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2014年11月20日

11月のタミル映画上映:その2

ダーダーサーヘブ・ファールケーがインド映画の父であるならば、大衆演劇こそがインド映画の母ではなかったか。「踊らないインド映画」がキテる!とか、いやいや「No Dance, No Cinema」じゃ!などと賑やかな議論がされている昨今だが、インド映画がどこからやってきたのかを見せてくれるだろうこの作品を鑑賞して考えを巡らせるのも悪くないのではないか。

今度はマラヤーラム映画上映団体によるタミル映画の新作上映。

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Kaaviya Thalaivan (Tamil - 2014) Dir. Vasanthabalan

原題: காவியத்தலைவன்
タイトルの意味: Epic Leader
タイトルのゆれ: Kaviya Thalaivan, Kavya Thalaivan, Kaaviyathalaivan, etc.

Cast: Siddharth, Prithviraj, Vedhicka, Anaika Soti, Nassar, Thambi Ramaiah, Ponvannan, Babu Antony, Singampuli, Mansoor Ali Khan, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/kaaviyathalaivanthemovie
公式トレーラーhttp://youtu.be/ia3dOZf8h2M
ジュークボックスhttp://youtu.be/idZ-5amTsHA?list=PLR4czbB8dznwb6GmKME6Yg9qewDyiARKw
※ただし全曲ではない。発売されているオーディオCDには14曲が収録されているとのこと。

■日時:2014年11月30日、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2500円(振込みによる前払いの場合2200円)、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約170分、途中で15分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

※当日券の購入および予約の代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。受付開始は13:20ごろから。上映は14:00きっかりにスタートする。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考プレビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/11/kaaviya-thalaivan-tamil-2014.html※主要レビューについては11月28日の現地公開の後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。同頁の注意書きも参照しておいて下さい。

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【ざっくりとしたストーリー】
なにぶんインドでの公開もこれからなので、レビューなどから粗筋を推し量ることができない。1930年代のタミル南部マドゥライ地方を舞台に、民衆演劇の世界に生きる二人のバーガヴァタル(多様な含意をもつ言葉だが、ここでは看板を背負う程度に実力のある舞台俳優というぐらいの意味で使われている)のライバル関係、女優たちとの恋模様、英国からの独立運動との係わりなどを描くものと予想される。

【みどころ予想】
タミル・ニューウェーブなどという言葉も過去のものとなりそうな昨今だが、2000年代後半からのニューウェーブのうねりの中、寡作ながら衝撃的な作品を送り出してきたヴァサンタバーラン監督の新作として期待が高まる。デビュー作だった Albam (Tamil - 2002) は筆者は未見だが、以降のものはどれも1回観ただけで脳裏に焼き付けられるような深く激烈なドラマと鮮やかなビジュアルを併せ持っていた。Veyyil (Tamil - 2006) では、監督自身の出身地でもあるタミル南部地方の封建的な風土の中でもがく人々を描き、続く Angaadi Theru (Tamil - 2010) では、一転してチェンナイの大型アパレル店で働く集団就職の男女を取り上げた。現時点での最新作 Aravaan (Tamil - 2012) では、いわゆる「マドゥライ映画」を古代的な背景(といっても設定は18世紀なのだが)の中で語る試みとしか思えないものを行った。いずれの作品も、余りにも過酷な共同体のシステムの前にただ独りで立ち向かわざる得なくなった個人の運命を、リアリズムの中に描いたもの。今回は打ってかわって華やかな演劇の世界を舞台にしている。極彩色でありながらノスタルジックでもあるこの魅力的なビジュアルの中で、どのようなドラマを展開しようとしているのか。現地のポスターの惹句には、’an A. R. Rahman musical’ とあることからも、盛りだくさんのステージシーンやソングシーンが期待できそうだ。

それからヴァサンタバーランと共同でストーリー・脚本を担当するジャヤモーハンにも注目したい。インド最南端のナーガルコーイルの出身で、タミル語とマラヤーラム語で書くバイリンガル作家。凄烈で激情的なタミル映画と、内向的・内省的なマラヤーラム映画との両方で秀作を生み出している異才だ。

