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2010年05月31日

注目の芸術家映画

makaramanju1.jpgmakaramanju2.jpg
makaramanju3.jpg

昨年秋のプロジェクト始動に当たってちょっと書いたアートっぽいパラレル映画 Makara Manju (Malayalam) Dir. Lenin Rajendran について。

オフィシャルサイトは既にできている。レビューも流通してる。なのに、ただいま上映中サイトでは、「2011年公開」と表示されてる。ゲージツ映画ってのはクランクアップ後に時間がかかるもんなのか、それとも買い手がつかないのか。

サントーシュ・シヴァンの主演俳優としての抜擢ももちろんながら、アーンドラの荒くれ野郎どもをドン引きさせ恐怖の淵に追いやったという(若干歪曲)猛々しい美貌のカールティカちゃん(こちらの4番目)、ニティヤ・知的な映画に出られて嬉しい・メーノーン、なにやら高貴な役柄で登場してきそうなジャガティ先生とか、期待をあおるキャスティングだ。

勿体つけずに早よ封切ってや。

投稿者 Periplo : 18:39 : カテゴリー バブルねたkerala
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2010年05月23日

資料系アップデート1005

いやー、久しぶりに見事にやられた、印度人じゃなく美國人(推定)に。金返せー。

cvCinemaKerala.JPGCinema of Kerala

編者:Frederic P. Miller, Agnes F. Vandome, John McBrewster
版元:Alphascript Publishing.VDM Publishing House Ltd.
発行:2009年(初版)
版型:B5版
頁数:94
定価:記載無し、 Amazon.com では57ドル

副題:Malayalam films: 1928 - 1959, Malayalam films of the 1960s, Malayalam films of the 1970s, Malayalam films of the 1980s, Kerala State Film Award, International Film Festival of Kerala, Association of Malayalam Movie Artists, List of Malayalam film actors

最初にこの本の存在を知ったときは狂喜したのだった。マラヤーラム映画に関するそれなりに体系的な資料といったら、 Kerala Chalachithra Academy によるCD-ROMの 75 Years of Malayalam Cinema と Vellinakshatram 誌別冊の2007 Film Yearbook(こちら参照)しか落手していなかったので。

届いて開けてみて滑った!なんとこの本、ウィキペディア英語版のマラヤーラム映画に関するエントリーの文字情報をそのまま本にしただけ!紙の本なのでもちろんハイパーリンクは無い、当たり前だが。念のため紙面のイメージを載せておこう(その1その2)。

しかし世の中広いもので、発注前にこの版元の情報を調べて難を逃れた賢明な御仁もいらっしゃることがわかった(デヴィッド・リンチ関連本で行き当たったのだという)。

これ、はっきり言って「ワタシ振り込め詐欺に引っかかった頭の温い年寄りです」って告白するよなもんだけどさ。今回の出費が送料込みで6288円、象印光盤なら3枚、鼠熊光盤なら20枚強が買える勘定だあ。どはあーっ!よっぽどアマゾンの読者レビューに「最高!お勧め!」って書き込みしようかと思った。

上に記載した3人の編者の名義でこんなのとかこんなのも出てるのだった、もちろん買わないけど。

投稿者 Periplo : 01:32 : カテゴリー バブルねたkerala
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2010年05月19日

ディスク情報1005-4

蒼穹に向け悪夢のようにどこまでも高度を上げるのだ。

BhramaramCliff.jpg

モーハンラール・ディスコグラフィーにラルさん自画自賛の2009年作品を追加。

cvBhramaram.JPGBhramaram (Malayalam - 2009) Dir. Blessy

Cast:Mohanlal, Suresh Menon, V G Muralikrishnan, Bhoomika, Baby Nivedhitha, Lakshmi Gopalaswamy, KPAC Lalitha, Shoba Mohan, Jayalakshmi, Madan Babu

タイトルの意味:Bee
タイトルのゆれ:Bramaram

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:MaEbag など

【ネタバレ度30%の粗筋】
妻と一人娘とともにコインバトールに住むウンニ(Suresh Menon)は、証券ブローカーとして満ち足りた中産階級の暮らしを送っていた。市街地で爆弾テロが起きた不穏な夜、彼の家にジョースと名乗る見知らぬ男 (Mohanlal)が訪ねてくる。ケララでジープのドライバーをしているという彼は、ウンニの中学校での同級生だと言い張るが、ウンニには思い出せない。しかしジョースは同級生でなければ知りえない細かな出来事を語りウンニを納得させる。強引かつ巧妙なやりかたでジョースはウンニの家に泊まりこみ、彼の幼い娘はすっかりなついてしまう。しかし妻のラクシュミ(Lakshmi Gopalaswamy)は時折彼が見せる不気味な表情に怯える。

やがてジョースは隠していた本当の名前を明かし、ウンニを無理やりに連れ出して、さらには途中からはウンニの幼馴染のアレックス医師(V G Muralikrishnan)をも伴い、ケララの山岳地帯の彼の家へと向かう。(粗筋了)

無頼のジープ運転手をやるラルさんの芝居の見事さ、屋外ロケの素晴らしさ、この二つの点からは、とてもお勧めしたい逸品なのだ。それでいながら同時に、どうしても飲み下せないストーリーの軋みにうんうん唸る、頭の中で蜂がブンブンいいそうだ。ここで普段クサして書いてるものとは違って、もの凄くハイレベルで贅沢な悩み。

