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2019年01月04日

1月のJ-テルグ

重厚な現代史ドラマになるのか、新春オールスターものまね大会になるのか、両方か。
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NTR Kathanayakudu (Telugu- 2019) Dir. Krish Jagarlamudi

原題:యన్‌.టి.ఆర్‌ కథానాయకుడు
タイトルの意味:NTR the Hero
タイトルのゆれ:N. T. R., NTR Biopic ※NTR Mahanayakuduは2月に現地公開予定の続編のタイトル

Cast:Nandamuri Balakrishna, Vidya Balan, Daggubati Rana, Nandamuri Kalyan Ram, etc.

Music:MM Keeravani

公式トレーラー(英語字幕つき):https://youtu.be/1-2J7avI9W8
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/vzTGgvbH6KM

■開催日:2019年1月12日(土)
■時間:16:30開映(映画は19:30ごろに終了予定)
■料金:大人2700円、5-12歳の子供1600円、5歳以下の子供は無料(座席なし、座席が必要な場合は子供料金)、ファミリーパスもあり
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:ネット情報によれば約171分
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典(こちら参照)

■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■参考レビュー集成:https://periplosjottings.blogspot.com/2019/01/ntr-kathanayakudu-telugu-2019.html
※1月9日の現地公開後に追記の予定

※事前予約をお勧めします。1月8日まで割引料金で受け付け。申し込みフォーム入口はこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

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【NTRの生涯、ざっとおさらい】
●1925年(1923年説もある)に英領マドラス管区グディワーダ(今日のアーンドラ・プラデーシュ州クリシュナー郡)の自作農家に長男として生まれる。
●青年期にはヴィジャヤワーダとグントゥールにて勉学に勤しむが、同時に学生演劇にも打ち込んでいた。初舞台は女形としてだった。
●1945年(1942年説もある)、在学中に母方従妹であるバサヴァ・ターラカムと結婚。夫妻は8人の息子と4人の娘をもうけた。
●1947年、インド独立の年に役所勤めの身となるが、すぐに退職し、俳優を目指してマドラス(現チェンナイ)に赴く。
●1949年に Mana Desam の脇役で映画デビュー。
●1951年、主演したフォークロア作品 Patala Bhairavi が大ヒットとなり、若手スターの地位を確立する。以後、1970年代終わりまで、少し早くデビューしたANR(アッキネーニ・ナーゲーシュワラ・ラーオ)と並ぶ二大スターの一人として、テルグ映画界に君臨することになる。出演作はテルグ映画を中心に280本超。
●1957年、KVレッディ監督による神話コメディー Maya Bazar で初めてクリシュナ神役を演じ、以降この神格は彼の当たり役のひとつとなる。
●1981年、屋外ロケ地でのインタビューに応じた際に、「半年後の60歳の誕生日を前にしての抱負」(生年と合っていないが)を問われ、政界入りを仄めかす発言をする。
●1982年、自前政党「テルグ・デーシャム党」(TDP)を立ち上げ。これは、それまで国民会議派の牙城だったアーンドラ・プラデーシュ州に誕生した、初めての強力な地域民族主義政党だった。彼は選挙民に直接訴えるため、総走行距離35000km超の州内遊説(Rath Yatra、本来は山車の巡行を表す)を行う。1938年型シヴォレーのヴァンを改造し「チャイタニヤ・ラタム」と名付けて約10週間をその中で寝起きした。運転したのは息子のハリクリシュナだった。生まれたてのこの政党は、これまで国民会議派に所属していた政治家たちをも惹きつけ、多数の移籍者を得た。その中には現テランガーナ州首相KCR(Kチャンドラシェーカラ・ラーオ)もいた。
●1983年、TDPは結党後僅か9カ月にして州議会選挙で圧勝し、NTRはAP州の首相に就任する。
●1984年、手術のための渡米中にAP州知事ラームラールにより解任される。直ちに帰国した彼は、議会内工作に成功し、州首相の座に返り咲く。その後、インディラー・ガーンディー共和国首相の暗殺死を受けて行われた同年12月の総選挙で、TDPは国政の場においても第二党となる躍進を遂げる。
●1985年、州政治の場においても解散・選挙を断行し、TDPは圧勝。二期目の州首相の座に就く。
●1985年、糟糠の妻バサヴァ・ターラカムが癌により死去。
●1989年末、州議会選挙で国民会議派に敗れ、野に下る。この選挙期間中、彼の健康状態は不安定で、かつてのようなパワフルな選挙運動ができなかったためとも言われる。
●1992年、伝記執筆者として彼に接近してきていた28歳年下のラクシュミー・パールヴァティと結婚。この結婚は、成人した息子たちをはじめとした親族から猛烈な反対を受け、これ以降夫妻は一族の中で孤立していたと言われる。
●1994年、左派政党との連合で州議会選挙を制し、三期目の州首相の座に就く。
●1995年8月、TDP党内のクーデターにより、党首・州首相の座から追われる(ヴァイスロイ・ホテルの変、この事件については、もしも後編 NTR Mahanayakudu の上映があるようなら、そちらのプレビューに書く予定)。クーデターのリーダーである娘婿のCBN(ナラ・チャンドラバーブ・ナーユドゥ)が党首となり、州首相の座をも引き継ぐ。以降CBNは2004年までの10年間、および2014年の州分断から今日までAP州首相を務める。
●1996年1月、失意のうちにハイダラーバードの自宅で心臓発作のため死去、享年70歳。その死は家庭内別居状態の息子たちの目には届かず、妻のラクシュミー・パールヴァティだけが看取ったと言われる。

