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2013年03月31日

PJ2012-07:Ee Adutha Kalathu

タイトルが作品の本質を完璧に示している事には疑いがない。

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Ee Adutha Kalathu

Director:Arun Kumar Aravind

Cast:Indrajith, Tanusree Ghosh (Tanu Roy), Murali Gopi, Anoop Menon, Nishan Naaniah, Mythili, Lena, Jagathy Sreekumar, Riza Bawa, Baiju, Indrans, Manga Mahesh, Dinesh Panicker, Manikandan Pattambi, Mia George (Gimi George), Krishna Prabha, Master Ramzan, Kalabhavan Haneef, Prem Prakash, Felix JK, Shine Tom Chacko

原題:ഈ അടുത്ത കാലത്ത്...
タイトルの意味:In recent times
タイトルのゆれ:Ee Adutha Kaalathu, E Adutha Kalathu

DVDの版元:AP International
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間39分

ジャンル:人間ドラマ
キーワード:ニューウェーブ、トリヴァンドラム、ゴミ廃棄場、ヒンディー語嫌悪、YouTube流出、金持ちvs貧乏人、シリアルキラー

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/ee-adutha-kaalathu-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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巨大ゴミ捨て場から各種の屑を拾い集めては「リサイクル製品」を作って小銭を稼ぐヴィシュヌ(Indrajith)とその妻ラマニ(Mythili)。高級クリニックの院長でなぜか常にフラストレーションを溜めていて粗暴に振る舞うアジャイ・クリアン(Murali Gopi)と売れないボリウッド女優あがりのその妻マードゥリー(Tanushree Gosh)。二組の男女は全く縁を持つ事なくトリヴァンドラムに暮らしていた。そこに流れ者のチンピラ色事師ルスタム(Nishan)が現れた事により、予期せぬツイストが生じ、4人は犯罪的な出来事に巻き込まれて行くことになる。

Cocktail (Malayalam - 2010) で冴えたところを見せたアルン・クマール(アルン・クマール・アラヴィンド)の第二作目。2012年2月24日に封切られ、批評家たちから驚くほどの高評価を獲得し、興行的にもスター不在作としては健闘してヒットの一つに数えられるにいたった。ただし、意欲作の多かった一年の終わりから振り返ると若干埋もれた感がある。まあともかく、上半期には傑作との評判が流通していたのでDVD発売を待ちかねた末に観てみたのだが、うーん、貶めるつもりにはなれないが、大いに推すほどのものではないなあ。倫理の固定観念を揺るがそうとする意図は汲むが、これで〜いいのだ的なエンディングが虚無的すぎないか。しかし、封切り時点ではそれほどケララ人観客を感動させたのだから、好みが特殊過ぎる筆者以外なら、日本人にもあるいは受け入れられるかもしれない。

ニューウェーブの盛り上りとともに無闇と増えたグランドホテル形式(現地ではハイパーリンク・シネマという言い方が好まれている)の作品群の中の一つ。昆虫観察日記風のリアリズムを基調とし、価値観の相対化、玉突きのような廻り巡っての因果応報、ニヒリズム、といったものをアクロバティックなストーリーテリングの中に盛り込むのが共通項。そこにはこれまでインド映画が慈しんできたヒロイズムとの決別の意志がハッキリと見て取れる。ただ、過去においても、マラヤーラム映画のヒロイズムというのは、他のインド各地方の映画とはちょっと違った現れ方をしていたものだから、旧時代/新時代を簡単に対比して語るのは難しい。まあ、それについてはこの先も山のように出てくる同様な作品について書く時にさらに考えようと思う。

前作 Cocktail では隙のない仕上がりを賞賛されながらも、外国映画からの無断リメイクと馬鹿にされたアルン・クマールなので、今回はムラリ・ゴーピによるオリジナル脚本で汚名挽回して溜飲を下げたことだろう。しかしゴーピ・スンダルによる格好良過ぎるサンバのテーマチューンはブラジル映画からのパクリという事がばれて(こちら参照)目出度さも中くらいになってしまったのだった。掛け値なしの収穫はクリニックの秘書というチョイ役で登場のミヤ・ジョージさん。典型的なケララ美人ぶりに癒される気がした、これからが楽しみじゃよ。
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投稿者 Periplo : 01:08 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月30日

PJ2012-06:Bachelor Party

ファッションに凝って何が悪いんじゃ、そもそもこんなにファッションコンシャスなオイラがケララなんかに生まれたのが何かの間違いだっつーの(慟哭)。

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Bachelor Party

Director:Amal Neerad

Cast:Asif Ali, Indrajith, Rahman, Kalabhavan Mani, Vinayakan, Nithya Menon, Ashish Vidyarthi, Ramya Nambeeshan, John Vijay, Prithviraj, Lena, Kochu Preman, Jinu Joseph, Padmapriya

