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2013年07月25日

PJ2012-26:Husbands in Goa

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Husbands in Goa

Director:Saji Surendran
Cast: Indrajith, Jayasurya, Lal, Asif Ali, Rima Kallingal, Bhama, Remya Nambeesan, Praveena, Kalabhavan Mani, Innocent, Suraj Venjaramoodu, Divya Padmini, Sarayu, Maya Unni, Leena Maria Paul, Anna Bartfai, Jens Westin

原題:ഹസ്ബന്റ്സ് in ഗോവ
タイトルのゆれ:Husbands in Goa - celebration without wives

DVDの版元:Movie Channel
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間30分

ジャンル:コメディー
キーワード:恐妻家、逃避、誘惑、列車旅

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/husbands-in-goa-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
Happy Husbands (Malayalam - 2010) がヒットして味をしめたシャジ・スレーンドラン監督が再び送り出した複数カップルのドタバタ・コメディー。ただし前作の続編とはなっていない。また前作はタミル映画のリメイクということだったが、今回のものは一応オリジナル脚本であるようだ。Happy Husbands のカップルはジャヤラーム+バーヴァナ、インドラジット+サンヴリタ・スニル、ジャヤスーリヤ+ヴァンダナ・メーノーンという顔ぶれだったが、本作ではインドラジット+リマ・カッリンガル、ジャヤスーリヤ+バーマ、アーシフ・アリ+ラミャ・ナンビーシャンという組み合わせになっている。ジャヤラームが抜けた分、ぐっと平均年齢が下がったわけだが、どうなんだろうね。夫婦生活からエスケープしてリゾートで羽を延ばす疲れた夫、というのが第一のモチーフにあるのだが、もうちょっと年齢の高い俳優を使った方がペーソスが出たんじゃないか。そのあたり、制作者も多少は考慮したのか、途中から謎の不良中年ラールを登場させたが、夫婦コメディーというよりは学園ものみたいな雰囲気は完全には払拭できなかった。若者という設定のはずなのにそれを中年俳優が演じることがこれまでは多かったマ映画としては珍しいのだけれど。

コメディーとしても、Happy Husbands よりもさらに無害なものとなった感がある。妻からの逃避行であるからには当然のこととして浮気モチーフが登場するわけだが、これが完全に毒気を抜かれたファミリー安心仕様。ストーリーの落ち着き先が見え切っているだけでなく、個々のギャグもワンテンポ前に「こう来るな」と予測できてしまうベタベタぶり。それでもオーナム・シーズンに封切られてそこそこのヒットを記録したという。

しかし本作で特筆すべきはコメディーではなく、(レイル)ロードムービー的な部分。おそらくはコーチンと思われるケララ中部の町から出発して、ゴアのマドガーオン駅に着くまでのパートはそっくりそのまま、鉄道映画の不朽の名作 NO:20 Madras Mail (Malayalam - 1990) Dir. Joshiy へのオマージュとなっているのだ! 『マドラス急行』でお茶目な車掌さんを演じたイノセントが同じ役で登場し、『マドラス急行』の劇中歌がリミックスで歌われたりする。これは年季の入ったファンには堪えられないもののはずだ。もうこれがハイライトといってもいいくらいで、一行がゴアに到着したところで何ともいえない寂しさにおそわれたのだった。

しか~し、落としどころがバレバレでかったるいこのゴアの部分を我慢して見続けたところ、最後にとんでもないご褒美が待っていた!ラストの4分だ。こればっかりはネタバラシをしたくない。まったくもってつまらない思いつきに過ぎないものなんだけど、この4分で本作は筆者にとって生涯忘れられないものとなったのだった。ここだけの評価なら★×100だ。是非ともご覧いただきたい。

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2012年3月の不慮の交通事故さえなければ、ここにジャガティ・シュリークマール演じるパーラッカード線区の車掌さんも加わっていたんじゃないかと思えてならない。

