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2017年01月16日

1月のテルグ映画上映

まさかバーラクリシュナの新作を日本で見る日が来ようとは。これまでタミル映画を上映してきたマドラス・ムービーズによる初のテルグ映画上映。

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Gautamiputra Satakarni (Telugu - 2017) Dir. Krish Jagarlamudi

原題:గౌతమీపుత్ర శాతకర్ణి
タイトルの意味:主人公の名前
タイトルのゆれ:Gautami Putra Satakarni, GPSK, etc.

Cast:Nandamuri Balakrishna, Shriya Saran, Hema Malini, Shiva Rajkumar, Kabir Bedi, Tanikella Bharani, Subhalekha Sudhakar, Siva Krishna, Farrah Karimee, etc.

Music:Chirantan Bhatt

■開催日:2017年1月22日(日)
■時間:14:00開映(13:30頃からチケット引き換え・販売開始)
■料金:大人2000円、5-15歳の子供1000円、5歳未満の子供は無料(座席なし)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば135分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/access/
※会場で別料金にてインド・スナックの販売あり。

映画公式サイト:https://www.gautamiputrasatakarni.com/
公式トレーラー(英語字幕付き):https://youtu.be/kYxP_WbF2O0
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/ohU5F0GUeu0

■主催者公式サイト:http://madrasmoviesjapan.com/
■参考レビュー集成:
http://periplosjottings.blogspot.jp/2017/01/gautamiputra-satakarni-telugu-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームは、こちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】 
紀元二世紀ごろのデカン地方。サータヴァーハナ朝の嫡子シャーリヴァーハヌドゥ、後のガウタミープトラ・シャータカルニ(Nandamuri Balakrishna)は、父の代に失われた領土を奪還し、さらに広げることを自らの使命と考えていた。戦に明け暮れる王の事績と、王母ガウタミー・バーラシュリー(Hema Malini)、后ヴァシシュティ(Shriya Saran)との家庭生活を描く。

【主要キャラクター/キャスト】
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■ガウタミープトラ・シャータカルニ/ナンダムーリ・バーラクリシュナ
サータヴァーハナ朝の中興の祖である、二世紀前半の王(王統の第三代、前一世紀後半のシャータカルニ王とは別人)。インド外の王朝を含む諸勢力を打ち負かして、一時期縮小していた王国の版図を拡大した。ナンダムーリ・バーラクリシュナ(愛称・略称としてバーライヤー、NBKなどとも)は、NTRシニアを始祖とする、テルグ映画界きっての芸能一家ナンダムーリ家の、いわば家長ともいうべき人。NTRジュニアは甥にあたる。1974年にデビューし、80年代にはライバルであるチランジーヴィと共に映画界を引っ張っていた。2000年前後からの芸風は、ともかくベッタベタの泥臭いアクション映画、特にラーヤラシーマものに特化していた。具体的には過去に書いた Okka Magadu のレビューなどをご参照いただきたいのだが、もう狂信的なファン以外誰も観やしないだろと思ってると、時々とんでもないクリーンヒットを飛ばすので油断できない人なのである。意外ヒットとしては、Simha (Telugu - 2010)、Sri Rama Rajyam (Telugu - 2011) など。そしてその作品群にどうやら本作も加わったらしい。封切り前は、ライバル・チランジーヴィの芸能界復帰作にして 150本目の出演作である Khaidi No. 150 が圧倒的に話題をさらっていたにも拘わらず、一日違いで蓋を開けてみたところ、ほぼ互角の戦い、レビューではむしろ優位に立っているくらいなのだ。チランジーヴィの150に対して、こちらはNBK100と銘打たれた、やはり節目の作品。伊達に芸能一家を率いちゃいないぜ、というところか。
■ヴァシシュティ・デーヴィ/シュレーヤ・サラン
シャータカルニの后。まだ幼い息子を夫と共に出征させなければならないことに懊悩する。シュレーヤー・サランは、「ボス その男シヴァージ」によって既に日本でもお馴染み。
■ガウタミ・バーラシュリー/ヘーマー・マーリニー
王母としてシャータカルニを支える。演じるヘーマー・マーリニーは、タミルナードゥ州出身で、1970年代のボリウッドのトップヒロインだった人。日本では「」(Hindi - 1975) での出演によって知られている。
■ディミトリウス/カビール・ベーディー
ギリシャから海を渡ってやってきた王。シャータカルニと武力衝突する。ただし、レビューによってはこのキャラクターを、古代インド北西部を支配した西クシャトラパ、クシャハラータ朝の最後の王ナハパーナとしているものもある。ボリウッドのベテラン性格俳優カビール・ベーディーは、「007/オクトパシー」(UK - 1983) などでも知られる。
■カーラハスティーシュワラ/シヴァラージクマール
テルグ語地域の伝統的な大衆演劇であるブッラカタの語り手。シャータカルニと劇中でインタラクションするのではなく、狂言回しの語り部として登場するらしい。ゲスト出演のシヴァラージクマールは、カンナダ映画界の永遠のアイドル、ラージクマールの長男。親父様の遺訓を破って初の非カンナダ映画出演となる。パッと見は垢抜けない短躯の中年男だが、ダンスはかなり上手いほう。その名も Burra Katha という劇中歌のメイキング・シーンからは期待が膨らむ。