原題:ബാച്ച്‌ലർ പാർട്ടി

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間59分

ジャンル:クライム・スリラー
キーワード:ニューウェーブ、無頼、酒、煙草、ムンナール、洋館、マドゥライ、銃撃戦、無精髭、ブリーチジーンズ

オフィシャルサイト:http://www.bachelorpartythefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/bachelor-party-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
デビュー作 Big B (Malayalam - 2007) が衝撃的に格好良かったアマル・ニーラド監督の第4作目。今回初めて監督・撮影・制作を一人でとりしきった。筆者にとっては Big B はかなりのお気に入りなのだが、現地の評論家たちはこれまでの全作品に対してかなり懐疑的であるようだ。技術的なクオリティにはそれなりの評価ができるものの、まともなストーリーがない、というのが一貫した批判。本作に対する論評も、型で押したようにそれを繰り返すものがほとんどだった。

オイラに言わせれば、それこそが批評家連中の視野狭窄と凝り固まりな訳よ。アマル・ニーラド作品にストーリーがないと非難するのは、わざわざお洒落カフェバーに行っといてラーメン餃子がないと文句言うのと同じ。それ言ったら負けってことが批判してる皆さんにはわからないのか。あーまたやってるやってる、と微笑みながら横目で見るのが正しいAN作品との向き合い方だと思うぜよ。

ということで今回もAN監督はストーリーは他所から借りてきた。今回のネタもとは香港ノワール、ジョニー・トー監督の2006年作品『エグザイル/絆』。と書きながら筆者は実はオリジナルを観ていないのだ、申し訳ない。しかし色々とレビューなどを読んでみると、Bachelor Party 中の銃撃戦で人が被弾したときに上がる血飛沫をまるで煙のように写すトリックなども、実はオリジナルから貰ってきたものらしいと分かる。オリジナルの舞台がマカオだったのに対して、リメイクの方はムンナールとマドゥライ。ムンナールは、もちろん革ジャンを着るため。マドゥライは、もちろん敵役の親分がパットゥ・ヴェーッティを着てなきゃ話にならないから。ニヒリズムと笑いとお洒落のカクテルを目指した、アマル・ニーラド節全開の一作なり。

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黄色いグラサンて発想なかったけどこれいいかも、ファスナーにクロスがついてるGジャンかわいい、この極太縁フレームどこで買えるの?というようにお楽しみポイントは無数。

投稿者 Periplo : 01:14 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月29日

PJ2012-05:Arike

マラヤーラム映画界の二大「きれいなお姉さん」の競演。

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Arike

Director:Shyamaprasad
Cast:Dileep, Mamta Mohandas, Samvritha Sunil, Vineeth, Ajmal Ameer, Urmila Unni, Innocent, Madampu Kunjukuttan, Dinesh Panicker, Chithra Iyer, Sreenath Bhasi, Valsala Menon, Narayanan Nair, Prakash Bare

原題:അരികെ 
タイトルの意味:close by
タイトルのゆれ:Arike So Close

DVDの版元:Moser Baer
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間57分

ジャンル:ロマンス
キーワード:ニューウェーブ、コーリコード、同時録音、ニューエイジ風バジャン、核家族、中産階級、親の反対する恋愛

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/arike-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

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コーリコードの裕福なバラモン家庭の娘カルパナ(Samvritha Sunil)と言語学者のシャンタヌ(Dileep)は恋人同士。シャンタヌは非バラモンで孤児、講師としての稼ぎも良くないので、カルパナと結婚するには彼女の家族の反対が予想される。二人がこっそりデートするのを助けるアヌラーダ(Mamta Mohandas)はカルパナの親友で、愚痴やのろけの聞き役でもある。しかし彼女自身は過去のとある苦い体験のせいで恋愛というものを信じられなくなっている。そんな彼らに予想もしなかった感情的な転機が訪れ、三人の間のベクトルが大きく変わる。

Agnisakshi [邦題:誓いの炎] (Malayalam - 1999)、Akale [邦題:へだたり] (Malayalam - 2004) の2本が日本で映画祭公開されているシャーマプラサード監督の最新作。大変に文芸的・芸術的な作品群を送り出している同監督に対してはどうしても身構えてしまうが、本作は肩の凝らないロマンス。哲学的な深読みをすることも可能かもしれないが、監督自身はリシケーシュ・ムカルジーやバース・チャタルジーの作品のような、穏やかでロマンティックなものを目指したのだとインタビューで語っている。

その分、これまでのシャーマプラサード作品のファンからは期待に及ばずとの声もあったようだが、ストーリーのツボは非常に理解しやすく、なおかつ役者の持ち味が(意外性も含めて)とても効果的に使われていて楽しい。

