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2016年03月29日

4月のマラヤーラム映画

眉間の皺だけで微かなお笑いを予測させてくれるニヴィンはもしかしたら凄い奴なのかもしれない。
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Action Hero Biju (Malayalam - 2016) Dir. Abrid Shine

原題:Action Hero ബിജു

Cast:Nivin Pauly, Anu Emmanuel, Major Ravi, Saiju Kurup, Joju George, Dr Rony Davis, Kalabhavan Prajod, Suraj Venjaramoodu, Rohini, Meghanathan, Jude Anthany Joseph, Suresh Thampanoor, Abhija Sivakala, Kochu Preman, Sajan Palluruthy, Balachandran Chullikad, Valsala Menon, Devi Ajith, Jayashri Sivadas, Vinduja Menon, Azeez, Madhu Mohan, Bobby Mohan, Manju Vani, Parvathy T, etc.

Music:Jerry Amaldev

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/bJgV9eC0GJE
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/LpEpgZ3BKhA

■日時:2016年4月2日、15:00開映(当日券販売および予約チケットの引き換えは14:00頃から開始、映画は18:00前に終了)
■料金:大人1800円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約144分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※別料金で、インターミッションにスナックの販売あり。下の申し込みフォームからチケットと同時に予約可。

■主催者公式サイト:http://www.celluloidjapan.com/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/03/action-hero-biju-malayalam-2016.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームの入り口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
カレッジの講師をやっていたビジュ・パウロース(Nivin Pauly)は、思うところあって警察官に転身し、コーチン市警察のサブ・インスペクターとなる。警察官となった彼は、街の法と秩序を守ることに全身全霊をささげるつもりだった。しかし日常の任務はどこまでも淡々としている。彼はベニッタ・ドーミニク(Anu Emmanuel)と婚約し、数週間後に挙式することになるが、ロマンスにうつつを抜かすほどの暇もなかった。新任のサブ・インスペクターの約1ヶ月の出来事を描く。

【主要キャラクター/キャスト】

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■ビジュ・パウロース(ニヴィン・ポーリ)
教員から転身した警察官。エルナークラムのジャナマイトリ署に配属となる。真面目な性格で、コーチン市の法と秩序の番人となることに大きな意義を見出している。
■ベニッタ・ドーミニク(アヌ・インマーヌウェル)
ビジュの婚約者。演じるアヌは、テキサス生まれの帰国子女。子役出演を除けば、本作がデビューとなる。この後、テルグ映画への出演も決まっている。
■ミニモーン巡査(ジョージュ・ジョージ)
ビジュの部下、呑気な奴。ニヴィン以外のキャストは誰もが短い出番で、突出した重要な脇役がいないといわれている本作なので、主要登場人物を4人に絞り込むのは無理があるのだが、ジョージュ・ジョージを取り上げたのは、ここのところ脇役界でのプレゼンスが高まっているから。つい先日発表された2015年度のケララ州映画賞で審査員特別賞を受賞。Oru Second Class YathraLukka Chuppi での演技が評価されたため。子役経験があったものの、成人してからの映画人生は平坦ではなく、1999年の初出演から低迷を続け、ここにきてやっと名前が知られるようになったのだという。約15年の下積みの末の満開のおっさん力を味わってほしい。
■マノージ(サイジュ・クルップ)
サークル・インスペクター。ビジュの上司。演じるサイジュ・クルップについては、1983の時に簡単に紹介した。

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【トリヴィア】
お巡りさん映画だが、国際テロリストとの対決も、1ダースのならず者を3分で片づけるファイトも、巨悪相手に大見得を切った後にのっしのっしと去るシーン(もちろん仰角スローモーション)もないという。そらそうだ、ニヴィンが主人公なんだし。

とにもかくにもニヴィン・ポーリだ。当網站では Chapters という箸にも棒にもかからない作品のレビューで、「もしかしたらこの中に、明日のスーパースターがいるのかもしれんが」なんてことを書いたのが僅か3年前だ。「仲良しのお友達で作っちゃいました」的な若者映画 Malarvaadi Arts Club (2010) でデビューの後、Thattathin Marayathu (2012)、Neram (2013)、1983 (2014)、Bangalore Days (2014)、Premam (2015) と、恐ろしいほどの打率で主演作をスーパーヒットにし続けている男。いや、スーパーヒットになる作品に主演し続けている男、なのか?なかでも昨年の Premam の怒涛のヒットは凄かった。最終的に、Drishyam に次ぐマ映画の興収歴代トップ3に食い込むほどのものとなったのだ(こちら参照)。Premam の後の二ヴィンには「スーパースター」という形容詞がつくことも珍しくなくなり、「次世代のモーハンラール」という声まであちこちに見られるようになり(一例としてこちら)、さすがにこれには唖然とするほかはなかった。

