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2019年06月15日

2本連続上映・6/29魅惑のテルグ映画第3回・その2

州会議員100人集めてホテルに立て籠もれば、この俺様だってすぐに州首相よ

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Nene Raju Nene Mantri (Telugu - 2017) Dir. Teja

原題:నేనే రాజు నేనే మంత్రి
タイトルの意味:I'm the King and I'm the Minister ※王であり、大臣でもある、つまり権威と実権との双方を兼ね備えた支配者であるという意味ととれる
タイトルのゆれ:NRNM、Naan Aanaiyitaal(タミル語版)
Cast:Daggubati Rana, Kajal Aggarwal, Catherine Tresa, Navdeep, Ashutosh Rana, Tanikella Bharani, Jaya Prakash Reddy, Pradeep Rawat, Shivaji Raja, Parachuri Venkateswara Rao, Satya Prakash, Posani Krishna Murali, Ajay, Raghu Karumanchi, Naveen Neni, Josh Ravi, Bithiri Sathi, Bindu Chandramouli, Prabhas Sreenu, etc.

Music:Anup Rubens

公式トレイラー(英語字幕付き):https://youtu.be/0WVqKbGN3RI
全曲ジュークボックス:https://youtu.be/FHa6JiQqOZM

■開催日:2019年6月29日(土)
■時間:開映16:00(1本目の Krishnam Vande Jagadgurum の開映は12:30ごろ) ※若干の後ろ倒しの可能性あり
■料金:1作あたり大人2400円(予約2200円)、12歳以下の子供1400円(予約1200円)、5歳以下の幼児は無料(シート無し)
■字幕: 英語
■上映資材:DCP
■上映時間:約150分
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ http://www.skipcity.jp/visit/access/

■映画公式サイト:なし
■主催者公式サイト:http://indoeiga.com/
■今回特集の特設サイト:https://note.mu/miwaku_telugu(速報はツイッターを参照)
■参考レビュー集成:https://periplosjottings.blogspot.com/2019/03/nene-raju-nene-mantri-telugu-2017.html

※事前予約をお勧めします。申し込みフォームはこちら。万が一の直前の急な変更や今後の案内などもメールで受信できるようになります。

【粗筋】
アーンドラ・プラデーシュ州の中央監獄。死刑囚ラーダー・ジョーゲーンドラ(Daggubati Rana)がアナンタプラムから護送されてやってくる。処刑前に最後の望みを叶えることが許されたので、彼はテレビカメラの前で自分のこれまでの人生を語ることを求める。そこから回想が始まる。彼はラーヤラシーマ地方のウラヴァコンダ村で小口の金貸し業を営んでおり、妻のラーダー(Kajal Aggarwal)を何よりも愛している。暮らし向きも悪くない2人は平穏な日々を過ごしていた。ある時ラーダーは地元の寺に参拝し、御柱(dwajasthamba)に灯明を奉納する。しかしそれは村の掟で村長の妻だけが奉納できるのものだったため、激怒した村長の妻はラーダーを突き飛ばす。その結果ラーダーは流産し、二度と子供を産めない体になってしまう。ジョーゲーンドラは報復に村長ラーマスッバイヤ(Pradeep Rawat)を射殺し、自身が村長の座に収まる。射殺事件の揉み消し工作で登場したCIヘーマチャンドラ(Ajay)が見返りを要求したのには捨て身の奸計で対抗し、ラーダーに性的奉仕を求めた地元MLA(州会議員)チャウダッパ(Satya Prakash)をもためらいなく殺す。こうした出来事が起こるたびに彼は白昼堂々と邪魔者を殺し、村長からMLAへ、MLAから大臣へ、そして遂には州首相を目指すまでになる。その過程では、やり手のジャーナリスト、デーヴィカ・ラーニー(Catherine Tresa)の追求を受けるが、返り討ちで彼女を性的に籠絡し、難なく彼の虜にしてしまう。多くの敵を作りながら進む彼の州首相ポストへの道のりで、最大の障害として立ちはだかるのは、州内相のスッバラーユドゥ(Ashutosh Rana)であることがはっきりとしてくる。しかし腹心のシヴァ(Tresa, Navdeep)との間に行き違いが生じたところから、彼の計算には狂いが起こり始める。そしてジョーゲーンドラとラーダーの2人に致命的な攻撃が加えられる。

【主要キャラクター/キャスト】 ※イメージは本作のスチル以外のものも含む
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■ラーダー・ジョーゲーンドラ/ダッグバーティ・ラーナー
主に農民を相手にした小口の金貸し業をやっていた青年。最愛の妻の身に起きた不幸を境として、権力欲に取りつかれ、脇目もふらず州首相の座を目指すことになる。
■ラーダー/カージャル・アグルワール
ジョーゲーンドラと相思相愛の妻。恵まれない人々の福利を常に心がけており、ジョーゲーンドラが政治家となってからも変わらずに慈善に勤しみ、選挙区の民衆から女神のように慕われることになる。
■シヴァ/ナワディープ
ジョーゲーンドラの右腕。とある揉め事がきっかけでジョーゲーンドラとめぐり合うが、掴みかかる彼に対して些かもたじろぐことのなかった勇気をかわれて手下となる。ジョーゲーンドラを狙った銃弾を身を挺して防ぐほどの忠誠を示す。
■デーヴィカ・ラーニー/キャサリン・トリーサ
メディア王の娘で、アメリカでジャーナリズムを学んだ女性。自身のニュース番組をもち、大胆な告発をすることもあるが、社会派ではなく権力とベッタリなサイコパスであることが明らかになってくる。
■内務大臣スッバラーユドゥ/アシュトーシュ・ラーナー
与党内のカースト・バランスのために州首相になれなかったルサンチマンを抱えた汚職大臣。ジョーゲーンドラに手酷く騙され、以降彼を抹殺することに全精力をつぎ込む。