全体のトーンは、エレガントなヨーロッパ映画のそれを思わせる。ヒーローとヒロインの間にはカーストの差があるが、これは最後に立ちはだかるハードルではない。典型ではない個としての人物の心理の綾によって物語は紡がれる。そして、通りすがりのオートの運転手までもが、メインの登場人物の会話を漏れ聞いて何かしら心に感じているものがあることが示されたりする(しかしこのエピソードは以降のナラティブには全く関わらず、ここで途切れる)。これは従来のインド映画では伏線としてでなければ存在することが許されない要素だったはずだ。もうひとつ、ヨーロッパ映画的に感じられたのは、カメラと人物との間のインティマシー。何がどう違うか言葉で指摘できないのがもどかしいが、本作の空気感は明らかに他のマラヤーラム映画のものとは異質だった。

なお、監督の強い意志により、本作の台詞はマラヤーラム映画としては珍しく、同時録音で撮られた(インタビューによれば録音技師はこの面で一歩先んじているボリウッドから招聘されたという)。メインの出演者のそれぞれが、この珍しい体験について語り、台詞を暗記するのが大変だったと述懐しているのは、何とも呑気で微笑ましい。

投稿者 Periplo : 00:21 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年03月28日

PJ2012-04:Second Show

タイトルがどういう意味を持つのかは分かったような分からないような。

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Second Show

Director:Srinath Rajendran
Cast:Dulquer Salmaan, Gauthami Nair, Sunny Wayne, Baburaj, Rohini, Sudesh Berry, Kunchan, Mithun Nair, Bibin Perumbillikunnel, Anil Anto, Murali Krishna, Srikanth Bhasi, Ratheesh Ram, Aneesh Gopal, Biju Varghese, Sam, Vijay Kumar, Noora Michael, Sundar, Joby, Sreekumar Kozhikode, Jayaraj Kozhikode, Kottayam Bose, Dominin, Sidhu R Pillai, Vijesh Gopi

原題:സെക്കന്റ് ഷോ

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間56分

ジャンル:青春、クライム
キーワード:周回遅れのニューウェーブ、デビュー監督、田舎、就職難、ヤクザ、ガンジャ栽培

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/second-show-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
2012年2月3日に封切られた本作は、マンムーティの息子、ドゥルカル・サルマーンのデビュー作ということで前年からかなり話題になっていたが、華々しい事前プロモーションはほとんどなく、むしろ情報秘匿主義がとられていたという。ドゥルカル以外のキャスト、スタッフにも新人の占める割合が異常なくらい多く、映画マニアの学生たちの自主制作みたいな雰囲気も多少感じられる。それでは見るに堪えないアマチュアの自己満足なのかと言うとそうでもなく、結構面白い。ストーリーは平凡で、田舎の職にあぶれた若者が道を踏み外してヤクザになって成功するが、その過程で色々なものを失うという、80年代に盛んに作られた暗黒メロドラマ(筆者による勝手な命名)のバリエーション。ドゥルカルの親父のマンムーティにも昔はこのパターンのものが山ほどあったので、見てるうちに否応無しにノスタルジックな気持ちになった。だけど最近の映画しか見てない若い観客には逆に新鮮だったんじゃないかな。ギャングとしての成功譚の部分には雑すぎる面も見られるが、それ以外の、田舎の息苦しく出口のない現実の描写には惹き付けるものがあった。監督のシュリーナート・ラージェーンドランへのインタビューによれば、デジタルシネマ全盛の昨今には珍しく、本作はフィルムで撮影されたものだそうだ。

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クウェート育ちのガウタミ・ナーイルと毛むくじゃらがトレードマークのサンニ・ウェインも幸先のいいスタートを切った。

投稿者 Periplo : 00:25 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月27日

PJ2012-03:Ordinary

いまだに「マジックバス」って言葉にはちょっとドキドキしちゃう訳よ、歳がバレっけど。

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Ordinary

Director:Sugheeth
Cast:Kunchacko Boban, Biju Menon, Asif Ali, Jishnu, Shritha Sivadas, Ann Augustine, Baburaj, Vaiga, Salim Kumar, Dharmajan Bolgatty, Lalu Alex, Hemanth Menon, Kochu Preman, Narayanan Kutty, Sreedevi Unni, Niyas Backer, Dinesh Panicker, T P Madhavan, Ambika Mohan, Raghavan

原題:ഓർഡിനറി
タイトルの意味:KSRTC(ケララ州道路交通公社)が運行する路線バスの種類のひとつ。冷房なしの最低限設備の車両による、短・中距離サービス。その他の種別についてはこちら参照。

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間25分

ジャンル:スリラー
キーワード:デビュー監督、僻村バスルート、外人ツーリスト客引き、飲酒運転、パッタナムティッラ、ガヴィ

オフィシャルサイト:http://ordinarythefilm.com/
参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/ordinary-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