30歳そこそこ、キャリア開始から5年で、ここまでの持て囃され方をしたら、精神に変調を来たす恐れすらあるように思えるが、当人は割とクールで、ヒロイン中心の作品 Ohm Shanthi OshaanaMili で助演してみせたり、「ドリーム・ロールは悪役」と言い続け、バランスをとろうとしているようだ。しかし、Premam がまだ大ヒット上映中に、25本目となる本作の製作が発表され、ポリスものであることが明らかになった際には、観客の一部からは若干の懐疑の声も上がったのだ。

前回上映の Sethupathi のところで書いたように、お巡り役というのは、南インドの男優にとって、神のように崇拝されるマス・ヒーローになるための足掛かりという一面があるからだ。それまで、オフビートな作品でのニュアンスに富んだ演技によって評価されていた若手俳優が、そこそこの人気が出てきたところで、柄にもないアクション映画で大衆路線に変更を図るというのは、マラヤーラム映画界でもそれ以外でも、時にあった。ニヴィンも同じコースをたどるのかと思った人は結構いたようだ。

しかし、公開された本作のレビューなどを読むと、結果的にそれは杞憂に終わったようだ。ニヴィンが仮に次世代モーハンラールだったとしても、荒ぶるお巡りはどう考えても無理だわ。代わりに繰り広げられるのは味のある脇役たちによって演じられるコーチンの日常の人間模様であるという。もしかしたらケーララ版の『多甚古村』となるのかもしれない。1983 でデビュー・ヒットを飛ばした監督アブリド・シャインの手腕にも注目。

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投稿者 Periplo : 04:34 : カテゴリー バブルねたkerala
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2016年03月13日

レビュー:Lucia

このトーチライトをはじめとした象徴的な小道具の散りばめ方が精緻で心憎い。
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Lucia (Kannada - 2013)

タイトルの意味:作中に登場するドラッグの名前

DVD/BDの版元:Anand
正規オンライン全編動画(有料):https://youtu.be/B7AhxgNDRB8
DVD/BD/オンライン動画の字幕:英語(歌詞含む)
DVDのランタイム:約137分
ディスクの主な販売サイト:Kannada Store ほか

Director:Pawan Kumar

Music Director:Poornachandra Thejaswi

Cast:Ninasam Sathish, Shruthi Hariharan, Achyuth Kumar, Hardhika Shetty, Balaji Manohar, Aryan, Poornachandra Mysore, Prashanth Siddi, Bharath Singh, Lalipalya Mahadev, Vasudha Bharaighat, Prasad, Sanjay Iyer, Krishna, Rishab Shetty, Arasu, Aryabhata, Bianca, Ana, Sabreen, Cathy, Narayan Bhat, Gourish Akki, Sathish Kumar, Surya Vasishta, Kishore Vasishta, Veerendra, Sai Mahesh, Ravi Bhat, Reddy, Shama, Pia, Pawan Kumar

参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2013/12/lucia-kannada-2013.html

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【事前に分かっても問題ない程度のストーリー導入部】
バンガロールのとある病院の個室に昏睡状態で横たわる男がいる。人工呼吸器によってかろうじて生かされている、ニキルという名のその男を安楽死させるべきかどうかは、TVのニュースショーでも取り上げられている。しかし一方で、彼がこういう状態に陥った元の出来事に事件性があるのかどうかも、人々の関心の的である。バンガロール警察にムンバイから来たサンジャイ(Sanjay Iyer)という名の捜査官を交えた特別チームが始動した。

バンガロールの下町の映画館でトーチ係(懐中電灯で通路を照らして客を席に案内する係員)をしているニキル/ニッキ(Ninasam Sathish)は、マンディヤのド田舎から一人で上京してきた。3年を州都で過ごした今も、信じられないくらい狭苦しいアパートで、似たような若者たち数人と雑魚寝する生活だった。そのせいで彼は不眠症に陥っている。