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【トリヴィア】
日本公開が近づく「バーフバリ 伝説誕生」の影響はやはりあると思うのだが、ここのところインド映画での歴史ロマン/ファンタジーというか甲冑ものが目に付くようになってきた。

 デカン地方の広い範囲を最初に統合したのはサータヴァーハナ朝である。サータヴァーハナ朝はプラーナ文献に記されたアーンドラ朝と同一で、サータヴァーハナが刻文に記された王家(クラ)の名、アーンドラは部族(ジャーティ)の名であると考えられている。
 最初の王がシムカであることはほぼ確定しているが、王朝初期の歴史や統治した王の数、その在位年などに不明な点が多く残されている。アーンドラの名は後期ヴェーダ文献には、アーリヤ人が優位を築いた社会の埒外におかれたダスユとして記されている。おそらくデカン地方土着の先住民の流れをくむ一族であったと考えられる。諸王はバラモン(ブラーフマナ)の出自を主張しており、そうした北インドの先進文化受容の背景には、北インドからの情報や物資の流入、相互の人的交流(混血)も進展してしたと見てよい。
 王朝創始に際しての拠点となった地域については諸説あるが、プラティシュターナ、ナーシクなどの重要都市が位置するゴーダーヴァリー川上流域のマハーラーシュトラ西北部の可能性が大きい。アーンドラ地方北部や、ヴィダルバを中心としたマハーラーシュトラ東北部とする見解もあるが、後二者における王朝初期の刻文や貨幣の発見数はマハーラーシュトラ西北部に較べればかなリ少なく、王朝初期の主要な活動の場をマハーラーシュトラ西北部と見みなすことが妥当である。
 王朝の勢力を確固としたものにしたのは、第三代のシャータカルニ王で前一世紀後半から後一世紀にかけてのことであったと考えられる。首都がプラティシュターナ(現パイタン)に定められ、支配領域は東のアーンドラ地方や南のカルナータカ地方、北はナルマダー川を越えてマールワーにまで広げられた。王は覇王がおこなうとされるヴェーダの祭式アシュヴァメーダ(馬祀祭)を施行している。マールワー東部に位置し前一世紀に現在のかたちに拡張されたサーンチー第一塔(大塔)の碑文に記されたサータカルニはこの王のことてあると考えられる。北インドヘの勢力拡大の一端を証するものといえよう。前一世紀とされるカーラヴェーラ王のハーティグンパー碑文には、同時代にオリッサ地方の西隣を支配した王として、このシャータカルニの名があげられている。
 その後一世紀後半から二世紀の初頭には、サータヴァーハナ朝は、北方のグジャラート地方から勢力を伸張したシャカ族のナハパーナとその女婿ウサバダータによってデカン高原西北部の支配権を奪われている。王朝を再興したのは、二世紀前半に統治したガウタミープトラ・シャータカルニ王である。王の治績は、後代の王シュリー・プルマーヴィのナーシク碑文のなかで、サカ(シャカ)、ヤヴァナ(ギリシア人)、パフラヴァ(パルティア)を打ち負かし、クシャハラータ朝を滅ぼして、サータヴァーハナ家の名誉を回復したとして顕彰されている。(中略)