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【寸評】
西ガーツ山中の僻村ガヴィと郡庁所在地パッタナムティッラを1日片道1便で結ぶ定期路線バス。運転手のスク(Biju Menon)と車掌のイラヴィクッタン・ピッライ(Kunchacko Boban)はドツキあいながらも息の会ったコンビで、ガヴィの村人たちのライフラインとなっていた。ある日二人は濃霧の中で乗客のいないバスを運行中に予期せぬ事件に遭遇する。

2012年の予想外のブロックバスターのひとつ。しかし作品全体の統一感には必ずしも満足できない。変てこな連中大集合の村の人間模様を描く前半と、一転してスリラーとなる後半を比べれば、本来後半の方がインパクトが大きく緊迫感のあるものにならなければならないのに、実際は後半が退屈でダレる。

にも拘わらず本作が大受けしたのは、ひとつはペリヤール国立自然保護区の中にある小村ガヴィの霧に煙る風景が観客の心の琴線に触れまくったということ。割と珍しいと思うのだが、この村が実名で本作中に登場したことによって、ロケ地ツーリズムのような現象が起きて、訪問客が激増したそうだ。ただし、ひとつ気になるのは、やはり本作でデビューしたカメラマン・ファイサル・アリが、何かちょっと変わったフィルターワークを施していたように見えること。ここに掲載した画像で説明するならばトップの画像のようなやや不自然な色味が主調で、真ん中や下のポスターのような素直なグリーンはほとんど見られなかった。これがDVDの質によるものなのか、オリジナル・プリントの状態でもこの通りの意図的なものだったのか、あるいはガヴィの景色は本当にこんななのか、できるなら知りたいものだと思う。

そして次に特記すべきは、ビジュ・メーノーンのコメディ演技の大ブレイク。やはりクンチャーコーと共演した Seniors (Malayalam - 2011) Dir. Vyshakh(ここで紹介)で注目されて、本作で完全開花。1995年にデビューして以来(若干の例外はあるものの)端役街道まっしぐらの苦節17年(いやもちろんこれまでだって芝居が上手いことは分かってたし、存在感は十二分にあったのだが役がそれに追いついてなかった)、ここで41歳の春ってやつか。ともかくクンチャーコーとビジュ・メーノーンの間のスクリーン・ケミストリーは凄いってことになって、めでたく二人は銀幕上のベストカップルに認定(おいおい)。これ以降、このデコボコ・コンビのキャスティングによるコメディがちょっとしたブームとなって今日に至っている。

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投稿者 Periplo : 00:29 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月26日

PJ2012-02:22 Female Kottayam

こんなポスターを見ると、都会派の小洒落た恋愛映画かと思ってしまうが、実際は都会派の血も凍るスリラー。おっかないけど後味は悪くない。

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22 Female Kottayam

Director:Ashiq Abu
Cast:Rima Kallingal, Fahad Fazil, Pratap Pothen, T G Ravi, Reshmi Sateesh, Ria Saira, Srindhaa Ashab, Shalini Menon, Malavika Menon, Nikitha Jayakumar, Rema Devi, Dileesh Nair, Ruben Gomez, Varghese, Sandeep Naratan, Pradeep Sukumar, John Zachariah, Mithun

原題:22 Female Kottayam
タイトルの意味:22 years old, female, from Kottayam

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間3分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、クリスチャン、バンガロール、コーチン、自由恋愛、リベンジ、大酒、マラヤーリー・ナース、牢名主

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/22-female-kottayam-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★☆

【寸評】
バンガロールの病院に看護婦として務めながら、外国で働くためのビザが取得できる日を待つテッサ・アブラハム(Rima Kallingal)。手続きの過程でビザ・エージェントのシリル・マチュー(Fahad Fazil)と知り合い、やがて二人は恋仲となり、同棲を始める。シリルへの愛と出国への期待との間を揺れ動くテッサに、ある日悪夢のような出来事が降り掛かる。

Daddy Cool (Malayalam - 2009)、Salt N' Pepper (Malayalam - 2011) のアーシク・アブ監督の長編第3作目は、これまでのふわふわと楽しいシャボン玉映画から一転してハードボイルドな世界を展開して観客を驚かせた。ネタバレを回避する方が絶対に良いだろうとの判断から、ストーリーに関してのこれ以上の言及はしないが、2012年末にデリーで起きて印度全土を揺るがせたあの事件を予言するような内容(実際の事の成り行きはかなり異なるが)だったため、振り返るとより一層の迫力が感じられるものとなった(こんな画像も出回った)。これまではお色気先行のイメージがあったリマだが、本作を含めた今年の出演作ではこれまでの枠から外れた深みのあるキャラクターに恵まれ、意志的な強い女性像を造りだした。冒頭シーンでトレンチコート(実際には着てないけど)に咥え煙草(あくまでもイメージということで)でSIMをポイっと捨てるニヒルな姿は真似してみたいと思わせるものだった。