南インドの映画界と政界のかかわりについてはこちらもどうぞ。

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【登場人物】 ※役名=実在の人物名/役者名の順。本当に登場するのかあまりはっきりしないキャラクターもある。赤文字が重要な登場人物と予想される。

■ナンダムーリ家と外戚
1. NTR(ナンダムーリ・ターラカ・ラーマーラーオ)/ナンダムーリ・バーラクリシュナ
実の父を演じるバーラクリシュナについては以前にここにちょっとだけ書いた。
2. バサヴァ・ターラカム/ヴィディヤー・バーラン
NTRの妻。12人の子をもうけた。
3. ナンダムーリ・トリヴィクラマ・ラーオ/ダッグバーティ・ラージャー
NTRの弟。兄によって映画界に引き込まれ、監督や製作を行った。
40. ナンダムーリ・ジャヤクリシュナ/スーリヤ・シュリーニヴァース
NTRの次男。映画界でカメラマンとなった。
41. ナンダムーリ・サーイクリシュナ/ガーラパーティ・シュリーニヴァース
NTRの三男。劇場オーナーとなった。
4. ナンダムーリ・ハリクリシュナ/ナンダムーリ・カリヤーン・ラーム
NTRの四男。俳優・政治家。昨年2018年に自動車事故で他界。NTRジュニア、ナンダムーリ・カリヤーン・ラームの父。
62. ナンダムーリ・モーハナクリシュナ/?
NTRの五男。映画界でカメラマン・プロデューサーとなった。息子のターラカ・ラトナは俳優。
63. ナンダムーリ・バーラクリシュナ/アーリヤヴィール
NTRの六男。俳優・政治家。本作の主演俳優であるバーラクリシュナの劇中での役を誰が演じるのかは長らく発表されず、憶測を呼んでいたが、最近の本作関連式典の席上でバーラクリシュナ自身が述べたところによれば、彼自身の劇中の登場は赤子としてのシーンに限られ、昨年生まれたばかりの孫息子アーリヤヴィールが画面に映るのだという。
8. ナンダムーリ・ラーマクリシュナ・ジュニア/ローヒト・バラドワージ
NTRの七男。早世した長子ラーマクリシュナの名前を貰った。映画界に進みプロデューサーとなる。
5. ガーラパーティ・ローケーシュワリ/プーナム・バジュワ
NTRの長女。
7. ダッグバーティ・プランデーシュワリ/ヒマーンシ・チャウダリー
NTRの二女。ダッグバーティ・ヴェーンカテーシュワラ・ラーオ(→38)の妻となる。自身は国民会議派を経て現在はBJP所属の議員。
6. ナラ・ブヴァネーシュワリ/マンジマ・モーハン
NTRの三女。CBN(→11)の妻となる。食品会社のオーナーで、長者番付に名前を連ねたこともある。
44. カンタマネーニ・ウマー・マヘーシュワリ/ヒローシニ・コーマリ
NTRの四女。
43. ラクシュミー・パールヴァティ/アーマニ(?)
1953年生まれ。ハリカタ役者と結婚して一児をもうけたが離婚。伝記を執筆したいという希望でNTRにアプローチしたが、結果的に1992年に彼と結婚することになった。NTRの死後に、NTRテルグ・デーシャムという政党を立ち上げたが成功せず、現在はYSR会議派に所属。1995年のTDP内でのNTRに対する第二次クーデターの原因は、彼女がNTRの政策決定に口を出すのが目に余るほどになったからという説もある。
42. ルクマーンダ・ラーオ/ヴェンネラ・キショール
NTRの妻バサヴァ・ターラカム(→2)の兄弟で、その縁でNTRのマネージャーとなった人物。
38. ダッグバーティ・ヴェーンカテーシュワラ・ラーオ/バラト・レッディ
ダッグバーティ姓だが、ラーマーナーユドゥからヴェンカテーシュ、ラーナーに至る映画一家のダッグバーティ家とは無関係。NTRの息子サーイクリシュナ(→41)と親友だった縁から、NTRの娘プランデーシュワリ(→7)と結婚し、最も年嵩の娘婿となる。TDP立ち上げの時期から細々とした党務をこなし、執行部の主要メンバーとして活躍する。CBN(→11)とはことあるごとに対立していた。2009年に上梓した、CBNへの怨嗟に満ちた回想録 The Other Side of Truth は貴重な資料。現在は国民会議派所属。
11. CBNまたはNCBN(ナラ・チャンドラバーブ・ナーユドゥ)/ダッグバーティ・ラーナー
国民会議派の若手代議士にして州政府閣僚だったが、1980年にNTRの娘ブヴァネーシュワリ(→6)と結婚して娘婿となる。1982年のTDP立ち上げには当初懐疑的で、合流の誘いをにべもなく断った。翌年のTDP内閣成立にいたって初めてTDP入党を希望し認められた。1984年のNTRに対する第一次クーデターでは、NTR側につき混乱からの収束に手腕を発揮した。1995年に第二次党内クーデターを画策して成功、TDP党首となり、1995~2004年および2014年~現在のAP州首相。1995年からの第一次政権期には、積極的に外資を導入し、特にIT産業をハイダラーバードに誘致する政策をとり、成功を収めるなどして、ある種の名物首相として内外にその名を知らしめた。AP州の分裂後、2014・2015年と、立て続けに「営業」のために訪日している。