監督ブレッシーによれば、本作は psychological thriller で、なおかつ family suspense thriller でもあるという。言われてみて初めて気がついた、なるほどそういう枠組みの作品として見れば、収まりもさほど悪くない秀作といえるかもしれない。しかし何の予備知識もなしに見ると、スリラーという娯楽的・慣習的なカテゴリーをはるかに超えた、重厚でかつ詩的な人間ドラマが迫ってくる。なぜそれが100パーセント肯えないのかというと、主人公を突き動かす過去のトラウマを提示する二つの時制の回想シーンがちょっとばかしご都合主義的だからなのかな。健全な司法プロセスや警察力の不在というのはある意味ではインド娯楽映画の無条件の前提ではあるのだが、それにしても二つの回想シーンでの「聞く耳持たない(持たれない)」シチュエーションには説得力が欠けていた。それから蜂と子犬という、手垢にまみれたシンボルを使って話をまとめようとしたところにも突っかかりが残る。

一方でブレッシーは本作を the first road movie of Malayalam とも規定している。1時間20分あたりから始まるこの部分は文句なしに素晴らしい。騒々しく物質的なコインバトールの街からウドゥマライペーッタイを経て、ケララ州イドゥッキ郡の荒涼として峻険な高地帯への、路線バス・大型トラック・乗用車・ジープを乗り継いでの道行き。高度が上がるにつれ、携帯電話の電池が切れ、衛生状態は悪化し、行き会う人々は粗野になる。日常の文明世界から神話的な無法状態へ、映画館のシートに腰掛けているはずの観客もまた一緒に連れて行かれるかのような気持ちになる。小集落のバスターミナルのおぞましいトイレの臭気、ダートロードの明け方の冷気、安ホテルの客室に垂れこめる湿気、全てが恐ろしいほどの現実感でドドッと押し寄せてくるのだ、凄いよ。そしてまた、場所の移動によって登場人物の心象も変わっていく張り詰めた描写も素晴らしい。マ映画で最初かどうかは分らないがロード・ムービーとしてのパートは本作の魅力のかなりの割合を占めていると思う。

だからこそ、ストーリーの軋みが残念でたまらないのだ。どうもやっぱりあれじゃないかね、最初の構想の段階からラルさんが念頭にあって、あんなことするラルさん、こんなことするラルさんていうイメージだけが先行してたんじゃないだろか。こんなラルさんが見たい、土台が弱くてもラルさんなら何とかしてくれる、そんな無意識の甘えがあったんじゃないかと思えるんだ。

ブレッシーですら!

BhramaramBus.jpg

投稿者 Periplo : 23:46 : カテゴリー so many cups of chai Mohanlal Discography
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2010年05月10日

ディスク情報1005-3

モーハンラール・ディスコグラフィーに2009年作品を追加。以前にちょいと関連写真を載せた事があるあれ。

BlackAngel.jpg

黒衣の天使というのがどの辺りから来たモチーフなのか想像つかん。ちょっとだけ調べてみたけど、天使の名前にヨハネっていうのも一般的じゃないみたいだし。

cvAngelJohn.jpgAngel John (Malayalam - 2009) Dir. S L Puram Jayasurya

Cast:Shanthanu Bhagyaraj, Mohanlal, Nithya Menon, Jagathy Sreekumar, Lalu Alex, Ambika, Vijaya Raghavan, Baiju, Bijukuttan, Sona Nair, Salim Kumar, Kollam Thulasi 

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:MaEbag など

【ネタバレ度30%の粗筋】
中産階級の甘やかされた一人息子、21歳のマラドーナ(Shanthanu Bhagyaraj)は、不潔でだらしがなく、勉学もさっぱりふるわない出来損ないだった。街で出会う異性に誰彼構わずちょっかいを出す放逸ぶりを、幼馴染みのソフィー(Nithya Menon)は心を痛めながら見守っていた。当然の成り行きとして学位取得試験に失敗した彼を父のジョセフ(Lalu Alex)は激しく叱責する。

父の鼻をあかそうとマラドーナはネットカフェのビジネスを始めるが、不真面目な経営は結局行き詰まり、多額の負債を抱えてしまう。金策のためにドラッグの取引にまで手を出したものの上手く行かず、マラドーナは自殺を決意する。

灯台のてっぺんから身を投げようとしたその時に、マラドーナは「天使のジョン」と名乗る不思議な男(Mohanlal)に引き止められる。彼はマラドーナの早まった考えを諌め、神から授かった山あり谷ありの66年の天寿を全うするか、好きなことだけをしてその三分の一の22年で生涯を終えるか、どちらかを選ぶように言う。当然のようにマラドーナは後者を選ぶ。(粗筋了)



インド映画にはマハーバーラタの、特にバガヴァッド・ギーターの中にある、アルジュナを導く御者クリシュナという挿話から想を得たと思われる構造の作品が今でもある。Krishnarjuna (Telugu - 2008) Dir. P Vasu なんかは典型的だし、同年の Parthan Kanda Paralokam (Malayalam - 2008) Dir. Anil なんていう、そのベーシックストーリーに無闇に尾鰭がついて凄い事になってる怪作もあったっけ。

本作も大まかに言うとその系譜に連なるものと考えていいと思う。各種レビューには Bruce Almighty (USA - 2003) Dir. Tom Shadyac の強い影響を指摘しているものもある。

そうは言っても、この Angel John を、神話映画または基督教映画とするのには抵抗がある。インド映画のネットレビューで流行ってる言葉を借りると、これは「ソシオ・ファンタジー」ってやつかな。ここでは、神の偉大さが称えられるわけでもないし、主人公の信仰の強さが描かれもしない。

EePattanathil.jpgEePattanathil2.jpg

ついでながら、10月封切りの Angel John に先立ち、同年6月に公開された Ee Pattanathil Bhootham (Malayalam - 2009) Dir. Johny Antony では、マンムーティが白衣の魔神をやるのだが、これはソシオ・ファンタジーではない、児童映画だ。別に貶めて言ってるのではなく、サーカスが舞台で、悪い魔法使いが出てきて、ちびっ子のためにマンムーティが闘う、非常に贅沢な児童映画なのだ。

