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2010年03月14日

レビュー:Kerala Cafe

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Kerala Cafe (Malayalam - 2009) 企画:Ranjith

ディスク版元: AP International
DVDの字幕: 英語
DVD の障害: 現在のところ特になし
主な販売サイト: MaEBag など

オフィシャルサイト:http://www.keralacafe.in/
第二オフィシャルサイト?:http://keralacafe.moviebuzz.org/

cvKeralaCafe.jpg以前に予告的に紹介したオムニバス映画がついにディスク化。これはホントに待ち焦がれていた。好奇心をそそられて印度まで見に行っちまった程だが、見たら見たで分かんないことが多くて悶絶してたのだ。現地で見た時にはある箇所で引っくり返りそうになったのだが、それは別のところで書く予定。今回字幕付きで見ることによって、溜飲が下がったし、評価が高まった。

10~15分程度の短編映画が全部で10篇、全体のランライムは約2時間20分。まあね、オムニバスってやつに大感動したことはこれまでにないわな。だいたいソング&ダンスや格闘シーンもないしね、どっちかっていうとパラレル映画に近い作風のものが主体。短編という形式の制約上、一筆書きのスケッチ、あるいは象徴的&寓話的なストーリーとなるわけだし、カタルシスを得られるものじゃないね。印度映画特有の満腹感は期待できない、なんていう紹介になるだろうと思ってた。でも再見して見ると、やっぱり各篇が味わい深いのよ。

10人の監督が「旅」をキーワードに描く今日のケララ。もちろん、そうはいっても観光振興のプロモーション映像とは訳が違う。聞くところによれば、Tickets (Italy/UK - 2005)、Paris, je t'aime (France - 2006) というヨーロッパの二つのオムニバス映画に刺激されたものらしい。また Mumbai Cutting (Hindi - 2009) との関係も気になる。根拠は全くないけれど、個人的には2008年度の大ヒット Twenty:20 (Malayalam - 2008) Dir. Joshiy もまたこの作品を世に送り出すきっかけになったんじゃないかと思ってる。Twenty:20 は、60人を超えるマラヤーラム・スターが総出演の壮大なイロモノ企画。ランジット監督はこれ見て、「確かに凄いが、ちょっとちゃうやろ」って思ったんじゃないのかな。こちらの喀拉拉茶館もまたマルチ・スター映画(不在が気になるのはモーハンラールとジャヤラームぐらいだ)、しかし嬉しいことに Twenty:20 では蔑ろにされていた女の子ちゃんたちが華やかに咲き競っている。超新星ニティヤ・メーノーン、モデル出身のダニャ・マリー・ヴァルギース、隈取り萌えを刺激するリーマ・カリンガル、年季の入ったお色気女優ジョティルマイ、そしてもちろんシュウェちゃんも。デカン・ヘラルド紙の記事によれば、どの役者・技術者を使うかは完全に各監督の裁量に任されたらしい。また、samaylive 記事によれば、八割がたの役者はノーギャラ出演、したがって低予算で成立した映画だという。10人の監督の人選もまた心憎い。本作でデビューした新人も混じってるようだが、間違いなくこの先のマラヤーラム映画界をリードすることになるはず。

一般的なレビューとしては川縁先生が見事にまとめてくれていて、新しく別に自分で書く必要をあまり感じないのだが、せっかくの「旅」映画だし、字幕付きディスクで見て確認できた地名にまつわる情報などを脚注として若干記録しておきたい。

1.Nostalgia
監督 : M Padmakumar
出演 : Dileep, Navya Nair, Babu Namboothiri, Sudheesh
場所 : ドバイ、ケララ州のどこかの街、マール・トンマー派クリスチャンが多いトラヴァンコール地方中部のパッタナンディッタ県かその周辺ではないかと勝手に推測している。作中ではドバイから一時帰国したジョニー(Dileep)が、老父母の住む豪壮な邸宅を売ってリゾートホテルにしようと目論むくだりがある。

2.Island Express
監督 : Shankar Ramakrishnan
出演 : Prithviraj, Rahman, Manianpillai Raju, Jayasurya, Sukumari, Geethu Christie
場所 : やはりトラヴァンコール地方のコッラム(クイロン)県アシュタムディ湖に架かるペルマン鉄道橋。1988年にここで起きた6526バンガロール・カニャークマリ急行(別名 Island Express)の脱線事故(107名が死亡)の原因は未だに謎だとされている。CGによる再現映像を見ても何でこんな大惨事が起きたのかさっぱり分からない、
 
3.Lalitham Hiran Mayam [The Story of Two Women]
監督 : Shaji Kailas
出演 : Suresh Gopi, Jyothirmayi, Dhanya Mary Varghese, R Jayan
場所 : 不特定

