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2011年03月10日

たまにはドキュメンタリー1103

2ヶ月ぶりの更新にドキドキだ。いや単に鼻下2ミリまで仕事漬けで身動きできなかったってだけなんだけど。なんだか文字の書き方まで忘れちまってるようで怖いんだ。中断する前には、何だか新企画の予告をぶち上げたり、連載をしていたようなおぼろげな記憶もあんだけど、いきなり再開するのは無理だ。ぼちぼちリハビリめいたことから始めて行こうと思う。

ケララの衆の間で、存命中の映画監督の中でもっとも敬意を持たれているのは、何だかんだ言ってやっぱりアドゥール・ゴーパーラクリシュナン先生のようだ。実際のところセンセイの映画をどのくらいの人が観てるのかはっきりは分からないのだが、少なくとも表立って悪口言ってるのは、今やマ映画界公式悪役に認定されたティラカンのおっちゃんぐらいだ(こちらのインタビューなど参照)。

まあケララの衆も、一定期間おきに国内外の立派な映画賞を獲ってきてくれる監督に妙な絡み方をしたくはないのだと思う。ただし先生の映画作品が本当に皆さんに愛されているのかどうかについては疑問が残る。敬して遠ざけるってとこかな。それとは対照的に、没後20年を経てもいまだに映画ファンが個々の作品について熱っぽく語り合い、昨今の映像作家たちの体たらくと引き比べてはその不在を嘆く監督がいる。それが、1980年代のマ映画黄金時代の立役者、Pパドマラージャン(1945-1991)だ。

1945年にアレッピー近郊で生まれたパドマラージャンは、地元で学業を終えた後オールインディアラジオに就職してアナウンサーを務める。1965年の就職にあたって移り住んだトリシュールは、当時文化的に大変な活況を呈していたようで、トリヴァンドラムに引っ越すまでの3年間のこの街での経験と交友は、彼の文学的な資質を大いに刺激したとされている。

1970年に入ってまず小説家として認められ、次に映画の脚本ライターとして高い評価を得た。監督として名声を確立した後も脚本家業は続き、特にバラタン監督とのコンビで生み出した作品群には名作とされるものが多い。

初監督作は Peruvazhiyambalam (Malayalam - 1978) で、以降18本の監督作(全てマラヤーラム語)を送り出した。自らの小説の映画化も少なくない。才能の発掘という面でも有名で、その監督作によってデビューを果たした新人の中には、アショカン、ラフマーン、ジャヤラームなどがいる。

作風を一言で言うのは難しいが、ソングシーンを含む通常の娯楽映画のフォーマットのなかで、独自の文学的世界を展開したということには誰にも異論は無いだろう。テーマとなったのは愛と性、反逆や裏切り、犯罪や変節といったもの。インド映画全般にみられるモラリティの図化とは一線を画した、人間の心の生々しい諸相を不思議な香気をもって描き出した。

僅か18本の監督作ながら、これまでにも書いてきたような「80年代マ映画の壁」によってガイジンが気軽に鑑賞するのは難しい。当網站で紹介したのは Thoovanathumbikal (Malayalam - 1987) と Namukku Parkkan Munthirithoppukal (Malayalam - 1986) のみ。他に字幕付きで鑑賞できる作品としては、Kariyilakkattu Pole (Malayalam - 1986) と Aparan (Malayalam - 1988) が今のところ見つかっている。

そのパドマラージャンに関してのドキュメンタリーがDVDとして発売になったので、早速取り寄せてみた。

cvKadalkkaattiloru.jpgKadalkkaattiloru dooth  (Malayalam - 2010) Dir. Rajesh Menon

副題: Ode of Ocean
ランタイム:約1時間21分
公開:不明。センサー認証日は2009年12月31日
字幕:英語(焼きこみ)
DVDの版元: Winds & Waves Communications
DVDの障害:現在のところ特になし
DVDの入手先: MaeBag など

ともかく本作に関しては情報が少ない。こちらのデータベースを見ると、今年または昨年の1月にトリシュールで限定的上映がされたらしい。あと監督のラジェーシュさんの個人ブログがあるけど、マラヤーラム語なのでお手上げ、それ以外にはネット上での言及が一切見つからない。ディスクの版元も聞いたことの無い名前で、なおかつ映画の製作会社と同じ、多分自費出版に近いものなのだろう。

内容はというと、まあオーソドックスな手法で、家族友人から始まり批評家、裏方、そして綺羅星のスターさんたちにいたるまでがその思い出を語るというもの。パドマラージャン作品を一本でも見てる人には興味深いと思う。もちろんそうでない人には全くお勧めできないが。全編を通して、やはりスターさんの証言が一番のアトラクションであると思えるので、誰が登場するかはあえてここでは書かないでおこう。

ともあれ今年はパドマラージャンの没後20周年に当たるので、本作に限らず新たな資料や質の良いディスクが出てきてくれないだろうかというのがガイジンの切なる願い。

資料ではないが、パドマラージャン脚本+バラタン監督コンビで送り出された Rathinirvedam (Malayalam - 1978) のリメイクが間もなく公開になるという。旧作の主演は往年のセクシー女優ジャヤバーラティ。それをリメイクするとなったらヒロインはもうこの人しかいないでしょう、シュウェちゃんことシュウェータ・メーノーンさんの登場だ。2011年版 Rathinirvedam の監督はTKラージーヴ・クマール、楽しみだあ。

Rathinirvedam.jpg

投稿者 Periplo : 22:55 : カテゴリー バブルねたkerala

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