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2010年04月26日

資料系アップデート1004-2

マラヤーラムに限らず、ここ数年での映画挿入歌歌詞に関する情報の充実ぶりには目を見張るものがある。ヒンディーからサウス、その他の地方語映画まで、印度全般を扱う総合センターとして MusicIndiaOnline (旧バージョンのほう)のようなものもあるが、各言語別に潜ってみると、また異様なくらい発達したものが見つかって驚く。近年のパソコンOSのユニコード化が後押ししてるのだと思うのだが、原語での歌詞情報の充実が目覚しい。

マ映画では現在断トツに情報量が多いのが Malayalam Sangeetham Info で、本日現在トップページで、約4200本の映画(他言語作品も含まれる)の17,500曲超の情報の掲載を謳っている。

特に近年の作品のものになると、作品データベースとしてもそこそこ充実。キャスト・裏方さんの詳細なリストとか、YouTube へのリンクとか、試聴音源とか。歌詞はほとんどが投稿によるもののようだ。ローマナイズしたものが基本で原語表示もかなりある。英訳があまり見当たらないのが残念。

変わった趣向として、俳優別のページもある。たとえばモーハンラールのページを見ると、ラルさん出演作のうちの142本がエントリされていて、収録曲数は318、そして吹き替え歌手別の内訳が詳細にリスト化されている。不思議なデータだ、ラルさん出演作とはいっても、ラルさんが歌うシーンばかりとは限らないから、女性歌手も入ってきてるのだ。

それから、言うまでもないが、作詞家の著作物である歌詞を、著作権者以外が勝手にネット上に流通させる事は違法。歌詞をテキストとして合法的に鑑賞するには、作詞家別の詩集を買うしか本来はないはず(音楽CDに歌詞やライナーノーツがついてくることは印度映画音楽ではかなり珍しい)。にも拘らずこれだけの膨大な歌詞がネット上で公開されているのだ。おそらくほとんどは、投稿者が音楽CDから必死に聞き取ってテキスト化したものと思われる。そしてこの手のサイトからコピーペーストして二次的に歌詞を提供している個人ブログなどもかなりの数にのぼる。

この映画音楽の歌詞に対する執着(収集の目的がカラオケで熱唱するためだけとは思えないのだが)は、また印度世界の特徴なのだろうかね。もちろん映画音楽自体の性質が他の地域のものとかなり異質である事も前提としてあるのだが。

Photobucket

ちょっと前に別の主旨のエントリーで言及したこのとのある、Neelathaamara (Malayalam - 2009) Dir. Lal Jose、ひょんなことからこれを先日劇場で見たのだが、劇中でヒーローがヒロインを誘惑する場面でかかるヒンディー語のソングが、嫋々として信じがたい美しさだった。これまでに見たヒンディー映画のどの劇中歌よりも。オーディオCDに収録はなく、扱いからしてもあきらかにヴィディヤサーガルによるオリジナル・サウンドトラックではない。映画オフィシャルサイトにも言及なし。これを突き止めるのは難儀だと思っていたのだが、このデータベースの本作エントリーをみたらあっさり判明。投稿サイト侮るべからず。

Lahu Ke Do Rang (Hindi - 1979) Dir. Mahesh Bhatt の一曲で ♪Zid Na Karo Ab To Ruko なのだった。歌ってるのはイエースダース先生、そういうことだったか。公開年が1979年てことは、Neelathaamara の時代設定ともぴったり一致。それにしても、香港を舞台にした対英独立闘争の志士(?)と踊り子の悲恋もの(?)、サントラを別にしても凄い面白そうじゃん。

投稿者 Periplo : 23:56 : カテゴリー バブルねたkerala
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2010年04月18日

資料系アップデート1004

アジアのハリウッド― グローバリゼーションとインド映画 ―』 山下博司 ・ 岡光信子著、東京堂出版刊、2010年

同じ著者(今さら言うまでもないが山下氏は、『ムトゥ 踊るマハラジャ』字幕監修を手がけた人物)の『インドを知る事典』と同じく、インドを謳いながらもタミルのことが中心。

最初に難点をあげさせて貰うと、かなり凸凹感のある構成。それからみっともない校正漏れが散見される、これは編集者の怠慢。

素朴で熱烈な印映ファンの立場からすると、個別作品、あるいは特定映画界に対する評価の部分でどうしても咀嚼できない記述があるが、これは立脚する価値観の違いだからしょうがないか。

などとブツクサ言ってはみたけど、主としてタミル映画界の第一線のクリエーター・裏方との交友&インタビューによってもたらされた各種データはとてつもなく貴重。

二〇〇八年夏、タミル映画の名脇役ナーサルにインタビューしたところ、テルグ映画でのギャラはタミル映画のほぼ二倍にのぼるという(P.100より)

この2行の記述だけでも税込定価2940円のもとはとったと思うよ、お勧め。

投稿者 Periplo : 23:09 : カテゴリー バブルねたallIndia
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2010年04月17日