彼が勤めるのはカンナダ映画専門館。頑固者の館主シャンカランナ(Achyuth Kumar)は、ニッキのことをド突きながらも可愛がっている。しかし古ぼけた映画館の客の入りは最低で、借金取り立て&地上げ屋が訪れ、脅迫めいた台詞を残していくこともある。

ある夜、ニッキは路上でつつましい庶民の娘シュウェータ(Shruthi Hariharan)を見かけて一目惚れする。

同じころ、眠れないまま夜の街路に出た彼は、怪しげな売人から「ルシア」という名前の睡眠薬を薦められる。それは単に睡眠に導入するだけでなく、極上の夢を見させ、しかもその夢を次の晩に引き続き楽しむことができるという効能を持つものだった。半信半疑でその薬を服用してまず見た夢で、彼はカンナダ映画界のトップスターとなっていた。

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【とりとめのない感想】
いきなりリメイクの話からで恐縮だが、本作は2015年に Enakkul Oruvan というタイトルでタミル語リメイクが公開された。主演はシッダールトで、どう考えてもオリジナルよりもプロダクション・バリューが高く、名作になりそうに思えたが、実見したところ筆者には全く心響くものがなかった。理由はいくつか挙げられるが、一番大きいのは、リメイクの舞台であるタミルの映画界が「全然栄えてるじゃん!」ということ。そう、本作はカンナダ映画界の抱える難儀な状況を大きな前提として構築されたものなのだ。

本作はカンナダ映画としては初めて、主にオンラインで出資者を募るクラウド・ファンディングの方式で製作された。斬新な資金集め手法のインパクトは、封切り時点では話題になったとしても、やがて時の流れの中で作品自体と比べて重要性を失っていくだろうと最初は思った。しかし遡って製作過程にまつわるあれこれに目を通していくと、上に述べた難儀な状況がそのまま反映されているのだ。そして、本作で大成功を収めたはずのパワン・クマールが、次作もやはりクラウド・ファンディング手法で作ろうとしている(作らざるを得ない?)ところを見ると、バックステージの資金集めですら作品の一部なのではないかと思えてならない。

「カンナダ映画界の抱える難儀な状況」を説明しだすと終わらなくなってしまうが、ひとまずここでは、本作のクランクイン前にパワン・クマールがブログで発表して大反響を呼んだ『Making Enemies』というエッセイ、それから、プレ・シューティング段階でのとあるエピソードを回想したパワンのフェイスブック上の公開ポストを紹介しておく。

前者は、本作の主役を名前の知れたスターたちにオファーして軒並み断られた話。彼らが脚本のプレゼンを聞くことなく断ったということにパワンが憤激して書かれた。とはいえ、完成した本作の中には、当たり前といえば当たり前だが、多数のカンナダ映画作品への言及が散りばめられている。また、オファーを断った有名俳優たちとは誰だったのか、そしてそのスターたちが仮にこの役をやったならどんな仕上がりになっていたかを想像するのも楽しい。ルサンチマンにまみれながらも、本作はカンナダ映画への愛に満ちている。

カンナダ映画への愛は、すなわちカンナダ語への愛でもある。本作の舞台であるバンガロールは、コスモポリタンな文化を誇る一方で、州公用語であるカンナダ語を母語とする人々の割合が4割を切るという特異な状況にある。さらにこの街では、インド全般にある英語至上主義もどぎつく現れている。カンナダ映画研究家MKラーガヴェーンドラ(過去にここで紹介した)によるエッセイ『Meanings Of The City』はその背景を簡単に紹介してくれている。英語が使えなければ二級市民扱いというような状況は、たとえば『マダム・イン・ニューヨーク』などでも重要なモチーフのひとつとなっているが、本作は異国ではなく、生まれ育った州の州都での話なのだから余計に突き刺さるものがある。でありながら、英語を話す外国人たちが、怨詛の対象ではなくむしろ主人公を助ける存在として描かれるところなどには、バランス感覚が感じられる。

