の精神と不正を許さない正義感の強さとを併せ持つバラモンのコック。ヴィジャヤワーダのサティヤナーラーヤナプラムというアグラハーラム(バラモンが集住するコロニー)に生活しており、アンナプールナという社名で仕出しサービスをしている。
■DJ/アッル・アルジュン
ドゥッヴァーダのもう一つの顔。平然と殺しをやってのける仕置き人。
■プージャー/プージャー・ヘグデ
内務大臣(Posani Krishna Murali)の娘。ドゥッヴァーダと恋に落ちる。演じるプージャー・ヘグデはムンバイ出身だがルーツはカルナータカにある人。サウス映画でデビューしたのち、リティク・ローシャン主演の Mohenjo Daro のヒロインに抜擢され、作品自体は大コケしたものの、ボリウッド・デビューとしては一定の評価を得た。デビュー5年目にして本作でやっと5本目の出演作になる。
■ロッヤラ・ナーイドゥ/ラーオ・ラメーシュ
アグロ・ダイヤモンドという不動産開発会社のトップ。演じるラーオ・ラメーシュは、これまで上映の作品でも度々登場しているので改めて紹介の必要もないだろうが、先日の南インド映画祭での「ジャスミンの花咲く家」でも品のない俗物を巧みに演じていたのを記憶している人もいるだろう。なお、ここに出てくるアグロ・ダイヤモンドという社名は、明らかに現在進行形のスキャンダルであるアグリ・ゴールド投資詐欺事件から頂いてきているもののようだ。

【トリヴィア】
本作のファーストルック・ポスターが今年2月に発表された時には、通常とは違う形でかなりの反響があった。全く根拠がないのにもかかわらずNTRジュニア主演の Adhurs の続編なのではないかなどとも言われた。その理由はただひとつ、ポスターでのバニーがバラモンの装いをしていたから。

こちらの記事をみれば一目瞭然だが、北インドと異なり南インドではバラモンの人口比率が極端に少ない。インドの、特にテルグ語の大衆映画は、「我々の代表」たるべき主人公にマイノリティをあてることがあまりないので、大衆スターであるアッル・アルジュンがバラモンを演じるというのは、かなりレアな出来事として、もう一つのレア物件である Adhurs と即座に結びつけて語られたのだ。

カースト制度の頂点に位置する階層であるバラモンは、しかし現実の世界では「特権者」というキャラクターだけでは語れなくなっているのが実情だ。かつて英国統治時代においては「唯一の知識階級」として社会的利益を独占していたバラモンだが、それが却って激烈な反バラモン運動を、特にタミルナードゥで生み(過去にここで書いた)、バラモンであることに肩身の狭さを感じさせる状況までもが出来した。しかし、これもまた一面でしかない。教育を武器にすることを知っていた、あるいは大規模な土地を所有していた勝ち組バラモンは、政財界に進出して相変わらず特権的な地位を享受しているし、そこまでは行かなくともIT技術者として都市型のアッパーミドル・クラスに収まっている新時代の成功者はかなりの割合でバラモンだったりする。

じゃあ負け組はどんななのかというと、財産をあまりもたず、古来のヴェーダ学問だけに固執し、他カーストとの接触を嫌ってきた旧守派の人々ということになる。もちろん、負け組というのは言葉の綾でしかなく、これこそが本来のバラモンの姿であると言うこともできる。映画の中に登場して、多くの場合軽い揶揄の対象となるこうした人々は、古来の典型的な職能である僧侶、料理人、音楽家として描かれることが多い。厳格な菜食主義、古臭い衣装、儀礼への固執、物質文明を拒む性向などといったステレオタイプを含んだコメディーは、タミル映画なら Nala Damayanthi、テルグ映画なら Adhurs の他に Seema Shastriなど、幾つかの先行作品がある。

カーストのことは脇に置いて、本作はもう一方で、のどかな農村映画へのオマージュという性格も持っていそうだ(ヴィジャヤワーダはAP第三の都市ではあるが、ほぼ田舎)。アーンドラ・プラデーシュ、とりわけ沿海アーンドラ地方の観客にとって、緑豊かな農村の風景というのは魂の原郷と言ってもいいくらいのものであるらしい。収穫期の肥沃な大地に伝統衣装で佇む農民像というのは、ANRが特に得意としていたもので、その農村ロマンス映画は不滅の形象となった。現代においても、都会育ちのボンボンであるラームチャランまでもが Govindudu Andarivadele ではこれに挑戦している。

もちろん本作は、同時に大都市(アブダビでロケされたという)でスタイリッシュなアクションが展開するシーンを含み、もしかしたらこちらの方がメインであるのかもしれない。こちらについてはいつものバニー節を安心して観ていられることだろう。Gabbar SinghRamayya Vasthavayya、「スブラマニヤム買いませんか」でお馴染みのハリーシュ・シャンカル監督の手腕にも期待だ。

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投稿者 Periplo : 01:05 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2017年02月09日

2月のJ-テルグ

異界への扉が開いちまいそうなイメージだが、大丈夫、怖くないよ。

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Om Namo Venkatesaya (Telugu - 2017) Dir. K Raghavendra Rao

原題:ఓం నమో వేంకటేశాయ
タイトルの意味:Om, I bow to Lord Venkateswara
タイトルのゆれ:Om Namo Venkateshaya, etc.

Cast: Nagarjuna Akkineni, Anushka Shetty, Pragya Jaiswal, Jagapathi Babu, Sourabh Raj Jain, Brahmanandam, Aditya Menon, Rao Ramesh, Raghu Babu, Pruthviraj, Vimala Raman, Ashmitha, etc.

Music:M M Keeravani

■開催日:2017年2月12日(日)
■時間:13:00開映
■料金:大人2600円(前売り2400円)、5-12歳の子供1400円(前売り1200円)、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば133分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/ONVMovie
公式トレーラー:https://youtu.be/rDaC7_5JtfY
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/Xi-yG8okL9c

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/02/om-namo-venkatesaya-telugu-2017.html
※2月10日の現地公開後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【概略】
ティルマラ・ティルパティ寺院の縁起と、最も有名な帰依者であるハティーラーム・バーワージー(バーバーとも)の行跡を描いたバクティ映画。おそらく後者がメインになるものと思われる。

ティルパティ寺院は「東方のバチカン」と形容されることもある、世界有数の裕福な寺院。その人気は全国区で、ラーヤラシーマの僻地であるにも拘わらず、門前町に空港を擁するほど。主神はヴェーンカテーシュワラで、ヴィシュヌと同一視されるが、ここではこの名で呼ばれている。

ティルパティ寺院縁起はこれまでテルグ映画で何度か映画化されている。特にNTRシニアによるもの(Sri Venkateswara MahatyamSri Tirupati Venkateswara Kalyanam)が有名。天界での揉め事が原因で、シュリーニヴァーサという無垢な若者に変じて地上に降り立ったヴィシュヌ神が、信仰心篤い人々に助けられて生活し、やがてトンダイマンダラム国の王女パドマーヴァティと恋に落ち、財神クベーラの助けで結婚する。神性を取り戻したシュリーニヴァーサは、その地でヴェーンカテーシュワラ神として祀られることになる。ラクシュミとパドマーヴァティは二人の神妃として主神の両脇に配置されることとなる。また、イスラーム教徒の王女でありながら、ヴェーンカテーシュワラ神に一途な帰依を捧げ、ついには神妃の一人となったビーウィー・ナーンチャランマのエピソードが後日談で加わることもある。

ハティーラーム・バーワージーのエピソードは、上記の寺院縁起のエピローグとして語られることが、これまで多かった。16世紀に実在したと言われるバーワージーは、今日のウッタル・プラデーシュ州の出身。巡礼でティルパティを訪れ、篤い信仰心から神像の元を去ることができなくなり、寺院に隣接する洞窟のような庵に住み着いてしまう。彼を嘉したヴェーンカテーシュワラ神は、夜毎に至聖所から抜け出し、バーワージーを相手に双六を楽しむ。ある日、神はくつろいだ中で外した宝飾品をバーワージーの元に置き忘れる。かねてより彼を快く思っていなかった寺院付きの僧侶たちは、バーワージーを盗人としてラージャーに引き渡す。ラージャーは彼に過酷で奇妙な刑罰を科すが、ヴェーンカテーシュワラ神の助けでバーワージーの無罪は証明され、彼は聖人と敬われるようになる。上記伝説の詳細についてはこちらなど。バーワージーの創立した僧院は1933年まで存続し、その後寺院の運営はTTD (ティルマラ・ティルパティ・デーヴァスターナム)に引き継がれることになった。

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【主要キャラクター/キャスト】
■ハティーラーム・バーワージー/ナーガールジュナ
これまでの映画作品では、バーワージーは、無力で無垢な老人として造形されてきた。エピソード自体も十数分の短い挿話でしかなかった。しかし今回、大スター・ナーガールジュナがこれを演じ、映画全体のメインテーマになるのならば、これまでとは違う、アクティブで闘争的な、カリスマ宗教者としての聖人像が描かれるのかもしれない。いわゆる「バクティ・コミュニズム」すら暗示されるかもしれない。
■クリシュナンマ/アヌシュカ・シェッティ
架空のキャラクター。バーワージーを師と仰ぐ女性信徒であるらしい。同時に、タミルのバクティ運動における12聖人のひとり、9世紀初頭の女性詩人アーンダール(ゴーダーデーヴィとも)からインスピレーションを得て造型された人物像ともいわれている。アーンダールは幼時からクリシュナ神への信仰が篤く、人間の男との結婚を拒み続け、ついにはクリシュナ神の神妃となったという伝承をもつ聖人。また、幼時の逸話として、神像に花輪を奉納する際に、常にそれを一度自分の首に掛けてから捧げていたというものがある。父は神への非礼として彼女をたしなめたが、クリシュナ神自身が彼女を擁護したという。これはその後のクリシュナ神との結婚を暗示するものと思われる。アーンダールの詩は、現在でも特に良縁を望む未婚女性たちによって儀礼の際に歌い継がれている。
ただし、現状で流通しているアヌシュカのスチル写真には、上記の女性詩人のイメージとは全くかけ離れたものもあって、恐らくソングシーン中でのバリエーションなのだろうが、様々な情感の表現が予想され、大変に楽しみである。
■ヴェーンカテーシュワラ神/サウラブ・ラージ・ジェイン
ヴィシュヌと同一視されるティルパティの主神。劇中ではゴーヴィンダー、ナーラーヤナ、バーラージなどの異名も使われると思われる。サウラブ・ラージ・ジェインはデリー出身で、主としてTVで活躍する。過去にも神話ものドラマでクリシュナ神を演じている。モデルも兼業しているこの人、長身で知られるナーガールジュナと並んでも優に頭一つ分は高い。そんなところも、神様役への抜擢の理由なのかもしれない。このニイちゃんに難癖つける気はない。しかしまあ、テルグファンとしてひとこと言わせてもらうならば、何でNTRジュニアを引っ張ってこないんじゃ~ ( ̄д ̄)
■ラージャー/ジャガパティ・バーブ
窃盗の嫌疑をかけられたバーワージーを裁く王。説話中では単に王としか言及されないことが多いが、16世紀初頭にヴィジャヤナガル王国を治め名君と謳われたクリシュナデーヴァラーヤとする説もある。〔2017.02.12追記〕これは間違い。バーワージーを裁く王はサンパトラージが演じている。
■バヴァーニ/プラギヤー・ジャイシュワール
バーワージーの従妹にあたる女性。バーワージーに想いを寄せている。
■?/ブラフマーナンダム
それでもやっぱりブラフミーは出てくるのか、やっぱりテルグ映画大作にはこの人は縁起ものとして欠かせないのか。写真は本作のスチルではない。

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【トリヴィア】
2012年の Shirdi Sai から5年ぶり、久しぶりに本格的な神話&バクティ映画がやってきた。しかも再びナーガールジュナとKラーガヴェーンドラ・ラーオのコンビだ。

主演のナーガールジュナは、ロマンチック・ヒーローを得意としているが、過去作品 Annamayya (Telugu - 1997) Dir. K Raghavendra Rao の圧倒的成功により、バクティものの第一人者とも見なされている。この二人がタッグを組んだ神話&バクティ映画としては4作目となる本作は、大いなる期待を集めて明日2月10日に公開される。日本公開が近づく『バーフバリ 伝説誕生』にも登場するアヌシュカ・シェッティにも大注目。

音楽は、『マッキー』『あなたがいてこそ』『バーフバリ 伝説誕生』を手掛けたMMキーラヴァーニ。こちらのトラックリストを見ればわかるように、133分というテルグ映画にしては比較的短いランタイム中に、12曲の楽曲を入れてきた。歌い倒し、踊り倒す、絢爛豪華な宗教ミュージカルが予想されて期待が高まる。

投稿者 Periplo : 17:54 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2017年01月19日

1月のJ-テルグ

BOSS IS BACKだ、61歳で、150本目で、9年ぶりで!それにしてもこの↓イメージを見たときは、息子が代理で写ってるのかと思っちまった。
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Khaidi No. 150 (Telugu - 2017) Dir. V V Vinayak

原題:ఖైదీ నెంబర్ 150
タイトルの意味:Prisoner No. 150
タイトルのゆれ:Khaidi Number 150, KN150, Kathilantodu(製作中の仮称), etc.

Cast:Chiranjeevi, Kajal Aggarwal, Tarun Arora, Brahmanandam, Posani Krishna Murali, Ali, Prudhviraj, Raghu Karumanchi, Raghu Babu, Jayaprakash Reddy etc.
Guest Appearance:Lai Rakshmi, Ram Charan, V V Vinayak, Devi Sri Prasad

Music:Devi Sri Prasad

■開催日:2017年1月29日(日)
■時間:13:30開映(チケット引き換えは13:00頃から)
■料金:大人2400円(前売り2200円)、5-12歳の子供1200円(前売り1000円)、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば147分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で軽食・スナックの販売あり。

映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/KhaidiNo150/
公式トレーラー:https://youtu.be/UwYfxVlwy64
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/Q72z0d6M9Ks

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:
http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/01/khaidi-no-150-telugu-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
コルカタの刑務所から脱獄したコソ泥のカッティ・シーヌ(Chiranjeevi)は、偽パスポートでバンコクに高跳びしようとするが、空港で出会ったラクシュミ(Kajal Aggarwal)に一目惚れしたため国外脱出を取りやめ、相棒(Ali)とともにハイダラーバードに潜伏する。あるとき、彼は何者かに銃撃され重傷を負ったコニデラ・シヴァ・シャンカラ・プラサード(通称シャンカル、Chiranjeevi)とめぐり会い、彼と自分との間の他人の空似に驚愕する。この瓜二つを利用して警察の追っ手をかわし、なおかつ金儲けをしようと考え、シーヌはシャンカルと入れ替わることにする。やがて彼は、シャンカルが水文学者であり、ラーヤラシーマ地方アナンタプラムの小村ニールルで、無辜の農民たちのために巨大企業のトップ(Tarun Arora)と戦っていたことを知る。

【主要キャラクター/キャスト】
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■カッティ・シーヌ/チランジーヴィ
テルグ人なのになぜかコルカタでお縄になって服役していたコソ泥。職業に有利な特殊能力として、建築物の見とり図を見ただけでその立体構造を脳内で透視できるというのがある。
■シャンカル/チランジーヴィ
シーヌと瓜二つの赤の他人。水文学者(hydrologistのことを日本語でこういう)で、ラーヤラシーマの寒村の農民たちが良質の水源を利用できるよう援助している。隠し切れない知性は眼鏡に現れている。
■ラクシュミ/カージャル・アグルワール
シーヌが一目ぼれする相手。『バードシャー テルグの皇帝』などでお馴染みのカージャルは、ただのダンス要員とも評されているが、メガスターの復帰作でヒロインをつとめるというのは、テルグ映画界の女優としては頂上を極めたということで、目出度い限り。
■アグルワール/タルン・アローラー
多国籍企業である清涼飲料水メーカーのトップ。上質な地下水を求め、ニールルを村ごと手中に収めようとする。タルン・アローラーはモデル出身のボリウッド俳優。本作をきっかけに南インド映画での出演が増えそうだ。

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【トリヴィア】

“As actors we all want to act till we die, provided people accept us. ANR lived and breathed cinema till he passed away.” (The Hindu 記事、Chiranjeevi: There’s a time for everything より)

3年前に日本でも上映されて大好評だった Kaththi (Tamil - 2014) Dir. A R Murgadoss の(かなり忠実だと言われている)リメイク。Shankar Dada Zindabad (Telugu - 2007) を最後に映画界から遠ざかり、どちらかと言えば実りのない政治活動に従事した9年のブランクの後に、テルグ映画界最大のスターであるチランジーヴィが送り出した復帰作。監督は、過去にもムルガダース作品のリメイクをチランジーヴィ主演でヒットさせた(Tagore)VVヴィナーヤク。撮影は「ロボット」のラトナヴェール。一番気になるダンス・マスターは、少なくともローレンスとジャーニー・マスターが手がけていることが分かっている。1月11日の現地封切り以降、キャッシュ・レジスターは鳴り続け、封切り週に100カロール越えを達成、150に向けて邁進中という。

上に書いたように、ストーリーは Kaththi とほぼ変わらない。最大の変更点は舞台をチェンナイからハイダラーバードにしたこと、それに原作にないブラフマーナンダムのキャラを加えたこと、なるほどこれをやればテルグナイズは完了と言っていいかもしれない。その代わりということでもないだろうが、チランジーヴィがメガスターと呼ばれるようになった所以である過去のヒット作、特に Khaidi (Telugu - 1983) や Khaidi No. 786 (Telugu - 1988) などからの引用がふんだんに盛り込まれているという。

それにしても、記念すべき節目の作品がリメイクというのはどんなものか(これに限らず、最近のテルグの大スター出演作はリメイクが目立つようになって来ている)というのは当然の疑問として湧き上がってくるのではあるが、一方でリメイクのネタ元に Kaththi を持ってきたというのは、「そうは言っても政治家兼業」のチルさんにとっては、やはりクレバーな選択であったという気もしている。メガスター自身はこうした問いに涼しい顔で答えている。政治活動によるブランクのあとのトップスターの復帰ということで、アミターブ・バッチャンを思い浮かべた人もいるかもしれない。バッチャン翁の場合、ちょうど良いクッションを置いて、トップでしのぎを削るヒーロー俳優から一歩引いて、重厚かつ自由なご老公様として見事に返り咲いたわけだが、チルさんの場合それはなかったようで、プロデューサーである息子ラーム・チャランのアドバイスのもと、若返りのためのトレーニングをみっちり積んで、年齢不詳の見事な仕上がりにしてきた。たぶんネ申は歳をとることを許されないんだと思う。

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投稿者 Periplo : 19:23 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2017年01月16日

1月のテルグ映画上映

まさかバーラクリシュナの新作を日本で見る日が来ようとは。これまでタミル映画を上映してきたマドラス・ムービーズによる初のテルグ映画上映。

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Gautamiputra Satakarni (Telugu - 2017) Dir. Krish Jagarlamudi

原題:గౌతమీపుత్ర శాతకర్ణి
タイトルの意味:主人公の名前
タイトルのゆれ:Gautami Putra Satakarni, GPSK, etc.

Cast:Nandamuri Balakrishna, Shriya Saran, Hema Malini, Shiva Rajkumar, Kabir Bedi, Tanikella Bharani, Subhalekha Sudhakar, Siva Krishna, Farrah Karimee, etc.

Music:Chirantan Bhatt

■開催日:2017年1月22日(日)
■時間:14:00開映(13:30頃からチケット引き換え・販売開始)
■料金:大人2000円、5-15歳の子供1000円、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば135分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※会場で別料金にてインド・スナックの販売あり。

映画公式サイト:https://www.gautamiputrasatakarni.com/
公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/kYxP_WbF2O0
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/ohU5F0GUeu0

■主催者公式サイト:http://madrasmoviesjapan.com/
■参考レビュー集成:
http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/01/gautamiputra-satakarni-telugu-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】 
紀元二世紀ごろのデカン地方。サータヴァーハナ朝の嫡子シャーリヴァーハヌドゥ、後のガウタミープトラ・シャータカルニ(Nandamuri Balakrishna)は、父の代に失われた領土を奪還し、さらに広げることを自らの使命と考えていた。戦に明け暮れる王の事績と、王母ガウタミー・バーラシュリー(Hema Malini)、后ヴァシシュティ(Shriya Saran)との家庭生活を描く。

【主要キャラクター/キャスト】
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■ガウタミープトラ・シャータカルニ/ナンダムーリ・バーラクリシュナ
サータヴァーハナ朝の中興の祖である、二世紀前半の王(王統の第三代、前一世紀後半のシャータカルニ王とは別人)。インド外の王朝を含む諸勢力を打ち負かして、一時期縮小していた王国の版図を拡大した。ナンダムーリ・バーラクリシュナ(愛称・略称としてバーライヤー、NBKなどとも)は、NTRシニアを始祖とする、テルグ映画界きっての芸能一家ナンダムーリ家の、いわば家長ともいうべき人。NTRジュニアは甥にあたる。1974年にデビューし、80年代にはライバルであるチランジーヴィと共に映画界を引っ張っていた。2000年前後からの芸風は、ともかくベッタベタの泥臭いアクション映画、特にラーヤラシーマものに特化していた。具体的には過去に書いた Okka Magadu のレビューなどをご参照いただきたいのだが、もう狂信的なファン以外誰も観やしないだろと思ってると、時々とんでもないクリーンヒットを飛ばすので油断できない人なのである。意外ヒットとしては、Simha (Telugu - 2010)、Sri Rama Rajyam (Telugu - 2011) など。そしてその作品群にどうやら本作も加わったらしい。封切り前は、ライバル・チランジーヴィの芸能界復帰作にして 150本目の出演作である Khaidi No. 150 が圧倒的に話題をさらっていたにも拘わらず、一日違いで蓋を開けてみたところ、ほぼ互角の戦い、レビューではむしろ優位に立っているくらいなのだ。チランジーヴィの150に対して、こちらはNBK100と銘打たれた、やはり節目の作品。伊達に芸能一家を率いちゃいないぜ、というところか。
■ヴァシシュティ・デーヴィ/シュレーヤ・サラン
シャータカルニの后。まだ幼い息子を夫と共に出征させなければならないことに懊悩する。シュレーヤー・サランは、「ボス その男シヴァージ」によって既に日本でもお馴染み。
■ガウタミ・バーラシュリー/ヘーマー・マーリニー
王母としてシャータカルニを支える。演じるヘーマー・マーリニーは、タミルナードゥ州出身で、1970年代のボリウッドのトップヒロインだった人。日本では「」(Hindi - 1975) での出演によって知られている。
■ディミトリウス/カビール・ベーディー
ギリシャから海を渡ってやってきた王。シャータカルニと武力衝突する。ただし、レビューによってはこのキャラクターを、古代インド北西部を支配した西クシャトラパ、クシャハラータ朝の最後の王ナハパーナとしているものもある。ボリウッドのベテラン性格俳優カビール・ベーディーは、「007/オクトパシー」(UK - 1983) などでも知られる。
■カーラハスティーシュワラ/シヴァラージクマール
テルグ語地域の伝統的な大衆演劇であるブッラカタの語り手。シャータカルニと劇中でインタラクションするのではなく、狂言回しの語り部として登場するらしい。ゲスト出演のシヴァラージクマールは、カンナダ映画界の永遠のアイドル、ラージクマールの長男。親父様の遺訓を破って初の非カンナダ映画出演となる。パッと見は垢抜けない短躯の中年男だが、ダンスはかなり上手いほう。その名も Burra Katha という劇中歌のメイキング・シーンからは期待が膨らむ。

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【トリヴィア】
日本公開が近づく「バーフバリ 伝説誕生」の影響はやはりあると思うのだが、ここのところインド映画での歴史ロマン/ファンタジーというか甲冑ものが目に付くようになってきた。

 デカン地方の広い範囲を最初に統合したのはサータヴァーハナ朝である。サータヴァーハナ朝はプラーナ文献に記されたアーンドラ朝と同一で、サータヴァーハナが刻文に記された王家(クラ)の名、アーンドラは部族(ジャーティ)の名であると考えられている。
 最初の王がシムカであることはほぼ確定しているが、王朝初期の歴史や統治した王の数、その在位年などに不明な点が多く残されている。アーンドラの名は後期ヴェーダ文献には、アーリヤ人が優位を築いた社会の埒外におかれたダスユとして記されている。おそらくデカン地方土着の先住民の流れをくむ一族であったと考えられる。諸王はバラモン(ブラーフマナ)の出自を主張しており、そうした北インドの先進文化受容の背景には、北インドからの情報や物資の流入、相互の人的交流(混血)も進展してしたと見てよい。
 王朝創始に際しての拠点となった地域については諸説あるが、プラティシュターナ、ナーシクなどの重要都市が位置するゴーダーヴァリー川上流域のマハーラーシュトラ西北部の可能性が大きい。アーンドラ地方北部や、ヴィダルバを中心としたマハーラーシュトラ東北部とする見解もあるが、後二者における王朝初期の刻文や貨幣の発見数はマハーラーシュトラ西北部に較べればかなリ少なく、王朝初期の主要な活動の場をマハーラーシュトラ西北部と見みなすことが妥当である。
 王朝の勢力を確固としたものにしたのは、第三代のシャータカルニ王で前一世紀後半から後一世紀にかけてのことであったと考えられる。首都がプラティシュターナ(現パイタン)に定められ、支配領域は東のアーンドラ地方や南のカルナータカ地方、北はナルマダー川を越えてマールワーにまで広げられた。王は覇王がおこなうとされるヴェーダの祭式アシュヴァメーダ(馬祀祭)を施行している。マールワー東部に位置し前一世紀に現在のかたちに拡張されたサーンチー第一塔(大塔)の碑文に記されたサータカルニはこの王のことてあると考えられる。北インドヘの勢力拡大の一端を証するものといえよう。前一世紀とされるカーラヴェーラ王のハーティグンパー碑文には、同時代にオリッサ地方の西隣を支配した王として、このシャータカルニの名があげられている。
 その後一世紀後半から二世紀の初頭には、サータヴァーハナ朝は、北方のグジャラート地方から勢力を伸張したシャカ族のナハパーナとその女婿ウサバダータによってデカン高原西北部の支配権を奪われている。王朝を再興したのは、二世紀前半に統治したガウタミープトラ・シャータカルニ王である。王の治績は、後代の王シュリー・プルマーヴィのナーシク碑文のなかで、サカ(シャカ)、ヤヴァナ(ギリシア人)、パフラヴァ(パルティア)を打ち負かし、クシャハラータ朝を滅ぼして、サータヴァーハナ家の名誉を回復したとして顕彰されている。(中略)

 サータヴァーハナ朝がデカン地方を支配した紀元前後の数世紀は、インド亜大陸を中継地としてローマと中国を結ぶ東西交渉が盛んであった。二世紀後半の成立と考えられる『エリュトラー海案内記』には、季節風を利用する海上交易によって殷賑を極めるインドの港の様子が記されている。なかでも西海岸のカンバー(キャンベイ)湾に面したバールカッチャ(ブローチ)はインド第一の港町で、その取引量の大さは王朝の経済を潤した。サータヴァーハナ朝とシャカ族諸勢力とのデカン西北部の支配をめぐる攻防は、こうした経済拠点の獲得の争いでもあった。
 サータヴァーハナ朝が中心領域をアーンドラ地方に移したことで、アマラーヴァティーを中核としたクリシュナー川下流域は、ナーシク、ジュンナルなどのゴーダーヴァリー川上流域につづく仏教文化の一大拠点となった。地理的環境の相違により前者が仏塔を中心にすえた構築寺院であるのに対し、後者が石窟の形態をとっていることも注目される。その繁栄は四世紀にかけてのイクシュヴァーク朝の時代にも継続し、首部ヴィジャヤプリー近郊のナーガールジュナコンダは、王家の女性の支援を受けて新たな仏教信仰の中心地となり、北はマガダ地方から南はスリランカにいたるまで信者のネットワークを広げている。
 サータヴァーハナ朝諸王の名のなかには、ガウタミープトラ(ガウタマ家の女性の子)などのように、母方の姓を記しているものが少なくない。こういった名称は北インドの王には見られず、とくにドラヴィダ系言語文化のなかに見られる母系制の名残りであるとして、王家の出自もそこに求める見方が有力である。一方でサータヴァーハナ朝諸王は、前述のように自らバラモンと称し、混乱したヴァルナ秩序を回復したと誇示して、北インドの社会制度の移植やヴェーダ文化の受容に熱心に取り組んだ。サータヴァーハナ朝と桔抗した勢力を保ち姻戚ともなったシャカ族のルドラダーマン王が、現存最古とされるサンスクリット頌徳文によるギルナール石碑を立て、そのなかでマウリヤ朝時代につくられた貯水他の修復の事績を誇っている。
 しかしそれは一方的受容にとどまるものではなかった。アマラーヴァティーやナーガールジュナコンダなど巨大なストゥーパを中核とする仏教僧院群には、仏像と仏足蹟や法輪などによるブッダのシンボル表現とが長く共存するこの地域独得の形が展開しており、北インドの先進文化と土着の文化要素とを巧みに融合させることを試みたこの王朝の性格をよく物語っている。

石川寛「サータヴァーハナ朝からヴァーカータカ朝へ」(世界歴史体系 南アジア史3 南インド P.40-44)より。

上記がサータヴァーハナ朝の概要だが、何しろ紀元前後のこと、考古学上の研究・発見は途上にあり、定説が確立していないのが現状。そうはいっても幾つか覚えておきたいポイントはある。

●ヒンドゥー教が確立する以前、バラモン教と仏教、ジャイナ教が併存していた時代が舞台である。
●デカン地方を統一した史上初の王朝(地図参照)で、インド亜大陸中部のアラビア海とベンガル湾の両岸を領土内に収め、ギリシャをはじめとした西方世界、そして中国や東南アジアとの交易から利益を上げていた。
●現在のマハーラーシュトラ州からテランガーナにかけての地方で発祥し、後にアマラーヴァティ(2024年前後にアーンドラ・プラデーシュ州の新州都となるべく、現在大規模な建設工事が行われている)を首都とした。
●アーンドラ族によって打ち立てられた王朝だが、アーンドラ族は必ずしもテルグ語の話者であった訳ではない。公用語はプラークリット語であった。アーンドラとテルグという二つの用語の難儀な使い分けについては、前掲書に所収の「テルグ語とアーンドラ人の近代」(山田桂子)に詳しい。

とはいえ、本作が歴史の考証に忠実な作品とは思えない。史料を残すのに熱心でないことでは定評のあるインド人、ましてや紀元二世紀の話だ。猫足の家具やシャンデリアが出てくるかもしれない。立体裁断の衣装なども平気で着られてると思う。

そうしたリアリティの追求は措いても、監督のクリシュが作品に込めようとしたのは、おそらく「我々テルグ人/アーンドラ人とは何者なのか、民族の創生・民族の自尊心をどこに求めるべきなのか」という問いなのではないかと思う。もちろんこれは、部族や言語の起源が学術的に正確に描かれるということには全然つながらないのだが。

サンスクリットと並ぶ最古の文学伝統を持ち、それを根拠とした民族主義運動を興し、DMK映画というジャンルまでを作ってしまったタミル人とは対照的に、テルグ映画の歴史の中では、民族意識にアクセントを置いた作例が不思議なほどに少ない。沿海デルタ地方の正調とされるテルグ語で台詞が口にされていればそれで充分というかのような落ち着きぶりだったのだ。しかし、2014年のテランガーナ分州という大激震で、そうした安穏の時代も終わりを告げた。このような問いは、有為の映像作家たちによって、これからも繰り返し発せられていくのではないか、もちろんどこまでも娯楽的な物語世界の中で。

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投稿者 Periplo : 01:29 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2016年09月03日

9月のJ-テルグ

テーマは環境保護&都市の緑化!?なのか(それはそうと、いつものチェックのシャツがキマってるな)

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Janatha Garage (Telugu - 2016) Dir. Koratala Siva

原題:జనతా గ్యారేజ్
タイトルの意味:主人公が勤める自動車・二輪車修理工場の名前。Janatha は公衆、大衆、人民の意。
タイトルのゆれ:Janata Garage, etc.

Cast:NTR Jr, Mohanlal, Samantha, Nithya Menon, Unni Mukundan, Saikumar, Devayani, Suresh, Rahman, Sithara, Ajay, Rajiv Kanakara, Brahmaji, Benarjee, Vidisha Srivastava, Vennela Kishore, Kajal Aggarwal, etc.

Music:Devi Sri Prasad

公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/7O4Hm070Bc8
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/WvNntMg1ivw

■開催日:2016年9月4日(日)
■時間:13:30開映
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約153分(163分説もあり)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※インターミッションに別料金でスナックの販売あり。

■映画公式サイト:https://www.janathagarage.com
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/09/janatha-garage-telugu-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】 
ムンバイ育ちのアーナンド(NTR Jr)は環境問題の専門家。調査の一環でハイダラーバードにやってくる。些細な諍いごとをきっかけに、「ジャナター・ガレージ」のオーナーであるサティヤム(Mohanlal)と知り合う。サティヤムは1980年代にこの地で修理工場を始めた人物で、地域の人々が窮状に陥ると惜しみなく手を差し伸べることで知られている。一介の町工場の主でありながら、人々の信望が厚く、現在は政治家や官僚からも一目置かれていている。アーナンドを見込んだサティヤムは、彼にジャナター・ガレージの一味に加わるように求める。アーナンドとサティヤムの共闘の相手は誰なのか、そして二人の関係とは?

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【主要キャラクター/キャスト】 写真は省略。公式サイトのキャスト一覧を参照
■アーナンド/NTRジュニア
ムンバイ育ちのテルグ人で、名門インド工科大出の環境問題研究科・運動家。自然を破壊する罰当たり者を目にすると、自然の猛威そのもののように荒れ狂う。メッセージを前面に押し出した本作にかけるNTRジュニアの意気込みは、こちらのインタビューなどで。
■サティヤム/モーハンラール
どんなポンコツでも直しちゃうぜ、捻じ曲がったパーツは素手で叩いて真っ直ぐにしてやるぜ、という「人民修理工場」のオーナー。抑圧された貧しい人々に救いの手を差し伸べる大親分。その人徳と信望によって州首相(テランガーナの?APの?)にすら一目置かれているという。今作ではラルさんの声はセルフダビングではなく、ムールティという人が吹き替えているそうだ。
■ダナ/サマンタ
ムンバイに住むアーナンドの恋人。ジュニアとラルさんがツインタワーとしてそそり立つ本作ではあまり長い出演ではないらしい。
■?/ニティヤ・メーノーン
こちらも極めて短い出演時間。ただし、レビューによると、本作では希少な笑いの場面をつくっているという。
■ラーガヴァ/ウンニ・ムクンダン
サティヤムの息子だが、父とは正反対に野心家で、上昇志向を満たすためには反社会的な手段をとることも厭わない。最初はファハド・ファーシルにオファーされていたという噂もある役柄。演じるウンニ・ムクンダンは、デビューから5年目の若手マラヤーラム俳優。どうもうまくニューウェーブに乗り切れていない人だが、自慢の小顔と筋肉とでテルグ映画界に売り出しがかけられるか。
■ムケーシュ/サチン・ケーデーカル
不動産業を中心としたコングロマリットのトップに立つ実業家。サティヤムとは長年の宿敵。

【トリヴィア】
ガレージという単語はインド(というか英語)の場合、単なる駐車場ではなく、自動車修理工場を指す。そこで油と汗にまみれて働くメカニックは、インド映画世界では、ある種いなせなイメージをもって描かれることが多い。無双の強さを誇る庶民のヒーローの平時の姿みたいな設定の作品も少なくない。

そんなメカニックたちを何人も擁するガレージのオーナーが、ほとんど影の政府とでもいえるほどに発言力を持っている。そして、鉱物資源マフィアともつながりを持つ悪徳実業家と対立するのだが、そこに鉄砲玉兼理論家みたいな若いのがやってきて自然保護のために共闘する。書いてて唖然とするような設定だ。

本作の一番の目玉は何といってもモーハンラールとNTRジュニアの共演。モーハンラールは20年ぶりのテルグ映画出演と騒がれたが、20年前の Gandeevam (Telugu - 1994) はソングシーンのみのカメオだった。本作と、一足早く公開された Manamantha (Telugu - 2016) とが、実質的なテルグ・デビューといっていいだろう。同時に、ラルさんがマラヤーラム以外の映画界のトップヒーロー主演作に客演したものとして、ヴィジャイと共演の Jilla (Tamil - 2014)、プニートと共演の Mythri (Kannada - 2015) と連なる、いわばシリーズの総仕上げといってもいいだろう。

テルグ映画を長らく見続けてきた者にとって、トップスターのビッグバジェット作品にエコロジーなんていうテーマが取り上げられるのは隔世の感がある。しかしここで注意しておきたいのは、日本でぼんやりと流通している「環境保護=反体制」というイメージは、必ずしもインドでの実情とは合致していないということ(ラディカルで反体制的な運動も存在はしているが)。2014年のモーディー政権の発足からほどなくして始まった「クリーン・インディア・キャンペーン(Swachh Bharat Abhiyan)」は、かなり活発な官製運動として現在も継続している(効果のほどについては、筆者はあまり楽観視していないが)。実際に、経済成長のただなかにある10億の人々の営みの環境へのインパクトは、場所によっては街の見栄えとかそういったものを越えて危機的なレベルにあるとも思われるのだ。

昨年公開作の中ではかなりのヒットとなった Srimanthudu (Telugu - 2015) で、僻村の開発にスポットライトをあてたコラターラ・シヴァ監督が、今回はどんな視点を提供するのか、そして娯楽要素をどのように織り込んでくるのか、期待して臨みたい。

環境破壊するやつは絶対許さないマン。これは私闘ではなく環境保護活動だっ!
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投稿者 Periplo : 01:15 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2016年06月09日

6月のJ-テルグ

田舎を舞台にした爽やかラブコメという話だ。

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A Aa (Telugu- 2016) Dir. Trivikram Srinivas

原題: అ ఆ
タイトルのゆれ:A..Aa.., etc.
タイトルの意味:テルグ語の(というかほとんど全てのインド語の)アルファベットの最初の2文字。ヒロイン(アナスーヤ)とヒーロー(アーナンド)の頭文字を並べたもの。

Cast:Nitin Reddy, Samantha, Anupama Parameshwaran, Naresh, Nadhiya Moidu, Hari Teja, Ananya, Rao Ramesh, Srinivas Avasarala, Ajay, Srinivasa Reddy, Easwari Rao, Posani Krishna Murali, Giri Babu, Raghu Babu, Sana, Praveen, etc.

Music:Mickey J Meyer

公式トレーラー:https://youtu.be/t_FtkvfgYUo
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/GWv8uq-JMw4

■開催日:2016年6月12日
■時間:14:30開映(13:00頃からチケット引き換え・販売開始、映画は18:00頃に終了予定)
■料金:大人2400円(予約2200円)、6-15歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約154分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※インターミッションに別料金でスナックの販売あり。下記のチケット予約フォームから予約も可。

■映画公式サイト:http://www.aaatelugumovie.in/
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/06/a-aa-telugu-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
ハイダラーバードの裕福な家庭の子女アナスーヤ(Samantha)は、不足のない暮らしを送りながらも専横な母マハーラクシュミ(Nadhiya Moidu)の干渉に酷い圧迫感を感じ、自殺未遂を起こしてしまう。理解ある父親のラーマリンガム(Naresh)は、マハーラクシュミの故人となった兄弟の家がある、ヴィジャヤワーダ近郊のカルヴァプーディ村に彼女を送り込む。彼女の精神状態を慮った父は、目的地までの道づれになるようアーナンド(Nithin)に頼む。彼もまた家族が村に住んでいる。二人はやがて愛し合うようになるのだが、それぞれには決められた婚約者がすでにいたのだった。

【主要キャラクター/キャスト】イメージには本作のスチルからではないものも混じっている。
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■アーナンド・ヴィハーリ/ニティン・レッディ
日本初登場のニティンは、2002年デビューで10年以上のキャリアをもつ中堅ヒーロー。表情に乏しい顔立ち、バランスが微妙におかしい奥目、巨漢ぞろいのテルグ映画界にあっては目立たない地味な体型、なぜこいつがヒーローを続けられているのかというと、答えは簡単、親爺がプロデューサーだからなのだ。とはいえ、アクション映画には向かないボンボンでも、ニッチな役柄を与えられると良い味を出すこともある。ハヌマーン神への帰依者を演じた異色のファンタジー Sri Anjaneyam、ヒロインを輝かせる引き立て役に徹した Ishq など、忘れがたい佳作も幾つかある。ニザーマーバード生まれで生粋のテランガーナっ子、数年前から「テルグ映画界での唯一のテランガーナ・ヒーロー」のように持ち上げる動きもある。
■アナスーヤ・ラーマリンガム/サマンタ
Theri からこっち3ヶ月連続4回目の登場となるサマンタ。本作では事実上の主人公はこのサマンタであるらしい。吹き替えに頼っている点には変わりないのだが、円熟味を増したこれまでのベスト演技と賞賛されている。
■ナーガヴァッリ/アヌパマ・パラメーシュワラン
カルヴァプーディ村の地主の娘。アーナンドの婚約者であるが、アナスーヤとアーナンドの仲の良さを見せつけられて嫉妬する。演じるアヌパマ・パラメーシュワランは昨年上映のマラヤーラム映画 Premam でインパクトのあるデビューをした新人。演技よりも何よりも圧倒するカーリーヘアに目を奪われたのだった。しかし今回はその髪の毛をひっつめにして、テルグ語台詞のセルフダビングも敢行し、攻めの姿勢。
■マハーラクシュミ/ナディヤ・モイドゥ
アナスーヤの母。会社経営者でもある。娘に対して独裁者として振舞う。演じるナディヤは、1980年代後半のヒロイン女優で、ブランクの後2000年代後半からお母さん役として復活。現代的で若々しく、気の強さマックスの母親という本作でのキャラはまさに嵌り役。
■ラーマリンガム/ナレーシュ
アナスーヤの父。母の支配に苦しむ娘をやさしく見守り、助けの手を差し伸べる。ナレーシュは1980年代から地味~に活動を続けるテルグ俳優。ヴィジャヤ・ニルマラの最初の結婚によって生まれた息子で、マヘーシュ・バーブの血の繋がりのない兄ということになる。

【その他のキャラクター/キャスト】
■バッラム・ヴェンカンナ/ラーオ・ラメーシュ
ヴィジャヤワーダ近郊のカルヴァプーディ村の地主。ナーガヴァッリの父。
■マンガンマ/ハリ・テージャ
アナスーヤの付き人。
■バーヌマティ/アナニンャ
アーナンドの妹。
■シェーカル・バナルジー/シュリニーヴァース・アヴァサラーラ
マハーラクシュミによってアナスーヤにあてがわれた婚約者。

【トリヴィア】
2013年のメガヒット Attarintiki Daredi、そして昨年の S/O Satyamurthy でおなじみになったトリヴィクラム・シュリーニヴァース監督の新作。大スターと組んだアクション映画の中でも、恋愛や家族センチメントにも気を配り、味わい深い作品群を送り出してきた。今作は、1973年に女性監督ヴィジャヤ・ニルマラによって手掛けられた Meena という作品のリメイクではないかと噂されてきたが、蓋を開けてみると、確かに Meena を十分に意識してストーリーラインの基本をなぞりながらも現代的なリアリティを加えて細部を改変した、微妙なものであるようだ。この「オリジナル」作品は、明らかに女性が主役の作品で、なおかつ主演女優が監督も兼ねたという大変に珍しいもの。また一方で本作は、シッダールトが過保護・過干渉な父親からの自立を求めてあがく青年像を演じた Bommarillu を女性版にしてみたもの、と評する人もいる。緑豊かな田園風景をバックにした、繊細なロマンス+コメディに期待したい。

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投稿者 Periplo : 01:25 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2016年05月21日

5月のJ-テルグ2

るるるん、バイクに乗ってルーツ探し~

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Brahmotsavam (Telugu- 2016) Dir. Srikanth Addala

原題:బ్రహ్మోత్సవం
タイトルの意味:Grand Celebration

Cast:Mahesh Babu, Kajal Aggarwal, Samantha, Pranitha Subhash, Naresh, Sathyaraj, Brahmaji, Jayasudha, Revathi, Saranya Ponvannan, Easwari Rao, Rao Ramesh, Tanikella Bharani, Sayaji Shinde, Nassar, Tulasi, Krishna Bhagavan, Pavani Gangireddy, Vennela Kishore, Mukesh Rishi, Gollapudi, Posani Krishna Murali, Rohini Hattangadi, Chandini Chowdar, etc.

Music:Mickey J Meyer, Gopi Sundar (BGM)

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/awI21cZggpk
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/X-3gBuVVqNs

■開催日:2016年5月28日(土)
■時間:15:00開映(チケットの引き換えは14:00ごろから、映画は18:00前に終了予定)
■料金:大人3000円(予約2600円)、5-12歳の子供1600円(予約1300円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
※今回は予約割引料金適用には事前の銀行振り込みが必要
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約156分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/05/brahmotsavam-telugu-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】※本作ではほとんどの登場人物の役名が明かされないので、以下の粗筋では便宜上、役者の名前を代わりにあてる。
ヴィジャヤワーダに居を構える富豪一家の当主サティヤラージ(Satyaraj)は、広い心の持ち主で誰からも慕われている。彼の何よりもの喜びは、節目ごとに大家族が一堂に会して華やかな祝い事をするのを見ることだった。ある時、彼の息子マヘーシュ(Mahesh Babu)は、休暇で遊びに来ていたカージャル(Kajal Aggarwa)に出会い、やがて二人は密かに愛し合うようになる。一方、マヘーシュの母方オジのラーオ・ラメーシュ(Rao Ramesh)は、自分の娘をマヘーシュと結婚させようと考えている。やがて、マヘーシュとカージャルの恋愛が引き金となって、一族は大きな悲劇に見舞われ、離れ離れになってしまう。マヘーシュは再び一族を結びつけようと願い、サマンタ(Samantha)と共にインド中を旅する。七代前の祖先にまで遡り、各地に散らばっているその末裔を訪ね歩き、自らのルーツを確認するための行脚だった。

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【主要キャラクター/キャスト】額縁内のイメージには本作のスチルからではないものも混じっている。
■名前のない主人公/マヘーシュ・バーブ
自分では何も考えてない奴と言ってるけど、実際には人々の幸せのために心を砕いている。本作ではなぜか多くのキャラクター(特に男性)の名前が明示されない。この主人公は、マノードゥ(one of us)と呼ばれ続けるらしい。
■後半に登場するヒロイン/サマンタ
主人公の外国に住む姉妹の友人。悲劇に見舞われた主人公を励まし、共に旅に出かける。
■カーシー・アンナプールナ/カージャル・アグルワール
家長の友人の娘。NRIで、現代的な考え方をする女性。休暇でオーストラリアからヴィジャヤワーダにやってくる。
■家長の姪/プラニタ・スバーシュ
主人公との見合い婚をお膳立てされる。
■主人公の父/サティヤラージ
ヴィジャヤワーダで塗料メーカーを経営する企業家で、赤貧から身を起こし、大富豪になった人物。大家族の家長。一族そろっての祝い事を盛大に行うことを好む。
■家長の妻、主人公の母/レーヴァティ
■家長の義理の妹/ジャヤスダー
家長の妻の兄弟の妻。主人公からはオバにあたる。
■家長の義理の弟/ラーオ・ラメーシュ
家長の妻の兄弟。主人公からは母方オジにあたる。上昇志向があるが、叶えられず、フラストレーションを溜めている。娘を主人公と結婚させて、一族の中でのプレゼンスを高めようと考える。


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【トリヴィア】
Srimanthudu から9か月ぶりにマヘーシュが帰ってきた。そして2013年の大ヒット作 Seethamma Vakitlo Sirimalle Chettu のシュリーカーント・アッダーラと再びタッグを組んでだ。

シュリーカーント・アッダーラ監督のテーマは、前作と同じくここでも「家族の価値」。しかも更に更にメッセージの比重が高まっているのだという。多くの日本人観客にとっては必ずしも消化のいいメニューとは思えないが、マヘーシュ、そしてサマンタとカージャルという二大ヒロインが織りなす恋模様は、とてもお口にやさしい予感がする。加えて高い評価を得ているのが、『ロボット』を手掛けたことで知られるカメラのラトナヴェール、『ボス その男シヴァージ』などの美術で知られる巨匠トーッタ・タラニ、音楽のミッキーJメイヤーなどの強力な裏方。最強スタッフが作り上げるキラキラした祝祭の空気は、看板ソングである ♪Vacchindi Kada Avakasam (ここでは敢えてメイキング動画をリンクしておく、歌詞の英訳はこちら)に最もよく見て取れるだろう。

大邸宅で繰り広げられる家族の祝祭と並んで興味を惹くのが、後半のインド各地の旅の描写。ヴィジャヤワーダっ子の主人公が出かけていくナーグプール、ハリドワール、ジャイプル、ソーラープール、ベナレス、バンガロールといった町々が、テルグ映画のレンズによってどのように捉えられるのか、ロードムービーとしての楽しみも期待できそうだ。

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投稿者 Periplo : 21:26 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2016年04月24日

5月のJ-テルグ

あーだこーだ言ってみても、結局一番の見どころはバニーのダンスなんじゃないか。
※下はマラヤーラム語吹き替え版 Yodhaavu のポスター
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Sarrainodu (Telugu- 2016) Dir. Boyapati Srinu

原題:సరైనోడు
タイトルの意味:The Right Man
タイトルのゆれ:Sarainodu

Cast:Allu Arjun, Rakul Preet Singh, Catherine Tresa, Srikanth, Aadhi,Suman, Jayaprakash, Saikumar, Adarsh Balakrishna, Devadarshini, Brahmanandam, Vinaya Prasad, Surekha Vani, Jaya Prakash Reddy, Pradeep Rawat, Kitty, Annapoorna, Rahul Verma, Vidyullekha Raman, Anjali, etc.

Music:S S Taman

公式トレーラー:https://youtu.be/m_ghk3lhIg0
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/auxrmpxkop0

■開催日:2016年5月1日
■時間:13:30開映(1時間前頃からランチ販売開始、映画は17:00前に終了予定)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約159分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチ、インターミッションにスナックの販売あり、下記のフォームから予約可。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Sarrainodu
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/04/sarainodu-telugu-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
ガナ(Allu Arjun)は、軍隊からドロップアウトし、気ままに暮らす若者。しかし軍務とは別の形での社会への奉仕の方法を模索しながら、州首相の秘書を勤める父ウマーパティ(Jayaprakash)や弁護士の叔父シュリーパティ(Srikanth)と日々を送っている。旧友の娘との見合いをするよう父から命じられた彼は、相手の住むパルナシャーラ村に赴くが、その途中でハンシタ・レッディ(Catherine Tresa)と出会い、一目ぼれする。ハンシタにあの手この手のアプローチをするガナ。一方で、見合い相手のマハー・ラクシュミ(Rakul Preet Singh)もガナを頼って彼のもとにやってくる。彼女と彼女の村が、州首相の息子ヴァイラム・ダヌシュ(Aadhi Pinisetty)によって脅かされているというのだ。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。
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■ガナ(アッル・アルジュン)
短期間在籍した陸軍を自らの意思でやめた男。正義感が強いが、腕力で物事を解決しようとするところがある。演じるアッル・アルジュンについてはここで書いた。前回のソロ主演作 S/O Satyamurthy は、おとなし目のストーリー&最後は説教で締めるような展開で、やや不満が残った。本作ではトレーラーを見るだけでも大暴れしていることが分かり、期待が膨らむ。
■マハー・ラクシュミ(ラクル・プリート・シン)
レビューによってはジャヌの役名も振られている。パルナシャーラ村に住む若い娘で、ヴァイラム・ダヌシュに付けねらわれている。Bruce Lee - The FighterNannaku Prematho に続きJ-テルグ登場3回目のラクル・プリートは、今回は珍しく村娘役。
■ハンシタ・レッディ(キャサリン・トリーサ)
レビューによってはディヴィヤの役名も振られている。かつての州首相の娘で、父が事故死した後、遺志を継いで政治家となり、現在は州会議員(MLA)。 アッル・アルジュンとは Iddarammayilatho でも共演しているキャサリン、よりによって代議士役かよと思ったが、現地レビューでも「大笑いだぜ」と評されているので安心した。
■ヴァイラム・ダヌシュ(アーディ・ピニシェーッティ)
現職の州首相の息子。マハー・ラクシュミの住む村の開発に意欲を燃やし、異議を申し立てる人々をウルトラ暴力によって黙らせる無法者。タミルの田舎映画でのむさ苦しいヒーロー役が印象的なアーディだが、本作で初の悪役挑戦となる。

【その他のキャラクター/キャスト】
■ウマーパティ(ジャヤプラカーシュ)
州首相の主席秘書官。ガナの父。
■シュリーパティ(シュリーカーント)
弁護士。ガナの叔父。
■ジャヤプラカーシュ、またの名をJP(サーイクマール)
マハー・ラクシュミの父で、ウマーパティの親友。パルナシャーラ村の良心。
■アイテム出演(アンジャリ)

【トリヴィア】
バイオレンス映画の第一人者ボーヤパーティ・シュリーヌ監督の最新作。過去には Dammu が上映されたことがある。これまで比較的おっさん力の高い俳優と組んでずっしりと重量感のある暴力を描いてきたシュリーヌ監督が、ちゃらちゃらヤングの代表格とも言えるアッル・アルジュンをどう使うかが注目される。

もうひとつ気になるのは、主人公がお助けマンとして赴く(ことが予想される)パルナシャーラ村。架空の村ということもありえるが、この名前を持つ土地はテランガーナ州カンマム郡に実在するラームダースの伝説で名高い巡礼地バドラーチャラムから30kmほどのところにあり、この地こそがラーマ、シーター、ラクシュマナの3人が14年の隠遁生活を送った場所と(テルグ人の間では)信じられているのだ。鄙びた村にはラーマの草庵を復元したというこんな施設まであって、なんとも言えない。このロケーションがどんな意味を持っているのかも気になるところだ。

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投稿者 Periplo : 02:24 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2016年04月04日

4月のJ-テルグ

本国での公開は8日。川口での上映は翌9日となる。本国公開の翌日に見られるという贅沢な話だが、何しろタミル・テルグ映画の封切り日はミズモノ。突然&直前の上映延期もあり得るので、予約をしておくのがお勧め。

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Sardar Gabbar Singh (Telugu- 2016) Dir. K S Ravindra

原題:సర్దార్ గబ్బర్ సింగ్
タイトルの意味:主人公の名前
タイトルのゆれ:Gabbar Singh 2

Cast:Pawan Kalyan, Kajal Aggarwal, Raai Laximi, Sharad Kelkar, Brahmanandam, Rao Ramesh, Ali, Mukesh Rishi, Pradeep Rawat, Kabir Duhan Singh, Brahmaji, Tanikella Bharani, Posani Krishna Murali, Urvashi, Tisca Chopra, Krishna Bhagavan, Charandeep, Narra Srinivas, etc.

Music:Devi Sri Prasad

公式トレーラー:https://youtu.be/JoYJga1A_UY
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/Hg--lqdIziQ

■日時:2016年4月9日、17:30開映(21:00前に終了予定)、チケットの引き換えは16:30ごろから
■料金:大人2600円(前日までの予約2400円)、5-15歳の子供1200円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約165分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/SardaarGabbarSingh/
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/IndoEiga-387150801377796/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/04/sardar-gabbar-singh-telugu-2016.html
※4月8日の現地公開後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
本国公開前のため一切不明。主要な舞台は、テランガーナ、アーンドラ・プラデーシュ、チャッティースガル、オリッサの4州の州境上にあるラタンプル(テルグ語発音だとラタンプール)という架空の田舎町だという(地図まである)。ハイダラーバードの高級住宅地ジュビリー・ヒルズに作られたラタンプルの巨大セットが、撮影中には大いに話題になった。このラタンプルで、パワン演じる主人公の警察官が悪い奴らをバッサバッサと斬り捨てる痛快活劇になるのは間違いないだろうが、さらにその上に生臭い政治的メッセージが重なるのかが見所。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。
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■CIガッバル・シン(パワン・カリヤーン)
テルグ映画界現役三大スターのひとり、パワン・カリヤーン(残りの二人はNTRジュニアとマヘーシュ・バーブ)については正編上映の際に簡単に紹介した。「サルダール」はシク教徒男性を示す言葉(サルダール・ジーの形で尊称として使われる)だが、『』の中で盗賊ガッバル・シンがそう呼ばれていたことから来ているという。
■ヒロイン(カージャル・アグルワール)
王家の子女という役であるらしい。『バードシャー テルグの皇帝』のヒロイン、カージャルについては説明不要だろう。J-テルグとしては昨年2月の Temper 以来の登場となる。
■アイテム・ダンサー?(ラーイ・ラクシュミ)
ラクシュミ・ラーイという芸名のはずだったが、いつの間にかひっくり返した名前に変更していたらしい。カルナータカ州出身で、南印4言語圏の映画に満遍なく出演。デビューから10年が経ち、最近もの凄く豊満なボディになってきている。迫力の踊りに期待。公式サイトあり。
■悪役(シャラド・ケールカル)
ラタンプルの無慈悲な封建領主。シャラド・ケールカルはテルグ映画初出演。マハーラーシュトラ州出身でジムのトレーナー、モデルなどを経て、TV俳優としてキャリアをスタートするが、ヒンディー映画でも脇役として顔を見せるようになった。Baahubali - The Beginning ヒンディー版で主演のプラバースの声を吹き替えた人でもある。

【トリヴィア】
2012年の Gabbar Singh の続編にあたるファン待望の一作。Gabbar Singh は『ダバング 大胆不敵』の大胆なリメイクだったが、本作は『ダバング』の続編である Dabangg 2 とは無関係。まあね、前作の Gabbar Singh にしてからが、ストーリーは『ダバング』をなぞっていながら、結果的には全然違う映画でお見事パワン君としか言えないものだったしね。というか、今回ストーリーはパワン自身が手掛けてるってんだ。パワンが自分で!!!!