タイトルの一部になっているコーッタヤムは、コーチンの南、別の言い方ではトラヴァンコール地方の北部にある都市で、教育熱の高さで有名。そしてシリアン・クリスチャンの人口比が高い、いわゆるクリスチャン・ベルトの中心の一つでもある。作中には一切登場しないこの街の名がタイトル中にあることのニュアンスも汲み取りたい。

ところで、アーシク・アブは本作の前に、LOST IN BANGLORE (2011) という短編を発表している。これもバンガロールに在住するマラヤーリーが主人公、実話の再現劇なんだけどかなり怖い。印度の街をウロチョロしてる時の自分に重ねあわせてしまいそうだ。最後に広告主を見て唸る、ハイレベルのアド・フィルム、こちらのお勧め度は★★★★★だよ。

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投稿者 Periplo : 00:40 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年03月25日

PJ2012-01:Ustad Hotel

人間の貪欲は止まるところを知らん。ただし食べ物だけは別なんじゃ。誰だって満腹になればそれ以上は望まんもんさ。

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Ustad Hotel

Director:Anwar Rasheed
Cast:Dulquer Salmaan, Nithya Menon, Thilakan, Siddique, Mamukoya, Manian Pillai Raju, Jayaprakash, Jinu Jose, Lena, Kunchan, Prem Prakash, Kalabhavan Saijohn, Jagan Reju, Jishnu, Praveena, Asif Ali

原題:ഉസ്താദ് HOTEL
タイトルの意味:Maestro’s Restaurant
タイトルのゆれ:Usthad Hotel, Ustaad Hotel

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間30分

ジャンル:青春
キーワード:ニューウェーブ、料理特訓、マーピラ、スレイマニ・チャーイ、パロータ、ビリヤーニー、コーリコード、マドゥライ、湾岸成金

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2012/10/ustad-hotel-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★★★

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【寸評】
ビリヤーニーというのは面白い料理だ。中東から亜大陸、東南アジアにまで広がり、無数のバリエーションを展開しながらも、基本的に名前は変わらない(そこのところが、いわゆるカレー系料理とは違う)。どんな入り口からであれ、インドに縁をもつことになった人はどこかで必ずこの料理と出会い、自分にとってのナンバーワンを語らずにはいられなくなる。筆者にとってのオブセッションは何と言ってもトリシュール以北のケララで供されるマラバール・ビリヤーニーだ(運命の出会いは駅弁だった)。ベンガル地方で収穫されるカイマと呼ばれる小粒で丸っこい米を使うのが最大の特徴で(カイマの主要消費地はベンガルとマラバール地方だけということだ)、ふんわりした軽快な食感、なおかつジューシー、そして爽やか。

本作の読後感にもまさにそんなマラバール・ビリヤーニーを形容する語句をそのまま使えそうだ。実際、脚本を担当したアンジャリ・メーノーンによれば、ストーリーの最初のインスピレーションは Kerala Cafe (Malayalam - 2009) のコーリコードでの撮影中に地元レストランが仕出しした絶品ビリヤーニーだったという(こちら参照)。

ストーリーを煎じ詰めれば、料理人になることを目指す青年のありきたりな成長物語。拝金主義の否定、西欧崇拝への穏やかな批判、弱者救済のメッセージ、といったものが散りばめられながらも、伸びやかで屈託のない語りに引き込まれる。そしてティラカンやニティヤといった演技者、舞台設定、脚本などの全てが、メガスター・マンムーティの御曹司であるドゥルカルを引き立てるために注意深くセッティングされたと想像されるのに、最終的に仕上がった作品にスター崇拝のカルト臭が全く感じられないのが驚異だ。

ストーリーや俳優の魅力は確かに大きいが、さらに衝撃的だったのはカメラと音楽。プレイバック・シンガー上がりの作曲家ゴーピ・スンダルによるソング&BGMは椰子國離れしたエッジの立った格好良さ。タイトルロールでウスタード・ホテルの看板が未明の海岸に現れるシーンの映像と音、主人公がマドゥライに出かけて行くシーンでフォークギターにナーダスワラムがかぶさるところには珍しく鳥肌が立ったものだった。

また、筆者がが意識して追っているマーピラ映画というジャンルの中でも特筆すべきものと思われる。スタッフにムスリムが多く名前を連ねているにも拘らず、あえてエキゾ風味な要素(カッワーリー、駱駝、旋回舞踊etc.といった本来のケララ・ムスリムの世界にはないもの)をあっけらかんと押し出すフュージョン感覚が印象的。この先のマーピラ映画にも大きな影響を与えるのではないかと想像される。