音楽担当のARラフマーンについてはさすがにもう説明不要だと思う。時代物かつフォークものというのはARRにとっても初めての挑戦となるのではないか。当代のヒットメーカーだったマドゥラカーヴィ・バースカラダース (1892-1952)の楽曲などが巧みにアレンジされているという。8月のオーディオ・リリースにあたっては大変に好意的なレビュー(こちらなど参照)に恵まれ、セールスでも好成績を挙げているようだ。

【主要キャスト】 僅かなプレビューから書いているので実作品と相違していたらご容赦を。
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■タライヴァンコーッタイ・カーリヤッパー・バーガヴァタル:シッダールト
主人公、架空の人物。トラヴァンコール藩王国のシェンゴーッタイ生まれの天才役者で、1933年に27歳でその生涯を終えたSGキッタッパーをモデルとしているとの噂があったが、監督はそれを否定した上で、なおかつキッタッパーとシッダールトの容貌の相似にインスピレーションを受けたと語っている(こちら参照)。演じるシッダールトは、『バードシャー テルグの皇帝』での短いゲスト出演しか日本での公開がないのに、ボリウッドファンにもサウスファンにも等しく人気がある稀有なスター。昨年はロケで来日して旋風を巻き起こした(その成果はこちらこちらで見られる)。マニ・ラトナム監督のアシスタントから出発して、シャンカル監督の Boys (Tamil - 2003) で主演に抜擢されたシッドゥ君は、Rang De Basanthi (Hindi - 2006) でボリウッドにもインパクトを残し、その後しばらくテルグ映画に専心して、マッチョヒーローが席巻するトリウッドで独自の地位を築いた。多くの作品で新進監督と組み、意見を交わしながら映画作りに参画することで有名。昨年あたりから再びタミル映画界に本拠地を戻したようでもである。
■メーラチーヴァルペーリ・ゴーマティ・ナーヤガム・ピッライ:プリトヴィラージ
主人公の同僚かつライバルである俳優、架空の人物。ネガティブな影を帯びた役柄らしい。性格俳優として知られたスクマーランの次男プリトヴィラージはマラヤーラム映画界の若手トップスターの一人(しばらく前までは唯一無二の若手スターとみなされていたが、ここ数年で若干勢力地図が変わりつつある、しかし重要な一角を占めていることに変わりはない)。母のマッリカ、兄のインドラジトも俳優という芸能一家の一員。日本での公開作品は『秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男』。マラヤーラム映画が中心だが、タミル映画、ヒンディー映画にも若干の出演作がある。当網站ではぴぃ君にこれまでかなり厳しいことを書いてきたが、その筆者でも認めざるを得ないのは、悪役的なキャラクターをやらせるとかなり迫力があるということ。なので本作でどのような芝居を見せてくれるのかが楽しみだ。Kana Kandaen (Tamil - 2005)、Vaasthavam (Malayalam - 2006) などが悪キャラ系の代表作。
■ニャーナコーキラム・ヴァディヴァーンパーリ:ヴェーディカー
舞台女優。舞台と映画で活躍した実在の名女優、KBスンダラーンバールがモデルであるという。このKBS、映画好きにとっては1950年代の神話映画での女性バクティ歌人アウヴァイヤールのイメージが強烈だが、1927年に舞台女優としてデビューしてその歌唱と美貌とで大人気を博した人だったという。上述のSGキッタッパーとのロマンス(こちら参照)は当時の芸能界での大いなる語り草であったらしい。演じるヴェーディカーは北カルナータカのソッラープラ出身。タミル映画を中心に、南インド4言語の作品に出演してきた。これまでの代表作は批評家から高い評価を得た Paradesi (Tamil - 2013)。
■タヴァティル・シヴァダース・スワミガル:ナーサル
カーリヤッパーとゴーマティが所属する劇団のヴァーッティヤール(座長)。このキャラクターにもモデルがあり、タミル演劇の父と称されるシャンカラダース・スワーミガルという人なのだそうだ。『ザ・デュオ』、『ロージャー』『ボンベイ』など、一連のマニ・ラトナム監督作やラジニ映画、最近では『バードシャー テルグの皇帝』が日本で公開されているナーサルが、ここでも渋い演技を見せてくれそうだ。