くどくど書いてはみたものの、そんな予備知識なく本作に臨んだ観客をも圧倒するだろうと思えるのは、全編に満ち満ちたメランコリックなポエジー。多くのシーンで舞台となるのは夜、あるいは薄暗い室内、スタジオ、映写室であるのだが、メランコリーの因って来るところはもちろんそれだけではない。カンナダ映画になぜだか多い、娯楽映画フォーマットの中にシュルレアリズム的表現を盛り込む手法が、(低予算にもかかわらず)洗練された形で採られているからだと思う。夢をめぐる詩的なイメージの集積に、「夢を見る装置」としての映画が巧みに重ねあわされて渾然一体となる。ルシアによってもたらされた夢から醒めた日中は、ただのインターミッションとなる。暗がりで眩しい光を照射されてたじろぐ登場人物のイメージが幾度も登場する。そして最後に「幸福とは何なのか」という、これまたカンナダ映画に特有のポエマー体質大爆発の問いかけが発せられて物語は終わる。

極めて思弁的でメタフィクション的な内容を持つ本作だが、劇中に登場する場末館にくるような観客をも置き去りにしてはいないと思う。それは主演のサティーシュとシュルティ(二人とも本作が初の主演)の魅力と演技力に負うところが大きいし、アチュート・クマールの中年力、捜査官サンジャイを演じるサンジャイ・アイヤルや唯一のアフリカ系俳優プラシャーント・シッディーなどの面白すぎる顔たちも貢献しているだろう。

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投稿者 Periplo : 18:43 : カテゴリー バブルねたkannada so many cups of chai
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2016年03月04日

3月のマラーティー映画

マラーティー版『アマデウス』なのか、もっと波乱万丈なものなのか。
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Katyar Kaljat Ghusali (Marathi - 2015) Dir. Subodh Bhave

原題:कट्यार काळजात घुसली
タイトルの意味:a dagger through the heart
タイトルのゆれ:Katyar Kaljat Ghusli, Katiyar Kaljat Ghusali, etc.

Cast:Sachin Pilgaonkar, Shankar Mahadevan, Subodh Bhave, Swapnil Rajshekhar, Amruta Khanvilkar, Mrunmayee Deshpande, Pushkar Shrotri, Sakshi Tanwar, Reema Lagoo, etc.

Music:Jitendra Abhisheki, Shankar–Ehsaan–Loy

公式トレーラー:https://youtu.be/1iTazEogwiY
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/EF5pjX0A9qQ

■日時:2016年3月5日、14:00開映(17:00ごろに終了)
■料金:大人2200円、5-15歳の子供1000円、5歳以下の子供は無料(座席なし)
■字幕:英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約161分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■映画公式サイト(FB):https://www.facebook.com/Katyarthemovie/
■主催者公式サイト(FB):https://www.facebook.com/tokyotalkies/
■参考レビュー集成:http://periplosjottings.blogspot.jp/2016/02/katyar-kaljat-ghusali-marathi-2015.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【粗筋】
インド独立より遡る英領時代、バーヌシャンカル・シャーストリー(Shankar Mahadevan)はヴィシュラームプル藩王国の宮廷に仕える音楽家だった。ある時、ミラツという土地で行った音楽会(mehfil)で、彼はカーンサーヘブ(Sachin Pilgaonkar)という歌手に出会う。カーンサーヘブとの競演(jugalbandi)で、彼の才能に感銘を受けたバーヌシャンカルは、彼が異なる流派(gharana)のカーンダーニー(khandani)・ムスリムであることにも頓着せず、ヴィシュラームプルを訪れるよう誘う。毎年のダシャヘラー祭にあたり、ヴィシュラームプルの藩王ヴィシュヌラージ(Swapnil Rajshekhar)は歌唱のコンテストを催す習わしだった。優勝者には、宮廷付きの筆頭歌手(rajgayak)の地位と邸宅(haveli)、そして美しい短剣(katyar)が与えられるとされた。この短剣には、その持ち主による正当防衛として行われた殺人についてなら罪に問わないという約束が付随していた。

ヴィシュラームプルにやってきたカーンサーヘブは、幾度もそのコンテストに挑むが、一回たりともバーヌシャンカルを負かすことができない。そのことを妻のナービラー(Sakshi Tanwar)や村人たちになじられ、カーンサーヘブはバーヌシャカルへの嫉妬心を募らせていく。そして、ある年のコンテストで異変が起きる。

