2016年05月20日

5月のマラーティー映画

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Sairat (Marathi- 2016) Dir. Nagraj Manjule

原題:सैराट
タイトルの意味:wild, passion, zeal, ardour
※ほとんどの現地レビューがタイトル英訳をwildとしているが、監督自身は以下のように述べている。The film’s title itself is self-explanatory. Sairat means passion, zeal and ardour. “The word can have both positive and negative connotations,” says Manjule, depending on which side of the coin you’d prefer to look at. “For you, it might imply freedom of thought, liberation and progressive ideas but to another person, it could be mean sheer wildness and recklessness,” says Manjule.(The Hindu のインタビューより) 

Cast:Rinku Rajguru, Akash Thosar, Nagraj Manjule, Suresh Vishwakarma, Suraj Pawar, Tanaji Galgunde, Arbaz Shaikh, Chhaya Kadam, Bhushan Manjule, etc.

Music:Ajay−Atul

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/wMrMKnoYWwA
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/6nQLoPwGsMM

■開催日:2016年5月29日(日)
■時間:13:00開映(映画は16:00前に終了予定)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約174分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(監督個人サイト):http://www.nagrajmanjule.net/sairat.php
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/tokyotalkies/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/05/sairat-marathi-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。なお、この申し込みフォームはオートリプライに対応していません。申し込みから確認メール返送までしばらく時間がかかることがあります。

【粗筋】
パルシャー(Akash Thosar)はクリケットチームのキャプテンをつとめる少年で、勉強でも優秀な学生。彼はアールチー(Rinku Rajguru)に憧れているが、彼女はハイ・カーストに属し、裕福で、その父親は地元の政界の大物、一方彼は貧しく、低カーストの出身だった。アールチーは意思の強い少女で、他人の言葉や思惑には左右されない。彼女は、想いを諦めないパルシャーを愛するようになる。二人の愛が明らかになったとき、それぞれの家族や地域の人々の間には衝撃が走る。

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【主要キャラクター/キャスト】
■パルシャーまたの名をプラシャーント・カーレー/アーカーシュ・トーサル
アーカーシュは本作でデビュー。生まれも育ちもプネー、レスリングが大好きなスポーツマンであるという。役作りのために(おそらくはレスリングで鍛え上げた筋肉を)13kgも減量したというゴシップもある。
■アールチーまたの名をアルチャナー・パーティル/リンクー・ラージグルー
撮影時には15歳だったリンクーも本作がデビュー、そして2015年度の国家映画賞で審査員特別賞を受賞した。通俗的な美人ではないと言われながらも、本作の爆発的なヒットにより、全マハーラーシュトラが追い求めるドリーム・ガールとなった。

【トリヴィア】
昨年夏の大阪みんぱく映画会および今年2月の東京外国語大学TUFS Cinemaで上映された『ファンドリー』で長編劇映画デビューした、ナーグラージ・マンジュレー監督の第二作。前作はマハーラーシュトラ州内陸部の農村を舞台に、ダリトへの差別をローティーンの少年の目を通して描き、各種の映画賞を受賞したメッセージ系芸術映画だった。一方本作は、カーストによる差別を重要なモチーフとしながらも、まず何よりも激しい恋の物語なのだという。そして同時に、ジェンダーによる格差に対しても鋭い目が向けられており、監督は、本作の第一のプロタゴニストはヒーローではなくヒロインであると言い切っている(こちら参照)。芸術映画のフォーマットで作られた前作に対し、売れっ子MDアジャイ・アトゥル兄弟による4曲のソングも加わった本作は、3時間近い長編ロマンスとなった。4月29日に現地で封切られてから破竹の勢いでヒット街道を驀進し、マラーティー映画の売り上げ歴代トップに躍り出た。このボックス・オフィス・トップ5の記事を見ると、5作すべてが2014年以降のもの。そこからマラーティー映画の上り調子がうかがわれるし、さらに本作を含めた3本がTokyoTalkeisによってタイムリーに上映されていることを思うと、いい感じの波が来ている手ごたえがあり、この先も楽しみになるのである。

『ファンドリー』と同じく、撮影地の多くは監督の故郷であるソーラープール地方の村であるという。
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投稿者 Periplo : 22:31 : カテゴリー バブルねたothers
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2016年03月04日

3月のマラーティー映画

マラーティー版『アマデウス』なのか、もっと波乱万丈なものなのか。
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Katyar Kaljat Ghusali (Marathi - 2015) Dir. Subodh Bhave

原題:कट्यार काळजात घुसली
タイトルの意味:a dagger through the heart
タイトルのゆれ:Katyar Kaljat Ghusli, Katiyar Kaljat Ghusali, etc.