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となると、やっぱりここ数年のパワンのオフスクリーンでの波乱万丈が、どう盛り込まれてくるのかが気になるところ。兄のチランジーヴィが自前政党プラジャー・ラーッジャムを立ち上げたのが2008年のこと。そのころのパワンは、ラームチャランやアッル・アルジュンなどと共に、兄貴の政党活動のパワフルな広告塔としての役割を果たしていた(左上写真)が、2011年に同党が国民会議派に吸収合併される頃には兄弟仲に関しての不穏な噂が立ち始めた。そして今から2年前、2014年3月に今度は自分が中心となり政治団体ジャナ・セーナを立ち上げ(右上写真)て、兄の属する会議派を舌鋒鋭く批判した。ここにいたって長兄と末弟の対立は決定的となったようで、二人は絶縁状態にあると言われた。しかし次男のナーガ・バーブなどの工作が効を奏したのか、昨年2015年8月のチランジーヴィの誕生日にパワンがチルを訪問し、兄弟は和解、先月行われた本作のオーディオお披露目ではめでたくそしてドラマチックに二人でセルフィーに収まる(下写真)までになった。

しかし、それはパワンが会議派と和解したことでは全くない。2年前の熱に浮かされたような沸騰こそないものの、アーンドラの衆が政治的存在としてのパワンに寄せる思いは相変わらず滾っている。兄貴チランジーヴィの出馬宣言映画については以前にちょっと書いた。本作にはパワンの何らかの政治的メッセージが込められてくるのか、そのあたりにも注目したい。

監督は、正編のハリーシュ・シャンカルから代わってKSラヴィーンドラ(愛称ボビー、ここにインタビューあり)。2014年に Power でデビューし、本作が2作目となる。Power は批評家からは散々だったが、そこそこのヒットになったようだ。テルグ商業映画に不可欠の、こってりした暴力とくどいコメディーを賑々しく盛り込む、オーソドックスな作り手であるようだ。

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投稿者 Periplo : 03:34 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2016年02月11日

2月のJ-テルグ

「バタフライ効果」がキーワードのひとつらしい。ロンドンでNTRが変な髪型にすると川口でカオスが起きる、とか(違う)。

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Nannaku Prematho (Telugu - 2016) Dir. Sukumar

原題:నాన్నకు ప్రేమతో
タイトルの意味:To father, with love
タイトルのゆれ:Nannaku Premato, etc.

Cast:NTR Junior, Rakul Preeth Singh, Rajendra Prasad, Jagapathy Babu, Srinivas Avasarala, Rajiv Kanakala, Ashish Vidyarthi, Noel Sean, Thagubothu Ramesh, Vennela Kishore, Sithara, Naveen Neni, Liza van der Smissen, Madhubala (guest appearance), etc.

Music:Devi Sri Prasad

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/Om69gF1iiT4
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/ID9a7VwQZ-w

■日時:2016年2月14日、13:30開映(17:00ごろに終了)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-15歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約168分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にはランチ、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■映画公式サイト:http://www.jrntrofficial.com/
■主催者公式サイト:http://www.indoeiga.com/、(FB)https://www.facebook.com/IndoEiga-387150801377796/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/02/nannaku-prematho-telugu-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
ロンドンに住む富豪スブラマニヤム(Rajendra Prasad)は癌で余命数ヶ月と診断されていた。彼は3人の息子に、自分がかつてラメーシュ・チャンドラ・プラサードという名前の裕福な実業家だったこと、クリシュナムールティ・カウティリヤ(Jagapathy Babu)という男に騙されてその地位を失ったあと、スブラマニヤムと名前を変え、苦労して再び現在の地位に這い上がったことを打ち明ける。彼は息子たちがクリシュナムールティに復讐することを望む。三男のアビラーム(NTR Junior)は、言葉を濁す兄たちを尻目に、クリシュナムールティの築き上げたコングロマリットを30日以内に崩壊させると宣言する。その足がかりとして、彼はクリシュナムールティの娘ディヴィヤーンカ(Rakul Preeth Singh)に近づく。

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【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
■アビラーム(NTRジュニア)
ロンドン育ちの富豪の息子。父の復讐を、腕力ではなく心理戦によって成し遂げようとするクールな奴。幾何学に通じ、ハッカーとしても有能。
■ディヴィヤーンカ(ラクル・プリート・シン)
クリシュナムールティの娘。
■スブラマニヤム/ラメーシュ・チャンドラ・プラサード(ラージェーンドラ・プラサード)
アビラームの父。クリシュナムールティの裏切りのせいで名前を変えて生きざるを得なかったことを恨み、死病に冒されながらも復讐を望む。
■クリシュナムールティ・カウティリヤ(ジャガパティ・バーブ)
スブラマニヤムを騙してのし上がった実業家。アビラームと互角に渡り合う頭の切れる悪役。
■アビラームの兄弟(シュリニーヴァース・アヴァサラーラ)
主人公の二人の兄のうちシュリーニヴァースを取り上げたのは、この俳優がちょっと知的で独特なユーモアのセンスをもっているから。セルフ監督作でもある Oohalu Gusagusalade は必見。

その他の登場人物
■アビラームの兄弟(ラージーヴ・カナカーラ)
■サトパール・シン/カピル・クマール(アーシシュ・ヴィディヤールティ)
■ディヴィヤーンカの母(マドゥバーラー)

【釣り書き】
テルグ映画界で「斜め上行く」系ナンバーワンのスクマール監督が、批評家からは一定の評価を受けながらも興行的には惨敗した1-Nenokkadine から二年ぶりに世に問う意欲作。NTRジュニアと組むのは初めて。幸いにして本作は評判・売り上げともに上々。インドでの封切りから1ヵ月後に、満を持して(そして例によって突然に)川口で上映となる。バイオレンスを最小限にとどめた(←テルグ映画にしては、だが)という復讐譚に期待が膨らむ。

毎度毎度ファンサービスとして何かしらのギミックを仕掛けてくるNTRジュニア。前作 Temper のときはチラ見せした腹筋だった。本作ではもちろん「サリーちゃんのパパ」ヘアーなわけだが、さすがに半年間も同じものを見せられると、突っ込み疲れてもう何も言えんわ。冷静冷徹に作戦を巡らすクールなヒーロー像、一方で父とのエモーショナルな絆に揺さぶられる孝行息子のイメージという、これまであまりなかったタイプの芝居に今回は注目したい。

なんか楽しそうだな、おい!
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投稿者 Periplo : 23:44 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2015年11月09日

11月のJ-テルグ:その2

あんたの顔、面白すぎじゃ!白菜のゆるキャラかい?という突っ込みは当然あると思うが、見どころはアクションとダンスだと思う。タミル映画 Vedalam との二本立て上映。

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Akhil (Telugu - 2015) Dir. V V Vinayak

原題:అఖిల్
タイトルの意味:主人公の名
タイトルのゆれ:Akhil The Power of Jua

Cast:Akhil Akkineni, Sayesha Saigal, Mahesh Manjrekar, Rajendra Prasad, Jayaprakash Reddy, Brahmanandam, Amyra Dastur, Vennela Kishore, etc.

Music:Anup Rubens, S Thaman

公式トレーラー:https://youtu.be/jXXz-Jo9cu8
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/G8d2SZpSlFE

■日時:2015年11月15日、17:00開映(20:00ごろに終了)
■料金:大人1800円(予約1500円)、5-12歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約130分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※本上映にあたってはディナーやスナックなどのケータリングはない。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/AkhilTheMovie/
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/11/akhil-telugu-2015.html
※11月11日の現地封切り後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
現在は断片的にしか分からないし、リークと称するその断片の信憑性もあてにならないが、ファンタジー風味の加わったアクションらしい。トレーラーを見ても分かるように、ストーリーのかなりの部分がアフリカ(大雑把だな)を舞台にしているようだが、アートディレクターのASプラカーシュの証言が本当なら、ハイダラーバードに巨大なセットを設営し、アフリカ系エキストラ300人を動員して作り上げられたものであるという。なお、副題の「The Power of Jua」のジュアとは、スワヒリ語で太陽を表すものだそうだ。太陽に擬される神秘のボールをめぐっての、インディー・ジョーンズ的なアドベンチャーものが予想される。

【主要キャスト】 イメージは本作のスチルからではないものも混じっている。役名は一切不明。

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■アキル・アッキネーニ
アメリカ(またはヨーロッパ?)在住で観光ガイドをしている青年の役。何かしらの重要な使命を帯びてアフリカに向かうことになる。アキルはナーガールジュナの次男で、1994年生まれの21歳。子役を除くと、昨年の Manam がスクリーン・デビュー、そして本作がヒーロー・デビューとなる。異母兄のナーガチャイタニヤとは7歳違い。
■サイェーシャ・サイガル
アメリカに留学中の学生。休暇で訪れた観光地でアキルに会う。サイェーシャもまた本作でデビューの新人。ボリウッド俳優スミート・サイガルと女優シャヒーン・バーヌーとの間の娘。大オジ&大オバにディリープ・クマールとサイラ・バーヌーのカップル。つまりアキル同様に名門の芸能一家の新人ということになる。
■マヘーシュ・マーンジュレーカル
メインの悪役。ヒロインを誘拐するらしい。マヘーシュ・マーンジュレーカルはマラーティー映画界の出身で、監督もこなす才人。ヒンディー映画がメインの活躍の場。日本で一番知られているのは『ダバング 大胆不敵』でのヒロインのアル中親父の役か。テルグでなら、『無間道』のリメイク Homam でのヤクザの親分役がキモくて良かった。公式サイトもあり。

【関係者】 本編には登場しない(はず)。

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■ナーガールジュナ・アッキネーニ
アキルの父で、昨年ANRが没した後は名実ともにアッキネーニ家の大将となった。
■アマラ・アッキネーニ
アキルの母、ナーガールジュナが最初の妻と離婚した後に夫人となった。ベンガル人の父とアイルランド人の母の間に生まれ、1980年代後半の南印映画界ではかなり知られたヒロインだった。何が言いたいのかというと、つまりアキルの額と長首は、このお母さんから来ているのだ。
■二ティン(ニティン・クマール・レッディ)
本作のプロデューサー。父スダーカル・レッディが製作・配給業をやっていたことから役者を志望するようになり、2002年にヒーローデビュー、以後20本超に出演し、また2013年からはプロデューサーも兼業するようになって今日に至る。特筆すべき点は、この人が現在のテルグ映画界で、唯一の「テランガーナ人ヒーロー」と見なされていること。しばらく前にここで書いた、「テランガーナ映画」の長期ヲチの対象としては重要人物なのである。

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【釣り書き】
昨年5月に上映された、アッキネーニ一族の内輪映画 Manam は、低調だった同年のテルグ映画界では、質的にも売り上げ的にもトップランクの一作となった。輪廻を取り込んだ奇想天外なロマンスだけれど、4組のカップルの恋模様がキメ細やかで(圧倒的だったのはナーガールジュナのパートだったが)、さらに名優ANRの和やかな現世への別れのメッセージとも感じられる陽だまりの温気が全編を満たし、ワールドスタンダードなテルグ映画のひとつと言っていいものに思われた。ただひとつ、どん詰まりのラストシーンに満を持して登場するこのアキルのエピソードが、ちょっと咀嚼しづらかった人も多かったのではないだろうか。そこまでのワールドスタンダードが、一気に泥臭いテルグの御曹司歌舞伎になっちまったんだな。ただし、それはワールド側の観客の価値観であって、テルグ映画としてはあれが正しい姿であったのだと思う。

テルグ映画界で番をはる5つのファミリー(ナンダムーリ、アッキネーニ、コニデラ、ガッタマネーニ、ダッグバーティ)は、外からあれこれと言われながらも今も盤石。なぜここまで極端に梨園のようなあり方になってしまったのか、理由はよく分からない。ともかくテルグ映画界は今も大スター中心主義で回り続け、他の南印でそれぞれに生じているニューウェーブ的な現象も、NRI系映像作家の散発的なヒットはあるものの、うねりとなるほどではないのが現状だ。

そういうわけなので、名門ファミリーの息子のデビューにはやはり注目せざるを得ない。ナーガールジュナの次男アキルは、ミドルティーン時代から各種の行事(たとえば芸能界クリケットマッチや、オーディオお披露目式典など)に顔を出し、そのつどカメラにおさめられてテルグ人にとっては馴染みの顔であり続けた。それはつまり、この子が将来間違いなく親父の職業《スター》を継ぐという了解のうえでのことだったはずだ。そのような形で幼時から鍛えられているスター予備軍には、たとえばバーラクリシュナの息子モークシャグナなどもいる。

たぶん本作に臨むに当たっての見どころは、制度としてのスター世襲の枠組みの中で、アキルがどれだけの調教をされて登場してくるかということなのだと思う。「ローンチ・スペシャリスト」の異名をもつVVヴィナーヤク監督(2013年には撮影のために来日もしている)のお手並み拝見だ。

投稿者 Periplo : 01:01 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2015年10月31日

11月のJ-テルグ:その1

バックに見える太鼓は Chandralekha [邦題:灼熱の決斗](Tamil/Hindi - 1948) の有名シーンへのオマージュなのではないかと思う。

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Rudhramadevi (Telugu - 2015) Dir. Gunasekhar ※今回上映は2D版

原題:రుద్రమదేవి
タイトルの意味:女主人公の名前
タイトルのゆれ:Rudramadevi, Rudrama Devi, Rudramba Devi, etc.

Cast:Anushka Shetty, Rana Daggubati, Allu Arjun, Krishnam Raju, Prakash Raj, Vikramjeet Virk, Suman, Adithya Menon, Nithya Menon, Catherine Tresa, Prabha, Vijayakumar, Vinod Kumar, Raja Ravindra, Ulka Gupta, Aditi Chengappa,Hamsa Nandini, Ajay, Baba Sehgal, Raza Murad, Jaya Prakash Reddy, Ravi Prakash, Ashok Kumar, Sivaj Raja, Uttej, Venu Madhav, Vennela Kishore, Raksha, Sana, Krishna Bhagavan, Chiranjeevi (narration), etc.

Music:Ilaiyaraaja

公式トレーラー:https://youtu.be/Fc0QmDnNy3U
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/dVQ6sSchS3k

■日時:2015年11月3日、13:45開映(12:30ごろランチ開始、17:00ごろに終了)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約158分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/rudramadevi-telugu-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋、ではなく史書に現れるカーカティーヤ朝の略史】 
13世紀後半の南インドは、戦国時代と言ってもよく、パーンディヤ朝(現在のタミルナードゥ州南部)、ホイサラ朝(カルナータカ州南部)、カーカティーヤ朝(テランガーナ+アーンドラプラデーシュ州の要部)、ヤーダヴァ(セーウナ)朝(カルナータカ州北部とマハーラーシュトラ州)の4大勢力が覇権を争い、その他の小国家も、生き残りをかけて合従連衡を繰り返していた(こちらの地図を参照)。

オールガッル(現在のワランガル)を主邑としたカーカティーヤ朝の起源は、ラーシュトラクータ朝に連なる軍閥で、9世紀末または10世紀初頭ごろに、兵を引き連れて南東辺境部(テルグ語地域)に地方長官としてやってきたらしい。10世紀末になると、ラーシュトラクータ朝はチャールキヤ朝に押されて凋落し、現在のテランガーナ地域を支配するカーカティーヤは事実上の独立国となるが、同時に西チャールキヤ朝への服属によって安全保障を図っていた。

12世紀中葉にさしかかると、西チャールキヤ朝にも翳りが見え、カーカティーヤはルドラデーヴァ王(在位1158-95)の時代に完全独立国となる。ルドラデーヴァはオールガッルに堅固な城塞を建設し、国家の礎とする。後継者のマハーデーヴァ王(在位1196-98)は、短い治世にシヴァ派を熱心に保護した。

ガナパティデーヴァ王(在位1199-1262)の驚くほどに長い治世は、カーカティーヤ朝の黄金時代と言っていい。彼は武力による征服と平行して、服属を受け入れた小首長たちの娘との縁組によって領土を磐石のものとした。南のパーンディヤ朝との間で幾たびもの戦闘を繰り返しながら、沿海部への進出を果たし、現在のネッルール付近までを最大版図とした。

ガナパティデーヴァと正妻との間には男子が生まれなかったが、庶子を跡継ぎにすることを嫌い、娘のルドラマデーヴィ(在位1262-90、ルドランマ、ルドランバなどとも)をルドラデーヴァ・マハーラージャと名づけて男子として育て、自らの在位中から共同統治者として経験を積ませた。

ガナパティデーヴァの死後、ルドラマデーヴィが正式に王位を継承するに当たっては、親族からの反発も大きく、異母兄弟のハリハラデーヴァムラリデーヴァがクーデターを起こしたが、ルドラマはこれを平定した。即位したルドラマは、周辺国からの絶えざる侵略に応戦することで忙しかった。デーヴァギリ(現在のダウラターバード)を本拠地とするヤーダヴァ朝のマハーデーヴァ王はカーカティーヤの都オールガッルに脅威を与えたが、ルドラマによって撃退された。沿海地方の北部に対してはオリッサのガンガー朝が野心を見せていた。南部ではネッルールをめぐってパーンディヤ朝との攻防が続いた。

領域内でも不穏な動きが起きた。カーヤスタ(現在のラーヤラシーマ地方)の首長であるアンバデーヴァは、初めは忠実な臣下としてあったが、独立を求めるようになり、カーカティーヤの敵国であるヤーダヴァ朝やパーンディヤ朝と通じて叛乱を起こす。これを平定するための戦いに赴いたルドラマは、1290年(または1289年)にトリプラーンタカムの地で戦死した。

ルドラマは夫である東チャールキヤ朝の王族ヴィーラバドラとの間に二人の女子をもうけた。長女ムンマダンマの息子であるプラターパルドラが王位を継ぎ(在位1290-1323)、アンバデーヴァを打ち負かした。プラターパルドラは軍の改革などに意欲的に取り組んだが、デリーに勃興したトゥグルク朝のウルグ・ハーンの侵攻に屈し、捕囚先のデリーで自死した。これによってカーカティーヤ朝は滅亡する。

君主としてのルドラマは、名君とみなされていた。宰相に任せることなく自ら執務し、御前会議も仕切った。また、戦となれば躊躇うことなく出陣した。常に男装していたという。内政においては農業や対外貿易の振興に努めた。熱烈にシヴァ神を信仰していたが、他の宗派を圧迫することはなかった。有名なワランガルの千柱寺院は彼女の治世に完成したという。多くの小国の首長を配下に従えていたが、最も有能で忠実だったのはゴーナ・ガンナー・レッディで、彼はヤーダヴァ朝との戦いでバッラーリやラーイチュールをプラターパルドラが奪還するに当たって功があったという。
【主な参考文献】
A Concise History of South India: Issues and Interpretations (Noboru Karashima)
Medieval Andhradesa AD 1000-1324 (Somasundara Rao)

【主要キャラクター/キャスト】
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■ルドラマデーヴィ(アヌシュカ・シェッティ)
カーカティーヤ王家の正嫡に男子がいなかったために、ルドラデーヴァと名付けられ、男として育てられる。アヌシュカはこれまでに出演作が3本も自主上映されている。歴史大作で戦う女王を演じることになったのは、やはりArundhati (Telugu - 2009) での屹然とした女領主役の熱演があってのことなのではないか。一方で、女の園での戯れのシーンなどでは、サリー&宝飾店のCMかというほどのフェミニンな魅力も全開。こういう形で主演できる女優は、インド広しといえどもまだ少ない。
■ゴーナ・ガンナー・レッディ(アッル・アルジュン)
カーカティヤに服属する小国ヴェッダマニ(今日のテランガーナ南部)の君主で、危機にあるルドラマを助ける。この人物は歴史上実在し、1940年代に刊行された同名のテルグ語小説によって人々に記憶されているという。スタイリッシュ・スターという恥ずかしい冠タイトルをもつアッル・アルジュンだが、本作でのテランガーナ方言の台詞が高く評価されている。
■ヴィーラバドラ(ラーナー・ダッグバーティ)
ヴェーンギを主邑とする東チャールキヤ朝のニダダヴォール分家の王子。ルドラマと結婚する。ヴェンカテーシュの甥にあたるラーナーは、Krishnam Vande Jagadgurum で紹介済み。もしかしたら来年あたり劇場公開されるかもしれない Baahubali でも重要な役を演じている。

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■ムクタンバ(ニティヤ・メーノーン)
「王子」ルドラデーヴァに輿入れしてくる王女。これまでも何度か上映会でスクリーンに登場しているニティヤは、東京国際映画祭で『OK Darling』が上映されてファンを確実に増やした。本作でもかなり可愛く撮られているので、俄かファンも必見。※史実におけるルドラマの長女ムンマダンマに比定される。
■アナンビカ(キャサリン・トリーサ)
ゴーナ・ガンナー・レッディの妻で、ルドラマの親友。マラヤーリーのキャサリンは、デビュー後しばらくパッとしなかったが IddarammayilathoMadras によって注目を浴びた。
■マダニカ(ハムサ・ナンディニ)
多分重要なキャラクターではないと思うのだが、ハムサ・ナンディニは『マッキー』のえっちな人妻が印象的だったので載せておく。マダニカとは普通はこういうものを指すらしい。まさに嵌り役。

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■ガナパティデーヴァ王(クリシュナム・ラージュ)
ルドラマの父。カーカティーヤ王朝の最盛期の王。演じるクリシュナム・ラージュは1970-80年代のヒーロー俳優。弟のスーリヤナーラーヤナ・ラージュはプロデューサー。その息子で甥にあたるプラバースも人気俳優。
■シヴァ・デーヴァイヤ(プラカーシュ・ラージ)
ガナパティデーヴァとルドラマの2代に仕えた宰相。プラカーシュ・ラージもまた『OK Darling』に登場していた。また、この後の自主上映 Thoonga VanamTUFSシネマでの『カーンチワラム サリーを織る人』などドカドカ出演作がやってくる。
■マハーデーヴァ・ナーヤクドゥ(ヴィクラマジート・ヴィルク)
カーカティーヤと対立するヤーダヴァ朝の王。北インド出身でモデルあがりのヴィクラマジートについては、どっかで見たような顔だとしか思っていなかったが、『バードシャー テルグの皇帝』で日本のスクリーンにもデビュー済。公式サイトあり。

【その他】
■ハリハラデーヴァとムラリデーヴァ(スマン、アーディティヤ・メーノーン)
ガナパティデーヴァの側室の子で、異母姉妹のルドラマが王位を継承することを喜ばない二人の王子。
■アンバデーヴァ(ジャヤプラカーシュ・レッディ)
史実としては、この小国の君主が戦闘においてルドラマを斃した可能性が高い。しかし本作中ではあまり重要な役柄ではないらしい。あるいはルドラマに叛旗を翻す前の廷臣時代のみが描かれるのかもしれない。政治的な理由から、今日のラーヤラシーマを本拠地とした土侯を悪役として描くことが控えられたのではないか。同様に、史実においてはルドラマと激しく対立したパーンディヤ朝のジャタヴァルマン・スンダラ・パーンディヤも、タミル・マーケットへの配慮からか作中ではあまり活躍しないようだ。
■マルコ・ポーロ(ゲイリー・タントニー)
13世紀末に今日のアーンドラプラデーシュ沿海部のモートゥパッリを訪れ、ルドラマの統治を高く評価する文章を書いている。ボリウッドの吹き替え声優であるゲイリー・タントニーについてはここにインタビューあり。

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【トリヴィア】
バブーをさがせ!』 (Telugu - 1998) で知られるグナシェーカル監督の最新作。当網站では Arjun (Telugu - 2004) を取り上げたこともある。

CG、女性の主人公、歴史アクションなどなど、本作を語るにあたってのキーワードは沢山あるが、ここで注目したいのは「テランガーナ」。本作のヴィジュアルに多用されている千柱寺院ワランガル城砦の石門が、テランガーナ州のエンブレムにあしらわれていることから明らかなように、カーカティーヤ朝というのは、テランガーナ人にとって最も輝かしい栄光の時代であるのだ(ニザームの治めたハイダラーバード藩王国時代はどうかというと、左翼的なテランガーナ活動家からすると、むしろ批判されるべきものであるのだという)。

2014年6月、かつてのハイダラーバード藩王国の要部であるテランガーナは、インド29番目の州として、アーンドラ・プラデーシュ州からの独立を果たした。先祖を1956年のAP州成立以前の住民に遡ることができるテランガーナ人はおおむねこれを歓迎したが、56年以降にAP州の他地域から主としてハイダラーバードに移住してきた膨大な数の人々にとっては、市民としての地位までもが揺るぎかねない不安感をもたらしている。沿海アーンドラ&ラーヤラシーマ地方の住人の多くが猛反発したのは言うまでもない。

以前ここでクドクド書いたように、テルグ娯楽映画とは、本質的に「沿海アーンドラ人がハイダラーバードで作る、沿海アーンドラ人を主役に据えた映画」だった。テランガーナの市場としての重要性は無視できないものでありながら、映画の中でのテランガーナ人(方言によってはっきりと区別される)は、良くて背景、一般には悪役または笑われ役というものだった。

これまでテランガーナを自らの一部として疑うことがなかったところに、青天の霹靂としての分離を受け入れざるを得なかったアーンドラの映画人にとって、進むべき道はどちらにあるのか。能天気で娯楽一辺倒のテルグ映画界はしゅんとするのだろうか。この先のテルグ映画に、何らかの翳りがでてくるのか。そして新生テランガーナ州は、これまで自分たちを市場として以外に見ることなく、バカにしくさってきたテルグ映画界と袂を分かって第二トリウッドを作るのか。それとも双方の歩み寄りが始まるのか。10年単位のウォッチの一環として本作(御多分に洩れず、スタッフ・キャストのほとんどが沿海アーンドラ人または州外人である)に臨むというのも、あるいは面白いかもしれない。

投稿者 Periplo : 18:33 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2015年10月10日

10月のJ-テルグ

タイトルの由来はこの腕の彫り物(拡大図)。それ以外はあんまし関係ないと思う(多分)。だってシュリーヌ・ヴァイトラだぜ。

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Bruce Lee - The Fighter (Telugu - 2015) Dir. Srinu Vaitla

原題:బ్రూస్ లీ
タイトルのゆれ:Bruce Lee, BruceLee

Cast:Ram Charan, Rakul Preet Singh, Kriti Kharbanda, Brahmanandam, Arun Vijay, Sampath Raj, Nadhiya, Tisca Chopra, Brahmaji, Mukesh Rishi, Posani Krishna Murali, Sayaji Shinde, Rao Ramesh, Amitash Pradhan, Chiranjeevi (cameo appearance), etc.

Music:S Thaman

公式トレーラー:https://youtu.be/JdSSm6waqgc
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/NSMXka6ZKbM

■日時:2015年10月17日、13:45開映(開場は12:30ごろ、17:00ごろに終了)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば160分未満(詳細分かれば後日追記)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※今回はランチ、インターミッションのスナックの販売はなし。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/BruceLeeTheFighter
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/10/bruce-lee-fighter-telugu-2015.html
※10月16日の本国公開後に追記予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォーム入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
今のところ不明。10月16日の本国封切り後に急いで追記するかも。

【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■ラームチャラン・テージャ
ネット上の僅かな情報によれば、スタントマンの役であるらしい。チランジーヴィの息子ラームチャランの映画をJ-テルグでやるのもこれで3作目。あまりにも重たい責務がその両肩にのしかかっているため、フィルモグラフィーの伸びがひどくゆっくりであることは以前書いた。しかし、ダンスの技量が確実に向上していることは見て取れる。演技でも、昨年の田舎ファミリー映画 Govindudu Andarivadele では、ちょっとした新境地に至ったのではないかとも思え、再びバリバリのアクションに回帰した本作で、どんな成長ぶりをみせてくれるかが注目点。
■ラクル・プリート・シン
ラクル・プリート・シンはデリー出身、ミスコン荒らしをしながら映画デビュー。1本を除き出演作はすべてサウス映画。これまでのキャリアは決して派手なものではないのだが、表情豊かでピチピチとした溌溂さを見ると、2,3年先あたりにサウスの女王を狙えるのではないかという予感もする。
■クリティ・カルバンダ
主人公の妹役らしい。クリティもまたデリー出身で、女優としてはサウス一筋。Googly など、これまではカンナダ映画でヒット作に出演してきた。
■アルン・ヴィジャイ
詳細は不明ながら、メインの悪役であるらしい。これは大変に期待させるテルグ映画デビュー。アルン・ヴィジャイはタミル映画界の名優ヴィジャヤクマールの息子で、1995年に俳優としてスタートを切った(当時の芸名はアルンクマールだった)。おっとり&もっさりしたお坊ちゃんタイプのヒーローまたはセカンドヒーローをマイペースでやってきたようなのだが、2012年から3年ものブランクを経て、今年 Yennai Arindhaal... で悪役としてカムバックしたのが大受け。体からも顔からも贅肉を削ぎ落として作りあげた悪役像にはかなりのインパクトがあった。本作でもおそらくは同じ流れのキャラクターになると思われる。インタビューもあり。

【トリヴィア】
バードシャー テルグの皇帝』の監督であるシュリーヌ・ヴァイトラの最新作。約一年前の前作 Aagadu も川口で上映され、なんだかすっかりお馴染み感があるヴァイトラ監督だが、トレードマークとなっている、湯水のように使われる大型予算、長尺、マシンガントーク、アイデンティティ詐称による入り組んだコメディなどの要素の「効き目」が薄くなってきている印象がある。本作においては、長尺と潤沢な予算に変わりはないものの、ラームチャランにベラベラ長口説をさせるとも思えないし、さりげない方向転換があるのではないかと予想されるのだが、どうだろう。

題名こそブルース・リーだが、昨今の南インド映画によくあるように、ラームチャランはバンコクに飛び、高名なスタント集団のもとで各種のマーシャル・アーツの訓練を受けたという。スタントマン役をやるのに、そのまたスタントマンに任せたら役者の名がすたるってもんだろうしね。

「さりげない方向転換」と上に書いたが、そうはいってもブラフマーナンダムの脳天直撃系のコメディを欠かすことはできないようだ。本作でのブラフミーの役名は、Suzuki Subramanyam というそうだ(悪寒)。

オマケとして超重要なのが、ラームチャランの父、メガスター・チランジーヴィのカメオ出演。思えば、メガスターの最後のスクリーン登場が、ラームチャランの2009年作品 Magadheera でのチラリ顔見せだった。カムバックとしての150本目の主演作への取り組みも発表され、準備体操を始めてもいいころだ。本作でのカメオは3分とも15分とも言われ、はっきりしない。あまり期待しすぎないように気をつけて期待して臨みたい。

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お父ちゃんと一緒にオーディオ・リリース。

投稿者 Periplo : 04:02 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2015年08月08日

8月のJ-テルグ

るるるん、自転車乗って自分探し~
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Srimanthudu (Telugu - 2015) Dir. Koratala Siva

原題:శ్రీమంతుడు
タイトルの意味:Billionaire
タイトルのゆれ:Sri Manthudu, Srimantudu, Selvandhan(タミル語吹き替え版タイトル), etc.
※1979年の同名作とは無関係である模様

Cast:Mahesh Babu, Shruthi Haasan, Jagapati Babu, Rajendra Prasad, Sukanya, Ali, Vennela Kishore, Sivaji Raja, Amani, Angana Roy, Sanam Shetty, Tejaswi Madivada, Sampath Raj, Mukesh Rishi, Tulasi, Kadambari Kiran, Edidhi Sriramulu, Subba Raju, Rahul Ravindran (guest appearance), Poorna, etc.

Music:Devi Sri Prasad

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/SrimanthuduTheFilm
公式トレーラー:https://youtu.be/dlvgG-hZ9xc (英語字幕つき)
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/4kYfcwZCbiw

■日時:2015年8月15日、13:45開映(開場は12:30ごろ、17:00ごろに終了)
■料金:大人2400円(予約2200円)、5-12歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約163分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で上映前にランチあり、インターミッションにはスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/08/srimanthudu-telugu-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
ハルシャ・ヴァルダン(Mahesh Babu)は大富豪の実業家ラヴィカーント(Jagapati Babu)の息子で、学業を終えた後に実業界に入って父の跡を継ぐことを期待されていたが、彼自身は父から譲り受ける財産以外の理由で人々から尊敬を獲得できる人物になることを望んでいた。そんな日々に出会ったチャールシーラ(Shruthi Haasan)は、農村の開発について学ぶまじめな学生で、彼女に惹かれたハルシャは大学で同じ専攻に進むことにする。

その後、彼はチャールシーラと故地を同じくしていることを知る。その村、アーンドラ・プラデーシュ州北部のデーヴァラコータは現在深刻な問題を抱えていた。父にはヨーロッパ旅行に出かけると偽り、ハルシャはデーヴァラコータに乗り込み、村の問題に取り組むことになる。

【主要キャラクター/キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
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■ハルシャ・ヴァルダン(マヘーシュ・バーブ)
大富豪の一人息子の大学生。何不自由ない生活を保障されているが、自転車を好んで乗り回している。演じるマヘーシュについて、「この人誰ですか?」という向きはこちらなどお読みいただきたい。
■チャールシーラ(シュルティ・ハーサン)
女子大生。農村の近代化について学んでいる。シュルティ・ハーサンについて特に説明は要らないだろう。2012年の Gabbar Singh に始まり、J-テルグでの登場も4作目となる。Gabbar Singh の時には「色んな意味で話題を振りまきながらも今のところ大ヒットは飛ばしてない」などと書いたが、昨年の Race Gurram の大あたりなどで、現在は押しも押されぬテルグ映画界トップ・ヒロインのひとりと言っていいだろう。日本では『ラームが村にやってくる』によって紹介済み。
■ラヴィカーント(ジャガパティ・バーブ)
ハルシャの父で大富豪の実業家。息子が自分の跡を継いでビジネスをさらに拡大することを強く望んでいる。ゴルフ大好き。マヘーシュの親父役をやるにはちょっと若すぎやしないかい、というジャガパティ・バーブは53才。昨年末にやったラジニの Lingaa にも(かなり無理のある悪役だったが)登場していた。本作では、ロールスロイスが似合う奴を好演しているという。
■シャシ(サンパト・ラージ)
ヤクザあがりの地方政治家。現在も手下の荒くれたちをつかってデーヴァラコーンダの村で好き放題に振舞う。サンパト・ラージは主に悪役として活躍しているタミル人俳優。コラターラ・シヴァ監督の前作 Mirchi に続いての起用となる。

【その他のキャラクター/キャスト】
■ナーラーヤナ・ラーオ(ラージェーンドラ・プラサード)
デーヴァラコータに住む、チャールシーラの父。
■ヴェンカタラトナム(ムケーシュ・リシ)
中央政府の大臣。弟のシャシと結託する悪徳政治家。

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【釣り書き】
脚本家としてスタートし、デビュー作の Mirchi (Telugu - 2013) が好評だったコラターラ・シヴァ監督の第二作目。好評だったのに次作発表まで時間がかかったのも不思議だが、スーパースター・マヘーシュを主役に据えることができたのだからいい感じの流れなのだろう。かたやマヘーシュといえば、昨年の 1-NenokkadineAagadu の2本が散々なプロップだったので、正統的なヒーロー作品で失地挽回を図りたいところだったに違いない。8月7日に現地公開された本作は、幸いにしてかなりの好評で売り上げも上々のようだ。

豊かで恵まれた環境に育ったヒーローが、貧しい僻村の生活を向上させるために、色々なものを投げ打って尽くすというストーリーのあらましが公開前に流れ、チランジーヴィの Rudraveena (Telugu - 1988) やSRKの Swades (Hindi - 2004) などとのストーリーラインの類似が取りざたされたりしたものだった。公開後のレビューなどを読むと、確かに大筋は似ているものの、そこはテルグ映画なので、たっぷり大盛りのファイトシーンや、ラスベガスみたいな巨大セットでのダンスシーンも用意されていて安心だ。本作でのマヘーシュのトレードマークになっている自転車、大富豪の息子の質素さのシンボルとして現れるらしいのだが、実際のところかなりお高いものだという。田舎が舞台ってことで、久しぶりにマヘーシュにドーティを巻かせたりしたのも話題になったが、一方でスーパースターはトルソを見せることは頑なに拒否したとか、色々と面白いもんである。

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この村に誓うぞ、絶対に脱いだりするもんか~。

投稿者 Periplo : 23:26 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2015年04月09日

4月のJ-テルグ

テルグ映画界のクソガキ(褒めてる)、アッル・アルジュンのソロでの初見参だ。

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S/O Satyamurthy (Telugu - 2015) Dir. Trivikram Srinivas

原題: s/o సత్యమూర్తి
タイトルの意味:Satyamurthy’s son
タイトルのゆれ:S/O Satyamoorthy, S/O Sathyamurthy, SOS, Son of Satyamurthy, etc.

Cast:Allu Arjun, Upendra, Rajendra Prasad, Prakash Raj, Samantha Ruth Prabhu, Sneha, Adah Sharma, Nithya Menon, Brahmanandam, M S Narayana, Kota Srinivasa Rao, Rao Ramesh, Sampath Raj, Ali, Vennela Kishore, Surekha Vani, Sindhu Tolani, Mamilla Shailaja Priya, Pavitra Lokesh, Chaitanya Krishna, Amit Kumar Tiwari, Ileana D'Cruz, etc.

Music:Devi Sri Prasad

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/SonofSatyamurthy
公式トレーラー:https://youtu.be/dpnENU952gc
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/I_OedGjNByY

■日時:2015年4月11日、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2500円(予約2200円)、5-15歳の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約162分、途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で13:00ごろからカレーランチ、またインターミッション中にインドスナックのケータリングあり。

■主催者公式サイト:http://www.indoeiga.com/
■主催者公式FB:https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/03/so-satyamurthy-telugu-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
裕福なNRI実業家で博愛家でもあるサティヤムールティ(Prakash Raj)を父に持つヴィラージ(Allu Arjun)は、ヨーロッパ(?)で気楽に暮らしていたが、父の身に起こった椿事がきっかけとなって財産を失う。ウェディング・プランナーとしての職を得て働き始めた彼はサミーラ(Samantha Ruth Prabhu)と知り合い、喧嘩しつつも惹かれあうようになる。しかし彼女の父で、サティヤムールティの旧友でもあるサーンバシヴァ・ラーオ(Rajendra Prasad)は、今は貧乏になったヴィラージを婿としては認めない。彼は度を越した吝嗇家で、金以外の価値を認めないタイプの人間なのだ。サーンバシヴァは、サティヤムールティが過去に彼から土地を騙し取ったという虚偽の事件をでっち上げて、ヴィラージを娘から引き離そうとする。その土地は、今ではファクショニストのデーヴァラージ・ナーイドゥ(Upendra)の所有物となっていた。サーンバシヴァは、デーヴァラージを納得させて土地の権利を取り戻すことができれば、娘との結婚を許してもいいとヴィラージに告げる。

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【主要キャスト】イメージは本作のスチルからではないものも混じっている
■ヴィラージ・アーナンド:アッル・アルジュン
Yevadu での短い出演を除けば本邦初登場となるアッル・アルジュン。冠はスタイリッシュ・スター、愛称はバニー(恥ずかしーな)。チランジーヴィの血の繋がらない甥(メガスターの妻の甥)。祖父は1950年代から半世紀に渡って活躍したコメディアン、アッル・ラーマリンガイヤー。父はテルグ映画界の有力プロダクションであるギータ・アーツの総帥アッル・アラヴィンド。兄はお洒落映画マガジン South Scope の編集長からB級俳優に謎の転身をしたアッル・シリーシュ。イトコにラームチャラン・テージャ。縁続きの人名はまだまだ続くがこのくらいにしておこう。Gangothri (Telugu - 2003) で実質的なデビュー、以降(壊滅的だった2010年の Varudu を除く)11本の主演作はどれも着実なヒットとなっている。人生を舐めきったクソガキ的キャラを演じると上手い、テルグ名物の荒唐無稽アクションも綺麗に決める、そして何よりの強みはダンス。どのくらい上手いかは、プラブ・デーヴァーの主演で話題となった ABCD: Anybody Can Dance (Hindi - 2013) のパート2にゲスト出演が決まっているということからも察せられるだろう。当網站的に注目しているのはケララでの異常人気。見かけはマラヤーリーみたい、でもお洒落といい、ダンスといい、若手マラヤーラム俳優が持っていないものを備えている、というのが人気の元らしい。Mallu Arjun というニックネームを当人も喜んで使っているくらいだ。ボリウッド・ファンダメンタリストだったのにこいつにハマってサウスに転んだネットの有名人もいる。公式サイトはこちら
■デーヴァラージ・ナーイドゥ:ウペンドラ
あの Upendra [邦題:ウペンドラ] のウペンドラが脇役&悪役出演だ。主演格男優は他元語圏作品には出演しないというのが不文律(例外はスディープ)みたいになっちゃってるカンナダ映画界なのだが、ウッピーはときどきテルグ映画に顔を出す。そして何故かへ~んな詰まらない役のこともあるのだ。今回はどうなのか、ドキドキする。
■サーンバシヴァ・ラーオ:ラージェーンドラ・プラサード
パスティーシュ映画 Quick Gun Murugun (Hindi/Tamil/Telugu - 2009) で全国的に名前が知られるようになったラージェーンドラ・プラサードは、テルグ映画界では1980年代から活躍しているベテラン。チランジーヴィやバーラクリシュナと同世代ながら、一貫してユーモア映画のヒーロー(でありながら格としてはコメディアンではない)というユニークな地位を保ち続けてきた。
■サティヤムールティ:プラカーシュ・ラージ
カルナータカ出身、南インド4言語圏+ボリウッドを股に掛ける性格俳優、プロデューサー・監督としても意欲的な仕事をしているプラカーシュ・ラージ(ラーイ)についてはここ参照。
■サミーラ(スッバラクシュミ):サマンタ
ハエの恋人サマンタについては説明の必要もないでしょう、ってなもんだ。
■役名不明:ニティヤ・メーノーン
来日の記憶も新しいニティヤについてはこことか、ここで。オフビート系の意識高い映画にしか出ないのかと思ってたのに、ベッタベタのテルグ娯楽映画に出てきてくれちゃって吃驚よ。
■パッラヴィ:アダー・シャルマー
この中では唯一のボリウッド出身の役者。昨年に「南下」を始め、Heart Attack (Telugu - 2014) でテルグ映画界に確かな一歩を踏み出している。
■役名不明:スネーハ
タミル女優のイメージが強いスネーハだけど、テルグ映画でも着実な仕事をしている。こちら参照。
■その他
先日急逝したベテラン・コメディアンMSナーラーヤナ、ここ数年どこ行ってたんだ!?のシンドゥ・トラーニーなどなど、キャスティングへの興味は尽きない。

【釣り書き】
2013年の、テランガーナの分離にゆれて不安定だったテルグ映画界で雪崩的な大ヒットとなったAttarintiki Daredi を手がけたトリヴィクラム・シュリーニヴァース監督が、2年ぶりに送り出す新作。本作サブ・タイトルの ‘Viluvale Asthi’ (意訳だが、「(家族の)価値は財産に勝る」)から、前作と同じく家族間のエモーショナルな絆を描いたものと予想される。本日インドで封切られ、まずまずの評判だ。前作の紹介でも書いたが、トリヴィクラム監督のハッキリした作風は、まずなによりも「長い!」ということ。本作もしっかり162分に仕上げてきた。英語字幕付きでもこれに臨むにはかなりの気構えが要りそうだが、煌煌スターキャストに見とれていれば時間を忘れそうな予感もする。Barfi! [邦題:バルフィ!人生に唄えば] のセカンド・ヒロインだったイリヤーナーのアイテム出演を含むダンスシーンは、もちろんハイライトとなるだろう。

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投稿者 Periplo : 19:44 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2015年02月19日

2月のJ-テルグ

お待ちかね、2015年初のテルグ映画。

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Temper (Telugu - 2015) Dir. Puri Jagannadh

原題:టెంపర్

Cast:NTR Jr, Kajal Aggarwal, Prakash Raj, Madhurima, Posani Krishna Murali, Kota Srinivasa Rao, Ajaz Khan, Ali, Tanikella Bharani, Subbaraju, Vennela Kishore, Jaya Prakash Reddy, Sapthagiri, Ramaprabha, Pavithra Lokesh, Kovai Sarala, Sonia Agarwal, Nora Fatehi, etc.

Music:Anoop Rubens (songs), Mani Sharma (BGM)

公式サイト(FB):https://www.facebook.com/TemperMovie
公式トレーラー:http://youtu.be/SQgRN5tu1f4
全曲ジュークボックス:http://youtu.be/dHUV5fb4FSE

■日時:2015年2月28日(土)、12:45開映(開場は11:30ごろ)、15:15ごろ終映予定
■料金:大人2500円、5-12歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
※2月23日までに予約した場合、早割で大人が2200円となる。

■字幕:なし
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約147分。途中で20分程度のインターミッションあり。

■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で12:00ごろからカレーランチ、またインターミッション中にインドスナックのケータリングあり。

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
NEW!https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2015/02/temper-telugu-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
制服を着ないお巡りさんの話だという。孤児として育ったダヤ(NTR Jr)は、金と権威をほしいままにできる警官になることを夢見ていた。長じてその夢をかなえ、不正や汚職で悪名高いサブ・インスペクターとなる。ハイダラーバードからヴァイザーグに転属となった彼は、土地のやくざのワールタル・ヴァース(Prakash Raj)とかかわることになる。それは腐敗した大臣(ジャヤプラカーシュ・レッディ)の意向によるもので、ダヤとワールタルはつるんで様々な悪事に手を染める。一方で、ダヤは動物愛護活動家のシャーンヴィ(Kajal Aggarwal)と知り合い、追いかけまわし、やがて恋仲となる。しかし、彼女が人違いによってワールタルに命を付け狙われていることがわかり、事態は新たな局面を迎える。

その他の登場人物
ムールティ(Posani Krishna Murali):ダヤの副官、実直な巡査
ラクシュミ(Madhurima):ワールタルが本当に命を狙っている娘
コソ泥たち(Sapthagiri, Ali)

さらに続きの粗筋を読んでおきたいむきには川縁先生のレビューがお勧め。

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【釣り書き】
NTRジュニアは、押しも押されぬテルグ映画界のトップスター、その動向は常にマスコミの話題の中心で、新作の封切りは祝祭となる。にもかかわらず、ここ数年『バードシャー』を除いてはボックスオフィス的にパッとせず、批評家からもマンネリと誹られることが続いていた。しかしここにきて本作でやっと雪辱を果たすことになったらしい。13日の現地封切りからこっち、売り上げも上々(こちらなど参照)、そして珍しいことに批評家による評価が軒並み高いのだ。Yamadonga (Telugu - 2007) 以来の秀作、いや Rakhee (Telugu - 2006) からこっちの名演、いやいやデビュー以来の全出演作きっての傑作じゃ、それどころか祖父NTRを超えたんじゃないか、などなど、大げさな賞賛が飛び交い、逆にこれまでの低空飛行の長さを物語るようでもある。

本作でのノベルティは撮影中に披露されたシックス・パックの腹筋で、色々なニュアンスの悲鳴が聞かれたが、『バードシャー』でのさらさらヘアーと同じで、さほど大した意味は無いのじゃないかな。お客さんにウケてもらうためには何でもやりまっせという天晴れ芸人魂ではあると思うが。

最大の魅力とされているのは、プーリ・ジャガンナート監督自身が書いた面白すぎる台詞と、それを操るジュニアの台詞回し、クライマックスのアクションだそうだ。台詞は日本人としてはどうしようもない部分であるが、ハイ・テンションのダンスも健在ということなので、楽しみにしたい。

監督のプーリ・ジャガンナートは過去に Businessman (Telugu - 2012) を上映した際にちょっとだけ紹介した。その後もIddarammayilatho (Telugu - 2013) などのヒットをものにしたが、「グナシェーカル、ラージャマウリとならぶ(テルグ映画監督の)3トップ」とまで褒め上げた筆者にとってはちょっと物足りない作品が続いていた。しかし本作では、ここのところのスクリプトの弱さを克服して、これまでのキャリアの中でのベスト作品とまで賞賛されている。

気をよくしたプロデューサーのバンドラ・ガネーシュは、早くもパート2の製作を宣言してもいる。本当に実現するかどうかは分からないが、『ダバング』のチュルブル・パーンデーのような名物キャラになって行けば、それもまた面白そうだ。

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投稿者 Periplo : 20:41 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2014年09月29日

10月のJ-テルグ(秋祭り)

どやっ、白シャツでも対決じゃ!とか、そんなことはどうでもいいのだが。

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ヴィナーヤカ・チャヴィティ(ガネーシュ・チャトゥルティ)からナヴァラートリにかけての祝祭シーズンに封切られた重量級の2本を1日で見てしまおうという凄い体験(もちろんどちらか1本のみの鑑賞も可)。8月の第1ラウンドが終わり、10月中旬からの第2ラウンドを待つ『バードシャー テルグの皇帝』に大いに関係がある新作でもある。

一発目

Aagadu (Telugu - 2014) Dir. Srinu Vaitla

原題:ఆగడు
タイトルのゆれ:Agadu
タイトルの意味:He will not stop

Cast:Mahesh Babu, Tamannah, Rajendra Prasad, Sonu Sood, Brahmaji, Brahmanandam, Naser, Nadhiya Moidu, Tanikella Bharani, Rao Ramesh, M S Narayana, Vennela Kishore, Raghu Babu, Posani Krishna Murali, Ajay, Prudhviraj, Ashish Vidyarthi, Raghu Karumanchi, Sameer, Sekhar, Prabhas Sreenu, Ravi Prakash, Mumtaz, Shruti Haasan (guest appearance), etc.

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Aagadu
■公式トレーラー:http://youtu.be/5pxWQGyaDiM
■ソング全曲ジュークボックス:http://youtu.be/s_A7tiCV_XQ
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/09/aagadu-telugu-2014.html

■日時:2014年10月11日13:00開映予定 
■各回の料金:大人2200円(予約2000円)/5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語(のはず。万が一技術的な理由で表示されなかったらご容赦を。汗)
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約165分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケットに関しては、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
※別料金でインド料理ケータリングあり(上映前ランチとインターミッション中のスナック)

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ニ発目

Rabhasa (Telugu - 2014) Dir. Santosh Srinivas

原題:రభస
タイトルのゆれ:Rabasa
タイトルの意味:altercation, commotion

Cast:NTR Jr, Samantha, Pranitha Subhash, Brahmanandam, Jayasudha, Brahmanandam, Naser, Nagineedu, Jayaprakash Reddy, Ali, Sayaji Shinde, Bramhaji, Ajay, Amit Tiwali, Raghu Babu, Ali, Nandhu, Vennela Rama Rao, Seetha, Satya Krishnan, Hema, Surekhavani, Pragathi, Sana, etc.

■映画公式サイト:http://www.rabhasathemovie.com/
■公式トレーラー:http://youtu.be/QM7VNC-VckY
■ソング全曲ジュークボックス:http://youtu.be/G829Ma8WJH0
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/09/rabhasa-telugu-2014.html

■日時:2014年10月11日17:00開映予定 
■各回の料金:大人2000円(予約1800円)/5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約162分
■会場:上に同じ
※上映前に別料金でスナックのサービスあり。インターミッションは10分程度で、この間はスナック・サービスはなし。
※なお、終映は20:00頃の予定。ただしずれ込む可能性もあり。バスの便についてはこちら参照、バス停位置についてはこちら参照。

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メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Aagadu ticket booking」「Rabhasa ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。
※二本立ての両方をご覧になりたい方は、メールタイトルに両作品のタイトルを併記してください。別々のメールでの申し込みももちろんオーケー。

Aagadu について

【前半の粗筋】
ラーヤラシーマ地方。警察官のラージャ・ラーオ(Rajendra Prasad)は孤児のシャンカルを引き取り、自分の息子と分け隔てなく育てる。シャンカルの夢は警察官になることだった。しかしある時、ラージャ・ラーオの実子が誤って他の子供を死に至らしめるという事件が起きてしまう。ラージャ・ラーオの恩に報いたいシャンカルは、その罪を自らが被って少年院に収容されることになる。そんな事情を知らない養父は、怒ってシャンカルとの縁を切る。

月日は流れ、少年院に送られたシャンカルは成長し、傲慢でエキセントリックなCI(circle inspector)シャンカル、またの名をエンカウンター・シャンカル(Mahesh Babu)として戻ってくる。彼はブッカパトナムという町に配属となるが、そこは有力者ダーモーダル(Sonu Sood)が暴力によってほしいままに支配している無法地帯だった。折りしも彼は人々の意思を無視して、強引に発電所建設計画を押し進めようとしていた。着任したシャンカルはダーモーダルの横暴を阻止しようとするが、やがて彼が過去に自分の身近に起きた悲劇とも関係していることを知る。そこからダーモーダルとの対決は、任務から復讐へと変わったのだった。

一方でシャンカルは、ブッカパトナムの町で製菓店を営むサロージャ(Tamannah)、そしてその奇人揃いの家族と知り合う。

その他の登場人物
●シャンカルの兄弟(Ajay):ラージャ・ラーオの実子、ブッカパトナムのコレクター
●デリー・バーブ(Brahmanandam):シャンカルによって、ダーモーダルとの神経戦の駒にされる痴れ者

【予想される見どころについて】
『バードシャー テルグの皇帝』で観客を唖然とさせたシュリーヌ・ヴァイトラ監督の最新作。マヘーシュ・バーブとのコンビでは、Dookudu (Telugu - 2011) があり、これはメガヒットと言われている。今作もまた、同監督の作風は全開、無闇と入り組んだハチャメチャな展開で満腹させてくれるだろう。要するに Dookudu と『バードシャー』を足して二で割ったようなもの、という論評はあちこちで聞かれるが、これは褒め言葉でも貶し言葉でもある。演じ手たちの中では、言うまでもないが、マヘーシュのワンマンショーということで全てのレビューが一致している(特に、ダンスシーンでこれまでにはなかったような難度の高いステップに取り組んでいる、というのが気になる)。また、例によって映画や映画界からの引用も豊富。たとえば、ソーヌ・スードが演じる悪役を当初担当するはずだったが揉め事を起こして途中でチームから外れたプラカーシュ・ラージに対するあてこすり、あるいはブラフマーナンダムによるNTRジュニア、アッル・アルジュン、ラームチャラン・テージャのダンスの物真似など、想像しただけで汗が出てきそうなアイテムが並ぶ。ヒロインのタマンナーは何だか久しぶりという感じだ。これからは里帰りしたヒンディー映画界での(地味な)活躍が待っているのかもしれないが、ちょっと寂しく思ってたところなので、大スクリーンで拝めるのは大変に嬉しい。うかうかしてると、日本での次の出会いは、マラヤーラム映画上映会、カンナダ映画上映会になっちゃうかもしれんので、テルグ映画でタマちゃんの淡雪肌を堪能したい向きはお見逃しなく。白肌対決ではダンス1曲のみに特別出演のシュルティ・ハーサンも大変によろしいとの評判、こちらも楽しみ。

なお、インド亜大陸で独特な使われ方をしているエンカウンターという英単語についてはここThalappavu の項で、ラーヤラシーマという地方の概況についてはここで、簡単に説明しているのでご参照いただきたい。

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Rabhasa について

【前半の粗筋】
ニューヨークでの学業を終えてインドに戻ってきたカールティク(NTR Jr)、彼には使命があった。それは、母(Jayasudha)のたっての望みである従妹のチッティとの結婚だった。チッティは、実業家で政界進出してハイダラーバード市長になろうと目論んでいるオジのダナンジャヤ(Sayaji Shinde)の娘だった。ダナンジャヤとカールティクの父ラーマチャンドライヤ(Naser)は、過去に些細な行き違いから衝突し、両家は絶交状態にあるのだが、母は婚姻によって縁を取り戻したいというのだ。カールティクはチッティが学ぶというカレッジに入学して彼女を探すが、間違ってバーギャム(Pranitha)をチッティだと思って近づき、混乱が起きる。実は彼女のルームメイトのインドゥ(Samantha)こそが幼名をチッティといった従妹だったのである。やがて勘違いに気づいたカールティクは、インドゥには既にヴァムシー(Nandu)という片思いの相手がいることを知る。インドゥはしばらく前に、無理に見合い結婚させられそうになっている女友達を式場から脱出させ、恋人と駆け落ちするのを助けたことがあった。その際に協力し合って電話で連絡をとったのがヴァムシーなのだが、インドゥはまだ彼の顔を見たことがない。カールティクはインドゥの恋路を応援すると約束する。

一方同じ頃、沿海アーンドラのネッロル地方のとある村では、ペッディ・レッディ(Jayaprakash Reddy)とガンギ・レッディ(Nagineedu)がそれぞれ率いる二つの名家が激しく争っていた。カールティクとインドゥは妙な成り行きからペッディ・レッディの家に身を寄せることとなる。カールティクとこの家の関係は何なのか、そして彼は母の望みどおりインドゥと結婚することができるのか?