さらに脱線すると、主筋とは無関係ながら、本作中ではマンムーティがレコードダンスを舞台で披露するシーンが二回もある。レコードダンスについてはこちらなど参照。ともかくこれまでレコードダンスってのはテルグ(映画の中)でしか見たことなかったもんだから、結構吃驚したよ。なんでも Love in Singapore (Malayalam - 1980) Dir. Baby の劇中歌 ♪Cham Chacha のリミックス(オリジナルでは“ケララのジェームス・ディーン”ことジャヤンが登場する)だという。ケララでも近過去にレコードダンスの興行が実際に行われてたりしたんだろか。またしても新たな疑問に悶絶。


話を Angel John に戻すと、ともかく現地のレビューはメタクソ、興業的にも大敗を喫してしまったということで、かなり嫌な予感のなかでの鑑賞となった。実際に見てみると、そんなに泣きたくなるよなイタい映画じゃないんだよ。古典を下敷きにしたストーリーラインだから大きな崩れはない。ただ、どこを切り取っても、もっと面白く出来たはずだぞと思えてしまうようなパワー不足は否めない。

主役のシャンタヌ・バギャラージは、とても演技とは思えない半馬鹿ぶりが胸騒ぎを呼ぶ。ニティヤ・知的な映画が好き・メーノーンは見せ場を作ってもらえず。ようするに、いつものようにラルさんによる、ラルさんのための映画なのだ。にもかかわらず、ラルさんがインターミッションの前にならないと出てこない、そしてインターミッション後1時間もせずにエンディング。これがコケちまった最大の理由なのではないか。

それにしても、神さんの定めた天命の満期が66年てのは、かなりカルチャーギャップがあるよねえ。

投稿者 Periplo : 22:39 : カテゴリー Mohanlal Discography
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2010年05月08日

ディスク情報1005-2

Neelathaamara (Malayalam - 2009) Dir. Lal Jose

OldNewBlueLotus1.jpg
OldNewBlueLotus2.jpg
リメイクであることを積極的に謳った珍しいパブリシティ。他にこんなのもあり。


これまで主演女優あるいは劇中のBGMについて書いてきたので、ディスク情報としてもあげとこうと思う。

この映画についちゃあ、つい先月に現地の小屋で見ることが出来て、とても感銘を受けたので何らかの形で紹介したいと思っていたのだが、既に川縁先生による素晴らしいレビューがあるので新たに評論めいたものを書く気にはなれない。何だか最近こればっかだが、真の女の子ちゃん好きにしか書けない、か弱い者への思いやりに満ちた文章を前にすると、 隅っこのほうでひねこびた悪口ばっか撒き散らしてる小者は沈黙するしかない。なので、どうやらリメイクの話題を当て込んでリリースされたらしい1979年のオリジナルのVCDとの比較で気づいたことを中心にメモしておきたい。


cvNeelaTMRnew.jpgNeelathaamara (Malayalam - 2009) Dir. Lal Jose

Cast:Archana Kavi, Kailash, Reema Kalingal, Samvritha Sunil, Suresh Nair, Sreedevi Unni, Joy Mathai, Amala Paul, Balachandran, Tony Kattukkaran, Parvathi, Jaya Menon

タイトルの揺れ:Neelathamara, Neela Thamara
タイトルの意味:Blue Lotus

DVDの版元:Central
DVDの字幕:英語
DVDの障害:現在のところ特になし
DVD入手先:MaEBagなど

【ネタバレ度100%の粗筋】
2009年、農村地帯の大きな屋敷に一人住む年老いたマルッティアンマ(Sreedevi Unni)のもとに三人の女性が訪れる。中年のラトナムは、マルッティアンマの早世した一人息子ハリダーサンの未亡人だが、今は別の人物と結婚している。もう一人の中年女性クンニマルはかつてこの屋敷に女中として仕えていた。若いビーナ(Amala Paul)はハリダーサンとラトナムの間に生まれた娘だが、ラトナムの再婚をきっかけに母に反発し、今は疎遠になってしまっている。ラトナムとクンニマルは久々の再会を静かに喜ぶ。ラトナムがハリダーサンの遺品を整理するなかで、かつて夫が若いクンニマルを撮った写真が出てくる。ラトナムは遠慮するクンニマルにその写真を渡し、さらに夫が死の床でクンニマルに宛てて書いた(しかし書き終えたあとには破り捨てるよう命じた)手紙を未開封のまま預かっていると告げる。だがクンニマルはその手紙を受け取ることを拒む。その夜、写真を眺めるクンニマルの脳裏に若い日々の思い出が蘇る。

今から30年前、10代半ばのクンニマル(Archana Kavi)は祖母と従兄アップクッタン(Suresh Nair)に付き添われて、女中として働くためにこの屋敷にやってきた。温和なマルッティアンマのもとで彼女は平穏な日々を過ごす。近所に住む同年代のアンミニ(Reema Kalingal)という友達もできて、寺への参拝や、池での水浴に一緒に行くようになった。しばらくしてマルッティアンマの一人息子で法科学生のハリダーサン(Kailash)が休暇で帰省してくる。まだ会いもしないうちからハリダーサンの写真を見て激しく意識していたクンニマルだったが、やがてハリダーサンの方も瑞々しいクンニマルに目を留め、母の目を盗んで彼女を誘惑する。ハリダーサンの誘いにくすぐったさを感じながらも自制を続けていたクンニマルだったが、ある夜2階の彼の部屋から聞えてくる音楽に誘われ自分から階上に赴き、二人は肉体関係を持つ。周囲の目を気にしながらも戯れあう日々の中で、クンニマルはハリダーサンが卒業試験に合格するようにと近所の寺で願を掛ける。その寺の池では、真心を込めた祈りが成就すると青い蓮が咲くという言い伝えがあった。ハリダーサンの合格通知がもたらされた日に、寺の池では青い蓮が開花し、クンニマルは自分の愛の強さを確信する。