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親爺と息子のポスター、そろい踏み(2012年7月、コーチンにて)。

投稿者 Periplo : 00:21 : カテゴリー バブルねたkerala so many cups of chai
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2013年03月23日

PJ2012-00:Project 2012 前口上

ここのところすっかりJ-テルグのイベント告知板となってしまっていた当網站だが、そろそろ恒例のアレを始めてもいい頃だ。

2008年から始めた総まくりもこれで5回目、年々紹介本数は減ってきてしまっているが、当のマラヤーラム映画自体の状況はどんどん面白くなっている。まず、2012年のマラヤーラム語オリジナル劇映画の公開本数は前年の88本から127本に激増した(本数について大騒ぎする気にはなれないが、このリストによればヒンディー映画103本、タミル映画143本、テルグ映画96本、カンナダ映画91本ということだ)。相変わらず変革への志向性は堅調で、ニュージェネレーションの作り手とその支持者の鼻息は荒い。しかし売り上げのトップとなったのはディリープの女装コメディだったりするのが面白い。同時に、ニューウェーブ作品にも既に陳腐化・マニエリスム化が始まっている。そのうちに観衆にも飽きが出て、何らかの反動や軌道修正が出てくるかもしれない。

総覧はウィキペディアのリストに拠った。主要作品を星評価の順位別に並べたMallayalam Movies のリスト、代表作を動画で振り返る Malayalam Tube のまとめはお手軽でよい。それなりの分析を求めるならば、Yentha.com の Malayalam Cinema 2012: Gains And Pains が良いと思う。

まとめの方法も変えてみる。これまでは対象作を全部観たうえで総括していたが、それではあまりに時間がかかりすぎるので、とりあえず1エントリーに1作を一言コメントで大体見た順に紹介するミニレビューの連載とする。今現在未見のものもまだ多いが、1−2日毎にアップして最終的に40-50本程度を俎上に上げるつもりだ。それから星5つを出し惜しみしないことにする。多少の瑕疵があってもとりあえず観る価値ありでお勧めしたいと思うものには大盤振る舞いする。現地のプロの批評家によくあるように、感激屋と思われるのを恐れて気難しい奴ぶりをアピールしてもしょうがない気がしてきたので。

ぎょーむ連絡は以上だけど、これだけじゃ愛想がないので、小話も。
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JishnuRaghavan.jpgAnnAugustine.jpgsidharth.jpg
MuraliGopi.jpgsudhir.jpgVineethSreeni.jpg

2012年のマ映画界、ニューウェーブの躍進以外にもうひとつ、地味だけど気になる現象があった。それは二世俳優の増加。いわゆるフィルミー・カーストみたいなシステムが割と希薄なマ映画界で、これまで二世俳優と言ったらクンチャーコー君(昨年のまとめでちょっと紹介)、それからインドラジット&プリトヴィラージのスクマーラン兄弟、あとはちらほら、というところだった。それがこの年、気がついてみたら個性的な二世が色々と面白い活躍をしている(といっても同年のデビュタントだけではなく、時間をかけてじわじわと前面に進出、あるいは再浮上というパターンもあるのだが)という事態になっていたのだ。これは何らかの本質的な変化ではなく、単に偶然が重なっただけだとは思うのだが、特に気になる二世をちょこっと紹介しておきたい。

■上段左:ドゥルカル・サルマーン
二世という言葉を使っているが、ここで紹介する連中は必ずしもスターの二世ではないし、二世スターとも言えない。それなりに名の知れた映画人の子弟であるだけだというのが、「家業としてのスター」「ファンクラブという名の票田の世襲」が普通のテルグ映画界などとは違うところだ。唯一の例外が、マンムーティの息子であるこのドゥルカル・サルマーンということになるだろう。表面上はあくまでもさりげなくカジュアルなデビュー、しかし実際は緻密に計画されたお膳立てなのではないかと想像される、見事なスタートを切った。文句なしの2012年きっての大型新人だ。そして同年に3本の出演作を送り出した。このマ映画ならではの軽快なペースは好もしい。公式サイトはこちら。また、名前の英字綴りは Dulquer Salmaan であるとはっきり言明(ゆれはこんなにある)していて珍しい。

■上段中:マクブール・サルマーン
主にTVで活躍する俳優イブラヒム・クッティの息子で、やはり2012年にデビューした。それだけなら全く注目されなかっただろうが、そのイブラヒム・クッティがマンムーティの実弟となれば別だ。とはいえ、イトコのドゥルカルと比べれば遥かに地味地味なスタート、どちらかといえば性格俳優コースをたどりそうな予感もするが、これからも横目で見守って行きたい。