4.Mrithyunjayam [Victory over Death]
監督 : Uday Ananthan
出演 : Thilakan, Fahad Fazil (Shanu), Reema Kallingal, Meera Nandan, Anoop Menon
場所 : ケララ中北部パーラッカード県オッタッパーラムのどこか、老バラモンの住まう歳を経た邸宅。この周辺にはこれなどに代表される味のある館が残ってるらしい。

5.Happy Journey
監督 : Anjali Menon
出演 : Jagathy Sreekumar, Nithya Menon, Mukundan
場所 : エルナクラム~コーリコード(カリカット)の急行バス。両都市間は直線距離で約180km、バスだと5~6.5時間の道のり。

6.Aviramam [Endless]
監督 : B. Unnikrishnan
出演 : Siddique, Shweta Menon
場所 : 不特定

7.Off Season
監督 : Shyamaprasad
出演 : Suraj Venjaramoodu, Frank Pietropinto, Marie Muscroft, Vindhyan
場所 : 州都トリヴァンドラムから13kmほどのところにある、コーヴァラム・ビーチ。ウィキペディアの解説によれば、トラヴァンコール藩王国時代にすでに高級保養地だったらしいが、1970年代頃から西欧人ヒッピーの溜まり場となり、「ケララのゴア」として今日に至っている。観光業に携わる連中のほとんどが外国人相手、UP州出身の作家パンカジ・ミシュラによるエッセイ ‘Whiter than white in God's own country...’ (Butter Chicken in Ludhiana: Travels in small town India に所収)によれば、印度人お断りの人種差別ゲストハウスもあるという。

8.Bridge
監督 : Anwar Rasheed
出演 : Salim Kumar, Kozhikode Shanthadevi, Kalpana, Jinu Joseph, Molly Master Akash, Baby Karthu
フォートコーチン、エルナクラム、バックウォーターのどこか。冒頭に登場する少年の父親は、フォート・コーチンで観光客相手のレストランを営む人物として描かれる。一方、マニカンタン(Salim Kumar)の貧しい一家は、おそらくコーチンの南、バックウォーター地帯に住んでいる。彼は老母を連れて船でエルナクラムにやってくる。作中に出てくる映画館はバネルジー・ロードにあるサンギータ。なぜかタミル映画 Nadodigal (Tamil - 2009) Dir. Samuthirakani をやっているのだ。この選択は何なのか。単に撮影の時点で実際に上映中だったってだけなのかな。

9.Makal [Daughter]
監督 : Revathy
出演 : Sona Nair, Srinath, Augustine, Sreelakshmi, Archana, Jayarao, Sasi,
Master Arun, Sai Shree
場所 : ナーガルコーイル。インド本土では最南端の都市であるこのナーガルコーイルは、かつてはトラヴァンコール藩王国の支配下にあったが、1956年の州界線再編によってタミル・ナードゥ州に組み込まれた。いわばタミルとマラヤーラムの汽水域のような場所。カニャークマリ岬へのゲートウェイ・シティとして有名だが、作中に登場するのは巨大な採石場。こちらの記事中にも解説があるが、この街の近郊の有力産業は花崗岩採石であるようだ。その現場で働く貧しいタミル人一家のもとに、裕福なケララ人の夫婦が訪れるという筋立てに、タミルとケララの微妙な関係の一端が読み取れるように思える。

10.Puram Kazhchakal [Passing Views]
監督 : Lal Jose
出演 : Mammootty, Sreenivasan, Manikandan, Sreelekha, Suresh Nair
場所 : タミルナードゥ州ポッラーッチ周辺からケララ州チャーラクディに向かう路線バスの中。西ガーツ山脈アナマライ山塊の高地を走るバスは途中マラックッパラ・ダム(Malakkuppara Dam)のそばに停車する。しかし検索してみてもこの名前はどうもヒットがない。どうやら実際にはパランビクラム・ダムで撮影されているようなのだが(ここでは過去に数多のマラヤーラム映画の撮影が行われている)、確証はない。周辺はパランビクラム野生動物保護区となっているネイチャー系のデスティネーション。ラストの場面は Vettulapara という小集落となっているがこれは架空の地名か。

エピローグとして、これまでのストーリーに登場した人物のうちの幾人かが、列車で出発するためにケララ・カフェを出て行くシーンがある。アナウンスは6825カニャークマリ・バンガロール急行の出発を告げている。こういう列車は存在していないようだが、上の挿話で登場したアイランド急行の戻りの便が相当するんだろうね。あ、それから、ケララ・カフェというのも、もちろん架空の場所だ。こんなお洒落な茶店がホントにあったらいいのにね。

keralacafe2.jpg
keralacafe1.jpg

投稿者 Periplo : 03:01 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai

コメント

投稿者 Periplo [TypeKey Profile Page] : 2010年03月14日 18:36

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