しかしその喜びもつかの間、ハリダーサンに従妹との縁談が持ち上がり、彼はあっさりと結婚してしまう。新妻ラトナム(Samvritha Sunil)を伴って帰ってきたハリダーサンに、クンニマルは沈黙のうちに仕える。屋敷の暮らしにも程なく馴染んだラトナムは、ある日クンニマルの所持品の中に夫との関係を物語る品々を見つける。詰問するラトナムに対してハリダーサンは居直り、なおも激高する彼女をついには殴打する。怒りが収まらないラトナムはクンニマルに暇を申し渡す。その翌朝、寺の池に若い女の水死体があがったというニュースが伝わり、ラトナムは青ざめる。しかし引き揚げられた遺体はアンミニのものだった。やがて迎えにやってきたアップクッタンに連れられてクンニマルは屋敷を去る。見送るマルッティアンマは涙し、ラトナムは気まずさを隠せず、ハリダーサンは姿を現さなかった。

再び2009年、その後アップクッタンと結婚したクンニマルは、子供もひとり立ちして親としての荷を降ろしている。ビーナは自分の意思で決めた婚約の相手を祖母に紹介する。寺に詣でたクンニマルは久しぶりに開花した青い蓮を僧から下げ渡される。マルッティアンマは30年前の別れの際にクンニマルの人生に幸あれと祈った、その願いが遅咲きの青い蓮となったのだと言う。(粗筋了)

ArchanaKavi.jpgReema.jpg
Samchan.jpgAmalaPaul.jpg


cvNeelaTMRold.jpgNeelathaamara (Malayalam - 1979) Dir. Yusf Ali Kecheri

Cast:Ambika, Ravikumar, Sattar, Kuthiravattam Pappu

タイトルの揺れ: Neelathamara, Neela Thamara
タイトルの意味: Blue Lotus

VCDの版元:Harmony
VCDの字幕:なし
VCDの障害:現在のところ特になし
VCD入手先:MaEBagなど


【ネタバレ度100%の粗筋】
1979年、農村地帯の裕福な屋敷に住むマルッティアンマのもとに、10代半ばのクンニマル(Ambika)が祖母に付き添われて、女中として働くためにやってくる。温和なマルッティアンマのもとで彼女は平穏な日々を過ごす。近所に住む同年代のアンミニという友達もできて、寺への参拝や、池での水浴に一緒に行くようになった。しばらくしてマルッティアンマの一人息子で法科学生のハリダーサン(Ravikumar)が休暇で帰省してくる。まだ会いもしないうちからハリダーサンの写真を見て好奇心を掻き立てられていたクンニマルだったが、やがてハリダーサンの方も瑞々しいクンニマルに目を留める。ある夜ハリダーサンは2階の自室に来るようクンニマルに言い渡し、躊躇いながらもクンニマルはそれに従い、二人は肉体関係を持つ。周囲の目を気にしながらも戯れあう日々の中で、クンニマルはハリダーサンが卒業試験に合格するようにと近所の寺で願を掛ける。その寺の池では、真心を込めた祈りが成就すると青い蓮が咲くという言い伝えがあった。ハリダーサンの合格通知がもたらされた日に、寺の池では青い蓮が開花し、クンニマルは自分の愛の強さを確信する。

しかしその喜びもつかの間、ハリダーサンに従妹との縁談が持ち上がり、彼はあっさりと結婚してしまう。新妻ラトナムを伴って帰ってきたハリダーサンに、クンニマルは沈黙のうちに仕える。屋敷の暮らしにも程なく馴染んだラトナムは、ある日クンニマルの所持品の中に夫との関係を物語る品々を見つける。詰問するラトナムに対してハリダーサンは居直り、なおも激高する彼女をついには殴打する。ことの成り行きに憤慨したマルッティアンマはクンニマルに暇を申し渡す。その翌朝、寺の池に若い女の水死体があがったというニュースが伝わり、ラトナムは青ざめる。しかし引き揚げられた遺体はアンミニのものだった。やがて迎えにやってきた従兄アップクッタン(Sattar) に連れられてクンニマルは屋敷を去る。立ち去り際にアップクッタンは屋敷に向けて唾を吐く。元来が粗野な性格のアップクッタンだが、この顛末に激怒しながらもクンニマルを守りいたわるジェスチャーを示すのだった。(粗筋了)

OldNeelathamara1.jpgOldNeelathamara2.jpg


以前に書いたこととも重複するが、2009年作品(以下09版)は1979年のオリジナル(以下79版)からちょうど30年後に封切られた同一言語のリメイク、オリジナルの脚本家MTヴァースデーヴァン・ナーイルが再び脚本を担当し、当代のトップ監督の一人であるラール・ジョースの手によって、新人・新進俳優をメインにフィーチャーして制作されたということで大変に話題になっていた。ただし、79版は歴史的な傑作という扱いを受けていたわけでもないらしく、知る人ぞ知る埋もれた名品とでも言うべきものだったらしい。だからなのか、ネット上で情報はほとんど見つからない。