■上段右:ファハド・ファーシル
驚きのカムバック&急上昇。これを書いている2013年3月現在、疑いなくマラヤーラム映画界で一番忙しい主演俳優だ。前に一度書いたことを繰り返すが、あの Manichithrathazhu の名匠ファーシル監督の息子だ。2002年に親父の監督のもと、シャーヌの芸名でお膳立ては完璧なヒーローデビュー(Kai Ethum Dhoorathu)をしたのだが、全く鳴かず飛ばず。勉学を完了させるという名目で芸能界から姿を消した。それがオムニバス映画 Kerala Cafe (Malayalam - 2009) 中の短編でカムバック。風貌は相当に変わり、ケララ薄毛ヤング軍団の一翼を担うに充分となっていた。石橋を叩いて壊すほどに慎重な当サイトが珍しくハッキリと終わってる宣言を下した親爺ファーシルだが、ファハドはインタビューで、デビュー作の惨敗について、「父ちゃんは悪くない、全ての責任は未熟な自分にあった」と弁護。うう、泣かせる孝行息子じゃねえか。しかしこんな立派な心根とは裏腹に、スクリーン上では性格の捩じ曲がった奴を演じることも少なくない。比較的短躯短足でボディビルとも無縁、その割にはヒロインを食い物にするスケこまし野郎の役柄が多い。ニューウェーブのうねりの中でこそ花開いた特異なヒーロー俳優と言えるだろう。この勢いをかりて弟も俳優デビューするというもある。

■中段左:ジシュヌ・ラーガヴァン
俳優・監督であるラーガヴァンの息子。親爺のツテによって Nammal (Malayalam - 2002) Dir. Kamal のツインヒーローの片割れとしてデビュー。ジシュヌの略歴記事を読むとこの作品(余談ながら本作ではあのバーヴァナも衝撃のデビューを果たしている)はスーパーヒットだったなどと書かれているが若干怪しげ。ともかくこれ以降は年に1、2本のマイナー出演しかなく、それも2006年でぱったりと止まった。インタビューによれば映画とは無関係のNGO活動に従事していたということだが、映画界から遠ざかった理由は不明。虚心に観察すれば、極東とは美意識が異なるケララではあっても、いくら何でもこの顔はキモすぎたからじゃないだろかと思えるのだが。ともかく、2012年に幾つかの作品で印象的な脇役として復活。相変わらずのキモ顔を最大限に生かした「嫌な奴」キャラ(たとえば Ustad Hotel の婚約者役)には痺れる。

■中段中:アン・オーガスティン
脇役としておなじみの性格俳優オーガスティン(ケララ風に言うとアガスティン)の娘。Elsamma Enna Aankutty (Malayalam - 2010) Dir. Lal Jose(以前に総まくりで紹介)のヒロインとしてデビュー。同作のこんなポスターを見た時には、ギャッと叫んでノートPCをパタンと閉じたりしたもんだったが、2年たってそこそこの本数をこなすうちに、しっとりとした女っぽさを出すことも出来るようになってきたのには驚いた。インタビューなどを読むと素のところはチャキチャキのカリカットっ子であるようで、筆者はそれをもっと見たい気持ちはあるのだが、まだこれからも芸域の広がりが期待できそうだ。

■中段右:シッダールト・バラタン
パドマラージャンと並び称される1980-90年代の巨匠バラタン監督(故人)とKPACラリタとの間に生まれた。このくらい濃い芸能の血を感じさせるバックグラウンドも他にはない。ゲジゲジ眉以外のパーツは笑っちゃうくらいに母ちゃんに生き写し。上に紹介したジシュヌ・ラーガヴァンと共に Nammal でデビュー。その後同様の青春映画に数本出た後、2006年を最後に映画界からふっつりと消える(この記事によれば、実際のところはボリウッドに行き、プリヤン先生を始めとした監督の下で裏方修行をしていたという)。それが2012年に親父様の旧作 Nidra (Malayalam - 1981) の同名のリメイク(主演・監督)を引っさげて戻ってきたのだ。デビュー作の頃はまだ少年の面影があったが、10年後には沖縄の民謡酒場にいそうなハイサイ小父さんとなっていた。念のため書いておくが、この顔はケララ的基準でも男前の範疇には入っていないはずだ。しかし見れば見るほど味がしみ出てくるようなイイ顔じゃありませんかい?続いて公開されたアル中映画 Spirit での短い出演でも、酒に取り憑かれた無頼詩人という、一歩間違えたらお笑いになりそうなキャラクターを易々と演じていて大したものだと思った。これからも、こいつが出てるものなら取りあえず観ちゃうことになるだろうな、という予感。