Cast:Sachin Pilgaonkar, Shankar Mahadevan, Subodh Bhave, Swapnil Rajshekhar, Amruta Khanvilkar, Mrunmayee Deshpande, Pushkar Shrotri, Sakshi Tanwar, Reema Lagoo, etc.

Music:Jitendra Abhisheki, Shankar–Ehsaan–Loy

公式トレーラー:https://youtu.be/1iTazEogwiY
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/EF5pjX0A9qQ

■日時:2016年3月5日、14:00開映(17:00ごろに終了)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約161分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Katyarthemovie/
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/tokyotalkies/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/02/katyar-kaljat-ghusali-marathi-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
インド独立より遡る英領時代、バーヌシャンカル・シャーストリー(Shankar Mahadevan)はヴィシュラームプル藩王国の宮廷に仕える音楽家だった。ある時、ミラツという土地で行った音楽会(mehfil)で、彼はカーンサーヘブ(Sachin Pilgaonkar)という歌手に出会う。カーンサーヘブとの競演(jugalbandi)で、彼の才能に感銘を受けたバーヌシャンカルは、彼が異なる流派(gharana)のカーンダーニー(khandani)・ムスリムであることにも頓着せず、ヴィシュラームプルを訪れるよう誘う。毎年のダシャヘラー祭にあたり、ヴィシュラームプルの藩王ヴィシュヌラージ(Swapnil Rajshekhar)は歌唱のコンテストを催す習わしだった。優勝者には、宮廷付きの筆頭歌手(rajgayak)の地位と邸宅(haveli)、そして美しい短剣(katyar)が与えられるとされた。この短剣には、その持ち主による正当防衛として行われた殺人についてなら罪に問わないという約束が付随していた。

ヴィシュラームプルにやってきたカーンサーヘブは、幾度もそのコンテストに挑むが、一回たりともバーヌシャンカルを負かすことができない。そのことを妻のナービラー(Sakshi Tanwar)や村人たちになじられ、カーンサーヘブはバーヌシャカルへの嫉妬心を募らせていく。そして、ある年のコンテストで異変が起きる。

【主要キャラクター/キャスト】
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■パンディット・バーヌシャンカル・シャーストリー(シャンカル・マハーデーヴァン)
ヴィシュラームプルの宮廷付きの歌手。音楽の集いでカーンサーヘブに出会い、その才能に注目し、自分が仕える宮廷に招く。
■カーンサーヘブ・アーフターブ・フサイン・バレーリーワーレー(サチン・ピルガーオカル)
ミラツ出身の歌手。マラーティー語映画である本作の中で、このキャラクターだけはウルドゥー語のみを話すという。
■サダーシヴ・ガウラヴ(スボード・バーヴェー)
バーヌシャンカルに教えを受けた若い歌手。演じるスボード・バーヴェーは本作の監督でもあり、デビュー監督作とは思えないと絶賛されている。
■ザリーナー(アムリター・カーンヴィルカル)
カーンサーヘブの娘。
■ウマー(ムルンマイー・デーシュパーンデー)
バーヌシャンカルの娘。演じるムルンマイーは、先日上映された Natsamrat でも、主人公を疑う実の娘という重要な役で出演していた。

その他の登場人物
■ナービラー(シャークシー・タンワル)
カーンサーヘブの妻。
■ヴィシュヌラージ(スワプニール・ラージシェーカル)
ヴィシュラームプルの藩王。
■バーンケー・ビハーリー(プシュカル・シュロートリー)
宮廷詩人。

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【トリヴィア】
芸術系を除くほとんど全ての映画作品に歌舞が入るにもかかわらず、インド人が特に「ミュージカル」と形容する作品群がある。主要登場人物が歌や踊りに従事する身分である設定のもの、つまり芸道ものだ。過去に日本で紹介されたものとしては、Umrao Jaan [邦題:踊り子] や Shankarabharanam [邦題:シャンカラバラナム] がそれにあたる。よく「意味もなく歌い踊りだす」と揶揄されるインド映画だが、登場人物に歌い踊る必然性が備わっているとなるとパワー倍増で、歌い倒し踊りまくるものとなる。裏で支える作曲家やプレイバックシンガーも、普段以上に気合を入れてくることが多い。インド映画の原点の楽しみの一つが期待できそうだ。

しかし、これまで芸道ものを見続けてきた経験からすると、このジャンルの作品は、必ずしも通俗的なハッピーエンドとはならないものが多い。芸の道を邁進する人間は世間一般の幸せを犠牲にしなければならないこともあるのだ。何事かを成し遂げた後、それと引き換えのように絶命するという話も珍しくない。そして、極めた道の先には神的な世界があるのかもしれないが、そこにいたるまでには争いやエゴの衝突も起こうる。つまり、音楽とともに、『アマデウス』と同じくらいの人間ドラマが展開されるのではないかと予想されるのだ。