投稿者 Periplo : 23:58 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月24日

PJ2012-25:Banking Hours 10 to 4

こうして眺めると、B級芸能人大集合お笑いショーみたいな感じにも見えるね。人相の悪い奴らをまとめて見たい!という人には効率のいい一本かもしれない。

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Banking Hours 10 to 4

Director:K Madhu
Cast:Anoop Menon, Meghna Raj, Sudheesh, Ashokan, Pala Charlie, Kailash, Aditya Menon, Nishant Sagar, Arun, Kiran Raj, Jishnu, Munna, Shafna, Shankar, Sathar, Majeed, Ambika Mohan, Manraj, Tiny Tom, Vishnupriya, Vijay Menon, Mithun Ramesh, Raghavan, Krishna, Sarin H Nair, Sreelatha, Sarayu, Renjith, Lakshmi Priya, Biyon, Surabi, Midhu Ramesh, Manoj Paravoor, Roshan

原題:ബാങ്കിംഗ് അവേഴ്സ് 10 to 4

DVDの版元:
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間52分

ジャンル:スリラー
キーワード:コーチン、銀行強盗、ソングなし、殺人事件、密室、親に隠れた男女交際

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/03/banking-hours-10-to-4-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
コーチン市内のとある銀行にそれぞれの用事でやって来た雑多な人々。そこに突発的事態が起き、さして大きくもない建物は外界から遮断される。そして彼らは否応無しにある種の運命共同体となってしまう。などと書くと、またしてもニューウェーブのハイパーリンクかい、と身構える向きもあるかもしれないが、ご安心を。監督は1980年代半ばから25年以上の長きに渡ってクライム・スリラーを専門に撮り続けてきた大ベテラン、Kマドゥーさんだ。当網站では過去に Nadiya Kollapetta Rathri を取り上げたことがある。本作も、舞台こそ市中の銀行でありながら、NKR と同じく『オリエント急行殺人事件』のような密室性の中での謎解きものとなる。なんで、やたらと登場人物が多いけどそれは犯人を分かりにくくするためであって、ニューウェーブ的な気取りとは無縁がなんだ。ソングシーンが一切ないというのもこの人の作風の中では珍しくない。

まあさすがにスリラー一筋でやってきた人の作品なんで、大きな破綻はない。ただ、Grandmaster にあったような深みのある人間ドラマはここにはない。なおかつ密室劇なのでややもすると間延びして単調になる。そこを何とかしようとして、神父として登場するアショーカンを変な形でハッスルさせる策がとられたのだが、これは不発でかなりイタいことになってしまった。徐々に緊張感が盛り上がってきたのに中盤のこのシーンで一気に脱力、痛恨のミスとしか言いようがない。

そういうマイナスはあるものの、婦警さん(ここではメーガナ・ラージさんが演じる。相変わらず肌荒れが痛々しいけど)も出てくるし、一度は見といても損はない一本。

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謎解きの舵取り役をアヌープ・メーノーンなんかじゃなくメーガナ・ラージさんに任せるくらいの外連味があっても良かったんじゃないかと思うよ。

投稿者 Periplo : 23:59 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月23日

PJ2012-24:Chapters

もしかしたらこの中に、明日のスーパースターがいるのかもしれんが。
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Chapters

Director:Sunil Ibrahim
Cast:Nivin Pauly, Vijesh, Dhananjay, Hemant Menon, Sadiq, Manikandan, Vanitha, Kalabhavan Haneef, Srinivasan, KPAC Lalitha, Kalabhavan Shajon, Pala Charlie, Vineeth Kumar, Shine, Rejith Menon, Riya Saira, Aju Varghese, Gautami Nair, Guruvayoor Sivaji, Majeed, Lena

原題:ചാപ്റ്റേഴ്സ്

DVDの版元:Saina
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約1時間52分

ジャンル:スリラー
キーワード:ニューウェーブ、ハイパーリンク、希少動物闇売買、ヒルステーション、ハワラ、デビュー監督

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/02/chapters-malayalam-2012.html