大部屋以上明星未満☆33

Kaviyoor Ponnamma。芸能生活50周年を祝して。

Valthsallyan.jpg
2010年4月初旬、コーチンにて撮影。超豪華な顔ぶれだああ。

マラヤーラム映画界の大いなる母、カヴィユール・ポンナンマの業績を称えるスターナイト Vatsalayam という催しが今月11日にコーチンで行われたという。これに関する情報を探してたら、最近できたらしいおかーさんの公式サイトに行き当たった。ぼつぼつマ映画見はじめた数年前と比べると、最近の椰子國明星さんたちのネット情報の充実ぶりには隔世の感がある。

この公式サイトのお蔭でバイオグラフィーの輪郭がやっと掴めた。

1939年、トラヴァンコール地方カヴィユールの生まれ(この生年はウィキペディアによる)。幼少時より古典声楽の訓練を受ける。KPACとも関連の深い Prathiba Arts Club(もちろん左翼系)という劇団に入り14歳にして舞台デビュー。著名な劇作家にして映画監督でもあったトッピル・バシを師と仰いだ。映画デビューは Sreerama Pattabhishekam (Malayalam - 1962) Dir. G K Ramu (おお、ビデオが入手可能じゃ!)だが、脚光を浴びたのは Kudumbini (Malayalam - 1964) Dir. P A Thomas によって。以後この道一筋で、マラヤーラムだけでなくタミル、テルグそしてTVにも出演作がある。デビュー当時のスチルなどはネット上では見つからない。筆者が見た最も古いポンナンマは Odayil Ninnu (Malayalam - 1965) Dir. K S Sethumadhavan での母親役。20代にしてすでに今日の母・祖母のイメージとなだらかにつながってる感じだった。つまり根っからの母親タイプってことなんだよね。実際に、自分よりも年上のサティヤン、マドゥーティラカンの母親役までを演じているという(The Hindu 記事 'Mother' of all actors)。80年代以降は「モーハンラールの母親」として定番化(rediff インタビュー 'Mohanlal is my son!' を参照)。

映画プロデューサーのMKマニ氏と結婚し一男一女をもうけるが子供はどちらも映画界には入らなかった。長らくチェンナイに暮らしていたが、今はコーチン近郊のアルワ在住。

なにやら生き急いでしまってる感のある椰子國映画人の皆さんを見るにつけ、ポンナンマ母さんの福顔が得難く、また目出度いものに見えてくるのだ。この先も頑張って欲しい。

投稿者 Periplo : 23:34 : カテゴリー brown dwarf galaxy
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2010年04月13日

祝辞1004

swePaleriManikyam.jpg

若干タイミングを逸してしまったが、書かない訳にはいかない。シュウェちゃんことシュウェータ・メーノーンが2009年度のケララ州映画賞主演女優賞を受賞。Paleri Manikyam : Oru Pathira Kolapathakathinte Katha (Malayalam - 2009) Dir. Ranjith の演技に対して。おめでとうシュウェちゃん。

その他の受賞はこちらなど。Pazhassi Raja (Malayalam - 2009) Dir. Hariharan がやはり強かった、2009年はマンムーティの当たり年だったみたいだね。

Paleri Manikyam は昨年末に公開された、スリラー仕立ての文芸映画、50年前に北部ケララで起きたある女性の殺人の謎に挑む探偵(Mammootty)とその前に立ちはだかる封建的権力の壁、みたいな物語らしい。興業的には大ヒットまではいかなかったらしいが、批評家の受けは良く、「マスターピース」などという賛辞までが目に留まった。

シュウェちゃんの役柄はいまのところ不明、主演女優賞を獲るってことは今回はセルフダビングなのかね。管見するところなにやらセクシーなシーンもあるらしいし、本作には期待大だ。

しかし、以前にもちょっと書いたけど、シュウェちゃんはグラマーを卒業して演技派の道に入って行っちゃうんだろか。ちょっと寂しいよ、シュウェちゃん。

追記:受賞を受けてのシュウェちゃん電話インタビュー

投稿者 Periplo : 21:24 : カテゴリー バブルねたkerala
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2010年04月07日

ぼちぼち再開1004

PappyAppacha.jpg

セルフ発注セルフ受注の自主的取材旅行@椰子國から戻ってまいりやした。半月の行程中で最も感動的だったのはイノセント先生の巨大カットアウト(右側のディリープはあくまでもオマケ、あ、そいから、巨大というのは椰子國にしては、ということだけどね)との遭遇だした。

間もなく公開になるはずのクリスチャン・ホームドラマ Pappy Appacha (Malayalam - 2010) Dir. Mamas Chandran のもの。エルナクラムのパドマ劇場にて。

全印度的にはIPLシーズンで映画界は夏枯れという話だったのに、椰子國は妙に熱いことになっていて、カットアウトが林立していた。「カットアウト・カルチャーはケララには存在しない」なんて知った気なことを書かないどいて良かったわい。

投稿者 Periplo : 15:42 : カテゴリー miscellaneous
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