 サータヴァーハナ朝がデカン地方を支配した紀元前後の数世紀は、インド亜大陸を中継地としてローマと中国を結ぶ東西交渉が盛んであった。二世紀後半の成立と考えられる『エリュトラー海案内記』には、季節風を利用する海上交易によって殷賑を極めるインドの港の様子が記されている。なかでも西海岸のカンバー(キャンベイ)湾に面したバールカッチャ(ブローチ)はインド第一の港町で、その取引量の大さは王朝の経済を潤した。サータヴァーハナ朝とシャカ族諸勢力とのデカン西北部の支配をめぐる攻防は、こうした経済拠点の獲得の争いでもあった。
 サータヴァーハナ朝が中心領域をアーンドラ地方に移したことで、アマラーヴァティーを中核としたクリシュナー川下流域は、ナーシク、ジュンナルなどのゴーダーヴァリー川上流域につづく仏教文化の一大拠点となった。地理的環境の相違により前者が仏塔を中心にすえた構築寺院であるのに対し、後者が石窟の形態をとっていることも注目される。その繁栄は四世紀にかけてのイクシュヴァーク朝の時代にも継続し、首部ヴィジャヤプリー近郊のナーガールジュナコンダは、王家の女性の支援を受けて新たな仏教信仰の中心地となり、北はマガダ地方から南はスリランカにいたるまで信者のネットワークを広げている。
 サータヴァーハナ朝諸王の名のなかには、ガウタミープトラ(ガウタマ家の女性の子)などのように、母方の姓を記しているものが少なくない。こういった名称は北インドの王には見られず、とくにドラヴィダ系言語文化のなかに見られる母系制の名残りであるとして、王家の出自もそこに求める見方が有力である。一方でサータヴァーハナ朝諸王は、前述のように自らバラモンと称し、混乱したヴァルナ秩序を回復したと誇示して、北インドの社会制度の移植やヴェーダ文化の受容に熱心に取り組んだ。サータヴァーハナ朝と桔抗した勢力を保ち姻戚ともなったシャカ族のルドラダーマン王が、現存最古とされるサンスクリット頌徳文によるギルナール石碑を立て、そのなかでマウリヤ朝時代につくられた貯水他の修復の事績を誇っている。
 しかしそれは一方的受容にとどまるものではなかった。アマラーヴァティーやナーガールジュナコンダなど巨大なストゥーパを中核とする仏教僧院群には、仏像と仏足蹟や法輪などによるブッダのシンボル表現とが長く共存するこの地域独得の形が展開しており、北インドの先進文化と土着の文化要素とを巧みに融合させることを試みたこの王朝の性格をよく物語っている。

石川寛「サータヴァーハナ朝からヴァーカータカ朝へ」(世界歴史体系 南アジア史3 南インド P.40-44)より。

上記がサータヴァーハナ朝の概要だが、何しろ紀元前後のこと、考古学上の研究・発見は途上にあり、定説が確立していないのが現状。そうはいっても幾つか覚えておきたいポイントはある。

●ヒンドゥー教が確立する以前、バラモン教と仏教、ジャイナ教が併存していた時代が舞台である。
●デカン地方を統一した史上初の王朝(地図参照)で、インド亜大陸中部のアラビア海とベンガル湾の両岸を領土内に収め、ギリシャをはじめとした西方世界、そして中国や東南アジアとの交易から利益を上げていた。
●現在のマハーラーシュトラ州からテランガーナにかけての地方で発祥し、後にアマラーヴァティ(2024年前後にアーンドラ・プラデーシュ州の新州都となるべく、現在大規模な建設工事が行われている)を首都とした。
●アーンドラ族によって打ち立てられた王朝だが、アーンドラ族は必ずしもテルグ語の話者であった訳ではない。公用語はプラークリット語であった。アーンドラとテルグという二つの用語の難儀な使い分けについては、前掲書に所収の「テルグ語とアーンドラ人の近代」(山田桂子)に詳しい。

とはいえ、本作が歴史の考証に忠実な作品とは思えない。史料を残すのに熱心でないことでは定評のあるインド人、ましてや紀元二世紀の話だ。猫足の家具やシャンデリアが出てくるかもしれない。立体裁断の衣装なども平気で着られてると思う。

そうしたリアリティの追求は措いても、監督のクリシュが作品に込めようとしたのは、おそらく「我々テルグ人/アーンドラ人とは何者なのか、民族の創生・民族の自尊心をどこに求めるべきなのか」という問いなのではないかと思う。もちろんこれは、部族や言語の起源が学術的に正確に描かれるということには全然つながらないのだが。

サンスクリットと並ぶ最古の文学伝統を持ち、それを根拠とした民族主義運動を興し、DMK映画というジャンルまでを作ってしまったタミル人とは対照的に、テルグ映画の歴史の中では、民族意識にアクセントを置いた作例が不思議なほどに少ない。沿海デルタ地方の正調とされるテルグ語で台詞が口にされていればそれで充分というかのような落ち着きぶりだったのだ。しかし、2014年のテランガーナ分州という大激震で、そうした安穏の時代も終わりを告げた。このような問いは、有為の映像作家たちによって、これからも繰り返し発せられていくのではないか、もちろんどこまでも娯楽的な物語世界の中で。

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投稿者 Periplo : 01:29 : カテゴリー バブルねたtelugu

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