マラーティー語地域に伝統的にあった音楽劇「サンギート・ナータク」(そこで歌われる古典または軽古典の楽曲をナーティヤ・サンギートと呼ぶ)の有名作品で、1967年に初演された同名の舞台劇を映画化したのが本作。オリジナルのナーティヤ・サンギートをそのまま流用したものに加え、ボリウッドで活躍する作曲家トリオ、シャンカル=エヘサーン=ロイが新たに魅力的なナンバーを追加している。古い時代のヒンドゥスターニー音楽にあったとされる、パンディット(ヒンドゥー教のバラモン階層が中心に担うもの)とカーンダーニー(ムスリムの音楽一族の中で世襲されるもの)という二つのガラーナー(流派)が対置され、通常の芸道ものよりもさらに幅広い音楽世界が楽しめるようになっている。

主演の俳優としては、「何をやっても実年齢より若く見えてしまう」ニコニコ小父さんのサチン・ピルガーオカルの凄い変身と熱演も話題になったが、インド全域を股に掛けるプレイバック・シンガー兼MDのシャンカル・マハーデーヴァンの演技デビューにどうしても目がいく。ムンバイに住むタミル人の父母の元に生まれたシャンカルは、ヒンドゥスターニーとカルナーティックの両方の古典の訓練を受けた最強のポップシンガー。劇中の迫真の歌いっぷり(他の人と違い自分で歌ってるわけだが)にも注目。

投稿者 Periplo : 01:54 : カテゴリー バブルねたothers
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2009年11月16日

注目の歴史映画

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Harishchandrachi Factory (Marathi - 2008) Dir. Paresh Mokashi が、来年3月に発表される美國学会賞外国語作品部門のインドからのエントリー作品に選ばれたというので怒り狂ってるプリヤン先生、分かりやすい人だねえ。

本作の制作苦労話についてはこちら、レビューはこちらなど。

DVD化するときは是非に Raja Harishchandra (Silent - 1913) Dir. Dadasaheb Phalke とセットで販売して欲しいもんです。

投稿者 Periplo : 00:28 : カテゴリー バブルねたothers
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2009年06月11日

たまには本も読もう7

今回読んだのは『怪奇映画天国アジア』(四方田犬彦著、白水社、2009)だ。

アジアとは銘打ってあるが、扱っているのはタイ、インドネシアを中心とした東南アジア。いや、蒙を啓かれたわ、両国の映画はいま凄いことになってるんだな。

中心となるテーマは、「なぜ幽霊は女性なのか。そしてなぜ弱者であり、犠牲者なのか」(P.10)。一気読みしてしまえば、当たり前の事実をただ述べただけに思えるような自然な論理、しかしこれまでこういう着眼をした論者はいなかった。それがパイオニアの仕事というもんだわな。

ただ、パイオニアワークだから雑なところもある。

 だが同じアジアであっても、ジャンルとしての怪奇映画の順調な成長が阻害されていたり、宗教や政治の理由から許容されてこなかった社会というものが存在している。今からそうした社会のことを考えてみよう。
 インドでは古代叙事詩に材を得た翻案メロドラマやミュージカルは盛んであり、往古の神々と英雄の武勲伝に基づくフィルムは一般的であるが、怪奇映画はそれと比較してきわめて周辺的な位置に置かれている。(P.52)

全然存在しない、と言い切らなかったところでギリギリのセーフか。でも少なくともこちらさんあたりをちょいと覗いて見るぐらいはしてもよかったんでねーの。まあ、ジェネラリストの目が届かなかった部分にこそ、スペシャリスト(=オタク)の活動の場があるということなんだろうけどね。

投稿者 Periplo : 05:20 : カテゴリー バブルねたothers
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2008年05月29日

Pollywood ?

パシュトゥー語映画界(@ペシャーワル)のことだそうだ。ウィキペディアの Hollywood-inspired names によれば。

しかしこのリスト、マラヤーラム映画界を Mollywood としていたり、Sandalwood の項目がなかったりと、詰めが甘いね。

投稿者 Periplo : 23:50 : カテゴリー バブルねたothers
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2007年02月18日

次はケバブだ!

つうこってす。アラブ映画祭のご担当者様によれば。

しがない事務員の男がひょんなことからインドのマハラジャの替え玉を演じることになってしまい、大混乱が。(『喜劇 万事快調』[Egypt - 1937]紹介文より)

このネタ、実は「バブルねたothers」カテゴリーを何とかして埋めたいだけだったりして。

投稿者 Periplo : 22:18 : カテゴリー バブルねたothers
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