■映画人
14. HMレッディ/カイカラ・サティヤナーラーヤナ
サイレント時代から活動し、トーキー後は南インドの各言語圏に足跡を残した伝説の大監督。
15. ナーギ・レッディ/プラカーシュ・ラージ
有力プロデューサー。アールール・チャクラパーニ(→16)と組んで初期のNTRのヒット作を多く送り出した。1948年にマドラス屈指のスタジオとなったヴィジャヤ・ヴォーヒニ・スタジオを創設した。
16. アールール・チャクラパーニ/ムラリ・シャルマー
同時代の脚本家・プロデューサー。またテルグ語の子供向け絵入り雑誌『チャンダマーマ』の編集人でもあった。
17. LVプラサード/ジーシュ・セーングプター
同時代の監督・プロデューサー・実業家。NTRを俳優としてデビューさせた。
9. ラーモージー・ラーオ/ギリーシュ
テルグ映画界の大プロデューサー。映画のみならず、マスコミや教育産業でも成功したビジネス・タイクーン。傘下にあるテルグ語日刊紙イーナードゥは、NTRの政治的キャリアを後方支援した。ラーモージー・フィルム・シティは彼の手によってオープンした。
19. シュリーデーヴィー/ラクル・プリート・シン
同時代の女優。『マダム・イン・ニューヨーク』主演のシュリーデヴィーはテルグ人。タミル&テルグでの子役時代を経て、1970年代のヒロインとしての初期にはNTRやANRと共演した。
20. BAスッバラーオ/ナレーシュ
同時代のプロデューサー・監督。
21. ピータンヴァラム/サーイ・マーダヴ・ブッラ
同時代の著名メイクアップ師。息子は『チャンドラムキ』のPヴァース監督。
22. KVレッディ/クリシュ
Maya Bazar などを手掛けた名監督。この役は Mahanati でのカメオに続いてクリシュ監督自身が演じている。
27. ターティネニ・プラカーシュ・ラーオ/ヴァース・イントゥーリ
同時代の監督。
28. ペーケーティ・シヴァラーム/バドラム
同時代の男優・監督。
13. ダーサリ・ナーラーヤナ・ラーオ/チャンドラ・シッダールタ
多作で知られた監督・プロデューサー。
37. Kラーガヴェーンドラ・ラーオ/ プラカーシュ・コーヴェラムーディ
現在は「映画の皇帝」と称されるベテラン監督。娘婿はショーブ・ヤーララガッダ。
50. ラヴィカーント・ナガーイチ/ラヴィ・キシャン
同時代の映画カメラマン・監督。
51. Pプライヤー/スバレーカ・スダーカル
同時代の監督。
52. カマラーカラ・カメーシュワラ・ラーオ/SVクリシュナ・レッディ
同時代の監督。
53. Dヨーガナンド/ラヴィ・プラカーシュ
同時代のヒットメーカー監督。
55. Bヴィタラーチャーリヤ/Nシャンカル
同時代の監督。剣戟フォークロアを得意とした。
60. プンダリーカークシャイヤ/ナーゲーシュワラ・ラーオ
同時代の男優・プロデューサー。
45. ANR(アッキネーニ・ナーゲーシュワラ・ラーオ)/スマント
NTRと人気を二分したスター俳優。
35. MGR(MGラーマチャンドラン)/シカンダル
タミル語映画界のマチネーアイドル。自前政党を立ち上げ政界に進み、タミルナードゥ州首相となった。
23. サーヴィトリ/ニティヤ・メーノーン
同時代の女優。サーヴィトリについてはその伝記映画 Mahanati が昨年公開されて好評だった。
24. ジャヤプラダー/ハンシカー・モートワーニー
同時代の女優。
25. プラバ/シュレーヤー・サラン
同時代の女優。
26. ジャヤスダー/パーヤル・ラージプート
同時代の女優。ジャヤスダーはお母さん役女優として現在も大活躍中。
46. クリシュナ・クマーリ/プラニタ・スバーシュ
同時代の女優。
47. Sヴァララクシュミ/ヤーシュ・マーシェッティ
同時代の女優。
48. Gヴァララクシュミ/プラティユーシャ
同時代の女優。
29. サウカール・ジャーナキ/シャーリニ・パーンデー
同時代の女優。
49. レーランギ/ブラフマーナンダム
同時代の有名喜劇俳優。
31. グンマディ・ヴェンカテーシュワラ・ラーオ/デーヴィー・プラサード
同時代の男優。
57. SVラーンガ・ラーオ/イーシュワル・バーブ
同時代の男優。
32. ピンガリ・ナーゲーンドラ・ラーオ/サンジャイ・レッディ
同時代の脚本家・作詞家。
34. Cナーラーヤナ・レッディ/ラーマジョーガイヤー・シャーストリー
同時代の作詞家・詩人。
36. DVナラサ・ラージュ/シュリーニヴァース・アヴァサラーラ
同時代の脚本家。
10. サリーム・マスター/ラグ・マスター
同時代の振付師。
54. ヴェンパティ・チンナ・サティヤム/Kシヴァシャンカル・マスター
クーチプーディのダンサーにしてグル。NTR主演の Narthanasala では振付を担当した。
56. カンナッパ/スニール・クマール・レッディ
同時代の映画カメラマン。
58. マーカス・バートリー/アルジュン・プラサード
アングロインディアンの映画カメラマン。Maya Bazar が代表作。
59. TVラージュ/スラビ・ジャヤチャンドラ
同時代のミュージック・ディレクター。