お勧め度:★★☆☆☆

【寸評】
例によって例のごとしのハイパーリンク・シネマ。全体が4つのチャプターに分けられ、個々の章のエピソードは独立しているかに見えるが、一部の登場人物が重複し、弱いつながりを持ちながら最終章のドン詰まりで一応もつれた糸が繋がってくるというもの。

以前の Friday の紹介では、「人々がそれぞれの事情でバラバラに営む生活の、不規則で無秩序な分子運動の中で偶然が連鎖し、まるで神の手によるかのようなストーリーが生まれることを提示しようとする試み」と書いたが、本作はまさにその典型。スーパーヒーローなき時代に、ドラマの中で倫理的な裁きを下す(下す必要があるとして)のは、運命か、あるいは運命のように思われる偶然しかない、ということがよくわかる。それはそれでいいのだけれど、スーパーヒーローによるスーパーお裁きに匹敵するような、鮮やかな映画的興奮がラストで味わえるかというと、ちょっと弱い。特に群像映画の登場人物のほとんどが若手の新進俳優で占められるとなるとね。脚本が良くできているとして批評家からの受けは良かったが、興行成績は追いつかなかったらしい。それは実見すればよくわかる。小粒な連中のちまちました芝居を見てるのがかったるい。実際のところ、第二章になって、比較的小さな役のKPACラリタ小母さんが登場した時にはじめて画面が引き締まり、「待ってました、千両役者!」と叫びたくなったほどだ。できればラリタ小母さんのエピソードだけで一本撮って欲しかったとこだ。

例によって例のごとく、4章を通じてのバックグラウンドの通奏低音は「貧乏」。特に、第一章での「湾岸に出稼ぎに行って家は建てたものの、帰郷してからは収入がなく、再び出かける体力はない」という親父のエピソードが印象に残った。マ映画のお家芸である、さまざまなニュアンスの貧乏の形が味わえるというのが本作のお得ポイントかもしれない。

味があるすぎるお二人さん。
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投稿者 Periplo : 22:47 : カテゴリー バブルねたkerala
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2013年07月22日

PJ2012-23:Thattathin Marayathu

「北ケララにしか存在しない、真夜中に吹き渡る特別な微風」というものがあるそうな。
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ヴィニート・シュリーニヴァーサンの監督第二作目、少女趣味大爆発。しかし(それゆえに、なのかな?)若い観客を中心に大受けしたという。プロデュースは親父シュリーニヴァーサンとムケーシュのコンビ。Katha Parayumbol (Malayalam - 2007) Dir. M Mohan 以来ということになるか。

Thattathin Marayathu

Director:Vineeth Srinivasan
Cast:Nivin Pauly, Isha Talwar, Aju Varghese, Bhagath Manuel, Manoj K Jayan, Sreenivasan, Aparna Nair, Deepak Parambol, Ahmed Siddique, Sunny Wayne, Sreeram Ramachandran, Manikuttan, Niveda Thomas, Srinda Ashab, Ramu, Subheesh Sudhi, Ramakrishnan

原題:തട്ടത്തിൻ മറയത്ത്
タイトルの意味:Behind the Veil
タイトルのゆれ:Thatthathin Marayathu

DVDの版元:Harmony
DVDの字幕:英語
DVDの障害:特になし
DVDのランタイム:約2時間6分

ジャンル:ロマンス
キーワード:異教徒間恋愛、マーピラ、パルダー、タッタム(ヴェール)、タラッシェーリ、ダフ・ムットゥ

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/02/thattathin-marayathu-malayalam-2012.html

お勧め度:★★★☆☆

【寸評】
いわゆるヒンドゥー・ムスリム異教徒恋愛もの。冒頭からクライマックスまでどこを切り取ってもありがちすぎる&先が読めすぎる展開。正直なところ何がケララの衆の心の琴線に触れたのかさっぱりわからない。