【予想される見どころについて】
2001年にヒーローとしてデビューして以来初めて、NTRジュニアは作中で祖父NTRシニアへのオマージュを捧げなかったという。そしてそれが本作の唯一の目新しい試みだ!と非難しているレビューがあって、かなり笑った。別の言葉で言えば、ジュニアは今回もファンのことだけを考えた王道娯楽路線で来てるってことだ。ダンス、アクション、コメディ、ロマンス、ファミリーセンティメントを幾重にもミルフィーユのように重ねて(ただし後半になって流血量が増える)、偉大なるマンネリの中で、あんなことやこんなことをやって作品全体を一人で背負って立つ、それがテルグのトップスターってやつなのだから。などと醒めたことを言ってみたものの、やはり見過ごすことができないのは5曲あるソングのうちのひとつ、♪Raakasi Raakasi でジュニア自らが歌ってることじゃないだろうか。プロのものとは違うけど、思い切りのいい歌いっぷりにはやっぱり痺れる。歌詞と英訳もここにあり。他のキャストでは、お馴染みのサマンタと、後半から登場してかき回してくれるキング・オブ・コメディのブラフマーナンダムが際立っているという。監督のサントーシュ・シュリーニヴァースは Kandireega (Telugu - 2011) でデビューして本作が2作目という新進。Kandireega は、やはり新しい趣向は皆無ながら、なんともカラフルで弾けるような楽しい佳作だった。本作でもそんな楽しさがスケールアップして繰り広げられることを期待したい。

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投稿者 Periplo : 16:32 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2014年05月29日

6月のJ-テルグ

サマンタとシュレーヤーのツインヒロイン、アミターブ・バッチャンの顔見せ…しかしテルグの衆にとっての大御馳走は何といってもANR家(正確にはアッキネーニ家)の三世代共演ていうところにあるんだと思う。

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Manam (Telugu - 2014) Dir. Vikram K Kumar

原題: మనం
タイトルの意味:We ※ドラヴィダ語に特有の、話者と語りかけられる相手とを含む一人称複数代名詞。相手を含まない一人称複数はmemu。

Cast:Akkineni Nageswara Rao (ANR), Nagarjuna, Naga Chaitanya, Samantha Ruth Prabhu, Shriya Saran, Brahmanandam, Ali, M S Narayana, Jayaprakash Reddy, Chalapati Rao, Posani Krishna Murali, Shankar Melkoti, Srinivasa Reddy, Krishnudu, Ramchandra, Giridhar, Saptagiri, Gundu Sudarshan, Ambati Srininivas, Duvvasi Mohan, Saranya Ponvannan, Tejaswi Madiwada, Satya Krishnan, Kaushal Sharma, etc.
Guest appearance:Amitabh Bachchan, Lavanya Tripathi, Neetu Chandra, Raashi Khanna, Akhil, Amala

■日時:2014年6月7日、14:00(終映は17:00ごろ)
■料金:大人2000円(予約は1900円)、5歳以上12歳以下の子供1200円(予約は1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語(万が一字幕なしだったら御免なさいです)
■上映時間:ネット情報によれば約150分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケットなど上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
※別料金でインド料理ケータリングあり(上映前ランチとインターミッション中のスナック)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/ManamTheFilm
■公式トレーラー:http://youtu.be/Y4Bq4SQc_eM
■ソング全曲ジュークボックス:http://www.youtube.com/watch?v=uCHGnpp_sGE&feature=share&list=PL0ZpYcTg19EHn4BQrVFDBOE13qy2-Wvry
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/05/manam-telugu-2014.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Manam ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

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【ネタバレ度40%ぐらい?の粗筋】
1983年、ラーダーモーハン(Naga Chaitanya)とクリシュナヴェーニ(Samantha Ruth Prabhu)の若夫婦は交通事故に遭って命を落としてしまう。一人残された息子のナーゲーシュワラ・ラーオ(愛称ビットゥ)は長じて成功したビジネスマン(Nagarjuna)となった。あるとき、ナーゲーシュワラ・ラーオはナーガールジュナ(Naga Chaitanya)とプリヤ(Samantha Ruth Prabhu)という若い男女と知り合い、二人が両親に生き写しであることから輪廻を確信し、この二人の愛のキューピットになろうと決意する。

同じ頃、彼はアンジャリ(Shriya Saran)という若い女性、チャイタニヤ(ANR)という老人とも知り合う。90歳のチャイタニヤは、ナーゲーシュワラ・ラーオとアンジャリが遠い昔に亡くなった自分の両親とそっくりなのを見て驚く。チャイタニヤは彼らが両親のシーターラームドゥ(Nagarjuna)とラーマラクシュミ(Shriya Saran)の生まれ変わりであると確信して、この二人の愛のキューピットになろうと決意する。

【見どころ紹介】
2013年10月18日、89歳のアッキネーニ・ナーゲーシュワラ・ラーオ(ANR)は本作を撮影中のアンナプールナ・スタジオ(自らが設立したファミリー・プロダクションの本拠地)で、一族を従えて記者会見を行った。25分に及ぶスピーチ中で、彼は自分が癌と診断されたことを告白し、闘病の意欲は充分にあること、個人的な見舞などを遠慮してほしいという要望を伝え、100歳まで生きるつもりであると宣言した。この時点で本作は約60%撮了していたという。この演説の力強さ、そして周りを固めた一族の結束の様子(こちら参照)を見て、この人は本当に100歳を迎えることができるだろうと確信したのを覚えている。

その後彼は手術に臨んだが、術後15日目に病床でアフレコ作業をするための手配を息子ナーガールジュナに命じた。「今のうちにやっておかないと、(ANRの声帯模写を得意とする)物真似芸人に頼むことになってしまうぞ」(ナーガールジュナのインタビューによる)。ソングシーンの僅かなショットを除き、予定されていた全ての撮影・レコーディングを終えた後、NTR(シニア)と人気を二分したこの不世出の名優は、2014年1月22日に不帰の人となった。

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つまり本作は70年超にも及ぶANRの芸歴を最後を飾る記念碑的な作品であるわけなのだが、上に書いた粗筋に目を通していただければ分かるように、笑っちゃうようなラブコメ+ファミリー映画なんだよね。現地のレビューでは「バック・トゥ・ザ・フューチャー印度版」なんて言い方が盛んにされていたけど、輪廻ってのが入ってくるのがミソ。

ナンダムーリ(NTR)家とならぶ名門アッキネーニ家の始祖ANR、息子ナーガールジュナ、孫のナーガ・チャイタニヤが共演し、しかも劇中の役名として、祖父が孫の、息子が祖父の、孫が息子の芸名を背負って演技する、この完全な内輪受け構造。もともと3月末の公開が予定されていた本作は、ウガーディ・シーズン向けのファミリー映画の超豪華版。しかし、単なる季節の縁起もの映画を超えた、高いレベルの作劇と演技が結びついて、5月23日の公開以来、各種レビューで軒並み4/5の高ポイントを獲得し、興行上も爆発的な売り上げ記録を更新している。

長老ANRについてはここで、息子ナーガールジュナについてはここで以前に書いた。

孫のチャイ太ことナーガ・チャイタニヤは Josh (Telugu - 2009) でデビューして本作が第7作目。やっと青臭さが抜けてきたというところ。これまでのところの代表作は、サマンタのデビュー作でもある Ye Maya Chesave (Telugu - 2010) か。母はナーガールジュナの前妻ラクシュミで、この人は「愛と憎しみのデカン高原」の主演俳優ヴェンカテーシュや「マッキー」のプレゼンターであるスレーシュ・バーブの妹(または姉)なので、チャイ太はアッキネーニ家とダッグバーティ家の双方に連なることとなる。

豪華ツインヒロインは、「ボス その男シヴァージ」のシュレーヤー・サランと、「マッキー」のサマンタ。また、ナーガールジュナの現夫人アマラと、二人の間の息子アキルもちらりと顔を出すという。一方でこの三人が登場しないのはなぜなのか、一部では訝しがる声もある。

監督のヴィクラム・クマールは、1990年代末に英語作品でデビューし、その後は主にタミル&テルグで作品を送り出し、本作が7作目の中堅。これまでの代表作は、タミル・ヒンディー・バイリンガルのホラー Yaavarum Nalam / 13B (Tamil, Hindi - 2010) と、フレッシュなラブコメとしてヒットした Ishq (Telugu - 2012) の2本。今回はテルグ映画界きっての名門のファミリー映画を手掛けたというのだから当然テルグ人かと思いきや、2012年のこのインタビューでは、「昔と比べたら随分テルグ語も分かるようになってきた」というようなことを言っていて吃驚。本籍はタミルの人であるようだ。

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本作の大ヒットに刺激されて、テルグ映画界で番を張ってる他のファミリーの皆さんも、全員集合映画を作りだしたりしないもんかね。チランジーヴィ率いるコニデラ一家の壮絶兄弟喧嘩ムービーとか、NTRジュニアが事実上代表しているナンダムーリ一家のドロドロ愛憎サーガとか、モーハンバーブ率いるマンチュ一族のお笑い説教マラソンとか、凄く観てみたいわ。

投稿者 Periplo : 23:00 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2014年01月14日

【時刻確定】1月のJ-テルグ:その2

こりゃまた凄い武器を考え付いたもんだ。こちらは1月12日現地封切り。本当なら昨年の中頃にリリースされるはずだったのが、色んな事情から遅れに遅れてやっと開封されたリベンジ・アクション。

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Yevadu (Telugu - 2014) Dir. Vamshi Paidipally

原題: ఎవడు
タイトルの意味:Who?

Cast:Ramcharan Teja, Shruthi Haasan, Amy Jackson, Sai Kumar, Rahul Dev, Brahmanandam, Shashank, Murali Sharma, Vennela Kishore, Ajay, Kota Srinivasa Rao, Jayasudha, Subbaraju, L B Sreeram, Surekhavani, Scarlet Wilson, Allu Arjun (guest appearance), Kajal Agarwal (guest appearance), etc.

■日時:2014年1月25日、14:00(終映は17:00ごろ)、なお、13:40ごろから 1-Nenokkadine のソングシーン特別上映を予定している
■料金:大人2200円(前回上映1-Nenokkadineのチケットを提示すると1600円、それ以外の予約は2000円)、5歳以上12歳以下の子供1200円(同800円、それ以外の予約は1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし(の予定)
■上映時間:ネット情報によれば約165分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケットなど上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
※別料金でアーンドラ・キッチンによるインド料理ケータリングあり(上映前ランチとインターミッション中のスナック)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/YevaduTheFilm
■公式トレーラー:http://youtu.be/m9h976hfKCc
■ソング全曲ジュークボックス:http://youtu.be/lKbZ8ITkww8
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/01/yevadu-telugu-2014.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Yevadu ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

【調子に乗ってかなりネタバレしてる粗筋】
舞台はヴァイザーグ(ヴィシャーカパトナム)。サティヤ(Allu Arjun)とディープティ(Kajal Agarwal)は相思相愛の恋人同士で結婚を考えていた。しかし、地廻りのヴィール・バーイ(Rahul Dev)はディープティに懸想し、彼女をつけまわす。サティヤはディープティを守るために戦おうとするが、彼女の懇願によって共にハイダラーバードに逃れることにする。しかし二人の乗ったバスをヴィール・バーイと手下たちが襲い、バスは炎上し、ディープティは焼死する。

ハイダラーバードのアポロ病院の外科医シャイラジャ(Jayasudha)は、顔面に大火傷を負いながら一命を取りとめたサティヤに大掛かりな整形手術を施す。全く別の顔に生まれ変わった彼はラーム(Ramcharan Teja)と名乗り、ヴィール・バーイへの復讐のためにヴァイザーグに戻る。外国人女性(Amy Jackson)の協力を得て仇たちを次々に倒していくラームだったが、やがて正体の知れない襲撃者(Subbaraju)と対峙することになる。彼はハイダラーバードのマフィアの親分ダルマ(Sai Kumar)の手下だった。

実はダルマが追っていたのは、大学生のチャラン(Ramcharan Teja)だった。チャランは無体な立ち退きを迫られているスラムの人々に救いの手を差し伸べる過程で、ダルマと対立するようになる。チャランとその恋人マンジュ(Shruti Haasan)の身に何が起こったのか。(粗筋了)

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【見どころなどの予想】
見どころはもちろん、一にも二にも、チランジーヴィのただ一人の息子ラームチャラン・テージャ(Naayak 上映の際にプロフィールは紹介した)。昨年は Naayak に加えて、アミターブ・バッチャンのクラシック Zanjeer のリメイクをヒンディーとテルグのバイリンガルでという意欲作にも挑戦し、さらには本作と、これまでのスローペースと決別するかのように動き出したチャラン君だったが、Zanjeer は興行的に撃沈し、本作は公開遅延と、あまりツイてなかったのも事実。しかし今年のサンクラーンティ・シーズンの目玉として、先日紹介の 1-Nenokkadine と二日の差で激突した本作は、当初マヘーシュ主演作に対して劣勢と予測されていたが、蓋を開けてみたところ予想外に健闘して(あるいは圧勝して?)いるという。

ヒロインは、シュルティ・ハーサン(上段左)とエイミー・ジャクソン(上段右)のツートップ。カマル・ハーサンの娘シュルティについてはこれまでの上映でも紹介してきたのでおなじみだと思う。英国出身のエイミー(タミル語読みだとイェーミ・ジャークサン)は、『神さまがくれた娘』のALヴィジャイ監督の Madrasapattinam (Tamil - 2010) で、英国植民地時代に下層のタミル人と恋に落ちる英国人令嬢のヒロインを演じて大当たりをとった。Madrasapattinam ではサウス人好きのする可愛らしく清楚な役作りだったが、本作ではビキニ要員としての役割も担っているようだ。

ストーリーにかなり重要に絡んでくる特別出演は、ラームチャランのイトコであるアッル・アルジュン(下段中)とカージャル・アガルワール(下段左)。アルジュンは、チランジーヴィの妻の兄弟にあたるアッル・アラヴィンド(有名なプロダクション会社ギーター・アーツの経営者である)の息子。2003年から主演格で活躍しており、芸歴的にはラームチャランの先輩格となる。もう何回J-テルグで出演作を上映したか数えることすら放棄してしまったカージャル・アガルワールさんについては、「サウス印度映画界の女王」的な形容をしてきたが、つい先日カンナダ映画に出演するという未確認情報が流れ、関係者に動揺が走っている(女王様がカンナダに?!)。

監督のヴァムシー・パイディパッリは本作でやっと3作目という若手だが、前作 Brindaavanam がスマッシュヒットとなって認められた。これまでの2作を見る限りでは、コマーシャルな諸要素をきっちり詰め込んだ、こてこて娯楽映画の作り手であるようだ。

またしても音楽はDSPことデーヴィ・シュリー・プラサード先生。スタント・マスターは数多くのタミル・テルグ映画でハードコアなアクションを振付けるピーター・へイン(タミル語読みピーッタル・ヒーン)、ベトナム生まれで現在はチェンナイを本拠地とするこの人の代表作といったら、やっぱり『ロボット(Enthiran)』ということになるか。

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エッシャーの騙し絵みたいなこのポスターは結構面白い。


【特別付録:ヴァムシー・パイディパッリ全作品ディスコグラフィー】
たったの2本だが、過去作品についても簡単に紹介しておく。

cvMunna.JPGMunna (Telugu -2007)

Cast:Prabhas, Ileana D'Cruz, Prakash Raj, Kota Srinivasa Rao, Posani Krishna Murali, Rahul Dev, Sukanya, Kalyani, Chalapati Rao, Sudha, Surya, Raghu Babu, Venu Madhav, Tanikella Bharani, Brahmaji, Rajiv Kanakara, GV, Shriya Saran (special appearance), etc.

原題:మున్నా
タイトルの意味:主人公の名前

DVDの版元:Sri Balaji
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間46分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/12/munna-telugu-2007.html

■ 監督デビュー作。ヒットを快調に飛ばしていたプラバースを主役に据え、デビュー2年目にしてこちらも絶好調だったイリヤーナーをヒロインに配した、典型的なアクション映画。どういう訳かフロップとなってしまった。リベンジを基調にして、社会問題も取り入れ、新味はないもののよくまとまった一作だと思うのだが何がいけなかったのか。全体的に暗さが目立ち、父殺しのモチーフがあることが共感を拒んだのかもしれない。家族の価値を重んじるインド映画では、母殺しはまず絶対にない。父殺しは稀に現れることがあるが、取り扱いが難しいテーマであるようだ。現実感はないものの、非常に凝った振り付けで目を惹きつけるファイトシーンが印象に残る。

cvBrindavanam.jpgBrindaavanam (Telugu - 2010)

Cast:NTR Jr, Kajal Aggarwal, Samantha, Kota Srinivasa Rao, Prakash Raj, Srihari, Mukesh Rishi, Ajay, Tanikella Bharani, Brahmanandam, Venu Madhav, Sithara, Hema, Surekhavani, Raghu Babu, Brahmaji, Ahuti Prasad, etc.

原題:బృందావనం
タイトルの意味:物語の舞台となる邸宅の屋号。もちろん、神話中でクリシュナが牧女たちと戯れたとされるヴィシュヌ派の聖地を暗示している。

DVDの版元:Bhavani DVD, Aditya など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間49分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(英語字幕つき)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/brindaavanam-telugu-2010.html

■問題を抱えた大所帯に余所者がやってきて、いがみ合うメンバーの間に和をもたらすという、インド映画で昔から愛されてきたパターンのバリエーション。揉め事の解決が簡単すぎて拍子抜けするのだが、もうひとつ、これもまた好まれるシチュエーションである、恋人詐称というモチーフが加わり、二時間半超えの長尺となった。本作の結末は、若手スターであるNTRジュニアにしては大胆なもので、かなり驚く。こういうパターンが許容されるのはラジニカーントやチランジーヴィの世代が最後だと思われていたので。なお、本作からは西ベンガル州のベンガル語リメイク Khoka 420、バングラデシュのベンガル語リメイク Buk Fatey To Mukh Foteyna、カンナダ・リメイク Brindaavana が生まれている。

投稿者 Periplo : 00:46 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2014年01月13日

1月のJ-テルグ:その1

よっ、昨日あれからちゃんと帰れたか~?みたいなさりげなさだが、実はソロ出演としては二年ぶりの新作じゃ(去年は SVSC があったけど)。1月10日に封切られた本作は、サイコ・スリラーというふれ込み。

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1-Nenokkadine (Telugu - 2014) Dir. Sukumar

原題:1- నేనొక్కడినే
タイトルの意味:I am alone
タイトルのゆれ:1, Nenokkadine, One-Nenokkadine, 1..Nenokkadine, etc. ロゴに現れるタイトルは「1」がメインで、これにふりがなとして「ネーノッカディネー」が付加されているようだ。

Cast:Mahesh Babu, Kriti Sanon, Nassar, Anu Hasan, Sayaji Shinde, Pradeep Rawat, Kelly Dorji, Vikram Singh, Posani Krishna Murali, Srinivasa Reddy, Anand, Surya, Gautham Krishna, Naveen Polisetty, Sophie Choudry, etc.

■日時:2014年1月18日、午後6:00開映(9:00頃終映予定)
■料金:大人2600円(予約2400円)、5歳以上12歳以下の子供1400円(予約1200円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし(の予定)
■上映時間:ネット情報では約169分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)9番劇場
※当日券の購入および前売り代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、5Fの9番劇場入り口にて。受付開始は17:30ごろから。着席は17:45から可能。上映は18:00きっかりにスタートする。インターミッション休憩なしの連続上映となる。
※家族チケットなど上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/1Nenokkadine
■公式トレーラー:http://youtu.be/Gi2ukWXMMAA
■ソング全曲ジュークボックス:http://youtu.be/HJ3rF7PW7HA
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/01/1-nenokkadine-telugu-2014.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「1-Nenokkadine ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

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【分かっている粗筋】
イギリス生まれで現在はインドで活躍するロックスターのガウタム(Mahesh Babu)は、孤児として育ち、その私生活は孤独だった。彼には幼少時の記憶があまりないのだが、両親が3人の男たち(Nassar, Pradeep Rawat, Kelly Dorji)に殺される映像だけが脳裏に刻み込まれており、それは成人した今も悪夢となって日々彼を苦しめていた。あるコンサートの最中に、彼は3人のうちの1人を目撃し、その男を追跡して殺す。復讐を遂げて警察に自首したガウタムだったが、その殺人は彼以外の誰にも認識されておらず、彼は現実と願望の区別が付かない精神疾患と診断される。混乱した彼は執拗なマスコミをかわすために一人でゴアに逃れる。ドキュメンタリーを撮るためにガウタムに接近していたTVリポーターのサミーラ(Kriti Sanon)は、彼を励まし、その疾患の原因とじっくり向き合うために今いる場所を離れることを勧める。二人は連れだってゴアにやってくるが、その情報をつかみ、特ダネをものにしようと彼を追い回す。そこで待っていたのはサミーラを攻撃する謎の男たちだった。(粗筋了)

【見どころなどの予想】
「マヘーシュ」の一言で終わらせたい気持ちをぐっとこらえて、トリヴィアっぽいことをちらほら書いておく。

ヒロインのクリティ・サーナン(テルグ語スクリプトから判断した読み)はデリー出身のモデル、本作がデビューとなる。当初はおなじみのカージャル・アガルワールがヒロインと決まっていたが、色々あって降版、オーディションによってクリティが選ばれた。今のところそれ以上の情報はなく、「モデルさんみたいですね」としか言いようがない。他に女優では、UKエイジアンのシンガーでボリウッド映画にも何本か出演しているソフィー・チャウダリーがアイテム・ダンスを披露するようだ。

その他のキャストでは、懐かしの『インディラ』でヒロインだったアヌ・ハーサン(カマル・ハーサンの姪で、シュルティ・ハーサンやスハーシニとはイトコにあたる)が久々に登場。ケリー・ドルジー、サヤージ・シンデー、ナーサル、プラディープ・ラーワトといった出ずっぱり悪役軍団(幾人かは Baadshah のときにプロフィールを紹介している)も。通な人向けには、マニ・ラトナムの Thiruda Thiruda (Tamil - 1993) などに出演してそれなりに評価されながらもなぜか芽が出ず、気がついたらマラヤーラム映画の悪役俳優になっていた(こちら参照、尤もTVで活躍してるらしいけど)アーナンドが顔を見せるというのが珍しいかも。コメディー・シーンがないということで封切り前に話題となった本作だが、コメディー的な役割のいくばくかを担うのは、異貌の人ポーサーニ・クリシュナ・ムラリであるようだ。また、マヘーシュの長男ガウタム・クリシュナが主人公の少年時代の役でデビューする。それでいきなりこれだ。家業であるスターの世襲に向けての準備はもう始まっているのだ。

そういや、マヘーシュに関しては、最近流行のシックス・パック開陳予測報道なんてのもあったっけ。ボリウッドとは対照的に、テルグ(というかサウス)では、数人の脱ぎ専キャラを除くと男優は「脚本に必然性がない限り」むやみと肌を晒さないし、筋肉信仰も比較的弱い。監督をはじめとしたスタッフが、嫌がるマヘーシュを説得して脱ぎのシーンを実現させようとした、ってんだけど本当かね。そっち方面の興味がある人は注目だ。

監督のスクマールは本作で5作目の、新感覚派と見なされている才人。これまでは一貫して若手俳優を使い、低予算でひねりの利いたラブコメを中心に撮ってきた。今回は、大スター・マヘーシュを使い(正確にはマヘーシュに起用され、だが)、2カ月のロンドン滞在を含む海外ロケを行うなど、これまでとはケタ違いの大作に挑む。こちらに最新インタビューあり。

撮影のRラトナヴェールはタミル・テルグを中心に活躍する中堅。これまで手がけた中での代表作は何と言っても『ロボット(Enthiran)』。

音楽はDSPことデーヴィ・シュリー・プラサード先生。上にリンクしたジュークボックスには♪O Sayonara Sayonara なんてのもあって興味を惹かれるが…なんというか、ロックスターの映画の割には、ちょっとその、ダサくないですかい?………まあその、映画音楽ってのは映像と合体したときに初めて評価されるもんだとは思うので、振り付け担当のプレーム・ラクシト先生のお手並みに期待したいところ。

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ロックしてる格好いいスチルも沢山あるけれど、やっぱこういう絵が一番嬉しいなあ。

【特別付録:スクマール全作品ディスコグラフィー】
蛇足っぽいが、凝った作風で知られるスクマールの過去作品についても簡単に紹介しておく。

cvArya.jpgArya (Telugu -2004)

Cast:Allu Arjun, Anuradha Mehta、Siva Balaji, Rajan P Dev, Subbaraju, Sunil, Venu Madhav, Devi Charan, Vidya, Babloo, Abhinayasri, J V Ramana Murthi, Sudha, etc.

原題:ఆర్య
タイトルの意味:主人公の名前

DVDの版元:KAD, Aditya
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間30分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/arya-telugu-2004.html

■ デビュー作品。学園を舞台に、アーリヤ(Allu Arjun)、ギータ(Anuradha Mehta)、アジャイ(Siva Balaji)という3人の若者の間での三角関係を描いたロマンス。ほとんど脈がなさそうなヒロインに屁理屈と頓智をまくし立ててアタックを続ける主人公が、いわゆる「不思議ちゃん」キャラで、どうやって結末にもってくのかとハラハラしながらストーリーを追うことになる。少女マンガみたいな展開に唖然とする異色作。観客を選ぶタイプの作品と思えるのだが、ヒットしたという。ヒンディー語とマラヤーラム語の吹き替え版が作られ、ベンガル語、オリヤー語、タミル語のリメイクが生まれた(こちら参照)。

cvJagadam.jpgJagadam (Telugu - 2007)

Cast:Ram, Isha Sahni, Pradeep Rawat, Prakash Raj, A S Ravikumar Chowdary, Satya Prakash, Raghu Babu, Thanikella Bharani, Telangana Shakuntala, Venu Madhav, etc.

原題:జగడం
タイトルの意味:War

DVDの版元:Shalimar, Tolly 2 Holly など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間42分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/12/jagadam-telugu-2007.html

■ ここに挙げた中では最高傑作であると当網站筆者は考える。幼少時から暴力の格好良さにあこがれていた若者が道を踏み外し、大きな代償と引き換えに最後に過ちを悟る、という大変に教訓的で、しかも陳腐なストーリーライン。しかし、語り口が大変にフレッシュで、テンポもよく、ブラックなユーモアもある。特に、ヤクザのボスが、暗黒街映画で語られるようなスタイリッシュな奴でもなく、時に間抜けで、時に臆病ですらある、というリアリスティックな描写には訴えるものが大きかった。

cvArya2.jpgArya 2 (Telugu - 2009)

Cast:Allu Arjun, Kajal Agarwal, Navdeep, Shraddha Das, Brahmanandam, Mukesh Rishi, Srinivasa Reddy, Sayaji Shinde, Ajay, Duvvasi Mohan, etc.

原題:ఆర్య 2

DVDの版元:Volga
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間42分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/arya-2-telugu-2009.html

■IT企業を舞台に、アーリヤ(Allu Arjun)、ギータ(Kajal Agarwal)、アジャイ(Navdeep)という3人の若者の間での三角関係を描いたロマンス。Arya との繋がりはまったくないが、登場人物の役名とともに、主人公が「不思議ちゃん」というのが共通している。前作よりも面白くなっているのは、後半部にラーヤラシーマ・ファクション映画のパロディを持ってきたところ。これはかなり笑える。相変わらず無理の多い展開なのだが、これのおかげで満足度はかなり高いものとなっている。


cv100percent.jpg100% Love (Telugu - 2011)

Cast:Naga Chaitanya, Tamannah, K R Vijaya, Vijayakumar, M S Narayana, Chitram Seenu, Dharmavarapu Subramanyam, Tara Alisha, Nandhu, Naresh, Satyam Rajesh, Tagubothu Ramesh, Meghna Naidu, Maryam Zakaria, etc.

原題:100% లవ్

DVDの版元:Aditya
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間20分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/12/100-love-telugu-2011.html

■これもまた、少女マンガ路線大爆発の一作。学校の試験での点の取り合いという、インドの学園ものならではのエゲツない競争を通じて近づいていくヒーローとヒロインのやりとりが前半を占め、後半になって社会に出た後も持ち物や職業の格で優劣を競うという殺伐とした描写が結構刺激的。最後は DDLJ に絡めた洒落みたいなものでまとめる。同名のベンガル語リメイクがある。

投稿者 Periplo : 13:37 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2013年10月14日

10月のJ-テルグ:その2

ファンのためだけの映画?上等じゃねーか(のっしのっし)
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J-テルグ復活祭第二弾はNTRジュニア出演作。これでジュニアをやるのも4本目だよ。前作 Gabbar Singh がテルグ映画史上No.1とも言われる大ヒットを記録したハリーシュ・シャンカル監督の第4作目。現地アーンドラ・プラデーシュでも、まだヒットが続いている先日の Attarintiki Daredi と並ぶダサラ祭シーズン映画の目玉とみなされ、ベンガル湾上に超大型サイクロンが迫る中11日に公開された。復活記念のご祝儀も混じってんじゃないかと疑うほどに絶賛の嵐だった AD とは対照的に、批評家によるレビューには辛さが目立ったが、台風・クリティックなんぼのもんじゃい!という勢いで順調に売り上げを伸ばしているようだ。

Ramayya Vasthavayya (Telugu - 2013) Dir. Harish Shankar
原題:రామయ్యా వస్తావయ్యా
タイトルの意味:Rama (hero/God), (when) will you come ?
解釈についてはこちらも参照。このタイトルがあって、あおり文句の 'He is coming...' があるわけだ。なお本作は今年6月に公開された Ramaiya Vastavaiya (Hindi - 2013) Dir. Prabhu Deva とは無関係、同作はこれのリメイク。
タイトルのゆれ:Ramayya Vastavayya, RV

Cast:NTR Jr, Samantha Ruth Prabhu, Shruthi Haasan, P Ravi Shankar, Mukesh Rishi, Rao Ramesh, Paruchuri Prasad, Hamsa Nandhini, Kota Srinivasa Rao, Vidyullekha Ramana, Rohini Hattangadi, Ajay, Tanikella Bharani, Nagineedu, Praveen, Pragathi, Saranya Ponvannan

■日時:2013年10月19日、午後2:15開映(5:00頃終映予定)
■料金:大人1990円(予約1800円)、5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし(の予定)
■上映時間:ネット情報によれば約167分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/10/ramayya-vasthavayya-telugu-2013.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「RV ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

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■前半部分のあらすじ
ナンドゥ(NTR Jr)はハイダラーバードに暮らすお気楽な大学生。一目惚れしたアーカルシャ(Samantha)にあの手この手でアタックし、ついに相思相愛の仲になる。アーカルシャが姉の結婚式に出席するのに付き添って、ナンドゥはカルナータカ州クールグに赴く。その地に住むアーカルシャの父で裕福な実業家、ナーガ・ブーシャナム(Mukesh Rishi)はしばらく前から不審者(Ajay)による襲撃を受けて命の危険にさらされていた。カップルがクールグに到着し、結婚式が無事終了したところで、ナンドゥは思いもよらない行動を始め、ナンドゥとナーガ・ブーシャナムとの間の秘められた因縁がフラッシュバックによって明らかになる。

■主要登場人物
NTR Jr:ナンドゥ、ハイダラーバードの大学生
Mukesh Rishi:ナーガ・ブーシャナム、クールグに住む実業家
Samantha:アーカルシャ、ナーガ・ブーシャナムの次女
Shruthi Haasan:アンムル、アディティヤプラム村の人権活動家
Rohini Hattangadi:ベイビー・シャーミリ、アーカルシャの付き添いの老婦人
Kota Shrinivasa Rao:ウマーパティ、腐敗した大臣
P Ravi Shankar:ビクシャパティ、ウマーパティの息子で同じく政治家
Rao Ramesh:CBI捜査官
Nagineedu:ナンドゥの祖父
Tanikella Bharani:アンムルの父

■見どころなどの予想を箇条書きで
まず、大いなる不安点。テルグの大作映画にはつきものの、慣れ親しんだコメディアン軍団の名前が見当たらないこと。一応コメディエンヌとされているヴィディユレーカーさんの名前が見られるが、彼女だけで2時間50分近い娯楽作品を転がせるとは思えない。MSナーラーヤナの出番は極めて限られたものだという。隠し玉が潜伏しているのだろうか。

批評家からの評判が悪いと上に書いたが、要はありふれた復讐ものの陳腐な筋立てで新味がなく、過剰な暴力がうんざりさせる、というのが批判の最大公約数。RはリヴェンジのR、VはヴァイオレンスのVってことだね。近年の作品では特に Rebel (Telugu - 2012)、Nayak (Telugu - 2012)、Mirchi (Telugu - 2013)、それからジュニア自身の主演作 Simhadri (Telugu - 2003)、Narasimhudu (Telugu - 2005)、Dammu (Telugu - 2012) なんてあたりと同パターンじゃんかと言われている。逆に言うとこの辺のものを見てれば RV も字幕なしでらーくらく、ってのはさすがに無理か…。

しかしジュニアのダンスはなかなかイイ!らしい。音楽はおなじみのタマン君、そして振り付けに関しては、この記事を信用するならば、全5曲を5人のコリオグラファーが手がけていることになる。この中のショービ・マスターというのは、こないだ Theeya Velai Seiyyanum Kumaru の富山ロケで来日したのと多分同一人物だね。

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Bhookailas (Telugu - 1958) より、左からNTR(ラーヴァナ) 、ANR(ナーラダ仙)、SVR(マヤースラ)

ガダ(鎚矛)が気になる。トップに掲げたポスターでジュニアが担いでいるのがそれ。サンスクリット語起源でテルグ語でもガダと呼ばれるこの武器は、歴史的にはインド以外の地域にもあったし、現代インドでも伝統武術の一ジャンルとしてガダによる武闘は行われている。ただし、この金メッキの極めて装飾的なガダを見れば、どうしたってジュニアの爺ちゃんのNTRの神話映画を思い浮かべるわな。ヒンドゥー神話のイコノロジーの中で、このガダを担ぐキャラクターには決まりがあるらしい。簡単に言うと、神様であれ魔王であれ、武闘派キャラの持物なのだ。マハーバーラタに登場する中で代表的なのがパーンダヴァ5兄弟のひとりビーマと敵方のドゥリヨーダナ、ラーマーヤナだとラーヴァナとハヌマーン、それからヤマ大王やマハーバリなどもガダを持って描かれることが多い。クリシュナ神を当たり役としたNTRシニアだが、実はラーヴァナやドゥルヨーダナといった悪役キャラも好んで演じており名作もいくつかある。近年特に爺ちゃんへのオマージュを作中にこめることが増えてきたジュニアだが、おそらくはこのガダもNTRシニアへの言及と共に現れるのではないかと思われる。そして本作のオーディオお披露目でもこんな演出がされていたことを考えると、これは単なるお飾りじゃなさそうだ。ジュニアがガダを使ってどんな暴れ方をしてくれるのか、ちょっと楽しみだ。

豪華二大ヒロイン。先日も予告したけど、Attarintiki Daredi に続いてハエの恋人、『マッキー』のヒロイン、サマンタの登場、手の切れるような最新作じゃ!マッキーと合わせて10月はサマンタの3連発、まあ本作はジュニアの一人芝居という評もあるけれど、サマちゃんがこんな風に踊るところを大画面で拝むのはファンには堪らんもんじゃろうて。セカンドヒロインはシュルティ・ハーサン。すでにJ-テルグでは Gabbar Singh でお目見え済み。なんていうかね、この娘はデビュー当初の登場の仕方があまりにも勿体つけた感じで、「宇宙スターの娘でございますのよ」「作曲とかもやりますのよ」「ボリもサウスもどっちもありですのよ」etc.で、ただのカワイ子ちゃん扱いしちゃいけないのかと勝手に思ってたんだけど、しかし虚心に Gabbar Singh を眺めてみれば、フツーのカワイ子ちゃんなのだった。なんだ、だったら早くそう言ってよってことで、これからはカワイ子ちゃん軍団の一人として楽しみにしようと思う。

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今回はおなじみの川口スキップシティに戻ってのゆったり上映、のんびり楽しめると思うよ。

投稿者 Periplo : 23:57 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2013年10月09日

10月のJ-テルグ:その1

全アーンドラが(嬉しくて)泣いたっ!映画ひでりの3か月の末に訪れた恵みの暴風雨。
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4月以降色々あって途絶えていたJ-テルグ、秋の復活祭。第一弾はパワン・カリヤーン主演作。現地では9月27日に封切られ、驚異的な勢いでヒット街道驀進中。まずは作品と上映の概要。

Attarintiki Daredi (Telugu - 2013) Dir. Trivikram Srinivas
原題:అత్తారింటికి దారేది
タイトルの意味:What is the way to mother-in-law's house?
タイトルのゆれ:Atharintiki Daaredi, Atharintiki Dharedhi, Attharintiki Daredi, Atharintiki Daredi

Cast:Pawan Kalyan, Samantha Ruth Prabhu, Praneetha, Boman Irani, Nadhiya Moidu, Kota Srinivasa Rao, Ali, Brahmanandam, M S Narayana, Mukesh Rishi, Rao Ramesh, Navika Kotia, Raghu Babu, Ahuti Prasad, Brahmaji, Hema, Srinivasa Reddy, Amit Kumar Tiwari, Hamsa Nandini (guest appearance), Muntaj (guest appearance)

■日時:2013年10月13日、午後1時30分上映開始、終映は4時30分ごろを予定(開場は1時10分)
■字幕:なし(の予定)
■上映時間:ネット情報によれば約168分
■会場: スペースFS汐留
■今回に限り完全予約制、照会・予約方法はこちら参照
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/09/attarintiki-daredi-telugu-2013.html

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当網站までお越しいただく方はとっくにご存知のことと思うが、ともかくこの3ヶ月間のアーンドラ・プラデーシュ州は大騒ぎだったのだ(まだ全然収まってはいないのだが)。6月30日に会議派中央政府の諮問委員会CRC(Congress Working Committee)がテランガーナ分州にゴーサインを出す決定を下してからというもの、州都、それにシーマーンドラ(現在のAP州からテランガーナを除いた地域、つまりアーンドラ地方とラーヤラシーマ地方を合わせた呼称)ではデモやゼネスト、大小の騒乱が続いた(そして10月3日に、今度は閣議決定として分州への手続きが開始され、またしても反対運動が高まっている)。

これによって、7月以降に予定されていた大スター主演の大作テルグ映画は軒並み様子見で公開を延期、「サーキットは大渋滞」状態になってしまった。ラームチャラン・テージャ主演ヒンディー・テルグ・バイリンガルの Zanjeer / Toofan だけは、ヒンディー版の公開に引っ張られる形で9月6日に封切られたのだが、惨敗となった。時節が悪かったのか内容が悪かったのかという問題には、ここで深入りするのはやめようと思う。また、映画館自体が閉館してしまったというわけでもなかったらしく、実験的な低予算映画や他言語映画からの吹き替え作品によって空隙が埋められたので、7-8月の2ヶ月間で50本もの封切りがあったということだ(ここ参照)。

そんな中で9月の下旬に、この Attarintiki Daredi の一部が、公開前だというのにネット動画および海賊CDとして流出するという事態が発生し、逮捕者までが出た。この事件の真相については製作者の自作自演説まであって面白杉だが、これについてもここで深入りするのは控えよう。ともかく、この事件が引き金となって、バタバタと本公開が決まり蓋を開けてみたところが怒涛のブロックバスター。在日テルグ人の間でも本作への期待がパンパンに膨れ上がり、「(当初予定の)3週間も先じゃ待てん!」「モタモタしてるとネット動画で見ちゃうぞ!(これだけの騒ぎを起こしながらも、上記の流出ものとは別に通常運転の海賊動画が既に出回っているという)」などというプレッシャーが暴動寸前にまで達したため、急遽の上映となった。

■出だし部分の粗筋
イタリア・ミラノに住む大富豪ラグナンダン(Boman Irani)は、息子(Mukesh Rishi)、孫息子とともに平穏に暮らしていたが、ひとつだけ心に引っ掛かりを持っていた。それは、かつて彼が恋愛相手を認めなかったせいで駆け落ちしてしまった娘のスナンダ(Nadhiya Moidu)と和解したいという望みだった。彼女は度重なる懇請にもかかわらず、父との再会を頑なに拒んでいた。孫息子のガウタム(Pawan Kalyan)は祖父の望みを叶えようとハイダラーバードに向かい、身分を隠してスナンダに近づく。スナンダには二人の年頃の娘プラミーラ((Pranitha Subhash)とシャシ(Samantha Ruth Prabhu)がいた。ガウタムはまずこの二人と親しくなってスナンダ説得への足がかりにしようとする。タイトルの What is the way to mother-in-law's house? の「義母」とは、夫の立場からの妻の母のことを普通は指すものらしい。

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■スタッフ&キャストについて
トリヴィクラム・シュリーニヴァース監督〔略歴については2012年に行われたインタビューに詳しい、また公式ファンサイト(?)もあり〕は脚本家出身で、監督としては寡作ながらかなりの話題作を手がけてきた人物。ディスコグラフィーについてはまた後日紹介しようと思う。誰の目にもハッキリしている作風はただひとつ、「長い!」という点。これまでの全監督作が2時間40分超え、見通すのがかなり辛いものもあれば、長さを全く感じさせないものもある。成功したものについて言えば、スタイリッシュな映像とスリリングなストーリー展開、そして味のある台詞が一体となった、完成された娯楽作品だ。

主演のパワン・カリヤーンについては以前にここで簡単にプロフィールを紹介した。このときの Gabbar Singh は空前の大ヒットだったし、その後の Cameraman Gangatho Rambabu (Telugu - 2012) Dir. Puri Jagannath は、興行上は前作に及ばなかったものの筆者にとっては刮目させられるくらいの面白さだった。それまではちょっと低迷気味だったパワースターだが、もしかしてひとつ上のステージに上ろうとしているのだろうか、本作でもそのあたりを注目したい。

それから、ボーマン・イラーニーをはじめとした無闇と贅沢な脇役陣についても書き出せばきりがないが、こちらは省略(それほど出演は多くないが特異な容貌で忘れられない悪役俳優、アミット・クマール・ティワーリーについてもかなり気になっているが、これも省略)。

ま、やっぱりフツーの日本人観客にとっての見どころは、ハエの恋人、『マッキー』のヒロイン、サマンタちゃんに尽きるんじゃないかな。まあ別に本作で特別に芸風が広がったとかそういうのは期待はしないけれども、、『マッキー』全国公開と同月に最新作が拝めるってのがなんか嬉しいじゃありませんか。そしてそして、10月のサマちゃんは、もしかしてこれだけでは終わらないかもしれないのだ。乞うご期待!

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秋の刈り入れりシーズンじゃあああ!

投稿者 Periplo : 00:53 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2013年08月31日

資料系アップデート:1308

cvDrAkkineni.jpgLiving Legend Dr.Akkineni

編者:M K Ramu
版元:Rasamayi Publications (Hyderabad)
発行:2002年(初版)
版型:A5版
頁数:205
主な販売サイト:D K Agencies、ただしここはアマゾンのような便利なサービスではないので取り寄せには相当の時間が必要、また価格も異なることがあるので注意
定価:Rs.275-(インド国内)、$20-(インド国外)

「生ける伝説」の看板に偽りはなし。ハイダラーバードの文化団体 Rasamayi が、アッキネーニ・ナゲーシュワラ・ラーオ(以下ANR)の業績を讃えるため1998年に開催したセミナーの成果を集成した一冊。

インドの俳優の評伝と称するものに過大な期待をしないように慣らされているので、本書を手にとっても大きな失望はなかった。200ページ超もある本書、プロの書き手がきちんと調査して書きおろしたものならば大変に価値あるものとなっていたと思うが、本書はセミナー参加の10人ほどの文化人が思い思いの形式で賛を寄せているのを集めただけのものなので、重複や食い違いが多く、また誤植も散見される。勿体ないな~。

まあそれでも、籾殻の山に紛れ込んだ米粒を拾いだすように、抽象的で大げさな美辞麗句から実質的な情報を辛抱強くピックアップして行く作業は決して無駄ではなかったと思う。

ANRは1924年9月20日に、今日のアーンドラ・プラデーシュ州クリシュナー県ヴェンカタラーガヴァプラムに生まれた。9人兄弟の末子だったが、男ばかりの9人のうち4人は早逝したという。5歳の時に父が没し、以後は母プンナンマと長兄ラーマブラフマムによって育てられた。10歳の時、学校の舞台で女役を演じたのが好評を博したため、二人の保護者は彼を学業中断のうえプロの劇団に入門させることにする。劇団の女形として各地を巡業するなかで、映画プロデューサー兼監督であるガンタサーラ・バーララーマイヤーの目に留まり、Seeta Rama Jananam (Telugu - 1944) Dir. Ghantasala Balaramaiah でヒーローデビューする。プレイバック・シンガーの制度が確立する以前だったため、ソングシーンでは自ら歌いもした。初期の出演作の多くはフォークロア・ジャンルで、1940年代の終わりまでにはフォーク・ヒーローとしての地位を確かなものとしていた。1953年に封切られた Devdasu では、それまでの固定イメージを覆す悲劇的なキャラクターを演じ切り、生涯の代表作となった。無声映画時代から数多くのバージョンが存在する同名小説の映画化作品群の中でも最高傑作とする評者も多い。以降、1949年にデビューしたNTRと共に1950-70年代のテルグ映画界のトップとして君臨した。

妻のアンナプールナとの間に2男3女をもうけ、長男ヴェンカトはANRが創立したアンナプールナ・スタジオの実質的なトップ、次男ナーガールジュナは俳優となった。孫の世代ではスマント、ナーガチャイタニヤ、スシャントの3人が若手スターとして活躍している。

少年期に充実した教育を受けることができなかったのは、その後の人生の数々の局面で彼を苦しめた。それを埋め合わせるかのように、功成り遂げた後には教育事業に多額の寄付や投資を行った。また、テルグ映画界の本拠地のマドラスからハイダラーバードへの移転に関しては最も先鋭的な旗振り役で、1963年に他に先んじて自らのオフィスの引っ越しを敢行している(一方、NTRはマドラスにかなりの未練があったようで、この件に関しては遅れをとってしまったが、80年代に州首相となってからは積極的に移転政策を後押しした)。

神よりもヒューマニティを信じる、と公の場ではっきりと言明しており、一般には無神論者と見なされている。

自らの過去の業績を汚さないため、との理由から2000年ごろに引退状態(ただしTVシリアルには出演を続けていた)となったが、その後復活し、Chukkallo Chandrudu (Telugu - 2006) Dir. Siva Kumar では、シッダールト&プラブ・デーヴァーと共にダンスを披露するなど健在ぶりをアピールした。今現在の最新出演作は Sri Rama Rajjyam (Telugu - 2011) Dir. Bapu となる。

以上に書いたようなことは、それでもネット記事などを丹念に調べれば把握できるかもしれない。本書の一番のお宝は、セミナー参加者によって選ばれ、解説を加えられた「ベストロール35」ということになるだろう。初期にはフォークロアも神話も見事に演じていたANRだが、自らの芸風を冷静に見極めた末にソーシャル中心にシフトしていったということがこのリストからも見て取れる。筆者は現在この全部を潰すには程遠いところにいるが、それでもこれまでに鑑賞して強く感銘を受けた作品のかなりがリスト中に含まれているのを見て心強く思った。鬱蒼としたサウス古映画の密林に分け入っていくには、当てずっぽうよりは何らかの道案内があったほうがやはり良いと思う。そんな理由からリストの作品名のみを以下に書き出してみた。

1.Devadasu (Telugu - 1953) Dir. Vedantam Raghavaiah ジャンル:ソーシャル
2.Vipranarayana (Telugu - 1954) Dir. P S Ramakrishna Rao ジャンル:ディヴォーショナル
3.Ardhangi (Telugu - 1955) Dir. P Pullaiah ジャンル:ソーシャル
4.Donga Ramudu (Telugu - 1955) Dir. K V Reddy ジャンル:ソーシャル
5.Tenali Ramakrishna (Telugu - 1956) Dir. B S Ranga ジャンル:フォークロア
6.Bhookailas (Telugu - 1958) Dir. K Shankar ジャンル:神話
7.Chenchu Lakshmi (Telugu - 1958) Dir. B A Subba Rao ジャンル:神話+フォークロア
8.Jayabheri (Telugu - 1959) Dir. P Pullaiah ジャンル:歴史
9.Illarikam (Telugu - 1959) Dir. T Prakash Rao ジャンル:ソーシャル
10.Namminabantu (Telugu - 1960) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
11.Mahakavi Kalidasu (Telugu - 1960) Dir. Kamalakara Kameswara Rao ジャンル:歴史
12.Velugu Needalu (Telugu - 1961) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
13.Bharya Bhartalu (Telugu - 1961) Dir. Kotayya Pratyagatma ジャンル:ソーシャル
14.Batasari (Telugu - 1961) Dir. P S Ramakrishna Rao ジャンル:ソーシャル
15.Iddaru Mitrulu (Telugu - 1961) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
16.Aradhana (Telugu - 1962) Dir. V Madhusudhan Rao ジャンル:ソーシャル
17.Manchi Manasulu (Telugu - 1962) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
18.Mooga Manasulu (Telugu - 1964) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
19.Amarasilpi Jakkanna (Telugu - 1964) Dir. B S Ranga ジャンル:歴史
20.Doctor Chakravarti (Telugu - 1964) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
21.Navarathri (Telugu - 1966) Dir. Tatineni Rama Rao ジャンル:ソーシャル
22.Manase Manthiram (Telugu - 1966) Dir. C V Sridhar ジャンル:ソーシャル
23.Sudigundalu (Telugu - 1968) Dir. Adurthi Subba Rao ジャンル:ソーシャル
24.Buddhimantudu (Telugu - 1969) Dir. Bapu ジャンル:ソーシャル
25.Dharma Daata (Telugu - 1970) Dir. A Sanjeevi ジャンル:ソーシャル
26.Dasara Bullodu (Telugu - 1971) Dir. V B Rajendra Prasad ジャンル:ソーシャル
27.Prem Nagar (Telugu - 1971) Dir. Prakash Rao ジャンル:ソーシャル
28.Bhakta Tukaram (Telugu - 1973) Dir. V Madhusudhan Rao ジャンル:ディヴォーショナル
29.Mahakavi Kshetrayya (Telugu - 1976) Dir. C S Rao ジャンル:歴史
30.Yedanthastulameda (Telugu - 1980) Dir. Dasari Narayana Rao ジャンル:ソーシャル
31.Premabhishekam (Telugu - 1981) Dir. Dasari Narayana Rao ジャンル:ソーシャル
32.Megha Sandesham (Telugu - 1982) Dir. Dasari Narayana Rao ジャンル:ソーシャル
33.Bahudoorapu Baatasari (Telugu - 1983) Dir. Dasari Narayana Rao ジャンル:ソーシャル
34.Sitaramayyagari Manavaralu (Telugu - 1991) Dir. Kranthi Kumar ジャンル:ソーシャル
35.Pandaga (Telugu - 1998) Dir. Sarath ジャンル:ソーシャル

上に書いたように、筆者はこの全部を潰すには程遠いところにいるが、一番の有名作 Devadasu の陰に隠れている翌54年の Vipranarayana についてだけは一言書きたい。このヴィシュヌ派宗教詩人は、8世紀のタミル地方に実在した人物であり、遊女からの誘惑を受けながらも信愛の道を貫いたというエピソードは、映画や演劇を通じて現地の観客の間では知られているものであるようだ。散漫な本書の中でも多くの評者がこれに言及している。

本作ではその遊女の役をバーヌマティー(下のイメージは別作品のもの)が演じる。一切世界を善なるものとしか見ることのない坊さんと、実利も快楽も関係なく坊さんを堕とすことだけを自らに誓った遊女との静かで息詰まる対峙。こんなに興奮した宗教映画は他になかった。この二人の高まって行くせめぎあいの描写があまりにも官能的なので、ラストシーンの懺悔や改悛といった通俗的な慣用句への着地を激しく憎みそうになったほどだ。

神話映画の傑作 Bhookailas や、ソーシャルというにはあまりに幻想的な Navarathri など、他にもマスターピースはあるが、ここでは日本のファンの間でもほとんど知られていない Vipranarayana をまずは推しておきたいと思う。

Vipranarayana1.jpgBhanumathy.jpg
vipranarayana2.jpg

投稿者 Periplo : 22:24 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2013年04月21日

シュリーヌ・ヴァイトラ主要作品ディスコグラフィー

Baadshah6.jpg

最新作 Baadshah 上映を案内する前回エントリの一部にするつもりだったけど、いくらなんでも長すぎなので別立てにした豪華付録。もしも Baadshah で興味を持たれたら是非とも過去作品に遡ってご覧になっていただきたい。

前回書いたことの繰り返しになるが、シュリーヌ・ヴァイトラの作風の際立った特徴は、comedy of errors と呼ばれるような身分詐称をベースにしたドタバタ・コメディー+アクション。バレるかバレないかハラハラドキドキの嘘つき合戦に加えて、大挙して登場するコメディアン軍団のドツキ合いもたっぷりトッピングされ、ランタイムはかなり長くなる傾向にある。また登場人物も無闇に多いので、脳内で整理しながら見ようとするとかなり疲れる。2時間を少し過ぎて、他の作品ならそろそろまとめに入ろうかという頃合になって新しいお笑いキャラが登場してきたり、一番豪華なソングシーンが披露されたりなので、見る側も気合いと体力を充分に備えた上で臨んだほうがいい。また、テルグ映画全般にもともとその傾向があるのだが、映画への引用がたっぷりと盛り込まれているのも特徴的。

以下では入手可能なディスクを中心にまとめてみた。ポスター写真を掲載しているものが中でもお勧め。

cvNeekosam.jpgNee Kosam (Telugu - 1999)

Cast:Ravi Teja, Maheshwari, Rajiv Kanakara, Brahmaji, Jayaprakash Reddy, Chalapati Rao, Sivaji Raja, Uttej, Sudha

原題:నీ కోసం
タイトルのゆれ:Neekosam
タイトルの意味:For you

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間49分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/nee-kosam-telugu-1999.html

■ デビュー作品。主演俳優としてデビューしたばかりのラヴィ・テージャとシュリーデーヴィーの姪のマヘーシュワリをフィーチャーして撮られた低予算映画。今日の作風とはかけ離れた純愛物語で結構驚く。字幕なしDVDしかないので細かな機微は分からないのだが、各種の賞を獲得するなど、批評家からは高く評価されたということだ。


以下の三作についてはデータなし。

Anandam (Telugu - 2001)
ディスク未入手、キャストなどはこちら参照

Sontham (Telugu - 2002)
ディスク未入手、キャストなどはこちら参照

Anandamanandamaye (Telugu - 2004)
ディスク未入手、キャストなどはこちら参照


cvVenki.jpgVenki (Telugu - 2004)

Cast:Ravi Teja, Sneha, Jeeva, Srinivasa Reddy, Chitram Seenu, Thanikella Bharani, Mallikarjuna Rao, Krishna Bhagavan, Venu Madhav, Brahmanandam, Ramachandra, AVS, Darmavarapu Subramaniam, Ashutosh Rana, Ahuti Prasad, Suman, Mantra

原題:వెంకీ
タイトルのゆれ:Venky
タイトルの意味:主人公の名前

DVDの版元:Volga
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間42分
DVD 入手先:TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/venki-telugu-2004.html

■ 上の空白の三作のどこでどんな転機があったのかは不明だが、本作においてはすでにロジック無視気味のお笑い路線がハッキリ見てとれる。一応、ポリス・アカデミーもの系と殺人ミステリ系の二つのプロットがあるのだが、その縒り合わせはかなり投げ遣り。注目すべきはコメディアン大集合のドツキ合い大会という作風がここで既に確立されていること。ヴァイザーグからハイダラーバードへ向かう列車内での、ヴェーヌ・マーダヴの車掌、怪しい乗客ブラフマーナンダム、AVS、ラヴィ・テージャ、シュリーニヴァーサ・レッディ、チトラム・シーヌなどによる、15分を超える馬鹿騒ぎのシーンが、実際のところ本作のハイライトとなっているようだ。


cvAndarivaadu.jpgAndarivaadu (Telugu - 2005)

Cast:Chiranjeevi, Tabu, Rimi Sen, Prakash Raj, Rakshita, Pradeep Rawat, Kaikala Satyanarayana, Brahmanandam, Sunil, M S Narayana, Venu Madhav, Krishna Bhagavan, Salim Baig, Dharmavarapu Subramanyam, Krishna Bhagawan, AVS, Paruchuri Venkateswara Rao, Kondavalasa, Narsing Yadav, Ravi Prakash, Devi Charan, Anant, Giri, Hema, Jyothi, Melkote, Raghava Lawrence

原題:అందరివాడు
タイトルのゆれ:Andarivadu, Andarivaadu - Man of the Masses
タイトルの意味:Man of the people

DVDの版元:Sri Balaji Video
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間35分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/andarivaadu-telugu-2005.html

■ゴーヴィンドラージュル(Chiranjeevi)は年季の入った土方の親分で、腕っぷしはめっぽう強く、酒と煙草を愛し、権力者を怖れないため社会の低層に生きる人々の信望も篤い。彼はやもめだったが、亡妻が残した一人息子のシッダールト(Chiranjeevi)を慈しみ、息子も父の期待に応えてエリートコースを進み、テレビで人気のジャーナリストとなっていた。シッダールトは父の放埓さをなんとかしようと再婚をお膳立てする。気楽なやもめ暮らしを愛するゴーヴィンドラージュルは、見合い相手として現れたシュラヴァニ(Tabu)が彼を嫌うように仕向け、自ら縁談を壊そうとする。一方、シッダールトは職場で出会ったシュウェータ(Rimi Sen)から猛アタックを受け、やがて二人は恋仲になる。しかしシュウェータの父で建設会社社長のヴィレーンドラ(Prakash Raj)は娘が土方の息子と結婚することを許そうとしない。

チランジーヴィが一人二役を演じたドタバタ・コメディー。メガスターは2008年に自前政党を立ち上げて正式に政界入りした。それを見越しての戦略と思われるが、2000年過ぎあたりからの主演作はどんどん生真面目さを増し、善隣&弱者救済メッセージを前面に押し出すものになってきていた(ではそれらが説教じみた駄作かというと、結構楽しめる、というのがチルさんの凄いところなのだが)。そんななかでラストから4本目の主演作である本作はかなりの異彩を放っている。タイトルおよび冒頭のモブシーンには「キャンペーン映画」的なものも感じられるが、本編に入るとそうしたものは吹っ飛び、コメディーの奔流に圧倒される。一人二役とはいえ、明らかにフォーカスはロウワーな親父の方にあり、チランジーヴィの全キャリアの中でも無類の愛すべきキャラクターが立ち上がってくる。そこには、野卑なジョークや性的なほのめかしを厭わなかった80年代のチルさんへのノスタルジーもある。それにしてもこの親父の飲みっぷり&(煙草の)吹かしっぷりは大層なもので、同じアイディアがあっても仮に1年遅かったらおそらくスクリーン上では実現できなかっただろう(あのラーマダース氏が厚生大臣に就任したのが本作公開の前年2004年5月だ)と思われる、滑り込み的なある種の奇跡だ。

キャンペーン的な性格が薄いと上では書いたが、知性的な正義漢である息子とダメ人間でありながら市井の人々の間の人気者である親父とをチルさんが同時に体現することによって、やがて来る政治家チランジーヴィが、大衆を置き去りにしないことを間接的に訴える、クレバーなメッセージ映画としても読み取ることができる。このリスト中では一番のお勧め。

Andarivaadu.jpg
2005年のチランジーヴィにこの恰好をさせたってのはやっぱり凄い!


cvDhee.jpgDhee (Telugu - 2007)

Cast:Manchu Vishnu, Genelia D’Souza, Srihari, Sunil, Brahmanandam, Jayaprakash Reddy, Chandra Mohan, Tanikella Bharani, Akash, Brahmaji, Devi, Ajay, Srinivasa Reddy, Chiram Seenu, Shafi, Supreeth Reddy, Master Bharat

原題:ఢీ
タイトルの意味:Crash (こちらも参照)

DVDの版元:Shalimar
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間21分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/dhee-telugu-2007.html

■ハイダラーバードのオールドシティを根城にするヤクザのシャンカル・ガウダ(Srihari)、彼はライバルのバッルと仁義なき戦いを繰り広げながらも、美しい妹のプージャー(Genelia D’Souza)を慈しんでいた。無職でぶらぶらしている若者バブルー(Manchu Vishnu)は、父親によってシャンカルの組事務所の会計係の職に就かされる。バブルーとプージャーはやがて恋仲になるが、シャンカルにそれが知られればバブルーの命はない。一方、シャンカルに実弟を殺されたバッルは、肉親を失う痛みを味あわせて復讐しようと、プージャーの命を狙うようになる。