■政治家、その他
12. マンダリ・ヴェンカタ・クリシュナーラーオ/マンダリ・ブッダ・プラサード
AP州マチリーパトナム選出の州会議員。国民会議派所属。
18. Nバースカラ・ラーオ/サチン・ケーデーカル
政治家。既に州政府の閣僚経験もあったが、TDPに入党し、党立ち上げの激動期からNTRの側近として大いに働いた。NTRに対する1984年の第一次クーデターの際にAP州首相となったが、NTRの巻き返しによって僅か31日天下に終わった。その後TDPを離党し、国民会議派所属となり現在に至る。
30. ピンガリ・ヴェンカイヤ/サンジャイ・スワループ
マチリーパトナムの独立運動家・教育者。国民会議派のためにインド国旗のデザインを考案した。
33. インディラー・ガーンディー/シュプリヤー・ヴィノード
インド共和国首相。
39. ナンナパネーニ・ラージャクマーリ/ミルチ・マーダヴィ
TDP所属の政治家。
61. チャラメーシュワル・ラーオ/ナーガラージ
判事。ナンダムーリ家と親交があり、特にハリクリシュナ(→4)の親友だった。ダッグバーティ・ヴェーンカテーシュワラ・ラーオ(→38)と共にTDP立ち上げに際しては尽力した。
64. YSラージャシェーカラ・レッディ/シュリーテ―ジ
国民会議派の若手代議士。後にアーンドラ・プラデーシュ州首相(2004-2009年)となった。
65. バヴァナム・ヴェンカトラーム/ナーサル
国民会議派の代議士。1982年の2月から9月までの短い期間、アーンドラ・プラデーシュ州首相の地位にあった。
66. PVナラシンハ・ラーオ/スレーシュ・クマール
今日のテランガーナにあたる地域出身の国民会議派所属の政治家。1971-73年にAP州首相、その後中央政府閣僚となり、ラージーヴ・ガーンディー暗殺後の1991-96年には共和国首相。非ヒンディー語地域から出た初の共和国首相だった。