◆その他の人々◆
■村長ラーマスッバイヤ/プラディープ・ラーワト
■CI(サークル・インスペクター)ヘーマチャンドラ/アジャイ
■MLAチャウダッパ/サティヤ・プラカーシュ
■ムネッパ/ポーサーニ・クリシュナ・ムラリ
■アーンドラ・プラデーシュ州首相/タニケッラ・バラニ

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【トリヴィア】
2000年にデビューした中堅、テージャ監督のポリティカル・スリラー。ラーナーにとっては『バーフバリ 王の凱旋』後の、それほど間を置かない第1作にあたる。インド独立記念日の数日前という現地公開日も野心的なものだった。しかし、ラーナーとカージャルの演技が高く評価されながらも、作品としては激しい非難を浴びた。非難の大半は後半部のロジックの欠如に集中した。例えば処刑に当たっての手続きがありえないとか、アーンドラ・プラデーシュ州を舞台にしておきながら、劇中で言及される議席数が現実とかけ離れているとか、クライマックスに向けてのストーリー運びが荒っぽすぎるとか、つまり、ちょっと昔のインド映画では当たり前だった超ご都合主義が過ぎるというもの。この感じ、NTRジュニアの Temper を思わせるものがあった。しかしこうした非難、当網站筆者に言わせれば、小賢しい欧化インテリしぐさ以外の何物でもない。本作のロジック欠如とされるプロットの数々は、ご都合主義というよりは神話的必然というものじゃないだろうか。たとえば、クライマックスで巨大な広場を埋め尽くした群衆が、ユニゾンでジョーゲーンドラを讃えるシーンがあるが、もちろん現代の民主主義国ではこんなことは起こり得ない。けれどもこれを古典劇におけるコロスのようなものと考えれば、映像作家の意図は充分に汲み取れる。映画というメディアは、カメラでの撮影という特性から、リアリズムに傾きがちな面はどうしたってあるけれど、ソング&ダンスという異物を抱え込むインド大衆映画は、リアリズム以外の表現に対して開かれている、割と珍しい芸術ジャンルなのだから。卑小なリアリズムから解き放たれた本作の、ファクショニズムを背景にしながら現代の政治を描く中での、英雄古譚的、あるいは叙事詩的な雄渾さを味わってほしい。

◆背景となる土地の設定、実際のロケ地
ジョーゲーンドラの回想の始まりの地は、ラーヤラシーマ地方のウラヴァコンダ村。彼がMLAとなると、同じラーヤラシーマ地方の中心都市 カルヌールが活動の場となり、同市のランドマーク、コンダ・レッディ・ブルジュも画面に映る。ジョーゲーンドラがさらに上を目指すようになると、舞台はハイダラーバードになるが、ここではランドマークは意図的に画面上から外されている。本作の撮影時点でアーンドラ・プラデーシュ州の新州都建設は既に始まっているが、まだ具体的なイメージは伴っていなかった。現在は新州都の運用は部分的に始まっているが、テルグ語のポリティカル・スリラーは、まだしばらくは州都の描写に苦慮することになるだろう。一方、ジョーゲーンドラの邸宅のシーンは、タミルナードゥ州中部にある Chidambara Vilas で撮影されたようだ。この地方のチェッティヤールと呼ばれる豪商カーストの邸宅をホテルとしたもの。

◆ポリティカル・スリラー
インド映画におけるポリティカル・スリラーとは何かについては、以前に書いた。注意を促しておきたいのは、南インドのポリティカル・スリラーにおけるCM(Chief Minister、州首相)の意味合い。ヒンディー語映画とは違い、南インド映画で共和国首相(Prime Minister、PM)が政治的達成の目標となることはあまりない。言語別に分かれ、地域・言語ナショナリズムに沿って作品が生み出されることの多い地方語映画界では、州首相こそが政治世界の頂点であるのだ。本作の魅力の一つは、現実の州首相やその候補者たちへの言及が縦横無尽に繰り広げられていること。特に終盤での悪役スッバラーユドゥの嘯き、それに最終シーンでのジョーゲーンドラの演説は凄い。MGR、NTRから始まり、チランジーヴィ、パワン・カリヤーン、チャンドラバーブ・ナーユドゥ、Kチャンドラシェーカラ・ラーオ、中央政界のガーンディー王朝、そしてつい先日AP州首相になったばかりのYSジャガンモーハン・レッディまで、好き放題に当てこすられている。それから、選挙における「シンパシー・ファクター」のド迫力。また、直接的な批判をすると炎上の危険性がある留保制度についても、用語は微妙に変え(quota, reservation→recommendation など)ながらも随分とえげつない言及をしている。映像においては、「ザ・デュオ」や Mudhalvan から始まり、RamanaaTagoreStalinLeaderRakht Charitra、ごく最近の LuciferNGK に至るまでの様々なシーンがフラッシュバックで脳裏をよぎること間違いなし。

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投稿者 Periplo : 23:17 : カテゴリー バブルねたtelugu

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