アーンドラの説教大王モーハン・バーブの長男・マンチュ・ヴィシュヌの主演作。スターの家から続々と新世代スターが生まれてくるという特異なテルグ映画界において、残念ながらモーハン・バーブ家は芸能一族としては風下の地位に甘んじている。ヴィシュヌは踊りがだめ、芝居も下手、見てくれも腑抜け、の三拍子揃ったB級で、本作ももうちょっとましな役者がヒーローだったならばどれほどに見事なものとなっていただろうかと惜しまれる。とはいえ、芸達者な脇役陣と軽快なテンポによって、ヤクザの抗争とヒロインの家族からの結婚の許しという使い古されたプロットしかない本作がそれなりに観られるものになっているというのは驚異だ。


cvDubaiSeenu.jpgDubai Seenu (Telugu - 2007)

Cast:Ravi Teja, Nayantara, J D Chakravarthy, Sayaji Shinde, Dharmavarapu Subramanyam, Giribabu, Mallikarjuna Rao, M S Narayana, Sunil, Surekhavani, Telangana Shakuntala, Srinivasa Reddy, Brahmanandam, Venu Madhav, Krishna Bhagavan, Chitram Seenu, Supreet Reddy, Neha Bamb, Sushanth, Raghubabu, Narayana Rao, Raghu Teja

原題:దుబాయ్ శీను
タイトルのゆれ:Dubai Sinu, Dubai Sreenu
タイトルの意味:Seenu (=Srinivas) of Dubai

DVDの版元:Tolly2Holly
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間36分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/dubai-seenutelugu-2007.html

■ ハイダラーバードに住むシュリーニヴァーサ(Ravi Teja)の綽名は「ドゥバイ・シーヌ」、それは彼がドゥバイへの出稼ぎだけを夢見ていることからつけられたものだった。渡航のための資金を貯めた彼はビザ取得のためにムンバイに出かけて行くが、悪徳ブローカーに騙されて文無しとなり、やむなくそこでスナック屋台を始める。ラジオ・ジョッキーのマドゥマティ(Nayanthara)は兄を探すためにムンバイにやってきてシーヌと出会う。一目惚れしたシーヌはマドゥマティに求愛するが、彼女は取り合わない。一方、シーヌは偶然にも旧友のチャクリ(J D Chakravarthy)と出会うが、そこで彼らに衝撃的な出来事が降りかかる。

比較的低予算で作られた本作だが、テルグ娯楽映画の定石をそつなく組み込んだ飽きさせない造りが受けて大ヒットした。ウペンドラ主演で Dubai Babu (Kannada - 2009) Dir. Naganna としてリメイクされただけでなく、ラヴィ・テージャの2010年主演作が、内容的には全く関連がないにもかかわらず Don Seenu というタイトルになるなど、かなりのインパクトをもつものとなったようだ。


cvReady.jpgReady (Telugu - 2008)

Cast:Ram, Genelia D’Souza, Kota Srinivasa Rao, Jayaprakash Reddy, Shafi, Brahmanandam, Sunil, Dharmavarapu Subramanyam, Supreet Reddy, Bharat, Nassar, Chandra Mohan, Tanikella Bharani, Srinivasa Reddy, Ravi Varma, Sudha, Vidya, Apoorva, M S Narayana, Suman Shetty, Vinaya Prasad, Sathya Krishnan, Surekhavani, Nagababu, Tamanna, Navadeep

原題:రెడీ

DVDの版元:Sri Balaji Video
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間45分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(英語字幕つき)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/ready-terlugu-2008.html

■名家の家長、ラグパティ(Nasser)は一族の若い娘スワプナ(Tamanna)を見合い相手に嫁がせるための準備に余念がなかったが、式の直前になって甥のチャンドゥ(Ram)の手引きで、スワプナは恋人と駆け落ちしてしまう。激怒したラグパティはチャンドゥを出入り禁止にする。懲りないチャンドゥは今度はカレッジの友人のために、家族に強いられ結婚させられそうになっているその恋人を式場から誘拐しようとする。しかし、その際に人違いが起こり、友人の恋人とは無関係なプージャー(Genelia D’Souza)をかどわかしてしまう。ラーヤラシーマ出身NRIのプージャーは彼女自身問題を抱えており、これ幸いとチャンドゥと共に追っ手を振り切って逃げ出す。チャンドゥはプージャーをかくまうために身分を偽らせてラグパティの家に連れ込む。

今日のシュリーヌ・ヴァイトラ節がほぼ完成という感じのヒット作。最初に見たときは、面白いとは思ったものの、ヒーローのラームがやや小粒ということもあり腹に堪えるようなインパクトは感じなかったのだが、あれよあれよという間に Raam (Kannada - 2009)、Uthamaputhiran (Tamil - 2010)、Ready (Hindi - 2011) というリメイク・ドミノ現象が起き、特にサルマーン・カーン主演のヒンディー版は大ヒットとなって驚いた。まあ、例によってだが、入り組んだ複雑怪奇なストーリーなので、脳味噌がクリアな状態での鑑賞がお勧め。


cvKing.jpgKing (Telugu - 2008)

Cast:Nagarjuna, Trisha, Bharath Dhabolkar, Sayaji Shinde, Jayaprakash Reddy, Krishna Bhagawan, Brahmanandam, Dharmavarapu Subramanyam, Sunil, M S Narayana, Venu Madhav, Mamtha Mohandas, Chandra Mohan, Geetha, Sudha, Deepak, Ajay, Surya, Jeeva, Master Bharath, Supreet Reddy, Chitram Seenu, Srinivasa Reddy, Anushka, Charmi, Genelia, Priyamani, Sneha Ullal, Kamna Jethmalani

原題:కింగ్

DVDの版元:Bhavani
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約3時間1分
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/king-telugu-2008.html

■コインバトールの王家の当主チャンドラ・プラタープ・ヴァルマ、またの名をキング(Nagarjuna)は、一族の成員の複雑な利害関係の中で舵取りをしていたが、彼を嫉妬する親族が放った刺客に付け狙われ、ある時から行方不明になる。同じころハイダラーバードではボットゥ・シーヌ(Nagarjuna)というヤクザが、恋仲の歌手シュラヴァニ(Trisha)との結婚を、彼女の兄でシーヌのライバルであるニャーネーシュワル(Srihari)に認めさせようと躍起になっていた。そんな彼をコインバトールの王室の関係者が目撃し、シーヌとキングが瓜二つであることに驚愕する。様々な思惑が絡まって、シーヌはニャーネーシュワルと共にコインバトールの宮殿に乗り込むこととなる。

3時間を超える大河アクション&コメディ。 『恋する輪廻』 [Om Shanti Om] (Hindi - 2007) Dir. Farah Khan から明らかに着想を得たと思われる、♪Nuvvu Ready Nenu Ready という曲には頓馬なダンスでスター全員集合という趣向があって楽しい。しかもこっちはテルグのトップヒロインだけでできてる。こういう「綺麗どころを集めて大騒ぎ」のシーンでこそナグさんのスターとしての器の大きさを見せつけられる感じだ。


cvNamoVenkatesa.jpgNamo Venkatesa (Telugu - 2010)

Cast:Venkatesh, Trisha, Mukesh Rishi, Pradeep Rawat, Dharmavarapu Subramanyam, Jeeva, Kota Srinivasa Rao, Subbaraju, Telangana Shakuntala, Chandra Mohan, M S Narayana, Ali, Surekhavani, Raghubabu, Srinivasa Reddy, Surya, Jayaprakash Reddy, Sudha, Vinaya Prasad, Master Bharat

原題:నమో...వెంకటేశ
タイトルのゆれ:Namo Venkatesha
タイトルの意味:I bow to Sri Venkateswara

DVDの版元:MoserBaer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間31分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。TouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/namo-venkatesa-telugu-2010.html

■粗筋はいちいち書かないけど、DDLJ の前半の舞台をロンドンからパリに、後半の舞台をパンジャーブからラーヤラシーマのファクショニストの館に置き換えて、コメディーを7割増ぐらいにしたものと考えればいいかも。 全く、こういうストーリー運びをたった4文字で説明できるようにしてくれたアディティヤ・チョープラー先生、偉大なり。

親子ほども歳が離れているのに妙に相性のいいヴェンカテーシュとトリシャーによるロマンチック・コメディー。観た後しばらくは耳にまつわりつくテーマソング♪Namo Namo Venkatesa は、敬虔な歌い出しの歌詞と豪華かつ阿呆くさいヴィジュアルの落差が凄くて癖になる。

NamoVenkatesa.jpg


cvDookudu.jpgDookudu (Telugu - 2011)

Cast:Mahesh Babu, Samantha Ruth Prabhu, Prakash Raj, Sonu Sood, Sonia Deepti, Tanikella Bharani, Chandra Mohan, Sayaji Shinde, Nasser, Kota Srinivasa Rao, Ajaz Khan, Bramhanandam, M S Narayana, Sudha, Pragathi, Supreeth Reddy, Shafi, Vennela Kishore, Suman, Naga Babu, Dharmavarapu Subramanyam, Ravi Prakash, Vinaya Prasad, Rajiv Kanakala, Subbaraju, Shiva Reddy, Adithya Menon, Master Bharath, Parvathy Melton, Sanjay Swaroop, Meenakshi Dixit, Surekhavani, Srinivasa Reddy

原題:దూకుడు
タイトルのゆれ:Dhookudu, Dukudu
タイトルの意味:Jumping (こちらも参照)

DVDの版元:Volga
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間54分
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/dookudu-telugu-2011.html

■シャンカル・ナーラーヤナ(Prakash Raj)はテランガーナ地方の名家の当主で、地元民から神のように慕われる代議士でもあった。彼は1990年代中頃に不審な交通事故に遭い、一命はとりとめたものの、昏睡状態のまま十数年を病床で過ごしていた。彼の息子アジャイ・クマール(Mahesh Babu)はムンバイをベースにする捜査官で、国際的なマフィア組織を牛耳るナーヤク(Sonu Sood)を逮捕すべく東奔西走している。アジャイは任務で立ち寄ったイスタンブールでプラシャーンティ(Samantha Ruth Prabhu)とめぐり合い、一目惚れするが、彼女は取り合わない。同地での任務を終えて帰国したアジャイに驚くべき知らせが舞い込む。父のシャンカルが昏睡状態から目覚めて回復したというのだ。しかし父の体調はデリケートで、極端な精神的ショックを与えられるとそれだけで死に至る危険性もあるというものだった。アジャイは、事故後売り払っていたテランガーナの屋敷を、映画撮影という名目で借り、売れない俳優や無能な親族、献身的な部下などを巻き込んで、父の安住できる1990年代の延長としての虚構世界を作ろうとする。

ReadyKing と並び最も複雑でトリッキーな筋立てをもつコメディー。『グッバイ、レーニン!』からインスピーレーションを貰ったとも思われる設定。しかしオリジナルとは違い、こちらは虚構世界が幾重にも層をなしている。かつての自邸を借り出すためにありもしない映画のプロジェクトをオーナーに信じ込ませ、やがてそれがTVのリアリティーショーに変じる。そして父をだますその仕掛けの延長上で、リアリティーショーの登場人物を使ってさらにアイデンティティを詐称させてマフィア相手の捕り物も同時に行ってしまおうとする。正直なところ、終盤あたりになると、各キャラクターが「どこまで知っていて、どこからは知らないか」がだんだん整理しきれなくなってくるのだが、そんなこともお構いなしにぐいぐいと引っ張って行く力技が凄い。長い眠りから目覚めた親父が「それでNTR様はいまどうしていらっしゃる?」と家族に尋ねるシーンなど、映画に関する引用・言及も例によって豊富。なお、本作はアジャイ・デーヴガン主演&プラブ・デーヴァー監督でヒンディー・リメイクのプロジェクトがあるという。

Dookudu.jpg
マヘーシュ王子様にこういう泥臭い地方政治家ファッションをあてがって本格的なコメディー演技をさせたのはかなり画期的だと思う。

投稿者 Periplo : 20:26 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2013年04月11日

4月のJ-テルグ

ともかくまず見てほしいイメチェンはこのサラサラ・ストレートヘアーよ。それから、見えないとこでもこんな努力(きゃっ♥)してるの。

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Baadshah (Telugu - 2013) Dir. Srinu Vaitla
原題:బాద్ షా
タイトルの意味:Emperor (元来はムガル皇帝の称号)、なお本作はSRK主演の1999年の同名作、ラジニカーント主演の Baashha とは無関係
タイトルのゆれ:Badshah

Cast:NTR Jr, Kajal Agarwal, Kelly Dorji, Mukesh Rishi, Pradeep Rawat, Ashish Vidyarthi, Nassar, Samyuktha Movva, Brahmanandam, M S Narayana, Thagubothu Ramesh, Vennela Kishore, Master Bharath, Chandra Mohan, Ajay, Suhasini, Pragathi, Ritu Varma, Supreet Reddy, Aditya Menon, Siddharth (guest appearance), Navdeep (guest appearance), Meenakshi Dixit (guest appearance), Mahesh Babu (narration)

■日時:2013年4月21日、午後1時00分上映開始、終映は4時ごろを予定(開場は12時頃、開映前に南インド料理のランチ、インターミッション中に軽食あり、いずれも別料金)
■料金:大人2200円(予約2000円)/5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし(の予定)
■上映時間:センサー認証書類によれば約161分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■ 参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/04/screening-of-jr-ntrs-baadshah-in-japan.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Baadshah ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

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【予想される見どころについて】
J-テルグでのNTRジュニア作品上映もこれで3作目、感慨深い。今作でもジュニアはぶれのない王道娯楽作品を見せてくれるだろう。ヒロインは幾度となくJ-テルグに登場のカージャル・アガルワールさん。音楽もおなじみのタマン君。これだけで終わってしまいそうだが、多少は書こう。

監督のシュリーヌ・ヴァイトラ(Srinu Vaitla、あるいは Sreenu Vytla, Seenu Vytla)は、大スターをフィーチャーして、上を下への大騒ぎ映画を作ることで有名。その多くは comedy of errors と呼ばれるような、アイデンティティを詐称して嘘の上に嘘を塗り固めるというタイプのストーリー。もちろんテルグの大スター作品ではアクションも不可欠。充分にアクションを仕込んだ上でさらにこってりとしたコメディーを加えるものだから、かなり長尺になる傾向にある。笑いのツボは二つあり、ひとつは大挙して登場するコメディアン軍団によるプロの芸、それにヒーロー&ヒロインetc.による身分詐称がギリギリのところでバレるかバレないかというドタバタ。後者の笑いは重度に台詞に依存したものなので(なおかつ出演者も無闇と多いので)、字幕なしではちょっとつらい部分もあるが、字幕つきDVDで見ても追いつかないこともあるので心配はいらない(気休めになってない?)。

近年の作品がいずれもブロックバスターとされているヒットメーカー。全インド的に最も有名なのは、カンナダ(Raam)、タミル(Uthamaputhiran)、ヒンディー(Ready)と次々にリメイクされた Ready (Telugu - 2008) か。またマヘーシュ・バーブ主演のブロックバスター Dookudu (Telugu - 2011) は今回上映作とストーリーラインが非常に似ているという評もあるので注目だ。しかしそれ以外にもお気に入りのお勧め作品はまだある。あまりに長くなってしまうのでシュリーヌ氏のディスコグラフィーについては別のエントリーを立てようと思う。

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上に書いたような訳で、主要登場人物の相関関係ぐらいは予習しておいて損はないかも。以下は役名(カッコ内は俳優名)と簡単なプロフィール。イメージは必ずしも本作のスチルからではない。また、筆者自身も未見の状態で各種のレビューから拾った情報を元に書いているので正確ではないところがあるかもしれないがご容赦を。

ntrjr.jpgラーマラーオ、またの名をバードシャー (NTRジュニア)
マフィアとつながりをもつランジャンの息子。野心あふれる黒社会の幹部候補生として登場し、各国の警察からのマークを逃れるために居場所を転々としている。とある目的のためジャーナキを籠絡しようと彼女のいるミラノへと向かう。彼女が許嫁との挙式のためにインドに戻ると、後を追って帰国し、ウェディング・プランナーを装って屋敷に乗り込み、結婚式をおじゃんにしようと試みる。一方で、親父のボスであるサードゥ・バーイに反旗を翻すこととなり、命を狙われるようになる。「バードシャーがいったんその気になったなら、勝負は一方的なものになる」「爺ちゃんが俺に名前をくれたのは墓碑銘に刻むためじゃない、この名で歴史を創るためなんだ」等々がパンチライン。毎度のことではあるがジュニア作品には偉大なる爺ちゃん・NTRシニアへのオマージュが散りばめられている。今回は晩年の有名作品 Justice Chowdary (Telugu - 1982) Dir. K Raghavendra Rao の有名な衣装とポーズをまねたコスプレ・シーンがあるという(こちらなど参照)。また本作後半の結婚式の前に行われるサンギート(親族一同が集まって歌えや踊れやをやる)のシーンでは、NTRシニアや叔父のバーラクリシュナの有名ソングがメドレーでカバーされるという。ナンダムーリ・ファンにとっては堪えられない大盤振舞いだね。

KajalAgarwal.jpgジャーナキ(カージャル・アガルワール)
二人の妹とともにミラノに住むインテリア・デザイナーで、間もなく結婚のためにインドに帰国することになっている。慈善事業を行う博愛主義者で、しばしば真と善にまつわる哲学的な言辞を口走る。失恋のために自暴自棄になっていると言いつのって彼女に近づくラーマラーオの芝居を信じ込み、なんとか立ち直らせようとするうちに、彼に恋心を抱くようになってしまう。

KellyDorji.jpgサードゥ・バーイ(ケリー・ドルジー)
東南アジア全体を取り仕切るマフィア組織のトップ。ランジャンもその支配下に置く。過去にハイダラーバードで起きたグルシャン・チャート爆弾テロ事件(2007年のゴークル・チャート事件がモデルとなっている)の黒幕でもある。ラーマラーオとの抗争の過程でインドの主要都市を標的にした新たな同時多発テロをもくろむ。ケリー・ドルジーはブータン出身のイケメン・ボリウッド俳優。しかし近年は悪役としてタミル・テルグへの出演がメインになってきている。本作では東アジア的な風貌で設定に凄味を加えることになるだろうか。

MukeshRishi.jpgランジャン(ムケーシュ・リシ) 
ラーマラーオの父だが、20年前に家族を捨ててしまっている。経済アナリストという肩書を持ちながら、裏でマカオのカジノを経営し、マフィアの資金源となっている。東南アジアの黒社会の大元締めであるサードゥ・バーイの信任も厚い。ムケーシュ・リシは北インドの出身だが2000年頃からテルグ映画に頻繁に出演するようになった。カラテの上級者だというが、どちらかといえば凶悪な顔で勝負する系の悪役が多い。

pradeep-rawat.jpgヴァイオレント・ヴィクター(プラディープ・ラーワト)
サードゥ・バーイのライバルであるドンの一人。サードゥ・バーイに唆されてラーマラーオを抹殺しようと試みる。プラディープ・ラーワト、この名前は忘れても、顔だけは一度見たら忘れられない。Ghajini (タミル、ヒンディーの両方)で悪役を演じて以来、テルグを中心としたサウス映画界で引っ張りだこで今日に至っている。

AshishVidyarthi.jpgクレイジー・ロバート(アーシシュ・ヴィディヤールティ)
サードゥ・バーイのライバルであるドンの一人。サードゥ・バーイに唆されてラーマラーオを抹殺しようと試みる。ベンガル人とケララ人の両親の間に生まれ、デリーで育ち、テルグでブレイクの悪役俳優、アーシシュ・ヴィディヤールティについては過去にちょこっと紹介した。

Nasser.jpgジャイ・クリシュナ・シンハ(ナーサル)
ジャーナキの父親で、ハイダラーバードの警察長官。サードゥ・バーイのインドでの違法活動を阻止しようと試みる。家では大家族を率いる厳父でもある。日本でも出演作が何本か公開されている(ほんの一例として『ザ・デュオ』など)タミル俳優ナーサル小父さんは、本作ではコメディアン的な立ち位置。実はテルグの出演作も少なくなく、本作ではセルフダビングでお笑いをやっているそうだ。

Brahmanandam.jpgパドマナーバ・シンハ(ブラフマーナンダム)
ジャイ・クリシュナ・シンハの妹の婿でやはり警察官。義兄に頭が上がらない。実はNTRジュニアに次いで最も観客を沸かせているらしいのが、ギネスブック入り出演本数記録をもつブラフミー先生が演じるこの捜査官。インターミッション後の登場らしいが、ハリウッド映画『インセプション』をネタにしたお笑いを披露してくれるそうだ。「ドリーム・マシーン」を使ってブラフミー先生に脳内侵入されたら発狂は間違いないね。

MSNarayana.jpgリベンジ・ナーゲーシュワラ・ラーオ(MSナーラーヤナ)
映画監督。アンダーワルドを舞台にした作品で名高く、またSNSでの毒舌で常に物議を醸すお騒がせ野郎。つまりこの人をおちょくっているのだ、という見方がもっぱら。MSナーラーヤナについては過去記事に紹介あり。

Suhasini.jpgラーマラーオの母(スハーシニ)
息子思いの心優しい女性。ラーマラーオのマフィアとしての活動は知らされずにいる。マニ・ラトナム夫人としても知られるスハーシニさんは、自身の監督作『インディラ』の公開時に来日もしている。基本的にはタミル映画人だがテルグ映画への出演も多く、テルグ語はステージショーの司会を務めるほどのレベル。

Siddharth.jpgシッドゥ(シッダールト)
ラーマラーオの兄(弟?)。この人物に降りかかった運命がラーマラーオの生きる目的を変えることになる。「只今来日中」のシッドゥ君、この人もタミル俳優ではあるけれど、テルグでも無視できないプレゼンスを誇っている。というよりも、2000年代後半からはむしろテルグを本拠地としていると言った方が当たっている。本作では僅か数分の登場時間ながら、非常に重要な役回りで、またその演技も高い評価を得ている。

navdeep.jpgアーディ(ナヴァディープ)
ジャーナキの婚約者でやはり警察官。


MaheshBabu.jpgナレーション (マヘーシュ・バーブ)
前半でマフィアの抗争を物語るくだりでこの人のナレーションがつかわれるらしい。たかが声の出演と侮ってはならない、これだけでハードコアなマヘーシュ・ファン観客が大量動員されたはずだ。パワン・カリヤーン主演の Jalsa (Telugu - 2008) Dir. Trivikram Srinivas 以来の二度目の声の出演。

ミラノの心臓部、大聖堂前でのダンスとその撮影風景。あのヴィスコンティの『若者のすべて』の舞台でこんなことやっちゃってるの見ると笑いが止まらん。
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投稿者 Periplo : 01:40 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2013年02月19日

2月のJ-テルグ

プラバース、見参だ。
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またしても間近になっての告知で済んません、再び会場を川口に戻しての上映。

Mirchi (Telugu - 2013) Dir. Koratala Siva

原題:మిర్చి
タイトルのゆれ:Varadhi(撮影中の仮称)
タイトルの意味:Red chillies
Cast:Prabhas, Sathyaraj, Anushka Shetty, Richa Gangopadhyay, Nadhiya Moidu, Brahmanandam, Sampath Raj, Subbaraju, Rakesh Varre, Satyam Rajesh, Srinivasa Reddy, Adithya Menon, Nagineedu, Raghu Babu, Benarji, Supreeth Reddy, Hema, Karthik, Mamilla Shailaja Priya, Hamsa Nandini, etc.

■日時:2013年2月23日14:00開映予定、終映は17:00ごろ 
※インターミッション中には別料金での軽食サービスもあり
■料金:大人2200円(予約2000円)/5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし
■上映時間:ネット情報によれば約155分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケット料金などに関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■映画公式サイト:http://www.mirchithemovie.com/index.php
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/02/mirchi-telugu-2013.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Mirchi ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfo@indoeiga.comまでメールして下さい。家族チケットをご希望の場合はその旨お書き添え下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

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【釣り書き】
本作がデビューとなるコラターラ・シヴァ監督による、ロマンス+アクション映画。2月8日に封切られ、批評家受けはそこそこでしかなかったものの、興行成績の方は順調に伸びているらしい。

ストーリーは、例によって余り分かりすぎてしまわないよう横目でチラ見したところによると、ミラノに住む主人公(プラバース)が同郷の女の子(リチャー・ガンゴーパーディヤーイ、第ニヒロイン)と知り合い、色々あってニ人が故郷に戻ると、ファクショニストたちの血みどろ抗争に巻き込まれ、さらにそれまでは隠されていた過去のエピソードの開示の中で第一ヒロイン(アヌシュカ・シェッティ)が登場する、というような話。そしてウルトラ暴力の末に「暴力はよくない」というメッセージも謳い上げられるらしい。まあ、これまでに幾度となく作られてきたラーヤラシーマ・ファクション映画のヴァリアントであることは間違いない(ただし、本作の舞台設定はラーヤラシーマではなくグントゥール北部のパルナードということになっている)。なので当然ネット上の評判は良くない。とあるブロガーさんが、いかに本作が近過去のヒット作の要素の寄せ集めであるかを躍起になって記事にまとめて下さっていて、大変参考になる。

しかしインテリ連中から何を言われようとヒットはヒット。みんなプラバースの男っぷりと、ツイン・ヒロインのセクシーなあれやこれや、デーヴィ・シュリー・プラサードの音楽で満足してるんだよね。おっと、ブラフミー先生のコメディーもたっぷりトッピングされてるってのを忘れちゃいかんやね。

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主演のプラバース(オフィシャルサイトあり)について簡単に。本名はウッパラパーティ・プラバース・ラージュ、1979年生まれ。オジに1970-80年代のヒーロー俳優だったウッパラパーティ・クリシュナム・ラージュをもち、キャリアの第一歩を踏み出すに当たっての力添えがあったものと推測される。2002年にデビューしたのち、ロマンチックコメディー Varsham (Telugu - 2004) Dir. Sobhan が大ヒットしてトップヒーローの一員となった。こいつもやっぱりかなりデカイ。しかも、前にも一度紹介したこの写真(右から3番目)を見ると一目瞭然、「これ反則じゃないすか」ってくらいの、トリウッドきっての小顔(隣のNTRジュニアの半分くらいじゃないのか)なのだ。そして、上に掲げた写真で分かるように、大男の割にはなんかお洒落、なんだよね。まあ、いっくら洒落倒してみても、そこはテルグ映画、どうせ最後はこーなるんだけどさ。

まあ、この体躯を生かした迫力あるアクションと、ロマンチックなシーンにも対応できる甘いマスクの共存、ていうのが売りってことになるかな。

第一ヒロインのアヌシュカ・シェッティは、2005年デビューとは思えないほどのベテラン感が漂っている。出身はカルナータカ州マンガロールということだが、フィルモグラフィーではテルグ映画が圧倒的で、しかも多くがマへーシュやナーガールジュナといった大スターとの共演。最初からかなりセクシーな路線で攻めてきていたが、ブロックバスターとなった Arundhati (Telugu - 2009) Dir. Kodi Ramakrishna では単独主演者として金縛り演技で映画を支え、単なるお色気姐さんではないことを見せつけてくれた。本作では田舎のお嬢さんを演じるということでこれまた楽しみ。

第二ヒロインのリチャー・ガンゴーパーディヤーイはデリー生まれのベンガーリー、でもやっぱり仕事はテルグがメイン。2010年デビューでまだ新人に近い扱いながら、都会派のグラマーガールという芸風はかたまりつつあるようだ。

その他に、タミル映画界の大物サティヤラージ、最近カムバックを果たしたナディヤ・モイドゥなどの登場が注目される。また個人的にはテルグのイイ顔悪役軍団(しかし決してメイン悪役にはならない)からのスッバラージュシュプリート・レッディといった連中が拝めるのが嬉しくてならないのだ。

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投稿者 Periplo : 19:53 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2013年01月14日

1月のJ-テルグ その2

嬉し恥ずかしお正月ファミリー映画でございます。

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Seethamma Vakitlo Sirimalle Chettu (Telugu - 2013) Dir. Srikanth Addala

原題:సీతమ్మ వాకిట్లో సిరిమల్లె చెట్టు
タイトルのゆれ:SVSC
タイトルの意味:A jasmine plant at the front door of Madam Seetha's house
Cast: Venkatesh, Mahesh Babu, Anjali, Samantha Ruth Prabhu, Prakash Raj, Jayasudha, Rohini Hattangadi, Rao Ramesh, Abhinaya, Kota Srinivasa Rao, Tanikella Bharani, Rama Prabha, Venu Madhav, Ravi Babu, Ahuti Prasad, Murali Mohan, Srinivasa Reddy, Melkote, etc.

■日時:2012年1月19日に2回上映、第1回は15:00、第2回目は18:30開映予定 ※インターミッション中には別料金での軽食サービスもあり
■各回の料金:大人2400円(予約2200円)/5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕:なし
■上映時間:ネット情報によれば約159分、ただしセンサー通過後にコメディシーンが付け加えられたとの情報もあり
■会場:アキバシアター(東京都千代田区神田練塀町3、JR秋葉原駅中央改札から徒歩2分、詳しくはhttp://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/theater/index.htmlを参照、英語での案内はこちら
※家族チケット料金などに関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■オフィシャルFBページ:SVSC The Film
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/01/seethamma-vakitlo-sirimalle-chettu.html

席数の少ない会場なので、メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「SVSC ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
4. Show timing:15:00か18:30かのどちらかをここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfo@indoeiga.comまでメールして下さい。家族チケットをご希望の場合はその旨お書き添え下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。

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さて何から書こうかね。長い長い「お預け」期間に内容についての各種の憶測と期待とではち切れそうになった末に、1月11日に現地で封切られ、怒濤の大ヒットの気配を見せている本作、キーワードは二つあると筆者は思う。一つは「ファミリー向け田舎仕様」そして残りは「豪華マルチスター」。

ボリウッドのことはよく分からないのだが、南インド映画界では、どちらかといえば二線級のスタッフ・キャストによる、明らかに都市の単身者向けではなく、田舎や地方都市の(業界用語でBセンターなどと呼ばれる)保守的なファミリー層に向けたかなり泥臭いフォーマットの映画が製作され、特に節目の祭事シーズンなどに公開されることがある。カンナダ映画などは実のところ今でもこっちが主流なのではないかと思える節もある。

特徴は、一言でいうと「べったべたのこってこて」の田舎芝居。テーマとなるのは、ずばり「家族の価値」。大家族の素晴らしさ、年長者の知恵のありがたさ、性差に応じた男女の役割分担、子宝の目出度さ、一族和合・繁栄のために個々の成員が払う犠牲の尊さ、などという価値観を、わか〜りやすいストーリーと語り口にのせて謳い上げるのだ。もしも同じ内容が日本映画で作られたなら、堪え難い偽善の腐臭にまみれてしまうだろうこうした家族神話が、しかし南インドではまだまだ観衆を惹き付ける力を持っており、興行的にも馬鹿にならない数字をたたき出すことがある。都市の個人主義的なインテリ層によって担われているだろう映画ジャーナリズムにおいても、こうした傾向の作品群に対して正面切っての批判を展開しているものは少ない。

そして大家族制・家父長制をバックにもつこれら作品になぜか多いのが、「偉大なる長兄」というモチーフ。家長たる親爺はどういう訳か一歩後退し、兄貴が色んなものを背負うのだ。以前、有名匿名掲示板のどこかで無名氏が「野郎若草物語」などと評していたが、まさに適切な形容だと思う。必ずしも4人とは限らないのだが、ともかく長男を中心にした男兄弟が、外からの脅威に一致団結して闘ったり、仲違いしてみたり、和解して抱き合ってひーひー泣いたり、そういうもろもろを繰り広げるのだ。

で、SVSC に話を戻す。そういう定型作品がサンクラーンティのお祭りにまた1本封切られる、というだけなら誰も騒ぎはしない。 ヴェンキーことヴィクトリー・ヴェンカテーシュ(Preminchukundam Raa [邦題:愛と憎しみのデカン高原] (Telugu - 1997) Dir. Jayanth C Paranjee で日本デビュー済み)とプリンスことマヘーシュ・バーブ(Businessman 上映の際に紹介した)が共演するウルトラ豪華マルチスターだというので、業界がひっくり返っているのだ。多少なりともご覧になっている人には分かるだろうが、テルグ映画界というのは、ホントに難しいところで、トップの皆さんが共同して事にあたるというのがなかなか実現しない。テルグ映画の75周年を祝ってオールスターが一堂に集うことを目指した2007年の Telugu Chitra Vajrotsavam でも、結局マヘーシュとNTRジュニアはよく分からない理由を付けて欠席、そして当日のステージでも面白過ぎる展開、こーゆー方々が実作品で共演して作中の扱いやクレジットで差がついたりしたら、ファンが黙っちゃいないってもんなのだ。そういう風土のなかで実現したこのドリーム企画には巨大な期待が寄せられ、Bセンターの壁を打ち破り、州都ハイダラーバードや米国などのNRIエリアでも大反響となっているのだ。

不惑の50を過ぎても基本路線は極楽トンボ+アクションのヴェンカテーシュは、過去にも Sankranthi (Telugu - 2005) Dir. Muppalaneni Shiva という典型的な野郎若草もの(成功したタミル映画 Aanandham のリメイクである)で長兄を手堅く演じている。やはり一番のサプライズは、孤高のアクションスターのイメージが強いマヘーシュの弟役だろうね。ともかく本作のどのイメージを見ても、常にはない甘えた弟の無邪気な満面の笑み。相当なイメージチェンジが期待されて胸が躍る。

ヒロインも大変に豪華。Eega でハエの恋人役をやったサマンタちゃんは、がつがつと出演作を増やす事はしていないものの、かなり効率よくタミル・テルグの話題作でヒロインを演じ、ほぼトップクラス入り完了という感じ。本作ではマヘーシュの恋人役。ヴェンカテーシュとペアを組むのは、テルグ人ながら主にタミル・ニューウェーブ作品群への出演で注目を集めてきたアンジャリ。グラマラスな露出は抑えめで、端正な面立ちに貧しさと純情さを表現する演技に評価が高い。ヴェンカテーシュ「耐える長兄」の妻としてまさに適役。

他に兄弟の両親役として、既に日本でもお馴染みのプラカーシュ・ラージ(実はヴェンキーよりも5歳も若いのだ)と、往年のテルグ・ヒロインのジャヤスダー。当網站がしつこく追いかけてる聾唖の美少女アビナヤちゃん(過去に Dammu にも登場)などなど。またブラフミーをはじめとするコメディアン陣も一個大隊で出動。 (01.20追記:コメディアンと言えるのはラヴィ・バーブとタニケッラ・バラニぐらいのものだった。)

監督は、青春映画 Kotha Bangaru Lokam (Telugu - 2008) に続いて本作がやっと2本目というシュリーカーント・アッダーラ、しかし脚光を浴びているのは監督よりもプロデューサーのディル・ラージュの方。音楽はこの間の Life is beautiful でもしっとりしたところを聞かせてくれたミッキーJメイヤー。

さて、ここまでまるで見て来たような事を書き連ねたが、もちろん全て予想に過ぎないのである。この SVSC、定式通りのこてこて御節料理なのか、それとも蓋をあけたらアッと驚くモダンなフュージョンなのか、その辺はあえて事前には知らずにおこうと思う。 (01.20追記:ファミリー映画ではあったが、「耐える長兄」パターンではなかった。)年の始めの1日限りの縁起物をお見逃しなく。

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投稿者 Periplo : 18:56 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2013年01月12日

1月のJ-テルグ

いんや、申し訳ない、開催前日ハッキリ言って役立たずの、滑り込み ’言うだけはいったもんね’ 告知。現地で1月9日に封切られたばかりのホヤホヤだよ。

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Naayak (Telugu - 2013) Dir. V V Vinayak

原題:నాయక్
タイトルのゆれ:Nayak
タイトルの意味:Leader
Cast:Ram Charan Teja, Kajal Aggarwal, Amala Paul, Rahul Dev, Dev Gill, Brahmanandam, Jaya Prakash Reddy, M S Narayana, Ashish Vidyarthi, Raghu Babu, Pradeep Rawat, Posani Krishna Murali, Rajeev Kanakala, 'Sathyam' Rajesh, Sudha, Charmee

■日時:2013年1月13日、16:00開映予定 ※インターミッション中には別料金での軽食サービスもあり
■料金:大人2200円(予約2000円)/5歳以上12歳以下の子供1200円(予約1000円)/5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: なし
■上映時間:ネット情報によれば約160分
■会場:アキバシアター(東京都千代田区神田練塀町3、JR秋葉原駅中央改札から徒歩2分、詳しくはhttp://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/theater/index.htmlを参照、英語での案内はこちら
※家族チケット料金・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと

いや目出度い。ともかく、ちゃらん様ことラームチャラン・テージャの初お目見えだ。日本では一部で「チル太」の愛称でも呼ばれている、メガスター・チランジーヴィの御曹司、メガ一家のただ一人の直系男子だ。2007年にデビューして本作がやっと第5作目。こちらのフィルモグラフィーを見ていただければ分かるように、ざっくり言って2年に1本という、今時の若手スターには珍しい超スローペース。これは政界入り直前の親爺様だのラジニ様だの超重厚な方々のペースに近い。若くてチャレンジ精神も横溢しているだろうチル太には結構辛いだろうと思われる(ちなみに親爺様はデビューからの5年で約50作に出演している)が、これはこの若者にのしかかる巨大な重圧のほんの一端の現れでしかないのだろう。そりゃあ、顎もひしゃげてくるってもんだ。しかし外野が勝手に「あるべき姿」を論じていてもしょうがない、こういうレールを敷かれてしまったチル太がこれからどんな風に独自の成長を遂げて行くか(あるは行かないか)を、長い目で追いかけて行こうと思う。

ヒロインは豪華ツートップ体制。

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J-テルグだけでも何回この人を見たかも分からない、カージャル・アガルワールさん。

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そして当網站がデビュー作以来執念の追っかけをしている『神さまがくれた娘』アマラ・ポールさん、J-テルグでは Love Failure に続き2回目の登場。

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さらにアイテムダンスには、このところちょっとお目にかかることが減ってきているように思えるチャールミーが登場、ファンには嬉しいお年玉。※これのみイメージは別作品のもの

最後に、監督のVVヴィナーヤック氏(オフィシャルサイトあり)についても一言だけ。こちらのフィルモグラフィーを見るとわかるように、2002年デビューの中堅で、一貫して娯楽性の高いアクション作品を撮り続けている。若干の例外はあるものの、ヤングヒーローを主役に据えたものが多い。テルグのメジャー映画は皆そうだと言ってしまえばそれだけだが、非常に手のこんだアクションシーンを仕掛けることでも名高い。で、お決まりのVVヴィナーヤック・スペシャル(内緒。こう呼ばれているとある演出があるのだ)が本作でも見られるのかどうかにも注目したい。

投稿者 Periplo : 18:36 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年11月03日

【日程変更】12月のJ-テルグ

※当初「11月のJ-テルグ」のタイトルで当記事をアップしていましたが、予定上映日一週間前に突然の日程変更、12月8日になりました。お出かけになる前には必ずhttp://www.indoeiga.com/で日時と場所を最終確認して下さい。

12月7日追記:8日の上映は再度延期になりました。詳しくはこちらを参照して下さい。

まさかトップ写真にこんな爺ちゃんの画像をアップする日が来ようとは思わなかったぜ。日本人向けのマイルドな味付けとかそういうの全くなしのJテルグ、容赦のない本場ものの攻勢だ。

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Shirdi Sai (Telugu - 2012) Dir. K Raghavendra Rao

原題:శిరిడి సాయి
タイトルのゆれ:Shiridi Sai
タイトルの意味:シリディー村のサーイー・バーバー
※以下のプレビューでは日本での慣例に従い「シルディ村」「サイババ」の表記を採用する。またその他の人名・地名は基本的にはテルグ語スクリプトに従ったので、マラーティー語やヒンディー語の表記とは異なっているかもしれないことをご了承いただきたい。

Cast: Nagarjuna, Srikanth, Srihari, Sarath Babu, Sai Kumar, Kamalini Mukherjee, Rohini Hattangadi, Sayaji Shinde, Brahmanandam, Dharmavarapu Subrahmaniam, Tanikellla Bharani, Ali, Ananth, Bhavani, Dipali Dodke, Devendra Dodke, P Koushik Babu, Nagesh Bhosale, Ravi Bhat, Rujuta Deshmukh, Vinaya Prasad, Dinkar Gawande, Edward

■日時:2012年12月8日、12:00ごろ開場、13:00開映予定(16:00ごろ終映予定)※12:00ごろから別料金でのランチサービスあり、またインターミッション中には別料金での軽食サービスもあり
■料金:大人1800円(当日券)1500円(予約)/5歳以上12歳以下の子供1000円(当日券)500円(予約)
■字幕:なし
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画公式サイト:http://www.shirdisaimovie.com/
※家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■ 参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/shirdi-sai-telugu-2012.html

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【バクティ映画とは何か】
いやー、もしかしたら日本初じゃないだろか、本格的なバクティ映画の上映というのは。そこにいきなりサイババ爺ちゃんなものだから、冒頭のような詠嘆が思わず口をついて出たのだ。

これもまでも当網站では各種の神話・バクティ映画を紹介してきたが、「神話(mythological)」と「バクティ(またはディヴォーショナル)」の区別については、あまりに煩雑になるのを避けるため、敢えてスルーしてきたのだった。しかしやはりこの機会に簡単にアウトラインを書いておいたほうが良いかもしれない。

神話映画とは、主としてヒンドゥー教の二大叙事詩やプラーナなどのストーリーやキャラクターを下敷きにした、神々と英雄の物語。インド映画の曙の時代から作られ続け、南インドでは1950-60年代が最盛期。さすがに現代では死滅したジャンルかと思っていたところに現れた昨年の大ヒット Sri Rama Rajyam (Telugu - 2011) Dir. Bapu には度肝を抜かれた。ラーマーヤナの最終章ウッタラ・カーンダにもとづいたこのSRRはシリアスで悲痛極まりないものだったが、神話映画には意外なほどに滑稽味に富んだものも少なくない。一般的な見どころは、キンキラの衣装やセット、時代がかった大芝居、稚気溢れる特撮、そうは言ってもありがたい神さんのダルシャン(御開帳)、といったところだろうか。

一方、バクティ映画はというと、歴史上に実在した(とされる)信徒・聖人を主人公としている。もちろん神さまも登場して、聖者と神の交感が語られもするのだが、基本的には地上の人間の行跡が主筋となる。神話映画と比べるとより真摯な雰囲気で、薄物をまとった天女の舞などもない。その語りは主人公ただ一人に集中する傾向があり、そのため役者には高い演技力が要求される。ヒンドゥー教の聖人にはバジャナ・サンプラダーヤヴァーラカリー・サンプラダーヤに代表されるような、讃歌を通じて信仰を広めた人々が多かったため、バクティ映画もまた通常よりも多めの楽曲で彩られることが多い。こういうことを書くと、なんだか地味で説教臭くて退屈なジャンルのように思われてしまうかもしれないが、よくできたバクティ映画は、異郷の不信心者が観ても金縛りになるようなスペクタクルとなることがあるのだ。爺ちゃん婆ちゃんから子どもたちまでが楽しめる、真のファミリー映画ジャンルといってもいいかもしれない。

ともかくここで声を大にして太字で言いたいのは、バクティ映画もまた娯楽映画の一部であるということ。聖人伝、それもサイババということで、ニューエイジ風の胡散臭いものを感じてしまう日本人もいるかもしれないが(そしてそれは無理もないことなのだが)、平易な語り口(寸止めや暗示的表現を嫌い、全てを映像化せずにはおかないインド映画の特徴がよく現れている)と音楽的なエクストラヴァガンザの中に、インドの宗教映画のもつ熱というものを感じることが出来れば拾いものだ。残念ながらド退屈なものであったとしても、それはそれ、神々しい光と音の中で至福のまどろみに身をゆだねる贅沢な2時間半を楽しんでいただきたい。

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【シルディ・サイババについて】
19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したこの聖者は、日本では昨年逝去したサティヤ・サイババ(この人はシルディ・サイババの生まれ変わりであると自称した)と比べて知名度が低いが、インドではむしろこちらのサイババの方が絶大な人気を得ている。インド思想史・宗教史の中で時折現れるシンクレティズム的志向性をもった聖人。数々の興味深い逸話と奇跡に満ちた生涯はこれまでにも何度も各言語で映画化・TVドラマ化されてきた。ウィキペディアの記事以外に、このサイババについて日本語で大まかなアウトラインを知ることができる文書がないものかと検索してみたのだけれど、出てくるのは「なにこれ怖い」みたいなのばっかで頭抱えてしまった。とりあえず英語だけど、神さまコミックで有名な Amar Chitra Katha シリーズの Tales of Sai Baba が iPhone & iPad 用のアプリ(無料サンプル有料完全版)になってるのを紹介しておく。通俗的な逸話の集大成みたいなものだけど、実際の映画も充分に通俗的なものだと思うので予習には最適だと思うよ。

【主な登場人物】 ※カッコ内は俳優名
今回は粗筋ではなく、映画オフィシャルサイトに掲載されている主なキャラクター(多くが実在した人物である)について簡単に紹介してみよう。ただし映画中で描かれるエピソードはここに紹介するものから改変されている可能性もある。

SSB01sai.jpg■シルディ・サイババ(ナーガールジュナ)
19世紀前半から1918年までを生きた聖人。マハーラーシュトラで特に厚く信仰されているダッタトレーヤー神の6番目の生まれ変わりとされている。その出自(出身地、両親の宗教、本名など)については諸説があり謎に包まれている。16歳で初めてシルディ村(現在のマハーラーシュトラ州アフマドナガル郡にある)に現れ、ニーム樹の下で瞑想しながらしばらく滞在したが、その後放浪生活に入りその中で悟りに到る。数年の後シルディ村に戻り、数々の奇跡によって徐々に人々の尊敬を集めるようになり、帰依者を増やしていった。常にファキール(イスラームの托鉢行者)の出でたちで生活し、「神は単一である」と説き、ヒンドゥー、イスラームの各聖典に通暁し、双方の宗教行為を実践した。高度なヨーガによって自らの肉体を律し、一方で歌唱や踊りによって法悦境にいたることもしばしばあったという。

SSB02dasuganu.jpg■ダーサガヌ(シュリーカーント)
パンディットと称された非常に高い学識の持ち主で、また一方ではマハーラーシュトラの大衆演劇タマーシャーを愛し、自身はキールタン(讃歌)歌唱の名手でもあった。当初はサイババに対して批判的で公然と論戦を挑むなどしたが、その聖性に触れて改心し、熱烈な信徒となる。1909年にボンベイ管区の警官の職を辞してからはサイババの側を離れることがなかった。ダーサガヌの活動によってサイババの名声はシルディとその周辺からボンベイなどの都市部にまで広がることになった。彼が創作したサイババ讃歌は今日でも歌われ続けている。

SSB03mahalspathi.jpg■マハルサーパティ(サラト・バーブ)
シルディを訪れたサイババが最初に出会った貧しい僧侶。家は代々鍛冶屋であったが、カンドバ神への信仰が厚く、村のカンドバ寺院の事実上の僧侶となっていた。寺院を住処にしようとしたサイババに対して、彼がムスリムの寺院への立ち入りは許されないと述べて止めたので、サイババは荒廃した村のモスクに起居することになった。その後マハルサーパティはサイババの熱心な帰依者となる。1886年の有名な奇跡(三日の間サイババの魂ががその肉体を離れ、再び戻って来たという出来事)の際には、主のいない肉体を抱えて守り通した人物でもある。

SSB04wales.jpg■ウェールズ(シュリーハリ)
(おそらくは架空の)イギリス軍の大佐。はじめはサイババに敵対していたが、後に帰依者となる。劇中では現存するサイババの有名な写真を撮影した人物ということになっている。

SSB05radhakrishna.jpg■ラーダークリシュナ・マーイー(カマリニ・ムカルジー)
熱烈なクリシュナ信者で、ミーラー・バーイへの憧れから常に白衣をまとい、タンプーラを手にしていた。やはり最初はサイババに敵対的で、サイババが自らが起居するモスクをドワールカーマーイー(神話中のクリシュナ神の住処の名前に由来する)と称したことに対して激しく異議を唱えた。サイババの信徒となってからは、祭事などを取り仕切る重要な役割を担うようになった。

SSB06bhatia.jpg■バーティヤー(サーヤージー・シンデー)
(おそらくは架空の)シルディ村の金融業者。常にサイババに敵対的でありつづけたが、最後にはサイババに許しを乞うことになる。

SSB07chandpatil.jpg■チャーンド・パーティル(ナーゲーシュ・ボースレー)
サイババが二度目にシルディに現れる直前に出会った旅人。道中乗っていた馬が行方不明になり途方にくれていたところ、サイババの千里眼によって馬を取り戻すことができたため、彼を自宅に招待する。その後親族の結婚式でシルディに赴く際にサイババに同行を求め、サイババはそれに応じる。結婚式が終わった後、サイババは一人シルディに残り住み着くことになる。

SSB08nanavali.jpg■ナーナーヴァリ(サーイ・クマール)
バラモン出身の行者。彼のようなサドゥーはパーガルと呼ばれ、静謐な求道者というよりは、反社会的でエキセントリックな行動をあえてすることを好み、村社会の中では実質的には狂人と看做されていた。このナーナーヴァリはサイババに対して敵意を示した人物として各種の伝記に登場する。

SSB09booti.jpg■ブーティ(タニケッラ・バラニ)
ナーグプルの大富豪。コレラに罹患したところをサイババの手当てによって回復したことから熱烈な帰依者となり、シルディのサイババ寺院建設の立役者ともなった。彼が参詣者の休憩所とするために建造した建物は、その後サイババの埋葬地となり、今日ではサマーディ・マンディルと呼ばれている。

SSB10bhaijabai.jpg■バーイジャー・バーイ(ヴィナヤ・プラサード)
バーヤージー・バーイとも。シルディの村長ガナパト・ラーオ・パーティール・コーテーの妻。初期からの熱心な女性信徒の筆頭として各種文献に名前が残っている。サイババがつつがなく毎度の食事を摂るのを見届けてからでなければ自分も食べ物を口にしないと誓っていた。

SSB13tatya.jpg■ターティヤー(カウシク・バーブ)
バーイジャー・バーイの息子、フルネームはターティヤー・コーテー・パーティール。幼時からサイババの薫陶を受ける。マハルサーパティと彼の二人だけが、サイババとともにモスクで起居することを許された。サイババの晩年、組織化された宗教行事が行われるようになった頃には、渉外担当的な役割も果たした。

SSB11gangabhai.jpg■ガンガー・バーイ(ローヒニ・ハッタンガディ)
若き日のサイババがシルディのニーム樹の下で瞑想する姿を最初に目撃した老婦人。おそらくは架空のキャラクター。

SSB12lakshmibhai.jpg■ラクシュミー・バーイ(ルジュター・デーシュムク)
フルネームはラクシュミー・バーイ・シンデー。サイババの食事の世話や、住処であるモスクの清掃などを受持った。女性信徒の中では彼女だけが夜間にもモスクに立ち入ることを許されていた。死の直前のサイババは、彼女に9ルピー分の硬貨(信仰の九つのあり方を象徴するといわれる)を渡して祝福した。

SSB14mahanti.jpg■マハンティ(バヴァーニ)
バーティヤーの妻。サイババへの夫の攻撃に胸を痛め、何とかその敵愾心を和らげよう努める。

SSB15nayak.jpg■ナーヤク(ダルマヴァラプ・スブラフマニアム)
バーティヤー宅に出入りしていた家畜仲買人。

SSB16shyaama.jpg■シヤーマ(デーヴェーンドラ・ダードケー)
シルディ近郊出身のバラモンで本名はマーダヴラーオ・デーシュパーンデー。最も熱烈な帰依者の一人として各種文献に名前が記されている。当初はシルディ村に教師として赴任して来たが、やがてサイババに帰依するようになり、数年後の転任命令を拒み職を辞して村に留まり続けた。晩年のサイババの秘書的な役割もこなしていた。

SSB17nana_chando.jpg■ナーナー・チャンドールカル(ラヴィ・バット)
アフマドナガルの副長官を務めたバラモン。社会の上層部の人々の間にもサイババの名前を広めることに功績があった。ダーサガヌが初めてシルディにやって来たのも彼の誘いによってのものとされている。彼の娘が難産で苦しんでいた際に、馬車の御者に変じたサイババが特効薬としてのウディー(聖灰)を届けるのを助けた逸話は有名。

SSB18venkusa.jpg■ヴェーンクシャ
少年時代のサイババの導師。本名はゴーパールラーオ・デーシュムク。ジントゥルの地方長官を務めた後にセールー村に私塾を開き宗教教育を行った。伝説では、ハイダラーバード藩王国の小村パトリ(現在はマハーラーシュトラ州)のバラモンの家系に生まれたサイババは、両親の死によってムスリムのファキールの夫妻に引き取られ、さらにその後のファキールの死にともないヴェーンクシャに引き取られたという。少年の利発さは他の学生たちの嫉妬をかい、サイババは危うく殺されかけたが、師に助けられて死地を脱し、彼はシルディに向けて旅立ったという。

SSB19Sandeham.jpg■サンデーハム(ブラフマーナンダム)
ウェールズ大佐の部下。

SSB20appdapp.jpgダップー(アナント)とアップー(アリー)
コメディアン二人組。

【キャスト・スタッフについて】
出演者については筆者も知らない俳優も多いので逐一は書かない。っていうか公式サイトのギャラリーとか見てもナグさん一色で脇の人たちはのイメージはほとんどないじゃん。

その主演のナグさんについては、例によって「説明不要」で済ましたくなったけど、最低限のことだけを書いておく。父はテルグ映画界の生ける伝説、アッキネーニ・ナーゲーシュワラ・ラーオ(通称ANR)。1924年に生まれたANRは幼時から巡回演劇の世界で鍛えられ、1940年代中頃に映画デビュー、50年代から70年代までNTRシニアと人気を二分する大スターとして君臨し、88歳の現在も矍鑠としてフィルモグラフィーを更新中の大長老。ANRの次男として1959年に生まれたナーガールジュナは1986年に映画デビューしており、チランジーヴィが半引退状態の今、バーラクリシュナ、ヴェンカテーシュとならびテルグ界の熟年大スターの筆頭。長男のナーガ・チャイタニヤ、甥のスマント、スシャント、最近カムバックした妻のアマラなどからなる芸能一家の世帯主的存在。一貫した芸風は「気障な色男」。でありながら、Kラーガヴェーンドラ・ラーオ監督と組んだ Annamayya (Telugu - 1997) では15世紀ヴィジャヤナガル朝に生きた大宗教詩人を演じきって大向こうを唸らせた。さらに同監督と組んで送り出した Sri Ramadasu (Telugu - 2006) もヒットを記録している。今回の Shirdi Sai はナグ+KRRコンビのバクティ映画としては第三弾ということになる。それにしても当年53歳のナグさん、本作撮影期間中はオフスクリーンでもこんな姿を晒していて、そうだよな、もう息子もデビューしたことだし、枯れた感じになってくるのも無理ないや~、としみじみさせておいて、撮了後すぐに別の場に現れた時にはこの安ホスト風。「おみそれいたしました」と低頭することになったのだった。参考までに、ナグさん中心にアッキネーニ一族まとめて応援しちゃうもんね、というファンサイトはこちら

1942年生まれのKラーガヴェーンドラ・ラーオ氏、テルグ映画のオーディオリリースや制作発表などをネットで追いかけている人にはお馴染みのこの風貌。しかし知る人ぞ知る話なのだが、この人ただのパーティー小父さんじゃなくて実は映画監督もやってるのだ。それも「映画の皇帝」の称号をもち、1970年代中頃から映画を撮ってる大ベテランだ。100本を超える監督作の初期には、ANRとNTRがシュリーデーヴィーを相手にベルボトムで踊り狂う Satyam Sivam (Telugu - 1981) なんてのもあって凄い。これだけのキャリアになると作風もとても一言ではまとめられるものではないが、ナグさんと組んだ上記の2作に加えて、チランジーヴィをキャスティングしてインド映画史上最もカッコいいシヴァ神のナタラージャを実現させた Sri Manjunatha (Telugu/Kannada - 2001)、NTRの名作Panduranga Mahatyam (Telugu - 1957) Dir. Kamalakara Kameswara Rao を息子のバーラクリシュナ主演でリメイクし新しい解釈を加えたPandurangadu (Telugu - 2008) などバクティものにも際立った手腕を見せている名匠とだけ書いておこう。

音楽担当の、こちらもベテランMMキーラヴァーニ先生については、クドクド書くよりも、上に言及した Annamayya の一曲 ♬Eaemoko をサンプルとしてリンクするだけで充分な気がしている。

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投稿者 Periplo : 11:51 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年09月16日

9月のJ-テルグ

また渋いのを持ってきたもんだねえ。

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まずは上映作品のアウトラインから。

Life is Beautiful (Telugu - 2012) Dir. Sekhar Kammula

原題:లైఫ్ is బ్యూటిఫుల్
タイトルのゆれ:LIB

Cast:Abhijeet Duddala, Sudhakar Komakula, Kaushik, Shagun Kaur, Zara Shah, Rashmi Shastry, Surekhavani, Kavya, Naveen, Vijay Devarakonda, Sanjeev, Sriram, Shriya Saran, Anjala Zaveri, Amala Akkineni

■日時:2012年9月23日、12:00ごろ開場(別料金でのランチサービスあり)、13:30開映予定(17:00ごろ終映予定)
■料金:大人2000円(当日券)1800円(予約)/5歳以上の子供1200円(当日券)1000円(予約)
■字幕:なし(の予定)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■ 参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/screening-of-is-beautiful-in-japan.html

【粗筋】
とりあえず筋については何も書かない。ランタイムは2時間46分と予告されている。また、以下に紹介する Happy Days の広い意味での続編と言われているが、キャラクターの連続性はない。HDがカレッジ内の青春ものだったのに対して本作は何らかのゲーテッド・コミュニティを舞台にしているという。シェーカル・カンムラらしい、暴力的要素のほとんどない青春群像ドラマであることは間違いないだろう。その分、字幕なしでの鑑賞には若干難があるかもしれない。

【予想される見どころについて】
前回上映の Eega とは少し違った意味で監督が主役の映画といえるだろう。シェーカル・カンムラ(テルグ風に言えばカンムラ・シェーカル)は1972年にハイダラーバードで生まれた。高等教育修了後に米国に渡り情報処理学を学び、IT技術者として社会人生活も経験した後に帰国した(余談だが、インタビューなどでのこの人の英語は、一語一語を区切って独特の抑揚で話される美しいインド英語とは異なり、アメリカ訛りがキツくて筆者にはほとんど聞き取れない)。99年の実験的なデビュー作 Dollar Dreams が評価され、続く Anand で商業的な大成功を収めた。ストーリー・脚本も自ら手がけるタイプで、またデビュー以降13年間に手がけた監督作は今回公開作も含めて7本と寡作である。その全作品が、仲間たちと共に立ち上げた製作会社 Amigos Creations から送り出されている。