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【カンパニー・ドラマとは何か】
カンパニー・ドラマとは、今日のタミル・ナードゥを中心とした地方(特に南部タミルのマドゥライが中心地だったという)で19世紀末から起こり、20世紀の初頭には大衆娯楽の王座を占めた演劇の総称。各劇団はカンパニーと呼ばれ、また劇団が本拠地をもたず旅回りで成り立っている場合は、ツーリング・カンパニー(巡回演劇団)と称された。このジャンルは、同時期のボンベイで盛んだったパールシー・シアターやマラーティー語によるカンパニー・ドラマなどとも相互に影響し合ってレパートリーを広げていった。多くの場合、題材となるのはヒンドゥー教の神話のエピソードで、その語りのスタイルは、多数の楽曲の数珠つなぎの合間に台詞や剣戟が入るというものだった。カンパニー・ドラマは上層階級から蔑まれたジャンルではあったが、ヴァーッティヤール(本来の意味は教師)の名前で呼ばれた座長は、一座を取り仕切るだけでなく、脚本を書き、演出を手がけ、作曲し、俳優の訓練も行う総合プロデューサーで、神話を中心とした文芸に通じた教養人でもあった。コメディアンを含む俳優たちに何よりもまず求められたのは歌唱力で、花形俳優であることは、すなわち名歌手であることだった。ヴァーッティヤールのもとで共同生活を営むのが普通であったカンパニーには、少年だけで構成されるもの(ボーイズ・カンパニー)、女性だけのものなど、演じ手に特色を打ち出しているものもあった。

カンパニー・ドラマは、政治的な色彩を帯びることも多かった。1919年のジャリヤーンワーラー・バーグの虐殺事件の後、英国政庁は印刷メディアへの検閲を強めていくが、大衆演劇への監視は比較的緩かった。そのため、多数ある劇中挿入歌の一部にナショナリスト的主張が込められたものが混ざることも少なくなかった。

初のタミル語トーキー映画は1931年の Kalidas だったが、キャスト・スタッフにはカンパニー・ドラマ出身者が多く名前を連ねた。映画作品自体が、劇場の客席にカメラを固定して、劇の一部始終を撮影した記録映像とさほど変わらなかったのである。誕生したばかりのエンターテインメントである映画は、人材を演劇界からスカウトするしかなかったのだ。やがてトーキーは、映画としての独自の文法を獲得していくことになるのだが、映画製作の現場での演劇人の席巻はその後もかなり長く続く。1950年代に台頭し、男優中心の今日の南インド映画界の構図を決定づけたMGR、シヴァージ・ガネーシャン、ANR、ラージクマールといった巨大明星たちも、皆カンパニー・ドラマのバーガヴァタル(こちらなども参照)出身だった。ラジニカーントやチランジーヴィといった1970年代からの大スター以前の映画人は、かなりの部分が演劇界とのかかわりをもつ人々だったのである。

【演劇芸道ものの世界】
インド映画には、「芸道もの」としか呼びようのない一群の作品が明らかに存在する。にも拘わらず、筆者はこれまでにインド映画評論のなかで「芸道もの」に相当する言葉を目にしたことがない。たいていの場合「musical」と大雑把に括られているだけなのだ。芸道ものの王道は古典音楽、それも声楽を扱ったものと言っていいだろう。しかし数は少ないものの、演劇人を主人公にした芸道ものも存在し、どういう訳かどれもこれも秀作揃い。シヴァージ・ガネーシャン主演で、本作と同じくタミルの大衆演劇を背景にした Rajapart Rangadurai (Tamil - 1973)、堅気の男と結婚し幸せを掴もうとして挫折した女優の物語 Ranganayaki (Kannada - 1981)、レコード・ダンスと呼ばれる特異な芸能に携わる人々の人間模様が楽しい Sri Kanaka Mahalaxmi Recording Dance Troop (Telugu - 1988)、マハーラーシュトラの大衆演劇タマーシャーを志した男の苦難の数々を描く Natrang (Marathi - 2010)、ケララのコミュニズム演劇の世界の年代記 Nadan (Malayalam - 2013)、変わったところではアングロ・インディアンのシェイクスピア劇団を題材とした Shekspear Wallah [邦題:インドのシェイクスピア] (English - 1965) などなど。

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投稿者 Periplo : 21:43 : カテゴリー バブルねたtamil
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2014年11月09日