■まず一番大きな違いは時代設定。 79版が同時代の出来事として叙述するストーリーを、09版では現在からの回想という形式にして、後日談までを付加して額縁をはめた形になっている。
■ 登場人物のキャラクター造形にも改変が加わっている。09版でヒロインはほんのちょっぴり賢い娘になったようだ。しかしそれで彼女の運命が変わるわけではない。お屋敷の坊ちゃんは09版ではよりマイルドな人格になって、ヒロインとの間に一種の恋愛感情があったことが示される。一方79版の方では情欲に突き動かされてヒロインと関係を持ったという描かれ方をしている。雇い主であるマルッティアンマも、09版の方では屋敷を去っていくヒロインに同情を示すが、 79版では怒りをむき出しにしている。79版の結末で重要な役割を演じるヒロインの従兄アップクッタンは、09版では背景に退いて、ストーリーを牽引することがない。総じて79版では階級の対立が強調されたつくりになっており、片や09版の方は細かな感情の機微が繊細に描かれる。
■ ヒロインと雇い主一家との間の和解の有無も大きい。79版ではヒロインを放逐する一家に対する怒りが表出されて終わるが、09版ではマルッティアンマもラトナムも冒頭部分で既にヒロインと和解しており、ハリダーサンですらが死の直前に自分の行いを悔いていたことが暗示される。クンニマルの方でも、思い出となった過去に対して激烈な感情は持っていない。時が癒す、というのは現実的だが、微温的でもあり、加害者に都合のいい結末とも言える。
■映像やサウンドのデザインもかなり違っている。79版の方では同時代の出来事として、田舎の旧家という設定を損なわない程度に最新風俗(ヒーローのベルボトムのパンツなど)が取り入れられている。周りを取り囲むのは緑豊な自然だが、美しさよりは田舎の退屈さの方が印象に残るようになっている。それに対して09版の方は、全てが圧倒するようなノスタルジーの醸成装置としてデザインされているのだ、現代の洗練された技術の粋を凝らして。

これが30年の隔たりというものなのか、それとも単にクリエーターの芸術的志向の違いなのか、ともかくこの2作品は単なるカーボンコピーのオリジナル-リメイクとしては扱えない、全然違うワンセットなんだな。どちらが優れているかということについては、現地の観客の間でも評価は分かれているようだ。より直截に(そして非常に効果的に)打ち捨てられた者の声を代弁する79版は胸に響くが、09版のうっとりと官能的な後ろ向き加減も捨てきれない。つまりどっちも見て損はないというのがとりあえずの結論かなあ。


そんなとりとめもつかないことを、数日間頭の中でたぷたぷさせてたんだけど、ふと気がついた。79版のストーリー、なんかに似てないか?思い出した!

cvAnkur.jpgAnkur (Hindi - 1974) Dir. Shyam Benegal

Cast:Shabana Azmi, Anant Nag, Sadhu Meher, Priya Tendilkar, Kader Ali Beg, Dalip Tahil

タイトルの意味: The Seedling、邦題『芽ばえ』

DVDの版元:Video Sound (Shemaroo版、Eagle版もあり)
DVDの字幕:英語
DVDの障害:2000年製造のディスクが経年劣化により一部機器で読み込み困難に
DVD入手先:Induna ほか


【かなり荒っぽい50パーセント粗筋】
1950年代のアーンドラ・プラデーシュ州の農村地帯(テランガーナ地方と推測される)。それまでハイダラーバードの大学で学んでいたスーリヤ(Anant Nag)は、学業を中断して、大地主である父の農地を管理するため単身移り住むことを余儀なくされる。彼は雑役婦のラクシュミ(Shabana Azmi)に目を留める。彼女はダリトで、聾唖の夫キシュタイヤ(Sadhu Meher)には飲酒癖があるため極貧の生活を送っていた。ある日キシュタイヤは椰子酒を盗んだ咎で公衆の面前で断罪され、恥辱に耐えられず出奔してしまう。スーリヤは一人ぼっちになったラクシュミと肉体関係を持つ。しかし程なくして、スーリヤがハイダラーバードを立つ直前に挙式していた若妻サル(Priya Tendulkar)が、実質的な結婚生活を始めるためにやってくる。それと同時に、ラクシュミは自分がスーリヤの子供を宿している事を悟る。(粗筋了)

有名作品だし、日本でも公開されているから、あんましクドクド書く必要もないか。ともかく、細かいモチーフを別にすると、ストーリーの枠組みは79版とそっくりなんだよね。別に「パクリのネタ元見っけ!」と得意になってるわけじゃない、骨格が同じでも肉付けが違うから完成品は全く別の作品。

この Ankur (1974) と Neelathaamara (1979版) との間の影響関係を裏付ける資料は今のところ見つかっていない。しかし、パラレルシネマの幕開けを飾った有名作品 Ankur を、いかな田舎とはいえケララの映画人が知らなかったはずはないのだ。 79版は Ankur へのケララからの回答だったのではないか?そう仮定すると、この79版はより一層に愛らしいものに思えてくるのだった。


09版と79版の Neelathaamara に加えて、Ankur を併せてリメイク輪廻セットとして見てみるのも、この際悪くないかもよ。ただし、Ankur に「時が癒す」というコンセプトでリメイクが作られることはなさそうではあるが。

投稿者 Periplo : 01:21 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2010年05月05日

ディスク情報1005-1

ラルさんディスコグラフィーに追加すべき作品は多々あるのだけど、滞ってるものを差し置いてもこれは真っ先に記録しておきたい。

bhoomiyile01.jpg

cvBhoomiyile.jpgBhoomiyile Rajakkanmar (Malayalam - 1987) Dir. Thampi Kannamthanam

Cast : Mohanlal, Suresh Gopi, Nalini, Balan K Nair, KPAC Sunny, Pratapchandran, Azeez, Jagathy Sreekumar, Adoor Bhasi, Jagadeesh, Ganesh Kumar, Siddique, Oduvil Unnikrishnan, Mohan Jose, Kollam Thulasi