作風は、一言でいうならば「娯楽映画の枠内での新感覚派」かつ「当代一の語り手」。大掛かりなアクションや派手なアイテムダンス、独立したコメディトラックなどをほとんど採用せず、穏やかでユーモラスな語り口+長めの尺+美しい映像でロマンスをじっくりと描くものが多い。意志的で独立心の旺盛なヒロインと、NRI(在外インド人)的な性向をもつヒーローが特徴的(当人は嫌っていたというが、キャリアの初期にはNRI映画作家と呼ばれることもあった)。都市に住む中産階級のNRI的生活感というのはカンムラ作品の重要な鍵となるものと筆者は考えるが、その作品群が広く受け入れられたのは、そうはいってもやはりこの人が現実には米国からテルグの地に戻ってきて根を下ろしたからなのではないか。近年特に英印文学の世界で大層盛んな、2つの文化の間で揺れ動く主人公を自己愛たっぷりに面白おかしく描くという、既に充分に陳腐化したNRIもの定型とは違う、もう少し高いレベルに達していることが、カンムラ作品をテルグ界のメジャーリーグに押し上げたのだと思う。上で新感覚とは書いたが、それはゴリゴリのリアリズムとは必ずしも合致しない。リアリティのある設定やディテールによって一風変わったお伽噺を物語る、それがテルグの衆の心の琴線に触れたのではないかな。

今回もまた、主演は全く無名の6人の男女、注目はカンムラの語りに向かうことは間違いないのだが、豪華な脇役がサービスされるのがガイジンには嬉しい。

まずは、タコ焼き…ちゃうちゃうちゃう、Sivaji The Boss [邦題:ボス その男シヴァージ] (Tamil - 2007) Dir. Shankar のヒロイン、シュレーヤー・サラン(各地方語によってシュリヤー、シュレーヤなどとも)の登場。Happy Days でゲストとしてちょこっと顔を見せたカマリニ・ムカルジーよりはもうちょっとストーリーに絡んでくれるのではないかと期待している。

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そして、Preminchukundam Raa [邦題:愛と憎しみのデカン高原] (Telugu - 1997) Dir. Jayanth C Paranjee と Choodalani Vundi [邦題:バブーをさがせ!] (Telugu - 1998) Dir. Gunasekhar でヒロインをつとめた(つまり本邦で既に2本も出演作が公開されている)アンジャラー・ジャヴェーリーの久々の顔見せというのも興味深い。

さらには、1980年代後半にタミル映画を中心に南インド4州で活躍した往年のヒロイン、アッキネーニ・アマラがナーガールジュナとの結婚&引退から約20年ぶりにスクリーンに復帰するというのも現地のファンの間では多いに話題になっていた。

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あ、それからホントに蛇足だけど、台詞もないチョイ役で監督がちらりとカメオ出演することが多いのもカンムラ作品の癖。この顔がどこで登場するかに注意してみるのも一興かもしれない。以下は恒例の予習・復習用資料。

【豪華付録:シェーカル・カンムラ全作品ディスコグラフィー】

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cvDollarDream.jpgDollar Dreams (Telugu - 1999)

Cast:Satya Krishnan, Anish Kuruvilla, Priyanka Veer, Anil Prashanth, Santosh Kumar, Dashveer Singh, Ravi Raju

原題:డాలర్ ద్రేఅమ్స్

DVDの版元:Universal
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間39分
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/dollar-dreams-telugu-1999.html

■ 芸術系、オルタナ系が不毛なテルグ映画界にあって、珍しくヒットして海外にまでその評判が聞こえた低予算映画に Hyderabad Blues (English/Telugu - 1998) Dir. Nagesh Kukunoor という1本がある。筆者は実見していないので詳しいことは言えないのだが、上でちょっと書いたような、帰郷したNRIが父祖の地にすんなりとは馴染めず文化的に格闘する様子を描いたものだという。翌年に公開されたこの Dollar Dreams は、ちょうどその逆のベクトル、学業を終えた後、あるいは社会人生活を経た後に渡米しようとする若者達の姿を描いており、そのリアリティのある語りが批評家からは大変に評価され、カンムラは国家映画賞デビュー監督賞を獲得した。本作冒頭にテロップとして掲げられているのだが、この時期インドから米国に移住する者の66%がアーンドラ・プラデーシュ人だったという。この迫力ある数字がカンムラに本作を撮らせる動機となったそうだ。Hyderabad Blues と同じく、本作中の登場人物も、テルグ語・英語・ウルドゥー語を混ぜこぜにした会話をする。彼らは必ずしも美國黄金郷に無条件に憧れているという訳でもないのだが、ハイダラーバードで中〜低層の暮らしを続けることにも積極的な意味が見いだせず揺れ動いている。移住など眼中にもなくハイダラーバードで草の根からの社会改革に取り組む女性、一足先に渡米しアメリカ訛りを身につけて一時帰国する若者、様々な人間模様を提示しながらも、どの道が正しくどの道が間違っているかという価値判断は一切加えずに本作は終わる。娯楽映画的なカタルシスは全くないが、改革開放経済への転換から8年経った世紀の変わり目のアーンドラ・プラデーシュの雰囲気がよく分かる、そう言う意味で貴重な一作。


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cvAnand.jpgAnand (Telugu - 2004)

Cast:Raja, Kamalini Mukherjee, Satya Krishnan, Anish Kuruvilla, Anuj Gurwara, Bakhita Franc, Chandana Chakrabarti, Melkote

原題:ఆనంద్ 

DVDの版元:Shalimar、KAD など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間36分(劇場公開版)、約2時間59分(ディレクターズ・カット)
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/anand-telugu-2004.html

■ デビュー作から5年もの歳月を経てやっと送り出された第2作、初めての商業映画。とはいえ極めて限定的な公開で、ハイダラーバードで3本、ヴァイザーグ・ヴィジャヤワーダ・ワランガルで各1本、合計でたったの6プリントの封切りだったという。それが口コミによって人気を呼びロングランとなり、各種の賞も獲得した。本作公開時のキャッチコピーというのが 'manchi coffee lanti cinema'、つまり「上質の珈琲のような映画」。日頃目ぇ血走らせた親爺達が背中に仕込んだ鎌を抜くのに大喜びしてるような筆者には全身がムズ痒くなるようなスカしぶりだが、観てみるとこれが結構飽きないのだ。幼少時に事故で家族を失い孤児となりながらも毅然と生きるヒロインに対して、一目惚れした NRIの若い男があの手この手でアタックする、それだけのストーリーなのだが、寄せては返すさざ波のように行きつ戻りつするするエピソード群に身を任せるのが心地よい。コメディアンもアイテムダンサーも登場せず、切った張ったの暴力沙汰もゼロ、こんなお洒落カフェ映画があってもいいのかしらん、と思っていると、終盤近くにこれまでの居心地よさがガラガラと崩れ落ちるような凄い展開があって驚く(別にそこから血みどろリベンジ・ドラマが始まるという訳ではない)。これには度肝を抜かれて各種のレビューを読みあさってみたのだが、この部分に違和感を訴えているものは見当たらず、首を捻ってしまった。それをここでネタばらしする訳にもいかないのだが、当網站読者の方には是非とも本作をご覧頂いてこの不可思議なツイストについてご意見を伺いたいものだと切に思う。

それはともかく、本作のもっとも目覚ましい貢献は、ベンガル生まれのカマリニ・ムカルジーを実質的にヒロイン・デビューさせたことにあるだろう。Phir Milenge [邦題:フィル・ミーレンゲー/また会いましょう] (Hindi - 2004) Dir. Revathy で脇役出演してはいたものの、同年公開の本作でブレイクしてからはほぼサウス専属女優。テルグを中心としながらもすでに南印4言語を制覇しており、「隣のセクシーなお姉さん」として代え難い魅力を見せつけてくれている。同時に忘れちゃいけないのがヒロインの仕切り上手な友達として登場したサティヤ・クリシュナンさん。ドスの利いたガラッパチ喋りがなんとも格好良かったね。

本作が公開された2004年というのは、テルグ・メインストリーム映画においてヒーロー格俳優の世代交代がほぼ完了し、同時に技術的な面でも質的向上が目覚ましく、どんどん面白くなって行く上り調子の時期にあった。そういう時期に本作のようなシンプルなロマンスものが大当たりしたというのは注目すべきことだと思う。つまり観客の皆さんはメインストリーム映画に行き詰まりを感じてこういうオフビート作品を支持した訳ではなかったのだ。ハイカロリーなギンギンのフルコースと同時に「上質の珈琲」も楽しんでいたのだな。このあたりにテルグ人観客の貪欲さと懐の広さが窺い知れるような気がする。

なお、本作はNinaithale (Tamil - 2007) Dir. Viswas Sundar としてリメイクされた。


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cvGodavari.jpgGodavari (Telugu - 2006)

Cast:Sumanth, Kamalini Mukherjee, Neetu Chandra, Kamal Kamaraju, Thanikella Bharani, Shiva

原題:గోదావరి

DVDの版元:Bhavani、Shalimar など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間32分
DVD 入手先:Bhavani DVD など
ネット配信:YTに字幕なし全編動画あり

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/godavari-telugu-2006.html

Anand の予想以上の成功に気をよくしたカンムラが2年後に送り出した、文字通りの大河ロマンス。ここに挙げた全作品の中で、娯楽映画としてのバランスのとれた楽しさという観点からはトップだと思う。公開当時に世間で言われた「テルグのタイタニック」の綽名に恥じないスケール感と華やかさに満ちている。

無名の新人俳優ばかりを使うのが常だった(使わざるを得なかった)カンムラだが、ここで初めて名門一家の御曹司を主役に据えることとなった。アッキネーニ・ナーゲシュワラ・ラーオ(ANR)の孫であり、ナーガールジュナの甥であるスマントだ。ただし、スマントの立ち位置は他のメジャー俳優とは若干違うところにあって、最も一般的なバイオレントで力強い庶民派のヒーロー像というのを必ずしも追求していない。本作のような、アメリカ帰りのITエンジニア(そしてこれはカンムラとも、実人生でのスマント自身とも重なる)で、もの静かでクールなヤッピー的キャラクターにはぴったりのキャスティングだったといえるだろう。というか、クレジットこそスマントが筆頭であるものの、本作の本当の主役は Anand に引き続いて登場のカマリニ・ムカルジーであることは誰の目にも明らかなのだ。この映画、一言でいうならば、カマリニさんがソウルメートを探して彷徨い、「私のこと好きなの?好きじゃないの?どっちなのキィーッ!」とジタバタしてるのを2時間30分を費やして描き切るという、贅沢極まりない一品なのだ。

「テルグのタイタニック」と呼ばれたのは、ストーリーラインに類似があるということでは全くない。ハイダラーバードに住むITエンジニア(政治の世界に入ることにも意欲を持っている)の若い男と、同じくハイダラーバードでファンションデザイナーの卵として苦闘する若い女が、それぞれの理由から聖地バドラーチャラムに向かうクルーズボートに乗り込み、アーンドラきっての大河ゴーダーヴァリを遡るというシチュエーションによるものだ。つまりソフィスティケートされた都会の男女と雄大な自然という組み合わせ。この出航ソングを見てもらえると分かるが、そのクルーズ船というのが露骨に等級差別化されていて頭の中がキーンとするのだが、これはあくまでも大道具さんが頑張ってこしらえたもので、実際にはこういうファンタスティックな乗り物は存在しないらしい。まあそれにラージャーマンドリーからバドラーチャラムまでは幾晩も船中泊が必要な距離ではないしね。しかしこれはかなり高くついたようで、本作が都市の若者というターゲット層の間では充分に受け入れられてヒットとなったにも拘らず資金を完全には回収できなかったようだ(カンムラへのインタビューによる)。

上にリンクした出航ソングが典型的だが、カンムラ作品のソングシーンには、超絶の踊り手、ソングのためだけの常規を逸した豪華セット、バックダンサーの大群といったものは登場しない。趣味のいい楽曲と巧みなピクチャライゼーションだけでも楽しいソングシーンが作れるという見本のようなソングが、各作品の中で最低ひとつはあるというのも、カンムラ映画の楽しみのひとつである。

ともかく、大河ゴーダーヴァリというバックグラウンドを得て繰り広げられるロマンスは、他のカンムラ作品と違う格別な開放感とスケールの大きいビジュアルが楽しめるお勧めの一作だ。


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cvHappyDays.jpgHappy Days (Telugu - 2007)

Cast:Varun Sandesh, Tamanna, Nikhil Siddharth, Rahul, Vamsee Krishna, Gayaturi Rao, Monali Chowdhary, Sonia Deepti, Kamalini Mukherjee, Krishnudu, Ranadheer Reddy, Aadarsh, Adithya, Chaitanya, Shuruthi

原題:హ్యాపీ డేస్

DVDの版元:Sri Balaj、iDream など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間39分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingBhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/happy-days-telugu-2007.html

■ ハイダラーバードの名門工科大学CBITに入学した8人の若者たちを中心とした青春群像物語。入学式から卒業式までの4年間を細かいエピソードを連ねてじっくりと描く。以前 Kalloori の項で書いたように、筆者はこの手のノスタルジックな学園生活讃歌にはデタッチ気味なのだが、それでも本作がなぜ大ヒットしたかは何となく理解できる。ラストの学長の言葉に表れているように、大学時代の4年間というのは、中産階級のインド人の若者にとって、カーストのしがらみやジェンダー的な束縛、親の干渉、地域共同体の締め付けetc.といったものから自由でいられる、期限付きの人生唯一の黄金時代なのだ。その自由のただ中で、学年による上下、友情やステディ関係といった虚構性の高い縛りをわざわざつくり、子供じみた衝突や和合を繰り返す姿に共感できるかどうかが本作鑑賞の鍵だろう。仮に共感できなかったとしても、社会に出たインド人達がその想い出を宝物のように大切にする学生時代というのがどんなものなのかがよく分かって勉強になる。例によってキャストはほとんどが無名の新人だった。主演のワルン・サンデーシュは本作で幸運なデビューを果たしたが、その後は若干低迷気味。デビューから2年目のタマンナーがやはり群を抜いている。タマンナーのためだけに本作を見ても損はしないだろう。

なお、本作からは Jolly Days (Kannada - 2009) Dir. M D Sreedhar と Inidhu Inidhu (Tamil - 2010) Dir. K V Guhan という2本のリメイクが生まれた。シェーカル・カンムラ自身によるヒンディー・リメイクの企画もあり、オーディションまで行われたようだが、よく分からない事情からこれは没になってしまった。


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cvAvakai.jpgAvakai Biryani (Telugu - 2008)

Director:Anish Kuruvilla
Cast:Kamal Kamaraju, Bindu Madhavi, Rao Ramesh, Varun Jonnada, Praneeth, Kameshwara Rao

原題:ఆవకాయ బిర్యానీ
タイトルのゆれ:Avakay Biryani, Avakaya Biryani, Avakai Biriyani
タイトルの意味:Pickles and Biryani, Pickeled Biryani

DVDの版元:Sri Balaji、Bhavani など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間23分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingBhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/avakai-biryani-telugu-2008.html

■ 本作のみがカンムラの監督作ではなくプロデュース作品。監督はアミーゴスの仲間であるアニーシュ・クルヴィッラ(Anand では重要な脇役として出演もしている)。シェーカル・カンムラ作品総まくりという主旨なのに、実はこの非監督作がここに挙げた中で一番完成度の高い作品だと思えるのだ(正直過ぎるな、自分)。テランガーナの僻村を舞台にしたヒンドゥー&ムスリム・ロマンスもの。このジャンルの通例に反して、男がムスリムで女がヒンドゥーの婆羅門である。田舎街でオートドライバーをやりながら苦労して高等教育の門を目指すムスリムの孤児の若者と、ポラヴァラムから一家で引っ越してきた(ダム建設に絡む立ち退きであることが暗示される)婆羅門の娘との交情を描きながら、より広いフレームで捉えられた風景が見るものを圧倒する。マラヤーラム映画界出身の撮影監督シャムダトの見事なカメラワークによって映し出されるのは、「テランガーナの美と貧困」。ハイダラーバードからバスで数時間の距離(ナルゴンダ郡のデーヴァラコンダが舞台ということになっている)でしかないにもかかわらず、「(上下水道の不備のせいで)村の女衆は毎日この広場で用を足すしかない」と州中央の政治家に訴えなければならない現状。あるいは、平和な田舎暮らしの中で、コミュナルな相互不信がどのように生まれるかをあぶり出す説得力。これまでに見た勇ましい、あるいは告発調のどんなテランガーナ映画よりも心に沁み入るものがあった。でありながらも、テルグ映画らしい楽天的な阿呆くささも同時に併せ持ち、大変に爽やかな読後感が味わえた。Godavari で嫌みな恋敵役を演じたカマル・カーマラージュがヒーロー、Pokkisham の小さな役でデビューしていたビンドゥ・マーダヴィが本作でヒロインとして多いに注目されることになった。


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cvLeader.jpgLeader (Telugu - 2010)

Cast:Daggubati Rana, Richa Gangopadhyay, Priya Anand, Kota Srinivasa Rao, Harsha Vardan, Suman, Ahuti Prasad, Suhasini, Subba Raju, Thanikella Bharani, Rao Ramesh , Narsing Yadav, Vai Sista, Udaya Bhanu

原題:లీడర్

DVDの版元:Sri Balaji、Bhavani など
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間52分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingBhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/leader-telugu-2010.html

■これまでアンティームなロマンスものを手がけてきたカンムラが、政治をテーマにした作品を手がけるというのにまず度肝を抜かれた。しかもテルグ映画界の名門一家の一つであるダッグバーティ家の御曹司のデビュー作というのだから期待と不安が押し寄せた。その新人ダッグバーティ・ラーナー(ヴェンカテーシュの甥にあたる)は見るからにウドの大木だし、こいつが声を枯らしてご立派な理想を叫び続けて、万単位のエキストラがそれを伏し拝むというだけの教条主義的マス映画だったら嫌だなという気持ちが強かった。が、実見してそれは見事に裏切られた。これ、ラストの十分弱を除けば、完全に密室のドラマで、宮廷クーデタものに近い内容なのだ。まず前提条件として、(現実に充分にある)政治家のポストの事実上の世襲というものを完全に肯定し、その上で、メディアが閣僚の更迭や交代として淡々と伝えることしか出来ない政治劇の裏側の暗闘をこれでもかというくらいにこってりと描き出してくれるのだ。そして極端なカースト偏重政治やテロリズムの横行、政治資金の黒い流れなど、現実のアーンドラ・プラデーシュの政治風土もしっかりと語られる。これまでのカンムラ作品とは趣を異にして、癖のある悪役や喰えない親爺がずらりと並び、大興奮の3時間弱だ。じゃあこの作品にはズル剥けのリアリズム政治しかないのかというと、「民と共に歩む」という理想の部分は、スハーシニお母様が体現して下さるのだ。リチャ・ガンゴパディヤーイとプリヤ・アーナンドというツインヒロインを差し置いて、スハーシニお母様の清冽さに心が洗われましたです。

投稿者 Periplo : 01:51 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年08月25日

収集癖:ナーラダ仙(5)

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この雲海のセットはシンプルだけど綺麗だねえ。絵全体としての雰囲気が、ちょっとこの天平期の透かし彫りを思わせるものがありゃしませんかい?

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一方でこういう野外シーンでは、穏やかなパステルカラー、随所に散りばめられた金、圧縮された遠近法の書き割りなどが、まるで初期ルネッサンスの群像画みたいだ。

Sri Krishna Satya (Telugu - 1971) Dir. K V Reddy

原題:శ్రీ కృష్ణ సత్య
タイトルのゆれ:Shri Krishna Satya, Srikrishna Satya, Sri Krishna Sathya, Sree Krishna Satya, etc.
タイトルの意味:Sri Krishna and Satyabhama

Cast : N T Rama Rao (NTR), Jayalalithaa, S V Ranga Rao (SVR), Kanta Rao, Ramana Reddy, Chittor V Nagaiah, Padmanabham, Rajanala

DVDの版元:Universal
DVDの字幕:英語
DVDの障害:途中で停まるディスクあり
DVDのランタイム:約2時間48分
DVD 入手先Bhavani ほか

参考レビュー集成http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/08/sri-krishna-satya-telugu-1971.html

【ネタバレ度70%の粗筋】
ドワールカーのクリシュナ(NTR)の館、そこには第一夫人のルクミニ・デーヴィーを始めとしてクリシュナに仕える多数の女達が住んでいた。その一角にまもなくクリシュナに嫁ごうとしているサティヤバーマー(Jayalalithaa)もいたが、彼女は夫となるクリシュナを毛嫌いして館での行事に顔を出そうともしなかった。そこでクリシュナは眠っているサティヤの枕元に立ち、彼女に前世の記憶を蘇らせる。

サティヤは、前世では蛇王の娘チャンドラセーナー(Jayalalithaa)だった。彼女はラーヴァナ(NTR)の弟であるマヒラーヴァナ(SVR)に懸想され、その地底の王国に捕われていた。折しもラーヴァナにかどわかされたシーターを救い出すためにラーマ(NTR)がランカー島に戦を仕掛ける前夜であった。前哨としてランカー島に忍び込んだハヌマーンの説得により、チャンドラセーナーはマヒラーヴァナに靡くふりをして彼の急所を聞き出してハヌマーンに知らせ、それによってラーマの軍勢は勝利する。戦勝をもたらした働きへの報償として彼女が望んだのはラーマの妻となることだった。しかし、シーターだけを愛し、シーター以外の側妾も第二夫人も一切を拒否するラーマは、その願いに応えることはできない。ナーラダ仙(Kanta Rao)の采配によって、彼女には次の転生においてラーマの生まれ変わりであるクリシュナの妻となることが約束される。

こうした前世の記憶を取り戻したサティヤは、俄然クリシュナを恋いこがれるようになり、めでたくクリシュナとの婚礼を挙げる。しかし、独占欲の強いサティヤはルクミニやジャーンバワンティなど他の妻達と共棲することが我慢できない。嫉妬に苦しむ彼女がナーラダ仙に相談すると、夫を奉納した上でトゥラーバーラム(天秤の片方に人間が乗り、もう片方に同じ重さの宝物や食料を載せてそれらを奉納する儀礼。参考までに改宗者によるごく最近の事例)によって再び取り戻せば、クリシュナはサティヤだけのものになる、と唆される。一時的な奉納の相手はナーラダが引き受けることとなった。

意気揚々と儀式に臨むサティヤ。天秤には悲しげなクリシュナが載っている。サティヤは用意してあった宝物を反対側の皿に載せて行くが、秤は一向に動かない。焦った彼女は所有する全ての財をつぎ込むがクリシュナの重みには釣り合わなかった。絶望に身を捩るサティヤを尻目に、突如態度を豹変させたナーラダは、言葉荒くクリシュナを引き立て市場で彼を奴隷として売りに出すが、人々の反発が激しく館に戻ってくる。プライドを捨てたサティヤはルクミニにひれ伏し、助けを求める。ルクミニは聖なるトゥラシの葉を一枚取り上げ、祈りを込めてサティヤが積み上げた財物の上に載せる。するとついに天秤は動き出しクリシュナと奉納物の載った皿は等しい重さとなる。愛執の罪深さを思い知らされたサティヤは平安な心持ちでカウラヴァとの和平交渉に向かうクリシュナを送り出す。(粗筋了)

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入れてあげないんだもん。/遅くなってごめ〜ん。いま来たよ〜。
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駄目ったら駄目。/意地悪言わないでさ〜。
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うふふん。/お願い入れて〜〜。
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やっと機嫌直ったんだね〜、よしよし。/あたし、アンタを奉納することにしたから。/うぞっ、がーん…。

【長い寸評】
いや、↑こういう4コマ漫画はいったん始めると止め所がなくなっちゃいそうで、なるべくやらないように自分を戒めてるんだけど、我慢できなくてやっちまった。しかし上のキャプションは筆者が勝手につけたものではなく、実際に概ねこのような会話がなされているのだ。いやもう、笑い通しだよ。いうなればこれ、『お笑い!ドワールカーの家庭内不和』なんだ。

このようなジャンルとしてのリバイバル(訳注:1957年の Maya Bazaar から始まるテルグ映画における神話ジャンルの再生)が、「コメディ・ミソロジカル」とでも呼ぶべき混合ジャンルによって開始されたということは見過ごすべきではないだろう。その後にはシリアスな神話映画も多く作られはしたが、Maya Bazaar で神話ジャンルに導入されたソーシャル的要素の組み合わせは引き続き採用されることとなった。(M Madhava Prasad, Genre Mixing as Creative Fabrication, 2011 より、勝手訳)

本作はその Maya Bazaar を手がけたKVレッディの最後の監督作となった。上で70%の粗筋を書いたが、本作にはそれ以外にも熊王ジャーンバワンタとラーマ&クリシュナとの関わり、ハヌマーンとその息子との邂逅のエピソードなどが散りばめられ、なおかつサティヤバーマーが改心した後には、マハーバーラタのクライマックスの一つである『クリシュナ使者に立つ』が30分ほど続く。しかし、本来なら一番の見せ場であるはずのこのシーンは、なんだかもうすっかり気の抜けた感じで緩〜いエピローグにしか思えないのだ。そのくらいジャヤラリタ・ショーがド迫力なのだ。

高慢ちきに許婚を嘲ったり、一転して降って湧いた恋心にくすぐったがったり、嫉妬で身悶えしたり、悪企みに高笑いしたり、ぴくりとも動かない天秤を前に滝の汗を流したり、ナーラダの企みに気づいて逆切れしたり、ルクミニにひれ伏す恥辱に身を焦がしたり、もう忙しいったらない。もちろんこのストーリーラインは本作固有のものではなく、比較的近い時代に作られたものだけでも、ジャムナがサティヤを演じた Sri Krishna Tulabharam (Telugu - 1966) Dir. Kamalakara Kameshwara Rao やサロージャ・デーヴィーが演じた Sri Krishna Rukmini Sathyabhama (Kannada - 1971) Dir. K S L Swamy などがある。筆者はこの2本も観てみたが、やはりジャヤ様には敵わない。この役、あまり楚々たる美女がやっては、クリシュナとナーラダの男2人が知恵の足りない女を無体に苛めているように見えてよくない。かといってあまりに憎々し過ぎる女悪役でも教訓が効果的に伝わらない、ジャヤ様の、図太くも可愛らしい豚児ぶり(←語法ミス)がまさにハマっているのだ。

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それと同時に、カーンタ・ラーオの演じたナーラダ仙がまた凄いのだ。いつもニコニコ町内会の世話焼き小父さんみたいな風を装いながら、やることが一々エグい。妻が幾人もいる家に希少な印度夜香木の花をたった一輪だけ持って行って、奥さんにどうぞなんて言ってのける嫌らしさ。トゥラーバーラムによるクリシュナの買い戻しが不成立に終わった途端、これまでのへりくだった態度から豹変してクリシュナを叱咤して市場に追い立てる、その非情なビジネスマンぶり。カーンタ・ラーオはナーラダ仙が当たり役といわれた役者で、生涯に9回もナーラダを演じている。筆者はそのうちの7本までを観たが、脂ののり切った狸親爺としての芝居では本作が圧倒的だと感じた。希代のナーラダ仙役者カーンタ・ラーオ(一方で剣劇映画のトップヒーローとしての顔もあった、こちらなど参照)については、もう少し材料が揃ったらまとまった紹介をしてみたいと思っている。

NTRを見に行ったつもりが、ジャヤラリタとカンータ・ラーオにノックアウトされて帰ってきた。これだからテルグ神話映画はやめられないのだ。

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ところで、ご主人の体の重さはごぞんじであろうな?(くくっ、この馬鹿女、これで政治的に立ち回ってるつもりなんだぜ)
ご心配なく、充分にわきまえておりますわ、上人様♬(童貞親爺が何いってんだか、大笑いだわよ)

あ〜、もう止めないと…。

投稿者 Periplo : 01:36 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2012年07月17日

7月のJ-テルグ

まさかトップ写真に虫の画像をアップする日が来ようとは思わなかったぜ。
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可愛いサマンタちゃんを拝むために観るのもありだろう。
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半端イケメソ(ヒロインを輝かせる俳優とも言うね)のナーニ君目当ての人だってもしかしているかもしれない。
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あっ、アンタこんなとこでこんなことしててイイんかいな?と思わず叫んだカンナダのトップスターのひとりスディープさんももちろん注目点。こちらの情報によれば、テルグ・タミルともセルフダビング、なおかつテルグ版では一曲歌ってるそうだ。
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が、やっぱり興味の先は、現在のテルグ界きってのスター監督SSラージャマウリ氏が何をやらかすつもりなのか、ということに向くと思う。ところで↓この写真、一体何してるとこなんだ?
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まずは基本データから。

Eega (Telugu - 2012) Dir. S S Rajamouli

原題:ఈగ、நான் ஈ (タミル語版タイトル)、ഈച്ച(マラヤーラム語版タイトル)、※ヒンディー語版も公開が予定されているらしいが、タイトルは現在のところ不明 [2013.9.17追記] ヒンディー語版タイトルは मक्खी Makkhi、同バージョンの邦題は『マッキー』

タイトルのゆれ:Naan Ee (タミル語版タイトル)、Eecha(マラヤーラム語版タイトル)
タイトルの意味:Fly (タミル語版は I am fly)

Cast: Sudeep, Naani, Samantha Prabhu, Abhiram, Adithya Menon, Hamsa Nandini, Devadarshini, Srinivasa Reddy, Crazy Mohan, Thagubothu Ramesh (テルグ語版のみ), Santhanam (タミル語版・マラヤーラム語版のみ)

■日時:2012年7月29日、12:00ごろ開場(別料金でのランチサービスあり)、13:30開映予定(16:30ごろ終映予定)
■料金:大人2000円(当日券)1800円(予約)/5歳以上の子供1200円(当日券)1000円(予約)
■字幕:英語(万が一ナシだったらゴメンナサイ)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画公式サイト:http://eegamovie.com/
※ 当日券・家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■ 参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/eega-telugu-2012.html
[2013.9.17追記]■日本語公式サイト:http://masala-movie.com/makkhi/

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公式トレイラーから読み取れる限りのネタバレ度?パーセントの粗筋】
お互いに好意を抱き合いながらはっきり口にすることがないまま、恋の予感にときめく幸せな日々を送る若い男女(Naani, Samantha)。ある日突然メンヘラ男(Sudeep)が現れて恋路の邪魔を始め、ついにはカップルの男の方を殺してしまう。死んだ男はハエに転生し、メンヘラへの復讐に猛進する。(粗筋了)

【予想される見どころについて】
筆者は基本的には映画見物に臨む前は(特にDVDでの鑑賞の場合は)あまり情報を仕込まないことにしている。今回は劇場での一期一会鑑賞、しかしやっぱりあまり予断を持ちたくない。それでも僅か2分半のトレイラーから上記のような粗筋が把握されてしまうのだ(なおかつ、クローネンバーグの『ザ・フライ』のパクリでないことも分かる。こちらのインタビューによれば、監督の父で脚本家であるヴィジャイェンドラ・プラサード氏の語りが元となっているのだという、ただしこれが古譚なのかプラサード氏の創作なのかは分からない)。これはもちろんトレイラーの編集が悪くてネタバレになってしまったというのではない。かつてラージャマウリはインタビューで過去作品 MagadheeraMaryada Ramanna に関して、ストーリーの新しさで惹き付ける作品ではなく語り方で見せる映画なので、公開前の粗筋秘匿主義はとらないと言明したことがある。本作もまたその系譜に連なるものであることは間違いないだろう。

大体、普通の大人だったら、上記のような粗筋を聞かされたら、まあ間違いなくチープな色物だと思っちまうだろう(実際にそうである可能性も捨てきれないけど)。ただ、監督がラージャマウリである、ただそれだけの理由から、テルグ人の皆さんが公開前から大騒ぎして&種々の理由から遅れに遅れた封切りを待ちこがれたのだ。ラージャマウリなら何か凄い仕掛けがあるに違いない、大スターを使わずともワクワクする濃密な映画時間を楽しませてくれるに違いない、そういう期待からだ(そして7月6日に公開されて現地では爆発的にヒットしているようだ)。

上に掲げた主演の3人はそれぞれ実力のある俳優だし、彼らの貢献は無視できないだろうけれど、何と言っても本作の焦点はCGとVFXによる(制作側はアニメーションという言葉を使っている)蠅の活躍。実はCGアニメで再現される生き物というのは、インド映画のなかではちょっと特殊な背景を持っている。詳しくは『これでインディア』サイト上でのアルカカットさんの 2006年1月19日の論考をお読みいただきたいが、要するにかなり過激化した動物愛護運動の煽りを受け、本物の動物をスクリーン上で使うことが大変に難しくなってきていて、何でもない動物登場シーンでもCGで合成した画像を使うケースが増加しているのだ。

たとえば、Aadukalam (Tamil - 2011) Dir. Vetrimaran の冒頭にはこんな断り書きが現れたりする。国家映画賞まで受賞した作品だけど、一番のモチーフである鶏闘のシーンのほとんどがCGというのは若干興ざめだった。これはもちろん状況から止むない選択であっただろうが、他作品では、明らかにCG部隊が暴走してしまったことを窺わせる不自然で不要なCGシーンを目にすることもよくある。

こういう状況を逆手に取って、敢えて(実写があり得ない)蠅を主人公にしたんじゃないだろか、ラージャマウリ氏は。やむを得ない代替え手段としてではなく、挑戦的にCGを前面に押し出す。最も日常的でかつ煩わしい生き物である蠅を、100%作り物で再現して、グラフィックな驚異を作り出すだけではなく、テルグ娯楽映画に不可欠なヒーローのヒロイズムを担わせようとしているのだ。そういう意味で、本作はテルグ映画としては珍しい「監督がスター」な一本なのだ。

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デルグ映画史上初の蠅の巨大カットアウト、2012年7月9日ハイダラーバードのショッピングモール&シネコン・プラサーズにて、設置の模様までが動画として配信された

【豪華付録:SSラージャマウリ全作品ディスコグラフィー】
ということで、2001年のデビュー以来10作品に満たないながら既にスターとしての地位を獲得してしまったラージャマウリ監督(公式サイト公式フェイスブック・ページ、当人のものとされるツイッターアカウント、ウィキペディアエントリー)の全作品をここに挙げて予習復習のお役にたてようと思う。

cvStudentno1.jpgStudent No.1 (Telugu - 2001)

Cast:NTR Jr, Gajala, Rajiv Kanakara, M S Narayana, L B Sreeram, Ajay, Sudha, Brahmanandam, Ali, Kota Srinivasa Rao, Tanikella Bharani

原題:స్టూడెంట్ నెం.1

DVDの版元:Sri Balaji Video
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間27分
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/student-no-1-telugu-2001.html

■ヴァイザグの法科カレッジにやってきた新入生、おとなしく目立たない風を装っていたが、番長に目をつけられて挑発を受けるようになり、やがてその驚くべき過去が明らかになる、というストーリー。

NTR ジュニアのヒーロー・デビュー後の第2作目にして初ヒット作。今日からすると信じられないくらいの低予算映画。この時ジュニアは17か18だったはずだが、既にこの年頃のフツーの兄ちゃんとは完全に別の生き物だと言っていいキャラの立ち方。SSラージャマウリの賞賛されるべき手腕は、シンプルなストーリーの中で、名門の、しかし疎まれた庶子であるこの若造に宿る、ある種の「異様な美」を引きだしたことにあるのだと思う。なお本作は Student Number 1 (Tamil - 2003) Dir. Selva としてリメイクされた。


cvSimhadri.jpgSimhadri (Telugu - 2003)

Cast:NTR Jr, Bhumika, Ankita, Nasar, Rahul Dev, Mukesh Rishi, GV, Brahmanandam, Venu Madhav, Kota Srinivasa Rao, Sreenivasa Reddy, Sarath Saxena, Seetha, Rajan P Dev, Chalapati Rao, Bhanu Chandar, Surya, Hari, Rallapalli, Subbaraya Sharma, Pardhasaradhi, Ramya Krishnan

原題:సింహాద్రి

DVDの版元:MMI Video
DVDの字幕:なし
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間49分
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/simhadri-telugu-2003.html

■ 名門の大家族の邸宅で暮らす孤児の主人公、お館様から気に入られ総領娘との結婚をお膳立てされるが、そこで彼が精神科療養施設に入所させて密かに世話をしている若い娘の存在が明らかになる。とあるきっかけからこの娘が正常な意識を取り戻した時、一族の秘められた過去が開示される、というストーリー。

前作から2年後、NTRジュニアは既にデビューから7作目となり、荒々しいアクション路線はどうやら既に確立されていたようだ。ここでの目新しい点は、ヒロインもまたバイオレントにストーリーに関わっていく点、それから(必然性はやや弱いのだが)舞台の一部をアーンドラの外に設定したことか。ソングシーンでのワープではなく、NRIものの背景として欧米先進国をご都合主義的に組み込むこととも違う、インドの中にある異郷を取り込み、テルグ映画の物語世界を拡張しようとする試みのようなものが感じられる。成功したかどうかはよくわからないが、これは以降の作品にも共通して現れる特徴である。なお本作からはGajendra (Tamil - 2004) Dir. Suresh Krishna と Kanteerava (Kannada - 2011) Dir. Tushar Ranganath という2本のリメイクが生まれている。


cvSye.jpgSye (Telugu - 2004)

Cast:Nitin, Genelia, Pradeep Rawath, Ajay, Venu Madhav, Sashank, Nassar, Rajiv Kanakala, Tanikella Bharani, Supreet Reddy

原題:సై
タイトルの意味:Challenge

DVDの版元:Sri Balaji Video
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間41分
DVD 入手先:Bhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/sye-telugu-2004.html

■ ハイダラーバードの伝統あるカレッジ、学内は理系と文系とに分かれて激しく対立し合っていた。ヴァイザグからやってきたヒロインは文系の新入生だったが、初日から理系番長のヒーローと衝突するがやがて相思相愛になる。その一方土地のマフィアはカレッジの土地を不正に接収しようと魔の手を伸ばしてくる。内輪揉めに明け暮れていた学生達は一致団結してそれに対抗するが…というストーリー。

ここで紹介の作品中、最もロジックを無視したストーリーと言っていいと思う。開始早々いきなりマフィアの凄惨な殺しの場面を描いた後、突然今度はカレッジの過激なラギングと内ゲバが延々と続き、マフィアがカレッジの土地に興味を示したところで話はなんとか繋がるのだが、学生対マフィアの小競り合いの後、なぜか決着をラグビーの試合でつけようということになりスポコンになってしまう。警察官は何度も登場するが、司直の裁きは全く無効、最後に勝った方に味方するということが暗示されている。一昔前のご都合主義満載のテルグ映画を思わせる造りなのだが、それでも途中で嫌にならずに楽しく見通すことができるのは、ビジュアライゼーションのいちいちに若々しい生気が漲っているからであるように思える。渋滞している往来でフラッシュモブよろしく開始される最初のソングシーンの斬新さ、そしてクライマックスで30分にも渡って続くラグビーの試合場面のパワフルさ(もちろんラグビーは大方の印度人観客にとって馴染みのないスポーツであったはずだが、そんなことはお構いなしにグイグイと引っ張って行く)などなど。ダンス振り付けから殺陣にいたるまでの、2000年代前半テルグ映画の技術的な革新のサンプルとしてもいいかもしれない。


cvChatrapathi.jpgChatrapathi (Telugu - 2005)

Cast:Prabhas, Shriya Saran, Pradeep Rawath, Shafi, Narendra Jha, Supreet, Jeeva, Venu Madhav, Jaya Prakash Reddy, Bhanupriya, Kota Srinivasa Rao, L B Sriram, Mumaith Khan, Arti Agalwal, Kamal Kamaraju, Sekhar, Ajay

原題:ఛత్రపతి
タイトルの意味:Chief, head or King of Kshatriyas

DVDの版元:iDream
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間38分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingWebmall IndiaBhavani DVD など

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/chatrapati-telugu-2005.html

■ スリランカ沿海部から内戦によって追われてヴァイザグに辿り着いた主人公は、生き別れになった継母を探し続けているのだが実を結ばない。ヴァイザグの港湾は引揚者を不当に酷使するマフィアによって牛耳られていたが、彼はそれに対して敢然と立ち向かう。同じ頃、継母の実子である弟との再会を果たすのだが、彼を逆恨みする弟はマフィアと手を組んで彼を潰そうとする、というストーリー。

これもまた、かなり非現実的な設定を取り入れた作品。タミル映画ならともかく、テルグ人のスリランカ難民というのは、もちろんゼロではないにせよ社会問題になるには極小過ぎる集団であるはずなのだ。逆に言うとタミル映画ならば充分にあり得るストーリー。いわばオリジナルの存在しないタミル映画のテルグ・リメイクと言っていいかもしれない。なぜそんなことをという疑問は当然のように湧いてくるが、ラージャーマウリは自作を振り返るインタビューで、「ヒーローのプラバースをスーパーヒーローとして確立させることだけが念頭にあった」と語っている。そしてそれは大成功したという。ここにあげた作品群のうちで最もフォーミュラ的な一本といえるだろう。


Vikramarkudu.jpg

cvVikramarkudu.jpgVikramarkudu (Telugu - 2006)

Cast:Ravi Teja, Anushka, Ajay, Vineeth Kumar, Brahmanandam, Raghubabu, Prakash Raj, Jayaprakash Reddy, Ruthika, Meghna Naidu, Rajiv Kanakala, Amit Kumar Tiwari

原題:విక్రమార్కుడు
タイトルのゆれ:Vikramathithya(マラヤーラム語吹き替え版)、Pratighat(ヒンディー語吹き替え版)、Vikram Singh Rathod IPS(ボージプリー語吹き替え版)
タイトルの意味:1世紀ごろにウジャイン(現MP州)を統治していたという伝説の賢王ヴィクラマルカの名をテルグ風に言ったもの、意味するところはいまひとつ分からない

DVDの版元:Sri Balaji Video, Bhavani Media
DVDの字幕:英語
DVDの障害:Sri Balaji Video 盤は一部再生できず、Bhavani Media 盤は特に問題なし
DVDのランタイム:約2時間41分
DVD 入手先:Bhavani DVD など。また YouTube 上に字幕付き全編動画もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/vikramarkudu-telugu-2006.html

■ケチな詐欺師兼コソ泥の主人公は宝物が入った箱を盗み出すが、そこに入っていたのは年端も行かない女児だった。少女が所持する写真に写っていたその父は主人公と瓜二つの警察官、ヴィクラム・ラートール・シン、チャンバル渓谷で恐怖政治を敷いていた封建領主と戦った英雄だった、というストーリー。

ラヴィ・テージャの項でもちょっとだけ紹介した。その時はタミル・リメイク Siruthai (Tamil - 2011) Dir. Siva と、先日封切られて大ヒット中のヒンディー・リメイク Rowdy Rathore (Hindi - 2012) Dir. Prabhu Deva を紹介したが、その後カンナダ・リメイク Veera Madakari (Kannada - 2009) Dir. Sudeep の存在を遅まきながら知った(そしてこれには Veer Madakari Iss Sadi Ka というヒンディー語吹き替えも存在する)。スディープが監督&主演しているのだ! それからヒンディー版よりも一足早く公開されたベンガル・リメイク Bikram Singha (Bengali - 2012) Dir. Rajib Biswas もあることが分かった。さらにはバングラデシュのベンガル語リメイク Ulta Palta 69(公開年など不詳)も。 また、テルグ・オリジナルから派生した3つの吹き替え版も存在するし、壮観としか言いようがない。公開時点でのVikramarkudu への批評家からの評判は今ひとつ、余りにも蓮っ葉過ぎるヒロインとか、MP州のチャンバル渓谷に設定された無法地帯で極悪領主に立ち向かうラートール姓(ラージプートであるということなのか)の主人公や周りの人々が全員テルグ語を喋る非現実な設定などが槍玉にあげられたが、フツーに観てればそんなことはどうでも良くなる。ストーリーの整合性が崩れていたとしても映画として面白いものこそが正しいのだ!ということがよくわかる一本。


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cvYamadonga.jpgYamadonga (Telugu - 2007)

Cast:NTR Jr, Priyamani, Mamtha Mohandas, Mohan Babu, Jayaprakash Reddy, Raghubabu, Ali, Brahmanandam, M S Narayana, Dharmavarapu Subramanyam, Kushboo, Rambha, Narendra Jha, Rajiv Kanakala, Naresh, Preeti Jingyani, Navaneet Kaur, Archana, Narsing Yadav, Siva Parvati

原題:యమదొంగ
タイトルの意味:Hell Thieve

DVDの版元: Tolly2Holly
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間51分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingWebmall IndiaBhavani DVD など。また YouTube 上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/yamadonga-telugu-2007.html

■ハイダラーバードでけちなコソ泥をやって暮らしている主人公は、行きがかりから暴漢に襲われかけていた大富豪の娘を匿う。彼女を親族のもとに送り届けるのと引き換えに身代金をせしめようと欲をかいたところが、返り討ちにあってあえなく命をおとす。当然の結果として地獄に堕ちた彼だが、反省の色もなく今度は閻魔大王から権威の印であるヤマパーサム(死の捕縄)を奪いクーデタを起こして黄泉の国の最高権力者に収まる、というストーリー。

ハッキリ言う、テルグ映画2000年代の最初の10年を代表する作品の1本だ。これまでになんで本作のレビューを上げなかったのか自分でも訝しく思うのだが、あまりにも好きすぎて何も書けなくなっちゃう映画ってのもあるものなのだ。そこを頑張って数行でも書こう。過ぎ去った黄金期の神話映画のグランジャー、今日的なアクション映画のダイナミズム、そして当代一の踊り手であるジュニアNTRの神ダンス、ノンストップのローラーコースター的ツイスト、純愛、時代がかった滔々たる長口舌とスピーディーなコメディ、これら全てを1本の映画の中に注ぎ込んで金メッキでコーティングした空中楼閣、これはインド広しといえどもテルグ界からしか生まれないだろうという傑作、ここで紹介の中で1本だけというならば躊躇いなく本作を推したい。日本語煽り文句つきトレーラーもあるよ。

あ、それから公開当初話題をさらったのは「踊れる小太りのおっさん」とニコ動職人の皆さんに認識されていた(1983年生まれだという情報は広まらなかったらしい)NTRジュニアが25kgともいわれる大減量を成し遂げてスクリーンに登場したということだった。その後若干肉付きを取り戻して来ているジュニアだが、この時の減量は役作りに絶対に必要なものであるとラージャマウリが強く求めて実現したものであるという説がある(信頼性の高いソースでの裏は取れていない)。巨大セット、あるいはここから始まった馬鹿馬鹿しいCG使いと並んで、本作のもっとも際立ったギミックであることは間違いない。


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cvMagadheera.jpgMagadheera (Telugu - 2009)

Cast:Ram Charan Teja, Kajal Agarwal, Devgill, Rao Ramesh, Sunil, Brahmanandam, Srihari, Sarath Babu, Surya, Mumaith Khan, Sameer, Sekhar, Rajiv Kanakara, Kim Sharma, Saloni, Hema, Chiranjeevi, Ali

原題:మగధీర
タイトルの意味:Great Warrior

DVDの版元:Sri Balaji Video
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間44分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingWebmall IndiaBhavani DVD など。またYouTube上に全編動画(字幕なし)もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/magadheera-telugu-2009.html

■ 現代のハイダラーバードで巡り会った若い男女、不思議な力に導かれて彼らは前世で悲劇的な最期をとげた恋人達であったことを悟る。それは400年前のラージャスターンでイスラーム勢力の拡張と対峙しながら独立を保っていた藩王国の王女と戦士との悲恋だった、というストーリー。

興行上の様々な記録を塗り替えた2009年テルグ界トップのブロックバスター。「やっと我々自身の中からハリウッド並みの作品が生み出された」と感涙にむせんだテルグ人が多かったらしい。面白いことに、そう多くはない日本人の鑑賞者の中では絶賛派と否定派(というか何でこれがこんなにヒットしたのか理解できないと悩む派)とで評価がきれいに分かれた(筆者は後者に属している)。たしかに、キラキラと贅沢な画面、滑らかなCG使い、全体的に「あえて土地のオーラを排除した」感がある造作はハリウッド的あるいはディズニー的であるといえるかもしれない。印度映画的な文脈からは、 本作は Patala Bhairavi (Telugu - 1951) Dir. Kadri Venkata Reddy あたりから始まる「フォークロア」と呼ばれる独特なジャンルを、現代の技術と巨大スケールで蘇らせる試みだったのではないかと、そしてそれがテルグの衆の心の琴線にビンビンに触れまくったのではないかと考えている(個人的にはもうちょっと材料が揃ったらこのフォークロア作品群については取り組んでみたいとは思っている)。CGものに特有のクリスタル・クリアな空気感の中で繰り広げられる無国籍(多国籍?)な活劇の部分が一番のみどころ。TDLで虚心にエレクトリカル・パレードを楽しめる人、ケルトやローマを始めとした古代戦記ファンタジーものの系譜の中で一風変わった作例を観てみたい人には積極的にお勧めしたい。なお、ヒンディー・リメイクの話はかなり以前から流通しており、現時点ではランヴィール・シン主演になるというが有力。


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cvMaryadaRamanna.jpgMaryada Ramanna (Telugu - 2010)

Cast:Sunil, Saloni, Nagineedu, Supreet Reddy, Venugopal, Brahmaji, Kanchi, Anuj Gurwar, Rao Ramesh, Jayavani, Sandhya, Anitanath, Ravi Teja (dubbing)

原題:మర్యాద రామన్న
タイトルの意味:Respectable Ramu

DVDの版元:Sri Balaji Video
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間10分
DVD 入手先:MyIndiaShoppingWebmall IndiaBhavani DVD など。またYouTube上に字幕付き全編動画もあり。

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/09/maryada-ramanna-telugu-2010.html

■ ハイダラーバードで小規模輸送業をしている男が、先祖伝来の土地を売って資金を作ろうとラーヤラシーマに出かけて行くが、そこでファクショニストの血腥い抗争に当事者として巻き込まれ、必死の脱出をはかるというコメディ。

若手のトップコメディアン、スニールを主役に据えたということで(スニールの主役はこれが初めてではないのだが)大いに話題になった。その後スニールのヒーロー化計画は順調に進んでいるが、本作はその重要なステップストーンとなったことは間違いない。脚本は細心の注意を払ってこれまでスニールが築いてきたスクリーンイメージを利用しつつ、それをひっくり返して爽やかな驚きを観客に与える。が、もちろんそれは怖いもの知らず+驚異の身体能力を誇るスーパーヒーロー(つまり通常のテルグ娯楽作品のそれ)に仕立て上げるという安易なものではない。これまでスニールや他のコメディアンがやってきた、どこか常人とは違うズレた行動原理によって不条理空間を作り出し、ヒーロー・ヒロインを困惑させたり、世間から笑われたりする、それを転倒させたのだ。どこまでも普通人で、気のいい奴だがごく当たり前に自分の身がかわいい、そんな男が、都市の住人とは違った行動原理で動いている荒くれ達のただ中に放り込まれ不条理な状況の中で右往左往するのを笑うのだ。脚本は無駄がなく考え抜かれた緊密な構成、しかしのんびりと楽しむことができ、見終わった後には暖かいものに満たされた気分になれる。クライマックスの断崖絶壁のシーンはラージャマウリの前作 Magadheera の大詰めシーンのものと設定が似通っており、洒落たセルフパロディに唸らされる。本作からは Maryada Ramanna (Kannada - 2011) Dir. Guruprasad と Phande Poriya Boga Kaande Re (Bengali - 2011) Dir. Soumik Chattopadhaya と Son of Sardar [S.O.S.] (Hindi - 2012公開予定)Dir. Ashwini Dhir の3本のリメイクが生まれている。[2014.05追記]サンターナムを主役に据えたVallavanukku Pullum Aayudham (Tamil - 2014) Dir. Srinath も追加。[2014.07追記]ディリープを主役にしたマラヤーラム・リメイク Maryada Raman というのも、2013年の後半に撮影開始になるというもあったがどうなったのか。[2014.10追記]マラヤーラム・リメイクは Ivan Maryadharaman のタイトルで9月に撮影開始。

投稿者 Periplo : 21:23 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2012年05月15日

5月のJ-テルグ:その2

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Gabbar Singh (Telugu - 2012) Dir. Harish Shankar

原題:గబ్బర్ సింగ్/గబ్బర్సింగ్
タイトルのゆれ:Gabbarsingh, Gabber Singh
タイトルの意味:主人公の名前、『』の悪役の劇中名と同じである訳なのだが、深い意味があるのかね

Cast: Pawan Kalyan, Shruthi Haasan, Ajay, Suhasini, Abhimanyu Singh, Nagineedu, Kota Srinivasa Rao, Rao Ramesh, Brahmanandam, Ali, Tanikella Bharani, Gayaturi Rao, Malaika Arora

■日時:2012年5月20日、13:00開映予定(16:00終映予定)
■料金:大人2200円、子供1200円(当日券)
■字幕:なし(万が一字幕付きだったらゴメンナサイ)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画公式サイト:http://www.gabbarsinghcinema.com/
※ 前売り料金・家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/screening-of-gabbar-singh-in-japan.html

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またしても急転直下で大慌て。盛会だった5月5日の前回上映時には、期待のハエ映画 Eega を6月上旬に掛けるだろうということが予告されてたので、そのつもりでこっちも着々準備してたのに、ここに来てまさかの月内2度目の上映告知。ギリギリ1週間前に。

なんで、とるものもとりあえずの案内しか出来ないけど、別に特段予習が必要な作品とも思えない。まあ、気楽に行こう。

2010年に大ヒットした、サルマーン・カーン主演の Dabangg (Hindi - 2010) Dir. Abhinav Singh Kashyap のリメイク。昨年末には一足早くタミル・リメイク Osthe (Tamil - 2011) Dir. S Dharani も公開されている。

正直なところ、最初は筆者はどちらのリメイクにも関心がなかった。オリジナルの Dabangg が、あまりにもエンターテインメントとして完成されすぎていて、どこをどういじっても改悪にしかならないだろうという気がしていたので。特にその本質であるユーモア(もちろんDVDショップの分類では本作はアクション映画だろうし、それは間違いではないのだが)が、精妙といっていいくらいのバランスの上に成り立っていて、何かひとつでも要素を入れ替えたり配分を変えたりしただけで、没個性で古ぼけたB級作品に堕してしまいそうに思えたので。

しかしこの Gabbar Singh、今月11日に現地で公開されてみると思いのほか好評なのだ。何がそんなに良かったのか、ローカライズが巧みに行われたのか、パワン・カリヤーンが踏ん張ったのか、かなり気になってきた。

監督の ハリーシュ・シャンカル は本作が第3作目、まだ新進と言っていいだろう。デビュー作 Shock (Telugu - 2006) では、バイオレントなスリラーを手堅くまとめあげていた。第2作目 Mirapakaay (Telugu - 2010) はこぢんまりとしたアクション映画だったが、むしろユーモアが印象に残った。

宇宙スターの娘、シュルティ・ハーサンには説明は特に要らないだろう。久しぶりのサウス出身の大型新人女優だが、色んな意味で話題を振りまきながらも今のところ大ヒットは飛ばしてないんだよね。本作がさらなる飛躍への足がかりになるかどうか。

音楽はデーヴィ・シュリー・プラサード、すでにオーディオCDはヒットしているようだ。スタントはこの前の Dammu と同じラーム&ラクシュマンの兄弟コンビ。

主演のパワン・カリヤーンについても「説明不要」で済まそうかとも思ったが、せっかくの日本上陸だし、少しぐらいは書こう。1971年生まれ、メガスター・チランジーヴィのかなり歳の離れた弟で、冠はパワースター。Akkada Ammayi Ikkada Abbayi (Telugu -1996) Dir. E V V Satyanarayana でデビュー。これはコケてしまったものの、次作以降は順調に伸び、Tholi Prema (Telugu - 1998) Dir. Karunakaran の大ヒットでユース・アイコンとも言える地位を獲得した。90年代後半というのは微妙な時期で、業界の二大巨頭チランジーヴィとバーラクリシュナはアラフォーとなっており、マヘーシュ・バーブとジュニアNTRはデビューしていなかった。自分たちと同世代の俳優を、そしてキレのあるアクションで魅せてくれるようなスターを求める若い男女の映画ファンの欲求に、パワンはある時期ほぼ独りで応えてたんだな。今日、芸能生活も15年を超え、スター勢力地図も随分変わったけど、その時代からのカリスマ的な動員力はまだ衰えてはいない。

やはり先日川口で新作が上映されたシッダールトの過去作品に Oy! (Telugu - 2009) Dir. Anand Ranga というロマンスものがある。色々と期待させる要素はあったのだが尻すぼみな感じに終わってしまった一品なのだけれど、ひとつだけ忘れられないシーンがあった。訳あってカルカッタに向かうヒーローとヒロイン。訳あってヒロインは、これまでやりたくてもやれず我慢してきたことを、ヒーローの力を借りてひとつずつ実現しようとする。そのひとつが「パワン・カリヤーン映画を初日に観る」なのだ。カルカッタの町中で偶然にもパワン主演作の封切りを告げるポスター(ベンガルにはテルグ系の住民も割といるのだ)を目にする2人。「初日に飛び込みじゃチケットはとれないわよね」と躊躇うヒロインに、「ここはアーンドラじゃなくてカルカッタだぜ、楽勝よ」と安請け合いするヒーロー。劇場に着いて2人が目にしたものは…。

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今週末の上映、実は客席の反応もまた見どころのひとつなのだ。自然発生マサラシステムが作動するかどうか、楽しみだあ。

(万が一、お通夜みたいな上映だったらゴメンナサイ)

投稿者 Periplo : 10:58 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年04月25日

5月のJ-テルグ

う〜ん、こりゃあコテで捏ね捏ねして泥んこ遊びしてるとこなのかなあ?ちょっと違うか…。
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5月5日子供の日に公開される大人向け(←予測)映画について。

Dammu (Telugu - 2012) Dir. Boyapati Srinu

原題:దమ్ము
タイトルのゆれ:Dhammu
タイトルの意味:Mud

Cast: NTR Jr, Trisha Krishnan, Karthika Nair, Nassar, Brahmanandam, Bhanupriya, Ali, Kota Srinivasa Rao, Suman, Venu Thottempudi, Tanikella Bharani, Abhinaya

■日時:2012年5月5日、14:00開映予定(17:00終映予定)
■料金:大人2200円、子供1200円(当日券)
■字幕:なし(確認中)
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画公式サイト:http://dhammuthemovie.com/
※ 前売り料金・家族チケット・予約方法など上映に関しての詳細は、主催者公式サイトhttp://www.indoeiga.com/を参照のこと

Tipsその1:開映は過去の実績からすると20分ぐらいは遅れる可能性あり、インターミッションものんびりしてるので終映はさらに遅れることも。
Tipsその2:上に掲げた主催者公式サイトに掲載の料理の写真はえらく旨そうだけど、会場で実際に供されるものとは関係ない。会場には調理施設がなく仕出しを電熱器で温めることしかできないのだ。あまり期待しすぎないように。
Tips その3:今度で4回目になるJ−テルグだが、これまでに2本立て→1本立てへの変更、上映作品の差し替え、字幕付きを謳っていたものが字幕なし上映にという感じに、土壇場の変更がつきものとなってしまっている。直前まで公式サイトを確認されることをお勧めしたい。
Tipsその4:会場となるスキップシティは巨大箱モノで敷地入り口から上映ホールまでが遠い。ひと気がない上に案内板が決定的に不足している。会場に辿り着けずに引き返した人がいるんじゃないかと毎回思うくらいだ。時間には余裕を持って出かけられたい。

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【見どころ予測】
例によって本国とほぼ同時公開。インドでは4月27日封切りが有力とされている。従って本日現在レビューなどは出回っていない。もちろん、NTRジュニアに始まってNTRジュニアに終わる作品であることは間違いない。が、そこを敢えてジュニア以外の部分についても紹介したいと思う。

■監督のボーヤパーティ・シュリーヌ(スィーヌとも)について
2005年にデビューし、本作が第4作目となる、まだまだ新鋭と言っていいシュリーヌ監督だが、すでに誰にでもわかるクッキリとした作風が現れている。まずこれまでの3作全てがファクション映画(ファクショニスム/ファクショナリスムについてはこちら参照)であること。そしてそこから必然的に導かれることではあるがヘビーなバイオレンスに満ちたものであるということ。

監督デビューとなったラヴィ・テージャ主演の Bhadra (Telugu - 2005) では、前半がハイダラーバードでのちゃらちゃらラブコメ、後半ラーヤラシーマで血みどろのファクション抗争。かなりヒットしたらしい。

第2作目のヴェンカテーシュ主演の Tulasi (Telugu - 2007) は、前半がヨーロッバを舞台にDDLJよろしくちゃらちゃらラブコメ、後半に入って主人公が故郷のパルナードゥに戻ったところから別の映画みたいになっちゃって、さらにはハイダラーバード、バンガロールを舞台に大太刀廻り。

どっちも最終的には満腹できるものではあったのだけれど、どうもその、アクションに入る前のロマンスだのファミリーセンティメントだのの部分がちんたらしてて結構辛かった。その代わりいったんバイオレンスのスイッチがオンになると凄い。腕ちょんぱ首ちょんぱは当たり前、よくもまあこれだけ多彩な殺しの手法を考えつくわと感心するしかない凄絶な修羅場に唖然だ。明らかに暴力シーンを華々しく作りたいがためにそれ以外の部分を無理にでっち上げてるという印象。しかし後味はそれほど悪くはない。煎餅ばりばり齧りながら「がはは、もっとやれ」と楽しめる類の徹底的な娯楽性がある。

導入部とクライマックスの乖離という共通の欠点は、しかし第3作目の Simha (Telugu - 2010) では克服された、というか前半から飛ばしまくりのハイテンションで完全に前2作とは別次元のものとなったのだ。フロップ続きでファナティックなファン以外からはあまり相手にされなくなりつつあった「ズレた親爺」バーラクリシュナが鬼神のように雄叫びをあげ、ナヤンターラが芯の強い屹然とした奥方様として見栄を切る、ボッビリ地方を舞台にした父子二代に渡るバイオレント・サーガ。見てる方も力が入り、見終わった後には心地よく脱力できる秀作で、全体的には湿り気味だった2010年トリウッドのトップランナーとなった。テルグ映画では一本の作品にコメディアンがむやみと沢山出てくることが特徴のひとつと以前に書いたけれど、シュリーヌ監督の場合は悪役に力を振り向けているようで、悪相がずらりと並んだラインナップには嬉しくなってしまった。

で、今回のジュニアNTR、これまでの主演俳優の中じゃあダントツの身体能力の高さだ。もうこれはとんでもない大暴れ映画を期待するなと言われても無理ってもんじゃあないですか。

ちなみに、封切りを待ちこがれるテルグ人達の間では、本作が Aaram Thampuran (Malayalam - 1997) Dir. Shaji Kailas のリメイクなのではないかという憶測が流通しているという。噂の根拠がどこにあるのかは定かではないが、現在公開されているスチル写真を見るとそれもアリかなという感じのものとなっている。ここらも注目して行きたいところだ。

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■ ヒロインについて
デビューからもう10年超、出演作も40本余のトリシャーについては今更特に説明する必要もないだろう。セカンドヒロインとして登場するカールティカ・ナーイルは、2009年デビューでまだフレッシャーの気配が漂う。80年代のタミル映画のトップ女優だったラーダー(日本では主演作『第一の敬意』が公開された)の娘。デビュー第2作目の KO (Tamil - 2011) Dir. K V Anand がかなりのヒットを記録し、注目度が高まった。サウスでは珍しい長身でモード系のインパクト顔。生半可な若手ヒーローじゃ喰われちゃうことは間違いない。ジュニア、トリシャーを相手にどういう存在感を見せてくれるかを見守りたい。

もうひとつ、オイラ的に感に堪えないのがジュニアの姉妹役へのアビナヤちゃんの登用だ!Nadodigal (Tamil - 2009) Dir. P Samuthirakani でデビューして一躍注目を浴びたあのかわゆいアビナヤちゃんが!嬉しくて転げまわっちゃうよ~!