11月のタミル映画上映

ともかく水道管と爺さんたちがすごいらしい。

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当初11月15日上映ということで告知がされていたが、1週間をきったところで、まさかの(というかお家芸の)日程変更。11月23日となった。旧日程で入っていた予約はそのままスライドされるとのこと。

Kaththi (Tamil - 2014) Dir. A R Murgadoss

原題:கத்தி
タイトルの意味:knife

Cast : Vijay, Samantha Ruth Prabhu, Neil Nitin Mukesh, Tota Roy Chowdhury, Sathish, R Ravi, Rupesh Gupta, Veera Santhanam, Sreerag Nambiar, Sayaji Shinde, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/Kaththimovie
公式トレーラーhttp://youtu.be/bMf0IyzyKt4
全曲ジュークボックスhttp://youtu.be/FHPcU49i-DI

■日時:2014年11月23日、13:00開映(16:00ごろ終映予定)
■料金:大人2200円(前売り2000円)、5-15歳の子供1200円(前売り1000円)、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約166分、途中で20分程度のインターミッションあり
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※家族チケットに関しては、主催者公式サイトを参照のこと
※別料金でインド料理ケータリングあり(上映前ランチとインターミッション中のスナック)

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/https://www.facebook.com/pages/IndoEiga/387150801377796
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/11/kaththi-tamil-2014.html

メールによる事前予約をお勧めします。
メールのタイトルは「Kaththi ticket booking」などとし、
1. Name:申し込み代表者のお名前をローマ字でここに記入
2. Number of tickets / adults:大人の人数を算用数字でここに記入
3. Number of tickets / children:子供の人数を算用数字でここに記入
以上の必要項目を埋めてmovieinfoアットindoeiga.com(アットを@に変える)までメールして下さい。支払いは当日劇場受付で。残席がある場合予約は上映前日まで可能、上映前に確約の折り返しメールが届くはずです。
※大人気タミル映画なので、満席になる可能性もあります。今回に限り、予約は必須と考えた方がよいでしょう。

【ストーリー】
日本語で詳しく書いてくれているカーヴェリ川長治さんむんむんさんのレビューを参照。

【みどころ予想】
一昨年末に東京で上映して大反響だった Thuppakki (Tamil - 2012) に続くヴィジャイ+ムルガダース監督のコンビによる最新作。もちろんヴィジャイの新作というだけでも大騒ぎになるところだが、ムルガダースの2年ぶりのタミル映画新作(Thuppakki のリメイクであるヒンディー映画 Holiday - A Soldier Is Never Off Duty、それからプロデュース作品としてなかなかに面白い Vathikuchi などはあったが)が再びヴィジャイとのコンビということで期待はいやがおうにも膨れ上がっていた。蓋を開ければ予想をさらに上回る評判と売り上げで、封切後2週間ほど(タミル映画史上の最速と言われている)で100カロール・ルピー超えの売り上げを達成するなど、快進撃ぶりには留まるところがない。ムルガダースの監督第2作目 Ramanaa あたりからはっきりとした作風として浮かび上がってきた、社会悪と戦うヒーローを緻密なプロットの中で観客の共感を呼び起こしながらドラマチックかつ丁寧に描く(言葉にしてしまうと随分とあっけないが)という特徴は、本作でも発揮されており、ムルガダースの(そしてヴィジャイの)最高傑作との声までもが上がっている。Thanneer Thanneer [邦題:お水よお水] (Tamil - 1981) の昔から、水の確保は南インドで都市住民・田舎の農民を問わず生活に(時には生存に)直結する大問題だった。この伝統的なモチーフが、どのように鮮やかにドラマとなっているか、大いに期待して臨みたい。