【主要キャラクター/キャスト】
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■パンディット・バーヌシャンカル・シャーストリー(シャンカル・マハーデーヴァン)
ヴィシュラームプルの宮廷付きの歌手。音楽の集いでカーンサーヘブに出会い、その才能に注目し、自分が仕える宮廷に招く。
■カーンサーヘブ・アーフターブ・フサイン・バレーリーワーレー(サチン・ピルガーオカル)
ミラツ出身の歌手。マラーティー語映画である本作の中で、このキャラクターだけはウルドゥー語のみを話すという。
■サダーシヴ・ガウラヴ(スボード・バーヴェー)
バーヌシャンカルに教えを受けた若い歌手。演じるスボード・バーヴェーは本作の監督でもあり、デビュー監督作とは思えないと絶賛されている。
■ザリーナー(アムリター・カーンヴィルカル)
カーンサーヘブの娘。
■ウマー(ムルンマイー・デーシュパーンデー)
バーヌシャンカルの娘。演じるムルンマイーは、先日上映された Natsamrat でも、主人公を疑う実の娘という重要な役で出演していた。

その他の登場人物
■ナービラー(シャークシー・タンワル)
カーンサーヘブの妻。
■ヴィシュヌラージ(スワプニール・ラージシェーカル)
ヴィシュラームプルの藩王。
■バーンケー・ビハーリー(プシュカル・シュロートリー)
宮廷詩人。

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【トリヴィア】
芸術系を除くほとんど全ての映画作品に歌舞が入るにもかかわらず、インド人が特に「ミュージカル」と形容する作品群がある。主要登場人物が歌や踊りに従事する身分である設定のもの、つまり芸道ものだ。過去に日本で紹介されたものとしては、Umrao Jaan [邦題:踊り子] や Shankarabharanam [邦題:シャンカラバラナム] がそれにあたる。よく「意味もなく歌い踊りだす」と揶揄されるインド映画だが、登場人物に歌い踊る必然性が備わっているとなるとパワー倍増で、歌い倒し踊りまくるものとなる。裏で支える作曲家やプレイバックシンガーも、普段以上に気合を入れてくることが多い。インド映画の原点の楽しみの一つが期待できそうだ。

しかし、これまで芸道ものを見続けてきた経験からすると、このジャンルの作品は、必ずしも通俗的なハッピーエンドとはならないものが多い。芸の道を邁進する人間は世間一般の幸せを犠牲にしなければならないこともあるのだ。何事かを成し遂げた後、それと引き換えのように絶命するという話も珍しくない。そして、極めた道の先には神的な世界があるのかもしれないが、そこにいたるまでには争いやエゴの衝突も起こうる。つまり、音楽とともに、『アマデウス』と同じくらいの人間ドラマが展開されるのではないかと予想されるのだ。

マラーティー語地域に伝統的にあった音楽劇「サンギート・ナータク」(そこで歌われる古典または軽古典の楽曲をナーティヤ・サンギートと呼ぶ)の有名作品で、1967年に初演された同名の舞台劇を映画化したのが本作。オリジナルのナーティヤ・サンギートをそのまま流用したものに加え、ボリウッドで活躍する作曲家トリオ、シャンカル=エヘサーン=ロイが新たに魅力的なナンバーを追加している。古い時代のヒンドゥスターニー音楽にあったとされる、パンディット(ヒンドゥー教のバラモン階層が中心に担うもの)とカーンダーニー(ムスリムの音楽一族の中で世襲されるもの)という二つのガラーナー(流派)が対置され、通常の芸道ものよりもさらに幅広い音楽世界が楽しめるようになっている。

主演の俳優としては、「何をやっても実年齢より若く見えてしまう」ニコニコ小父さんのサチン・ピルガーオカルの凄い変身と熱演も話題になったが、インド全域を股に掛けるプレイバック・シンガー兼MDのシャンカル・マハーデーヴァンの演技デビューにどうしても目がいく。ムンバイに住むタミル人の父母の元に生まれたシャンカルは、ヒンドゥスターニーとカルナーティックの両方の古典の訓練を受けた最強のポップシンガー。劇中の迫真の歌いっぷり(他の人と違い自分で歌ってるわけだが)にも注目。

投稿者 Periplo : 01:54 : カテゴリー バブルねたothers
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