■その他のスタッフについて
ミュージックディレクターはベテランのMMキーラヴァーニ先生。南印4言語+ヒンディーで活躍し、言語別映画界によってペンネームを変える(Maragatha Mani, M M Kreem)という人騒がせな御仁、Annamayya (Telugu - 1997) Dir. K Raghavendra Rao をはじめとした古典的な楽曲の作曲家という印象も強いが、改めてフィルモグラフィーを眺めてみると、きゃぴきゃぴカレッジソングから、ロケンロールまでなんでも来いの音楽家なのだわな。そのキーラヴァーニ先生の23日のツイートによれば、24日に楽曲の最後の手入れをしたのだそうだ。いや凄いね。

注目のスタント・マスターはラーム&ラクシュマン(ホントに兄弟だという)のコンビ。CineJosh 記事によれば、上に紹介した Simha のスタント構成も担当したらしい、これは大層期待できそうだね。完全網羅ではないと思うがこちらにはこれまでに手がけた作品のリストもあり。

撮影は、「こんな名前だけど100%タミル人」のアーサー・ウィルソン(日本では『愛は至高のもの』が公開済み)が担当する。プロデュースは、有名プロデューサーKSラーマ・ラーオの息子で、自身では Chukkallo Chandrudu (Telugu - 2006) Dir. Siva Kumar などの小品を手がけてきたアレクサンダー・ヴァッラバが初の大作に挑む。注目のダンス振り付けはプレーム・ラクシト、ラージュー・スンダラム他が担当、詳しくはこちらの楽曲リストで確認を。

局地的(川口市限定)に血の雨が降る確率100%の子供の日天気予報、だけど万が一、「大家族を背景にしたほのぼのコメディ」だったらどうしようかね…(汗)。
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投稿者 Periplo : 20:29 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年02月21日

2.26 J-Telugu:上映作品変更

どはー、またしてもやられたっ!

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冬眠中を叩き起こされ必死の形相で翼賛体制を敷いてきた今週末のテルグ映画上映にまた変更。

詳細はオフィシャルサイトを参照されたいが、スニールの話題作 Poola Rangadu (Telugu - 2012) Dir. Veerabhadram はデジタルプリント化が間に合わず、代わりに Love Failure (Telugu - 2012) Dir. Balaji Mohan が上映されることになったのだ。こちらの作品のみ英語字幕付き。 【2月25日追記】字幕なし上映になる可能性が濃厚。

Poola Rangadu は現地では蓋を開けたら大評判で、しかも当網站で過去に紹介したことがある Pandippada (Malayalam - 2006) Dir. Rafi-Mecartin のリメイクであることも判明して、大層興味を掻立てられていたんだけど、残念。来月のリベンジに期待したい。

Love Failure はタミル・テルグのバイリンガル作品で、タミル語題名は Kadhalil Sodhappuvadhu Yeppadi。主演のシッダールトについては別に注釈するまでもないだろう。ヒロインは当サイトが全力プッシュして来たあのアマラ・ポールちゃんだよ。アマちゃんといやあ、来月開催の大阪アジアン映画祭コンペティション部門に出品される『神さまがくれた娘』[原題:Deiva Thirumagan] (Tamil - 2011) Dir. A L Vijay のヒロインでもある。アマちゃんジャパンで一気に来るかね。

それともう一つ。基本的には「本籍タミル」な雰囲気がある本作だけど、音楽はテルグの気鋭の若手(もちろんタミルでも仕事してるのだけれど)であるSタマンが担当している。先日公開の Businessman (Telugu - 2012) Dir. Puri Jagannath でも耳にいつまでも残る格好いい楽曲を提供している。で、このタマンについてちょっとウィキペディアで調べてみてビックリ!

ビックリポイントその1:Boys (Tamil - 2003) Dir. Shankar に出演してたニ人の太っちょのうちのドラマーの方だわ(残りのもう一人は Kadhalil Vizhunthen のナクル)。
ビックリポイントその2:タマンのフルネームは、Ghantasala Sai Srinivas Thaman Sivakumar。テルグ映画とテルグ映画音楽の名門一家の一員なのだった(ただし不世出の名歌手ガンタサーラ・ヴェーンカテーシュワラ・ラーオとは無関係)。

そのタマン君のインタビューが面白い。

Having worked in Tamil and Telugu, Thaman says he finds a lot of difference in the taste of the people who are only 300-400 km apart. "In Telugu, you can't compose songs based on the script. They have a film music culture which demands a hero introduction song, a romantic number, a kuthu song and so on. The music has to be raw. When it comes to Tamil audiences, they expect classy numbers, especially after Sillunu Oru Kadhal and Vaaranam Aayiram." (TOIによる2009年のインタビュー We’re trying to record live より)

さて本作のソングではタミルとテルグ、どっちのテイストが出てくるのかね。

投稿者 Periplo : 03:15 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年02月20日

ラヴィ・テージャとは何者か

2月26日のテルグ映画二本立て上映の後方支援というか便乗商法というか、の企画もの第一弾。当日上映作 Nippu の主演である、庶民大王(Mass Maharaaj)と呼ばれる男、ラヴィ・テージャについて。

下の画像は Anjaneyulu (Telugu - 2009) Dir. Parasuram のポスターから。なんかクドクド書かなくてもこの画像だけで充分な気もする。「すごい顔」が売り物の叩き上げ。
raviteja1.jpgtaviteja2.jpg


ひとまずは公開作品の作品の概要を。
Nippu (Telugu - 2012) Dir. Guna Sekhar

原題:నిప్పు
タイトルの意味:Fire

Cast:Ravi Teja, Deeksha Seth, Brahmanandam, Rajendra Prasad, Jayaprakash Reddy, Raghu Babu, Krishnudu, Brahmaji, Supreeth, Pradeep Rawat, Pragahi (ただしこれらはあくまでも予測。脇役が差し替わるのは結構あるからね。顔写真入りのこちらがわかりやすいかも)

上映詳細情報は前回のエントリーを参照。

早くも出揃ったレビュー集成:http://periplo.posterous.com/nippu-telugu-2012

Nippu2.JPG

ラヴィ・テージャは1968年に東ゴーダーヴァリ郡ジャッガンペータで生まれた(ただし西ゴーダーヴァリ郡のどこかとする説もあり)。父親の転勤に伴って子供の頃は北インドの各地を点々としたが、カレッジ時代はヴィジャヤワーダで過ごした。映画界へのコネは全くもたなかったが、幼少時から育んだ映画俳優への憧れは断ちがたく、学業を終えたのち、1989年頃にチェンナイに出て行きチャンスを狙った。この時期に同じアパートで生活を共にした友人達の中に、本作のプロデューサーであるYVSチャウダリ、監督のグナ・シェーカルもいたという。

役を求めてプロデューサーや監督のもとを乞い歩く生活を4年ほど続けたが、時折端役を演じるのみで芽が出ず、裏方に回る決心をしてクリシュナ・ヴァムシー監督のもとで助監督となった。その師匠の Sindhooram (Telugu - 1997) Dir. Krishna Vamsi で準ヒーロー(ヒーローは何とブラフマージー!)に抜擢されたのが実質的な役者人生の始まりとなった。

しばらくは(今から考えるとちょっと凄いのだが)低予算のマイルドなロマンス映画に出演し、そうした作品群の中で Itlu Shravani Subramaniam (Telugu - 2001) Dir. Puri Jagannadh が大いにヒットしてスターと見なされるに至ったという。コミックとアクションがブレンドされた現在の芸風が確立したのは、これもヒットした Idiot (Telugu - 2002) Dir. Puri Jagannadh あたりから。上に言及したクリシュナ・ヴァムシー、プーリ・ジャガンナートに加え、SSラージャマウリ、ヴァムシー(クリシュナじゃない方の)、シュリーヌ・ヴァイトラ、VVヴィナーヤックといった一流監督と仕事をしている、と言うより彼らと共に成長してきたと書くほうが正確かもしれない。

現在は、コメディ風味がまさった痛快アクション路線が定着し、はっきり言ってどの作品も全て同じパターンの繰り返し。前半ではヒロイン・上司・権威を相手にお巫山戯のかぎりを尽くすが、後半に入ってその隠された真意が明らかになり悪い奴を成敗するという決まりきったフォーミュラ。どれも同じなのに不思議なくらいの中毒性があり、何本見ても厭きることがない。自分だけが罹った奇病なのかとも思ったが、この中毒症状はかなり広範囲に拡散しているようだ。

USPはウルトラハイテンションなぎゃははは系コミック演技、アクションシーンでマジになった時の迫力、濃ゆい体毛(相手役の女優が気の毒だ)。ダンスは平均点、まあ巧みな盆踊りってとこか。古典舞踊の訓練を受けているようには見えないし、切れ味の鋭いブレイクダンスを踊れる訳でもないけど、特に不満は感じられない。異様にでかい各パーツがぎゅうぎゅう詰めの顔面に現れる独自のアビナヤに見とれてるうちに終わっちまうって感じだ。

こういうことをもうちょっとよそ行きの表現で言うと以下のようになると思う。

It was Rajendra Prasad who broke the trend that a comedian can become a hero. It is Ravi Teja who took it to the next level by adding heroism to entertainment and comedy. He has the perfect blend of heroism and entertainment. Any sane/intelligent director would love to exploit the strengths of Ravi Teja when they make a movie with them. The result is Vikramarkudu, Krishna and Kick. (本作のプロデューサー、YVSチャウダリへのインタビューから)

ところで、上で自分を中毒患者などと書いたが、これを機に数えてみたところ、45本を数えるフィルモグラフィーのうち実見しているのは20本に満たないということが分かってしまった。その程度のものでしかないが、Nippu の予習または復習用にお勧めを3本ほど挙げておこう。

Vikramarkudu (Telugu - 2006) Dir. S S Rajamouli
パワフルなギャグとパワフルなアクションが炸裂する、まさにテルグ映画らしいハイボルテージな一品。Siruthai (Tamil - 2011) Dir. Siva としてカールティ主演でタミル・リメイクされたが、オリジナルには及ばなかった。現在 Rowdy Rathore のタイトルでヒンディー・リメイクも製作中。主演アクシャイ・クマール、監督プラブ・デーヴァ、これは楽しそうだね。

Krishna (Telugu - 2008) Dir. V V Vinayak
ヴィジャヤワーダとハイダラーバードを舞台に繰り広げられるギャングもの。とは言ってもお笑い成分が相当に高濃度。クライマックスのラヴィ・テージャによる「わしゃあ、地廻りじゃけん!(超意訳)」という啖呵が面白い。それに併せてVVヴィナーヤック・スペシャルの…(ネタバレ自重)。

Naa Autograph (Telugu - 2004) Dir. S Gopal Reddy
以前紹介した Autograph (Tamil - 2004) Dir. Cheran の比較的忠実なリメイク。つまり、それほど若くもない、どちらかと言えば地味な男が、子供時代の出来事や近過去の恋愛を回想して始終うるうるしてるだけのストーリー。派手なアクションもコテコテのギャグもない。作品全体としての出来はともかく、役者としての技量で比べるなら、やはりオリジナルの監督兼業チェーランよりもラヴィ・テージャの方が上だということははっきり分かる。茶らけ野郎じゃないラヴィ・テージャを見たい人にはお勧めだと思う。

Nippu2.jpg

Nippu のその他の注目点については簡単に。

ヒロインはラヴィ・テージャの Mirapakaay (Telugu - 2011) Dir. Harish Shankar などでセカンド・ヒロインを演じていた、デリー生まれのディークシャ・セート。そのどちらかと言うと憎まれ役の芝居しか見てないのだが、もっちゃりとした感じがちょっとどうなんだろねと思ってしまったのが正直なところ。しかし昨年末にはヴィクラムとのペアの Rajapattai (Tamil - 2011) Dir. Suseenthiran で華麗にタミル・デビューも果たしている。本作では「ビキニ要員」以上の活躍をさせてもらっているかどうかも気になる。

そして監督のグナ・シェーカル。当網站では「衝撃の一作」として、マドゥライ・ミーナークシ寺院の巨大セットをおっ建てた Arjun (Telugu - 2004) を紹介した。Okkadu (Telugu - 2003) ではハイダラーバードのチャール・ミナールをセットで再現した。また『バブーをさがせ!』 [ 原題:Choodalani Vundi] (Telugu - 1998) ではカルカッタのスラム長屋を南印に出現させたりもした。まさにテルグ一のゼネコン野郎といっていい大盤振る舞いの贅沢映画の作り手だ。しかし前作 Varudu (Telugu - 2010) ではそのバブリー路線が空回りして「どうしちゃったんだ!」と襟首捕まえたくなるような壊滅的失敗作となってしまった。本作が起死回生の一発となるかどうか、実はこれもかなり重要な見どころなのだ。

投稿者 Periplo : 22:00 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年02月17日

2月の J−Telugu

Raviteja6pack.jpgPoolaRangadu.jpg
左がラヴィ・テージャの過去作品6本パックセット、Bhavani サイト上で絶賛発売中。DVD6枚で$19.99のチョーお徳用。左がテルグの若手ナンバーワン・コメディアンであるスニルの腹筋6つ割れパック。このスチルが昨年末あたりに公開されてから話題沸騰中。その訳はこのビフォーアフタ写真をご覧いただければ分かるだろう。

いやまったく、吉例により年頭3ヶ月間は当ブログはほぼ冬眠せざるをえないと思ってたのに、またいきなり寝耳に水だ。しかし眠い目をこすりながらでもこりゃあ書かない訳にゃいかん。

Poola RangaduNippu 上映会
■日時:2012年2月26日、11:00〜(Poola Rangadu)15:00〜(Nippu) 順序は入れ替わる可能性あり、後日追記
■料金:大人1900円、子供1000円(1作品あたりの当日券)
■字幕:なし
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※セット料金・前売り料金・予約方法など上映に関しての詳細は主催者の公式サイト Indoeiga.com を参照のこと。

いずれも本国で今日明日ぐらいに封切られる予定の作品。従ってレビューはまだない。ともかく26日の上映前に見どころ予想をなんとか頑張って書こうと思っているので乞うご期待。

いやね〜、米国の各都市やロンドン、メルボルンなんかと並んで Kawaguchi の文字が記されたこんなリストを見ると、我が国もやっと先進国の仲間入りじゃあなんて団塊親爺みたいなことを言いたくなっちゃう訳さ(ほくそ笑み)。

2月21日追記
上映作品に変更あり。詳細はこちら参照。

投稿者 Periplo : 02:00 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2012年01月09日

真冬のクールビズ

前回に引き続き、首都圏で行われるテルグ語映画上映のお知らせ。

下に掲げたポスター上のロゴは、テルグ語で Businessman と書かれている。公式サイト上のタミル語ロゴマラヤーラム語ロゴ、いずれも「びすなす・めーん」と読める。マラヤーラムはともかく、タミルでは非タミル語タイトルの映画は何かと不利なのだが本当にこれで行くのだろうか〔タミル語題名は Pudhiya Nayaka(=New Actor)であるとする情報もあり〕。細かいがこれも注目点。

BusinessMan01.jpg

Businessman (Telugu - 2012) Dir. Puri Jagannath
Cast : Mahesh Babu, Kajal Aggarwal, Prakash Raj, Raza Murad, Sayaji Shinde, Nassar, Dharmavarapu Subramanyam, Brahmaji, Jahangir Khan, Bharath Reddy, Mahesh Balraj, Jyothi Rana, Ayesha Shiva, Shweta Bhardwaj

■日時:2012年1月21日、14:00〜
■料金:大人2200円、子供1200円(当日券)
■字幕:英語
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
■映画オフィシャルサイト:http://www.princebusinessman.com/
※前売り料金・予約方法など上映に関しての詳細はこちらのPDFパンフレットを参照のこと

インド本国、および米国などの主要外国市場で1月13日に封切られる娯楽大作が日本でもほぼ同時に見られるチャンス。しかも(テルグ映画としては初ということだが)国外公開フィルムには全て英語字幕がつくという。インド国内ではテルグ、タミル、マラヤーラムの3バージョンが同時公開。吹き替えというのはまた奥深い世界で、語り出すときりがないのだが、ともかく「本籍テルグ」映画が最初からタミル、マラヤーラム版を前提に作られて同日公開というのはかなり珍しいことなのだ。制作サイドの気合いが伝わってくるようだ。なお、日本での上映会場はかなり上等なホール。上映形式などのテクニカルな面に関しては専門家に語ってもらった、こちらをご参照いただきたい。

Businessman02.jpg

【予想される本作の見どころ】
これを書いている時点で未公開なので、レビューの類はみあたらない。なので、現時点でわかっている範囲内で、なぜ筆者がこの上映を希有な機会と考えるのかを記してみた。というか、普通の興味の人にとっては、見どころはただ一つに絞られるのだが。

■主演のマヘーシュ・バーブについて
ともかく、チランジーヴィが半引退状態の現在、テルグ映画界でトップのカリスマ力を争うのはジュニアNTRとこのマヘーシュなのである(人によってはパワン・カリヤンも加えるかもしれないが)。そんなメジャーなスターさんについて、デフォルトが悪口のこの辺境サイトでわざわざ何か書く必要があるだろうかという気持ちから放置していたのだが、ジュニアと比べて一向に日本でその名が浸透しない。なのでこの機会に非力ながら真正面から紹介させていただこうと思う。

とはいっても、客観データに関してはウィキペディアに書いてあることをなぞるくらいしか出来ないけど。ガッタマネーニ・マヘーシュ・バーブ、1975年生まれ(テルグ人名は名字が先に表示されるのが通例なので、この人の名字はガッタマネーニである、バーブではない)。父は 1970年代にトップスターだったガッタマネーニ・クリシュナ、通称スーパースター・クリシュナ。冠タイトルが好きなテルグ界で息子のマヘーシュにあてがわれたニックネームは「プリンス」。弟のラメーシュ・バーブはプロデューサーとして裏方で働く道を選び、父所有のプロダクションハウス Padmalaya Studios で兄の出演作を制作する(全作ではないが)という万全の「同族企業」体制もある。まず同世代の男児のなかで選別を行い、特別に才能があるものが表舞台に出て行き、それ以外は実務能力を身につけて裏に回りバックアップする、ファンクラブという名前の「地盤」は代々引き継ぐ、こういうテルグに特有の「お家制度」の成功例の一つだね。

4歳の時から子役として時折映画出演していたが、ヒーローとしての本格デビューは Rajakumarudu (Telugu - 1999) Dir. K Raghavendra Rao。翌年の Vamsi (Telugu - 2000) Dir. B Gopal で共演したボリウッド女優ナムルター・シロードカルとは後に結婚して一児をもうけている。初期の主演作には作風のブレ、興行成績の波があったが、2000 年代中頃には王道アクション映画ヒーローとしての地位を確立している。特に Okkadu (Telugu - 2003) Dir. Guna Sekhar と Pokiri (Telugu - 2006) Dir. Puri Jagannath は記録的なヒットとなった。Pokiri の後若干のスランプがあり、2008-09の2年間は新作封切りが途絶えるという異常事態もあったが、何事もなかったかのように2010年に復活し、衰えることのないカリスマ性を見せつけた。男を惚れさせてなんぼのテルグ界(というかサウス)ではあるが、女性ファンも多く、その結婚にあたっては大騒ぎとなったらしい。プリンスご成婚によって発狂しちゃった女の子を主人公にしたコメディ映画 Ashta Chemma (Telugu - 2008) Dir. Indraganti Mohana Krishna は必見。

芸風の特徴は簡単に言うと「高貴さとクールさ」。そして無理してる感が全くないスタイリッシュな身のこなし。同じサウスでもタミルなどでは、精力と愛嬌が漲る庶民の代表としてのロウワー野郎がヒーロー格の主流となったが、テルグでは色白で長身で端正な男前というものへの嗜好が現在でもある程度は残っているようで、マヘーシュはそのカテゴリーのトップにいると言っていい。演技はかなり抑制された独特なスタイルで、たとえば号泣したり激嵩したりという芝居は少ないが、退屈さは全く感じさせない。第一印象では棒読みのようにも聞こえる台詞まわしにも、コントロールされた精妙な起伏が読み取れる。スチル写真だけだとトッちゃん坊や風に見えなくもないが、実際の作中では、霞を喰って生きてるような超然とした優雅さと、打って変わってアクションシーンで殺人マシーンと化した際の凄みに圧倒される。ファッションも今風のさりげなくもシャープな着こなしで、「極彩色のカジュアルウェア」が幅を利かせていたほんの少し前のテルグ界との隔世を感じさせるが、ときどきこんなもんを見せてくれたりする。これも余裕のなせる技か。

これまで当網站で紹介したことのある出演作は、Takkari Donga (Telugu - 2000) Dir. Jayanth C Paranji、Okkadu (Telugu - 2003) Dir. Guna Sekhar、Arjun (Telugu - 2004) Dir. Guna Sekhar、Athadu (Telugu - 2005) Dir. Trivikram Srinivas の4本だけだが、いずれも上に述べた特質を活かしたよく出来たアクション(=バイオレンス)映画。なお、この Businessman ではマヘーシュは初めてソングにも挑戦し、 テルグ、タミル、マラヤーラムの3バージョンを自分で歌ったというのだが本当だろうか?

ともかく、マヘーシュはNTRジュニアと並び、いかなる類型にも属さない&置き換えのきかない希有な役者なのである。

ファンクラブ公式サイト:http://www.princemahesh.com/
本人のものとされるツイッター:@urstrulyMahesh

Businessman03.jpgBusinessman04.jpg

■その他
見どころは一つと言ったものの、監督やヒロインについても紹介しようと思ったのだが、既にここまでに長く書き過ぎ。手短かにいこう。

監督のプーリ・ジャガンナートは、今のテルグ娯楽映画の世界で最も脂の乗り切ったトップノッチの一人であると言っても誰からも反論はされないだろう。上にもちょっと書いたが、テルグのメジャー映画は今でもバリバリのスター主義を軸に廻っている。そういう中では、監督は独自の作家性とか一貫したテーマとかによって認められるというよりは、いかにスターの個性を引き出し、潤沢な予算を最大限に活かして、圧倒感のある作品を送り出せるかというところで勝負しているように思える。そういう観点から、筆者はグナシェーカルSSラージャマウリと並んでこのプーリ・ジャガンナート(@purijagan)を3トップと考えている。やはりこの人の真価は、アウェーで作ったお遊び映画 Bbuddah...Hoga Terra Baap (Hindi - 2011) ではなく、マヘーシュと組んで空前の大ヒットを記録した Pokiri (Telugu - 2006) によって測られるべきだろう。

ヒロインのカージャル・アガルワールは、ムンバイの出身。2004年にヒンディー映画でデビューした後、バーラティラージャー監督によってサウスに導かれ、タミル・テルグで着実に出演作を増やしていたが、Magadheera (Telugu - 2009) Dir. S S Rajamouli の記録破りの大ヒットによって明らかに「ステージが上が」り、その後 Singham (Hindi - 2011) Dir. Rohit Shetty ではヒロインとしてボリウッドに錦を飾ることになった。そのあたりの自信と余裕が CCLカレンダー(こういうサービス満点なモノが印度でも作られるようになったんだねえ)の2012年1月のセクシーなポーズにも現れているように思える。

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上映まで2週間となっても詳細不明という悠揚さには、一観客であるこちらの方が胃が痛い気分だが、本日主催者から来た連絡メールには、

Businessman new movie (with english subtitles) is a high voltage power packed action entertainer

と力強く書かれていた。乞うご期待。

投稿者 Periplo : 22:46 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2011年12月26日

こいつぁ春から縁起がいい

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今年最後のエントリーはタミル・ニューウェーブのとっておきで華麗に〆ようとしてたのだけれど、番狂わせが起きたので急遽告知に変更。

在首都圏テルグ人向けの集まりで、今年公開されたばっかの大型娯楽作品2本が大型スクリーンで一挙上映になるという話。

Oosaravelli (Telugu - 2011) Dir. Surender Reddy
Cast : Jr NTR, Tamannaah Bhatia, Shaam, Payal Ghosh, Jaya Prakash Reddy, Rahman
Dookudu (Telugu - 2011) Dir. Sreenu Vaitla
Cast : Mahesh Babu, Samantha Ruth Prabhu, M S Narayana, Brahmanandam, Dharmavarapu Subramanyam, Prakash Raj

■日時:2012年1月7日、Oosaravelliが11:00〜13:30、Dookuduが15:00〜17:30
■料金:当日券は1本1500円、2本通しで2200円
■会場:埼玉県川口市、彩の国ビジュアルプラザ
http://www.skipcity.jp/access/
■字幕:なし

予約・問い合わせ先などの詳しい情報はこちらを参照、付随した喫飯情報はこちらを参照のこと。

ということで、予定していた投稿は来年送りに。相変わらずの調子で続けてまいりやす。どなたさんもよろしくお付き合い下せえ。

しか〜し…

【1月5日追記】
上映内容の大幅な変更。

上映作品:Oosaravelli のみ
上映開始:14:00
入場料:予約済みのチケットについては1000円に変更、当日券もそれに準じたかたちで変更があるはず
変更の理由:Dookudu の代わりに Mogudu のフィルムが届いてしまったため
参考:こちら参照

いや〜、期待を裏切らない見事などんでん返し。「目出度さも中くらいなり」ってとこかね。それにしても印度人の最大の被害者は印度人てのはホントだね。

なお、これとは別にマヘーシュ・バーブの新作の上映を1月26日に行うという話もあり。詳細については乞うご期待。

投稿者 Periplo : 03:44 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2010年08月07日

ディスク情報1008-1

cvMalapilla.jpgposterMalapilla.jpg
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正直な話、作品としては別にお勧めではない。しかしディスクで遡れる最古のテルグ映画であることは間違いないし、もしかしたらディスクで遡れる最古の南インドあるいはインド映画なのかもしれない(裏づけないけど)。そういう意味で貴重な一品。

Malapilla (Telugu - 1938) Dir. Gudavalli Ramabramham

Cast:Gali Venkateswara Rao, Kanchanamala, Govindarajula Subba Rao, Puvvula Suri Babu, Sundaramma, Valampati Venkata Subbayya, Raghavan, Hemalatha Devi, Gangaratnam, Teku Anasuya, Puvvula Anasuya, Bhanumathi, Puvvula Satyapraskasam, Narasimha Murthy, Seshayya, Basavayya Chowdury, Subbaraju, Ramarao, Satyanarayana, Pullayya, Janardhanam, Tiruvengalam Naidu, Vallabhaneni, Seetramanjaneyulu, Palaochana Rao

タイトルの意味:Untouchable girl
タイトルのゆれ:Mala Pilla, Maalapilla, Maala Pilla

DVDの版元:S V Entertainment
DVDの字幕:なし
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:Bhavani など

DVDのランタイム:148分(インド映画百科事典の記載では175分)
ソング:DVDのソングメニュー上には7曲、ただし実際に観てみると、いわゆるパディヤム(ラップ)を含めてもっと多い印象。こちらの頁では14曲をカウントしている

【ネタバレ度100%の粗筋】
マドラス管区、ヴィジャヤワーダ地方(今日のアーンドラプラデーシュ州沿海部)のある村では、国民会議派主導のダリト(作中ではハリジャンと呼ばれる)権利運動が盛んになっていた。争点となっていたのは、村のヒンドゥー寺院へのダリトの入構、そして共同池の水をダリトが使用することのふたつだった。寺院の管理権を握るバラモンのスンダラーマ・シャーストリ(Govindarajula Subba Rao)は頑迷な守旧派で、村の会議派リーダー・チャウダライヤ(Puvvula Suri Babu)の説得にも応じようとはしなかった。そんな中で、シャルマの息子ナーガラージュー(Gali Venkateswara Rao)は、あろうことかダリトの娘シャンパーラタ(Kanchanamala)と恋に落ちてしまう。やがてその恋は世人の知るところとなり、両人の親が激怒したばかりでなく、既に不穏な雰囲気に包まれていた村全体が騒然となる。恋人たちはシャンパーラタの妹アナスーヤ(Sundaramma)を伴って カルカッタに逃れ、その地で結婚し、自由で文明的な生活を謳歌する。村ではバラモンとダリトの間でチャウダライヤを始めとする会議派メンバーが調停に苦労していた。チャウダライヤはコミュニティ間の共存の必要性をシャーストリに懸命に訴える一方、ダリトたちには彼らの守護神ポレランマ女神に対しての動物供犠や神前での飲酒・酩酊をやめるよう説得する。ある日シャーストリの家に火事が起き、火中に残された妻を二人のダリトが命がけで救い出す。これによってシャーストリの頑なな心が溶け、彼はダリトに対する寺院の開放を決意する。しかし村の他のバラモンたちは激しくそれに抵抗し、暴力沙汰に発展しかねない事態となるが、警察の介入によって彼らは排除される。寺院開放のニュースを新聞で読んだナーガラージューたちもカルカッタから戻り、両親の祝福を受ける。(粗筋了)

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初のトーキーである神話映画 Bhakta Prahlada (Telugu - 1931) Dir. H M Reddy から7年、テルグ映画界についに同時代を舞台にした社会改革志向の作品が生み出され始めた、ソーシャル創始期のヒット作かつ問題作。

これらの証言に照らせば、神話映画は他のどのジャンルよりも抜きん出てインドでは「ユニバーサル」なアピールを持っていたということが言えるだろう。言い換えると、神話映画は階級・カースト・性別・年齢といったものを横断して社会の様々なセクションの人々を惹きつけることに成功したのである。アーシシュ・ラージャーデャークシャ(1993)は、このジャンルの政治的な正当化を可能にしたのは土着性(スワデーシー)であったと指摘している。しかし、1930年代からはこの神話映画ジャンルに対する批判も盛り上がりを見せるようになる。30年代までに、スワデーシーという基準での政治的正当化は効力を失っていた。トーキーの出現によって他の全てのジャンルがスワデーシーの属性を獲得する事になったからである。同時に神話映画は、高い人気にもかかわらず、継続して存在し続ける意義を失ったようにも見えた。30年代以降、ジャーナリストやそのほかの観察者の間では、神話映画が滅びる時が来たという、ほぼ一致した見解があった。(S V Srinivas, Gandhian Nationalism and Melodrama in the 30’s Telugu Cinema P.7より、勝手訳)

テルグ語圏に限らずどこの言語圏でもサイレント期には神話映画が大人気だったのだが、輸入された欧米映画に対抗するものとしての題材の土着性の価値は次第に薄れてきていた。当時のインテリ言論人にとって、神話映画とは女・子供・文盲が喜ぶ見世物でしかなかった。同時代の出来事を題材にした啓蒙主義・改革主義的な作品が望ましい映画芸術のありかたとされたのだ。つまりこの時代、「ソーシャル映画」は本当にソーシャルだったんだわな。しかしそうは言っても真面目なソーシャル映画は必ずしも多数の観客を呼びこむものとは限らなかったらしい。そんな中でこの Malapilla は大ヒット作となったという。

テーマとなったのは不可触民の娘とバラモンの青年の恋愛ということだが、実際に見てみるとこれは全体のストーリー中でどうも説得力がないし、あっさりしすぎて紙芝居的。恋愛モチーフを丁寧に描写するというのは改革主義の映画にはそぐわないということだったのか。本筋となっているのは国民会議派活動家のチャウダライヤ(この名前はカンマ・カーストを示唆するものだという)の献身的活動によっていかに村がコミュナルな共存関係を築いていくかということ。それにしてもこの時代、Achhut Kanya [Untouchable girl] (Hindi - 1936) Dir. Franz Osten とか、Lakshmi-Harijan Penn [Lakshmi-untouchable girl] (Tamil - 1937) Dir. C V Raman とか、不可触民問題をとりあげたものが目立つ。そして必ずカップルの女性のほうが不可触民だということにも注目だ。さらに付け加えるならば、カースト問題を扱いながらもカーストの撲滅という発想は一切ない、あるのは異カースト間の協和だ。それから、会議派のスローガン中にも対英独立の直接的なアジテーションはないものと思われる(当たり前だが)。

歴史的に見た場合、これら第一世代ヒーローたち(訳注:MGR、NTR、ラージクマールなど)の出現は、それに先行する時代の映画が女優をアトラクションの中心に据えていたのこととの対比で特別に意義深いものがある。(中略)出演者と言った時にどちら(訳注:男優か女優か)が最初に来ていたかについては疑いがない。「ヒーロー」の不足が嘆かれながらも、女優を第一とする事に問題ありとはされていなかった。女優中心の発想は自明で自然な事であるという状況だったのだ。ここで注目しておきたいのは、こういった懸念(訳注:男優の不足)が1930年代、つまりトーキーがサイレントに取って代わろうとしていた時期に表明されていたという事だ。
上に引いたのは南インド映画に関しての言及ではなかったが、同じような女優への傾斜は南インド映画界でも広く行き渡っていたという証拠もある。実際のところ、我らが三巨星(訳注:MGR、NTR、ラージクマールのことを指しているものと思われる)初期の映画の幾つかを見るだけでも、ナラティヴの展開とグラマーの表出の両面において、女性のキャラクターがもっとも重んじられていたことがわかるのだ。(M Madhava Prasad, Cine-Politics:On the political significance of cinema in south India P.43より、勝手訳)

本筋からは浮いているとは書いたものの、本作でも画面上の露出の多さではヒロインのカーンチャナマーラが圧倒している。クレジットでも妹役と共に「ヒーロー」役の優男よりも上に来ている。当時の映画界でのグラマークイーンという位置づけだったらしい。このころの世界の映画界共通の目元に重点を置いたメイクでいまひとつピンと来ないのだが。台詞回しはやはりこの時代の主流だったのか、舞台で客席の隅々にまで届かせることを第一義としたような発声法。映画の中で聞くとやや棒読みと感じられもする。しかし他の俳優の中には滑らかにマイクに乗るような台詞回しを行っている人もいて、過渡期というものを感じさせる。

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ちなみに、ソングシーン(踊りと言えるようなものはあまりない、しかし冒頭では振付師のクレジットも表示される)では俳優自身が歌っていることがクレジットからわかる。つまりこの作品は音声も同録で撮影されたと言っていいのだろうか。俳優自身がアフレコで歌を加えた可能性も完全に否定はできないが、作中(クレーンやレールを使っての)カメラの移動がほとんど見られないことなども考え合わせて、同録撮影が一番ありそうだ。同録からアフレコへの移行というのは、他にも増してインド映画史の中では革命的な画期であると考えられるのだが、ハッキリした年代や作品を提示した文献にはお目にかかれずにいる。印パ分離独立によって歌える俳優が多数パキスタンに行ってしまったからプレイバックシンガーという制度が確立した、などと説明されることもあるが、南インドではほとんど説得力がない。パキスタン移住云々はたまたま同時期にそういう現象が重なったということでしかないと思う。

(訳注:技術革新と映画表現が密接に結びついている)最初の例は、サイレント期の撮影についてである。この時期、映画は外光を活用して屋外で撮影されるのが常だった。屋外の騒音を気にする必要がなかったからである。しかし一度トーキーが導入されてしまうと、撮影は防音設備の備わったスタジオで人工照明の下で行われるようになったのである。もう一つの例は、プレイバックシンガーの出現である。30年代の末まで、歌える俳優だけが映画に出演していた。インド映画の娯楽性においては歌こそが最も重要な構成要素だったからである。音声を別に録音して後からそれを動画にシンクロさせる技術が整うと、歌える俳優の需要はなくなった。これによって古典音楽家たちは映画界から去っていったのだ。(S Theodore Baskaran, History through the lens - Perspectives on South Indian Cinema、P.18より、勝手訳)

本作において最も驚かせてくれるのが、豊富な野外撮影シーンとスタジオ撮り「野外」シーン(右下イメージ)との並存。先日のエントリーでは「1950-60年代の作品では、屋外シーンですら書き割りのセットを作成して撮影される事が少なくなかった」なんて書いたけど、1950-60年代よりも前(そして特にソーシャル映画のジャンル)ではまた違う世界が広がっていたんだわな。しかしこれは上の引用文中の「トーキー後には屋外撮影がなくなった」という説明とも矛盾している。1本か2本見ただけで「インド映画は××だった」的に断言してしまうのはやっぱ恐ろしいもんだ、気をつけないと。

ともかく本作は、俄か考古学者気分を味わってみたいという人にのみお勧め、なのだった。

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投稿者 Periplo : 18:58 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2010年07月28日

スターリン主義とは何か

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兄貴、見てくれよう。政界入りしてくれとこんだけの衆が集まったんだぜよ。
う~っ、やっぱ政党おっぱじめないと勘弁して貰えんのかしら(ぷるぷる)。


なんというか、テルグファンとして原点に戻ってみようという殊勝な気持ちになったのだった。原点というのはおいらにとってはメガスター・チランジーヴィなので、買っただけで放ってあった旧作ディスクを少し潰そうと。本格的ファンに倣って、ライバルスターのカットアウトに牛糞を投げつけたりとかそういうのも実践したかったんだけど、牛糞は手に入りにくいしライバルスターのカットアウトも徒歩圏内にはないしねえ。

で、連日のようにディスクをまわしてまわして、一息ついて数えてみたのだが、以前に見たものを含めてやっと30本。IMDbの登録ではゲスト出演などもカウントして全150本(それでも漏れがあるのが分かる)。印度のスターさんを追っかけて入手可能な出演作を全部潰すのには幾転生が必要なのだろう。途中ミジンコだのゾウリムシだのに生まれ変わったりすると効率が悪いんで日頃の行いには気をつけんと(手遅れ)。

そんなこんなで、ずっと前に買ってちょっと見ただけで挫折中だった Stalin (Telugu - 2006) Dir. A R Murugadoss をこないだやっと最後まで見たのだ。なんで挫折したかというと、最初の30分ほどの弱者救済と相互扶助の説教部分がなんかカッたるくて見続けられなかったせい。あの Ghajiniムルガダースとも思えないような垢抜けなさにちょっと退いちゃったの。再チャレンジで最後まで見通してみれば、アクションは大掛かりだし、クライマックスに向けた盛り上げかたは巧みだし、決して駄作ではないことが分かりはした。にしても、このあからさまぶりにはかなり魂消た。チランジーヴィが政界入りをうかがわせるような政治的メッセージを出演作に込めるようになったのは Muta Mesthri (Telugu - 1993) Dir. A. Kodandarami Reddy からだと言われている。今回ある程度の本数をまとめ見してみて感じたのは、いわゆるプロパガンダ性では本作が突出しているということ。これを公開後すぐに見てたら、「果たしてチランジーヴィは本当に政界入りするのか」なんて愚問をギリギリの2008年まで引きずる事にはならかなったはず。本作の後には Shankar Dada Zindabad (Telugu - 2007) Dir. Prabhu Deva が1本あるきりなのだが、こちらはボリウッドのよく出来たコメディを概ねそのまま踏襲しただけのマイルドな作品で、生臭さ感はゼロだった。本作の凄さは、政治家として立つチランジーヴィの予想図(つまり冒頭に掲げたイメージ)をとてつもない臨場感で描いてみせるがそれ以上のことは何も言わない、というところにあると思う。つまりチル首相が誕生したらAPはこう変わるとか、そういうのはゼロ。シャンカル映画に出てくる「シンガポールみたいになっちゃった印度の街路」なんていう程度のものさえ見られないのだ。

粗筋はそれほど複雑ではない。ハイダラーバードの下町で何をやって暮らしてるのかわからない主人公が、実は有能で高潔で無私で博愛主義の人物であることがわかり、巨悪と独り闘って勝利した後に力尽きて倒れた彼の元に民衆があつまる、というもの。その男の名はスターリン。

名前の由来は作中で実に簡潔に説明される。

ヒロイン:なんでスターリンなんて名前なの?
ヒーロー:親父がコミュニストだったんじゃ!

以上だ。ここで注意したいのは、親父はコミュニストだったが主人公はそうではない、というところ。じゃあなぜにスターリンなのかというと、結局のところ、カースト・宗教、そして場合によっては出身地域といったバックグラウンドを一切払拭した名前が欲しかったということに尽きるのではないかと思う。特に特定カーストへの利益誘導を臭わせるような、そういうキャラクター造形は絶対に避けたかったんだわな。

以前にも紹介したけど、ボルシェビキ指導者に由来する名前の本場っていったらなんといってもケララ。「レーニンなんてのはね、ごくふつーよ」と知り合いのケララのおっちゃんも言ってたっけ。しかしスターリンとなると、実例は隣の州のこの人しか知らん。それにしてもねえ、政界入り志望者がスターリンの名前を持ち出してキャンペーン映画作るなんての、いまどき世界の他の地域であるだろうか。神秘の国印度の名前の神秘にまたしても絶句。

付記
ヒトラーという名前も、印度(少なくとも南印)では独特な使われ方をしている。こちらは名前ではなく綽名。ガミガミと口うるさく高圧的で若者の自由を拘束するような年長者に対しての陰口で使われる。これまで何本の映画でこの綽名を聞いただろうか。極めつけは Hitler (Malayalam - 1996) Dir. Siddique と Hitler (Telugu - 1997) Dir. Muthyala Subbayya の2本(オリジナル・リメイク関係にあり、後者はチランジーヴィが主演)。ここでのヒトラーは、4人の年頃の妹の貞操を守ろうと過保護化・厳格化してしまった長兄を揶揄して使われているのだ。いやまったく。

投稿者 Periplo : 00:52 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2010年07月24日

楽しいイコノロジー

みっ、美輪先生、こんなとこで何を!?

nartansala1.jpg

他愛のないことなんだけど、こう綺麗に符合してると嬉しくなる。

 ダーラースラム、ダイヴァナーヤキー・アンマン寺院の正面にあたるムカ・マングバの最東部は張り出しを持ち、その基壇部には3つのパネルがはめ込まれている。いずれも奏楽者をともなう踊り子を描いた舞踊図で、その中央に位置するパネルには大きく腰をひねって夥部を正面に向ける踊り子の姿が表わされている。このような踊りの型は、無数の踊り子像を残すチョーラ朝後期の寺院でも異例である。何よりもこの舞踊像で特異なのは、このグンサーが口髭と同時に豊かな胸をもっている、つまり両性具有だということである。そして、この踊り子像もまた『マハーバーラタ』に登場する人物、それもアルジュナに同定できる。かつて神々の武器を手に入れるため天上界で時を過ごしたアルジュナは、天上の楽士ガンダルヴァの長チットラセーナから踊りと音楽を習った。アルジュナが地上に帰ろうとしたとき、チットラセーナは魅惑的な天女ウルヴァシーを使い、かれを天上界に留めようと試みた。ある夜、その豊満な体でウルヴァシーはアルジュナを誘惑したが、アルジュナはウルヴァシーを相手にしなかった。それに立腹したウルヴァシーはアルジュナに対し、男としての性を失い、女たちの間で踊りをみせる者になるよう呪った。はたしてウルヴァシーの呪い通りアルジュナはある期間、男性としての性的能力を失い、折しもその時、ヴィラータ王の宮殿でアルジュナは踊りと歌の教師となった。口髭と豊かな胸を携えて踊るアルジュナ像が、腰をひねり脊部を正面にみせるのと同様、ヴィラータ王に謁見するアルジュナを描いた浮彫彫刻の中に、合掌するアルジュナが下半身の裏側をみせるという異様な身体表現をみることができる。これらの姿に共通する捻れた腰と下半身の裏面、それは不能の生殖器を隠す、つまり性的能力が喪失したことを暗示すると考えられよう。
 両性具有の踊り手として描かれるアルジュナは上にみた例に限らず、チョーラ朝後期の多くの寺院、時に寺院内の重要な箇所にその要をみせている。『マハーバーラタ』でもとくに重要な人物として登場し、さらにその勇姿が称えられるアルジュナが寺院のあちらこちらで姿をみせるのは不思議なことではない。しかしここで問題となるのは、男性性を失った人物としてアルジュナが頻繁に表現されることである。(袋井由布子著 『インド、チョーラ朝の美術』 [2007年、東信堂]P.91-92より、掲載図版への参照を示す注釈のみ割愛。なお、文中で述べられている彫刻作品のイメージは同じ著者によるネット上の別の小論文を掲載したページで見ることができる。)

タミル・ナードゥ州中部タンジャーヴール郡の有名寺院遺跡、そのなかの特定の彫刻に関する詳細な解説。チョーラ朝は、9世紀半ばから13世紀後半まで、タンジャーヴール地方を中心として、今日のタミル・ナードゥ州・ケララ州全域、アーンドラ・プラデーシュ州沿海地方までを版図として栄えた王朝。

cvNartansala.JPGNTR出演作ソングシーンの中で最も耽美的な逸品♪Salalitha Raaga Sudhaa については以前から YouTube 上で愛好していたのだが、何となくそれ以上追求せずに放ってあったのだった。だけんど気が付いたらDVDを既に持ってたので再生機に放り込んでみたら、左のKAD製のディスクは吉例によりコトリともせず。いまどき最高にベタなテルグ・コメディ映画だってここまでしつこく同じパターン繰り返しゃしないぜ!そうなったら却って意地になっちゃって、新しく取り寄せ。同じものを再度注文したつもりだったのに今回手元に届いたのは右のShalimar製(Manisha レーベル)。あまり信頼感が持てる版元じゃないよな。予感は半分ぐらい当たって、途中何度か停まったりモザイク状になったりしたものの、何とか最後まで見通すことが出来た。

あ、それと上にリンクした動画中で「普通に見ればこの人のほうがダンスの先生でしょう」という女性ダンサーは、「ヘレン・オブ・ザ・サウス」のLヴィジャヤラクシュミ

Narthanasala (Telugu - 1963) Dir. Kamalakara Kameshwara Rao

Cast:N T Rama Rao, Savitri, S V Ranga Rao, Mikkilineni, Mukkamala, Rajanala, Prabhakar Reddy, Kaikala Satyanarayana, L Vijayalakshmi, Shoban Babu, Dandamudi Rajagopal, Sandhya, Dhulipala, Suryakantham, Kanchanamala, Kanta Rao, Vangara, Sitaram, C Lakshmi Rajyam, Relangi Venkatramaiah, Allu Ramalingaiah

タイトルの意味:The dance pavilion
タイトルのゆれ:Nartansala, Narthansala, Narthanshala, Nartanshala

DVDの版元:Shalimar
DVDの字幕:英語
DVDの障害:一部再生困難
DVD入手先:Bhavani など

【テキトーな粗筋】
パーンダヴァ5兄弟の三男アルジュナ(N T Rama Rao)は、誰もが認める勇士・男の中の男だった。あるとき、富み栄えるインドラプラスタの王である長兄ユディシュティラは、カウラヴァ族の姦計にひっかかり、いかさまサイコロ賭博で全てを失ってしまう。彼に課せられた罰は、妻・兄弟とともに12年間を森で隠棲し、続く1年間は人中にありながらその正体を誰にも悟られることなく過ごすというものだった。最後の1年の間にもし正体が明かされてしまえば、彼らは再び12年の森の暮らしを始めなければならなくなる。

12年間の隠遁期間中、アルジュナは天界のインドラ神の宮廷に赴き、神々から武器を授かり、また各種の技芸を習得する。その際に天女ウルヴァシーはアルジュナを誘惑するが、アルジュナが取り合わなかったために、去勢された男として女たちの間で歌い踊りながら生涯を過ごすことになるべしと呪いをかけた。インドラ神のとりなしによって、この呪いは1年間に短縮され、しかもその時期はアルジュナが自分の意思で選べるものとなった。

12 年の歳月が過ぎたのち、パーンダヴァ兄弟は再び集まり、最後の1年間の身の処し方を相談する。彼らは揃って身分を偽りマツヤ国のヴィラータ王のもとに赴くことにする。ユディシュティラは王の顧問役、ビーマは料理人、アルジュナは王女ウッタラ(L Vijayalakshmi)のダンス教師、ナクラは馬丁、サハデーヴァは牛飼い、そして5王子の共通の妻であるドラウパディー(Savitri)は王妃の侍女として仕えることになる。

パーンダヴァを永久に追放状態にしておきたいカウラヴァは5兄弟を探し出して身分を暴こうと試みるが、彼らはなんとかやり過ごす。しかし王妃の弟で実力者のキーチャカ(S V Ranga Rao)がドラウパディーに懸想し、しつこく言い寄ってくるようになる。一方アルジュナとスバドラーの間に生まれたアビマニユ(Shoban Babu)は父を探してヴィラータ王の宮廷に迷い込み、そこで出会った王女ウッタラに一目惚れする。(粗筋了)

【テキトーなコメント】
えーと、このストーリーは『マハーバーラタ』のいわゆる正伝にあるものそのまま。5人兄弟が1人の妻を共有したり(でもそれぞれ別々に副妻を持ったりもしてる)、武人がオカマ(英文の eunuch をどう訳すべきか。個人的には「宦官」がしっくり来るのだが、あるいは両性具有者だろうか。参照すべきこの本は品切れ絶版状態で古本もプレミアが付いてしまって手が届かない泣)になったり、楽しすぎ。神話の常ではあるが、根本聖典のひとつの中に今日の父権主義的・ピューリタン的な宗教的慣行とは相容れない要素が神々や英雄の事跡として続々と出てきて、しかもそれが大衆に向けた映画の中でも丁寧になぞられているというのが感動的。

ちなみにこのストーリーはケララでは若干の改変が加えられてUttara Swayamvaram (ウッタラの婿選び)というタイトルでカタカリの演目になっているようだ。で、それが内容的には全く無関係のソーシャル映画の題名に使われてたりするんだあ。

脱線から戻って。12年の隠棲期の終わりに5兄弟+ドラウパディーがヴィラータ王の宮廷での身の処し方を決める場面、各人がこれまでの王族としてのきらびやかな衣装から一瞬にして下僕の身なりに変身するのだが、アルジュナを演じるNTRが、衣装が変わった瞬間にきゅいっと腰を捻る。そしてその後捻った姿勢であり続ける、これがあまりにも鮮やかに面白いんだ。

印度神話映画のセットや衣装のヴィジュアルなソースには非常に難しいものがある。西欧人がギリシア神話だの古典悲劇だのを映画化するなら、豊富な古代ギリシアの遺物が参照できる。しかし印度四千年となるとそうはいかない。印度映画の通史を読むと、第一のソースとして必ず挙げられるのがケララ出身のラージャー・ラヴィ・ヴァルマーの手になる神話画。しかしそれじゃあ画伯のイメージの源泉はどこにあったのだろう?サイレントの初期には、インド各地の藩王国で映画に関心を示した貴紳たち(特にジャイプルのマハラジャやハイダラーバードのニザームなど)が、自領地や時には自分の住まう宮殿での撮影を許可した事もあったという(この本のP.47にあり)。それら宮殿はおそらく印度・西欧のスタイルがごった煮になったものだったろうと想像される。それから当然ながらハリウッドのオリエンタリズム映画やパールシー劇団の衣装・大道具なんかからも影響があったろうね。そういう混沌の中にありながら一方で、既にサイレント期から着衣による地域性は意識されていて、同じ映画のヒンディー語地域向けとマラーティー語地域向けとでは衣装を変えて撮影されていたという(この本のP.30にあり)。

不安定な柳腰が去勢を象徴する。このイマジネーションはチョーラ朝彫刻からダイレクトに来たものなのか、それとも同時代の世間一般に広まっていたなんらかの視覚的慣用句をなぞったものなのか。そしてこれが監督の演出だったのか、NTR自身の創意による役作りだったのか、あるいは先行する演劇などで既に確立された「マニエリスム」だったのか、知る術もないのだが。

まあ、結局言いたいのは、こんなヤオイやっときながら州首相って凄杉NTR、ってことだったりして。

投稿者 Periplo : 02:50 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2010年07月19日

レビュー:Maro Charithra

不滅の愛の名作、とされている。しかし色々な意味で謎も多い。

MaroCharithra1.jpg

本作でデビューしたサリターのなんともいじらしい逸話。

I cannot forget my first shot before the camera. It was in `Maro Charithra' and I was in the company of K. Balachander and Kamal Hassan at Vizag. I was to take Kamal Haasan's hand and kiss it and say `Emi thappa' and he would say `No.' The first shot did not click at all. Even after several `takes' it did not work out and some people wanted the actress changed. But director K. Balachander insisted that I do it. He cancelled the shooting and asked us to come the next day. He sent director Ananthu to my room in the evening and told me the full story. Ananthu said it was a love story and suddenly asked me "Do you like Kamal Haasan?"

"Yes, I like him very much," I said. "Then it should be seen on your face. That is acting," Ananthu told me.

The next day I did an emotive scene, just before the climax. I did it very well and later in the day K. Balachander came to my room and gave me five 5 star chocolates. Only then did I realise that I had passed a crucial test.(サリターによる回顧、2006年の The Hindu 記事 Saritha back with a bang on small screen より)

タミルTVソープの女王、そして巨体を生かした怪演で多くの映画を彩る性格俳優でもあるサリター、おそらくこの時はまだ10代だったのではないか。日本では Thanneer Thanneer 邦題『お水よお水』 (Tamil - 1981) Dir. K Balachander が映画祭公開されている。

Slipping into reminiscent mode, she continues, "I was the 162nd girl he had auditioned for a film. I did not even look nice in the black-and-white pictures that were sent to him. But I was informed that I had done well in the interview."