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【主要キャスト】 ※上のイメージには本作のスチルからではないものも含まれる
■カディレーサン(カディル)/ジーヴァーナンダム(ジーヴァー):ヴィジャイ
コソ泥常習犯のカディルと、農民の権利のために戦う社会活動家ジーヴァーの二役。Azhagiya Tamil Magan (2007)、Villu (2009) に続く3回目の一人二役。タイトルにある刃物だけでなく、ポスターにある「バールのようなもの」でどんなアクションを見せてくれるのか楽しみだ。
■アンキター:サマンタ
言わずと知れた『マッキー』のヒロイン。現状ではテルグの出演作が圧倒しているが、実はテルグ人とケララ人の両親の元に生まれ、タミル語を日常語としてチェンナイで育った「タミル女優」でもあるのだ。こちらの記事によれば、これまでタミル・テルグ両方で「サマンタの声」として慣れ親しまれてきた人気声優チンマイ・シュリーパダーではなく、ラヴィーナ・ラヴィという人が声を当てているという。
■チラーグ:ニール・ニティン・ムケーシュ
多国籍飲料メーカーのインドでの代理人となる実業家。ニール・ニティン・ムケーシュについては、当網站筆者は David (Hindi - 2013) の一作しか見ておらず、まともな論評もできないものが申し訳ないが、悪の翳りを帯びたヒーロー役を得意としてきた人らしい。Thuppakki のヴィデュト・ジャームワールもそうだったけど、いかにも北印度なイケメンをヴィジャイと対決させるというのはムルガダース監督の一貫したインスピレーションなのかもしれない。
■ダーヌ:サティーシュ
カディルのサイドキック。サティーシュは、クレイジー・モーハンの助手として裏方からスタートし、Thamizh Padam (Tamil - 2010) の端役でデビューした新進コメディアン。この人のキャリアにとっては、疑いなく本作が最高のメガ・プロジェクトとなっている。
■その他:ベンガル映画界が本拠地で、昨年急逝したリトゥポルノ・ゴーシュ監督の作品によく顔を出していたトーッタ・ローイ・チャウダリ(公式サイトあり)が冒頭のコルカタのシーンでちょっと顔を出しているなど、なんだなんだ?という感じのキャスティングもかなり気になる。

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めきめきと売り出し中のミュージック・ディレクター、アニルド・ラヴィチャンダル(あの♪Why This Kolaveri Di で全国的なヒットを飛ばした異才。またラジニカーントの親戚でもある)の音楽も注目点のひとつ。

投稿者 Periplo : 01:43 : カテゴリー バブルねたtamil
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2014年11月08日

11月のマラヤーラム映画上映

マラヤーラム映画会はなぜモーハンラール作品ばかりでマンムーティの主演作が無いのかとお嘆きの皆さん、お待たせいたしました。

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※当初同日上映とされていたタミル映画 Kaththi は、23日に延期となった。詳しくは次のエントリーを参照。

Varsham (Malayalam - 2014) Dir. Ranjith Shankar

原題:വർഷം
タイトルの意味:rain
※マラヤーラム語には、雨という意味の単語に、サンスクリット語起源の varsham と、ドラヴィダ語起源の mazha の二つがある。どういうニュアンスの違いがあるんだろね。なお2004年に同名のテルグ映画があるが、本作とは一切関係ない。

Cast : Mammootty, Asha Sharath, Mamtha Mohandas, Master Nabeesh, Govind Padmasoorya, T G Ravi, Sudheer Karamana, Sajitha Madathil, Irshad, Sunil Sukhada, Santhosh Keezhattoor, Shivaji Guruvayoor, Sreelatha Namboothiri, Hareesh Peradi, Vinod Kovoor, Sarayu, Jayaraj Warrier, Shabin, Theni Jayan, Sajaad Bright, Prajul, Sreerag Nambiar, Mithula, Ajanta, etc.

公式サイト(FB)https://www.facebook.com/Varsham.Movie
公式トレーラーhttp://youtu.be/eGraLI_qPBk

■日時:2014年11月15日、13:30開場、14:00開映(17:00前に終映)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約150分、途中で20分程度のインターミッションあり
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

※当日券の購入および前売り代金の支払いは、イオンシネマ3Fの共通チケットブースではなく、会場入り口にて。受付開始は13:30ごろから。上映は14:00きっかりにスタートする。
※本上映入場者はイオン市川妙典の駐車場が3時間まで無料で利用できる。
※今回はインド・スナックのケータリングはなし。イオンシネマの売店でドリンク、スナックの購入が可能。

■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/CelluloidJapan
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2014/11/varsham-malayalam-2014.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームへの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。同頁の注意書きも参照しておいて下さい。