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【蛇足】
昨年6月の Mahanati の時には「伝記映画というのがじわじわとトレンドになってきている」などと呑気なことを書いたが、今やインド全域、特にテルグで、なんだか凄いことになっている。本作の後編 NTR Mahanayakudu は2月7日公開予定、CBNを打ち負かして2004年から2009年までAP州首相だったYSラージャシェーカラ・レッディの伝記映画 Yatra も2月8日に公開予定。それから若干怪しげなところもあるが、現首相CBNその人を描く Chandrodayam というのも進行中。そしてお騒がせRGV監督の、ラクシュミー・パールヴァティを前面に押し出したNTRの伝記映画 Lakshmi’s NTR というのも、ナンダムーリ一族の全面的な非協力のもとに撮影され、リリースを待っているという。お隣タミルナードゥでは、2016年に他界したジャヤラリター州首相の伝記映画 The Iron Lady が撮影中だという。となれば、ジャヤラリターのライバルで、昨年他界したカルナーニディ氏の伝記映画だって当然のことながら現在水面下で企画されているはず。

まあそれにしても、クリシュ監督の鋼鉄の心臓というか、どてらい男ぶりには惚れるしかない。2007年ごろだったか、政界入り間近でめっきり出演が減っていたチランジーヴィの新作映画が取りざたされていたころ、『ロボット』のシャンカル監督は、チランジーヴィ主演作を手掛ける可能性のあるなしを問われて、「ともかくテルグ映画は制約が多すぎるのであまり乗り気になれない」という意味のことを言っていた。タミル映画界のスーパースターであるラジニと組んでヒット作を送り出している監督がここまで言うのだ。同じような主旨の発言は、共演女優や作曲家などからも多く聞かれる。上の発言での「制約」というのは、もちろん「映画作りにおいて芸能一家のトップスターのイメージ戦略が他の何よりも優先される」ということを言っている。そのあたりを実感したければ、シャンカル監督によるタミル語作品『インドの仕置き人』(DVDはヒンディー語版)と、それのテルグ語非公式リメイクである Okka Magadu(バーラクリシュナ主演、YVSチャウダリー監督)を比べてみるといいよ。

ともかく本作は、テルグ映画史上の最大のスパースターNTRを題材とし、その実子であるバーラクリシュナが主演、そして綺麗ごとばかりではなかった政治家NTRの後半生に関わりのあった人々(多くは今も生きている)を漏れなく登場させ、しかもそのうちの一人は現AP州首相というもので、雇われ監督としての仕事はさながら地雷原を駆けぬけるようなものだったはずだ。なおかつそこで娯楽性と作家性もある位程度まで追求しようとしている(そのあたりは、やはりバーラクリシュナを主演にした Gautamiputra Satakarni を見れば予測できる)というのだから。当初メガホンをとるとされていたテージャ監督がプロジェクトから放擲されたあとで、このヘビーなオファーを受けたクリシュ監督の勝算はどのあたりにあったのか、これについて知るのが、映画界の華麗な内幕を垣間見るのと同じくらい楽しみだったりする。

投稿者 Periplo : 00:34 : カテゴリー バブルねたtelugu

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