タイトルの揺れ: Bhoomiyile Rajakanmar
タイトルの意味: Kings On Earth
DVDの版元: Moser Baer
DVDの字幕: 英語
DVDの障害: 現在のところ特になし
DVD入手先: 現地ビデオショップ

あまり検証を経ずに世間にまかり通っている俗説の一つに、インド娯楽映画はハッピーエンドばかり、というのがある。「全て」といわず「かなりの割合で」とすれば正しいのかもしれないが、他の地域のものに比べて格段に多いと言えるのだろうか。まあただ、実感として、アンハッピーなエンディングの映画はヒットしにくい、というのはあるかなあとは思っている。

それから、ヒーローが正しいモラルの保持者として描かれ、悪と戦い正義をもたらすストーリーがほとんどである、というのはどうか。ヒーロー格スターへの熱狂がカルト的様相を帯びることもあるサウスでは、これはまあ妥当な話である。なおかつ、家族連れで映画を楽しむのが一般的な風土がこれをさらに補強している。変種として、ヒーローが各種の状況の犠牲者として悪の道に誘い込まれるが最後に懲罰を受け改心する、あるいは高潔なモラルの保持者が主義に殉じて斃れる悲劇によって道を示す、というのも多少はある。ともかく、ヒーローが共感を呼ぶロールモデルとして描かれ、感情移入を誘うものとしてストーリーが組み立てられるのが少なくともサウスでは常道か。

ところが、80年代のマラヤーラム娯楽映画では、上に書いたような黄金パターンではないものが見つかるんだな。以前には「暗黒メロドラマ」なんて勝手に名付けて書いたこともあったっけ。それもアート系異色作品ではなく、すでに当代の人気スターとなっていたマンムーティやモーハンラールをフィーチャーしたメインストリームものにアンハッピーエンド&アンチ・ヒーロー系が結構あるのだ(もっとも80年代マラヤーラム映画の全貌は、ディスクで見てる外国人には掴みがたいものがあるので断言は控えたいが)。両人とも当時は色んな意味で身軽だったんだな。重々しいメガスターとなった現在の両巨頭の出演作は、それらと比べると遙かに保守的なものとなっている。

そういう一連の作品群中に「ポリティカル・スリラー」と呼ぶべきものがあって、細々と現在まで続いてるようなのだ。念のため断っておくと、これは政治の世界を舞台にした推理ドラマとは違う。スレーシュ・ゴーピ主演で量産され続けているポリス・アクション推理ものはかなりの確率で腐敗した政界を背景にしているが、これは一応別物と考えたい。ここでいうポリティカル・スリラーは、ずばりケララ州政界での足の引っ張り合いをテーマにしてるもの。アンチ・ヒーローが登場して権謀術数の限りを尽くして政界を渡り歩く。人殺しやアクションも出てはくるが、本質的なものではない。で、これが良くできたものになると痛快極まりない地獄巡りで、見てて異様なくらい興奮するんだ。印度映画に通俗的な道徳の教示を特に求めない(拒みもしないが)筆者にとってはツボに入りまくり。

政治をテーマにした映画はもちろん他地域にもあるが、マ政治映画の特徴は、上に書いたようなアンチ・ヒーロー的ナラティヴと、映画的誇張はありながらも、細部においてリアリズムがあるという点かな。そいから、一癖二癖もある人相の悪いマ映画脇役軍団の皆さんも大活躍で堪えられん。

頻出するモチーフとして、州外・外国資本への土地供与のために山地部の少数部族民に対して加えられる抑圧、それから政治家の御用聞きとして汚れ仕事を引き受けるグーンダというのがある。どちらもケララの政治的トラウマともいえる現象で、映画中のエピソードも現実を反映したものと考えて良さそうだ。


【ネタバレ度30%の粗筋】
トラヴァンコール地方の旧藩王家の末裔マヒンドラン・ヴァルマ(Mohanlal)は、女好きでだらしのない性格で、学業も満足に終えることが出来ないまま毎日を遊び暮らしていた。莫大な資産を保持しながらも、かつての王家としての権力が失われてしまったことを嘆く父王(Adoor Bhasi)は、息子を州会議員・州政府大臣に仕立て上げて威信の回復を図ろうとする。山間部の広大なエステートを手土産に、王は息子の州政府与党からの立候補者としての公認と、当選の暁の大臣就任の約束を州首相(Balan K Nair)から取り付ける。不良息子は意外にも器用に選挙戦を乗り切り、見事に当選する。内務大臣に就任後、幾つかの失敗を経験しながらも、マヒンドランは政界で自在に泳ぎ回るようになり、老獪な州首相や他の閣僚を手玉に取る。しかし学生時代の友人で、今は先住民の権利保護に取り組む運動家となっているジャヤン(Suresh Gopi)とラクシュミ(Nalini)と再会したところから彼の運命は思わぬ方向に転回する。(粗筋了)

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本作をまったく予備知識無しに見始めて、最初の20分ぐらいはお気楽コメディーだと思ってたんだよね。お父様はベンツ持ってるのに神様映画の大道具みたいな馬車に乗ってるし、親戚役のジャガティ先生は時代離れした髷結ってるし、立候補を決めたラルさんがみる白昼夢のシーンではいきなりネルー帽かぶってるし。