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【ざっくりとしたストーリー】
長らくの湾岸での生活を終えてケララ州トリシュールに戻ってきたヴェーヌ(Mammootty)は、それまでに稼いだ金を原資にして小さな金融会社を立ち上げる。彼の17歳になる一人息子の名前からその会社は「アーナンド・ファイナンス」と命名される。

ヴェーヌの才覚によってアーナンド・ファイナンスは順調に成長するが、それは同地で古くから金融業に携わっていたピーター(T G Ravi)を圧迫するものだった。ピーターは敵愾心を露わにしてヴェーヌに挑み、これまでヴェーヌが友人だと思っていた人々までもが彼の成功に嫉妬して態度を変える。

愛する家族の幸せを確実なものにするためには、まず経済的な安定が土台であると信じ、実際に裕福な暮らしを実現したヴェーヌだったが、思いもよらない不幸に襲われ、人生に対する向き合い方を考え直すことになる。

【みどころ予想】
マラヤーラム映画上映会 Celluloid の記念すべき立ち上げ作品だった Punyalan Agarbattis (2013) のランジット・シャンカル監督の新作。経歴については同作の紹介文を見ていただきたいが、南印度の伝統である包み込むような大家族とは距離を置いたところで、個としての人間や核家族のおかれた状況から現代人の行き方を探る、というようなテーマを娯楽作品中で追求してきた。そして、これまではスリラーやコメディーといった形式で行ってきたことを、名優マンムーティーを迎えて、じっくりとメロドラマによって語ろうというのだ。監督自身の口上にもあるが、ダンスもアクションもジェットコースター展開もないが見ごたえがある、実にマラヤーラム映画らしい佳作を期待できるのではないだろうか。

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【主要キャスト】
■ヴェーヌ(ヴェーヌゴーパール):マンムーティ
湾岸帰りの起業家。自身で築き上げた財に高いプライドを持っており、一方で社会の低層への眼差しは冷たい。一人息子にも世俗的な人生での勝利者となることを望み、その英才教育には常に心を砕いている。メガスター・マンムーティについては別に改まって紹介する必要も無いでしょう、と言いたいとこだが、万が一にも「あのドゥルカル・サルマーンの親父」とか本末転倒な説明がされたりしたら癪に触るので、ベーシックなことだけ書いとく。1951年生まれの63歳、モーハンラールと並ぶマラヤーラム映画界のスーパースター。1980年代初めから主演格で演じるようになり、現在出演作の総数は400本に近づこうとしている。マラヤーラム映画が中心だが、他の南印3言語とヒンディーにも出演あり。これまでに日本で公開された作品は Thalapathi [邦題:ダラパティ] (Tamil - 1991) と Pazhassiraja [邦題:ケーララの獅子] (Malayalam -2009) の2本。過去に3回の国家映画賞主演男優賞を受賞(こちら参照)。日本式に言えば還暦を過ぎ、息子もどうやら独り立ちして、隠居の誘惑もありそうなものだが、今でも年6,7本ペースで出演を続け、特殊メイク無しで実年齢より20歳は若いキャラクターを易々と演じている。公式サイトもあり。
■ナンディニ:アーシャ・シャラト
ヴェーヌの妻、専業主婦。月並みな虚栄心と家族への愛の持ち主。演じるアーシャ・シャラトは Drishyam ではハードコアな警察の高官を演じて強い印象を残した。
■マナヴァーラン・ピーター:TGラヴィ
1944年生まれのTGラヴィは、1970年代から活躍している大ベテラン。かつてはハードコアな悪役俳優だったが、近年は好々爺を演じることが多くなってきている。本作の舞台であるトリシュールの出身で、俳優としてのみならず、財界人としても名が知られている。
■ジャヤシュリー:マムタ・モーハンダース
悲劇に見舞われたヴェーヌを励ます女医の役。今月半ばに30歳の誕生日を迎えようとしているマムタ・モーハンダースは、カンヌール生まれ、バハレーン育ち。訓練された古典声楽家でもある。2005年に映画デビューし、2007,8年ごろにはテルグ映画界で引っ張りだこだったが、現在は再びマラヤーラム映画界で落ち着いている。2010年ごろの癌との闘病、その後の僅か1年で破局した結婚など、波風の多い私生活が伝えられるが、怜悧な美貌と知的な演技にはブレが見られない。

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投稿者 Periplo : 23:48 : カテゴリー バブルねたkerala
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