■下段左:ムラリ・ゴーピ
この人についても以前にちょこっと紹介したことがある。本格的な俳優デビューとなったのは Bhramaram (Malayalam - 2009) Dir. Blessy で、この頃はVGムラリクリシュナンの名でクレジットされていたが、その後芸名をムラリ・ゴーピに改めたようだ。2008年に亡くなったあのバラト・ゴーピの息子(ちなみにバラトという冠名は、国家映画賞主演男優賞が1968-75年の間「バーラト賞」と呼ばれていたことから、その受賞者に付与されるようになったものだという)、本業はむしろ脚本・評論などの物書き。こちらのインタビューを読むと、マ映画界に時々存在する、霞を喰ってるのか不動産を持ってるのか、ともかくガツガツと仕事を貪ることなく趣味っぽく映画に関わるインテリの一人のようだ、いや羨ましい。自身で脚本を書き、悪役も演じた Ee Adutha Kaalathu が高く評価されたが、もっと単純に粗暴犯的な Thappana も悪くなかった。書きもの系オフィシャルブログはこちら

■下段中:スディール・カラマナ
凄い名優だったのにインターネット上のリソースが少なすぎて泣けてくるカラマナ・ジャナルダナン・ナーイルの息子。息子のスディールについてもまた手がかりが非常に少なく、まともなインタビューといったら2008年ごろの 'My father is my favourite actor' ぐらいしか見当たらない。デビュー作かどうかは不明ながら、最初に注目されたのは Vasthavam (Malayalam - 2006) Dir. M Padmakumar でのグーンダの役。それから Thalappavu (Malayalam - 2008) Dir. Madhupal、City of God (Malayalam - 2011) Dir. Lijo Jose Pellissery など数作で目撃しているのだが、いずれも出演時間の限られたチョイ役、しかしそれが消えがたい強烈な印象を残すのだ。2012年にも Namukku Paarkkan... などに出演、多くがセリフが二言三言といった程度のもので、このポテンシャルをもった俳優をこんなに贅沢に勿体なく使っていいものかと咽び泣きしたくなる。しかし見かける頻度は確実に上がってきている、この人相の悪い奴がいずれ椰子國悪役シーンを席巻する日も来るのではないか、そんな期待を持って静かにヲチ中。

■下段右:ヴィニート・シュリーニヴァーサン
言わずと知れた脚本家兼性格俳優(最近はコメディアンという側面は薄れつつあるように思える)シュリーニヴァーサンの息子。学生時代からバンド活動に熱中し、まずシンガーソングライターとして頭角を現した。2008年に発表されたアルバム Coffee @ MG Road は、普段英語のポップスしか聴かないような若者達にも受け入れられ、大ヒットとなった。このアルバムの各楽曲はミュージック・ビデオ化されたが、これも自身の手になるものと思われる。俳優デビューは Cycle (Malayalam - 2008) Dir. Johny Antony によって。そして2年後には Malarvaadi Arts Club (Malayalam - 2010) で監督デビュー。2012年には、監督第二作目となった Thattathin Marayathu が高く評価され、興行的にもヒットとなった。しかし筆者にとっては上に挙げた作品群は妙に感傷的すぎて、どうもついて行けないものを感じている。それよりも Chaappa Kurish (Malayalam - 2011) Dir. Sameer Tahir で見せた、順風満帆の実人生とは真逆の負け犬の演技に大層感銘したのだ。おそらくは役者よりは監督・脚本を本業ととらえているのだろうが、まだ若いヴィニートが芝居の方でもキャリアを積んで行くことを期待したい。公式ブログはこちら

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前口上が随分長くなってしまったので、いい加減にしよう。ここに挙げた連中は個人的に気になった面子をピックアップしてみただけのもので、2012年が二世俳優席巻の年だったとか、そういうことを言うつもりではない。二世以外でも印象的な活躍をした人々については個々の映画紹介の中で書いて行きたいと思う。

これまでも何度か書いてきたが、スーパースターから端役にいたるまでのマラヤーラム映画の演じ手達の、高い芝居力や味のある顔面の魅力には、一度惹き付けられると逃れられないものがある。「これからは脚本が主役の映画じゃ」と大騒ぎしてる現地の皆さんに言いたい。ちょっとばかし気の利いた脚本、スカした新感覚映像、それだけじゃあ映画は成り立たない。一群のニューウェーブ・マラヤーラム映画が成功したのは、輸出品質の美女軍団、個性的な薄毛ヤング軍団、貫禄の中高年トド軍団が、新しいコンセプトを血肉化したからこそじゃあないか。もしそれがなかったらマラヤーラム映画は単なる「ボリウッドの廉価版」になってしまう。この連中が頑張ってる限りは、オイラはこれからもマ映画を見続けて行くことになるだろう。

投稿者 Periplo : 12:54 : カテゴリー バブルねたkerala
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