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最初の20分で示されるヒーローの極楽トンボ的キャラクターがあまりに見事なんで、その後議員・大臣となったこの人物がまともに政治に取り組むことになるとはとても思えないのだが、そこから彼は急激に変貌する。潤沢な資金と狡猾な戦術によって選挙戦を難なくクリアし、父にも助けられて前言を翻しかねない州首相から大臣のポストをもぎ取り、多数派工作によって党内の地位を盤石なものとする。政治の仕組みそのものが自己目的的に主人公を律するものとなるのだ。この変貌ぶりがそれはもう鮮やかで、思わず「音羽屋っ!」って叫んじまうくらいのものなのだ。もうこれはラルさんにしかできない、ラルさんファンでよかったあああ、というのが実感できる快作。ただし、ラストの三分の一でストーリーはとんでもなくシュールでブラックな方向に進み始め、最後は監督も舵を手放しちゃったんじゃないかと思えるような終わり方になるんだけどね。それも含め、80年代マ映画の物凄いパワーが感じられる本作、出会えたことは本当に僥倖だ。

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このようなポリティカル・スリラーは決して途絶えてしまったジャンルというのでもないらしく、2006年には以下の2つのような佳作も送り出されている。

cvLion.jpgLion (Malayalam - 2006) Dir. Joshiy

Cast : Dileep, Kavya Madhavan, Kalsala Babu, Saiju Kurup, Karthika, Shoba Mohan, Vijaya Raghavan, P Sreekumar, Innocent, Cochin Haneefa, Bheeman Raghu, Madhupal, Saji Soman, Binish Kodieri, Sreejith Ravi, Jagathi Sreekumar, Suvarna, Bindu Panickar, T P Madhavan, Kollam Thulasi, Saikumar, Riyaz Khan, Shammi Thilakan, Baburaj, Anil Murali, Harishree Ashokan, Salim Kumar, Santhosh, Edavela Babu, Jagannatha Varma, Ponnamma Babu, Narayanan Nair

DVDの版元: Empire
DVDの字幕: 英語
DVDの障害: 現在のところ特になし
DVD入手先: Bhavani DVD など

【ネタバレ度30%の粗筋】
クリシュナン・クマール(Dileep)は州教育大臣を父(Kalsala Babu) にもち、その父が属する州与党のユース・ウィングの活動家である。一族は高級官僚や金融事業家などで占められ、父の権力に寄生しながらもその政治活動を側面から補完していた。そんな中、彼は父の政治手法に公然と異を唱え、逮捕すら恐れずに抗議活動を行っていた。しかしある時点で、実権を持たずに道義的追求を続けることに限界を感じた彼は、父の選挙区から無所属候補として出馬する。巧みな戦術で父を打ち負かして州会議員に当選した彼は、州政府の組閣に当たってキャスティング・ボートを握ることになる。政権党への協力の見返りに彼が州首相に要求したのは、内務相の地位だった。(粗筋了)

本項で紹介しているもののうち、これだけがピカレスク・ロマンではない。主人公は社会正義を実現する政治家として理想を貫き通すのだ。そういう意味で見ていて若干鼻白む部分もあるのだが、政界での寝技の数々、ひとたび大臣の座に着いた主人公による、かつて自分を蔑ろにした親戚連中への報復等々の描写はやっぱり凄い。まさにバガヴァッド・ギーターの教えそのもの(曲解?)。親父の個人秘書だったはずなのに、しれっと息子の取り巻きにシフトするジャガティ先生が見もの。それから、通常は政治の犠牲者として描かれる部族民だが、ここではサリム・クマールが演じる部族出身の代議士が笑いの種にされているのが、非常に印象に残る。

cvVaasthavam.jpgVaasthavam (Malayalam - 2006) Dir. M Padmakumar

Cast : Prithviraj, Kavya Madhavan, Sindhu Menon, Samvrutha Sunil, V K Sreeraman, T P Madhavan, Manga Mahesh, Salim Kumar, Jagathy Sreekumar, Madhupal, T G Ravi, Murali, Sona Nair, Jagadeesh, Sadiq, Sudheer Karamana

タイトルの揺れ: Vasthavam
タイトルの意味: Truth
DVDの版元: Moser Baer
DVDの字幕: 英語
DVDの障害: 現在のところ特になし
DVD入手先: 現地ビデオショップ

【ネタバレ度30%の粗筋】
ケララ最北端のカサルゴードに住むバーラチャンドラン(Prithviraj)は、名門のバラモンの一人息子だが、父(V K Sreeraman)が理想主義的な政治改革運動に入れあげた挙げ句に財産をほとんど失ってしまったため、職もなく逼迫した暮らしを送っていた。彼には幼馴染みの許婚スミトラ(Kavya Madhavan)がいたが、周囲の圧力によって、トリヴァンドラムの州政府庁舎内の事務職のポストと引き替えに遠縁の娘(Samvrutha Sunil)と結婚することになる。偶然の成り行きから、彼は大臣(Murali)の個人秘書に取り立てられ、その後政界内の対立構造を梃子にして、身分は一介の秘書のまま権力を掌握し、州首相の人事すらコントロールするようになる。(粗筋了)

ここに挙げた3作のうちではこれが一番リアリスティック。主人公を政治家ではなく、裏で実権を握るキングメーカーとして描いたところに凄みがある。ストーリーも実に緻密に構築されていて荒唐無稽さは全くない。そうはいっても、ある種のハッピーエンドとも取れる本作の結末を受け入れられる日本人はどれだけいるだろうか。たぶん大概の人は「しみじみしてる場合かよ、警察を呼べっ!」となるだろうな。インド映画見続けてると実にすんなり諾える終わり方なんだが。自身は州政府の一事務員にとどまりながら、主人公に政界での身の処し方を指南するジャガティ先生が見もの。