Remembering the first day of the shoot, Saritha says, "It was a harrowing experience. I kept on giggling. In fact, they even wanted to pack me off. But later, I was briefed about my role, and promised chocolates. Luckily, I performed well and earned my chocolates too." (The Hindu による2005年の別のインタビュー Second time also lucky より)

長らくSEAの字幕なしDVD(下左)しかなかったものが、最近になって Moser Baer から Platinum Series と銘打って再発売(下右)され、字幕が新たに加えられたので紹介しておきたい。

cvMaroCharithra1.jpgcvMaroCharithra2.jpg

Maro Charithra (Telugu - 1979) Dir. K Balachander

Cast:Kamal Haasan, Saritha, Madhavi, Jayavijaya, Shyamala, Saroja, Ramana Murthy, P L Narayana, Adams, Krishna Chaitanya, Bhaskara Raju, Janardhana Rao, Meera Rani

タイトルの意味:another life, another history
タイトルのゆれ:Marocharithra, Maro Charitra

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:Bhavani など。

【ネタバレ度30%の粗筋】
アーンドラ・プラデーシュ州沿海地方の都市ヴァイザグの郊外、隣り合っていながら仲の悪い二軒の家があった。片方のヴェーンカテーシュワラ・ラオの家には年頃の娘スワプナ(Saritha)がおり、地元のカレッジに通っていた。もう片方には数年前に転居してきたタミル・ブラーミンのカンナッパの一家が住まい、隣家との間で主として習慣の違いから来る揉め事を繰り返していた。ある日カンナッパのもとに長男のバール(Kamal Haasan)がマドラスから戻ってくる。職場での諍いで衝動的に離職してしまった彼は、テルグ語がわからないためヴァイザグでは無為の日々を過ごさざる得ない。バールとスワプナは顔見知りになるが、片言の英語でしか意思疎通できない。しかし付き合いが深まるにつれ、お互いの言葉を学びあうようになり、やがて二人は離れては生きられないことを悟る。それを知った両家の親達はカップルを引き離しにかかる。果てしない言い争いの末に、二人が一年間お互いに会わず音信も絶つことを耐え抜いたなら結婚を認める、という条件が課される。(粗筋了)

色々な意味で謎、と上に書いたけど、やっぱりね、基本的にはタミル映画人であるKバーラチャンダルが、タミル人俳優をヒーロー&ヒロインに据えてテルグ映画を作ったというところに驚くわけよ。このストーリーはタミルを舞台にしては成立し得なかったということなのかな。これは色々調べてみても謎のまま。ちなみに本作は吹き替えなしでそのままマドラスでも封切られ、好評を博したという。さらにキャストを入れ替えて Ek Duje Ke Liye (Hindi - 1981) Dir. K Balachander としてリメイクもされた。

それから1979年封切作品である本作がモノクロであるという点。カラー化という観点からすると、ヒンディー映画(1937年の Kisan Kanya が初、ただし一般化したのは1950年代末から)、タミル映画(1955年の Alibabhavum Narpathu Thirudargalum が初)と比べてテルグ映画は随分遅れていた。初のカラー作品はNTR主演の神話もの Lavakusa (Telugu - 1963) Dir. C Pullaiah & C S Rao、ソーシャル映画での初カラーは Tene Manasulu (Telugu - 1965) Dir. Adurthi Subba Rao だったという。そうは言っても本作は70年代末のもの。モノクロ撮影は意識的な選択だったと思えるのだが、この選択はなぜなのか。

急いで付け加えておくと、今日の目で実際に観てみると、本作がモノクロで撮影されたことには、いかなる意味でもハンディキャップは感じられない。予算が足りず已む無くモノクロ作品になったとは決して思えないのだ。ヴァイザグで初めて本格的なロケが行われた本作、その風景がモノクロ画面の中で非常に表現主義的な力強さを持っている。いくら郊外とはいえ沿海アーンドラ地方第一の都市であるとはとても信じられない、寂しさと荒々しさが同居する景観はその後の映画史の中でのこの街のイメージを決定づけたもののようにも思える。

一般にサウス映画で、カメラを屋外に出してのフル外光撮影のパイオニアはバーラティラージャー監督とされている。16 Vayathinile (Tamil - 1977) Dir. Bharatiraja に始まる一連のヴィレッジ・フィルムの流れだ。しかしそれとほぼ時を同じくして同じタミル映画人がオール屋外ロケで、しかし「田舎映画」とは違うテイストの作品を、ヴァイザグという特徴的なロケールを背景に制作したということの意義は大きいように思う。1950-60年代の作品では、屋外シーンですら書き割りのセットを作成して撮影される事が少なくなかった。理由は幾つか考えられるが、一つには屋外での撮影時に露出を適正にコントロールする技術が未熟だったということにあるのではないかと思っている。しかし本作の屋外景観の描写では、完璧といっていい程に光の配分が計算されている。まあこの屋外撮影に関してはそのうち別にエントリーを立てて書くことにしよう。

MaroCharithra2.jpgMaroCharithra3.jpg

なんのかんのと理屈を捏ねてみたけれど、結局本作の最大のアトラクションは初々しいサリターに尽きる。どこかのインタビューで「美人に生まれつかなかったことが却って幸いしたと思う」などと哲学的なことを口走っていたサリターだが、どうして、この愛らしさを見よ!そして♪Bhale Bhale Mogadi♪Kalisi Unte といったカッ飛んだラテン歌謡とハイパーモダンなファッションの数々も凄いよ。

有名な「バーラチャンダルの入り江」ってのはヴァイザグにあったのかね。
MaroCharithra4.jpg

投稿者 Periplo : 00:29 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2010年07月17日

ディスク情報1007-1

cvMayabazar2BW.jpgcvDualMayabazar.jpg

やっぱりどうしても気になって、またしても二重買い。

Mayabazar (Telugu - 1957) Dir. K V Reddy

DVDの版元:Universal
DVDの字幕:なし
DVDの障害:部分的に再生できず
DVD入手先:Bhavani など

前回のポストで紹介したカラー版がそれは見事なものだったので、やっぱりモノクロのオリジナル版も見たくて堪らなくなってしまったのだった。しかし前回書いたように、Shalimar 社から出てる従来版DVD(上左カバー)は全く使いものにならない腐れディスク。ところがカラー版をゲットした後しばらくして新旧二枚組セットというのが出回り始めたのだ。これはもうダブりとか外国向け価格設定とか言ってる場合じゃないね、ってんで早速発注。

で、届いたのが上右の Universal 版二枚組セット。カラー版のディスクはシングルで売られているものと全く同じ。ただし、実際に同じ再生機で試してみたら、若干の障害あり。やはり同じ版元の同じロットの製品でも個体差があるようなのだ。なんてこったい!

問題のモノクロ版はと言うと、ディスク盤面に印刷されているイラストが、かつてのシャリマー版の装丁に使われてたのと同じもの。凄く嫌な予感。しかし再生機はひとまず読み取りしてくれて一安心。と思いきや、1時間20分過ぎになって、突然「ぐぎぎ」という音と共に停止。「ぐぎぎ」って、デジタル機器の出す音じゃねえよな。

一旦止まってしまったら、再度セットし直しても、もうディスクとしての認識が不能な状態になってたのだった(泣)。しかしここで諦めてはいけない。慌てず騒がずPCでディスクのデータを吸い上げにかかる。PCのディスクドライバはなんとかこれを認識してくれた。非科学的かもしれないが、この作業は早ければ早いほど成功率が高い。1年間放置した後にやるよりも、すぐにサルベージした方が良い、というのが経験から導き出された法則。

言うまでもないが、焼きの甘いディスクを鑑賞するためにデータを吸い出して複製するのは合法。これ自体非常に奥の深い世界に入ってしまうことになるようなのだが、良い機会なのでここで信頼できるリッピング基本情報を提供してくれている BackupStreet さん、それから各種ソフトの玄関口としてお手軽なリッピング天国さんを紹介しておく。

で、肝心のコンテンツであるが、DVDのランタイムは176分だった。162分のカラー版よりも14分長いが、公開当初のものは192分だったというから、それでも16分ほどカットされていることになる。その異同をムキになって調べるつもりでいたが、ウィキペディアのエントリーに詳細な一覧があることがわかり省略。この12個にのぼる削除項目の中には、モノクロ版DVDでも既に失われているものがいくつかあるようだ。

カットされたシーン中で最も魅力的なのは、スバドラーとアビマンニュを迎え入れたガトートカチャが催す宴でのダンスシーン、♪Mohini Bhasmasura Natakamu。ここで見ることができる。シヴァ神が不用意に恩寵を与えたために手がつけられなくなった羅刹のバスマスラを、美女モーヒニに化身したヴィシュヌ神が退治するというエピソードを舞踊劇化したもの。本筋には全く関係しない独立性の高いシーンなので、カットされた訳もわかるが、やはり勿体ない。モーヒニ役で華麗に舞う踊り手の名前は不明。

他に幾つか書いておきたいネタ。

Encyclopaedia of Indian Cinema (P.350) によれば、NTRがそのキャリアの前期における最大の当たり役となったクリシュナ神を初めて演じたのが本作であるという。これは意外だった。
■前のポストで「レチタティーヴォ的なもの」と書いた、朗誦に近いスタイルの歌謡だが、テルグ語ではこれを padyam または padyalu(第一義としては「詩」なのだが)と称するようだ。これは今でも芸能の一種として残っているようで、素人さんの隠し芸からイッちゃってる玄人芸まで色々見つかる。
■名曲の多い本作中でもとりわけ愛されていると言われるのが ♪Vivaha Bhojanambu 。確かにこのアーンドラ料理礼賛ソングを一度でも見れば納得させられる。その直前のシーンで、これがなきゃあ宴会料理とは言えないぜ、と言及されている漬け物ゴーングーラについても調べてみた。こんなもんだそうだ。日本での入手に関する情報はこちらなど。このへんの食材や料理、微妙にキャストを替えて製作されたタミル版ではどうなってたんだろね。

bwMayabazar1.jpgbwMayabazar2.jpg

とりあえず今回の結語。

フツーに楽しむのなら、カラー版のシングルDVDで十分かと思う。しかし後からやっぱりデュアル・バージョンを買いたくなったとしても責任はとれんよ。

投稿者 Periplo : 22:40 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2010年06月22日

映画の歓び

もちろんカラー化というのは絶対条件ではなかった。ただ、劣化したモノクロ映像で字幕無しで3時間というのはちょっと辛かったと思う、凡夫には。幸いにしてカラー化は原作の映像美を損なわなかったし、品格を落とすことにもならなかった。

cvSatyaHarishchandra.jpgcvMaayaabazaar.jpg

カンナダ、テルグ映画のモノクロ時代の古典と言われる2作品が2008・2010年にそれぞれリマスター&カラー化&DTSサウンド化されて公開された。そのDVDを立て続けに鑑賞して、山なす凡作にちょっと疲れ気味だった印度映画生活に新たな活が入ったような気分になった。

Satya Harischandra (Kannada - 1965/2008) Dir. Hunsur Krishnamurthy

Cast:Rajkumar, Pandhari Bai, Udaykumar, Narasimharaju, Dwarakish, Ashwat, M P Shankar, Relangi Ratnakar, Dwarakish, Baby Padmini, Vanisri

タイトルの意味:Harischandra, the truthful king
タイトルのゆれ:Sathya Harishchandra

DVDの版元:Sri Ganesh Video
DVDの字幕:英語
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:KannadaStore など、T-Series によるモノクロ・オリジナル版(こちらは字幕無し)の販売もあり

DVDのランタイム:モノクロ版の173分に対してカラー版DVDでは161分(1965年の劇場公開時の長さは221分だったという)
ソング:DVDに収録されたのはカラー・モノクロ共に9曲、The Hindu 記事によれば、オリジナルには12曲あったらしい。

【さっくり粗筋】
アヨーディヤに君臨するハリシュチャンドラ王(Rajkumar)は、君主としての徳目の全てを備えた人物。信仰深い王妃チャンドラマティ(Pandhari Bai)と王子ローヒト(Baby Padmini)からなる円満な家庭を築き、臣民達からも敬愛されて王国は富み栄えていた。ある時、天上のインドラ神の宮廷で、ヴァシシュタ仙とその弟子にあたるヴィシュワーミトラ仙(Udaykumar)とが地上に棲む人間の徳性について議論を戦わせた。ヴァシシュタ仙は、少数の人間に宿る高いモラリティについて、ハリシュチャンドラを例に引いて述べる。対するヴィシュワーミトラ仙は、それは王族という恵まれた生まれによるもので、最低の身分に落とされ辛酸を舐めれば、ハリシュチャンドラとて不誠実な人間になるはずだと言う。ヴィシュワーミトラは自説の正しさを証明するために、お供のナクシャトリカ仙(Narasimharaju)を従え地上に降り立ち、ハリシュチャンドラ王を陥れることを試みる。ヴィシュワーミトラは王に相対して、まずは王国の全ての財を上回るような巨額の布施を、次には王位そのものを要求する。どちらに対しても王は一切の躊躇いなく応じて、妻子と共に襤褸をまとって宮殿を立ち去り、ベナレスへと向かう。約束した布施の支払いを完済するために一家は離散し、奴隷市場で自らを売ることになる。王妃はバラモンの家に奴婢として住み込み、王は死体焼き場の番人となった。かくも悲惨な境遇に陥ってもなお、遵法の精神を失わない王に対して、ヴィシュワーミトラはさらに残酷な試練を課すのだった。(粗筋了)

HarishchandraColor.jpg

Mayabazar (Telugu - 1957/2010) Dir. K V Reddy

Cast:N T Rama Rao, Savitri, Akkineni Nageswara Rao, S V Ranga Rao, Gummadi Venkateswara Rao, Rushyendramani, Chaya Devi, Sandhya, Suryakantham, Ramana Reddy, Relangi Venkata Ramaiah, Allu Ramalingaiah, Vangara Venkata Subbaiah, Mukkamala, Mikkilineni, Chilakalapudi Seetha Rama Anjaneyulu, R Nageswara Rao (Rajanala)

タイトルの意味:Palace of illusion
タイトルのゆれ:Maya Bazar, Maya Bazaar, Mayabazaar

DVDの版元:Universal
DVDの字幕:英語
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:RealCinemas など。Shalimar によるモノクロ・オリジナル版(字幕無し)DVDは、単に読み込めないだけでなく、再生機を制御不能にする(脱出するためには電源コードを引っこ抜くしかなかった)とんでもないキラーコンテンツ(あ、ちょっと違うか)だった。

DVDのランタイム:カラー版DVDでは162分(1957年の劇場公開時の長さは192分だったという)
ソング:DVDに収録されたのは13曲、ただしレチタティーヴォ的なものをカウントするかどうかによって若干数字は変わる。

【さっくり粗筋】
ストーリーは3つの王家の間に展開する。
■ヤーダヴァ族:バララーマ(Gummadi Venkateswara Rao)、クリシュナ(N T Rama Rao)、スバドラー(Rushyendramani)の兄弟・妹、バララーマの妻レーヴァティ(Chaya Devi)、娘のシャシレーカー(Savitri)、クリシュナの妻ルクミニ(Sandhya)が登場する。
■パーンダヴァ族:マハーバーラタの主役である5兄弟であるが、本作に登場するのは5兄弟の三男アルジュナとヤーダヴァ族のスバドラーの間に生まれたアビマンニュ(Akkineni Nageswara Rao)だけである。傍流の成員として、5兄弟の次男ビーマの情けを受けた羅刹女ヒダンビ(Suryakantham)、その息子ガトートカチャ(S V Ranga Rao)が活躍する。
■カウラヴァ族:ドゥルヨーダナ(Mukkamala)、ドゥフシャーサナ(R Nageswara Rao)を中心とした百王子、彼らの伯父に当たるシャクニ(Chilakalapudi Seetha Rama Anjaneyulu)、ドゥルヨーダナの親友カルナ(Mikkilineni)、ドゥルヨーダナの息子ラクシュマナ・クマール(Relangi Venkata Ramaiah)などが登場する。

ヤーダヴァ族のシャシレーカーとパーンダヴァ族のアビマンニュは幼い頃から許婚と定められ、相思相愛の仲だった。ところが、パーンダヴァ5王子がカウラヴァ族の策略に嵌り、サイコロ賭博で全てを失い放浪生活に入ってしまったことにより、シャシレーカーの両親はこの縁組について考え直す。父のバララーマはドゥルヨーダナの甘言にのせられ、ドゥルヨーダナの息子で暗愚なラクシュマナ・クマールのもとに娘を嫁ける約束をしてしまう。屈辱に耐えかねてヤーダヴァの宮殿を去ったアビマンニュは、クリシュナの助言で従兄にあたるガトートカチャの居城に身を寄せ、彼の協力を得て恋人を取り戻そうとする。(粗筋了)

MayaBazarColor.jpg

「映画の歓び」などと大げさなタイトルをつけたものだが、確かにこの両作品には、すれっからしをも打ちのめすような原初の感動が満ちている。その源はなんなのだろうと考えるのだが、一番大きなものは「役者の器の大きさ」ではないかと思う。どちらも数十年も昔の作品、加えて神話映画でもあり、今日のリアリズム的演出とは全く異なるものなのに、役者が体現するキャラクターの迫真性が桁違いなのだ。

ラージクマールが演じるハリシュチャンドラ王が、法(ダルマ)に従うという原則を曲げずに自ら妻を処刑しようとするシーン、芝居臭い書割であるにも拘らず、そこで観客の目に映るのは本物のハリシュチャンドラ王でしかない。実在の人間としてはありえない戯画的なまでに無私のキャラクターが、しかしここで血肉を伴って現前するのだ。ヤーダヴァ一族のどたばたソープオペラ中で、微笑み黒魔術(©古舘伊知郎)を使う親戚の叔父さんでありながら同時に半神として崇拝もされるクリシュナの無茶な両義性も、NTRが例のメイクでそこに立ってるだけで100パーセント説得力を持つものになるのだ。

ヴィシュワーミトラ仙の従者でありながら時に師に対して突っ込みを入れるナクシャトリカ役のナラシンハ・ラージューのフリークス性の高いおどけ顔、半羅刹のガトートカチャ役のSVランガ・ラオの無邪気な哄笑、ガトーカチャが化身して生じた可憐なシャシレーカーの幻影を演るサーヴィトリが変奏するその高笑い、全てがカラフルでなおかつ迫真的。

神話物語のソース、卓越したスタッフ陣、リメイクの輪廻etc.この2作品の面白いトリヴィアを語りだしたらキリがないと思えるので、ひとまずここでは資料集を添えてお終いにしておく。

【Satya Harischandra】資料集
ChitraLoka.com によるカラー化にあたっての回顧記事
個人ブログamidreaming上のレビュー
川縁先生の日本語によるレビュー
IndiaVilas.com による各種神話文献中のハリシュチャンドラ王についての詳説
Bharathadesam によるマルカンデーヤ・プラーナに現れるハリシュチャンドラ王についての詳説
Cinegoer.com によるテルグ版リメイクのレビュー

【Mayabazar】資料集
TeluguCinema.com による Movie Retrospect
EarlyTollywood によるレビュー
Post-Punk Cinema Club によるレビュー
Cinegoer.com によるレビュー
川縁先生の日本語によるレビュー
撮影監督マーカス・バートリーのファンサイト
公開50周年を記念するThe Hindu 記事
ストーリーの元となった民間伝承の詳説:A Study In Folk "Mahabharata": How Balarama Became Abhimanyu's Father-in-law

投稿者 Periplo : 02:13 : カテゴリー バブルねたtelugu so many cups of chai
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2009年12月30日

トリヴィア Arundhati (2)

arundhati4.jpgdrona.jpg

Arundhati (Telugu - 2009) Dir. Kodi Ramakrishna の悪役ソーヌ・スード(左)と、お約束、ヴェーヌ・マーダヴによるパロディ(右)、Drona (Telugu - 2009) Dir. J Karun Kumar の一シーン。それにしても前者の封切りが2009年1月16日、後者が2月20日、恐るべき早業で追加撮影されたものなのかな、お笑いのほうは。

テルグの常連悪役の一人であるソーヌ・スードだが、ウィキペディアのバイオグラフィーを見るとデビューはタミル映画だったみたいだ。単なる悪役を超えた本作でのアゴーリー役で2008年度猛牛賞を獲得(2009年公開映画だが、センサー通過は2008年だったものと思われる)。

この受賞に文句をつけるつもりは全くないが、陰の立役者もいた。ずーっと前のポストで紹介した、神業吹き替え声優、ラヴィシャンカルさんだ。まあ、彼自身も本作でのソーヌ・スードの声の吹き替えによって最優秀ダビング賞を受賞してるのだが。

ここにきてやっと顔写真とフルネームがわかったPラヴィシャンカル、idlebrain による2009年1月12日のインタビュー、これ面白すぎ。

アーンドラ生まれのテルグ人、南印4言語を自由に操り、22年に及ぶキャリアの中で吹き替えを担当した作品は2600本て、ホントかいな!

なんでも、吹き替え声優を父にもちながらも自身は俳優を目指し、シュリーカーント、ラヴィ・テージャ、シュリーハリなどと同期でデビューしたのだという。何本かの出演作を経ても芽が出ず、吹き替えに転向して大成功。特に悪役の声を担当することが多いようだ。そのかたわら監督業にも手を染めており、初めてメガホンをとった Durgi (Kannada - 2004) はそれなりの成功をおさめた模様。その証拠にこの作品は Narashimhudu (Telugu - 2005) Dir. B Gopal として大規模バジェットでリメイクされている。またダイアローグ・ライターとしても多くの仕事をこなし、タミル・テルグ合わせて200本を超えるという。

吹き替え声優としての仕事に話を戻すと、前に紹介した China Gate での4キャラ同時吹き替えみたいなのは決して特別な事例ではないようで、Athadu (Telugu - 2005) Dir. Trivikram では、ソーヌ・スード、ラーフル・デーヴ、チャラン・ラージの3人の声を一人で担当したという。

若干「白髪三千丈」的な匂いがしないでもないけど、まあまあサウスには凄い異能の人がいるもんだねえ。

投稿者 Periplo : 04:23 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2009年12月27日

トリヴィア Arundhati (1)

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本年前半のテルグ界きっての大ヒット作だったらしい Arundhati (Telugu - 2009) Dir. Kodi Ramakrishna。タミル語にも吹き替えられてそれなりにヒット。お約束のヒンディー・リメイクの話(ディーピカ・パドゥコーネ主演というが有力だったようだが)も出ていたがその後どうなったか。

それはともかく、この衝撃のオカルト・ホラー映画を皆で見ようという催しが1月10日に横浜であります。

「南インド映画を観よう、語ろう」
1月10日(日) 14:00スタート、Raya Sakuraya さんにて。
詳細はこちら

英語字幕での鑑賞。とはいえ、字幕が完璧に追い切れなくても(自慢じゃないがオイラはいつもそうだ)置いてかれることのないストーリー展開。豪雨のように血が降る熱血大出血映画だが、不思議な爽快感もあり、一滴でも血ぃみたら失神しちゃう、なんて人以外には奥様方・お嬢様方にもお勧めできます。

Arundhati2.jpgArundhati3.jpg

現地の奥様方・お嬢様方に大好評だったのはアヌシュカー・シェッティがまとう1920年代アーンドラの地方領主の宮廷をファンタジックに再現したファンッション。Deepa Chander さんによる衣装の数々は、アパレルメーカーをも刺激して、チェンナイのサリー店では「アルンダティ・サリー」なんていうラインナップも出たとか出ないとか。

これまではどっちかってーと布地を節約した衣装が多かったアヌシュカーだったが、本作でのゴージャス系ファッションとそれに負けない屹然とした女王様ぶりは特筆もの。

サリー大好き!な方々にもお勧めの一本であります。

投稿者 Periplo : 22:27 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2009年10月25日

注目のバクティ映画2

Vengamamba
2009年9月、ヴィジャヤワーダにて撮影。

いきなり出くわしたんでちょっと吃驚した。今年の6月にティルパティで華燭の典を挙げたっていうミーナーちゃんのポスター。データベースとか見ても、ラスト出演作は Kuselan (Tamil - 2008) Dir. P Vasu となってたからね。

このポスターのタイトルは、Vengamamba、監督は Uday Bhaskar、テルグ語。公開は今年夏だったことはまあ間違いない。なんだかひっそりした封切だったみたいだ。

18世紀のアーンドラの女流バクティ詩人ヴェンガマンバを主人公にすえた伝記的映画らしい。2006年には別の監督・別の女優で制作するがあったが、どうやらこれはお蔵入り。今年公開の本作にしても、いつ頃制作されたのかははっきりしないのだが。ネット上に出回っているレビューの中での評価はかんばしくない(一例)。しかしこれは神話系映画ではよくあることだ。Annamayya (Telugu - 1997) Dir. K Raghavendra Rao あたりのバクティ映画の定式をただなぞっただけだということが難点として挙げられている。

ま、それにしても Sri Ramadasu (Telugu - 2006) Dir. K Raghavendra Rao から3年、久々に飛び込んできたバクティもの、しかも女性が主役となれば、ちょっとは期待したくなるわな。

投稿者 Periplo : 04:18 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2009年06月21日

疲れてるんだろうか、俺

テルグB級コメディで思い切り笑えてしまった……
bladebabji.jpg

Blade Babji (Telugu - 2008) Dir. Devi Prasad
Cast : Allari Naresh, Sayali Bhagat, Venu Madhav, Srinivasa Reddy, Krishna Bhagavan, Dharmavarapu Subramaniam, Kondavalasa, Jaya Prakash Reddy, Melkote, Brahmanandam, Khuyyum, Ruthika, Kausha, Hema, Apoorva

コメディアン勢とお色系女優だけで作った低予算作品。レビューによれば、ストーリーは Blue Streak (USA -1999) Dir. Les Mayfield と Can't Live Without Robbery (South Korea - 2003) Dir. Lim Kyung Soo からのイタダキらしい。パロディのネタ元は Pokiri (Telugu - 2006) Dir. Puri Jagannadh と Thammudu (Telugu - 1999) Dir. P A Prasad がメイン。

この大ウケはなぜなんだろうと考えてみたのだが、やっぱり分厚いテルグのコメディアンがそれぞれの持ち味を生かして分化していて、手の込んだ演出をせずともバラエティに富んだニュアンスのお莫迦を自動的に演じ分けてくれるからじゃないかと思う。そして観客の方でも刷り込みによってすでに笑いのツボの準備ができてるんだな。

オトボケ管理職っていったらメルコート、ブルーカラーの天然っていったらコンダヴァラサ、頭が弱くてナウなヤングっていったらシュリーニヴァーサ・レッディ、そしてブラフマーナンダムならブラフマーナンダム、って具合だ。

こんな安い映画で大笑いしてぐったりして、果ては優しい気持ちになっちゃう俺って、疲れてるんだろうか?

投稿者 Periplo : 04:17 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2009年01月09日

ディスク情報0901-2

同じ版元からのリリースで仕様も同じなのにどうして2種類のカバーがあるのか。

cvAshtaChemma1.jpgcvAshtaChemma2.jpg

Maya Bazaar から注目の低予算監督としてヲチ継続中のインドラガンティの第3作目がディスク化。お求めは Bhavani DVD()などで。

Ashta Chemma (Telugu - 2008) Dir. Indraganti Mohana Krishna
Cast : Colors Swati, Nani, Srinivas Avasarala, Bhargavi, Jhansi, Tanikella Bharani, Hema

オスカー・ワイルドの戯曲を、無名に近い若手俳優を使ってドタバタ喜劇として仕上げたものという。キーワードはマヘーシュ・バーブ。2008年のテルグ界ではそれなりの評判と成績を残したらしい。そして出演女優の一人が謎めいた死をとげるという事件があったりもした。

面白かったらまたレビューでもあげてみたいもんですわ。

投稿者 Periplo : 02:38 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2008年11月02日

どっこい生きてる

docMayabazar2.jpgdocMayabazar.jpg

凄く昔にちょこっと書いたことの続報が、ある日ふっと飛び込んで来るというのは嬉しいもんだ。

今からちょうど三年前に別のとこに書いたネタにまさかの続報。

最初のテルグ映画も神様ものだった。Bhakta Prahlada (Telugu - 1931) Dir. H.M. Reddy がそれ。主な出演者はL.V. Prasad, Surabhi Kamalabai, Munipalle Subbaiah, B.V. Subba Rao。検索してもスチルなどは見つからず。

この映画のヒロイン役のSurabhi Kamala Bai (1907-1977) は当時テルグ語地域で人気を博していた(そしてどうやら現在も存続しているらしい!)家族経営の巡回劇団、Surabhi Thatre の一員、母親の Venku Bai も同劇団の女優だった。

三年経って改めて検索してみると、おお劇団のオフィシャル・ブログ(?)まであるではないか! なんか感激だあ。結構上手く商売をしてサバイバルしてるのかしらん。アーンドラの田舎ではまだこの手の移動劇団が引く手あまたなのだろうか。

この Surabhi Theatre に関するドキュメンタリー Maya Bazaar - The Survival of a 120-year-old Theatre Family (Telugu - 2007) Dir. K Madhusudhanan が、バンガロールで催されるミニ映画祭 Ranga Chitra, a day of film screenings on travelling theatre で上映されるのだそうだ。この上映は Ranga Shankara という演劇祭(ディレクターはシャンカル・ナーグの夫人アルンダティ)の一環ということだ。そして Surabhi Thatre は実際に舞台でも Maya Bazaar を上演するらしい(今年の演劇祭自体が巡回演劇をテーマに掲げているというのだ)。

舞台を見に行くのは叶わないとしても、このドキュメンタリー映画はディスク化に期待したい。今年のMIFFにもコンペ出品されたという。

記録映画および劇団に関する記事
The Week:Spectacular action
Citizen Matters:Ranga Chitra at Ranga Shankara
The Hindu:Theatre is their lifeline
v ramchandra rao:The Surabhi theatre company

投稿者 Periplo : 19:31 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2008年10月16日

家業:スター

うむむむ、疲れた。「秋のオヤジ狩り」と銘打って、南印4州のディープな映画を探訪するなどという企画を考えていたのだけれど、カンナダ、テルグときて力尽きてしまった。

okkamagadu01.jpg

カンナダのクレイジースター V Ravichandran のインパクトも大きくて、色々書きたいこともあったはずだったんだけど、後から見たNBKのせいで吹っ飛んでしまった。

Okka Magadu (Telugu - 2008) Dir. Y V S Choudary はディスクで見られる限りでのNBK最新作。著名ポータルサイトではギャラリー壁紙はあるのにレビューは見つからない、怖くてあげられないのか。

ラーヤラシーマものという触れ込みだったが、暴力的ファクショナリズムの要素は特になかった。

ストーリーは、ええと、対英独立闘争時代のファイター(NBK)が、独立後60年のインド社会にはびこる貪欲、汚職、利己主義に立ち向かい、不正な権力者を剣によって誅しながら悪の総本山であるAP州首相(Asutosh Rana)と対決するという話。この義賊の正体を知らず、体制の枠内で人徳者として平穏に暮らす孫息子(NBK)との対比によってストーリーが展開する。なんだかどっかで聞いたような話だと思いませんかい。そうです、こりゃ『インドの仕置き人』こと Indian (Tamil - 1996) Dir. S Shankar (ヒンディー吹き替え版 Hindustani、テルグ吹き替え版 Bharateeyudu)の設定イダダキものなんですわ。

しかし、言い逃れしようのないパクリではあってもリメイクではない。シャンカルのオリジナルでは、収賄常習者の免許ブローカーが仕置き人の実の息子でありながら容赦なく処刑されてしまう、というところにドラマの要諦があったのだが、こちらでは違う。爺さんは武闘派、孫は平和主義者、どっちも倫理的には全く潔白(おいおい)という設定になってるのだ。何して暮らしてるのかもよく分からない孫息子は、ともかく絶大なカリスマを持っていて、彼の前では男衆は涙流してひれ伏すは(うつ伏せ)、女の子ちゃんは出会い頭に体投げ出しちゃうわ(仰向け)でもう大変なんだ。

okkamagadu02.jpg

AP州有権者であるかぎりどんなオーディエンスであろうと気分を害することがないように、細心の気配りがされている。なんたって悪役の州首相の名前がナンブーディリってんだから(シュールでトンマなこの役はボリウッドからきたこの人が誠実に演じようとしている)。もちろんAPにだってケララのバラモン・コミュニティは極小規模で存在はするだろうけどさ。だけど州首相を輩出するなんてのは100万年経っても無理。この悪徳CMが「お前のカーストは何だ?」と尋ねるシーンがまた凄くて、主人公はこれに答えて「知性においてはバラモン、富ではヴァイシャ、…(かなり略)…アグレッシブネスではレッディ、力はカープ」などという演説をするのだ。

お前はNBKを虚仮にしたくてクドクド書いてるのかと怒られそうだが、そんなことは断じてない。年の割にはダンスが上手い。それに爺さんが武装闘争に目覚める前のインテリ医師時代の部分では誠実な人柄を手堅く演じていた。芝居のツボもちゃんと心得てる気配がある。ただその能力を、国家映画賞を獲ろうとか、文化人サークルのセレブになろうだとか、そういうエゴイスティックな目的には使おうとしてないだけなんだ。全てのセリフ、全てのショットがダイハード・ファンの為にある映画を作るのだ。ファンのことしか考えていない無私の人なんだ、NBKは。俳優としてのエゴを押し殺して自画自賛映画を作る、中途半端な自意識の持ち主だったらできることじゃないよ、普通。テルグ界で名門芸能一族を率いていくというのはこういうことなのか。それにしても、ヅラとメイクを取り去ったこの人の素顔には名状しがたい妖気がある。フツーの家に生まれていたら性格俳優として一家を成していただろうね。それはそれでちょっと惜しい。

ソングシーンは全部で七つ、総ランタイムは170分超。全編を見る気にはなれないや、という向きには、ひとまずこれあたりをお勧めしておこう。だけど、これで止めてしまった人は、驚倒天地のラストシーンの衝撃を知らずに終わってしまうんだなあ、やっぱ勿体ないやね。

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投稿者 Periplo : 04:33 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2008年06月15日

ヘンテコ資料系

約2年前のポストメモ:Caste System in Telugu Filmdom? で紹介したテルグ映画の格付けを裏付ける(?)資料を発見。

アーンドラ・プラデーシュ州事業税局、APFDC Certificates アーカイブ

例えばYamadonga (Telugu - 2007)Dir. S S Rajamouli の書類を見ると、本作が high budget film だ(当たり前だ)ということが、そしてBhookailas (Telugu - 2007) Dir. Siva Nageswara Rao の書類を見ると(見かけが派手な割に)low budget film だということが、わかっちゃったりするのである。

投稿者 Periplo : 23:48 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2008年05月12日

網上の暴論(2)

前回からの続き)

殺された親族の血で染まったシャツが乾いて黄色に変じたら報復の開始じゃ!って、ホントにこんなことやっとんのかいな。
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Pournami (Telugu - 2006) Dir. Prabhu Deva より。

トリウッドの大物プロデューサーMSラージュの言葉で以下のようなものがあった。

When everybody is after Rayalaseema for action films and Konaseema for village love stories, I preferred Nizam (Warangal) for Varsham backdrop.(idlebrain.com によるインタビューより)

ここで言及されているワーランガル(テランガーナ地方の一都市)というのはこの時点での封切り予定作 Varsham (Telugu - 2004) Dir. Sobhan の舞台のことだから譬えとしてあまり大した意味はないのだが、それ以外の2地方については頷ける。Konaseema というのは沿海アーンドラ地方、東ゴーダーヴァリー県のデルタ地帯。たしかにこのエリアの豊かな田園を舞台にした愛らしいロマンスはヴァムシー監督(クリシュナ・ヴァムシーじゃない方の)作品などに頻繁に見られる。一方で凄絶なアクションものというのは、ラーヤラシーマを背景にしたものが多いんじゃないかという気がする、これまではあまり意識して鑑賞してなかったんだけれども。

実見した作品中で思い出せるものというと…。

Okkadu (Telugu - 2003) Dir. Guna Sekhar
ハイダラーバードに住む主人公が、カバディの試合のためにラーヤラシーマの中心地カルヌールに出かけていき、その地のファクショニスト(そういう言葉は使われていなかったが)に付け狙われる少女を救い出し、(トラックに満載の手下の皆さんを振り切って)ハイダラーバードに連れ帰る、という話だった。この作品、カンナダとタミルでもリメイクされているのだが、それぞれどの地方に置き換えられているのだろうか。

Pournami (Telugu - 2006) Dir. Prabhu Deva
作中にははっきりそれと分かる形で舞台となっている土地を示唆する台詞などはなかったように思う。しかし途中挿入される放浪の主人公の回想部分に、血は血で贖うという掟のもとで永遠に殺し合いを続ける二つの対立する豪族というエピソードがあった。この部分、実は Abril Despedacado [Behind the Sun] (Brazil - 2001) Dir. Walter Salles のパクリということで、実際何となくラテンな雰囲気が漂っていたりするのだが、ストーリーラインとしてはテルグの風土に全く違和感なくはまっていたのだった。


以下はまだ観たことがないので自信を持って紹介はできないのだが…。

Anthapuram (Telugu - 1998) Dir. Krishna Vamsi
二つのファクション間での壮絶な殺し合いの中に、外の世界からいきなり投げ込まれたヒロインが、我が子を守るために闘うという話。Shakti - The Power (Hindi - 2002) Dir. Krishna Vamsi としてリメイクもされた。しかしそもそもの元ネタはハリウッド映画だというもある。

Rayalaseema Ramanna Chowdary (Telugu - 2000) Dir. Suresh Krishna
ズバリそのもののタイトル(カーストもモロ見え)だが、ストーリーはイマイチよく分かんない。ともかく土地を巡って大荒れに荒れる話みたいだ。この 画像見ると、バリバリの家父長礼賛的暴力映画が予想できるがどんなもんか。

Seetaiah (Telugu - 2003) Dir. Y V S Chowdary
ファクショナルな暴力を阻止しようとする命知らずな警察官をNTRの息子ハリクリシュナが演じる。idlebrain のレビューによれば、女性4人を含む16人の悪役(当然ながらセリフ無しの三下クラスじゃないんだろね)が登場して暴れまくるらしい。

Allare Allari (Telugu - 2007) Dir. Muppalaneni Shiva
ラーヤラシーマのファクショニスムを背景にしたコメディという触れ込み。ここでは非道なファクショニストは女性の家長。となったら演じるのはこの人テランガーナ・シャクンタラーさんしかいないでしょう。

Okka Magadu (Telugu - 2008) Dir. Y V S Chowdary
アナンタプール県の小村 Venkatapuram を舞台にした義賊ものらしい。実は主演のバーラクリシュナ(ハリクリシュナの弟)は意識的にラーヤラシーマのモチーフを取り入れてトレードマークにしてきた俳優だという。

Balakrishna is the trend setter in the present day Telugu cinema. He is the one who carved a niche for himself with 'Rayalaseema' themes in the recent history of Telugu cinema.(telugupeople によるプロフィールより)

Sathya in Love (Kannada - 2008) Dir. Raghav Loki
カンナダ映画界にすらラーヤラシーマの悪名は轟いているのだ。前半はイイ感じのロマンスもの、後半に入って主人公が恋人の故郷であるカルヌールに出かけていくと戦争映画みたくなっちゃうらしい。カルナータカ州内ではこういう無法地帯を設定できなかったのだろうか。

いろいろ挙げたけど、一番見たいのはこれかも。
seemashastri.jpg
Seema Sastry (Telugu - 2007) Dir. G Nageswara Reddy
A parody of factionism だそうだ。ともかく画像を見ただけで笑える予感。ファクショニストの娘と恋仲になったバラモン青年が、娘の両親を説得して結婚するために色々画策する話らしい。よくある低予算映画なんだろうけど、お坊さんと血に飢えた封建領主(ここではReddy)、この意外な組み合わせがなかなかやるじゃん、と思うのだ。ディスク化に期待、と思ったら既に発売済でした、早ッ!

まあ、色々と傍証を挙げてみたし、その気になればさらにいくらでも集まるだろうけど、「テルグ暴力映画の源泉は全てラーヤラシーマにあり」などという性急な結論に走るつもりは無い。ハイダラーバードやヴァイザーグが舞台のウルトラ・バイオレンスだって山ほどあるしね。ラーヤラシーマのファクショニスム以外にも、北西部の本拠地からじわじわと進出を続けているらしいナクサライト運動(この地図を見よ!)、時折噴出するコミュナル暴動、カースト対立etc.と、インドの他のパートと同じくアーンドラもまた暴力沙汰の種には事欠かないのだ。ただ、一種の郷土伝統芸能として連綿たる殺し合いを続けている地方がある、ということが、テルグ語を共有する三つのエリアの人々の精神史にそれなりの影を落としてきたのではないかと思うのだ。

散々ゴタクを並べてみたが、テルグ暴力映画はそういう地誌的な予備知識が無くても楽しめるように作られてはいる。単なる荒唐無稽ウルトラ暴力バカ映画として観ることも充分可能なのだ。だけんど、具体的な地名とその土地の呪力、そして事実の重みを感じながら観た方が凄味が3倍になるとは思うがな。

投稿者 Periplo : 23:57 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2008年05月11日

網上の暴論(1)

何も移動中まで振り回して怒声を上げてなくてもいいような気がするんだが…。少しは体力の温存てことを考えたらどうかと思う。
goondas1.jpggoondas2.jpg
Pandippada (Malayalam - 2005) Dir. Rafi-Mecartin より、goonda をパロったシーン。

十分な検証を経たものではないし、具体的な映画作品も未見のものが多いので、思いつきに過ぎないのだけれど、やはりメモだけはしておきたい。

テルグ映画の特徴の一つに、言語道断な過激な暴力の描写というのがある。もちろん膨大な作品群に分け入ってみれば、お気楽ラブコメだとかトホホなコメディだとか、暴力とは無縁の作品も無数に存在することが分かるのだけれど、トップスターのビッグバジェット作品にバイオレンスアクションの占める割合が大きいというのは、タミル映画などと比べてみても際だっていると思う。この傾向の源泉となっているものは何かと長い間考えていたのだが、検索の要となりそうなキーワードに行き当たった。それは Rayalaseemafactionism/factionalism

apregions.jpgアーンドラ・プラデーシュ州は大きく3つの地方に分かれる。まず州都ハイダラーバードを擁するテランガーナ(Telangana)。かつてのニザーム領であるため今でも Nizam という別名で呼ばれることもある。IT景気に湧く州都を除くと経済的に立ち後れているといわれ、それに不満をもつ住民による独立運動もいまだに存続している。

そして南北に延びるベンガル湾沿岸部 Coastal Andhra [Kosta とも、単に Andhra とも]。肥沃な土壌に恵まれ農業が盛ん。3つの地方の中で最も豊かで先進的な地域といわれる。インド独立以前にはマドラス管区に属していた。中心都市は Visakhapatnam [Vizag] と Vijayawada。後者のヴィジャヤワーダは、コスモポリタンなハイダラーバードに対してテルグ文化の中心地と言われている。映画の世界でもこの地方の出身者が比較的多い。

そして南部内陸地方のラーヤラシーマ(Rayalaseema)。やはり独立以前はマドラス管区に属していた。この地方についてのイメージというのが掴みにくい。全インド的に有名なティルパティ寺院以外には、これといった名所の名前も聞いたことがない。風物のイメージを求めて渉猟してみたけれどこの程度のものしか見あたらず。中心都市のカルヌールはアーンドラ州(1953-1956、現在のAP州からテランガーナをマイナスした地域で成っていた)時代には州都だった。経済的には後進地域とされているが、現州首相YSR中央政府首相に登りつめた P V Narasimha Rao 前州首相チャンドラバーブ・ナーイドゥをはじめとして多くの政治家を輩出してもいる。

最近観た映画 Chakram (Telugu - 2005) Dir. Krishna Vamsi で印象的だったシーン。田舎を出てハイダラーバードにやって来た主人公が口にするセリフ、「俺様はカダパ(Kadapa/Cudappah)の出よ」「俺の親父はラーヤラシーマのファクショニストだぜ」、これだけでハイダラーバードの住人はビビっちゃうんだ。で、そのオヤジ(プラカーシュ・ラージが演じる)の下にはボスの意のままに、鎌持ってどこにでも突撃しに行く手下が少なく見積もっても50人はいるんだな。

ファクショニスト/ファクショナリスト(factionist/factionalist)とは何か。辞書には faction=徒党、党派、派閥、factionalism=派閥主義、党派心、派閥争い、などと書いてある。これがどうもテルグ世界では特別なニュアンスをもって使われているようで、フィットする訳語が見つけられないのだが、実態としては factionist/factionalist=村落単位の非公式な首長というほどのインパクトがあるようだ。ラーヤラシーマのファクショニストの特徴は、ヴィジャヤナガル王国時代に遡るほど古くから存在していること、それから多数の郎党を従えた首長が互いに敵対しあっていて文字通り血で血を洗う抗争を続けていること、そしてその流血沙汰に司直の手がなかなか及ばないらしい、ということ。


rediff の1997年記事 The killing fields of Rayalaseema より。

There has, however, been a slight decline in the number of factional killings in the region. In Chittoor, while 114 people were killed in 1995 in factional rivalries, 93 were killed in 1996. Eightyseven people have been killed so far this year.

In Ananthapur, 16 people were killed in 1995, 10 in 1996 and seven this year.

In Kurnool too, there has been a downward trend. While 38 people were killed in 1995, 26 died in 1996 and 13 this year.

The exact figures of those killed in factional feuds in Cuddapah district were not available. A senior police officer, however, said the number would be about 20 per cent more than Chittoor's. Cuddapah is the hot-bed of such rivalries.
--
Factionalism, however, continues to raise its ugly head time and again. Prominent factional leaders still have scores to settle. In all, 69 such leaders have been identified in the four districts.
--
More than 100 faction-ridden villages have been identified in these districts, where the rivals seem to be generally against the political parties. "Their principal objective is to kill rivals,'' the police said, adding that violence is their ''only ideology''.


rediff の1998年記事 In volatile Rayalaseema, it's only a war of words as yet より。

Fear sealed one's lips, and a few more grumbles were bottled lest petrol bombs come flying. Such is Rayalseema's reputation. -- Terror stalks Rayalaseema, especially the Cuddapah and Kurnool districts, as even 'imaginary conspiracies' land one in trouble.


2005年の The Hindu 記事 Rayalaseema's bane より。

THE factional violence that often engulfs the Rayalaseema region of Andhra Pradesh has its roots in medieval history.

The kings of the Vijayanagar empire, which flourished between the 14th and 16th centuries and had its capital in Hampi (now in Karnataka), appointed chieftains in Rayalaseema for better administrative control of the region. These chieftains came to be known as `poligars' and were responsible for law and order and revenue collection in their respective areas.

The Vijayanagar kingdom was defeated and destroyed by the combined might of the Bahmani Sultans in the Battle of Tallikota in 1565. With the fall of the Vijayanagar kingdom, the region's control passed on to the Golconda rulers of Hyderabad.

The poligars of Rayalaseema soon became independent rulers as the weak Golconda administration could not control them. At least 200 such local power centres emerged. Unable to contain the lawlessness owing to internecine feuds among these warlords, the Nizam ceded four districts - Kurnool, Anantapur, Bellary and Cuddapah - to the British.

The British, especially the Thomas Munroe administration, used harsh measures to contain the poligars - including death by public hanging - but did not succeed.

The poligars ruthlessly pursued their rivals and passed on the baggage of vengeance to their subsequent generations.

Over the years, the poligars began extending financial support to the families of their followers to ensure their continued service. In case of death or maiming, the victims' families were always taken care of. This led to a system where the dependent families continued to live in bondage. This mutually beneficial arrangement divided society on strong emotional lines.
--
In the past 15 years, 670 Congressmen and 560 TDP men have lost their lives to factional rivalry.
--
But factional killings have become routine in Rayalaseema. The victim's family mourns the death for a few days, and then hatches a plot to take revenge.

Bomb-making is almost a cottage industry in the region. Several followers of faction leaders have lost their limbs either in accidents or in direct attacks.


もう一つの The Hindu 記事(2005年) Faction violence has its roots in medieval history より。

Backwardness, unemployment, fierce individual loyalties and assured financial support in case of death or injury were some of the reasons that encouraged factionalism here.

If earlier rivalries were confined to Congress leaders, the advent of the Telugu Desam Party in the early eighties gave a new reason for prolonging the bitter rivalry.

The political links are fragile in many cases and only mean a temporary arrangement for leaders. Many of them switch loyalties with the change of government. This switchover makes parties seek replacement with their rivals.


凄惨な死体写真を伴った JustAndhra の2006年記事 Rayalaseema Factional Feud より。

Rayalaseema Factionists are almost running parallel government, unabated since decades. Factionists predominantly who have congress background have paralysed the law and order situation, after congress party swearing into power.

The situation has worsened with 128 killings in the 2004-05, and the violence is pitching at an alarming rate in the four districts of Rayalaseema, after congress swearing into power.

(以下次回に続く)

投稿者 Periplo : 18:34 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年12月17日

括目して相待つべし

踊る州首相への第一歩か? 格好よすぎだぜ。

Chiranjeevi said that he would take a decision soon and make it public. He asked all his fans and well-wishers to remain calm and cool till he makes an official announcement. (Tamilstar 12月14日記事 Chiranjeevi's appeal to his fans より)

先日来のゴタゴタで、かえって決心固まっちゃったんだろか。

Leaders of Kapu, the caste to which Chiranjeevi belongs, want him to enter politics without delay. Other backward classes are also looking towards him to take on the Kammas and Reddys, the powerful castes dominating the TDP and Congress respectively.

Speakers from Kapu, Mala and Madiga castes, at a meeting of weaker sections organised by former advocate general S. Ramchandra Rao here Sunday, also exhorted Chiranjeevi to lead them.(Sify 12月10日記事 Chiranjeevi keeps political parties guessing より)

気の早い憶測も色々と出回っている。

Meanwhile, sources close to the 52-year-old actor said he was also planning a movie with a political message to mobilise public opinion in his favour.(同上)

はよ見たいわ、それ。

投稿者 Periplo : 05:24 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年10月19日

大騒ぎ

chirufamily.jpgいや、テルグらしい激烈なストーリーだねえ。

チランジーヴィの次女 Srija (19、学生)が恋人 Sirish Bharadwaj (22、やはり在学中)と今月17日に駆け落ち婚。通常の駆け落ちと違うのは、双方の家族に知られることなく家を出たカップルが、式場(ハイダラーバード市内 Bowenpalli にあるアーリヤ・サマージの寺院だという)にテレビカメラを呼んで中継させるというハデ婚だったこと。双方の両親の名前もばっちり印刷された結婚案内状があらかじめ手配済みだったという。

シュリージャによれば、4年前に始まったシリーシュとの交際は両家の家族から反対され、特に彼女はこの1年ほど自宅軟禁状態に置かれていたという。反対の理由は社会的ステータスの落差(新郎側:父は弁護士、新婦側:父がメガスター)、カーストの違い(新郎側:バラモン、新婦側:カープ)などと言われているがはっきりしない。新郎は会議派所属の国会議員 P Janardhan Reddy の親類だともいわれているが、これも関係があるのかどうか。

当日の現地TVは一日中繰り返し式の映像を流していたというし、参列した友人たちは遠慮なしにブログ等に写真や動画を掲載しまくりだとのこと。現在新婚夫婦は、主として新婦側の家族からの攻撃を恐れて警察の保護を要求し雲隠れ中、一説にはスィカンダラバードのゲストハウスに潜伏中とも。新郎の家族は、メガスターのメガファンからの攻撃を恐れて親族の家に身をとせているという。新婦の家族、特に父親は「茫然自失状態」から醒めきれず、ジュビリー・ヒルズの豪邸にお籠もり中。ファンが結集し始めるのを警戒して警官が配置されているそうだ。

まとめきれない周辺状況
■昨年春にチェンナイ在住のビジネスマンと結婚した長女 Sushmita は、それ以前にテルグ映画界若手ヒーローウダイ・キランと婚約していたが、2005年6月に突然の婚約破棄が報じられるという出来事があった。
■息子の Ram Charan Tej は、デビュー作 Chirutha (Telugu - 2007) Dir. Puri Jagannadh は9月末に封切られ、可もなく不可もなくという成績らしい。
■年中行事といってしまえばそれまでだが、メガスター自身には2009年の総選挙を睨んでの政界入りのが飛び交い始めていた。
■一夜明けて新郎の過去の犯罪歴を暴露する記事の流通が始まった。5年前に誘拐罪で逮捕されていたとか、偽造パスポート所持疑惑などなど。
■この一連の騒動に関してなまくらオツムをはじめとした御用メディアの及び腰なことといったらないね。

まとめきれない感想
アミターブ・バッチャンが第一線ヒーローから退いて渋い脇役の超大物に変身するために、実りのなかった議員生活+御難続きだった実業家生活を経なければならなかったように、これはチルさんの窯変を促すための試練なんだろうかね。ともかくこれからもヲチ。

資料集
Chiranjeevi's daughter marries 'filmi style'
Daughter gives real shocker for Chiru
Chiranjeevi's daughter weds
AP Megastar Chiru's daughter elopes
Youth who married Chirnajeevi's daughter had kidnapping case

投稿者 Periplo : 02:38 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年08月02日

Dollarah, dollarah...