きっとどこかでフェミニストの人が丁寧に分析していることだと思うが、ヒンドゥー・ムスリム恋愛ものには政治性が付いて回る。分かりやすいところで言えば、このジャンルの黄金パターンはヒンドゥーの男×ムスリムの女という組み合わせで、その逆というのはソーシャル娯楽映画ではとても少ない(逆パターンの実例として、以前にここで紹介した Avakai Biryani がある)。なぜならば、インドにおける結婚というものが、現実として女を男の家の中に取り込むことを意味するのがほとんどだから。マジョリティーのヒンドゥーの男がマイノリティーのムスリムの女を取り込む(改宗させるかどうかは別として)というのは、マジョリティーのヒンドゥーの観客にとって安心できる構図である。それはヒンドゥー教世界で古くからある「順毛婚」という概念にも合致する。それが逆となると、マジョリティー観客にはあまり気分のいいものでないのは、ラブ・ジハードをめぐる騒ぎなどからも明らかだろう。

その点では本作も安全路線を採っていて、コミュニストのナーイルの男(一般的にはヒンドゥーと見なされる)+ムスリムの女という組み合わせになっている。その中でユニークなのは、男の方からのムスリム文化への歩み寄りが見られるという点。そして何よりも男がパルダー・フェチ(パルダーの原義は男女隔離であるというが、ここでは狭義の「頭髪を隠すヴェール」としてつかわれている)であるという点だ。それが突き詰められた作中のプロポーズの台詞には驚倒した、ネタバレでも構わないという人のみこちら参照。純愛とフェティシズムは共存しうるのか、という疑問に極東のオタクは悶々とするのだが、現地のレビューでこの点に突っ込んでいるものは見当たらなかった。

上に書いたように、ストーリーにはほとんど新味がないが、それではヴィニートによる語りはどうなのかというと、全編が過剰なロマンティシズムで貫かれていて、個人的にはかなり辟易する。冒頭に「Inspired from a famous photograph」とある(その有名写真とはこれであるとの説もあるが、確認はとれていない)が、なんかこう、全体に静止画をつなぎ合わせたようなぎこちなさがあるんだよね。ヒロインのイシャ・タルワールさんがまとうヴェールが、マラバールの微風になぶられて美しくはためく様子を、カメラは細心の注意を払い、絶妙の構図で愛しむように追いかけるのだが、ちょっと作為的すぎるように感じた。っていうか、ずり落ちそうで落ちないわざとらしいヴェールにイライラするのだ(『ボンベイ』の有名なこのソングのように、女のヴェールが剥ぎ取られることに象徴的な意味を持たせているのでもなさそうだし)。ちゃんとピンで留めなさい、だらしない!と超正統派みたいなことを画面に向かって叫びたくなる。

リアリティがあるといえば聞こえはいいが、悪役が似合いそうなニヤケ面のヒーロー&臈たけていると言えば聞こえはいいが、激しく老け顔のヒロインもどんなものか。

まあそれと、ヴィニート監督に特徴的な、変に年寄りじみた視点からの青春賛美が逆に幼稚に感じられてしまうんだ。「若さとは、こんなにも純粋で美しく愛おしいものなんじゃよ」と20代の監督に言われると中高年は鼻白むものなんじゃよ。

そんなこんなで、いまひとつ強力にお勧めできない本作なのであるが、これがヒットとなった理由には、1.ガイジンには理解しにくい地域性の描写や台詞の意味に奥深いものがあった、2.すれっからしではなく、マ映画の過去の歴史にもあまり頓着しない若い「新人観客」が消費層として育ちつつある、の二つぐらいが考えられるのだが、どんなもんだろうね。

あー、だからピンで留めなさいって!
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投稿者 Periplo : 20:04 : カテゴリー バブルねたkerala
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