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ここに挙げた3作は、いずれもトリヴァンドラムにある本物の州政府庁舎(エントランスのポーチ部分だけではあるが)でロケしてるというのも考えてみると結構凄い。こーゆー映画見たうえで白亜のセクレタリアットを実際に訪れると感動も100倍じゃ。

投稿者 Periplo : 02:30 : カテゴリー so many cups of chai Mohanlal Discography
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2010年05月02日

人騒がせな奴ら(7)&傍迷惑な奴ら(8)

この子にも結構振り回されたもんだ。

Dhanya/Tanya→Abhinaya→Dhanya Mary Varghese/Dhanya Mary George

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Kerala Cafe (Malayalam - 2009) の Lalitham Hiranmayam Dir. Shaji Kailas より

Kerala Cafe (Malayalam - 2009) の一挿話でこの子が出てきたときは膝叩いたね。監督とストーリーの組み合わせ、あるいはキャスティングにおいて、意外性が目立った本作だが、ダニャマリー(ケララ風に言うダニャメーリ)とジョティルマイの組み合わせもその一つと感じた。これまでマイルドなヴァンプ系が多かったジョティルマイが貞淑な妻、どっちかってーと清純派セカンド・ヒロイン風だったダニャマリーが魔性の女で、亭主(Suresh Gopi)を取り合いすんだから。

出演作でいま分かっているのは以下の11本。他に若干のタミル出演作が存在する可能性あり。

1.Thirudi (Tamil - 2006) Dir. K Shankar
2.Veeramum Eeramum (Tamil - 2007) Dir. Sanjay Ram
3.Nanma (Malayalam - 2007) Dir. Sarathchandran Wayanad
4.Thalappavu (Malayalam - 2008) Dir. Madhupal
5.Kerala Cafe (Malayalam - 2009)
6.Vairam (Malayalam - 2009) Dir. M A Nishad
7.Drona 2010 (Malayalam - 2010) Dir. Shaji Kailas
8.Cheriya Kallanum Valiya Policeum (Malayalam - 2010) Dir. Haridas Kesavan
9.Nayakan (Malayalam - 2010) Dir. Lijo Jose Pellisserry
10.Alexander The Great (Malayalam - yet to be released) Dir. Murali Nagavalli
11.Three Chaar Sau Bees (Malayalam - yet to be released?) Dir. Govindan Kutty Adoor
参考資料:Metromatinee によるフィルモグラフィー

1と2のタミル作品は未見だが、どちらも低予算で興行成績はヒットとはいいがたいものだったようだ。3はカラーバワン・マニの芸域の広さが堪能できる佳作、以前にここで素敵なスチルを掲載してる。4は批評家受けの良かったパラレル映画、本作によってダニャの名前が一気に広まった。6は一種独特な群像映画で、ダニャは性犯罪の被害者役、通常の意味のヒロインではない。以降のものは未見が多いが、いずれも一枚看板のヒロインではない模様。

ウィキペディアを始めとする多くの網頁で、ダニャが4の Thalappavu でデビューとする記述が見受けられるが、全くの出鱈目。これだから印度の芸能記事は鵜呑みにできないんだよ。

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Thalappavu より

The Hindu の2007年10月記事および KochiVibe の2009年11月記事から分かったバイオグラフィーは以下のようなもの。

エルナクラム近郊のクータットゥクラムの生まれ。セント・テレサ・カレッジに進学し、社会学を専攻する。映画デビュー前からモデルとして活動しており、ムンバイのモデルエージェントのもとで悪くないクライアントを獲得していたようだ。実際、映画とは無関係な広告映像でこの子の顔を見かけることもたまにある。上の記事では女優業によって勉学が妨げられたとあるので、在学中から芸能活動を始めていたことがわかる。タミル映画でデビューの後、マラヤーラムに進出し、現在はマラヤーラムが主軸という、通常とは逆のコース。もっともこの先どう展開するかはまだなんとも言えないが。

上記1・2のタミル映画では Dhanya/Tanya の名前でクレジットされている。そして4の Thalappavu 以降は Dhanya Mary Varghese でほぼ定着したが、ときどき Dhanya Mary George となってることもある。多分オトンの名前がジョージ・ヴァルギースってんだろね。マラヤーラム・デビュー作である3の Nanma が問題で、どのレビューを見ても「新人Abhinaya」とクレジットされている(一例として Indulekha のレビュー)。おそらく自分の意志ではなかったのだろうが、ここで改名しちまったことでフィルモグラフィーに断絶ができちゃったんだな。まあ当人もあんまし気にしちゃいないのかもしれんが。

わずか一作だけの芸名と終わったアビナヤってのがまた混乱の元だよ。アビナヤっていやあ、Nadodigal (Tamil - 2009) Dir. Samuthirakani で彗星のごとくデビューした可愛い子ちゃん、聴覚・発語の障害を抱えながらも現在オファーがひっきりなしというハイダラーバードっ娘だ。Outlook 記事によれば、アーナンドって名前の親爺さんはタミル・テルグ映画で経験を積んでる脇役俳優らしい。ChennaiOnline 記事によれば常にラップトップを携帯していてコミュニケーションツールとしているという。rediff 記事によれば、ケララの広告代理店に登録されていた顔写真がサムドラカニ監督の目に留まって Nadodigal のセカンドヒロインに抜擢されたという。そのうちマラヤーラム映画に出てきてもおかしくないかも。芸名は変えないで欲しいね。

そんなこんなで、ややこしくはあるけれど、可愛い女の子ちゃんに振り回されるなら本望じゃ!が、今回の結語なのだった。

NadodigalAbinaya1.jpgNadodigalAbinaya2.jpg Nadodigal のアビナヤちゃん

投稿者 Periplo : 18:36 : カテゴリー バブルねたkerala brown dwarf galaxy
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