アーンドラ産だけどテルグ語映画ではない、ウルドゥー語によるハイダラーバード映画を2本立て続けに見てしまった。

cvAngres.jpgcvHyderabad.jpg

The Angrez (Urdu/English - 2006) Dir. Kuntaa Nikkil
Hyderabad Nawabs (Urdu - 2006) Dir. Lakshmikanth Chenna

以前から疑問に思っていたこと。

"Unfortunately now Lucknow is on the decline and the seat of prosperity has shifted to the Deccan. I haven't been south, but I am told that there are large habitations of Lucknow people in the Deccan."(Mirza Mohammad Hadi Ruswa著, Umrao Jan Ada,Sangam Books, 1999,P.90より)

そうなんだ、全盛期のラクナウを知る娼妓が認めるほどに、ハイダラーバードのニザームの宮廷文化は華々しいものだったらしいのだ。その割にテルグ映画には「栄光のニザームもの」というのが見あたらない。何故なのだろう。

Given Islamic restrictions on the depiction of God and his Prophets, there is no equivalent 'Islamic' film to parallel the mythological and devotional films and so it may be said that there is no "Filming the gods". However, since there is at least one genre which mentions the religion by name, that is the 'Muslim social', and there are several other styles of films (perhaps sub-genres) often ascribed to this genre, there is a clearly identifiable group of films which are concerned particularly with Muslims though not with Islam itself. As these films are concerned with religion as a part of everyday social and cultural life among Muslims, rather than with religion and religious belief per se, and are no way Islamic, these films may be described as 'Islamicate', which 'would refer not directory to the religion, Islam, itself, but to the social and cultural complex historically associated with Islam and Muslims, both among Muslims themselves and even when found among non-Muslims' (Kesavan 1994: 246). (Rachel Dwyer著、Filming the Gods: Religion and Indian Cinema, Routledge, 2006,P.97より)

もっと一般的なムスリム・ソーシャル(これはヒンディー語映画界では細々と続き、マラヤーラム映画界では特異な一ジャンルとなっている)というのにもこれまでのところ遭遇していない。何故なのか。しかしこの問題はあまりにも奥が深すぎるから、ここでチョコチョコと思いつきを走り書きしてもしょうがないな。

話をもとに戻して。上に挙げた The AngrezHyderabad Nawabs、どちらも(特に前者)低予算でまるでTVドラマみたいな安っぽいつくり。俳優陣も明らかに素人臭くて映画スターの持つグラマーのかけらも無いのだけど、ハイダラーバードの一部映画館で限定公開されてから口コミで評判が広まり、結構なヒットになったという(ただしハイダラーバード圏のみ)。台詞はウルドゥー語がベース、だからといって登場人物全員がムスリムとは限らない。基本的にしゃべくりで笑わせるコメディ、DVDの字幕は結構律儀に逐語訳しているようなのだが、どこがおもしろいのかさっぱり分からない。それにもかかわらずなんとなく癒される、何なのだろうこの感覚は。メインストリームのテルグ語映画が、どこまでも飽くことなく脇目もふらず王道に娯楽的(←プロフェッショナリズムの塊という意味)だから、別世界をかいま見た気分になるんだな。コスモポリタンな大都会の住人に向けて作られた映画が極端にローカルなインディーズ系お笑いで、背後に広がる広大な農村地帯の住人向けのメインストリーム映画が巨大予算を投下したドリーム・プロダクト、この対比は面白い。

などと色々書いてみても、見てない人にはさっぱり訳が分からないだろうから、両作品の見どころだけ、挙げておきやしょう。

The Angrez:カリブからやってきた DJ Cold Rocks による唯一の劇中歌 ♪Hyderabadi Biryani、ハイダラーバードの名所の名前を列挙しただけのラップが情けなくてイイ。それから劇中でNRIの主人公に纏わり付くローカルのひとりが連呼する 'Dollarah, dollarah...' (=dollar)。どっらら〜、どっらら〜、と歌うように繰り返されるところが癒し系。
Hyderabad Nawabs:いくらコメディとはいえ、テルグ映画界のお膝元でこんなのやっていいんかい!というくらい情けないアクションシーン。それから、メインストリーム映画界からの特別出演として貫禄を見せる Kota Sreenivasa Rao がしゃべるウルドゥー語の台詞。

イスラム王朝時代劇でもなければムスリム・ソーシャルでもない、不思議なウルドゥー語映画の世界、結構ハマります。

投稿者 Periplo : 23:23 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年05月18日

Andala Ramudu 2

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(前回よりの続き)話がわき道に逸れてしまったけれど、本作の映画としての出来は可もなく不可もなくといったところか。確かに暴力シーンのないストーリーは心休まるし、コメディアン・スニールが華麗なステップを踏む場面は鮮やかな印象を残しはするのだが。これでテルグ映画のトレンドが転換する訳でもないし、スニールの役者人生が大きく変わるものでもなさそうだ。そのへんのところは本人も充分に分かっているらしいことがうかがわれる The Hindu のインタビュー In a larger-than-life role。似たようなことは Achanuranghatha Veedu (Malayalam - 2006) Dir. Lal Jose でのシリアス演技がかなりの評判を呼んだマ映画界お笑いサリム・クマールも言ってたっけ。

結局のところ、コメディアンのヒーロー映画というのは、観客には箸休め、コメディアンには皆勤特別手当みたいなもんなんだろうかね。タミルの若手トップコメディアン・ヴィヴェックが主演した Solli Adippen (Tamil - 2007) Dir. SAC Ramki なんかの場合はどうなってるのか、興味を惹かれる。

andalaramudu2.jpg本作では、ヒーローを演じる(といっても所謂「無垢なる愚か者」という設定で充分に間抜けで笑いをとるキャラなのだが)スニールのサイドキックとしてさらに二人のコメディアン(ブラフマーナンダンとヴェーヌ・マーダヴ)を配している。このあたり、何か強迫的なまでに堅固なテルグ・フォーミュラが感じられる。出演作をちゃんとカウントしたら間違いなくギネスブック入りするであろうブラフマーナンダンには、この手の皆勤賞が与えられたことがあるのだろうか。 idlebrain によるインタビューを読むと、この人は自分の職業に対して随分とニヒルな見方をしているのだなと思える。

もう一方のお笑い役、中堅のヴェーヌ・マーダヴ(上の写真の左)は次回作 Bhookailas [Bhookailas..ekaram yabhai kotlu] (Telugu) Dir. Siva Nageswara Rao でヒーローデビューの予定。Hungama (Telugu - 2005) Dir. S V Krishna Reddy を初主演としている記事もあるが、これは他の大勢のコメディアンと掴み合いするようなストーリーらしい。それに対して今度の Bhookailas は、ソロのソングシーンはあるわ、外国(タイ)ロケはするは、ヒロインは4人もいるわで大変なことになってるらしい。コテコテのヴェーヌ・マーダヴがどういうダンスを見せてくれるのか。

話を Andala Ramudu に戻していつもの箇条書きインプレッション。
■基本的に三枚目設定のスニールが唯一イケメンとしてお膳立てされるのが歌舞シーン。全部で5曲あるダンスシーンのかなりの部分を、グラサン姿で通している。以前見た別の映画でもそうだったんだけど、そこらのタダの人がスターさんに変身するための仕掛けとして、グラサンというのはもの凄い威力を発揮するようなのだ。単にクールに見せるお洒落アイテムというのを超えて、なにか化学反応を誘導する魔法の装置のような。南印グラサン文化についてはまだまだ探求が必要。
■中盤のコミカルなシーンでクリシュナ神の出で立ちで現れるスニール(上の写真)。この青塗りメイクが素晴らしい。これまでの神様メイクっつったら、ペンキを頭から浴びせかけただけって感じの皮膚呼吸困難症になりそうな仕上がりばっかだったけど、ここでは以前のものとは明らかに一線を画したナチュラルメイク藁。地肌の黒を活かしつつパウダーをはたいた透明感のあるテクスチャー。メイクアップ・アーティストの名前は分かんないけど、今後の神様映画(特にヴィシュヌ系)のヴィジュアルがますます洗練されたものになっていくのではないかと思われる。(お仕舞い)

投稿者 Periplo : 04:38 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年05月13日

Andala Ramudu 1

コメディアンや悪役が主役を張る映画というのに何故だか惹かれる。テルグ界の若手コメディアンのトップであるスニールがヒーロー役だってんだから期待も高まるってもんだ。

Andala Ramudu (Telugu - 2006) Dir. P Lakshmi Narayana
Cast : Sunil, Arthi Agarwal, Akash, Kota Srinivasa Rao, Dharmavarapu Subrahmanyam, Kondavalasa, Lakshmipti, Ramachandra Rao, Lakkimsetty, Chalapati Rao, Vadivukkarasu, Brahmanandam, Venu Madhav

異業種からの進出といっても、悪役→ヒーローの方が、コメディアン→ヒーローよりも楽勝なんじゃないかと思う。悪役が結局のところ、鏡に映したヒーロー像に過ぎないことはよくあるから。ヒーローと張り合うくらい男前で、金持ちで、腕っ節の強い悪役という設定はそんなに無茶じゃない(一般的でもないが)。しかしコメディアンとなるとそうはいかない。ヒーローVS悪役とは違う立ち位置にあって、笑わせるというよりは笑われることに専念しなければならないから。コメディアン・イメージが定着した俳優を主役に据えるためには脚本にも芝居にもそれなりの工夫が必要。

しかし、この映画、のっけからそういう興味とは別のところで興奮させられた。

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一曲目のヒーロー登場ソング、スニールが村人と一緒に踊るシーンに現れる、チランジーヴィ主演の Shankar Dada MBBS (Telugu - 2004) Dir. Jayant C Paranji の宣伝車。一同はこの自転車が通り過ぎるまでしばらく踊りを中断してリスペクトするんだ(自分の尊敬する人物へのオマージュを作中で表現する、これぞ主役の特権)。

これについちゃ、最近読んだばっかりだったの。

In Madanapalle town an orchestra in procession through the main thoroughfares of the town publicizes all new releases, regardless of language (figure 31). The practice is believed to be four to five decades old.(S V Srinivas, Hong Kong Action Film in the Indian B Circuit [Published in Inter-Asia Cultural Studies, volume 4, number 1, 2003 (april). Pp. 40-62.] P.15より、親ページはこちら

どえらい特殊テーマ論文で、テルグ初心者にとってはなかなか消化できない部分も多いのだけれど、AP州の田舎でのBグレード映画の配給を巡るアナーキーな状況が垣間見えて面白かったのだ。上記引用箇所には思わず赤線引いた。この古式床しき街頭宣伝が2006年公開の映画中に出てくるとは。実際に現地でどれだけ残ってるのかは計り知れないけれど、オフィシャルサイトだのなんだのよりはこういうライブ感ある宣伝の方がテルグ界では実効性があるのかもしれない、何となくそう感じた。(一旦終了)

投稿者 Periplo : 05:34 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年05月08日

ペレストロイカは革命である

あんまし吃驚しすぎて自分でもなに言ってんのか分かんないや。

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モーハン・バブーのプロデュース、Manoj Kumar, Shiela 主演で制作中のRaju Bhai (Telugu) Dir. Surya Kiran のオーディオお披露目式典(4月28日)に現れたヒョロッとした人なつこいニイちゃん。キャプション見てもしばらくは信じられなかった、この子だとはさ。

なんで筆者がこんなに腰抜かしてるのか分からない人は Allari Ramudu (Telugu - 2002) Dir. B Gopal のオフィシャルサイト でも覗いてみてくだせえ。

allari.jpgなぜなのか、そしてどうやったのか、またファンクラブはどう出るのか、疑問はつきないが、神様ファンタジーであるとも言われている次回作 Yama Donga (Telugu) Dir. S S Rajamouli を固唾をのんで待ちたい。

やっぱり信じられないやという人は以下のギャラリーで自分で確かめてみて下せえ。
idle brain
Bharat Waves
teluguone


投稿者 Periplo : 01:37 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年03月02日

ダンス甲子園決勝戦

舞こそすべて3、またはタミルの仇をテルグで討つ、の巻。スポ根が似合う男、Lawrence Raghava (Raghavendra)。
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彼がコレオグラファー上がりではなく、単なる駆け出し俳優だったなら、多分ここまでの侮辱を受ける事はなかったんじゃないか。

It was TVD Prasad who forced me to act as hero in Speed Dancer. That film was a flop and people insulted me on the face after that. (中略) I acted in 2 Tamil films as hero and those films were also flopped. (中略)After the release, that director gave a statement that the film would have become a hit if I were not the hero. My mother cried after reading that statement. I challenged that director that I would become the hero of a hit film soon and would invite him to the 100 days function. Insults like these ignite fire in me. (idlebrain.com によるローレンスのインタビュー[2006年1月]より)

この Speed Dancer の公開年、監督等は現状でわからず。そもそもローレンスのフィルモグラフィーが見つからない。この暴言を吐いたのが Speed Dancer の監督だったのか、別の映画の方の監督だったのかもぼやかして書いてあるので分からない。ロ−レンス主演のもう一本、Style はなぜかだいぶ前に鑑賞済みだった。

cvStyle.jpgStyle (Tamil - 2003?) Dir. Sibi Chakravarthy
Cast : Lawrence, Gayathri Raghuram, Vadivelu
そんなに古いものでもないのに、この映画に関してはネット上の情報がホントに少ない。公開年も、 idlebrain によるローレンスへの別のインタビュー(2002年10月)中にある、「Style というタミル映画を撮影中」との発言からの推測。レビューも以前は一つだけ酷評してるのがあったんだけど、今になって探してみたら消滅。

まあ、スゴい体験だった。日頃あーだこーだとクサしたりしてるオッちゃん達・兄ちゃん達主演のタミル映画が、そうはいっても頂上レベルのものなのだといことがよく分かる、底辺を垣間見せてくれる怪作。ともかく全てがどよーんとヤスい。とはいえ、時間の無駄だったと後悔したかというと、そうでもない。ストーリーはミモラ [Hum Dil De Chuke Sanam / HDDCS] (Hindi - 1999) Dir. Sanjay Leela Bhansali のタミル的展開。これを外したらもう映画として成り立たない、というタミルのセンチメントがクッキリ浮かび上がっていて面白かったのですた。フロップの理由は充分に分かるが、全責任がローレンスにあるなんてのは無茶な物言いだ。

駄目ヒーローの烙印を押されてしまったローレンスは切歯扼腕してテルグに向かった。そこで監督業に転じて、アクション映画 Mass (Telugu - 2004) を送り出し、見事これがヒット。監督としてのローレンスは、たとえばプラブ・デーヴァの老練さと比べると、明らかにブキッシュ(例えば単調な群衆処理など)。本作も定型的なアクション・フォーミュラで全く新味はないのだが、主演のナーガールジュナ、ジョーティカ、チャールミーのスターキャストの力が大きかったのではないかと思える。

幸運なスタートを切ったローレンスは、注目の第二作目で守りに入るどころか、いきなり雪辱を晴らす勝負にでた。かつての因縁のフロップと同じタイトルで主演・監督をつとめるというチャレンジに。

Style (Telugu - 2006) Dir. Lawrence Raghava
Cast : Lawrence Raghava, Charmi, Kamalini Mukharjee, Prabhu Deva, Raja, Lohit, Suman, Jaya Sudha, Bhanu Chandar, Dharmavarapu Subramanyam, Kovai Sarala, Chiranjeevi, Nagarjuna

ストーリーは同名のタミル旧作とは全く関係ない。親と生き別れになった貧しい主人公がダンサーとして身を立て、ライバルを退けて栄冠を戴くまでの物語。
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凄いのはここでのダンスってのが、ショーアップされたブレイクダンスというか、完全に西洋スタイルのものだってとこ。出てくるのはプロのダンサーばっか(と推測される)で、最初から最後までダンスバトルしてる。母への愛だとか、束の間の片思い、下町の人情なんてのも一応放り込んではあるのだが、観客のエモーションを引き寄せるほどの力はない。ただもう監督自身のルサンチマンのほとばしりそのままに超絶のファンキーで怒濤のように踊りまくる、立派なオタク映画なの。

しかしオタク映画で終わっちゃヒットには結びつかない。これが古典舞踊家を主人公にした芸道ものならバクティと絡めて感動的なラストに持ってくこともできただろうけど、ここではそうもいかない。で、どうしたかというと生き神様にご降臨いただいたのでした。まあ、こういう色んな人材を他州から拾ってきて特殊映画を作らせてみるテルグ映画界ってのは懐が深いんだねえ、と感心した次第。

このテルグ版 Style が100日連続上映を果たしてローレンス君が仇敵を式典に呼んだのかどうかはわからないが、タミル語吹き替え版が Latchiyam: Oru Thayin Asai (Tamil - 2007) として昨年12月にオーディオリリースに漕ぎ着けたらしい。タミル版では若干設定を変えていて、ローレンスは熱烈なラジニファンという役どころだという。ん、てことは…(まさかねえ)?

投稿者 Periplo : 23:55 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年02月21日

舞こそすべて2

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寝言の続き。非西欧世界のパフォーミングアートにまつわる言説の中にしばしば見られる、芸能の過度な神聖視からは距離をおきたいと日頃感じているのだ。すべての芸能は神への奉納から始まったとか、芸道は神聖なものだから世俗の娯楽と一絡げにしてはバチがあたるとか、レトリックが美しすぎるからかえって警戒してしまうんだな。そういうの自体が近代化の中で伝統芸能が生きながらえるためにサンスクリタイゼーションした結果のように思えてしまう、まったくもって根拠薄弱な話ではあるけれど。

でもまあインド映画の中でなら話は別。キレイな嘘で死ぬまで騙し続けてくれるんだったら、好きにして、ってとこ。

前回も書いたように、本作俳優陣の古典舞踊の技量には、それだけで観客を陶酔に引き込む力はない。それはコレオグラファーであるPDにはもとより分かっていたはずだ。で、どうしたかというと、クライマックスの神前ダンスシーンに、テルグ・バクティ映画の定型である凄惨な血の供儀を合わせ技で持ってきた。これはヤラレタと思った。んな馬鹿な、という捨て身の自己犠牲が、にもかかわらず目を背けたくなる酸鼻とはならず、不思議に綺麗に撮れているんだ。こればかりはネタバラし不可能。最後の15分のために見る価値はあり、とだけ書いとこう。

以下はいつものタメぐち。

文句なしの本作ワーストダンサー賞は…

rahul.jpgrahul2.jpg

邪まな領主役のラーフル・デーヴさんです。一説にはボリウッドで一番セクシーな男、ムンバイトップ10モデルの一人にして、「キャットウォークの帝王」の異名ももつラーフルさんが、テルグ映画では頓馬な悪役ばっかやってるのをボリファンの皆さんは知ってるのだろうか(といってもヒンディー映画でもメインは悪役らしい)。こいつが豪壮で悪趣味な邸宅でマイ生オケをバックにワインをすすりながら独りでうっとり踊るシーン、大爆笑。これも狙ってやったのだろうか、だとしたら相当人が悪いねPD監督。

ともかく、おいらがラーフルを蹴落としたいライバルモデルだったなら、「ラーフル名場面集@テルグ」のコンピVCDを自主制作してスポンサーに配りまくるがな。

投稿者 Periplo : 04:15 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年02月20日

舞こそすべて1

注目の新進監督と持ち上げたからには、注目の第二作目もチェックしなきゃイカんという気になったのでした。

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Pournami2.jpg

Pournami [Full Moon Night] (Telugu - 2006) Dir. Prabhu Deva
Cast : Prabhas, Trisha, Charmmi, Sindhu Tolani, Chandra Mohan, Kota Srinivasa Rao, Dharmavarapu, Rahul Dev, Mukesh Rishi, Tanikella Bharani, Paruchuri Venkateswara Rao, Raja Sridhar, Sunil, AVS, Mallikarjuna Rao, Narra, Harshavardhan, Gundu, Brahmaji, GV, Narsing Yadav, Subbaraju, Sravan, Ajay, Geetha, Manju Bhargavi, Sangeetha, Madhu Sharma, Pavala Shyamala, Padma Jayanthi, Sana, Archana (Veda), Baby Divya, Baby Karman, Baby Chetana, Master Deepak
Story, Screenplay & Producer : M S Raju, Music : Devi Sri Prasad, Cinematography : Venkat Prasad, Art : Ashok, Choreography : Prabhu Deva, Vishnudeva, Action : Peter Hein

■導入部の粗筋
1960年代のAP州の片田舎。名家の当主スブラマニアン(Chandra Mohan) は窮地に立たされていた。450年前の昔から、彼の家系の総領娘は12年に一度のシヴァ寺院の大祭で奉納舞を捧げる慣わしだった。これによって一帯のすべての人々にシヴァ神の恵みの雨がもたらされ、豊穣が約束されるのだという。ところが、この重大な儀礼を前にして、10年以上も厳しい踊りの修業を積んできた長女パウルナミ(Trisha) が駆け落ちをしてしまったのだ。すぐにも次女のチャンドラカラ(Charmmi) を舞姫に仕立て上げるべしとの村人達の要求を、なぜか彼は頑なに拒む。そんな折り、西洋ダンスのトレーナーという触れ込みの風来坊・シヴァケーシャヴァ(Prabhas)がどこからともなくやってきて、彼の家にころがり込む。

最初の頃は、PD作品だからというよりプロデューサー自身が「Chandramukhi にインスピレーションを貰っている」と堂々と告白しているところに興味を持っていたのだった。しかしやっと実見してみれば、パクリ要素はゼロ。むしろこれとかこれあたりからヒントを得ているような気もする。そしてレビューなどの情報によれば、本作後半の一部分はAbril Despedacado [Behind the Sun] (Brazil - 2001) Dir. Walter Salles のモロパクだそうだ。不思議なもんだね。実際にはリメイクなのに「絶対にオリジナル」と言い張ってみたり、全然関係ないのに「インスピレーションを得た」とリークしてみたり。

結果的には前作の大成功に比して、本作はフロップに終わったらしい。それなりのスターキャスト、豪華セット、新奇な題材にもかかわらず。なんたってトップコレオグラファーが舞踊映画を手がけるというのだから期待は嫌が応にも高まったはずなのだが。なぜコケたかというのは実際に見てみるとなんとなく分かる。これは決して古典的な芸道ものではないんだ(そのためにはもう少し古典舞踊の技量のある俳優が必要)。ではロマンスとしてはどうかというと、ツインヒロインのどっちに感情移入してよいのか分からず置いてけぼりにされちまう。

それでもやっぱり本作には全編に踊りが充ち満ちている。

There is a tendency for a painter turned director to make every frame of his to look like a painting. Likewise, choreographer Prabhu Deva doesn't merely direct his actors; he makes every scene look like a synchronized dance performance. The expressions that the actors come out with, the finer details in their actions and reactions, their energy and zeal have come out so well only because of his direction. (Cinegoer.com レビューより)

そう、踊るような3時間を作りたかったんだ、監督は。

"The credit goes to the film's director Prabhu Deva. I had earlier worked with him in Minsara Kanavu (Merupu Kalalu in Telugu) in which he had acted as the hero. He is highly talented. Before going to the shoot he told about his ambition--to make the film look like a poem on celluloid. A renowned choreographer, he wanted his film to proceed smoothly like a melodious song. He had created the structure and I had only filmed it," says Venu with all humility.(Nuvvosthanante Nenoddhantana でカメラを担当したヴェヌゴーパールの証言

しかもポエムでもあるという。

prabhudeva.jpg

よくインド映画の特異性として語られることだが、ミュージカルシーンの撮影では監督が外野に引っ込んで、振付師がカメラの配置、カット割りその他諸々を取り仕切るというのがある。だからこそダンス「ディレクター」なんていう呼び方もあるんだろうし(格闘シーンでのファイト「ディレクター」もまたしかり)。すべての映画がこのような分業で作られている訳ではないのだろうが、プラブデーヴァはそういうチャンスに随分と恵まれて、振付け作業の中で思ったのではないか、「この調子で2時間半いけるんちゃうか」と。既に Minsaara Kanavu (Tamil - 1997) Dir. Rajiv Menon の頃に。

本作も、全編を通してポエティックでアートな舞踊映画にすれば、どこぞの映画賞でも貰えたかもしれない。しかし根っからのエンタテイナーであるPDにとってはそれは敗北、テルグ映画に要求されるバイオレンスだのコメディだのをとりあえず全部盛り込んでみたように思える。結果はいまひとつすっきりしないモヤモヤ感の残るものになってしまったのだが。ただ、ソングシーンのないストレート・フィルムに無闇に憧れたり(たとえばプリヤン)、映画賞に出品するときだけ歌舞シーン抜きのディレクターズ・カットをつくる(たとえばこの人)ような手合いを見てると、やっぱりPDを応援したくはなるな。

zzzzzzzzzzz睡魔により中断zzzzzzzzzzz

投稿者 Periplo : 02:30 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年02月10日

インディアンばっかの西部劇

wildwest.jpgcowboy.jpg

マカロニ野郎どもとおんなし事をテルグ人がやっちゃいけねえってか? 何しろコチトラのしゃべくりは「東洋のイタリア語」っつうくらいすうぃぃぃ〜となんだぜい。

Takkari Donga [Super Thief] (Telugu - 2000) Dir. Jayanth C Paranji
Cast : Mahesh Babu, Lisa Ray, Bipasha Basu, Rahul Dev, Tnikella Bharani, Raj, Ashok Kumar, Ravi Chalapati
Music : Mani Sharma, Camera : Jayanan Vincent, Art : Ashok Kumar, Fights : Vijayan

『愛と憎しみのデカン高原』[Preminchukondam Raa!] (Telugu - 1997)でデビューしたジャヤントCパーランジ作品。怪しいジャケに惹かれて見てしまったのだが…。

あまり流行っちゃいないけれども tandoori western なる用語がインドに存在するのは知っていた。西部劇の枠組みをインドに移植したアクション。代表作はもちろん Sholay (Hindi - 1975) Dir. Ramesh Sippy。しかしこれはあくまでも西部劇の翻案であって西部劇じゃない、それに大モトのネタは日本映画だし。テルグでもそーゆーのがあるのかしらんと予断をもって臨んだところ、全然違いますた。

greatwestern.jpgwesterndhal.jpg

これはまんま西部劇。正確に言えば、ハリウッド西部劇5割+ハリウッド秘宝探索アドベンチャー3割+ミュージカル2割で、コテコテの慣用句だらけなんで字幕なしでもほとんどノー問題。ただし登場人物は全員インディアンネーム(ex. 主人公の名前はラージャー)。撮影地はグランドキャニオンとデカン高原、そして作中に登場する保安官のバッジには TEXAS の文字、しかし鉄道駅にはインドの地名がヒンディー語で書かれている。これに加えておネエ様たちがやたらとスケスケ薄物をまとっていること以外は、考証的には(目を細めて見れば)大した問題なし。宗教にまつわる事物は一切登場しない。印象的なのは残虐なやり方で人がどんどん殺されていくのに動物(犬だの馬だの)はほとんど死なないとこ。これは2000年代の新しい傾向を反映してのことか。

まあ、なんというか、ワイルドな試みだ。しかしこれは最近になって始まったことじゃなくて、連綿たる系譜があるというのだ。お隣のタミルに目を転じれば Mullai Vanam (Tamil - 1955) Dir. V Krishnan というのが最初期のものになるそうだ。タミル映画界での最盛期は1950-60年代だという。MGR主演作にもあるらしいのだが、作品名の特定には到っていない。デビューしたての頃ラジニあたりもやってそうだな。テルグ界では Mosagallaku Mosagadu (Telugu - 1971) Dir. K S R Das あたりが源流という(Tollywood News Updates の Cowboy Krishna による)。毎度お馴染みの『インド映画百科事典』巻末索引等の資料を見ると、他に Kallara Kalla (Kannada - 1970) Dir. M P Shankar 、Cowboy Kulla (Kannada - 1973)Dir. Ambuja Dwarakish、Cowboy No. 1 (Telugu - 1986) Dir. K S R Doss などという作品名が見つけられるがそれ以上の手掛かりはなし。どっちにしたってB級って扱いなんだろうから変遷を辿るのは骨だろうな。

bipashabath.jpggrandcanyon.jpg

しかしまあ、チンケなストーリーなのに、絶対に手抜きしないアクション(またしても PEFSI ヴィジャヤン)、熟練のカメラワーク(グランド・キャニオンとデカン高原がまったく違和感なく連続している)、この内容でここまでやるのか、こいつら何考えとんのじゃと思っちゃうよ。

これだけはかなりトホホだけどな。

投稿者 Periplo : 23:10 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年02月01日

ヴァカ者よ体を鍛えておけ

25年後のテルグ映画100周年のその日のために。

MegaStyle.jpgmohanbabu.jpg

テルグ映画75周年記念イベント Telugu Chitra Vajrotsavam の最終日、山場のひとつである表彰式典で突然ブチ切れたドクターM。政界の要人のゲストの顔をたてて壇上に姿を見せはしたものの、celebrity としての表彰をあくまでも拒否し、理由は後ほど語るとしてお立ち台をあとに。会場内に一気に緊張が走る。続くショーではフルートの演奏などにも加わっていたらしいのだが、どこかの時点で突然にステージ上でこの催し自体を批判する演説の口火を切る。

Dr. Mohan Babu expressed his utter displeasure at the way the celebrations were conducted, ignoring several stalwarts and senior technicians.

--

"Is not Krishnam Raju a legend? He is made to stand in a disgraceful state, while hundreds of fans garlanded him outside. Is not Vijaya Nirmala, my Vadina, a legend? Don't they deserve clippings and introduction? I did in more than 500 movies, produced 47 movies. Am I not a legend? Is not my friend Giri Babu, who got success as hero, director and producer, a legend? Is not EVV Satyanarayana, a legend? He is not even given the Invitation." He also decried the rampant caste discrimination in the industry.

When his questions continued, audience at the back benches went into a hysterical mood and cheered in support of his remarks. Dr. T.S. Vijay Chander (of Karunamayudu fame) was seen zealously shouting in support of Mohan Babu.(FilmChamber.com 記事Mohan Babu decries bias at TCV より)

ネット上ではブーイングの嵐だが、ドクターMに拍手した観衆も結構いたんだな。フィルムチェンバーのエディトリアル記事にもそんな雰囲気が透けて見える。

The Telugu Cinema Vajrotsavam (TCV) organizers said that the objective is to celebrate the completion of 75 years by the Telugu cinema. They also said 75 stalwarts from the Indian film industry would be felicitated. At the nick of the moment, nobody wants to clarify − What is a Legend? And what is a Celebrity? People are not fools. Is this discrimination heading for a caste divide?

--

The organizers chose to honor him as a “Celebrity” and not as a “Legend”. None of the organizers have explained the difference between the two “Honors” that they had invented in all illogical sense. The common man will sure agree with him. “Is not Krishnam Raju a Legend? Is not Vijaya Nirmla a Legend?”(FilmChamber.com 記事Clash of the Titans より)

ドクターMはもの凄い長広舌で、自分の貧しい生い立ちやら、カーストを問わない慈善教育施設を立ち上げた話やらが混じって焦点がぼやけてるようにも思えるのだが、結局聞き手の耳に嫌でも残ったのは、(実名こそ伏せられていたが)legend として表彰されたメガ様への批判か。

Later, Mr. Mohan Babu in an emotional speech wanted to know why prominent figures of the industry were ignored and why the legendary honour was being extended to just one person, hinting at the felicitations to Mega Star Chiranjeevi.(The Hindu 記事 Mohan Babu vents displeasure at organisers より)

実はこの二人、以前から仲悪かったらしいんだな。

Mohan Babu, who is said to have had misunderstandings for over two decades with Chiranjeevi now, has reportedly been using every opportunity to launch verbal attacks on the star. (IBNlive 記事 Chiranjeevi in tears post-film fest より)

しかしここまで言われたら伝説のメガスターたる者、ヘラヘラしてもいられない。そこで前回紹介の反撃演説にでた。

Now I have decided to surrender the 'Legend Honour' including the shawl, medal, award and others in the 'time capsule'. Again we all including me, Balakrishna, Nagarjuna, Venkatesh, Pawan Kalyan, Maheshbabu will meet at the Centenary celebrations of the Telugu film industry in 2032. If you feel that we are legends at that time, return the same to me and I will accept the award. I promise that I will continue in the film industry till that day.'(IndiaGlitz 記事 Chiranjeevi turns emotional より)

そしてホントにタイムカプセルに受賞メダルを入れちまったらしい。

うーん、凄すぎる展開。これホントに事前のネタ合わせなしでやったわけ? ともかく、20年越しの因縁、インターミッションを挟んで Telugu Cinema 100 で再び対決するのか、お二人さん。不死身のチル様には25年先なんてチョロいだろうけど(2032年時点で弱冠77歳)、見てるこっちにとっちゃ気が遠くなる話。養生を心がけんと。

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投稿者 Periplo : 05:30 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年01月30日

緊急メモ:激嵩するメガ様

く〜ん、くんくんくん、何だか香ばしくてオイシイ匂いがしてきたぁ〜。

Responding to the comments made by his co-star Mohanbabu, Mega Star Chiranjeevi expressed his anguish in an emotional tone.

He says, 'Earlier Dasari Narayana Rao said that we should not talk about us, but our background. As far as me, my birth place is a village. I was also brought up in a village. It sans town atmosphere. My family social status, our economic background has nothing to do with my present status, my fan following. Who gave me all this. It is the Telugu Film Industry. (以下あまりに長すぎるので省略、IndiaGlitz 記事 Chiranjeevi turns emotional より)

いったい何を口走ったのだドクターM。テルグ映画の75周年を祝う Telugu Chitra Vajrotsavam で何が起きたのだ? 調査、調査、鋭意調査じゃあ。

投稿者 Periplo : 02:33 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年01月23日

飛び道具とは卑怯なり

athadu.jpgAthadu [The Hunter] (Telugu - 2005) Dir. Trivikram Srinivas
Cast : Mahesh Babu, Trisha, Prakash Raj, Sonu Sood, Srinivasa Rao Kota, Nasser, Brahmanandam, Sunil, Sayaji Shinde, Rahul Dev
Story, Dialogue, Screenplay : Trivikram Srinivas
Music : Mani Sharma, Cinematography : K V Guhan, Art : Thota Tharani

最近になってツンのめるようにテルグを見始めるきっかけとなった幾つかの刮目モノのうちの一本がこれ。いんやもうRGVも真っ青、ってくらいにスタイリッシュ。でありながら自己目的化した新機軸ではない、徹頭徹尾娯楽的なアクション大作。シュールな領域に入ってるヒーローの腕っ節の強さ、おきゃんでオバカなヒロイン、悪徳政治家、ファミリー・センティメント、ダンス、コメディ、全部詰まってそれでもスタイリッシュ。なかなかできるもんじゃないよ。たまたまこの映画で、スターさん達や裏方さん達それぞれの持ち味が上手く噛み合って生まれたのか、テルグ界全体が底上げしてるのか、それが知りたくて次から次へと手を出してしまうのだ。伝統的なテルグ映画のトレードマーク、悪夢のような映像美(たとえばこれ)とか、極彩色のカジュアルウェアを自然体で着こなすナイスガイ達(たとえばこんな感じ)とかにも愛着はあるのだが。ご多分にもれず本作もコンテンツ的には各種の先行作品からパッチワークしてるみたいなのだけれど(こちら参照)、プリヤン追っかけをやってるこちとらにとっては別にマイナスポイントにはならない。

本作のレビュー中で印象的だった一節。

It is very difficult to make the fights appeal to Andhra audiences when shootout (pistol) is involved. (idlebrain.com レビュー Athadu より)

いやいや idlebrain さんは控えめにアーンドラと言ってるけど、これはインド全体にあてはまるのではないか。ガンファイトでは満足できないんだ、インドの衆は。やっぱり、どすっ、ばすっ、ごぎっ、って感じの肉弾戦があって、ワイヤー使いまくった空中戦があって、派手に野菜が吹っ飛んで、鉈振り回して、さらには人間大砲がガラスを粉々にしないとカタルシスが得られないみたいなんだ(もっともガンファイトがメインになるべき戦争物というのを筆者はあまり見てないので若干留保はしておかなければならないが)。だからパンパン撃ちまくって人死に続出の Company (Hindi - 2002) Dir. Ram Gopal Varma なんかはアクションじゃなくて「人間ドラマ」ってことになるんだと思う。

しかし大胆にも本作はクライマックスのアクションシーンに銃撃戦を持ってきた。ここでどうやって観衆の嗜好を満足させたか? 

ヒント:アクションディレクターはこの人。って答を言ったも同然か(藁。

投稿者 Periplo : 05:33 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年01月12日

ポストNTR時代の唯一神

suman.jpgオフスクリーンの普段着はヴェルサーチか?のスマン様。

もう一年以上前から注目して待ちこがれていたバクティ映画、Sri Ramadasu (Telugu - 2006) Dir. K Raghavendra Rao。やっとDVDで見ることができますた。iDream のディスクも気合い入りまくり、サウス映画じゃこれまでに見たこともないような全12ページのカラー冊子付き、1時間20分近くあるメイキング映像入り Disc 2 付き、3連カバーはほとんどポータブル祭壇じゃ。もちろん本編の映像も美麗だし、字幕も文句なし。

…なのにそれほど感動がなかった、なんでなんだろ。ポストモダン神様映画の一つの頂点と信じて疑わない Annamayya (Telugu - 1997) Dir. K Raghavendra Rao(なんでも去年ヒンディー語吹き替え版が公開されたらしい)と共通したキャスト&スタッフが多いから、いやがうえにも期待は高まっていたのだが。

■事前にわかってしまってもどーってことない粗筋
遠い昔、ゴーダーヴァリ川の人里離れた岸辺に隠棲していた聖仙バドラー (Bhadra / Sarath Babu) は、苦行の果てにラーマ神のダルシャンを得、法悦のうちに聖山バドラーギリと化す。実はこの地は、ラーマ王子が妻のシーター、弟のラクシャマナ、忠実なハヌマーンと共に、14年間の隠遁生活を送った場所であったのだ(とデカン地方では信じられており、「南のアヨーディヤ」の異名を持つという)。

時代は下り17世紀中葉、部族民でありながら熱心なラーマ信者である老女ダンマッカ (Dammakka / Sujatha) は、夢のお告げに従って訪れたバドラーギリの川辺で蟻塚の中にラーマ神像を発見し、簡素な雨よけを造り、ただ独り神前での勤行(というより神像のお世話)に明け暮れる。同じ頃、信仰熱い家庭に生まれたゴーパンナ (Gopanna / Nagarjuna) はゴールコンダのムスリムのナワーブ・タニーシャー (Tanisha / Nasser) によって一帯の収税官(Tehsildar、今日でいうコレクターに相当する権力者のようだ)に任命され、愛妻のカマラー (Kamala / Sneha) と共に赴任する 。ある日ダンマッカの一途な帰依の姿を見て感銘を受けたゴーパンナは、神像出現の地に寺院を建立することを決意し、公邸を捨て川辺の苫屋に移り住み、人々から喜捨を募る。その地を訪れた聖者カビール・ダース (Kabir Das / ANR) の祝福を受け、ラーマダース(ラーマ神の僕)を名乗ることになったゴーパンナは数年の歳月の後、壮麗なバドラーチャラム・ラーマ寺院を完成させた。

しかし彼を逆恨みする腐敗した前収税官の讒言によりラーマダースはナワーブの宮廷に召喚され、許可のない寺院建立と公金横領の罪に問われ、獄に繋がれて拷問されることとなる。ある夜、寝所のナワーブのもとにラーマとラクシュマナが訪れ、ラーマダースが横領したとされる金貨をナワーブの前に積み上げる。夜が明けて目覚めたあとにもその金貨が残されているのを見て、ナワーブは奇蹟を悟り、ラーマダースを解放し心から詫びる。しかし、これほどのバクティを捧げながらも、なぜ自らにはラーマ神のダルシャンが与えられなかったのか、懊悩するラーマダースは這うようにして再びバドラーギリに赴く。以下クライマックスは省略。

sriramadasu1.jpg

語り口としては平坦な紙芝居なのだけれど、神様映画でこれに文句を言ってはいけない。そんな中にもいろいろ面白くするための工夫はしてあるんだよね。

たとえば他宗教との混交(あくまでヒンドゥーに都合のいい吸収合併という形でだけど)。神像の発見者は部族民の女性だし、主人公のグルであるカビールはムスリムでもヒンドゥーでもなく生涯を信仰に捧げた神秘思想家(カビールは15世紀の人だから本当は主人公とまみえた事実はないのだが。そのあたりはこちらのレッディさんのエッセイに詳しい)、ナワーブもラーマ神の出現に素直に改悛しちゃったりするのだ。さらに台詞の中では、テルグ語地域で特に信仰の厚いヴェーンカテーシュワラ神(ヴィシュヌ神と同一視されている)の妻の一人はムスリム女性の Bibi Nancharamma であるなどということが淡々と語られている(ビビ・ナンチャランマ信仰についての資料)。

sriramadasu3.jpg

一方で結構刺激的な部分もある。

それではタラマティ宮殿バガマティ宮殿(余談だがバガマティ妃はこの記事によればヒンドゥーのデーヴァダーシーだったそうだ)はなんのために建てられたのですか? そしてゴールコンダとバギヤナガル(ハイダラーバードの古名)とを結ぶ橋はなぜに架けられたのでしょうか? それ以外にもチャールミナールが、あなたのご先祖のロマンスの忘れ形見として建てられました。そして既に亡くなっているご親族のためにゴールコンダ一帯に墓もお造りになりました。これらが民のためになっているというのでしょうか。(中略)あなたが愛の証や故人の追悼のために宮殿や霊廟をお造りになるのなら、我らのラーマ神のために寺院を建立することに非がありましょうか。(中略)バドラーチャラムにいらっしゃいまし、そして寺院に詣でて祝福を受けるがよろしい。そこでヒンドゥーとムスリムの和合を感じられるがいい。

公金を横領したうえでの無許可の寺院建立を咎められた主人公が、ナワーブの前で長々と演説する場面の台詞の一部。最後の一文を除けば、本家のアヨーディヤにラーマ寺院を建てちゃうぞと言ってる過激派の皆さんが大喜びしそうな言説だ。凄いねえ。

sriramadasu2.jpg

まあ、色々と夾雑物は混じっているにせよ、全体を通して見ると、寺院縁起の体裁をとりながら同時に極めて現代的な「神の沈黙」も語られる。いかにラーマダースが苦境に陥っても、ラーマ神は人里離れた聖域で妻・弟・従者と一緒にロハスなスローライフを送ってるだけというシーンが続く。これは素晴らしい。

絶望したラーマダースは問う、無学な老女、そして異教徒の前にすら現れたあなた様が、僕である私には何故にお徴しを与えてくださらないのか。追いすがる妻は言う、幾度となくラーマ神のみ業を目にしたあなたがなぜそれほどにダルシャンを求めるのか、神はあなたの心のなかにこそおわすのではないですか、と。ここで終われば退屈だけど余韻の残る映画だったかもしれないけど(以下は見てのお楽しみ)。

グチャグチャと文句を垂れてみたけれど、最大の見どころはスマン様の神々しい演技。現代の奇跡と言っていいのじゃないだろうか。rediff の記事等によればスマン様は1959年チェンナイ生まれ、母語はトゥル語、他にヒンディー、サンスクリット、タミル、テルグ、カンナダ、英語をお話しになるという。オフィシャルサイトの情報では空手の黒帯でカラリパヤットもマスター。デビューからしばらくはもっぱらアクション俳優をなさっていたようだ。 Kevin Sumunt の名前でインディーズ系英語映画 Death and Taxis (USA - 2004) Dir. Kevin Mukherji にも脇役出演。うーん、スマン様のアクション映画、見たいいいいい〜。

しかし既に公開間近の次回作 Sri Satyanarayana Swamy (Telugu) Dir. Nagesh Naradasi も神様映画。もちろんこれも追っかけしますです。

本作のメイキング映像も。
makingrama1.jpgmakingrama2.jpg

もちろんインド映画ディスクのメイキングという名のオマケに多大な期待をしちゃいけない。ゆるーい1時間20分ではあるけれど、神様映画の撮影現場というのはやっぱり貴重。収税官の公邸として現れる見事なデカンスタイルの世俗建築が実はカルナータカ州にある廃屋だとか、トリヴィアも。唯一不満だったのは、本作出演者の大部分がテルグ語を話す人だったから、ガイジン助っ人さんの口の動きが上手くいかずにリテイクになっちゃったりする場面が見られなかったことかも。

投稿者 Periplo : 04:46 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年01月08日

たまには本も読もう6

そしてまた新たな疑問に悶絶しよう。

 シャーカーとは、整列・行進にはじまり、ヨーガや武術、伝統スポーツの訓練、マントラや賛歌の斉唱、訓話や問答、対話などを行うもので、インド各地で毎日開かれているRSSの末端活動である。(中島岳志、『ナショナリズムと宗教 現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』、2005年、春風社刊、P.200より)

 一回のシャーカーは通常一時間ほどで、(1)整列・行進およびヨーガやインドの伝統スポーツ、武術を行う「身体訓練」、(2)マントラや賛歌の斉唱、訓話などの「知的訓練」、(3)問答・討論などを行う「対話」の三本柱で構成される。基本的に、シャーカーに参加するスワヤンセーヴァクたちは、シクシャークやガタナーヤクを含め、みなカーキー色のショートパンツに白いシャツというユニフォームを身に着けることになっている。
 シャーカーは主任教育係の笛の合図と共に全員が整列し、サフロン色の旗を立てるところからはじまる。立てた旗に向かい、参加者は胸に手をあて一礼、RSSメンバーである誓いを述べる。その後、「回れ右」「右向け右」などの号令にあわせて整列の練習をし、整列したままの状態で行進の訓練に移る。場所によっては、これにランニングを加えるところもある。
 次にスーリヤ・ナマスカールという太陽に捧げる祈りを行う。(中略)つづいてさまざまなヨーガや武術の鍛錬が行われる。ここではタンダーと呼ばれる竹製の警棒を用いた武術の訓練が中心になることが多い。(同書 P.202-203より)

 シャーカーではカーキー色の短パン、白いシャツ、黒い革靴、白い靴下、黒い帽子が制服に設定されており、それを着用することが原則とされる。(同書 P.210より)

久しぶりに巡り会った快著。マスコミ報道では「危険で時代錯誤な復古主義」「ファシズムへの指向性を持った狂信者集団」という紋切り型でしか紹介されないヒンドゥー・ナショナリズムの最前線を、大衆組織であるサング・パリワール、とりわけRSS諸団体の末端での活動を通して分析し、なおかつインド現代史の流れの中で俯瞰する。結構な大仕事だ。それにもかかわらず無学者にも理解可能な平易な文体で書かれていることが有難い。上記引用箇所以外でも面白かったのは、デリーで開かれた全インド学生協会の全国大会で、南インドから動員された学生代表たちが、延々と続く難解なヒンディー語の演説に飽き飽きして逸脱行為を始めたというエピソード(P.339-340)。不適切な物言いかもしれないが、ここは物凄くウケた。

話を元にもどすと、草の根のファンダメンタリズムを支えるシャーカー活動の実際というのは、ガイジンにはなかなかはかりがたい部分だったのだ。現地の人にはなんでもない当たり前の風景なんだろうけど。

この部分を読んで、ふと最近見たOkkadu [A single guy] (Telugu - 2003) Dir. Guna Sekhar の冒頭のミュージカルシーンを思い出して思わず「あうあうっ…!」っと大声あげちゃったんだよね。

なかなかよくできたアクション映画だったのだ。冒頭でハイダラーバード下町の対立する二つの不良グループがガンを飛ばしあうシーンは、明らかに『ウェストサイド物語』(USA - 1961) Dir. Jerome Robbins & Robert Wise からインスピレーションを受けている。西側物語が現代版のロミオとジュリエットであるのに対して、本作はモダン・ラーマーヤナみたいな話。

最初のダンス♪Govind bolo hari gopal bolo [Hare Rama] は典型的なヒーロー登場ソングで、テルグ名物の巨大セットのチャールミナールをバックに繰り広げられる群舞。斬新さはないが上手くまとまったスタイリッシュなダンスだと思う。残念ながらディスクでは歌詞の字幕が省略されてしまっているので何を歌ってるのかは分からないのだが、idlebrain のレビューによれば、

A fast beat song with semi-classical musical interludes. Shankar Mahadevan, who is adept at singing such songs, proves the point once again with this one. Sirivennela puts forth a nice philosophy in this song that chanting God's names and celebrating festivals pompously like a norm since time immemorial finds its true meaning only when we realize the essence in those actions by understanding the importance and motives behind those chants and celebrations. The accented singing of 'Govind bolo hari gopal bolo! Radha ramana hari gopal bolo!!' sounds so cool that you start humming it even before you realize it.

なんだそうだ。

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まあ、バクティを歌うとはいってもそこはそれ、ヴィジュアルとしてはハイダラーバードに暮らす色んなバックグラウンドの人たちのイメージを散りばめて、コミュナルなハーモニーをメッセージとして全面に打ち出しているのだ。美しいじゃありませんか。

しかしだな、曲の終盤になって(曲調は変わらず)急にこんなイメージが出てくるのだ。
shakha1.jpgshakha2.jpg

これってどー見たってシャーカーの修練風景じゃん! ヒンドゥー原理主義を唱えるRSSの連中ですらハイダラーバードでは平和な風景の一部と見なされているのだろうか?

一〇代の参加者はRSSの支持者である父親に勧められ参加していたものの、学校の勉強が忙しくなってきたことを理由に参加を止めた。彼は周囲の視線のあるなか、カーキー色の短パンを履いて毎朝年長者たちとトレーニングを行うことは非常に恥ずかしいといい、シャーカー自体もあまり楽しいものではなかったと語っている。(前掲書P.230、ニューデリー高級住宅地のシャーカー構成員への聞き取り調査より)

容易に想像はできるが、こういう擬似軍隊式の集団訓練は、若い衆からはクールなものとは見なされていないのだ。それならば尚更なぜこのイメージをここに持ってきたのか?

これに限らずテルグのダンスシーンのイコノロジーにはよく分からないことが結構ある。ぼちぼち探求していこうとは思っているのだが。

ちなみに本作には Ghillli (Tamil - 2004) Dir. Dharani、 Aajay[Ajay] (Kannada - 2006) Dir. Meher Ramesh
の2つのリメイクが存在する。冒頭ソングがどういうふうに処理されているのか、そのうち見てみよう。

投稿者 Periplo : 02:35 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2007年01月03日

メモ:訃報

テルグ界の監督兼俳優 Peketi Sivaram が昨年末に90歳で死去。作品は一本も見ていないのだが、メモしときたいのは、

1.ANR主演の Devadasu (Telugu - 1953) Dir. Vedantham Raghavaiah でのコメディアンとしての演技が評価されている
2.タミル俳優プラシャーントの母方の祖父である

という2点。肖像は今のところ見つからず。

The Hindu 記事 Telugu actor dead
TeluguPortal 記事 Peketi Sivaram passes away due to ill health
OneIndia 記事 Peketi Sivaram passes away

投稿者 Periplo : 18:52 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2006年11月15日

吹き替えの経済学

AP州映画賞 Nandi Awards の発表で華やいだテルグ映画界に青天の霹靂。

同州の Film Chamber of Commerce の下部組織(?)Telugu Film Producers Council が11月11日付けで他言語映画の吹き替え上映を全面禁止にするとの発表。

The Telugu film industry is caught in a row over curbs on dubbed movies being proposed in a bid to protect the interests of local producers of small budget films.

Taking a cue from neighboring Karnataka, the Telugu Film Producers' Council had, in its general body meeting recently, decided to ban dubbing movies, particularly from Tamil, on the ground that they were "detrimental" to the original movie-making in Telugu.

The powerful body of film makers has asked its members not to buy dubbing rights of any non-Telugu movies and even warned of "non-cooperation" in case of anyone defying the ban.(同機構のウェブサイト上のニュース Telugu filmmakers call for ban on dubbed movies より)

禁止の理由は、他言語(特にタミル語)の大作の吹き替えに押され気味のテルグ語低予算映画の保護、そしてテルグ語映画の独自性の保持。

More than one-third of the total 200 releases this year were dubbed films. Out of the sixty odd dubbed films released in 2005, about ten films made their mark at the box office, according to industry sources.

Among the run-away hits this year were the Rajnikanth-starrer 'Chandramukhi' directed by P. Vasu, Shankar's 'Aparichithudu' that catapulted Vikram to superstar status, A.R. Murugadas's 'Ghazini' with Surya in the lead role, the psycho thriller 'Manmatha' with Simbu in a dual role and the off-beat love story 'Premisthe', directed by Balaji Shakthivel for Shankar with debutantes Sandhya and Bharath.

[注:AparichithuduAnniyanManmathaManmathanPremistheKaadhal]
--
Apart from Tamil movies, over half-a-dozen films dubbed from English and other languages fared well too. On the other hand, the straight films of even big Telugu stars have flopped. Even megastar Chiranjeevi's films 'Jai Chiranjeeva' and 'Andarivaadu' fared poorly at the box office.

Of the 131 films released last year, only three were big hits and a little over half-a-dozen movies managed to recover their costs. Almost all the top actors faced drubbing at the box office. The list included Allari Pidugu (Balakrishna), Super (Nagarjuna), Balu ABCDEF (Pavankalyan), Subhashchandra Bose (Venkatesh), Political Rowdy (Mohan Babu), Narasimhudu (Junior NTR) and Soggadu (Tarun).

As a result of this trend, several producers are vying to pick up dubbing rights of successful Tamil films. (同上)

なんだか結局「テルグ語低予算映画の保護」じゃなくて「テルグ語巨大予算映画の保護」って感じがするな。実際同じ記事で、テルグ映画界のプロデューサー業の寡占ぶりを馬鹿正直に紹介してるんだから。

"The cost of production has gone up so much that we cannot afford to make a straight movie in Telugu. It is still controlled by a handful of families of big-ticket producers. We are able to release a dubbing movie with much lesser budget. What is their problem?," said a small producer on condition of anonymity.(同上)

この発表に対して、吹き替え声優、吹き替え脚本家(こういう職業があるんだね)、劇場主などからは猛反発。Film Chamber オフィス前で抗議の示威行動に出たらしい。

"What originality are they talking of when most of our big films are either remakes or rehashes of successful films made in other languages? They are unable to digest the success of dubbed films. Neither can they make quality films," a noted dubbing film producer said on conditions of anonymity.

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The same council spearheaded an agitation against a ban on Telugu films imposed by the Karnataka film industry recently.(The Hindu 記事 Producers council ban on dubbed films draws flak より)

同機構の内部も一枚岩ではないようだ。

The old Nizam unit of the State Film Chamber of Commerce, Hyderabad, had unanimously resolved that there should be dubbing films.

Talking to film journalists, the president and secretary of the chamber, M Vijayender Reddy and Muralimohan respectively and others made it very clear that there should be dubbing films. They condemned the decision of the Film Producers Council in no uncertain terms.

They found fault with the decision saying that it is unbecoming on the part of the producers council to declare that they would not cooperate with the producers who go for dubbing films.(Indiaglitz 記事 Nizam Film Chamber condemns Producers council decision

疑問:old Nizam unit って何?

以前、えらく突飛な入場料金政策について読んだときも思ったけれど、テルグ界はやることがいちいち過激だわな。これでタミルvsテルグの全面戦争に突入するのだろうか。冒頭にあげた Nandi Awards にしても、トリシヤ以外のタミル人は外されてるじゃないかなんて記事まで出てくる始末。キナ臭さも倍増。

付記:少し古いけど、1999年のタミルナードゥ州でのタミル語映画公開総本数149本中、タミル語オリジナル作品が85本だったのに対して他言語映画の吹き替えは64本だったそうだ(Dinakaran 記事による)。

投稿者 Periplo : 02:00 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2006年06月09日

メモ:Caste System in Telugu Filmdom?

最初に読んだ時におやっと思ったのだが、取り紛れてしまってその後検索しても見つからず。やっと再発掘。しかしこれは随分と大きな変化なのではないか。どういう力が、誰の利益のためにこういう変革を実現させたのか(まあ、表面的な解説は文中にあるのだが)気になる。

Andhra gets star caste Ashok Das, Hyderabad, December 20, 2005

There is the caste system and then there is the “star caste system”. For the latter, you need to visit Andhra Pradesh.

From Wednesday, it will cost more to a see film featuring top stars in the state — home to the prolific Telugu film industry. In fact the bigger the star, the costlier will be the ticket. In a government order issued on Friday, the Department of Cinematography had permitted theatres in this movie-crazy state to switch from fixed pricing to flexible pricing.

The first to benefit from the order is Telugu mega star Chiranjeevi, whose Jai Chiranjeeva is being released on Wednesday. The government has permitted theatres showing the movie to hike ticket prices by 75 per cent for two upper-class categories for the first two weeks. As per the order, a Rs 35 balcony ticket will cost Rs 60.

The order, obviously beneficial to big stars like Chiranjeevi, Nagarjuna, Venkatesh and Balakrishna, countermands an order issued earlier this year, reducing ticket rates and introducing a uniform rate for the entire state. (Since Hindi movies are also popular in Andhra, tickets for those with Amitabh Bachchan or Shah Rukh Khan too are likely to cost more.)

The big stars and big banners are happy with the order. Their reasoning: the flexible prices will help the stars realise their true brand value. They also claim the measure will help check the black marketeering of tickets.

But there are others who say it will lead to unhealthy competition, with the stars and producers resorting to all kinds of gimmicks to sustain the sale of high-priced tickets for two weeks to claim a better star rating.

Also, the high ticket prices may ultimately become a big disincentive for the average moviegoer, plunging the industry into a crisis.(HindustanTimes 記事

投稿者 Periplo : 00:30 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2006年01月27日

Padma Sri よりも凄いらしい

チランジーヴィが Padma Bhushan を受賞した(Konidala Chiranjeevi 名義で)という newKerala.com 記事。サウスのスターではラジニカーントについで2番目(ちなみに2004年にはこの人も受賞、mmm)。

しかしこういう晴れがましいシーンの陰にこの手の騒動がまた持ち上がってるんだろうな、なかなか報道されないけれど。

投稿者 Periplo : 02:48 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2005年12月21日

神童の今

BabySunayana.jpgAlluring anchor
REMEMBER THE cherubic child star of Ammoru and many a hit film? The kid has grown up and continues to do what she's best at - acting and anchoring. She weaves her own charm with some vivacious anchoring on Vissa TV.

Aata Paata is the show in which she calls viewers over phone and plays their favourite songs and scenes. The concept is old but it is Sunayna's handling that turns it into an entertainer. Her pranks, her humour and quick wit liven up the show. (The Hindu 記事

Sunayana's dreams 'ANCHOR'ED!

Sunayana who worked as a child artist in the films like ‘Ammoru’ dreamt of becoming a good heroin. As she couldn’t find the heroin roles, she joined ‘vissa’ TV as an anchor. When asked the day of her becoming a heroin, her eyes went wet. (GreatAndhra 記事

忘れがたい神話映画 (どうも世界中にカルトなファンがいるらしい)Ammoru (Telugu - 1995) Dir. Kodi Ramakrishna の天才子役の今。しかしいくら探しても成長したスナヤナのイメージは見つからず。

Ammoru に関してさらにいくつかトリヴィア。

M.S Arts (Anji)
This movie started in 1997 and they have completed 90% of the movie Producer Shyam Prasad Reddy is a man of Quality. He has the credit of reshooting entire 'Ammoru' movie for as he was not satisfied with 'Ammoru' with the earlier print. (チランジーヴィ Mega Profile 中の「制作中リスト」より)

We were looking out for a girl for the lead character in Ammoru, somebody with a lot of innocence. I met her for the character. She was so young - 15 years old. When I looked at her, I was not really sure if she could perform, she looked so young. The minute we started the photo session - there was an absolute transformation. That day I knew she would make it big. Although Ammoru was the film she started with, by the time Ammoru released which was four years later, she was already a big star. (サウンダリヤ追悼記事より)

投稿者 Periplo : 02:13 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2005年11月30日

アウトソーシング先進地域

といってもコールセンター業務のことじゃない。
waheeda.gif
テルグ界の、外部スタッフ依存症にともなう吹き替え盛行に関しては前にちょこっと書いたけど、この記事(盛大にタイトルの綴り間違えてるな)によれば、First it was singers, next the heroines and now the villans なのだそうだ。なぬ、歌手? おタクら発音に関しちゃチョーうるさいんじゃなかったの?この人(born on June 4, 1946, in Konetampet, then in Andhra Pradesh, now in Tamil Nadu)なんかはカウントされてないのかな。

ともかく上記記事は、外面ばっかり凶悪でも声がシンクロしてないからイマイチ凄みに欠ける悪役が多すぎる、と嘆いてる。

二番目のヒロインに関してはというと、こっちのほうから嘆き節が聞こえてくるよ。

Telugu cinema has no actresses from Andhra Pradesh to fill a top heroine's slot for a very long time, forcing the industry to import its heroines from other cities.
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Another fact is that families in Andhra Pradesh are still largely traditional and do not like their daughters to be associated with the glamorous world of cinema.
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The year 2003 saw a unique record when 40 girls made their debut in Telugu films. Most of them turned out to be one-film or two-film wonders.

事情通によれば、南印では美女の産地といえばテルグ、と相場が決まってるらしい(それに対してイタダケナイのはコロマンデル海岸に面したもうひとつの州らしい<アタシが言ってんじゃないよ、事情通の人が言ってるのだ)。それなのにヒロイン自給率が危機的とは。時々いい玉が出てくるとみんなボンベイに行っちゃうしね(こん中にもいっぱい)。

投稿者 Periplo : 01:41 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2005年11月09日

注目のバクティ映画

sriramadasu.jpg
細々と神話映画について調べていると、どうも南印での中心はテルグ界だったらしいことが見えてくる。他の地域でこのジャンルが軒並みB級化した後も、テルグでは時々大スターをフィーチャーした大作が作られる。現在製作中のSri Ramadasu Dir. K Raghavendra Rao も凄そうだ。何たって龍樹様、ANR様の親子競演。脇をかためるのが、スネーハ、ナーセル、サラト・バーブなど何故かタミルの人たち。フォトギャラリーも大充実。

投稿者 Periplo : 05:31 : カテゴリー バブルねたtelugu
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2005年10月31日

高額買取!『中華牌樓』DVD

ただしテルグ語吹き替え版に限る。女優のみならず悪役・コメディアン男優にも他言語圏からの出稼ぎを多く迎え入れているテルグ界では、吹き替え声優の需要も高いらしい。州映画賞で吹き替え部門を設けているのはテルグ界だけみたいだ。その辺りを紹介しているThe Hindu 記事。にもかかわらず、吹き替えアーティストの地位は未だに低く、スタッフロールに名前が載らなかったり、ロングラン記念式典にも呼ばれなかったりするのだそうだ。つまり汚れ仕事と見なされているということなのか。下積みプロフェッショナルの皆さんの無念の心中を慮っちゃうね。

上記記事中の、おそらくギネス級と思われる、すんごい吹き替えの記録。

After lending his voice to quite a few heroes, Ravishankar today is a specialist voice for the screen villains - Raghuvaran, Amrish Puri, Charan Raju, Mukesh Rishi, Ashish Vidyarthi and Ashuthosh Rana. His most memorable day was when he dubbed for five artistes in one film- for the Telugu dubbed version of Rajkumar Santoshi's China Gate. "I lent voice for Danny, Amrish Puri, Om Puri, Naseeruddin Shah and Paresh Rawal. They all come in one scene. No one could find out that one artiste has dubbed for all the five," he says.

まあ、ラヴィシャンカルさんにとっては一世一代の見せ場だっただろうけれど、なんでこんなことする訳? 一人の俳優が一本の映画中で歌う(という設定の)4曲を4人の別々の歌手に割り振るなんてことも一方ではあったりするのに。この辺の兼業と分業の匙加減、謎だ。そういやこのマラヤーラム映画では、イェースダースが二大巨頭の歌を一人で歌い分けていたりもしたよな(これの上から3つ目だ、すごいよ)。

投稿者 Periplo : 01:59 : カテゴリー バブルねたtelugu
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